7thKING WAR⑳〜やはり暴力が全てですわ!
●
「お~っほっほっほ!決戦の時ですわ!」
氷河期の如き魔界の氷原の中心……ではなく、灼熱漂う魔界の一角、自身の領土から少し攻めた場所で、自身の氷鎧『絶晶』を溶かし、絶滅悪魔軍団を生み出し続けるアイスエイジクイーン。
「只今デビルキングワールドにて絶賛開催なさっているデビルキングワールド決定戦7thKING WAR、『魔王ガチデビル』が異世界から召喚なさった魔王の一人が騒然と話題になっているようですわね!」
ここまで早口で言いあげた。
「なんでも瞬間移動からの圧倒的パワーであらゆるものをデストローイするとか。お~っほっほっほ!……流石のラスボスであるわたくしでもそのパワーまでは真似できませんわね。ですがやり様はありましてよ!」
アイスエイジクイーンの本体が魔界の地に降り立つと、その周囲には2種類の悪魔軍団が姿を現した。
鏡の欠片を常にまき散らす氷の悪魔。
そして恐るべき冷気を凝縮したようなウィスプめいた悪魔がアイスエイジクイーンの周囲に漂う。
すると突如アイスエイジクイーンの身に纏う冷気が倍に、更に倍に、冷気の力が凄まじく跳ね上がっていくでは無いか!
「お~っほっほっほ!この悪魔の詳細はグリモアベースで致しましょう!」
もう映像ジャックする気満々である。
●
「お~っほっほっほ!」
「アイスエイジクイーンお姉さん!」
待ってましたと言わんばかりの表情を見せるグリモア猟兵のフェアリー、ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)。
グリモアベースの一角の映像室に猟兵を集めたポーラは、既に今回の戦いが「7thKING WARのアイスエイジクイーンとの決戦」である事を猟兵達に伝えており、その直後映像がジャックされてアイスエイジクイーンが画面いっぱいに映し出された。
「いよいよもって雌雄を決する時が来ましたわね猟兵の皆様方!このわたくし、西のラスボスこと『アイスエイジクイーン』との!」
「決戦が!」
「お~っほっほっほ!」
合いの手を返すのにも慣れて来たポーラリア。
しかしアイスエイジクイーンの身体にはいつも以上の力がみなぎっているように見える。
周囲に無数に浮かび上がる鏡の欠片も気になるぞ。
「気になるようですわね!説明致しますわ!」
意気揚々とアイスエイジクイーンが高らかに叫ぶ。
「このわたくしの『アイスミラーデビル』軍と、『サブゼロブレイカー』軍の事を!」
「アイスミラーデビル軍と、サブゼロブレイカー軍!?」
アイスエイジクイーンは語りだした。
「わたくしがどの様にしてかの者達を絶晶の中に閉じ込めたのかは長くなりますので割愛しますわね。
重要なのはこの悪魔達がどの様な力を有しているか……。
『アイスミラーデビル』は自身が生み出す鏡に映した者を、他のアイスミラーデビルの所へと転移させる能力があるのですわ!色々と調教したのでこの力は今わたくしと『サブゼロブレイカー』にしか作用しませんわ。
そしてわたくしの周囲に浮かぶこの悪魔『サブゼロブレイカー』。
この子達は近くにいる氷属性の者に絶対零度の力を付与するのですわ!
その力は居ればいるだけ加算され、纏う冷気が絶対零度を超え続けていくのですわ。
1体でも十分な極氷の力を有するこの子達が、こうして大量に漂い、転移しようともわたくしについてくる。
もうお分かりですわよね?このサブゼロブレイカーが周囲にいる間、わたくしの氷河期魔法は絶対零度を幾度も超えた超パワーを発揮するのですわー!」
そう言った後アイスエイジクイーンは明後日の方を指さす。
「ちょっとカメラ、あそこを映してくださいまし。」
「お任せあれっス!」
何かどこかで聞いたような声がしたがともかく、明後日の方には1体のアイスミラーデビルがいた。
次の瞬間、アイスエイジクイーンはアイスミラーデビルの所に瞬間移動し、氷槍を手に一閃で薙ぎ払う。
アイスエイジクイーンの目の前の空間が一瞬にして完全に凍り付き、更に凄まじい大爆発を起こして爆ぜたではないか!
