7thKING WAR㉓〜かわいいはつくれる
●かわいいはつくれる
どんちゃんどんちゃん、どんどこどんどこ。
停泊している戦艦の中で賑やかな音楽が流れ、愛らしい美少女達が踊り狂っている。
「うんうん、その調子だよ、皆。今日も可愛いね」
「わーい、パラダルクさまがほめてくれたー」
「もっとがんばりまーす!」
ぱちぱち拍手する初老の男は、端正な貌に笑顔をのせて少女達を褒めちぎる。その言葉に頑張るぞ、と気合を入れた彼女達は、みんな仲良くどんちゃんどこどこ。
「……あ、やっぱり猟兵、来ちゃったかい?」
なんだこの状況、と言わんばかりに立ちはだかる猟兵達を見て、未来を体現した魔王はうーんと小首を傾げる。
「いやあ、参ったなあ……どうしても、僕を見逃してもらう訳にはいかないのかい?」
うーん無理じゃないかな。
●それもまたかわいい
銀糸の髪をひとつにまとめた青年が、やぁ、と集まった猟兵達に声をかける。
「はじめまして、僕は刻ヶ崎・さざれ(眩月・f35017)、今回皆を戦場に送り届けるグリモア猟兵だよ。挨拶はこれくらいにして、早速内容を聞いてもらえるかな?」
「皆に赴いてもらうのはデビルキングワールド、今まさに絶賛戦争の真っ最中だね。オブリビオンフォーミュラのガチデビルが、特級契約書で呼び寄せた『異世界の魔王』であるパラダルクと戦ってもらいたいんだ」
あ、知ってる。何人かの猟兵がそんな顔をした。え、なに? みたいな初見の皆さんにも、さざれが説明しよう。
「うん、そのパラダルクは、スペースシップワールドの戦争に登場した戦艦と同じものに乗って来ているんだけど、その中でなにか怪しい儀式を行っているんだ。彼を倒せば儀式は止まるんだけど、パラダルクは『万物を女の子(ドラグナーガール)に変えるユーベルコード』を持ってるんだ」
いやちょっとよくわかんない。正直にそう話した猟兵に、僕もよくわかんないなぁとさざれは笑う。
「物や自然現象、こちらの攻撃、時間という概念も女の子にしちゃうらしい。頭がおかしい力だよね、ふふ。あ、ちなみに皆美少女らしいよ」
知らんがな。
「未来を司る力を体現したパラダルクは、必ず先制攻撃を仕掛けてくる。まずはその対処をしなければ、君達は必ず負けると思ってくれていい。とはいえ、先制攻撃を対処してもパラダルク本人を倒すのも難しい。儀式の舞いを踊るドラグナーガール達を全員倒したほうがてっとりばやいと思うな」
青年が転移の準備を始めれば、銀の月が浮かんで、くるりと淡くひかりを放つ。
「ああ、もし自分のユーベルコードや武器が女の子になるのを見たいなら、それもありだとは思うよ?」
いやちゃんと仕事します。猟兵達はチベスナ顔で言った。
遅咲
こんにちは、遅咲です。初老のほうが好みです。
オープニングをご覧頂きありがとうございます。
●注意事項
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「7thKING WAR」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す。
ユーベルコードや武器が女の子になった時の指定があればどうぞ。
特になければ遅咲の趣味の美少女になりますが、わざと失敗のようなプレイング、過剰に性的な内容は不採用が高いです。
グループ参加は「2人」まで。
難易度は「やや難」です。リプレイの雰囲気はゆるふわです。
戦争シナリオのため、青丸達成の最低人数のみ採用します。
再送のお手間をおかけすることもあります。
皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『召喚魔王『パラダルク』ディアブロホワイト』
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POW : ガールズ・ポシビリティ
自身の【下僕であるドラグナーガール】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[下僕であるドラグナーガール]は【可能性を使い果たしたこと】により破壊される。
SPD : フューチャー・ルーラー
