7thKING WAR㉕〜デストロイ・ブレイカー!
●焦土に一人、大魔王は猟兵を待つ
デビルキングワールドに召喚された異世界の魔王の一人がその地に立っていた。
身長は50メートルを下らない、破壊の権化の如き青肌の巨人。全身に漲る覇気はあらゆる存在を破壊して尚余りあるほど。
この世界の住人にはデストロイキング一族が存在しているが、彼らにどこか似た雰囲気をもつものの桁違いの力を持つ魔王は正に大魔王と呼ぶべき存在で。
見渡す限りの焦土と化した、あらゆるものが破壊されつくしたその風景は、その異世界の魔王がかつて居城としていた地を急造で再現したようになっていた。
『イエス、ビューティスパイダー!』
魔王の眷属である美少年の顔を持つ奇怪な人面蜘蛛も大量に這い回り、異様な気配が立ち込めている。
『――つまらぬ』
ガチデビルの特級契約書により呼び寄せられたかの魔王は、召喚者を守護する役割を担うべくこの地で敵の襲来を待っていた。
7thKINGとなったガチデビルの力で眷属を他の世界に送り込む事ができればそこへ転移できる、そうすれば新たな破壊を齎す事ができる――そんな利害関係が両者にはあった。
しかしそれは彼にとっては退屈極まりない事で、だからその役割はあっさりデストロイされた。
『来るがいい……猟兵達よ!』
大魔王の存在意義は全てを破壊する事。その暴力と瞬間移動の力で瞬時に現れデストロイする事こそ為さねばならない事であり、当然ながら猟兵もその対象だ。
『力とはパワーだ! パワーがあれば……』
みしり、と大魔王の筋肉が膨れ上がり、そして大音量で叫んだ。
『デェェェストロォォォォイ!!』
「ちょっと聞いて! 7thKING WARでガチデビルに召喚された異世界の魔王について予知できたの!」
制服姿の祓戸・多喜(白象の射手・f21878)はグリモアベースに集まった猟兵達にそう呼びかけた。
「その魔王の名前はデストロイキングボス! 瞬間移動能力と圧倒的な暴力を誇るとっても強力な魔王……寧ろ大魔王と言った方がいいかもしれないわね。力自体はシンプル、だからこそ厄介なんだけど……」
そう言って白象のグリモア猟兵は彼女の得た予知の説明を始める。
「デストロイキングボスに見つかったものは一瞬で間合いを詰められてデストロイされて周りの地形も焦土になってしまうみたいよ。その間合いを詰める為の瞬間移動能力だけど、どうにも周囲を這い回ってる眷属の人面蜘蛛のビューティスパイダーに向かってしかできないみたいなの。だからそちらを攻撃して数を減らせば瞬間移動する先も制限できて有利に戦えるかもしれないわ。攻撃自体はユーベルコードですらない圧倒的な暴力に加えて、ユーベルコードで指先に触れたものを内側からデストロイする力と破壊の大嵐を大勢巻き込む位置に転移して放つ力、それから不可視のビューティスパイダーを転移先に召喚する力になるわ」
全部先制攻撃で仕掛けてくるから上手い事やり過ごして反撃して頂戴、そう多喜は言ってグリモアを取り出す。
「破壊の権化みたいな超強敵で、小細工も力で強引にねじ伏せてくるわ。だからその力に負けないように工夫しないと勝利は難しいかもしれないけど……皆なら倒せると信じてるわ」
そう話を多喜が締め括ると同時、グリモアの輝きが周囲を包みこむ。
そして猟兵達は大魔王の待ち構える急造デストロイキングダムへと転移したのであった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
デェェェェェストロォォォォイ!!!