地は爆ぜて氷塊と化しながら空に舞い上がり、向こうの山々がえぐれる様に潰れながら氷漬けになっている。
「お~っほっほっほ!悪い猟兵の皆様方の中で、消しゴムに氷河期魔法をかけて凍らせた方は居ますかしら!かの様に急激に冷やし過ぎた空間は凍てつきながら恐るべき大爆発を起こし焦土の如く粉々になる……ここに召喚魔王『デストロイキングボス』の如きデストロイパワーの再現を、アイスエイジクイーン流で完成せりなのですわー!お~っほっほっほ!」
何という事だろうか。
召喚魔王『デストロイキングボス』の持つ圧倒的なデストロイ級超パワーを、このアイスエイジクイーンは自身の有する絶滅悪魔軍団によって疑似再現を成したのだ。
自身の氷河期パワーを圧倒的極限まで高める事で。
「さあ、猟兵の皆様方、この西のラスボスたるアイスエイジクイーンの超パワーにひれ伏す準備はできましたかしら?こぞって挑戦をお待ちしておりますわ!お~っほっほっほ~!」
氷河期女王の間延びした高笑いの後、映像は途切れた。
「ふぇぁぁ、なんだか大変な力を手にしちゃったみたいなのよ?」
でも、ここまで戦って来た猟兵さん達なら大丈夫だよね、とポーラリアは言いながら。
「それじゃあ転送するよ!一瞬で距離を詰めてきて思いっきりぶっ飛ばされる前に、ぶっ飛ばし返しちゃえ!ごーごーなのー!」
グリモアの光がアイスエイジクイーンの下へと、猟兵達を転送していった。
古塔
古塔と申します。宜しくお願いします。
目的:アイスエイジクイーンをしばく。
●今回のアイスエイジクイーン
『アイスミラーデビル』という、鏡から他の鏡へとアイスエイジクイーンを映して転移させる力を持った悪魔と、『サブゼロブレイカー』という、近くにいるアイスエイジクイーンに絶対零度のパワーを与える絶滅悪魔軍団で構成されています。
アイスミラーデビルが既に戦場の至る所に居り、この悪魔の鏡の転移によってアイスエイジクイーンはめっちゃ瞬間移動してきます。
更にサブゼロブレイカーを大量に纏ったアイスエイジクイーンが、絶対零度を超えた破壊力による氷河期魔法で辺り一面をデストロイしてきます。
瞬間移動と超絶対零度氷河期パワー、これらの特性に対処しつつ、アイスエイジクイーンと戦い勝利を収めてください。
※つまるところアイスミラーデビルを潰せば瞬間移動を妨げられ(無限湧きするので根絶は難しいです)、サブゼロブレイカーを潰せばその分パワーが低下します。(アイスエイジクイーンの元のパワー以下には低下しません)。
※先制攻撃は持ってないので、やろうと思えば機先を制することができます。
プレイングボーナス……絶滅悪魔軍団の猛攻をかわす。
第1章 ボス戦
『西のラスボス『アイスエイジクイーン』解』
|
POW : 氷河期召喚術『ジュデッカ』
レベル×1体の【絶滅悪魔軍】を召喚する。[絶滅悪魔軍]は【氷】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 氷河期魔法『アイスエイジ』
戦場全体に【悪魔も凍てつく氷河期の寒波と吹雪】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【量産型「絶晶」の装着】による攻撃力と防御力の強化を与える。
WIZ : 合体氷河期魔法『ディノホロボシータ』
自身と仲間達の【放つ、氷属性の攻撃魔法】が合体する。[放つ、氷属性の攻撃魔法]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
イラスト:屮方
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
手近に敵の配下がいない状況になればいいわけね。
まず味方とは十分離れた戦場からスタート。
クイーンが転移する前にユーベルコード【蒼き刃の円舞】を開幕と同時に発動。
「先制攻撃されないのは助かるわね」
半径119メートル内の敵を青金剛石のチャクラムで薙ぎ払う…味方とは離れているのだから3回攻撃したいわね。
周囲の敵を撃破したら[目立たない]ようにしつつ物陰に隠れて、クイーンを弓矢【射貫き打ち抜く鋒矢】、[スナイパー]+[誘導弾]で狙い撃ちよ。
万一攻撃を受けそうなら[結界術]+[オーラ防御]で不可視の防壁を作りつつ[氷結耐性]で耐え凌ぐ。
後はなるべく敵のいないところに移動しつつ狙撃を繰り返しましょう。
●
「手近に敵の配下がいない状況になればいいわけね。」
呪が刻まれた特殊な弓をこさえた金髪の猟兵、ヤドリガミのヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)が現れた。
目の前には鏡の破片をまき散らしながら、姿勢を低くして突撃してくるアイスミラーデビルの群れがいる。
単純にヴィオレッタに襲い掛かるのでなく、戦場広範囲に散る様にしている。
恐らくその全てにアイスエイジクイーンが転移されるのだろう。
「ちゃんと上手い所に転送してくれた?……一人か。」
幸いか、ヴィオレッタは至近距離にミラーデビルがまだいない所に転送された。
「(果たしてこれは幸運なのかしらね)」等と自身でごちながら。
まだ灼熱残る戦場の中、突き刺すような冷気と共に遠くから高笑いが聞こえる。アイスエイジクイーンのものだろう。
「先制攻撃されないのは助かるわね」
ならば転移されない内に攻撃を仕掛ける。
ヴィオレッタはその手に巨大な青金剛石のチャクラムを出現させ、視界に映るミラーデビルを狙い、全力で横薙ぎに投擲した。
『貴方たち皆に不幸をあげるわ』
他のラスボスに負けない様な凄まじい衝撃波が投擲時に放たれる。
巨大なチャクラムが戦場全てを巻き切り裂く様に投げつけられたのだ。
姿勢を低くして躱す様に走るミラーデビルさえ、衝撃を伴った巨大チャクラムに巻き上げられ、その高速回転する刃に即座に切り裂かれ、宙に舞う。
「お~っほっほっほ!実にダイナミックにデストロイをしなさるのですわね!」
しかしアイスエイジクイーンは違った。先に吹き飛んだミラーデビルに即座にテレポートを発動し、宙に舞う鏡片から次々と消えては現れてを繰り返す。
「(そうして舐めていなさい。蒼き刃の円舞(ブルーブレイド・ロンド)はこの場に味方がいないなら、3回放たれる。)」
半径119メートル内のミラーデビルがなぎ倒される。
だが一部は地に這いつくばってそれを躱し、まだ健在だ。
空中のアイスエイジクイーンに即座に放ちたいが掃討が先と、戻って来た巨大チャクラムを更に力を込めて再投擲する。
姿勢を低くしたミラーデビルを確実に切り裂くよう、スピードを上げた2回目の投擲が戦場のミラーデビルを切り裂き、巻き上げる。
ほぼほぼ戦場からミラーデビルは一掃され、アイスエイジクイーンの移動手段は激減した、が。
「位置は把握しましてよ。この距離からでも喰らいあそばせ!」
アイスエイジクイーンは消滅していく鏡片から現れると、三又槍メイスの如き氷杖を叩きつける様な構えを取る!
