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7thKING WAR㉓〜Deadend:future

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『パラダルク』

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#召喚魔王『パラダルク』


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 艶やかに肢体が舞う。世界を泳ぐように。
 細い指が空に花開く。僅かに残った縁を辿るように。
 体が地に伏す。痕跡を見逃すことが無いように。

 この舞が行われているのは酒場でも興業場でもない。
 『実験戦艦ガルベリオン』。かつて別世界で活動していた物と同個体と思われる誇り高き戦艦はいまや数多の少女たちの艶やかな踊りを行う色里へと成り果ててしまった。
「パラダルクちゃん、儀式は順調だよぉ💗」
「うんうん、そいつは重畳。ありがとうね。でも疲れてないかい? 無理をしてはいけないよ」
 報告を受けたパラダルクと呼ばれた男は柔らかな笑みを浮かべ、少女を労う。
 男の顔には年を重ねた線が見えるもその顔の端正さは失われず――むしろその重ねた年の証が彼の美しさと艶やかさを彩っているかのようで。
「えへへ、パラダルクちゃんのためならあたし達はどこまでも頑張っちゃうよぉ~。
 ……でもたまには頑張ってるご褒美、欲しいなぁ」
 男の表情に心が浮き立った少女は男の腕に豊満な胸を当てる様に体を絡め、熱を持った目で彼を見やる。
「う~ん、そうだねぇ……もう少し待ってくれるかい?」
「え~またそれぇ? つまんなぁい」
 やんわりとした男の断りに少女は頬を可愛らしく膨らませ不満を露わにした。
 そんな彼女の様子を見た男は苦笑すると少女の滑らかな体の曲線を愛で、耳元で愛の言葉を囁いた。
「もう少し。そう、少しの我慢が僕らを今まで感じたことが無い極楽浄土へ導くのさ。だから、この儀式が終わった時『あれ』と一緒に楽しもう」
 ――仇敵である青年を見つけ出し屈服させ、我が享楽の宴へと誘うその時を。
 その一言を紡いだ時、今までどこか空虚だった男の瞳に熱が宿り、口角が上がっていたのを男本人、知ることは終ぞ無かった。


「厄介な男もいたものね」
 ウサギ耳を忙しなく動かしながら腕を組んでいたマリアベラ・ロゼグイーダ(薔薇兎・f19500)は猟兵達の姿を認めると、組んでいた腕をほどき真っ直ぐに彼らを見やる。
「魔王パラダルクはご存じかしら。ガチデビルが召喚した異世界の魔王よ。万物を美少女(ドラグナーガール)化して従える能力を持つ物凄くめんどくさい敵ね」
 パラダルク。過去と未来の姿が揺らぐ魔王の名前である。此度は未来の姿、初老の魔王と戦うことになる。
 そしてなぜ万物を美少女化してしまうのか。昨今の流行を踏襲しているのか、はたまた純粋に彼の趣味か……。
 その理由は定かではないが何はともあれ、万物――つまり火、水、風、光、闇、空気……果ては猟兵達の武器やユーベルコードですら彼の愛玩物となってしまうのだ。
「そして彼自身の力も超強敵で今の私たちでも倒せるか分からないわ。腹立つわね」
 そんな彼をどうすればいいんだと問われたウサギ耳の彼女は人差し指を立てる。
「一つは彼を倒す。さっきも言ったけどこっちの武器もユーベルコードも寝返らせる奴よ。倒すのはすっごく難しいし失敗する確率は高いでしょうね。あと仮に彼を倒せても骸の海へ送り返すことはできないわ」
 そしてふたつめ、と指の数を一本増やす。
「もう一つの手はこの戦艦内で行われている「儀式」を妨害する事よ。
 パラダルクはこの戦艦内でドラグナーガールズたちに何らかの「儀式」をさせているみたいなの。
 どんな儀式かは分からないけど、戦争中に戦艦内で行う程のだから重要な物だとおもうわ。だから、ドラグナーガールズたちの動きを妨害して「儀式」を滅茶苦茶にしてやればパラダルクは諦めて撤退するはずよ。
 ああ、でもどちらの方法でもパラダルクは猟兵達に先制攻撃を仕掛けてくるわ。対処しないと勝機はほぼ潰えるといっても過言ではないから気を付けてね」
 正々堂々と戦うか、儀式を妨害するか。どちらの作戦を取るかは猟兵達の判断に委ねられる。
「難しい戦いだとは思うわ。でも数多の戦場を駆け抜けてここまで来た皆なら彼を儀式を阻止する方法を見出せるはずよ」
 貴方に勝利を。
 その言葉と共にマリアベラは傘の石突で床を鳴らすのだった。