このシナリオはデビルキングワールドの急造デストロイキングダムで『デストロイキングボス・一撃必殺』と戦うシナリオとなります。
身長50メートルの超巨体と圧倒的なパワー、そして周囲をかさかさ動き回る配下である人面蜘蛛ビューティスパイダーの居場所にテレポートする能力を持つ異世界の魔王デストロイキングボスは、その能力で一瞬にして間合いを詰めデストロイしてきます。
(なお、その圧倒的な力は厳密にはユーベルコードではありませんが、ビューティースパイダーへの転移能力はユーベルコードです)
また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。
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プレイングボーナス……敵の先制攻撃に対処する/ビューティスパイダーを排除する。
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それではよいデストロイを。
皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『デストロイキングボス・一撃必殺』
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POW : デストロイフィンガー
【ビューティスパイダーへ瞬間転移し、指先】で触れた敵に、【デストロイエネルギー】による内部破壊ダメージを与える。
SPD : デストロイタイフーン
【多くの敵を捕捉できる地点に転移して】から、戦場全体に「敵味方を識別する【破壊の大嵐】」を放ち、ダメージと【装備破壊】の状態異常を与える。
WIZ : インビジブルスパイダー
【転移先となる透明ビューティスパイダー】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
イラスト:シャル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。
悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。
ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!
お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ
口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ
よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね
アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!
――その地がかつてどのような姿だったのかは分からない。
この悪魔達の住まう世界らしい景色だったのかもしれないし、そうではなかったのかもしれない。
だが、この地に召喚された魔王はこの地を見渡す限り荒涼とした荒野へと破壊してしまった。
『さあ猟兵よ! 良いデストロイを楽しもうではないか!』
やってきた猟兵達に向かい豪放磊落に笑う召喚魔王『デストロイキングボス』――飛び抜けて巨大な魔王ゼルデギロスよりは小さいが、五十メートルもの巨体と風格は大魔王と称されてもおかしくはないだろう。
「……あれがデストロイキングボスね」
更地に等しい有様の急造デストロイキングダムの地に転移してきた猟兵の一人、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)が声色に怒気を込めて呟く。
現在彼の表に出ている人格はキレイなもの、カワイイもの――美をこよなく愛するネイルと言う女性人格であり、だからこそ全てをぶち壊すこの大魔王を許しておけるわけがない。
生物非生物悪魔オブリビオン全てを破壊し尽くす為に存在している、他者とは相容れない存在。
「そんであれがビューティースパイダーってやつか」