「わたくしとデストロイキングボスとの決定的な違い!それは向こうが圧倒的な素手による『近接の』暴力を放つのに対し、わたくしは氷河期魔法の圧倒的な『遠隔の』暴力を放てる所にあるのですわー!」
「(ここから攻撃が来るの?まずい)」
即座に返って来た巨大チャクラムを掴むヴィオレッタは、素早く3度目の投擲を、遠方の空中で光り輝くアイスエイジクイーンに向かって投擲!
同時にアイスエイジクイーンから放たれる、魔界全土を一瞬で氷漬けにして破壊する程の波動の様な吹雪の極大砲撃!
チャクラムを手放したヴィオレッタは自身のヤドリガミに内包される力を最大解放し、原子運動を完全停止させる氷の結界とオーラを2重にバリアの様に展開しながら、その場から離れる様に跳躍した。
「お~っほっほっほ!デストロイですわー!」
氷河期に飲まれ全てが白くなる魔界。
そのまま崩壊し吹き飛ばされる地面。
砕かれる山脈。
跡形もなく消滅した前方から、遅れて氷河期の衝撃波と轟音が解き放たれる。
ふわりと冷気で凍り付いた地面に着地するアイスエイジクイーン。
勝ち誇る様にポーズを決めると、一拍置いて吹き飛んだ地形が雪崩の様に落ちて来る。
氷漬けになった地面と共に、永久凍土に閉じ込められたマンモスの如き白き氷の塊となったヴィオレッタが落ちて来る。筈だった。
「おほほほほ……!やはり暴力というのは気持ちいいですわ っ!?」
油断した瞬間、予期せぬ方向から飛んできた弓矢に貫かれるアイスエイジクイーン。
ダメージを受けて怯むも、刺さった矢を凍らせて粉と砕き、周囲を確認する。
「(よかった。耐えきれた。)」
凍てつく白い冷気を体の中から排出しつつ、悟られない様に雪の積もった布を被り、アイスエイジクイーンに気づかれない方角から隠れるヴィオレッタ。
「(ユーベルコードは手放してしまったけど、いける。)」
「くっ、おのれ、どこに居ますの!くっ……!」
アイスエイジクイーンの凍らせた氷河期の地形に隠れながら、次々と矢を放っては移動し、気づかれない様にスナイプし続ける。
更に居場所がバレないよう、誘導性能を付与した矢で一度明後日の方に放ってから方向転換させての狙撃である。
「あっ、ぐっ、デストロイ不完全燃焼ですわーっ!」
暴力を振るおうにも振るう場所を特定できぬまま四方八方から狙撃され、アイスエイジクイーンはたまらず一時撤退した。
成功
🔵🔵🔴
チリー・スティーリア
「氷河期魔法...素敵な響きね」
氷河期魔法に惹かれ、やって来たはいいけれど...あの威力、食らったら大変な事になりそう
だけど、『サブゼロブレイカー』が近くに居る氷属性の者に力を与えるなら、もしかして私にも絶対零度の力を付与してくれるのかしら?
適当な『アイスミラーデビル』のすぐ側まで【地形の利用】と【闇に紛れる】を使い隠れながら接近
相手がこっちに気付くまでにすぐ側の物だけを残し周囲の『アイスミラーデビル』を破壊、ここに転移するよう誘導するわ
そして側の『アイスミラーデビル』から転移してきた瞬間、【永久の氷牢】を発動
抱き付くほど接近し、『サブゼロブレイカー』の力も利用して、何もかもを凍らせる試みよ
●
「氷河期魔法に惹かれ、やって来たはいいけれど...あの威力、食らったら大変な事になりそう」
魔界が凍って吹き飛ぶ様を見て、呪いの氷狐少女、チリー・スティーリア(絶対零度の案内人・f29046)はごちた。
「だけど、『サブゼロブレイカー』が近くに居る氷属性の者に力を与えるなら、もしかして私にも絶対零度の力を付与してくれるのかしら?」
そこで一つの勝機を見出す。アイスエイジクイーンだけがあの恩恵を手にしているとは言っていない。自身にとってうってつけの悪魔の様に見えた。
チリーはまだアイスエイジクイーンに気がつかれていないのを確認すると、近くで這って猟兵を探しているアイスミラーデビルを見つける。
それを呪いの妖刀・凍結刃でざくりと突き刺すと、刺さった所から無数の氷柱が発生して悪魔は動かなくなった。
これを繰り返していく。チリーの魔力が闇に溶けて、魔界の世界を這う様に進んでいく。
今、チリーの目の前には1体のアイスミラーデビル。
周囲のアイスミラーデビルは全て妖刀で刺し凍らせて潰した。
「私に気がつけば恐らくここにしか相手は転移してこない筈。」
チリーは意を決して闇の中から姿を現し、指先から冷気を凝縮した光線を振り投げる様にして遠方にいたアイスエイジクイーンに突き刺す。
アイスエイジクイーンはそれを見もせずに周囲に浮かぶ絶対零度の光球・サブゼロブレイカーで防ぐと、チリーの方に視線が動いた。
「そこですわね」
アイスエイジクイーンが微笑みを見せたと同時、鏡の悪魔の上に一瞬で転移し、作り上げた氷河期の氷杖をチリーに振り抜こうとする!
