7thKING WAR㉖〜Born Good/Evil
●万物皆純善にして純悪生れ落ちる
『東のラスボス、スーパーカオスドラゴン。西のラスボス、アイスエイジクイーン。私同様にジャッジメント白羽の矢に選ばれし、強く邪悪たる両雄の7thKING候補者は猟兵の前に敗れ去ったか……』
魔界の最奥部で朽ち果てつつある神殿跡地に、骸の海より復活を遂げたオブリビオン・フォーミュラ……1stKING『魔王ガチデビル』が静かに佇んでいた。ここはかつて彼が存命し権勢と暴虐の限りを尽くしていた遠い昔に、『悪魔契約書』の儀式を執り行うために造られた祭儀場である。現在は善良なる悪魔の中からひとりだけ生まれた邪悪に立ち向かうべく蜂起した、後の4thKINGキング・ブレインである大首領ブレインを始めとした先代デビルキングらが、魔王ガチデビルの統治を糾弾と否定すべく破壊を行い廃墟となっている。
『私は、悪魔たちも、猟兵たちも、決して侮ってはいなかった。両者とも刺激せぬよう慎重に計画を進め、異世界より最強の魔王を呼び寄せ、ジャッジメントガールの目覚めに合わせ、万全の状態で此度の戦いをはじめたのだ』
魔界随一の知恵者であった大首領ブレインが魔界の王を決定するデビルキング法を定めた際には、屍山血河を築き上げて自らが1stKINGとなる。だが、それによって養われた『闘争心』によって、魔王デビルキングは討たれることとなった。が、オブリビオンとして復活すれば、彼自身を破滅に導いたデビルキング法を逆に利用してやろうと邪智を巡らして暗躍した。
そして、彼の目論見どおりに存命であった頃と同じく、律儀で簡単に騙されてしまうお人好しで真面目な悪魔らが『悪魔王遊戯』を執り行った。東と西のラスボスと異世界より召喚した魔王たち、それと死後オブリビオンと成り果てた後に様々な世界の存在を知った折に知覚した生命の埒外たる存在の猟兵。これらが三つ巴の戦いを繰り広げ、漁夫の利を得る形でガチデビルが7thKINGの座へとなる計画であったが、猟兵はこれらを尽く退けて行った。今や彼らは7thKINGの暫定候補者にまで昇りつめ、自らを骸の海へと還すべく戦いを挑んでくるのは時間の問題となった。
デビルキング決定戦を取り仕切る魔界裁判長『ジャッジメントガール』の裁決は、如何にガチデビルと言えども力で持って捻じ曲げることは出来ないデビルキングワールドの摂理に等しいものだ。この現状を前にして、魔王ガチデビルは自らの力不足を認めざるを得なかった。
『……だが、デビルキングにならずとも、猟兵達の猛攻を凌ぎ続ければ、「悪魔契約書」を幾らかはばら撒き、あわよくば逃げおおせるかもしれぬ』
しかし、ガチデビルの目的である、すべての世界にカタストロフを齎す『他世界への悪魔輸出』の野望はまだ潰えていない。7thKINGとなって魔界の住民すべてに服従の契約を結べずとも、既に契約済みの悪魔契約書は呪いの侵略蔵書から断章となって各世界に飛び立っていく。猟兵が絶望に打ちひしがれる中、その様を嗤いながら再び潜伏するのも悪くはない。まさに、性善たる悪魔から産まれた性悪たる悪魔ならではの思考転換である。
『猟兵達に立ち向かうため、最後の備えを使うとしよう。私の後にデビルキングを僭称した者共……すなわち』
──ドーピング料理を創作する美食魔王、2ndKING『魔王ビストログルメ』!
──無限増殖する植物怪獣軍団の召喚師、3rdKING『堕天使エンケロニエル』!
──斜め上を突き進む発想の魔界知謀家、4thKING『キング・ブレイン』!
──あらゆる攻撃を退ける魔界の守護者、5thKING『勇者リリリリ』!
──塵芥も残さぬ魔界随一のビーム野郎、6thKING『ビームスプリッター』!
『私は奴らの能力を解明し、5つの「KING宝珠」を作り出した。私のユーベルコードと、5つのKING宝珠。この組み合わせで、勝機を掴み取ってみせよう。悪魔輸出によって、全ての世界にカタストロフを齎すために……!』
●グリモアベースにて
「東と西のラスボス、ならびに各召喚魔王の討伐お疲れ様でした。皆様のご活躍により、ついに姿をくらましていましたガチデビルの所在が判明しました」
此度の7thKING WARのイレギュラーであり、様々な悪事を奨励する『悪魔の道徳』をまとめた『デビルキング法』が制定される遠因となった魔王ガチデビル。戦争前日の予知で姿を消していた全ての元凶との終止符を打つ決戦の始まりを、秋月・信子(魔弾の射手・f00732)が告げる。
東のラスボス、魔界随一のニセ乱暴者ことスーパーカオスドラゴン。西のラスボス、魔界随一のニセ高飛車ことアイスエイジクイーン。初代KINGであるガチデビル同様にジャッジメント白羽の矢を受けた7thKING候補は、猟兵達の前に敗れ去って資格を失った。今や暫定候補者は猟兵たちとなった今、再びデビルキングに返り咲くことによって魔界の住民を洗脳して各世界へと解き放つ『悪魔輸出』は潰えた。
「ですが、未だ『悪魔契約書』は魔王ガチデビルが掌握したままです。ガチデビルごとこれも骸の海へと還さねば、他の一手を打ってくる可能性は拭えません」
追い詰められたものは何をするのか予想もできない。ましてや、性善説の象徴とも捉える悪魔たちから突然変異で産まれた性悪説の象徴たるガチデビルである。悪魔王遊戯の中では、既に洗脳を受けて恭順の意を示して暴れていた悪魔も居た以上、幾らかの悪魔と服従の契約を交わしているのは明白であるからだ。当初の計画どおりまでとは行かないが、もし呪いの侵略蔵書で悪魔が他世界に放たれれば、最後に笑いのは邪智暴虐の権化たるガチデビルということになるであろう。
「魔王に残された手段は時間稼ぎしかありません。とは言え、勝算なしに私たち猟兵を迎え撃つ訳でもなく、ガチデビルは過去の歴代KINGの力を模した5つの『KING宝珠』を作り出しました。これらは常にガチデビルの周囲を飛び回りながら、彼に有利な効果を送り続けて支援を行っています」
しかしながら、歴代デビルキングを従えて完全に打つ手がない盤石な防御態勢に見えても、ガチデビルが失念しているところがあると信子は語る。
「彼、ガチデビルは生まれついての邪悪です。真面目で疑うこともしない善良な悪魔が滅びる一歩手前まで利用し続けてきた魔王ですが、悪魔の善良さを理解していてもその本質までは邪悪さ故に知っていません。つまり、KING宝珠には善良なる悪魔の心が宿っているのです」
問題は、真面目な悪魔故にガチデビルに従っている点である。だが、こちらも力を示せばデビルキング法でも語られる『強い奴こそが正しい』と判断して、こちらの味方となるだろう。彼らの力を借りれば、ガチデビルとの戦いに一助となって有利にことを運べるだろう。
「では、これから皆さんを転送致します。どうか、ご無事で返ってきてくださいね?」
そう締めくくると信子は自らの影の拘束を解き放ち、ゲートを形成してグリモアの光に包まれる猟兵たちを決戦の地へと送り出したのであった。
ノーマッド
ドーモ、ノーマッドです。
KINGで始まり、KINGで終わる。最初に出したデビルキングワールドのシナリオと『KING』絡みで関連付けさせていた戦争シナリオも、ついに最終局面となりました。
ガチデビルとの決戦をもって一区切りになると思われますが、有終の美を飾れるようお付き合いの程をよろしくお願い致します。
●戦場概要
シナリオ難易度は、やや難となります。
デビルキングワールドで唯一、生まれながらに「邪悪さ」を有していた初代デビルキング『ガチデビル「召喚形態」』との決戦シナリオです。
そもそも、デビルキング法はガチデビルを倒すために生まれました。恐るべき『悪魔契約書』で、悪魔達を他世界に輸出しようと画策しています。
ガチデビルの周囲には5つの「KING宝珠」が飛び回り、ガチデビルに有利な効果を送り続けています。しかしこれらは一定のダメージを与えると「猟兵の味方」になり、その効果を猟兵に使ってくれるようになります!