そう呟いた東方妖怪は陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)。荒廃したこの大魔王の戦場のあちこちで蠢く奇怪な姿形をしたこの人面蜘蛛は召喚魔王の眷属であり、同時に瞬間移動能力の転移先でもあるのだという。
「全部ぶっ壊すってえ奴はぶっ潰さねえとな!」
全てをデストロイするというあの存在は間違いなく悪、シンプルに考え刀を抜く柳火。
『イエス、ビューティスパイダー!』
いつの間にか不気味な人面蜘蛛が一地点に集まっている、凡そ108体。
蜘蛛達の集ったその位置は、猟兵達を多く捕捉し攻撃に巻き込める位置であり。
「ッ! 危ないわ!」
ネイルが警告を発し、同時にルーンカルテを投擲する。次の瞬間、大魔王の巨体が消失し眷属を爆風と共に吹き飛ばしながら巨体の大魔王ははちきれんばかりの筋肉を一層バンプアップし、
『デェェェストロォォォォイ!! タイフゥゥゥゥーン!!』
叫び、真紅のマントを風に靡かせて戦場に破壊の大嵐を解き放つ。
単純な破壊力に加え装備破壊の性質を併せもつユーベルコードの一撃は戦場全体に破壊を撒き散らした。
『……あのタイミングで目くらましか』
大魔王は呟き、瞼の近くに張り付いた光属性のカードを剥ぎ捨てる。
ネイルの放った光属性のカードは大魔王の視界をほんの一瞬閃光で奪い、僅かに狙いをぶれさせていたのだ。
それもあってか、警告と同時にできるだけ大魔王から距離を取ろうとしたネイルは破壊の大嵐に巻き上げられるような事は避けられた。
だが、大嵐に付随する装備破壊の効果で装備の大半の能力が封じられた感覚を覚える。
更に離れた場所――吹き飛ばされた柳火の近くへと一斉にビューティースパイダーの群れが跳躍し、空中の一点に集う。
次の瞬間、人面蜘蛛の群は眩い閃光と共に吹き飛ばされ、柳火の眼前へと大魔王が出現。
大気の壁を破壊しながら圧し潰すような角度で指先が付き出される。そこに込められたデストロイエネルギーは内側から敵を破壊する――喰らえばひとたまりもない。
咄嗟に柳火は爆符を大量に取り出して全力の魔力を流し込んで大魔王の指先へと反撃、様々な弾幕を即座に出せるように作られた符はその機能通りに弾幕を発生させて炸裂する。
強烈な一撃そのものを食い止めるこそできない。だが、弾幕と煙でほんの一瞬視界が悪くなった瞬間を見計らって柳火は一気にダッシュして離脱。
指先が地面に触れ溢れ出したデストロイエネルギーが大地を砕くのを背に、魔王の背後に回り込むように走る柳火の手には名刀『マタタビ丸』が握られていて、
「オラァッ!! 喰らいやがれってんだ! 折角の大盤振る舞いなんだからよ!」
ユーベルコード発動、同時に大魔王の背に飛びかかり生えた角にマタタビ丸で斬りつける。
威力を三倍に跳ね上げられた斬撃は魔王の頑丈な肉体をも切り裂いて背の角を切断する事に成功する。
後方に気を取られたデストロイキングボス、更にネイルが正面から襲い掛かる。
袖口に仕込んだダガーはどうにか守り抜いた、コートはまだ装備破壊の影響を受けたままだが――ならば今は必要ない。
ユーベルコードを起動し、コートを脱いで身軽になったネイルは突如加速して大魔王の反撃の拳をすり抜けるように回避して、
「バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!」
すれ違いざまに大魔王の脇腹に一閃、わずかに苦痛の声を漏らした大魔王の挙動に警戒しつつ、そのまま駆け抜けていく。
柳火の方も大魔王の背から飛び降りて離脱、符を全力で一斉に起動した魔力の消耗をにゃんジュールで回復する柳火。
しかし、手にした刀が先端からさらさらと崩れ始める。
(「……ありがとな、マタタビ丸」)
3分間、妖力によって限界以上の能力を引き出された名刀はその過負荷によって砂のように崩れ去っていく。
『デストロイを以てより強大なデストロイを為すとは中々やるな! 猟兵!』
デストロイキングボスには何故か好評のようだが、その言動には余裕がたっぷりと溢れている。
まだまだこの大魔王を倒し切るには攻撃を重ねる必要があるだろう――予備のマタタビ丸を抜いた柳火はそう考えながら、絶対にぶっ潰すという意志を胸に合流したネイルと共に次の攻撃の機会を伺うのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ロータス・プンダリーカ(サポート)