【ドラグナーガール達と連携し、精神支配魔術】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【以降の動き方や使用ユーベルコード】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : パラダルク・フューチャー
召喚したレベル×1体の【ドラグナーガール】に【ガルベリオン鋼の機械兵器とダンス技術】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルイ・エルドレッド
『なんダ、あの小娘共は』
「何でも女に変えれるんだってさ」
と敵の様子を見ている隙に敵の攻撃がルイへと向けられる。一瞬、判断が遅れる。このままでは攻撃を受けると思った瞬間、自分の装備している剣が光る。
「!?」
ルイへの攻撃を止めたのは、自分の剣……が女の子化した者。その姿はこの剣をルイへ授けた母(そだてのおや)に似ている。その目からは『隙を見せるな!』の意思を感じる。
「悪い、ちょっとミスった」
真剣な眼差しに戻りそう言うとUCと世界浸食ソフト『OPUS』を発動。剣に[斬撃強化、高速化、弱点特攻]を付与、自分は爆破の【属性攻撃】を駆使した銃で連携攻撃を繰り出す。今までの【戦闘知識】を相俟って、隙は無い。
どんちゃかどんちゃか、ひたすらに踊り狂うドラグナーガール達を眺めていると、ルイ・エルドレッドの影からぬるんと相棒の魔獣の声がする。
『なんダ、あの小娘共は』
「あいつが何でも女に変えれるんだってさ」
青年にあいつ、と名指しされたパラダルクは、おや、とルイに視線をやる。やぁ、と少し朗らかに笑ってみせて、一瞬。
「皆、彼を踊りに誘ってあげたらどうかな?」
すぐにはーいと返事をしたのは新たに喚びだされたガール達。きゃいきゃいした挨拶と共に、どかっと巨大な鋼の機械兵器の砲口が一斉にルイに狙いを定める。その速さといったらあっという間で、魔王が生やしたダンス技術の賜物なのかもしれない。
「な、」
とはいえ判断が遅れたルイも、どう攻撃を凌ぐべきか思考を素早く移行。武器、あるいはユーベルコードで防御したとして、攻撃を受ければ美少女化――いやなんだそれは。
わずかな瞬間の間に、携えていた騎士の剣が輝きを放つ。青年が驚いたのと、勝手に剣が宙を踊ったのは同時。
無数の砲撃を浴びた騎士の剣は――凛々しい美少女剣士を姿をしていた。
『おい、ただの冗談じゃなく女になるのカ』
どこか愉快そうに笑った魔獣の隣、ルイはといえばその姿にどことなく見覚えがある。たった今自分を庇ってくれた剣を授けてくれた母《そだてのおや》……いやもうちょっと目つきが怖かった気もするが。あともっと筋肉ついてなかったか。
そんな風に頭の隅で考えていたのがばれていたのか、美少女剣士はぎろ、と青年を睨みつける。
(……隙を見せるなってことか)
「悪い、ちょっとミスった」
戸惑いを振り払って、すぐさまソフトウェアを起動。ワールドハッカーによる世界改変と浸食によって、剣士はみっつのエフェクトを付与される。
高速化を得た彼女は瞬時にガール達を斬り結び、パラダルクへと突撃。おっと、とその斬撃を躱した瞬間を狙って、ルイはライフルの銃口を向ける。
たん、と放たれた銃弾は爆発を引き起こし、残ったガール達もろとも、魔王に力強い銃撃。
「今のは少し驚いたな。彼女と仲がいいのかい?」
『だとヨ?』
此度は敵も味方もうるさくて困る。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
とんだハーレム野郎だ!
羨まし…けしからん能力を持ちやがって!
ま、さっさと退場してもらえると助かるんだけど…どうかな?
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
戦艦内を選んでくれたのはありがたいね
『メカニック』の知識と『ハッキング』で艦内の設備を把握
艦の中なら…消化設備くらいあるはず
スプリンクラーを起動、そして『斬撃波』で消化設備に関係ない電気設備に攻撃
漏電させて敵の機械兵器にダメージを与えて此方への攻撃を鈍らせよう
それでも此方に来る敵は剣で『なぎ払い』斬り裂こう
そして【断章・不死鳥召喚〈超越進化〉】起動
大体半分の不死鳥で敵の足止めを
残りを突撃させ踊るドラグナーガール達を斬り裂く!