また必ずガチデビルは先制攻撃をし、同時に宝珠への対処も必要となります。積極的に利用して、勝機を引き寄せましょう!(宝珠はガチデビルを倒すと共に消えますので、回収は不可能となります)
よって、プレイングボーナスは、『敵の先制攻撃に対処する/「KING宝珠」を味方にする』、となります。
各KING宝珠がガチデビルと猟兵に及ぼす効果は、下記の通りとなります。
・2ndKING『魔王ビストログルメ』の宝珠:様々な料理を作って食べさせ、所有者を回復する。
・3rdKING『堕天使エンケロニエル』の宝珠:所収者に従う「植物怪獣軍団」を召喚し続ける。時間経過でねずみ算式に増える。
・4thKING『キング・ブレイン』の宝珠:新たな知識を脳内に流し続け、戦闘時間に比例して所有者を強くする。
・5thKING『勇者リリリリ』の宝珠:宝珠自身が盾のオーラを放出しながら飛び回り、所有者を護る。
・6thKING『ビームスプリッター』の宝珠:所有者は通常のユーベルコードと同時に「腹からビーム」を撃てるようになる。命中精度・ダメージ共に大。
それでは、生まれながらの邪悪なガチデビルにも負けない熱くワルいプレイングをお待ちします。
第1章 ボス戦
『1stKING魔王ガチデビル召喚形態』
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POW : 『強欲』
レベル×1体の【配下の古代悪魔軍】を召喚する。[配下の古代悪魔軍]は【邪悪】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 『憤怒』
戦場全体に【ガチデビルの魔力が具現化した闇色の炎】を発生させる。レベル分後まで、敵は【炎から現れる『憤怒獣』】の攻撃を、味方は【闇色の炎による治癒】の回復を受け続ける。
WIZ : 『嫉妬』
自身と対象1体を、最大でレベルmまで伸びる【悪魔契約書による契約の魔術鎖】で繋ぐ。繋がれた両者は、同時に死なない限り死なない。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御形・菘
はっはっは、華々しく散るのも良いが、しぶとく逃げて捲土重来を期すもまたワルの美!
残念だったのう、妾が此処に居なければ、の話だがな!
鎖が飛んできたら、妾と天地以外の、周囲を飛ぶカメラドローン群をぶつけよう
初撃さえ回避できれば十分
同時に、腹ビームや直接攻撃は邪神オーラを纏った左腕でガード
即座に機械装甲形態へチェンジ、以降も妾狙いの鎖があれば確実に避ける!
はーっはっはっは! お主らにはこの感動が理解できるのかのう?
まずは軍団へと突っ込み一気に宝珠を攻撃だ
狙う宝珠は2ndと4th、可能なら5th
さすがに一撃で決めようとは思わんよ
余計な回復と累積強化を外し、ヒットアンドアウェイでボコり倒してくれよう!
グリモアの光が薄れると、そこは禍々しくも重々しい瘴気に満ちた、まさに魔界の深淵と相応しき領域であった。
朽ち果てた神殿を取り囲むよう紫色に可視化された魔力の奔流が渦巻き、その中心に座するモノこそが、1stKINGたるオブリビオン・フォーミュラの魔王ガチデビルに他ならない。何時もは何処か真面目におちゃらけたデビルキングワールドにおいて、唯一無二の邪悪が猟兵たちの前に君臨していたのだった。
「はっはっは、華々しく散るのも良いが、しぶとく逃げて捲土重来を期すもまたワルの美! 残念だったのう、妾が此処に居なければ、の話だがな!」
その重圧に屈することも臆することもなく、もしくはそれをなど真の蛇神にして邪神たる自身には虚勢であるとばかりに御形・菘(オブリビオンではない・f12350)は高笑いする。悪魔めいた姿ではあるが、彼女自身はキマヒュ出身のキマイラである。なので、多種多様な爬虫類系遺伝子が折り混ざったその姿は魔王ガチデビルに比する邪悪さを醸し出しているが、現在進行系で『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた With 異世界邪神頂上決戦』と銘打った動画を映像撮影用ドローンによってLIVE配信中だ。
邪神VS邪神と聞いて、同じ蛇の下半身同士だから蛇神VS蛇神じゃ?、誰が上手いことを言えと、などなど世界を股にかけた動画視聴者から寄せられたコメントを受け、更に邪神として振る舞ってみせる菘であるが、ガチデビルにはそんなことなどお構いなしだ。
『私と似た姿とは面白い。だが、自惚れは身の破滅に先立つ印であり、心の高慢は失敗への道だということ、をその身で識るが良い!』
ガチデビルの周囲に飛び交うKING宝珠に紛れ、悪魔契約書と思わしき書が浮かび上がるとバラバラと風もなくページが捲れていく。そこから一片が剥がれたと思いきや、邪悪さながらに紫色の炎に包まれると契約の魔術鎖が放たれる。
無機質な鎖であるが、まるでそれ自体が生きてるかのようにジャラジャラと鎖を鳴らしながら空を切り、菘をめがけて強襲する。
「はーっはっはっは! 何とも見え透いた手よのお!」
如何に生きているかのように制動しようとも、所詮鎖は鎖。高性能AI内蔵の映像撮影用ドローンである『天地』以外の補助撮影用ドローンをけしかける。ドローンは破壊されたが、これによって契約の魔術鎖の軌道は大きく反れ、なにより臨場感溢れる映像がLIVE配信を大いに賑やかせた。
しかし、ガチデビル自身も容易く自らのUCを受けるとは考えてはおらず、時間差をおいて6thKING『ビームスプリッター』の力が宿るKING宝珠を解放し、胸を大きく裂けさせた顎(あぎと)から熱線を菘へと放った。