素早さが売りの格闘猫
口調は「ですにゃ、ますにゃ、ですかにゃ?」と丁寧語に「にゃ」が付く
年齢の割に子供っぽい、と言うか猫っぽい
時々猫の本能には抗えない
尻尾や耳が感情と共に良く動く
拳法と銃を組合せた武術の達人
敵の動きを読み、計算された動きで戦う
悪を許さない正義と立ち向かう勇気を持ち合わせた漢
卑劣な事は嫌いだが、相手がそれ以上の悪であれば勝つ為の奇襲や搦め手は厭わず用いる
相手が武人であれば敬意を表しながら拳を交え、礼を欠かさない
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
迷惑行為NG
公序良俗は遵守
●2nd destroy
『これは予想以上に良いデストロイが楽しめそうではないか!』
猟兵達の初撃を受けた大魔王は豪放磊落な笑い声を上げて、そして周囲に恐ろしい威圧感を放つ。
全力のデストロイを行うのに相応しい敵であると、猟兵達を認識したようだ。
「ここからが本番……ですかにゃ」
拳法の構えを取るレッドタビーにも似た模様のケットシーはロータス・プンダリーカ(猫の銃形使い・f10883)。
ただでさえ巨大なデストロイキングボスに対し、小柄な種族であるケットシーのロータスは比率的に大魔王の小指の先程くらいの大きさしかない。
しかしロータスの瞳には怯えの色はない。悪を許さぬ正義とそれに立ち向かう勇気を併せ持つ彼が、破壊を齎す大魔王相手に恐怖するような事はないのだから。
挙動を見逃さぬよう、注意深く大魔王の姿を睨むロータスの視界から大魔王の姿がふっと掻き消える。
瞬間移動――同時に側方から派手な地響き。遅れて大魔王を中心に生じた破壊の大嵐が再び戦場を包み込む。
思考する時間はない、半ば本能のような反応速度でロータスは回避行動を取る。
大魔王の位置と距離、周囲の地形、そして破壊の嵐そのもの――それらから計算される破壊の嵐の勢いが弱まる位置。
人間では大きすぎて隠れきれないその場所をロータスは見切って、計算された最適の動作で素早く飛び込んだ。
嵐が戦場を蹂躙し、荒廃した戦場を更に破壊し更地に変えていく中、嵐に吹き飛ばされぬようロータスは全力で地面にしがみ付く。
そして嵐が弱まり破壊の力が減衰したタイミングを見切って体重の軽いケットシーは地面から手を離し、一片の葉のように荒れ狂う暴風に身を委ね上空へとわざと吹き飛ばされ風に乗って大魔王へと距離を詰めていく。
そして間合いに捉えてユーベルコードを起動すれば、彼の体の周囲に水流が発生する。
「滝を遡る鮭の如し……だにゃ!」
川を、滝を遡上する鮭の力を戦闘用に強化した力を以て、ロータスは嵐を突っ切って勢いよく大魔王へと突撃する。
ケットシーの奇襲にデストロイキングボスは気付くがその勢いを食い止めきれない。強烈な突撃は大魔王の顎に見事命中し、その巨体をぐらつかせる事に成功する。
だが、倒れない。
『いいぞ! 中々のパワーだ! だが、まだデストロイには足りぬ!』
笑う大魔王の体が再び消え失せ、離れた場所のビューティスパイダー達を吹き飛ばしながら再出現する。
クリーンヒットした手応えは確かにあったが、まだ倒すには至らないようだ。
ロータスはくるくる回転しながら無事着地を決めると、次なる攻撃の為大魔王に向かって人面蜘蛛蠢く荒野を駆けるのであった。
成功
🔵🔵🔴
政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。
SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
●3rd destroy
妖精猫が嵐を突破し大魔王の顎にいい一撃を喰らわせる少し前、一人の妖狐忍者が荒野と化した戦場を駆けていた。
「あれがデストロイキングボス、なのね……」
政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は圧倒的なデストロイの嵐を回避しながら呟く。
破壊の嵐を巻き起こし瞬間移動の能力を持つ、恐るべき異世界の魔王であるあの大魔王。