遭去

 遭去です。パラダルク戦第2弾です。

●パラダルク
 万物を美少女化して使役するというチートなユーベルコードを有してます。
 今回の戦いではドラグナーガールを使役して彼自身は直接攻撃をあまりしてこないようです。
 また、彼は必ず先制攻撃を仕掛けてきます。この先制攻撃に対処しなければ必ず苦戦か失敗判定となりますのでご注意ください。

●儀式の妨害
 パラダルクを倒さなくても彼の背後で行われている儀式を阻止(妨害)できた場合も依頼は成功となります。妨害方法はドラグナーガールズを倒すのはもちろん、儀式をさせないように彼女たちの注意を引き付けるといった事も妨害になるでしょう。
 妨害をメインとする場合もパラダルクは先制攻撃を仕掛けてきますので、必ず技への対処が必要です。

●プレイングボーナス
 敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す。

●シナリオ運営
 ゆっくり目に書いていく予定です。
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第1章 ボス戦 『召喚魔王『パラダルク』ディアブロホワイト』

POW   :    ガールズ・ポシビリティ
自身の【下僕であるドラグナーガール】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[下僕であるドラグナーガール]は【可能性を使い果たしたこと】により破壊される。
SPD   :    フューチャー・ルーラー
【ドラグナーガール達と連携し、精神支配魔術】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【以降の動き方や使用ユーベルコード】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    パラダルク・フューチャー
召喚したレベル×1体の【ドラグナーガール】に【ガルベリオン鋼の機械兵器とダンス技術】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

イラスト:モツ煮缶

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「いやあ、参ったなあ……どうしても、僕を見逃してもらう訳にはいかないのかい?」
「実験戦艦ガルベリオン」へと転送された猟兵達を出迎えたのは白い踊り子の少女を侍らせた初老の男だった。
「まぁだからこうして来てるんだろうけどさ……仕方ない、一緒に遊ぼうか。僕のドラグナーガール」
 男が呼びかけた途端、ここにはいないのに数多の視線が猟兵達に突き刺さり、笑い声が戦艦内を反響する。
「いくよ、六番目の猟兵達。碎輝と遊ぶ前座、楽しませてもらうよ」
 初老の男――召喚魔王『パラダルク』は穏やかに、しかして老獪さを隠さない笑みを猟兵達へ向けたのだった。
ルルチェリア・グレイブキーパー
ドラグナーガールの注意を引きつけて儀式を妨害するのよ!

魔王が先制で放って来たドラグナーガール達の攻撃を
私は華麗に……逃げる
【第六感・野生の勘】で躱す
【憑装盾】による【盾受け】で受け流す
【目立たない】様に戦艦内に隠れる
私一人で勝てる訳ないでしょー!

さあ反撃よ!ドラグナーガールにはドラグナーガールをぶつけるのよ!

UC【符術"霊竜降臨呪"】で上級竜族の少女(の霊)
を呼ぶのよ!
最強の上級竜族の少女が出るまでひたすら召喚よ
出るまで回せば実質タダなのよ!(迷言)

最強の上級竜族の少女が出たら
ドラグナーガールなんかまとめてやっつけちゃうのよ!
出なかったら……大・爆・死
か、数の暴力でなんとかするのよー!ギャー!