「とんだハーレム野郎だ! 羨まし……けしからん能力を持ちやがって!」
月夜・玲は完全に本音が出た。美少女をつくれるなんて許せませんからね。なにはともあれ、女はこほんと咳払い。
「ま、さっさと退場してもらえると助かるんだけど……どうかな?」
ちらと周囲を見渡すも、美少女達は舞うのをやめる兆しはない。パラダルクもぱちぱち拍手で音頭をとっている。なんかめちゃくちゃ楽しそうだな、と思うとまた腹が立ってきた。
とはいえ、儀式の舞台を戦艦内に選んでくれたのはありがたい。黒剣と黒光刀を抜刀しつつ、手早くメカニックの知識を生かしたハッキング能力がひかる。電線や回路の配置をあっという間に確かめれば、艦内設備を把握してみせた。
「っと、なるほど」
「……ふむ、仕掛けてくるつもりだね」
女の動きに気付いたパラダルクが、先手を取られまいとすぐさまドラグナーガール達を喚びだす。機械兵器をお気に入りのアクセのように軽々と構える美少女の群れに、玲はひゅう、と口笛ひとつ。
「いっくよー!」
一人がそう合図すれば、おっけーと全員が射撃準備に入る。充填されたエネルギーが放たれるよりも先に、女は青い鳥の名を持つ光刃を振るってスプリンクラーを壊す。更に二振りの刃で電気設備を一気にたたっ斬れば、ばちばちばりばりと嫌な音が走る。
「え!?」
そう――機械を扱う際最も恐れるべき事故、漏電。いくら高度な技術であろうと、電気を用いた機械兵器であればその機能はダウンする。それどころか、ガール達もいきなり自分の身体に巡ったびりびりショックに驚き半泣き。
「女の子を泣かすのは趣味じゃないんだけど、ごめんね!」
ふえーんと涙声になりつつも、機械兵器を手放し卓越したダンス技術で此方へと迫る美少女達を愛剣で薙ぎ払う。
最初から、パラダルクを狙おうなどとは思っていない。こういう時は効率が一番。指でなぞったシステムが数秒も経たずに展開されて、千二百を越える蒼い焔を纏った不死鳥の群れが再現起動した。
主の無言の命令に従って、半数の不死鳥達は蒼々燃ゆる翼で機械兵器が焼き斬る。そうして残りの半数は、儀式をやめず踊り狂うドラグナーガール達を斬り裂いた。
愛らしい悲鳴をあげてかき消えていく美少女を見て、魔王は瞬き。
「これはこれは、不思議な技術だ」
「褒め言葉として受け取っておくよ!」
それはそれとしてパラダルクの能力もなんとか再現できないだろうか。ちょっと思った。
成功
🔵🔵🔴
結・縁貴
【金翠】
俺のUCや武器が女になっても俺に似てそうで楽しくないな
マナセが女になった方が楽しそう
そういう話じゃない?まァそうだね
事前準備
場と俺の御縁を斬って隠匿するよ
マナセを犠牲に先制攻撃を受けずに回り込む
嘘噓。見捨てないよ
俺の存在を把握される前にマナセの「敵からの支配」の御縁を斬ろう
格上の術だ、長くは斬れないけど、マナセなら一瞬斬れれば十分だろ
回りこんだ間にドラグナーガール達の「舞踊」の御縁を斬る
踊れなくなればこっちのもの!
俺の仕事は終了、俺が干渉されても後はマナセの仕事だ
祝好…哎呀、美少女じゃん…
ドラグナーガールもマナセが下したし、残党が居ても暫く踊れないし
逃げるか!
離れたら戻る?…戻るよな?
マナセ・ブランチフラワー
【金翠】
武器やUCを美少女にして操るというなら、UCで強化した己の身で攻撃すれば、美少女になるものが無いのでいけるのでは?(フラグ)
【血統覚醒】。縁がUCを発動するまで、囮の意味でも正面から挑みます
【オーラ防御】のバリアを女の子にされてる間に全力で走れば、間合いの内まで近寄れませんかね
僕に支配が届いても、縁が断ち切ってくれます
そうしたらパラダルクを殴る――と見せかけ、背後のドラグナーガールを倒しましょう
女の子相手でも、ちょっと手加減はできませんね。忌々しいことに、残虐な吸血鬼の血がこの身に流れていますので!
……ところで縁は、どうして僕をすごい顔で見ているんでしょう?