「かかったわね」
その瞬間を狙ったチリーが勢いよく飛び出してアイスエイジクイーンに抱き着いた。
「!?これは……!」
アイスエイジクイーンは武器を落とし、輝くサブゼロブレイカーと共に身体が凍っていく。
それだけではない。口から冷気でないタイプの白い息が吐き出され、身体が無意識に震えだし、凍えていく。
「永久の氷牢(トワノヒョウロウ)」
チリーがユーベルコードの名を口にする。
「私はこれから、私の中にある全ての冷気を解放する。あなたの凍結耐性は破壊され、氷の力は無意味となって、私と一緒に永久の氷牢に閉ざされて行くのよ。」
「……寒さを味わえない者にさえ寒さを与えて、凍らせる、と言う事でございますわね……!」
『永遠の美しさは保証するわ......ふふっ、一緒に凍ってくれるかしら?』
「ええ、是非に。」
アイスエイジクイーンは凍てつく中で微笑んだ。
「わたくしは西のラスボスアイスエイジクイーン。その名と力に魅かれて挑戦する氷悪魔は無尽に存在致しますのですわ。」
チリーの身体から冷気が解放されると同時に、アイスエイジクイーンからも冷気が解放される。
お互い歯が震え、青ざめた顔をしながらも、その冷たい唇や瞳は変わる変わる事なくお互いに向き合っていた。、
「アナタがそれ程迄の力でわたくしに挑戦するのでしたら、わたくしも全力を以て答えるのみですわ……!」
二人を囲う様に浮遊するサブゼロブレイカーが極冷の光を放つと、チリーとアイスエイジクイーンの身体が急激に冷え込んでいき、絶対零度の力を何重にも付与していく。
更に周囲にひれ伏すアイスミラーデビルからも、自爆を促すような絶対零度の冷気が解放されようとしていた。
臨界点に突破するような冷気の力が、チリーの抱擁を、この場の全てが時間も空間も何もかも凍り付く程の力にまで高め上げ。
同じくアイスエイジクイーンからも絶対零度の氷河期の力が何重にも渦巻いた。
「合体氷河期魔法『ディノホロボシータ』」
アイスエイジクイーンはそう呟いた。
「永久に眠る筈の氷河期の眠りの中から、どちらが先に目覚めるか、勝負ですわよ。氷狐さん?」
極限の絶対零度の冷気が解放される。
時が止まったかのように、光さえも凍り付いたかのように、その場の何もかもが一瞬で氷で覆われ、止まる。
「(氷河期魔法...素敵な...響き.........ね.......)」
意識さえも凍り付く直前、チリーはそんな言葉を脳裏に走らせながら。
魔界。
大地も何もかもが一瞬で凍り付いた絶対零度の世界。
舞い散る欠片さえもがその場の宙で凍て止まったまま、動く事を許さない。
風すらも吹かず、どこを見ても光と影が変わらぬ空間。
文字通り全てが凍り付いていた。
どれくらいの時間が経ったか。空気が徐々に溶けだし、雪が降り出した。
雪は瞬く間に勢いをつけていき、魔界に氷河期の寒波と吹雪が吹きつける。
その中心に氷像があった。
寒そうな顔で身を温める様にしっかりと抱きしめ合う二人の氷の女王。
幾度もの絶対零度の力によって何重にも厚い氷で覆われた上で、更に厚い雪が降り積もっている。
大氷河期の犠牲者ともいえるその凍える姿は、永久に溶ける事が無さそうに見える程の様子であった。
更にどれくらいの時間が経ったか分からない内に、その厚く厚く氷漬けになった氷像からピシピシと音がする。
轟音と共に大爆発を起こした。
「……はっ……ふ……ぅ……」
自爆した獣耳と獣尻尾の氷の女王はそのまま、誰かを抱きしめている様な姿で凍ったまま雪に埋もれ続けているが。
もう片方の、際どい薄着の氷の女王は腕を組み身を寄せてブルブルと震え続けていた。
「……これが、寒いと、いうもの、なのですわね……勉強に、なり、ましたわ。」
アイスエイジクイーンは何重もの絶対零度の力を解放して、内側から育てた氷を解放して脱出したのだ。
自身の寒さに対する耐性が戻るのはもう少し経ってからだろう。
「気に入りましたわ。わたくしが勝った後は、アナタをもう誰も手の届かない所で親しく冷凍保存し続ける事を誓いましょう。それまではそこで氷河期の一部となっているが良いですわ。お……お~っほっほっほ!」
高笑いも戻ったアイスエイジクイーンは、サブゼロブレイカーを展開し率いて戦場へ戻っていく。
「……………………」
ただ一人残されたチリーは凍ったまま、全身が積もり続ける白魔の雪に埋もれていき、そのまま姿が見えなくなった。
成功
🔵🔵🔴
テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可
まーた厄介な作戦できますね…
普通に考えて正面から攻めるのは難しいので、クイーンを探し出して確実に一撃を加えなければ…
まずは敵から隠れつつ【全てを凍てつかせる小さな妖精】さんを召喚!
それぞれ連携しながらクイーンの居場所を突き止めましょう!