『さぁ行っておいで』
『はぁい、がんばってくるね♡パーちゃん♡』
 パラダルクがドラグナーガールの体を横抱きした途端、少女の体をガルベリオン鋼で作られた鎧を纏い、同素材でできた武器が握られる。
 その様を見てルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)は不敵な笑みを向けると……
「にょわー!!」
 ダッシュで逃げ出した。
『えー逃げちゃうの?』『かわいー』
 キャッキャと楽し気な声を上げながらドラグナーガール達が己が距離を測りながら自身の得物を振るっていく。
 ルルチェリアは寸でのところで身を捻って自身を両断すべく振るわれた剣を目の前で見送り、蜂の巣にすべく撃たれたマシンガンの弾は風船のような盾に受け止めさせる。
 その他の攻撃も野生の感や第六感をフルに使い回避、回避、回避!
「私一人で勝てる訳ないでしょー!」
『いやー見事な回避だねぇ。一種の舞踊かと思っちゃうぐらいだよ』
 半分キレながらも攻撃を見事に回避していくルルチェリアに、パラダルクは称賛の声をかける。
『でもその回避もいつまでも続かないだろう? 怪我する前におうちにお帰り』
「子ども扱いしないでよね! ここからよ!」
 ルルチェリアは複雑な文様が描かれた呪符を取り出すと何事か呟いた途端、彼女の足元に魔法陣が展開される。
「どかーんと出てきて、どかーんとやっちゃうのよ!」
 眩い光が走り、そして一か所に収束する。そこにいたのは竜の角を付けた茶色の髪の上級竜族の少女の霊だ。
『へぇ君とは趣味が合いそうだねぇ』
「違うの、これは、友人の趣味で、私のじゃ……とにかく、どかーんとおねがいするの!」
 掛け声と共に上級竜族が剣を構えドラグナーガールへと斬りかかる……が、ドラグナーガールを倒すには至らず姿が消えていく。 
「っ……まだまだなの!」
 消えゆく少女の姿を見送りルルチェリアはまた別の上級竜族の霊たちを召喚していった。

『大丈夫かい? その召喚するのに多大な代償を払わなきゃみたいだけどさ』
 ドラグナーガールと上級竜族の霊たち戦いが繰り広げられる中、パラダルクが唐突に声をかけてきた。
「な、なんでそれを……」
『いや、召喚するたびに顔色が悪くなってるから』
 この召喚に使っている呪符だが、実は200G(200万円)相当の希少な素材を使っている。そんなのを立て続けに回せば……まぁ普通は顔色悪くなっちゃうよね!
「だ、大丈夫よ! 出るまで回せば実質タダなのよ!」
『確率によるけど天井無いと地獄を見るからその考えはやめた方が良いよ』
 ありがたいけど有り難くないパラダルクの言葉を聞かないフリしながらルルチェリアは1枚の呪符を地面に叩きつける。
 するとどうだろう、今までより強烈な光が戦艦内を包み込む!
「キター! 最強の上級竜族!」
 光が収束してた先には猛々し巨剣を携え赤い髪の毛を靡かせた一人の少女。
 その少女は襲い掛かるドラグナーガール達に向け巨剣を振るえばドラグナーガール達は吹っ飛んでいき反対側の壁へと叩きつけられる!
「どうよ、これが実質タダの力なのよ!」
『えーと、いーちーさん……』
 倒されたドラグナーガールの事は意に返さず、パラダルクは戦場をあちこちを指さしながら何かを数えている。
「……何を数えてるの?」
『ん? 僕のドラグナーガールを倒すのにかかった君の費用を』
「数えんな!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
いきなりご挨拶ね
けれど電脳魔術士にとっては好都合
機械鎧をハッキングして身動きを取れなくしちゃいましょう

ちょっと待った
あなた碎輝を探してるのよね?
なら取引しない?
居場所を教えてあげるからこの戦艦を私にちょうだい
理由?この戦艦に興味があるのよ
動機は単純な知的好奇心…貴方が美少女とイチャコラしたい理由とさして変わりないわ
一方で貴方と戦う事で得られる利益は無いわね

私の情報に確証が無い?
信じる信じないは貴方次第よ
別にいいのよ?
絶対欲しい訳じゃ無いし
どちらに転んでも貴方が貴重なチャンスを失うだけで私にはさして損は無いもの

儀式が完遂されれば私との取引なんて要らない?
まあ、そうよね
完遂できればね
貴方は未来が見えるのよね?
ならもう知ってるんじゃない?
数多の猟兵に押し掛けられて儀式が失敗に終わるって

とまあこんな具合に交渉を進めるわ
パラダルクが取引に応じれば儀式会場の戦艦を奪って儀式阻止成功
応じなければ機巧感染でガルベリオンの管制を滅茶苦茶にしてあげるわ
戦いとは攻撃のみにあらず…口撃だって立派な戦術よね?