首を傾げつつ、逃げる準備を。
なんともおかしな能力と踊り狂う美少女達の前に、少年二人は顔を見合わせる。
「俺のUCや武器が女になっても俺に似てそうで楽しくないな。マナセが女になった方が楽しそう」
そういう話じゃない? まァそうだね、なんて結・縁貴が軽く冗談めかせば、マナセ・ブランチフラワーはうーんと考え込む。
「武器やUCを美少女にして操るというなら、UCで強化した己の身で攻撃すれば、美少女になるものが無いのでいけるのでは?」
「なるほど?」
おめでとうございます、立派なフラグが成立しましたよ。しかし建設したマナセ本人はそうとはつゆ知らず、金の双眸を深紅に染める。ヴァンパイアへとその身を変貌させたダンピールは、たん、と勢いよく跳躍。真正面からパラダルクへと駆ければ、純白の外套が翻る。
すぐさま騶虞はすらりと鋏を取り出して、ばちんとひとつ、御縁を断つ。戦場と自身のえにしを断ち斬れば、そこに居る猟兵はヴァンパイアただ一人のみと錯覚させられる。
「おや、真っ向勝負かぁ。この姿の僕は、そういうのは少し苦手なんだ」
困ったように笑んだパラダルクが、おいで、とドラグナーガール達を手招く。はーい、と元気よく返事をした美少女達が、一斉にパラダルクの前に割り込み、マナセへとダンスにも似た格闘術を仕掛ける。白く輝くオーラで近接攻撃を弾いて美少女ダンサー達の合間を全力で突っ切れば、魔王はすぐそこ。
「ああ、君。愛らしい顔をしているね。きっととってもかわいくなれるよ」
「褒められてる気がしません、ね……っ!?」
すっと目を細めて笑む魔王が掌を翳したのと、ばちんと御縁が断たれた音はほぼ同時。存在を隠匿した騶虞がパラダルクの後方に回りこんで、マナセへの支配を断絶する。何故だか美少女に変化しない猟兵を見て、魔王は不思議そうに首を傾げる。
(長くは斬れないけど、マナセなら一瞬で十分だろ)
格上の術だと理解しているからこそ、瑞獣は同居人を信頼している。すぐに彼は次の仕事を進める。
かき消えたままの存在で、ずんちゃかずんちゃか踊りふけっているドラグナーガールに鋏を向けて、ばちん、ばちん!
「あ、あれ」
「なんでぇ、急に踊れなくなっちゃった」
「パラダルクさまーおどれないよー」
突然その場で崩れ落ちていく美少女達の声に、魔王は振り返ることなくぴくりと片眉を動かす。支配から逃れたマナセの拳がパラダルクに襲いかかる――と、誰もが思った時。
成人未満の少年の身体は魔王をすりぬけ、背後で踊り続ける美少女達をぶん殴る。長い脚にまとめて薙ぎ払われる以外にも、マナセが倒さずとも踊りをやめてしまうドラグナーガール達が続出していく。
それが、騶虞による『舞踊』との絶縁効果であることを知る敵は居ない。マナセが黙している限り、瑞獣の存在は秘められたまま。
「猟兵というのは、女の子相手に容赦がないんだね」
「忌々しいことに、残虐な吸血鬼の血がこの身に流れていますので!」
ふふ、と微笑を浮かべたまま、パラダルクは掌を再び翳してマナセに瞬きひとつ。
「トリックの仕掛けを教えてくれそうにもないし――今度は効くかな?」
ふいに身体のバランスに違和感を覚えるも、あらかた倒し尽くしたマナセは身を翻して全力ダッシュ。
それまで隠れ続けていた騶虞も姿を現して、長い尻尾を揺らしてグリモア猟兵の待つ場まで逃げるが勝ち。
「マナセが下したし、残党が居ても暫く踊れないでしょ……って祝好……」
哎呀(あいやー)。思わずそんな言葉がこぼれたのは、共に走るマキセの姿を見た時。
「……縁、どうして僕をすごい顔で見ているんです?」
「いや、なんでもない! さっさと逃げよう!」
「あ、はい」
「離れたら戻る? ……戻るよな?」
どことなく冷や汗をかきながらぶつぶつ呟いている瑞獣の姿に、ダンピールははて、と首を傾げ続けていた。
いやあ立派なフラグでしたね、とってもかわいいことになっていますので皆さん脳内保管しましょう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ロベルタ・ヴェルディアナ