場所が分かったらこっそり近づいて【ジュエリーカメラ】を使って宝石像にしちゃいましょうか♪
仮に通じなくても突然魔法少女的な名乗りを上げると同時に【魔法の杖【ラビット・ラビッツ】】でぱっかーんとしばき倒してしまいましょうか~
あとは…いつも通りの展開に…なるかな?(お任せします)
●
「まーた厄介な作戦できますね…」
褐色肌で乳白髪の兎キマイラ、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は苦い顔をしながら身を潜めていた。
「普通に考えて正面から攻めるのは難しいので、クイーンを探し出して確実に一撃を加えなければ…」
そしてテフラは手からユーベルコードを発動し、無邪気な氷の妖精を召喚する。
「全てを凍てつかせる小さな妖精(アイシング・フリーズ・フェアリー)さん!手伝ってください!クイーンさんにこっそり近づけるルートを突き止めるのですよ」
すると氷妖精はテフラに氷の双眼鏡を渡した。
「え、これで探すのですか?えっと、そのまま触れると凍りそうなので。」
ハンカチに包んだ手で双眼鏡を持ちながら、テフラと氷妖精は二手に分かれた。
「挑戦者はどこに居ますかしら?」
アイスエイジクイーンはきょろきょろと見回しながら、優雅に魔界を闊歩する。
その近くにはアイスミラーデビルもいるが、散開し、規定の移動ルートで歩いているように見える。
岩陰に隠れるテフラの近くに氷妖精がやって来て耳打ちする。
「えっ、次の岩場に隠れて背後から行けばやれそう?分かりました!ありがとうございます!」
そうしてテフラはアイスエイジクイーンの闊歩を岩陰でやり過ごした後、別の岩陰にさっと移って、アイスミラーデビルが向こうを向いている隙にアイスエイジクイーンの近くまでゆっくりと近づいた。
テフラは道具袋から、宝石をちりばめた魔法のカメラを取り出し手にしていた。
「あら?何か気配が……猟兵!」
気づいたアイスエイジクイーンがテフラに振り返った。
「はい、チーズです♪」
それと同時にテフラはカメラのシャッターを切る!
「!?……………………」
テフラの持っていた魔法の道具『ジュエリーカメラ』。
写した相手を瞬時に物言わぬ宝石像に変えてしまう、恐ろしい魔法のカメラである。
カメラから写真が現像される。
目の前の光景と同様の、驚いたアイスエイジクイーンのサファイアな宝石像と化した姿がそこに写っていた。
「やったぁ♪やりましたぁ♪こんなにあっさり上手くいくなんて!」
サブゼロブレイカーもダイヤモンドとなってコロコロとその場に落ちた。
超暴力も瞬間移動も一切発動せず、その場から動かなくなり、ゆっくりと後ろに倒れてしまったアイスエイジクイーンの宝石像。
それをテフラはサドっ気が発動したようにぐりぐりと踏みつけたり、コンコンと宝石像の頬を指の甲で叩いたりして愉しむ。
「ラスボスさんもまさか瞬時に宝石像にされるなんて夢にも思ってませんでしたよね。これでボクの大勝利です♪このまま旅団の見栄えのいい所に飾ってあげましょうか~♪」
勝手の良い事をべらべらと喋るテフラ。
その服を後ろからくいくいと引っ張る者がいた。
「あっ?アイスミラーデビルさんですか?あっ!」
振り向いたテフラは一瞬油断し、アイスミラーデビルにジュエリーカメラをぶんどられてしまう!
「ちょっと、返してくださいー!」
アイスミラーデビルはカメラの何かを操作してアイスエイジクイーンを元に戻そうとするつもりだ。
だがテフラは氷の妖精を使役し、一目散に体当たりさせると、瞬く間にアイスミラーデビルからカメラを弾き落として回収する。
「ふっふっふ、そんなにあなた達も宝石像になりたいでしたら、させてあげますですよーっ!」
テフラはアイスエイジクイーンの傍まで飛び退き、見晴らし良く複数のアイスミラーデビルを捉えてカメラのシャッターを切ろうとする。
アイスミラーデビル達は氷の鏡を最大展開し、その身体に無数のテフラを映した。
「んぇ?」
カメラのシャッターが切られる。
フラッシュと同時にジュエリーカメラの効果が一斉にテフラに対して反射された。
「……………………」
テフラは一瞬で美しいピンクダイヤの像と化して、その場に倒れた。
氷妖精は水色のアクアマリンの像となって、その場に落下した。
アイスエイジクイーンのサファイア像の上に2体の宝石像が倒れ込むように乗り掛かる。
動けなくなった3人はアイスミラーデビルにゆっくりと取り囲まれる。
アイスエイジクイーンがなんやかんやあって元に戻るまでの間、彼らがどうなったかは皆様のご想像にお任せしたいが、少なくともテフラのジュエリーカメラは(今戦闘において)没収される事となった。
成功
🔵🔵🔴
四王天・燦
今更を詫びて自己紹介するよ
ラストダンスに付き合ってくださいな
鏡に映りにくくすることと、アタシの位置・行動を補足させないよう発カウントダウンや発煙筒をばら撒いて目潰しするよ
煙が吹き飛ぶ前にダッシュで駆け巡って、五芒星の位置に符を隠せば仕込みは完了
稲荷符から火属性攻撃の狐火を放ってサブゼロブレイカーを撃墜する
乱れ撃ちで暖も取ろう
五芒星の陣にクイーンが入ったら結界術で障壁を張るぜ
狙いは転移による脱出阻止と空気の遮断
魔法の餌食にならねえよう残像を発生させながら走り回り、密室状態で全力魔法と捨て身の一撃をもって黒曜石の杖から石化の呪詛ガスを撒く
絶晶ごと石となれ
オーバーロードの力で真の姿を解放し踏ん張るぞ
程々で稲荷巫女のお説教で本音をぶつける
強さ・美しさ・悪のカリスマに秀でたクイーンが7thKINGで良いと思った