 武装された少女の体に穴が空き、仰向けに倒れこむ前に空気に溶けていく。
「全く、いきなりご挨拶ね」
『酷いな、ちゃんと忠告したじゃないか。ここは行き止まりだって』
 行き止まりだからって攻撃していいとは誰が言ったか。心の中で悪態をつくと桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は頬を伝う汗を拭いながら目の前の男を睨みつける。
 大げさにため息をつく目の前の男こそ此度の戦場の主『パラダルク』だ。
 次なる少女を仕掛けようとするパラダルクの動きを制止させるように、水之江は自身の得物『エグザストロッド』の矛先を地面へと突き立てた。
「取引しましょう」
『取引の余地なんてどこにあるというのかな。お嬢さん』
「いいえ、あるわ。あなた碎輝を探してるのよね? 私は彼の居場所を知っているわ」
『――へぇ?』
 パラダルクの周りの空気がぴりりと緊張が走り、水之江を試すようにじぃっと見やった。
(「まずは食いついたか」)
 内心食いつくか不安だったが、どうやらパラダルクの執心はなかなかの様だった。
「取引の内容は単純よ。碎輝の居場所を教えてあげるからこの戦艦を私にちょうだい」
『ガルベリオンが欲しいのかい? 理由を聞いても?』
「理由? そんなの単純、この戦艦に興味があるのよ」
 水之江はぐるりと周りを見渡した。
 実験戦艦ガルベリオン。実験とつくこの艦にはその名に相応しく様々なプロトシステムが備えられており、普通の戦艦には採用されて無い機能もごまんと設置されている。この戦艦を我が手にできたらいかに面白い事か!
「単純な知的好奇心…貴方が美少女とイチャコラしたい理由とさして変わりないわ」
 そんな水之江をパラダルクはじっと見ると口角を上げた。
「私の情報に確証が無い?」
『情報は信じるよ。アイツと仲のいい奴が正しい情報を売るのを持ちかけるわけもないしね』
「じゃあ」
『でも取引には応じられないかな』
 期待を丁寧にへし折ったパラダルクは穏やかな表情を変えずに言葉を続ける。
『この戦艦結構便利なんだよね。儀式を行うのにも、ドラグナーガールと遊ぶのにもさ。
 ドラグナーガール達と楽しむのにも、色々と場所変えて遊んであげないと満足してくれないからね』
「……この状況下で儀式を完遂させるつもりかしら? 貴方未来が見えるのでしょう?」
 水之江はわざとトゲを隠さずに問うた。
 未来の姿の魔王からすれば此度の戦いで儀式が完遂することは無いと分かっているだろうにと。
『そうだね。今回はこの儀式は成功しないのは分かる。それでも碎輝を見つけ出す未来は消えていない。
 そして……君の提案があっても無くても、彼と邂逅するのに差はほとんどないと見ている。
 だから、君の取引を受けるメリットがこっちには無いって事さ』
「……さいっしょから乗る気なかったって事じゃない。取引仕掛けて損だわ」
 水之江ははぁと大げさにため息をつく。
『まぁまぁ。僕には有意義な時間だったよ……ねぇ、そうだろう? ドラグナーガール?』
 水之江がふとあたりを見やればいつの間にか武装するドラグナーガール達が自身を包囲し、じりじりと距離を詰めていた。
 注がれる殺意を一身に受けながらも水之江は焦る事無く、むしろ意味ありげに笑み浮かべた。
 突如、艦内にけたたましい音が鳴り響いた。それと同時に至る所からスプリンクラーや防衛機能が滅茶苦茶に稼働を始めた。
 ――ユーベルコード『蝕む機巧感染』。プログラムを書き換えるナノマシンを付与する水之江の技だ。
 先の戦闘で内部浸透するナノマシンをコントロールパネルをはじめ艦内の至る場所へ付与。先の会話中にハッキングを行っていたのだ。
「あら? 私また何かやっちゃった?」
『……まさかこの短時間でやったのかい?3分も無かったと思うんだけど』
 おどける水之江に対し、パラダルクは驚きの表情を隠せない。
 油断は無かった。こういった技を使う猟兵はいるだろうとセキュリティはしっかりと構築していた。しかし、水之江の能力は魔王の推量を上回っていた。
 超絶究極天災科学者と称される彼女をもってしても短時間でガルベリオン全てを掌握することは不可能だったが、一部の掌握と情報奪取を持ってその才を証明したのだ。
「時間稼ぎになったのはこっちも同じ。おかげでいいデータが取れたわ……じゃあね、おじさま」
 水之江はその言葉と共にスプリンクラーの向こう側へと姿をくらました。
 ドラグナーガール達が慌てて暴走する機能を止めるべくあっちこっちに走り回る、阿鼻叫喚ともいえる場でパラダルクはどこか遠い目をして呟いた。
『はぁ……修理、大変だなぁ』