メイン映像撮影用ドローンが凶々しい光の奔流に呑まれる菘の姿を捉え、LIVE配信のコメント一覧には動画視聴者たちの悲痛な叫びが次々と書き込まれる。だが、視聴者の心配も嘲るような高笑いが、彼女の健在を遺憾なく主張していた。
「はーっはっはっは! どうした? 6thKINGの塵芥すら残さぬビームとは、そんな生ぬるいものなのかのう?」
光の奔流が収まれば、そこには自らのUC『機械仕掛けの花の神(デウス・エクス・ワラワ)』によってキマイラ部位が邪神オーラを纏わせたメカ装甲形態へ変わった菘の姿がある。その姿を見るや否や惜しかったと言わんばかりにガチデビルは胸の大口をギリッと噛み締めさせ、動画コメントには彼女を称えるコメントが殺到し続ける。
とは言え、こうも余裕ぶっている菘であったが、内心は間一髪のギリギリに近い防御であったことから背中に冷たいものが走っていた。その様を察しさせない辺りが、流石はキマイラフューチャーの一番星と豪語する国民的スタアであれば為せる業か。
あたかも世界の命運を賭けて大魔王に戦いを挑む勇者さながらに、邪神さを演出させるニセ眼帯の裏側に仕込まれたコメントビューアーを通して視聴者の声援を一身に受ける機械化した蛇神が翔んだ。
「はーっはっはっは! お主らにはこの感動が理解できるのかのう?」
ガチデビルが次なる一手を出さまいと、UCを発現させている菘の身体から花弁が舞い散った。無数に振り撒き続ける花弁は彼女の姿を隠すまでに広がり、邪魔なそれらを払おうとしたガチデビルに未知なるモノが電流となって走り抜けた。
『こ、これは……?』
動揺の色が隠せないガチデビルに襲ったもの、その正体は『感動』の感情である。生まれながらにしての邪悪は、この瞬間に始めて周囲を覆い尽くす花を美しいと認知した。すかさず4thKING『キング・ブレイン』の宝珠が彼にこれらの正体は何であるかと新たな知識を授けたが、その際に出来た隙を菘は見逃さなかった。
すかさず鱗が鈍い銀色の光沢を醸し出している機械化された蛇の下半身を翻すと、風切り音を奏でながら振るわれた尾が2ndKING『魔王ビストログルメ』の宝珠を叩きつけ、更にはそれを5thKING『勇者リリリリ』の宝珠へとぶつけさせる。すると禍々しい紫色のオーラを纏っていたKING宝珠がまばゆい光を放ち、魔王ガチデビルへと与える権能が菘の元へと向けられる。
『小癪な真似を!』
やたらブレブレと笑うのが玉に瑕である4thKINGの宝珠によって、本来の邪悪さを取り戻したガチデビルの胸が再び裂けて極太のビームが放たれる。先程とは比にならない光が再び菘を呑み込もうとしたが、一時的にガチデビルの支配から解き放たれた5thKINGの宝珠がすかさず両者の間へと割って入る。あらゆる攻撃を退ける魔界の守護者の再来を示す盾オーラを放出し、塵芥も残さぬ魔界随一のビーム野郎が齎す破壊の光を四方八方へと拡散させてみせた。
「見よ、我が下僕ども! 妾の威光を前すれば、魔王ガチデビルが復活させし歴代デビルキングの力が宿りし宝珠すらも屈するのだ!!」
ワザと仰々しい邪神パフォーマンスを披露すれば、それを目の当たりにした視聴者=下僕たちのコメントは最高潮へと達する。うなぎ上りする視聴者数やいあいあと崇め讃えるコメントを一身に受けた邪神は、自らを信奉する信者へのファンサービスとばかりに光を切り裂きながら拳を振り上げる。
そして振るわれたのは、ドーピング料理を創作する美食魔王こと2ndKING『魔王ビストログルメ』の宝珠によって、漲る力を籠めた異形なる左腕の拳による一撃だった。これにより、魔王ガチデビルの胸もとい大口に衝撃が走り、身体を大きく仰け反らせながら砕かれた歯の欠片が周囲へと散らばる。
それでもなおガチデビルは狼狽えることなく腕を振るって手枷の鎖とともに猟兵に与する宝珠に強烈な一撃を与えるが、5thKINGの宝珠は最後の仕事を全うして高笑いとともに仕切り直しをするためにガチデビルより離れた菘を護ってみせた。
思わぬ一撃を受けて静かに闘争心を昂ぶらせるガチデビルだが、従わぬ者は直々に叩きのめす矜持の真の蛇神にして邪神の怒りに満ちた一撃により、身体能力に優れる悪魔ですらな強固な純白の外骨格には痛々しい亀裂が無数に走っていたのであった。
成功
🔵🔵🔴
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(刀形態)
そのような企みは、成就させぬよガチデビル。
さて、先制なぁ。軍団は結界で壁を作り、遮るか。
同時にビームも来るであろうが、命中精度が高いならば、少しのズレが致命的なはず。四天流星を視認させつつ、見切りで回避よな。
『馬県』認識は、陰海月と霹靂がやっておるし。UC(攻撃力)使用したら、結界は切って被弾しよう。強化になるからな。
宝珠は『4>5>2>3>6』の順番で対処したいか。
攻撃方法は単純でな、黒曜山で斬っていく。斬撃波や衝撃波も出して、なるべく範囲攻撃になるようにもしよう。
カシム・ディーン
機神搭乗
ぶっちゃけるとな
おめーの邪悪さは本来必要なもんだった
おめーが居なければ多分この世界はもっと早く滅んでたでしょうよ
「ぁー…平和すぎる世界は滅んじゃうって事?」
まぁ極論だがな
【情報収集・視力・戦闘知識】
デビルの動きビーム砲撃の癖
闇の炎の性質を己の経験と他の依頼も踏まえて把握
対SPD
【属性攻撃・弾幕・浄化・迷彩・武器受け】
光水属性を機体に付与
浄化の力を込めた水の弾幕で闇の炎を祓いながら光学迷彩で存在を隠しビームから逃
それでも避けきれないのは水槍で防ぎ致命は避
【空中戦・スナイパー・念動力】
UC発動
超高速で飛び回り5の宝珠を狙い念動光弾乱射
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
口を切り刻み料理強奪!