その上で仲良く石化する前に、アタシとの戦いは引き分けで決着にできねーかな
対等な友達になりたいんだ
綺麗で楽しく、聡明なお方だもん
やはり愛が全てですわ♪
握手で凍らされるくらいのお茶目は許容だぜ
●
「今更を詫びて自己紹介するよ。アタシの名は四王天・燦(月夜の翼・f04448)。」
燦が転送され、アイスエイジクイーンと対峙した。
「ご丁寧に。いいですのよ。わたくしとあなたの仲ですもの。……でも挨拶には返さなくてはいけませんわね!わたくしは西のラスボス、アイスエイジクイーン!」
「ラストダンスに付き合ってくださいな」
「勿体ない事を言うのですわね。ラスボスは何度でもやってきますわよ……そこに居ていいのですわね?」
アイスエイジクイーンはその姿を消した。
次の瞬間、燦の目の前で輝く零度の球を纏いながら、アイスエイジクイーンが攻撃を開始していた。
それと同時に燦の周囲が爆発し、巨大な煙が立ちこめる。
アイスエイジクイーンは構う事無く手に生んだ氷のメイスを振り抜く。
振った位置から魔界の遠くの景色までが一撃で凍てつき吹き飛んだ。
燦はそこに居らず、全速力で走って回り込む。
「デストロイですわよ!」
振り向きざまに更なる一撃が横薙ぎに振られる。
振った位置から一閃の衝撃波が放たれ、魔界の遠くの景色までが一瞬で凍てつき爆ぜる。
そしてアイスエイジクイーンはその場から姿を消そうとする。
吹き飛んだアイスミラーデビルに転移して落下攻撃を行おうとした。
が、念じても上手く転移する事が出来なかった。アイスエイジクイーンはその場で踏みとどまるまでに至る。
「(ミラーデビルを封じられた!?)」
吹き飛んだアイスミラーデビルの1体をアイスエイジクイーンは見た。
デビルの周囲に浮かぶ鏡の欠片が黒く曇っていて、何も映さなくなっていた。
「そういう事ですの……!」
アイスエイジクイーンはサブゼロブレイカーの光を足に溜め込み、放つ。
強力な寒波と衝撃波を生みながら跳び出す超跳躍。
横っ飛びに魔界の端に至るまで着地しそうな超高速のステップを踏みながら燦を探す。
アイスエイジクイーンの身体に突如熱がこもり、爆ぜる。
「!」
間一髪で避けた。燦の符による狐火によるものだろう。
だがその爆発は周囲の光球、サブゼロブレイカーに直撃し、1つ1つ、爆ぜていく。
「そう。少なくとも近くにいる事はわかりましたわ。」
アイスエイジクイーンは残っている光球と、周囲に辛うじて倒れているミラーデビルに冷気の光を灯す。
「全て凍てつきなさいませ!『合体氷河期魔法・ディノ……」
「悪いね、アタシのが間に合った!」
アイスエイジクイーンの周囲の地面には針状に巻いて突き刺した札による、五芒星が刻まれた結界。
遮断された結界がサブゼロブレイカーの光球とミラーデビルから放たれる氷魔法をかき消していく。
「……小細工を労せずあくまでタイマンを張りたい、と言う事ですかしらね。」
アイスエイジクイーンは目の前から隠密を解いて現れた燦と対峙する。
「いいや。本音をぶつけに来たのさ。」
燦はそっと後ろ手に、持っていた黒曜石の杖から石化の呪詛ガスを撒きながら。
「アタシは強さ・美しさ・悪のカリスマに秀でたクイーンが7thKINGで良いと思った。」
「あら、何ですの急にそんなに褒めて。」
「その上で仲良く石化する前に、アタシとの戦いは引き分けで決着にできねーかな」
「え、何て言いました?石化?……引き分けにはできませんわ。わたくしもデビルキングになりたいのですもの」
「対等な友達になりたいんだ。綺麗で楽しく、聡明なお方だもん。」
燦は握手の手を差し出す。
アイスエイジクイーンは手を振り払おうとしたが、ユーベルコード込みのこの握手と話に心が動いたのか。
「ま、まあ、少しくらいは友好を結んであげても……」
がっちりと握手した瞬間、みるみるうちにその手が、指先から付け根、胸に顔にと身体全体に回る毒の様にアイスエイジクイーンの身体が黒曜石の色に石化していく。
「あ」という口を開けたまま、間抜けにも手を差し出したままで呪いのガスが回り、完全に石化してしまったのだった。
「お~っほっほっほ!やはり愛が全てですわ♪」
燦は高笑いを真似しながら、石化したアイスエイジクイーンの目の前で勝ち誇った。
「――最後に固まってくれてありがとよ。アイスエイジクイーンさ」
そう言った直後に油断したのか、結界の効果が切れてしまう。
残った悪魔達が、合体氷河期魔法『ディノホロボシータ』を続けるかの様に、止まった時間を動かして、発光。
燦の全方位から氷の魔法の奔流が迸り、猛吹雪の如き冷気に包まれた。
握手をしたまま固まった黒曜石像のアイスエイジクイーンと氷像の燦。
その姿はしばらくの間魔界にとどまり続ける事となった。
……………………
「ま、まだですわ!まだ終わりませんわ!」
表面を凍らせて、石化の呪いをはがしていくアイスエイジクイーン。
その場に燦の氷像を置いて、最後の戦いに赴いた。
成功
🔵🔵🔴
アダム・レイン
「お前の魔法に科学力で対抗させてもらう!粉砕されるのは怖いけど…」と呟きキャバリアに搭乗
まずは突撃してくるアイスミラーデビルの軍勢目掛けてEx.roarを放つ。軍勢が焼き払われてそこに空いたスペースにすかさず飛び込み敵に向かって全力疾走
「根絶できないなら一時的に穴を空ければ、そこに隙が生まれるはずだ。」
サブゼロブレイカーはTyrannusの【投擲】や【レーザー射撃】を【瞬間思考力】を使い、狙いを定め迎撃。最後はザウラーのスピアテイルの【貫通攻撃】で敵を直接攻撃