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
いっぱい集まってパーティ会場かな?

来て早々のこのげっっっそりとする感覚…【精神支配魔術】的な何かか!触れるな拙者の心に!自由にご返却でござる!だって男から束縛とか嫌いですし?
おや?ガールズ達の様子が…あれは反射の際に微妙に拙者の自由な心が混ざったようでござるな!自由に精神が支配されている!
つまり自由にハジケないと気が済まなくなってくるんでござる

儀式の踊りと見せかけてインド映画よ!あの動きはインド映画だわ!
かたや隣ではエレキギターかき鳴らしながらのヘドバン、これは…デスメタル!どっから取り出したんでござるかね?
おおっとエレキギターで隣のガールズバンドに殴り込みの乱痴気騒ぎ!ヒュー!ロックじゃん!




 先の猟兵の技の影響で水浸しになっている戦艦の中、男――エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は死んだ目をしていた。
 目の前には初老のおじさんを可愛い女の子が取り囲んできゃっきゃしている裏山けしからん状況。
『……ん、やぁ。次のお相手は君かい?』
「……シテ」
『えっ?』
「コロシテ……コロスケ」
 相対する前に既に虫の息。大丈夫か。
『まぁまぁ……折角だから歓迎するよ』
「いやっ! 触れるな拙者の心に! 自由にご返却でござる!」
 しかしそこは歴戦の戦士。咆哮と共にパラダルクとドラグナーガールの精神支配魔術をあっさりと跳ねのけた。つよい。
「どうせ洗脳して乱暴するつもりでしょう! 薄い本みたいに、薄い本みたいに!」
『しないよ』
 じとっとした目を向けるパラダルク。
 だが内心はテンションが独特なエドゥアルトの流れに警戒すると共に次の策をいかにするか思案していた。
 先の精神支配魔法でパラダルクには不完全ながらエドゥアルトの未来(行動)は見えている。何かに向かって咆哮するその様を。
 これは激戦になるな……と思いながら男は片腕を上げた。ドラグナーガール達に戦えと意味を込めて。
 それに従いドラグナーガール達が動き出す――。しかし、彼女たちはエドゥアルトを脇を通り過ぎどこかへ駆けていく!
(『洗脳……? いや、僕の力を超える物は感じられなかった……!』)
「ふっ、驚いてござるな、パラダルクの旦那。でもこれは洗脳とかそんなちゃちーもんじゃねぇ。これは……」
『これは……?』
 一瞬の間を置いて。エドゥアルトは口を開く。
「自由さ」
『自由』
 パラダルクの口からつい鸚鵡返しに言葉が出た。自由。
「ガール達の精神は侵されちまったのさ、自由っていう自由にさ……」
『そんなのアリかい?』
 ふっとかっこよく微笑むエドゥアルト。
 ――『我が心は自由にあらねばならぬ』。状態異常を受けると自由でありたい心によって技を反射されるユーベルコードだ。
 先のパラダルクたちの精神支配魔法を反射した時に自分の自由な心の部分が反映されてしまったのだろうと推測するもそれを止める事はしない。
 むしろ煽る。
「という事でガール達いくぞ!」
 エドゥアルトの掛け声に応えてか、ドラグナーガール達が各々好き勝手に動き始めた。
 戦場内に響く音楽は先ほどのガムランではなく、POPやロック要素が入り混じったテンポが速い曲が採用され、儀式の間では様々なはナンとカレーな踊りが展開された。が、それも長くは続かなかった。
「おおっ対バンだ、対バン!!」
 一角から現れたのは黒を基調とした服に身を包み、バリッバリな化粧を仕込んだ集団だ。
 チェレンプンからエレキギターみたいな音を鳴り響く。そして一人の少女から発せられた歌声は……地獄の底から這い出るようなデスボイス!場の空気を一気に支配してしまった。
 そんなデスメタル集団のリーター格に先の集団のリーダー格の少女が近づき、しばし睨み合いが続いたかと思いきや取っ組み合いをはじめる!彼女らに負けじと周りの少女達も大乱闘の大騒ぎ!
 そんな自由に侵された少女たちの行動により儀式は中断、阿鼻叫喚の大乱闘はしばらく続くのだった。