パフォーマンスで身体機能上げてから封印を解いて準備。
それから多重詠唱しながら限界突破で【雷神の大槌】発動。
威力と速度は継戦能力で維持してドラグナーのねーちゃんへ。
…う? この技って女の子が現れたっけ?…まーいいや♪
このねーちゃん僕の蹴りを真正面から反撃で受け止めたじぇ♪
さっきよりも攻撃と動きが違うのはパラダルクが何かしたねぃ。
(パラダルク:ガールズ・ポシビリティ使用)
構わず重量攻撃と鎧砕きに鎧防御無視を加えた【雷神】で攻める。
回避は見切りに野生の勘と第六感。周囲警戒も同じスキルで。
今回は僕一人だからねぃ。相手のねーちゃん達には注意しないと♪
ねーちゃん達倒してパラダルクを後退させたら女の子とハイタッチ。
「うぇ~い♪ 誰だか知らないけど、協力ありがとーねぃ♪」
「楽しそうだねぃ、ねーちゃん達!」
ずんちゃか踊り狂うドラグナーガール達とそれを見守るパラダルクを前にして、ロベルタ・ヴェルディアナは自分のパフォーマンスをよいしょっと向上。いくつものおまじないの言葉を同時に唱えて、ちいさな両脚が雷撃を纏う。
「おや、君も一緒に踊るかい? きっととても楽しいよ」
「悪いことをするためのダンスなら、やめとくじぇ♪」
「それは残念」
ロベルタが微笑む魔王の誘いに首を横に振ったのと、彼女めがけて一人の美少女が飛びだしたのは同時。反射的に駆け出し踏み込めば、相手の卓越したダンス技術による拳と、ロベルタの回し蹴りから発せられる風圧がぶつかり合う。
途端、現れたのはポニーテールを跳ねさせた美少女。悪魔の翼と天使の輪を持つ彼女は、ぴょんこと跳ねてロベルタに手を振った。
「……う?」
このユーベルコードって女の子とか現れたっけ。
「……まーいいや♪」
けっしてロベルタちゃんはお気楽アホの子な訳ではない。ただちょっと元気いっぱいで、どうでもいいことはさくっと他所で投げっぱなしにするのが得意なだけである。
新たに飛びかかったドラグナーガールは、再び片脚に雷撃を集めて一気に蹴り飛ばしたロベルタの力を、真正面から同じ動作の蹴りで受け止めた。ロベルタはきょとんとした顔で、その反撃について思考を巡らせる。
(さっきよりも攻撃や動きが違うのは、パラダルクが何かしたねぃ)
なら、此方は威力を増やすだけ。身を低く屈めて、超光速で疾駆。相手が可能性を潰してかき消えるよりも速く、ず、と蹴りに重さを叩きこむ。
此度のイカれたゲームには僕一人。それを自覚しているから、周囲への警戒も怠らずにいたところ。
「う? ねーちゃんも一緒?」
雷撃に重なるように、ポニテガールが駆け出す。直線を共に奔る少女達は、せーので一緒に鋭い蹴撃をどーん!
グリモア猟兵の言う通り、パラダルクよりもドラグナーガール達を一斉に蹴散らす。舞の儀式を邪魔された魔王は、ほう、と感心した物言いで。
「そういう使い方とは……なるほどね」
「誰だか知らないけど、協力ありがとーねぃ♪」
うぇーいとハイタッチすれば、ポニテの美少女はロベルタに似た笑顔で頷いた。
成功
🔵🔵🔴
マリューズ・アビスマリア
あら、素敵なおじ様。少し枯れた感じがまた深みを感じ…ないわね、何でか。
時間を操る力が裏目かしら。
ま、何にしても此処は退いて貰いましょ。
ドラグナーガールは飛べないっぽいから、まず普段の【空中浮遊】能力を活性化させ天井近くまで上昇。
ここから、敵の跳躍や遠距離攻撃を【空中機動】して避けたり、【結界術】で展開した障壁で防いだり、深淵鏡から閃光放っての【目潰し】で怯ませ攻撃機会を奪ったりして効果切れを待つわ。
にしても、代わりなんて幾らでもいるから平気、みたいな顔ね?
やっぱり嫌な男だわ、自分が作ったモノだからどう扱おうが自分の勝手だなんて。
最期までちゃんと愛情を注いで欲しいところよね?
ともあれ反撃よ。
母なる海の抱擁。呼び寄せた海水で戦場を満たしパラダルクもガール達も締め上げにかかりましょ。
パラダルクに向けた分はガール化されるでしょうけど…周りの子達はどうかしらね?