「ところでなぜ能力を解説したのさ。本気で勝ちたいなら隠すか嘘言えばいいのに。僕には理解できないな。」とクロムキャバリア出身のアダムは一言
高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「さ、寒い所に来てしまいましたね。」
ぶるぶると凍った魔界の中で転送された、茶髪の髪を結わえたスペースノイドの司書、高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)。
「私も役に立てれればいいのですが。と、あれが今回の敵です?」
本を開き、茉莉は光り輝く【無限の文字列】を解放する。
文字からの無限のビームで、あの向こうにいる氷の女王らしきラスボスを倒そう。
そうした瞬間、敵の姿が消えた。
「え」
「まず一人ですわ」
茉莉の目の前に一瞬で現れたアイスエイジクイーンが身に纏う絶対零度の光球を輝かせながら、氷の杖を振り、超強力な一撃を放とうとする。
その瞬間、茉莉もまた消えた。
否、横から来た巨大な影に連れ去られたのだ。
空を切るアイスエイジクイーンの氷杖の軌道に沿って、魔界の大地が爆ぜて凍る。
「ちいっ、新手ですわね!」
アイスエイジクイーンが振り返ると、そこには全長5メートルの機械の怪物、黒きボディの、2足歩行の怪獣の様なキャバリアが現れた。
その手には茉莉を優しくつかんでいる。
「僕の名はアダム・レイン(ダイナソーライダー・f30865)。お前の魔法に科学力で対抗させてもらう!粉砕されるのは怖いけど…」
黒き怪獣のキャバリアの中から声がした。青髪の一見気弱そうな少年が、威風を発して啖呵をあげたのだ。
「お~っほっほっほ!その威勢や良しですわ!果たしてその悪カッコいいロボット一つでこのわたくしにどこまで迫れるか、見せて頂きましょうかしら!」
アイスエイジクイーンが氷の鏡を纏う悪魔、アイスミラーデビルをけしかける。
アイスミラーデビルは鏡を纏い、氷の鏡の爪を伸ばしながら、アダムのキャバリアに食い込ませようと切迫する。
「おほほほほほほ!」
そのアイスミラーデビルの上を何度もテレポートして、残像分身の様にして迫り来るアイスエイジクイーン。
「教えておいてやる。お前が言うこのロボット、もといキャバリアの名はオブリビオンマシン、『ゲドン・ザウラー』だ!」
ゲドン・ザウラーの頭部が、龍が口を開けるかの如く開き、エネルギーがチャージされる。
「容赦は…しないからな。撃つぞ!……おおおおおっ!」
破壊光線【Ex.roar(エクスティンクション・ロア)】が、ゲドン・ザウラーの口から発射!
アダムも普段は発射を遠慮する、危険で強力な破壊のビームが薙ぎ払う様に放たれ、アイスミラーデビル達を逐一吹き飛ばしていく。
アイスエイジクイーンは間一髪遠くのアイスミラーデビルに転移して難を逃れたが、距離が開き、一瞬ではアダム達に到達できなくなった。
「根絶できないなら一時的に穴を空ければ、そこに隙が生まれるはずだ。」
ゲドン・ザウラーが武器を構えながら、ミラーデビルが吹き飛んだ跡を全力疾走する。
「まだまだですわよ!」
「そこ!」
全てを粉砕しそうなアイスエイジクイーンの暴力が飛んでくる前に、ゲドン・ザウラーは手からTyrannus(※ブーメランアクス)を投擲。
アイスエイジクイーンの光球サブゼロブレイカーを破壊する。
「あわわわわ!読書をする暇もありません!」
「データベース検索…茉莉って言うのか?今は耐えて、できるだけ掴まってて…!」
茉莉が必死にゲドン・ザウラーの片手に掴まりながら、矢継早にゲドン・ザウラーは口から出力を絞ったレーザーを乱射する。
それらはアダムが集中し、1発1発狙いを済ませたレーザーとなって確実にアイスエイジクイーンの光球を撃ち落としていった。
怯んだアイスエイジクイーンにゲドン・ザウラーは切迫し、その巨大な爪が握りつぶさんとする様にアイスエイジクイーンの左腕を、尻尾が叩き潰さんとする様に右腕を攻撃していく。
「ところでなぜ能力を解説したのさ。本気で勝ちたいなら隠すか嘘言えばいいのに。」
アイスエイジクイーンが氷河期魔法の武器を二刀流で生み出して応戦する最中、アダムはそう言った。
「お~っほっほっほ!そんな事を聞くのかしら?二つありますわ。一つは力の誇示」
「はぁ?」
「『この御方はこういう力を持っている』『圧倒的過ぎて迂闊に手が出せない』……強力な力はただそれを申告するだけで既にそれを聞いた全ての相手方に精神的ダメージを与え、戦う意志を潰していくのですわ。戦闘前から情報という名の勝負が始まってると言ってもいいですわね!」
「こうして対策されると分かっていてもか」
「お~っほっほっほ!核兵器」
「なんだ急に」
「そんなロボットに乗る猟兵方でしたら『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』と言った方が分かり易かったですかしら?」
「それは……!」
「お~っほっほっほ!分かっていてもどうする事の出来ない強さ!それを説明するわたくし!今尚対処の仕様が無き、放たれれば終わるその力!何も言わずに隠したままの手札よりは、切って説明するべきがそのまま力になるのですわ!……現にアナタもわたくしに暴力を振るわせるのを恐れているのではなくて!」
「くっ、答えになっているような、なっていない様な……!」
「もう一つの答えがまだでしたわね。ラスボスとしての仁義ですわ。」
「馬鹿って言われた事は無いか?」
「ワルの常套文句ですかしら?」
「もういい
「戦に参加していただきありがとうございますわ!!