『ぬぅうう、おのれ!!』
再びガチデビルの制御下に戻った2ndKING『魔王ビストログルメ』の宝珠が妖しく光り輝くと、スパイシーな香りが一面に漂う巨大な魔界獣の骨付き肉が現れて胸元の大口がそれに齧り付く。すると、亀裂が走った外骨格はもとより砕けた歯までもが見る見ると回復していく。現実では到底考えられないが、これも魔法の域にまで達した魔王ビストログルメによるドーピング料理が為せる業か。
『私は滅びぬ、屈せぬ。悪魔輸出によって、全ての世界にカタストロフを齎すまでには』
「そのような企みは、成就させぬよガチデビル」
激昂しつつあるガチデビルを、悪霊の複合体として馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を構成する第四の人格『不動なる者』が激しく糾弾する。
「ぶっちゃけるとな、おめーの邪悪さは本来必要なもんだった。おめーが居なければ多分この世界はもっと早く滅んでたでしょうよ」
「ぁー…平和すぎる世界は滅んじゃうって事?」
「まぁ極論だがな」
対して、界導神機『メルクリウス』に搭乗してガチデビルと対峙するカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、コックピット内に響く少女の声とやり取りでこのデビルキングワールドにおいて異質極まりない彼の存在を肯定してみせる。と言いつつも、それは『必要悪』としてである。仮にであるが、邪悪の権化たるガチデビルが存在せぬままオブリビオンが跋扈すれば、自ずとして結果は同じであったのかもしれない。皮肉だが、彼の存在が悪魔の中から猟兵を排出するようになったのも事実である。
だが、それも過去のこと。本来のガチデビルは役目を終えて滅び去った。ここに居るのは1stKING魔王ガチデビルの姿と記憶を再現させた、世界を破滅に導くオブリビオン・フォーミュラ・ガチデビルにすぎないのだ。
『痴れたことを!』
ガチデビルの魔力が具現化した闇色の炎が戦場内を満たし、その内部から悪魔のごとし産声が鳴り響く。闇の炎が大きく揺らめくと、ガチデビルの憤怒を顕現させた『憤怒獣』が、その背後からは背徳的とも形容できる古代悪魔軍団の亡霊らがガチデビルのUCによって召喚されていく。
当然ながら、これらは普通の悪魔と同じ『善』なる存在ではない。邪悪そのものたるガチデビルより生まれし『悪』なる存在の悪魔である。憤怒獣が闇の炎を滾らせながら唸りあげ、それと同調するように古代悪魔軍も不気味な鳴き声を奏でさせながら津波のごとく迫り来る。
「いやはや、これを全て相手にすると骨が折れそうだ」
UCによって召喚された古代悪魔、憤怒獣はそれぞれが現生悪魔と同じく猟兵に匹敵する戦闘力を有しているに違いない。とあれば、それらとまともにやりあっては悪戯に消耗をするだけだと判断したか、不動なる者は印を切ると結界を張り巡らせた。見えない壁に遮られ、あたかもそれらが肉の砦となっていく。これらを足場として跳躍してみせた憤怒獣が結界の防壁が行き届かない上空より強襲するが、カシムが搭乗するメルクリウスが放った浄化の力を込めた水の弾幕が闇の炎を穿って祓い去ってみせる。
『中々やるな。だが、私も居ることを忘れていないか?』
最初に貪ったドーピング料理で活力を得たガチデビルが、胸の大口を開かせると眩い極光を放つ。凶々しい光の奔流は召喚したはずの古代悪魔軍団を無用とみなしたのか蒸発させ、不動なる者が展開した結界の破壊にかかった。想像を越えた圧倒的な熱量を前にし、不動なる者は思わず細目を歪ませた。
「そうはさせるか! 加速装置起動…メルクリウス…お前の力を見せてみろ…!」
ビームを吐き続けるガチデビルへ、カシムは反撃に打って出る。界導神機『メルクリウス』の神速戦闘機構、『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)を解放させ、加速により速度を増させた水槍を投擲した。
『無駄だ』
しかし、超高速で放った水槍は5thKINGの宝珠が放つ盾のオーラによって霧散され、胸口から吐き出すビームの輝きがより一層増すと、限界を迎えた結界が破れて不動なる者は光の奔流に呑まれ……消え去った。
『まずはひとり。哀しみに暮れることはない……貴様も仲間の元へ送ろう!』
再びガチデビルの胸が開くと、光が迸った。先程のような一筋の極光ではなく、幾重にも枝分かれし拡散した光である。それぞれが意思を持つ謂わばホーミングレーザーか。高速機動モードのメルクリウスが生み出すGで舌を打つ余裕もないまでシートに身体を食い込ませながらカシムは光の網目の隙間を縫うように躱してみせる。だが、包囲網は固まりつつあり被弾するのも時間の問題であろう。
『フハハハハハ! これが猟兵か、恐れるに足らず!』
「……それはどうか?」
勝利を確信し、高らかに嘲笑うガチデビルの脳内に声が響いた。それは紛れもなく先ほど葬ったはずの義透……不動なる者のものだ。
それが向けられた場所へ目をやると、黒いモヤのような漂っている。次第に濃くなるそれは人の形を形成し……馬県・義透が再び常世へと顕現したのだ。
「四悪霊は滅びず」
彼の存在は人に非ず、四人で一人の悪霊なり。とは言え、6thKING『ビームスプリッター』の宝珠が齎すビームはエネルギー生命体をも無に帰するものである以上、ガチデビルは動揺を隠せなかった。
勿論、これにはトリックがあり、結界が破れる直前に不動なる者は自らのUC、四悪霊・『戒』を発現させていた。今は戦闘の被害が及ばない安全圏に退避させている、いつもであれば義透の影に潜んでいるミズクラゲの『陰海月』、同じく影に控えさせているヒポグリフの『霹靂』によって『馬県・義透』という認識がなされている限り、『四悪霊』は不滅となる。また、再構成された身体は四つの悪霊の総意によって生み出し封じてきた呪詛により、一時的ではあるがより上位の悪霊として強化されている。
故に黒曜石の破片が柄に埋め込まれている、今は刀形態の漆黒の剣『黒曜山』を振るえば、剣圧は斬風となって衝撃波が無防備同然の6thKING『ビームスプリッター』の宝珠に襲いかかった。
「遅いぜ、おっさん! 本当に成仏したのかヒヤヒヤしたぜ」
「いやはや、何せ久々にしたものでな?」
6thKINGの宝珠がガチデビルから離れ、ようやく自由の身となったカシムが愚痴を零しながら防御を司る5thKINGの宝珠へと念動光弾を乱射しながら強襲する。