自分以外放ったらかしも有り得るけど。
流石に踊るガールは守る可能性あるから、UC発動中にそっち目掛けて深淵鏡から【レーザー射撃】するわ。
「少しばかり邪魔が増えてきたけど、頑張ろうね皆」
「はーい!」
困ったように微笑みつつ、初老のパラダルクはドラグナーガールを励ましていく。それに応じるようにどんちゃか踊り始める美少女達を眺めてから、マリューズ・アビスマリアはパラダルクへと視線を向ける。
「あら、素敵なおじ様。少し枯れた感じがまた深みを感じ……ないわね、何でか」
時間を操る力が裏目かしら、と女は呟く。確かに自分で年齢操作していると思うと、イケオジである時期を永遠に留めている傲慢さが感じられる――ま、なんにしても。
「此処は退いて貰いましょ」
巨大な鯨の身体をもつ娘は、空中浮遊の能力を活性化。ふわりと浮かんだその身を見上げて、おや、とパラダルクは言葉をかけた。
「これはまた魅力的なお嬢さんだ、とはいえ、これ以上邪魔をされては困るからね」
指を鳴らすと同時に、一人のドラグナーガールが元気に返事をする。直後、たん、とダンス技術による跳躍がマリューズを襲う。すぐさま紡がれる結界のおまじないは、海水で出来た障壁を生みだす。
大きな音と共に弾き飛ばされた娘は、小型の機械兵器を構えて引き金をひく。それは困るのよね、とマリューズが瞬きすれば、身の丈程の鏡が宙を踊る。
ぴかぴかと戦場を輝かせる閃光が迸ると、美少女はきゃっとかわいい悲鳴ひとつ。大事なのは三分間、ドラグナーガールの攻撃を躱し続けて効果切れを待つこと。
しばらくすればマリューズの思惑通り、少女の姿がかき消えていく。それを見送るパラダルクの表情に一切変わりはなく、彼女にかける言葉もない。
「代わりなんて幾らでもいるから平気、みたいな顔ね?」
「残念だとは思っているよ、多少ね」
うん、もうちょっと役に立ってほしかったなって。にっこりわらった魔王を相手に、鯨の娘は眉を顰める。
「あなた、やっぱり嫌な男だわ」
自分が作ったモノを、どう扱おうが自分の勝手。そんな考えが透けて見えたものだから、ときめかなかったのも頷ける。顔はいいんだけどなぁ。
「最期までちゃんと愛情を注いで欲しいところよね?」
「うーんと、よくわかんない!」
「ワタシたちはパラダルクさまにほめてもらえたらうれしいしー」
きゃっきゃうふふ。なんとなく尋ねてみたものの、ガール達もよく考えていないらしい。ならば仕方がない。反撃のお時間です。
ぴちゃん。はじめは一滴の海水は水たまりになって、いつしかごうごうと渦を巻くほどの海流へ。巨大な津波は魔王と美少女達を押し流そうと戦場に満ちていく。
するとパラダルクの周囲には、水着姿の美少女達が出現。魔王を囲んでビーチボールで遊び始めた。ここは水着コンテスト会場ではないし、リクエストは六月中旬からである。
「パラダルクの趣味がもろに出るわね、これ」
とはいえ、他のドラグナーガール達は悲鳴をあげる間もなく、海水に流され消えていく。
「君達、遊ぶ前に仕事を頼むよ」
魔王から指示を出された水着ガール達が、身体を張って儀式の踊り子達を庇おうとするのを、なるほど、とマリューズは頷く。
「自分で守ろうとはしないのね――本当に嫌な男」
深淵を覗くための鏡が、さきほどの閃光に似たビームを撒き散らす。津波と同時に受けてしまえば、踊り子だってひとたまりもない。
「あなた達も、母なる海のなかで眠りなさいな」
そんな男の腕より、よっぽどいいはずでしょう?
大成功
🔵🔵🔵
浅間・墨
パラダルクの魔法攻撃(精神支配)を【鏡映】で対応します。
思ったのですが…目の前に鏡を持った女の子が現れました。
…あれ?…こういう…技…でしたっけ?鏡映って…?