「ヒュー!ロックじゃん!」
『……やりすぎじゃない?』
「分かってないなぁパラダルクの旦那。この位じゃなきゃ自由じゃないんよ」
『それはそうだけどさー片付けする身にもなってよー』
 エドゥアルトは嬉々として、パラダルクはちょっと困惑しながらその惨状を眺めていた。
 まぁそんな戦場の様子を肴に二人で酒飲んでる時点で大概なんですけどね。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
あんなに女の子を侍らせて、何度見てもうらやま……いや、許しがたいわ!
ぶっ倒したいけど、儀式の妨害で我慢するしかないか。

先手は、女の子一人を強化すること。三分間耐えきればいいのよね。
「式神使い」で偶神兵装『鎧装豪腕』を顕現。強化された女の子を「怪力」で押さえ込んで自壊まで拘束させておくわ。

さて、反撃させてもらうわ。
「全力魔法」「範囲攻撃」衝撃の「属性攻撃」「地形の利用」「竜脈使い」「仙術」「道術」で地烈陣。
女の子たちを纏めて大地に叩き付けたり地割れに飲み込ませたりする。
地震が収まっても、到底踏破は難しい状態よ。

あたしは「地形耐性」と「地形の利用」で敵中を突破。
実験戦艦の儀式場で火界咒を解き放つ。




「あんなに女の子を侍らせて、何度見てもうらやま……いや、許しがたいわ!」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)が目の前の……先の猟兵の影響で統率が取れてない部分があるが、それでも少女達を侍らせるパラダルクの姿を見てつい呪符を握る手に力が入る。
「覚悟しなさい、パラダルク!」
 覚悟を込めて呪符を構えパラダルクへと投擲する。
『おっと、お転婆な子だねェ……行っておいで、僕のドラグナーガール』
 パラダルクが飛来した呪符を片手で弾き傍らの少女に囁く。
 頷いた女は一瞬で距離を詰めてゆかりと相対すると、神速の蹴りを放った!
「とと、いきなりご挨拶……ね!」
 ワンテンポ遅れて動いたゆかりの髪の毛の先がはらりと落ちるのも気にせずバックステップで距離を取るも、ドラグナーガールはそれを許さず距離を詰めながら隙あらばグラップルを仕掛けてくる。
(「強い……肉弾戦重視だと勝てる気がしないわ」)
 肉弾戦重視のドラグナーガールの一撃はどれも強く、速い。ゆかりも決して弱くは無いが、肉弾戦と言われればあちらに有利だろう。
(「でも、この子に勝つことが目的じゃないのよ!」)
 顔の横ギリギリを通り過ぎた突きを見送りながら、ゆかりは白紙のトランプカードをドラグナーガールの前に突き出す。瞬間、辺り一面に閃光が解き放たれた!
 ドラグナーガールが目を焼かれ、動きが一瞬鈍ったのをゆかりは見逃さない。
 一対の籠手型式神――偶神兵装『鎧装豪腕』がドラグナーガールをがっちりと掴み、拘束した。
「……しばらくの間大人しくしてて!」
 汗を拭いながら声をかけるも、ドラグナーガールは暴れ、脱出しようともがく。血が噴き出ようと、美しい肌に傷がつこうとも。
 それでも小手の式神の中から脱出することはできずどのくらいが経っただろうか。やがてドラグナーガールは電池が切れたかのようにピタリと動きを止めると、そのまま体がボロボロと崩れていった。
『ああ、時間切れか。まぁまだいるからいいけどさ』
 パラダルクの言葉通り、また一人のドラグナーガールがひらり、彼の傍に侍る。
「……それが今しがた死んだ少女の最期にかける言葉なのですか? 彼女をなんだと思っているの?」
 自身が侍らしていた少女をまるで消耗品のように扱う男に怒りの視線を突き刺すが、男は笑みを浮かべた表情を変えることない。
『言っただろう? 『僕の』ドラグナーガールだと』
 パラダルクにとってドラグナーガールは事象を受肉化させ傅かせる存在。何度壊れても再び受肉させればいいのだ。
「ほんと最悪ね」
『最悪で結構。それよりどうする? さっきの戦法がまた通用すると思ったら大間違いだよ』
 パラダルクの声に従う様にまた一人二人と彼の周りに侍っていく。
「そうね。ぶっ倒したいけど……今回は儀式の妨害で我慢してあげるわ」
 紫の刃が輝く薙刀を持つと、道術の力を籠める。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。竜脈宿せし大地よ。永劫の微睡みから目覚め、汝を忘れ去った者共に相応の報いを与えよ――」
 疾っ!掛け声とともに全身全霊を込めた薙刀の切っ先が地面へと突き刺さると、一瞬で地面が抉れ、隆起していく。
 それは戦場全体へ波及していき、パラダルクと戦闘に参加しているドラグナーガールはもちろん、儀式を続行していた少女たちをも巻き込んでいった。
「今度会った時は一発殴ってあげるから、覚えておきなさい!!」
 声に反応するように、抉れた大地の下から溢れ出た無量の大火焔がパラダルクとドラグナーガールを飲み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