――その性質は一切合切デストロイ、本能由来か感情由来かは知らないが、人も物も全てを破壊し荒野にただ一人君臨する相容れない存在だ。
全てをデストロイするのだから人々に不安を齎すか以前の問題だ。
「貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ」
愛用の拷問具『荊野鎖』を振るい、破壊の嵐の影響を受けず戦場で不気味に蠢く人面蜘蛛の首に巻き付け一気にずたずたにして活動を停止させる。
この蜘蛛の眷属ビューティスパイダーはデストロイキングボスの転移先でもある。それらを潰す事でまずは機動力を削ごうというのが朱鞠の狙いだ。
戦場を駆け巡りつつスパイク付の拷問鞭や手裏剣を投擲し蜘蛛の数を減らしていく中、奇妙な違和感を感じる。
(「透明なビューティスパイダーが追跡してきているわね」)
感覚を研ぎ澄ませて周囲の情報を探っていた朱鞠は、後方から僅かに聞こえる追跡音を捉えていたのだ。
詳細な位置までは不明だが、この透明ビューティスパイダーを座標にあの大魔王は転移してきて奇襲を仕掛けてくるのだろう。
だから転移してくる前に、朱鞠はユーベルコードを起動する。
「我が魂魄の欠片よ目覚め…力を行使し見聞きせよ……急急如律令」
召喚されたのは子狐にも似た姿の分霊、感覚を共有したその存在は大魔王を標的とした追跡を開始する。
速度では分霊でも瞬間移動にはついていけないかもしれない。しかし、共有した五感は鋭敏になり、瞬間移動を行った瞬間も正確に把握できる。
その時、分霊の視界から大魔王の体が掻き消えて、朱鞠の背後に出現する。
「そこっ!」
タイムラグなく朱鞠が空中に跳ねて、拷問鞭を振るい大魔王の腕に巻き付けた。
圧倒的な巨体と肉体の頑健さを無視し、拷問鞭のスパイクは大魔王の腕にしっかりと食い込んでいく。
巻き付けた部分を起点に朱鞠は円機動で大魔王の拳を回避しつつ背後へと回り込むと、切断された背の角の傷口に手裏剣を投擲、追撃する。
更に長く鋭い刑場槍にてその傷口を抉るように突き立てんとするが、その前に大魔王は鞭を巻き付けられた腕を振るい朱鞠を引き剥がす。
咄嗟に巻き付いた鞭を解き大魔王の追撃を避けつつ、離れた位置に朱鞠は着地する。
『……これに反応するか! それでこそデストロイのし甲斐があるというものよ!』
奇襲を躱された大魔王は、より闘志を燃やしたように笑う。
だがその身体には幾重にも傷が刻み込まれていて、大魔王の血が青き肌を汚した満身創痍のようにも見える。
(「あと一押しが必要そうね」)
大魔王の迫力は健在、しかし確実にダメージは積み重なっている。仕草や言動から、朱鞠はそう分析する。
その最後の一手を助ける為、朱鞠は再び人面蜘蛛の掃討にかかるのであった。
成功
🔵🔵🔴
火土金水・明
「圧倒的なパワーで蹂躙してくる敵が相手ですか。」「私も勇気を出して戦いましょう。」「こちらもできる限り相手にダメージを与えつつ、味方の回復もしないと。」
敵の先制攻撃に対しては【第六感】と【野性の勘】でできる限り回避を試みます。
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【巷に金色の雨が降るごとく】を【範囲攻撃】にして、『デストロイキングボス・一撃必殺』とビューティスパイダー達を纏めて攻撃します。相手の攻撃には【勇気】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げることです。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
●final destroy
『デストロイするか、されるか。その命の瀬戸際にこそ、戦いの楽しみがあるというもの!』
「圧倒的なパワーで蹂躙してくる敵が相手ですか」
全身に黒を纏うウィザードの火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は熱気を増す大魔王とは反対に冷静に構えている。
相当ダメージは重なっているにも拘らずいまだその全身から放たれる威圧感は、一撃でも状況をひっくり返せると主張しているようにも思えてくる程に強烈だ。
「私も勇気を出して戦いましょう」