とりあえずパラダルクの魔法を返した…ようなので良しです。
どうやらこれがグリモア猟兵さんが言っていた現象のようで。
女の子が出現した理由に得心がいったので一緒に戦います。
「よ…しく…願い…ま…ね…」
鏡映さん(仮名)と協力してパラダルク達を追い詰めます!
私の技を擬人化するとこんな感じの女の子になるんですね…。
他の技も試したくなります。今回は鏡映だけですけれど。
パラダルクの魔法を反射させながら『兼元』で斬ります。
斬る際は早業と刃に鎧砕きと鎧防御無視攻撃を纏いますね。
魔法は鏡映さんに対応して貰い私は囲う女の子達の対応を。
最後に鏡映さんを撫でて労おうと思います。
「助…りま…た♪ い…も感謝…で…♪」
まだまだ踊るのをやめる素振りのないドラグナーガール達を、不思議そうに見つめていたのは浅間・墨。彼女達は全て、魔王パラダルクの生み出したものだと聞いているけれど。
(普通の、女の子に見えます、ね)
どんちゃか踊り狂う美少女達から視線を外し、墨はパラダルクを見る。彼女の眼差しに気付いた魔王は、にこ、と笑みを返す。
途端、それが合図だったのか、複数の美少女達が踊りながら魔法陣を展開させる。さぁ、と言葉を紡ぐ魔王の見えない魔法攻撃が、墨の脳裏へと襲いかかる。
ぱちりと、前髪に隠された両の瞳が魔王を見つめ返す。鏡映しの妙技が跳ね返すよりも速く、目の前には鏡をもった少女がふわりと降り立つ。
「……あれ?」
鏡映って、こういう技でしたっけ。思わずきょとんとした墨を守るように、手にした鏡がばちばちと精神支配を弾き飛ばしていく。返されたそれらは美少女達の脳へと滑り込み、ふにゃ、とパラダルクに笑顔を向ける。
「わーいパラダルクさまー」
「もっとほめてー」
既に魔王の支配下にあるガール達にはあまり無意味ではあったものの、戦意は喪われてしまったらしい。おやおや、と困ったような笑顔を浮かべて、男は墨へと尋ねる。
「君はいわゆる姫巫女かな? そんな刀は似合わないと思うが」
返事をかえすことなく、墨は鏡を持った少女を見る。どうやらこれこそ、グリモア猟兵の言っていた現象に違いない。概念を女の子化するという頭のおかしさは理解できないが、まぁ納得はできる。墨ちゃんは頭の切り替えが早いのである。
墨とよく似た服装の、ショートヘアの美少女は華やいだ笑顔を見せる。一緒に戦うよ、と言いたげに鏡を掲げて、主の返事を待っているようだった。
「よ……しく……願い……ま……ね……」
こちらこそ、と再び笑顔を見せた鏡映ちゃんと共に、墨はパラダルクと美少女達の元へと駆ける。パラダルクと美少女達の魔法陣から放たれる精神攻撃ビームは、なおも墨を狙う。けれど、そうはさせるものかと鏡映ちゃんがすぐさまそのビームを反射させる。
「ふふ、僕達の連携を超えられるかな?」
「……えて、みせ……ま……!」
ふたりの巫女が駆け抜けて、かたわれは鏡を操りビームを乱反射。もうひとりが振るう太刀は美少女達を一気に薙ぎ払い、なんともかわいらしい悲鳴をあげて消えていく。
それが少しだけ申し訳ないとは思うものの、悪事を見過ごすわけにはいかない。墨が目にも止まらぬ速さで斬り裂いていけば、踊り子達は次々とかき消えていった。
「これは困ったな、想像以上に元気なお嬢さんだったとは」
やれやれ、と肩を竦める魔王をよそに、墨は鏡映ちゃんの頭を撫でる。
「助……り、ま……した♪ い……も、感謝……で……♪」
途切れ途切れの労わりの言葉は、鏡の巫女に確かに届いたようで。これからも任せてね、と言うように、少女は墨に自信満々などや顔を見せてくれた。
大成功
🔵🔵🔵
御簾森・藍夜
美少、女……?いや何故
まあ、言ったところで仕方がない
猟兵らしく仕事を始めるとしよう
美少女化には鴉を開いて盾替わりに【見切り
を、したせいで鴉が美少女になったら一瞬動揺する
いやそりゃそうだろさっきまで傘だったのに女の子にって……ああ、もうっ!