大宝寺・朱毘
マジックユーザーらしく敵の術を分析。

仮に本当にあらゆる現象を意のままに操る力があるなら、直接操ればいい。
わざわざ『女体化→籠絡して従属させる』という手順を経ているのは、術式の一部、必要な手順だからだろう。
意志を持たせてしまうからには、籠絡し損ねるリスクもあるはず。
そこへ割り込むことができれば勝機はある。

・対先制
初手、ドラグナーガールを歯の浮くような台詞で【誘惑】
「君たちにはもっと相応しい、もっと輝ける場所がある。例えばあたしの隣とか、さ」
現役アイドルゆえ、似たようなファンサの経験はある。
まあ、これで支配権を奪えはしまいが、多少でも鈍ればよし。その隙を突いて先制攻撃を回避。

・戦闘
敵を倒すより儀式の妨害に注力。
踊るドラグナーガールたちにひたすら口説き文句をぶつけまくり、気を散らして邪魔をする。
「君ら使い潰す気満々の男なんてやめときな。こっちの水はあーまいぞ? ってね」
こちらを叩いて黙らせようとするだろうが、その都度【メロディアス・レメディ】で自らを回復させて妨害続行。




『やれやれ、随分お転婆な子だったな……』
 床が砕け、割れ目から煌々と燃え上がる炎から出てきた魔王パラダルク。
 オリエンタル調の服の端が焼け焦げてはいるものの、本体には傷一つついていない。
 パラダルクは周りを見渡せば、先の攻撃で儀式の間は荒れ果て、ドラグナーガールも大多数巻き込まれてしまった。
(『ここらへんで撤退するべきかな』)
 切るには既に大損の段階ではあるが、ドラグナーガールが全滅するよりはまぁマシだろう。
 そんな算段を立てていると、何度目かの猟兵が足を踏み入れた。
「うわ、もうボロボロじゃん」
 赤と黒を基調とした服に身を包んだ少女、大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)は眼鏡越しに辺りを見渡す。
『……来ちゃったのかい? そろそろ閉店しようかと思ってたこところだけど』
「はっ、ならラストはあたしが請け負うわ」
『そうかい? それじゃあ遠慮なく最後は君の赤色でこの場を彩ろうかな』
 その声に反応しパラダルクの横から武装した少女たちが疾風の如く地を駆ける。
「おっと、熱烈だね」
 ギターを握る手に汗が浮かぶのを感じながら自分を槍で貫かんと駆け寄る少女へと向き直る。
「好きな男の横にいるのも良いけどさ、それだけでいいのかい?」
 突き出される高速の槍の穂先。そのままであれば朱毘の頭蓋を西瓜の様に砕くその軌道を見極めながら、にっと悪戯っぽく笑いドラグナーガールへ語り掛ける。
「君たちにはもっと相応しい、もっと輝ける場所がある。例えばあたしの隣とか、さ」
『ふざけ……!』
 朱毘の甘い言葉に、ドラグナーガールが纏う空気に殺気が滲んだ。
 ふざけている。ドラグナーガールの思考はその結論へと至った。
 自分は生まれてこの方、彼に使役され、与えられる享楽に耽るるのが至上の喜びだというのに、この女は何を言っているのかと。 
 だから殺す。自分の信念を侮辱するこいつだけは。
 少女は槍を握り直し――紫電を纏う槍の一撃が穿たれた。