詰まるところ、一見するとピンチに陥ったふたりであったが、それもこれも申し合わせ通りだったということである。とは言え、馬県・義透が再構築するまで手間取ったのも事実であり、実に申し訳ないとばかりに不動なる者が頭を掻きながら上空に控えているカシムへと侘びた。
『くっ……この私が手玉に取られただと!?』
生前は絶滅寸前に陥るまでに悪魔を騙し続けきたガチデビルであったが、根が真面目の良い子ちゃんである悪魔とは別モノである猟兵相手となればそう行かなかったようだ。まんまと最強の矛と盾を奪われてしまった魔王が、形勢を逆転すべくこれらに対抗すべく強化を得ようと2ndKINGの宝珠に命じる。
オーダーを受けて直ぐ様と出された巨大魔界獣の骨付き肉が現れたが、ガチデビルが掴み取る寸前に高速機動をし続けるメルクリウスが奪取した。
「手づかみはお行儀悪いがワ・ル・い・ぞ☆」
流石に疲労の色が見え始めたカシムに変わりメルクリウスそのモノが補助的に制動してみせ、盗賊が奪う得物として狙い澄まされていたできたてほやほやの巨大肉が木端微塵にとバラバラ刻まれていく。ついでとばかり、盾オーラを放出された5thKINGの宝珠を2ndKINGの宝珠にぶつけ合わせることで、盗賊と機神のコンビはこちらも奪い取って見せる。
だが、ここに来てガチでビルは3rdKING『堕天使エンケロニエル』の力を顕現させた。今まで彼が使ってこなかったからには、それほど追い詰められていてのことだろう。
「さて、些か面倒になる前に一気呵成に蹴りをつけよう」
奇怪な魔界植物が生い茂りつつある中、不動なる者が再び黒曜山を両手で掲げる形に構えた。6thKING『ビームスプリッター』の宝珠の加護を受け、漆黒の刀身に熱が籠もり、眩い光を発し始める。それが最大限に達したのを見計らって大きく振り抜けば、舞い起こる剣圧とともに刀身からビームが迸る。剣から撃たれた呪詛を纏ったビームがねずみ算式に増殖しようとした植物怪獣軍団を消し去り、発した怨嗟の言葉とともに魔王ガチデビルをも呑み込んでみせたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
榊・ポポ
うわぁ今の勤め先より好待遇じゃーん
って悪魔契約書だこれー?!
さつりくメガホンの☆リミッター解除大音量サイレンを耳元で鳴らしてくれなかったらサインしてたわ!
って誰この子!メガホン返しなちゃい!返せYO!
今日は自習だ、自習!はい!自由時間!
勇者りりりり宝珠相手にガキ大将の吉田が先導してデュクシしてる!
釣られて他の生徒もデュクシしてる!
しつこいくらいのデュクシ!
その内心折れてりりりり宝珠が裏切ってくれたら、吉田の相方の松本が宝珠手にして張り切ってバーリアー!きかないもーん!って煽ってくれるっしょ
はーいポポちゃんせんせーも悪戯に参加しまーす!
デキるロボ子の☆バーサーク・デュクシで打つべし!打つべし!
『おのれ!!』
ビームの斬撃波を直撃した魔王ガチデビルだったが、今なおも健在であった。
2ndKING『魔王ビストログルメ』の宝珠による回復が間に合わないのか、純白の外骨格には無惨にも無数の亀裂が走っている。それでもなお、戦いの優劣はまだ決していないとばかりに吠えると、手にした悪魔契約書のページが次々と宙を舞った。一片ごとに妖しく光りを放つと、数任せとばかりに契約の魔術鎖が猟兵たちへと襲いかかってくる。
「無駄な抵抗はやめろー!」
さつりくメガホンを手にしながら、榊・ポポ(デキる事務員(鳥)・f29942)は交渉人(ネゴシエーター)さながらにガチデビルに対して精神的な揺さぶりをかけていた。だがしかし、純悪たるガチデビルに対しては『田舎のおふくろさんが泣いている』なり『田舎のおふくろさんが来てるぞ』なりの悪魔に友好な泣き落としは通用していない。いや、それが難なく通用する悪魔も、そういうところだぞ。
ガチデビルがまず狙いを定めたのは、そんな鬱陶しいトンチキカカポであった。雉も鳴かずば撃たれまいとばかりに、禍々しいオーラを漂わせる魔術鎖がポポを絡め取ると契約の書類が彼女の目の前に浮かび上がる。
「うわぁ。今の勤め先より好待遇じゃーん」
そこに書かれているのは、各種契約内容である。
曰く、三食昼寝付き。
曰く、充実した研修体制。
時給も福利厚生も今ポポちゃんが働いている榊不動産よりも圧倒的な好待遇。もうこうなりゃ乗るしかねぇぜ、このビッグウェーブに!
契約のサインを書くため、UCによる効力とは言え欲に目がくらんだポポちゃんが羽ペンを掴もうとした矢先、さつりくメガホンが耳元で爆音を奏でた。
「って、悪魔契約書だこれー?!」
危うくも契約を交わす一歩直前でポポちゃんは正気に戻る。よく目を凝らしてみると、極小の小文字で契約事項に対する注釈、重要な事柄が書かているではないか。それらを照らし合わせてみると、今ポポちゃんが働いている榊不動産よりも圧倒的な不待遇。
流石は悪魔を絶滅一歩手前まで追いやったガチデビルだけある。並の悪魔であれば、ホイホイと契約書にサインしているであろう。かくして、ポポちゃんが一瞬だけ夢見た優雅な事務員ライフは、ここに儚くも潰えたのであった。
「って誰この子! メガホン返しなちゃい! 返せYO!」
そしてだが、魔術鎖に絡め取られていたポポちゃんはさつりくメガホンを掴んでいた手を封じられていた。そうなれば、誰がこのさつりくメガホンをポポちゃんの耳元に近づけたのとなるのだが、この正体は無意識な自衛行動で放ったUCによるものである。
\ 三年P組! ポポちゃんせんせ~!! /
さぁ始まりました、榊不動産単独スポンサーによるトンチキカカポ劇場のゴールデン・アワー連続ドラマ。デキる事務員からデキる女教師となったポポちゃんであるが、赴任した先は身体は中学三年生、頭脳は小学校二年生男子メンタルと学級崩壊した史上最悪のクラスであった。
先程さつりくメガホンを奪ったのはヒャッハーみ溢れる生徒のものであり、サルのような奇声を発しながら男子女子と関係なくノイズ音を撒き散らしていた。
時折今の放送コードでは抵触してしまうために入るピー音の嵐は、まさにカオス極まりない昭和的バイオレンス。この崩壊したクラスを、果たしてデキる女教師のポポちゃんはどのようにして場を収めるのか。
「今日は自習だ、自習! はい! 自由時間!」
伝家の宝刀、自習時間である。鎖に絡められてたらチョークも持てないからね?