「なんだ急に…!」
「ラスボス、キング、デビル!ワールド!挑戦者のいない戦いで王者になってもつまらなく、力無きまま頂点に昇り詰めても民は信用を曇らせますわ!
こうして『わたくしが他の魔王に負けない程の超暴力を振るう』と言う能力を説明した結果、それに挑戦するワルワルなアナタとアナタが挑戦を叩きつけましたでしょうに!」
「あっあの私今回はサポート参加で転送されただけで」
「ラスボス、つまりは王としての信用、仁義。これができるという事で圧倒的な力を持っていると示す為にも説明は必要不可欠なのですわ!おわかり!?」
アダムの頭に、ふと一つのイメージが浮かぶ。
クロムキャバリアの一国を王として支配し、その圧倒的兵器と火力を世界に見せつけている、邪悪なオブリビオンマシンの光景が。
ひいては、威圧か。
「…やっぱり僕には理解できないな。悪いけどこれで決めさせてもらう。」
アイスエイジクイーンの両の武器を弾き、ゲドン・ザウラーは尻尾に力を溜める。
アイスエイジクイーンの胸目掛けて必殺のジャイアント・スピア・テイルが槍の様に突き放たれる!
「力を披露したのなら、後は応用です事よ。」
アイスエイジクイーンは足に力を溜める。
隠していたのか、足元の地面から光球が浮き上がる。サブゼロブレイカーが!
「なっ!」
「地面を!デストロイですわーー-っ!!」
尾が突くより先に疾く地を踏み込んだアイスエイジクイーンの足が、魔界の大地に超暴力エネルギーを叩き起こす。
即座に地面は破壊され、この場の何もかもが上空に吹き飛んだ。
地面、足場、地形、アイスミラーデビル、サブゼロブレイカー、アイスエイジクイーン、そしてアダムとゲドン・ザウラー、その手から離れてしまう茉莉。「きゃあああああっ!?」
「お~っほっほっほ!そのロボットは宙に浮く事が出来ますかしら!?」
同時に起こった寒波により凍り付いた、空に飛びあがった氷の瓦礫を次々と飛び移り、アイスエイジクイーンはゲドン・ザウラーを探す。
「(同時に補充しなければいけませんわね。サブゼロブレイカーを。補足しながら絶対零度の光を溜めて今度こそ吹き飛ばして差し上げますわ!)」
上昇する勢いが消えて、デビルキングワールドの天空から落下していく瓦礫の中アイスエイジクイーンが翼竜の様なものを見つける。
翼竜の様なものはお腹の辺りから放たれているワイヤーでゲドン・ザウラーを引っかけてふらふらと空を飛んでいる。恐らくは輸送艇か何かか。
そしてアイスエイジクイーンが別の所を見やると、光の球が幾つも浮いている瓦礫を見つける。
「(見つけましたわ!)」
先にとアイスエイジクイーンはその光球に近づく……。
だがそれはサブゼロブレイカーでは無かった!
「ぎゃ!……な……ん……ですって……!」
触れて纏おうとした光球から無限の光の魔法ビームが全方位に放たれる!
アイスエイジクイーンの身体が焼かれる!
その近くで自由落下落下していた茉莉が「てへっ」と顔を綻ばせる。
茉莉のユーベルコードによる光の文字を、丸め固めて作った無限の光の文字の塊だったのだ!
「こ、癪な、真似を!」
アイスエイジクイーンは氷武器を生成、振るって光の文字塊を弾き飛ばす。
その時、後ろで殺気がした。
「……っ」
「正直な説明が力になる事は分かった」
軸が合った。
「でも、やっぱり勝つなら隠したり嘘をつくのも必要だよ。」
コックピットからやや出て、ワイヤーで茉莉を巻き付け回収しながら。
アダムは時間を指定しての自動操作によって、白い光の球を纏った、凍りつつあるゲドン・ザウラーを動かしている。
――向きをアイスエイジクイーンにオート照準で固定。
『先に回収したサブゼロブレイカー』で、絶対零度故にややきついが急速冷却を完了。
発射口…開放。リミッター…解放。チャージ――
『怖いか?僕も怖い。だけど、今しかないと思ったら、勝手に体が動いていた!』
『全力を撃ち放て!Ex.roar(エクスティンクション・ロア)!』
滅びの如く宙に浮き破壊された魔界の空の中、一筋の閃光がアイスエイジクイーンを撃ち抜いた。
「…………」
デビル太陽によって氷解していく凍てついた世界。
大の字になって倒れ、敗北したアイスエイジクイーンがそこにいた。
「悔しい。」
アイスエイジクイーンはよろけつつ立ち上がる。
「悔しい、悔しい、悔しいですわー!」
そして、氷の涙を流して泣いた。
「地道な努力をしてワルワルを魔界各地に進出し、着実にデビルキングに近づいていたこのわたくしが……キーッ!」
そして用意していたハンカチで涙を拭くと、猟兵達に向き直ってずびしと指を指す。
「覚えてらっしゃい!ラスボスは何度でも何度でも蘇りますわ!いつかまた次のKINGを決める決定戦でお会いしましょう!必ずですわよ!必ずですわよーっ!」
負け惜しみを言いながら氷河期の吹雪を展開し、姿をくらませるアイスエイジクイーン。
後には荒れ果てた魔界の空と大地が広がるばかりであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