『……どうして』
 紡がれるは疑問に溢れた短い言葉。
 必殺の一撃。それは朱毘を貫くことは無く、彼女の横の空気を突くだけに終わったから。
 ドラグナーガールは訳が分からないとばかりに朱毘を見る。
「あたしの隣に居たかったからじゃないかな?」 
 ウィンクで答えを返せばあり得ないと少女は頭をゆるく横に振る。
(「やっぱりだ。彼女たちにはある程度の自我がある」)
 この戦いに挑むにあたり朱毘はある一つの仮定を持っていた。
 パラダルクがあらゆる事象を意のままに操れるというのならば、道具として扱うのならばわざわざ意志を持つ少女にする必要はない。
 つまり、『パラダルクは対象を意志を持つ少女へと堕とし、篭絡させることで初めて対象を操れる』と仮定付けたのだ。
 そんな少女達に大小備えられている意志に対して訴えかければ攻撃はおろか、儀式を妨害ことができるのではだと。
 彼女の仮定の検証は真かは判断材料が少ないが、事実目の前ではドラグナーガールの戦意が大きく削がれている事からもおおむね間違っていなのだろう。
「君ら使い潰す気満々の男なんてやめときな。こっちの水はあーまいぞ? ってね」
『ふざけないで……!』
「おっと……!」
 別個体が振るう武器の一閃を避けると、朱毘は儀式の間の真ん中に立った。
「うん、お話も良いがこっちの方があたしらしくていいな。
 ……みんなお待たせ! 大宝寺・朱毘の特別ソロライブ、始めるぜ!」
 一人ひとり囁くのもいいが、自分には広く、深く訴えかける手段を持っているではないか。 
 それを証明しようと今、開幕の合図と共にソロギターの旋律が戦場の空気を切り裂いた。

「~♪」
 儀式の間にギターと少女に訴えかける歌が戦場に響き渡る。
 ドラグナーガール達は次々と朱毘へ攻撃を仕掛けていき、一撃一撃が彼女の体を抉る。
 しかしそれでも朱毘は歌を止める事はない。歌で傷を塞ぎ、己を鼓舞しながらずっと演奏を止めることは無い。
「♪さぁ行こう夢へのチャレンジ 誰でもない君のために
 こわいなら一緒に歩こう 二人ならどこへでもいけるから♪」
『どうして……どうしてそこまでそんな歌を紡げるのよ……』
 力強いハスキーボイスに乗せた歌詞がドラグナーガールの心を抉り、感情を揺さぶる。
 そんな様子の彼女を見て殺意剥き出しだったドラグナーガールの動きが鈍り、やがて武器を落とし、朱毘のライブをじっと見つめるのだった。


 朱毘の力強い歌声が響く儀式の間に、否、ライブ会場において動けるものは一人もいない。
『……まさかこうなるとはねぇ』
 ――かの男を除いては。
『こんな方法で妨害してくるとは想像以上だったよ、第六の猟兵。
 ドラグナーガールを全て潰されるとは見ていたけど……こうやって戦意を削ぐとは思っていなかったよ』
 こうなれば儀式はもう続行不可能。自身が動いてまでコトを構える必要もないと判断した魔王は肩を肩を竦め、皆の視線を一身に背負う朱毘を見やった。
『今回は君の歌に免じて僕らは撤退するとしよう。
 だが、次会う時はこうはいかないから』
 またどこかで。
 そう言い残すとパラダルクは踵を返し、どこかへと姿を消した。
 主人の動きに連動するように少女が一人、また一人姿を消していく。
『……あなたの歌、とてもまっすぐで、素敵よ』
 最後の一人――槍を携えた少女が名残惜しそうに姿を消した。
 ――朱毘が歌を歌い切った時、儀式の間にアンコールの声が響くことは無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年06月01日


挿絵イラスト