それにウキウキと沸き立つ中学三年のチンパンジーたち。「ウェーイ!!」「田中ー、野球しようぜー!」「ちょっと男子ィ!!」、などと、ポポちゃん先生に協力的なメガネ&三つ編みな委員長の言葉虚しく青空教室は混迷を極めていく。
「おぉい! みんな、アレ見ろよ!!」
ガキ大将の吉田が指さしたのは、どこか他人のふりをしているようにも見える5thKING『勇者リリリリ』の宝珠である。正直見ているだけならともかく、教育委員会や教師陣からもさじを投げられたクラスと関わりたいとは誰も思わないからね。
吉田が近寄ると宝珠は隔壁を展開したが、おもしれーとばかりにデュクシ!
子分や取り巻きも面白がってデュクシ!
更には目をつけられるのが嫌だからと、クラスカーストが低い陰キャ勢も混じって、しつこいくらいのデュクシの嵐!
『つまらぬ戯劇を!』
何が始まったのか理解できなかった魔王ガチデビルだったが、護りの要である5thKINGの宝珠がワルガキに虐められるカメのようにフルボッコされていれば黙っていない。塵芥に帰するビームで一掃してくれようと放ったが、既の所で何かトラウマを呼び起こされたか勇者リリリリの魂が折れて三年P組側へと付いた。
「バーリアー! きかないもーん!」
「ゲロビームじゃん、えんがちょー!」
吉田の相方の松本も加わってksgkらの煽りを受け、流石のガチデビルも怒り心頭となったか。苛烈な攻撃を三年P組 with 勇者リリリリの宝珠に浴びせかけるが、その混乱の最中にポポちゃんが契約の魔術鎖から脱すると、ポテポテと生徒の元へと駆け寄る。
「はーい、ポポちゃんせんせーも悪戯に参加しまーす!」
「あ、ポポちゃん先生だ!」
「遅ぇよ、ポポちゃん!」
何だかんだワルガキたちから慕われている、デキる女教師ポポちゃん。何処か懐かしいメロディが何処からか流れているが、「みんな一緒だ、とことんやろう。みんな一緒にデカいことをしよう」とのポポちゃんが常々生徒たちに語る言葉を合言葉に、グレート・ティーチャー・ポポちゃんが先頭に立って生徒たちを導く。
デキるロボ子の扇動を受けて、生徒たちもすっかりバーサークモードへと変わって、ガチデビルをデュクシ!
デュクシで打つべし! デュクシで打つべし!
小学校二年生男子メンタルとなったポポちゃんの手加減無用の悪戯心、悪戯盛りのやたら強いクソガキ共らを前として、ガチデビルは徐々に追い詰められていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
サハリエ・ステーロ
フーハッハッハッ、さすがオプション・フォーミュラとその配下達!
対格上・多数のヒット&ラン戦法は慣れているから余裕かな〜とか思っていたが普通に大変だ!
あっ、おい!余った奴ら勝手に城塞を築くな!
ふふ〜ん、僕の配下達の方がもっと凄い城塞を創れるもん!
UC【兎の魔王軍】使用
町の【建築】は全て彼の作品『ダイク・イッカク』!
要塞までも【運搬】できるイカした巨漢『マシンタートル』!二人とも僕が戦ってる間によく機動要塞を建築してくれた。それでは僕の優秀な配下達、これからこの要塞を中心に敵軍団の殲滅に入る!
まずは「植物怪獣軍団」からだ、ヴァ……【黒炎】使いの『ダークファイア』君、君が主導で宝珠までの道を開いてくれ、もちろん僕も【全力魔法】で支援しよう!
※アドリブ・連携歓迎
ワルルーナ・ティアーメル
貴様を野放しにしておくと我が野望の邪魔になるのでな!
ここで散ってもらうぞ1stデビルKING!
先制攻撃にはこう、魔王っぽいオーラを張って守りを固め、当たっても我慢し、炎や軍団ごと思いっきりのドラゴンブレスを吹き付けて対抗するぞ!まあ全部消せるとは思わんけど、時間を稼げればそれでよい!
そうしたらUC!我が配下の魔将の1人、三つ首の人狼ワルべロスの首を生やして反撃開始だ!
ビーム、魔力の炎、オーラ、なんだろうがこの首に喰えないものはない!
2の食事も6のビームも奴の炎も食いちぎり進み、まずは5、次に4と宝珠にブレスの集中攻撃を浴びせ奴の守りを奪い、本体にがぶーっと噛み付いてやるぞ!