『いくぞ、猟兵よ! 我がデストロイに耐えられるか!!』
その言葉と共に、デストロイキングボスの体から凄まじい閃光が放たれ、戦場のどこかに瞬間移動する。
攻撃がくる、明は自身の勘を信じてオーラを全身に纏いつつ比較的安全に感じる位置へと駆け始める。
直後、破壊の嵐が戦場に吹き荒れた。
嵐にもまれそうになりながらもダメージを抑えながら明は思考する。
(「こちらもできる限り相手にダメージを与えつつ、味方の回復もしないと」)
この戦で三度放たれた嵐、それがようやく勢いを弱めた時、明はまだ戦場に立ち続けていた。
傷を負った彼女だが、その瞳からは戦意は失われておらずユーベルコードを起動する。
「……私の心にも雨が降る」
破壊の嵐に入れ替わるように戦場全体に金色の雨が降り始める。
戦いの熱を冷ますようなやわらかな雨、受けた猟兵達の傷が徐々に癒されていく。
『これは……』
戸惑うような大魔王の声を遮るように、虹色の輝きが戦場に降り注ぐ。
それは戦場のあちこちで蠢くビューティスパイダーを撃つ稲妻。無事なものも傷ついたものも、透明な姿のものも。一匹たりとも逃さぬように戦場全体に虹色の稲妻が奔り転移先である眷属を滅ぼしていく。
即座に大魔王は瞬間移動を行う。まだ無事なビューティスパイダーへと転移しデストロイを実行する為だ。
――だが、それこそが明の狙い。無数に転移先がある状態では転移先が読みきれないが、転移先が限られているのならばある程度見当をつける事ができる。
加えてこの大魔王のユーベルコードは発動時、多くの敵を補足できる地点に転移するという特徴がある。
故に、その転移先に向けて先に移動しておく事もできるのだ。
『移動先を読んだか!』
爆発と共にビューティスパイダーを吹き飛ばしながら大魔王が出現したのは明の真正面、出現と同時に驚嘆の声を上げた大魔王に対し、明は虹色の稲妻を降らせていく。
稲妻に全身を撃たれながらなお、デストロイキングボスは反撃の拳を振り下ろす。
シンプルな何の工夫もない――けれど破壊力と速度は尋常ではない一撃。
けれどその一撃が捉えたのは明の残像のみ。
「残念、それは残像です」
これまでの戦いぶりを観察し得た戦闘知識で予見し回避した明は攻撃にかかる。
ここからは次に繋がる事はない。次で終わらせる。
黒の魔術師は伸ばされた大魔王の腕を足場にして一気に懐へと飛び込んでいく。
構えるのは護りを無視し貫く魔術を付与した銀の剣、闇を切り裂くかのような輝きを手にした彼女の狙いは大魔王の胴にぱっくりと開いている口だ。
だがデストロイキングボスは接近してくる明を見、にやりと笑む。
『よかろう! 我が最大最後の一撃でデストロイしてくれよう!』
自身の体を登ってくる明に対し、デストロイキングボスはその剛腕で払い落とそうとする。
落とされればその時点で強烈な一撃を喰らう事になるだろう状況、だが明は冷静に大魔王の動きを見切って巧みに回避して駆け上がっていく。
オーラを纏っていても大魔王の動きの余波で多少の傷は受けるが、降り続く金色の雨が即座に彼女の傷を治療していく。
戦場に降り注ぐ虹色の稲妻による攻撃をもフェイントとし、残像を交えて大魔王の強烈な攻撃の直撃を回避しながら明は走る。
そして、燃え盛るマグマのような赤々とした腹部の口に銀の剣が突き立てられた。
絶叫。それが腹部の口から放たれたものだと気づいた時には衝撃で明の体は大魔王から弾き飛ばされていた。
追撃がくる――警戒し大魔王を見上げる明だったが、追撃は行われなかった。
『……見事!』
重々しい、いっそ静かにも感じる大魔王の声が戦場に響き渡る。
『最大最後の一撃を披露できなかったのは無念だが……良いデストロイであった』
銀剣の一撃が致命傷だったのだろう。既に大魔王の体は崩壊を開始し、マグマのような色彩の腹部の口、肉体の内側から赤い光が溢れ出し始めていた。
『最期の言葉をこの地に残そう。我が生、それは……デェェェストロォォォォイ!!』
そう叫んだと同時、莫大なデストロイエネルギーが溢れ出して爆音と共に巨体を爆発四散させた。
――後には何も残らない。
かくしてデストロイの王のボスは、己の心の赴くまま最後の最後までデストロイを実行し、そしてデストロイに殉じたのであった。
大成功
🔵🔵🔵