※アドリブ連携等歓迎
『ぐうう……おのれ、おのれ!!』
理不尽極まりないデュクシの嵐は去った。トンチキカカポを胴上げした学生らが去った跡に残ったのは、所々に上履きの蹴り痕やしょうもない落書きが書かれたガチデビルであった。
「フーハッハッハッ、伝説で語られし1stKINGとあろうモノが無様にも程があるな!」
「くくく、麒麟も老いれば駄馬にも劣るか。やはり、我らニュージェネレーション世代魔王が新しい風を舞起こさねばな!」
古い権威は所詮古きモノと言わんばかりに、麗しき男装の兎魔王ことサハリエ・ステーロ(時計ウサギの魔王・f37256)と七つものの軍勢をその身に宿す百胎堕天竜魔王ことワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)の新世代魔王らがガチデビルを、如何にも悪ぶった感溢れる前置きの笑いとともに嘲る。
「貴様を野放しにしておくと我が野望の邪魔になるのでな! ここで散ってもらうぞ1stデビルKING!」
「それは私とて同じこと。故に普段であれば互いに7thKINGの座を狙って足を引っ張り合うところであるが、ここは呉越同舟とすることで百胎堕天竜魔王のわるるんと共同戦線を張らせてもらうぞ!」
「わ、わるるんと呼ぶなぁ!!」
先程まで漂わせた魔王然な悪のオーラは、本人が気にしている呼び名を言われたことで思わず地が出てしまったワルルーナの抗議の声とともに消えていく。だってその方が呼びやすいし可愛いではないか、とサハリエはしたり顔で笑いを堪えながらも、身体から生えているいくつもの赤竜の頭でぽかぽかと叩いてくるワルルーナに甘んじる。実のところ悪魔ではなく時計ウサギである彼女であれば悪魔とのじゃれ合いだけでも骨折を免れないところであるが、猟兵に覚醒したことでそれに耐えうる体となったからにはご満悦なところとである。
『貴様らのような甘ちゃん魔王が私に勝つだと? 笑止千万!』
ふざけた空気に流されると先程のように調子が狂うとばかりに、ガチデビルの胸元の大口が大きく裂けて耳を聾する咆哮を上げた。大気を伝わり大地をも激震させる感情の昂りがガチデビルの闘争心を再び燃え上がらせ、彼を中心として高濃度の魔力が周囲に漂い始めてくる。邪悪の化身たる1stKINGの気迫と眼力に思わず気圧されてしまうところであるが、「バカ」「アホ」「マヌケ」などなどの落書きは残されたままであるから威厳の欠片もないといったのが実情か。
だが、見てくれはともかく実力では新世代魔王のふたりよりも彼の方が遥かに上であるには変わりない。ビリビリと伝わり来るガチデビルを純悪と至らしめる迫力を前に、ウサギ魔王サハリエにわるるん呼ばわりされた魔王ワルルーナが百胎堕天竜魔王として振る舞い直すことで改めて対峙し直すも、ガチデビルが召喚した憤怒獣が迸らせる黒炎がふたりを容赦なく呑み込んだ。
「くくく、どうしたどうした? 伝説の1stKINGであろうガチデビルが召喚せし地獄の獄炎とは、このような生ぬるいものか?」
魔王的な悪しきオーラを漂わせ、多頭多翼の竜の体躯を丸めて防御の態勢を取らずにワルルーナが仁王立ちする。如何にも涼し気な顔であるが、実のところはオーラ越しに伝わる黒炎がものすっごく熱い。とは言え、ここで弱音を吐けば百胎堕天竜魔王の威信に関わるため、堕天使少女の額から脂汗を滲ませながら強がって見せる。
そして、彼女からポカポカ叩かれていたお陰で運良く憤怒獣の業火を免れたサハリエだったが、このまま居続ければ拾い子である自分を我が子同然に愛してやまない両親から贈られた兎魔王の衣装が焦げ付いてしまう。今は猟兵として出奔しているが、週イチに欠かさず帰省しては盛大に甘えている。そんな愛する家族を悲しませるようなことはさせまいと、浴びせかけられる黒炎の勢いが弱まったところで時計ウサギならではのジャンプ力にて脱出を図った。
『莫迦め。むざむざと狩られに来たか』
ガチデビルは二重の手を敷いていた。ひとつは召喚した憤怒獣による火計と、それから逃れようと逃げ果せようとしても同時召喚した邪悪なる古代悪魔の軍勢による包囲網である。既に簡素ながらも陣地が築かれており、禍々しい鎧を纏った弓兵が獲物が燻り出される瞬間を弓を張り詰めながら待ち構えていたのだ。
「フーハッハッハッ、さすがオプション・フォーミュラとその配下達! だが、兎魔王たる僕の俊敏さに付いてこられるかな?」
放たれた矢を既の所で身を翻して躱しながら、兎の魔王笏を振り上げつち疾風の如く跳び回った。一見すると余裕たっぷりなようであるが、あまりの熱さにやせ我慢しているワルルーナ同様、あまりの手勢の多さに内心肝を冷やしている。頑丈な悪魔でない故に、猟兵となる以前から多人数相手のヒット&ラン戦法を得意としていたものの、多勢に無勢とはまさにこのことだ。
そしてだが、ガチデビルが召喚した古代悪魔軍はビストログルメの宝珠の加護を受けてかやけに動きが良く、余った人員で城塞を築こうとしている始末だ。このまま長期戦となってしまえばこちらが不利になるのは必定。エレガントに、スタイリッシュに矢群を踊り躱すサハリエが、それならば目には目、歯には歯、軍勢には軍勢と魔王笏を振るって自らのUCを発現させた。
「ふふ〜ん、僕の配下達の方がもっと凄い城塞を創れるもん! 一人一人が信頼出来る自慢の配下達よ、この兎魔王サハリエ様に続け!」
出奔した時は10人程度であった軍勢であるが、この7thKING WARにて現地採用をして膨らみ続けた結果大軍勢となった『兎の魔王軍(ウサギマオウノハイカタチ)』。白兵戦に優れた手勢が古代悪魔軍の弓兵の元へと雪崩込み、一気に制圧を掛けていく。その様子を共同戦線を張っている憤怒獣が小賢しいとばかりに黒炎を浴びせかけようとするが、そうはさせまいとワルルーナの体躯より生えた多頭竜の首らがドラゴンブレスを吹き付けて阻止をする。
「やるのぅ、兎魔王よ。だが、我が配下も負けてはおらぬ。この鬱陶しい1stKINGの手勢をどうにかできればご覧にいれようぞ!」
「百胎堕天竜魔王わるるんから直々に申し出られれば、断る理由なんてないさ。僕自慢の配下の働き、とくと刮目するがいい!」
「だーかーら、我をわるるんと呼ぶでなーい!!」
再びわるるん呼ばりされれば、抗議の声を荒らげる魔王ワルルーナ。だが、その怒りからか吐き出されるブレスの勢いはより増していく。またもしたり顔となったサハリエが兎の魔王笏を振るい、配下たちに采配を下していく。
「町の建築は全て彼の作品『ダイク・イッカク』! 要塞までも運搬できるイカした巨漢『マシンタートル』! 増援として迫りつつある植物怪獣軍団は僕たちが引き受けた。君たちは城塞の建設に集中し給え」
サハリエがふたりの配下へそのように叱咤激励をすると、怪しげな蔦や蔓をしならせながら牙を向かせて迫る植物怪獣へと兎の魔王笏を向けて爆裂魔法を解き放つ。閃光とともに爆轟が起こり、植物怪獣軍団を一気に吹き飛ばしてみせるが宝珠の加護を受けているからか繁殖力はこちらが上である。だが、古代悪魔軍をも巻き添えにしたことから結果的にガチデビル側の戦力を大きく減らしたことには変わりなく、それを機と見てワルルーナが自らのUCを発現せしめたのだった。
「くくく、我が魔将達は我が分身も同じ。その業を……本体にして魔王たる我が、使えぬと思ったか!」
「へぇ、あれが噂の百胎堕天竜魔王がその身に宿している魔将、『暴食の顎』なのかい」
『魔将顕現:暴食の顎(ワルベロスファング)』。下半身である竜の躰より生えし剛翼を羽ばたかせながら、ワルルーナは三つ首の人狼ワルべロスの首を生やして反撃に打って出る。非物質やエネルギーも食べる人狼の首がガチデビルの心を現しているかのような憤怒の黒炎で燃え盛る躰を貪り喰らうさまを、感心したようにサハリエは見やった。
『たいした悪食だ。だが、これは喰らえまい!』
ガチデビルの胸の大口が開き、ビームスプリッターの宝珠から与えられるビームが発される。だがしかし、まだ食い足りないとばかりに物欲しげな暴食の顎が、虚空を斬り裂き全てを無に喫する熱線をも喰らったのだった。
「残念であったな、1stデビルKINGよ。ビーム、魔力の炎、オーラ、なんだろうが、この我が魔将ワルべロスの首に喰えないものはない! それは貴様が創り出したKING宝珠も同じことよ!!」
牙を唸らせ、ワルルーナの躰より生えしワルベロスの三つ首が新たな獲物である2ndKING『魔王ビストログルメ』の宝珠、5thKING『勇者リリリリ』の宝珠、4thKING『キング・ブレイン』の宝珠へと喰らいついた。当然ながら勇者リリリリの宝珠が盾のオーラを展開していたが、エネルギーのも喰らうワルベロスにとって飴細工にも等しいものである。仲間の猟兵による苛烈な攻撃にも耐えたKING宝珠も、ばくりと平らげらればワルルーナの血肉へと帰するのみ。
ガチデビルがワルルーナの特異性にようやく気づいたが、時は既に遅し。護りの要である三つのKING宝珠を喪失したのだ。
『まだ堕天使エンケロニエルが残っていることを忘れたか!』
ワルルーナがKING宝珠を喰らったことで権能が猟兵側に移り、魔王ビストログルメによるドーピング効果で城塞の建造スピードが加速していくのに不利と判断したか。ガチデビルが兎魔王軍に差し向けていた植物怪獣軍団を引かせると、それらが天にまで伸びようとする生け垣となって防壁を築き上げていく。
如何にワルルーナが喰らおうとしても、この再生能力には追いつけまい。それで時間稼ぎをして新たなKING宝珠を創り直そうとする魂胆だろう。
「ダイ・イッカク! マシンタートル! ふたりとも僕が戦ってる間によく機動要塞を建築してくれた。褒美に、かつての2ndKINGであった魔王ビストログルメ秘蔵の美酒を授けよう。あとは僕たちに任せ給え。ヴァ……、いや黒炎使いの『ダークファイア』君。君が主導で残る宝珠までの道を開いてくれ、もちろんビストログルメの加護で魔力がブーストされた僕も全力魔法で支援しようとも!」
植物怪獣軍団の侵食にみごと耐えきってみせた機動要塞の建造を成し遂げた配下の労をねぎらい、サハリエはいつの間にか背後に控えた新参の配下に声を向ける。主である兎魔王が一瞬何かを言いかけたものの、何食わぬ顔で取り繕うと彼に堕天使エンケロニエルの宝珠が張り巡らせる生きた防壁の攻略を命じる。
如何に再生能力が優れてねずみ算式に増殖する植物怪獣とは言え、所詮は植物である。それらを上回る速度で燃やせば造作もない事で、それが可能な配下はこの黒炎使いである謎めいたダークファイアにおいて他ならないのだ。とは言え、それでも不安材料は尽きない。何せ、3rdKING『堕天使エンケロニエル』の力を宿している宝珠だ。予想を超える再生能力に備えて、配下へ采配を振るう自らも力添えするのが筋だろう。
「さあ、ダークファイア君。ともに活路を開こう。君と僕の力を合わせれば、向かうろころ敵なしさ」
主従の関係であるふたりが互いに並び合うと、ガチデビルを囲む植物怪獣軍団の塊が黒炎と閃光に包まれる。黒い炎の劫火が焼き去り、眩い光を伴う爆発がそれらを纏めて吹き飛ばす。かくしてガチデビルの姿は露呈され、待っていたとばかりにワルルーナが残った宝珠にワルベロスの牙を立てさせた。
「ようやった、兎魔王! あとは我に任せるが良い!」
そうはさせまいと驚異的な速度で再生していく植物怪獣軍団が蔓をしならせてワルルーナの躰を巻き締め殺そうとするも、多頭の竜首から吐かれる炎を浴びせられる。あともう一歩というところで巻き付くところであったが、ワルベロスが天使エンケロニエルの宝珠を喰らうと複雑に絡み合っていた植物怪獣軍団の拘束が解けていった。
『くっ、つくづく悪運の強い奴め!』
ガチデビルがチャージし終えていた最大出力のビームを放つも、ワルルーナが取り込んだ勇者リリリリの宝珠が盾のオーラを形成させて拡散させれてしまう。そしてついに、ワルルーナはガチデビルの喉元へとワルベロスの牙を突き立てさせたのだった。
「チェックメイトじゃ、1stデビルKINGよ。安心せい、骸の海に還す間もなく我が悪魔輸出計画ともども喰らい尽くしてくれようぞ!」
三つ首の人狼ワルべロスの首らが次々とガチデビルの躰を貪り始める。彼らが屠るのはガチデビルとその手中に収められし悪魔契約書である。だが、それを嘲るようにガチデビルが嘲笑ってみせたのだった。
『く、クハ……クハハハハハハッ!!』
「何が可笑しいか!」
『確かに私は貴様に喰らい尽くされる運命だろう。だが、この私ガチデビルを侮るな。……こうすれば良いだけだ』
頭をガチデビルの返り血で濡らすワルベロスの首が悪魔契約書を携える腕へと迫る中、彼はそれを高らかに掲げさせた。そして、風もなくページが捲れ……邪悪なる意思を宿したそれぞれの頁が舞い上がっていったのだ。
「……なるほど。僕たちは君を滅した。だが、君はそれに抗って不完全ながらも、君が計画した悪魔輸出計画を発動させた訳か」
『その通り! こうなった以上、私は貴様らの働きが無駄であったことをここに嗤おう。嘲笑しよう。その悔しさを滲ませる顔を最後に去るのも一興というものだ、クハハハハハ!』
『この……救いがたき外道めが!!』
壊れたように嘲笑うガチデビルの頭を、怒りを露わにしたワルルーナがワルベロスに噛み砕くだかせると、ガチデビルであったものは徐々に塵と化していく。それに合わせて悪魔契約書も崩れ去っていくが、既に転移を終えて消え去った断片はどうなったか。
ため息交じりにしてやられたと肩をすくめるサハリエとその配下たちであったが、確かなのは異例づくしの7thKING WARは、ここに終結を迎えたことである。
果たしてオブリビオン・フォーミュラとして復活を遂げたガチデビルが去り際に撒いた種は、各世界にどのような新たな戦乱の火種となるのか。
それはまさしく、神のみぞ知ることである。
大成功
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