少女を殴る趣味は無い。が、――仕事と割り切って踏み込む
梟葬の【威嚇射撃と誘導弾でパラダルクと少女達の意識を逸らして、黒鷹で打ち込むふりをし、UCを使用
豪雨と万雷の嵐の中では踊れまい
鴉が美少女になったところで、なんというか持ち主の俺のせいか無表情というか……何だろうなこの既視感は
かなでだったら違いが分かるのか……?
とりあえず、その、盾にしてすまなかったと謝罪を
グリモアで転移されてからも、御簾森・藍夜は考え込んでいた。
「美少、女……?」
眼前では随分減ったドラグナーガール達がまだどんちゃか踊り続けている。それを励ますようにがんばれーと拍手をするパラダルク。なんだこの状況。
新たな猟兵の登場に、にこ、と目を細めて魔王は微笑んだ。
「おや、随分と背の高い……君なら、高身長の美人さんになるだろうね」
「いや何故」
本当にそう。とはいえ、転移後もそんなことを言ったって仕方がない。藍夜お兄さんは猟兵らしく仕事を始めることとする。
ダンスを踊る美少女達が展開するのは魔法陣。そこから生み出されるスーパー洗脳ビームの乱射と、魔王の精神支配の魔法攻撃が妖しい眼差しと共に藍夜へと吹っ飛んでくる。
その場からふっと退きながら、迷わず黒い細巻の傘を開く。盾として役目を果たした鴉と呼ばれる愛用の傘は、あっというまに人の形を成していく。
「えっ」
流石の藍夜さんも動揺した。鴉の翼を生やした黒ゴス美少女は淡々とした表情で主を見ている。
「お気に召したかな?」
「いや気に入ったとかそういう話ではなくて……ああ、もうっ!」
魔王は良い贈り物ができたと満足げに尋ねてくる。思わず彼のペースに流されかけたところで、冷静さを取り戻す。
「少女を殴る趣味は無い――が、これは仕事だ」
割り切ることには慣れている。狙撃銃による威嚇射撃は、放たれた銃弾が自由自在に魔王と美少女達を追いかけ回す。きゃあきゃあと慌てだしたガールを落ち着かせようと声をかけるパラダルクの意識が逸れた瞬間、青年は彼へと接近。
「っと、直接殴りに来るかい?」
振るわれる黒の警棒がパラダルクを狙ったと同時、させるものかと美少女達が二人の間に割り込む。
「そう来ると思っていた」
少女達を盾にすることくらい、それまでの動きでわかりきっている。打ち込むように見せかけての不意打ちは、銀色の雨粒が魔王の頬に落ちたことで成功する。
戦場を土砂降りが襲い、万色の煌びやかな稲妻が踊り狂っていたドラグナーガール達を襲う。
「やだー雨降ってきた!」
「雷すごいよパラダルクさまー」
美少女達の慌てっぷりは更に増して、儀式がさらにめちゃくちゃになっていった。
さて、と役目を果たした藍夜は、愛用の傘の一時的変貌を受け止めなくてはいけない。
「……何だろうなこの既視感は」
持ち主である自分のせいか、鴉ちゃんは無表情がすごい。愛するかわいい彼なら表情の違いもわかるのだろうか。
「とりあえず、その……盾にしてすまなかった」
多分怒ってないよ、多分。
大成功
🔵🔵🔵
柊・はとり
誰か知らないけど解放してくれて有難う
僕は偽神兵器コキュートス
今は『柊はとりの双子の妹のような姿』だけど…
中々可愛いじゃないか
流石僕のホームズだ
先制攻撃ははとりを盾にして凌いでおくよ
気絶させておいた方が面倒がない
どうせ彼の記憶は操作するけどな
はとりが戦闘不能になっても
僕がきみ達と戦えばいいんだろ?
コキュートスのAIは優秀なんだ
本当はね
はとりの継戦能力なら3分位持つだろうけど
万一壊れると困るな
氷属性攻撃で猛吹雪を起こし
寒さで下僕共を麻痺させ妨害するよ
3分耐えたらUCで事件解決しよう
踊る人形が犯人なんて最高だ
行こうはとり…夏海箱音は死んだよ
僕が殺した
ワトソンは一人で充分
きみを傷つけていいのは僕だけだ
柊・はとりは考えていた、また厄介なトンチキ戦場に呼びだされたことについて。
「男が美少女になってどこに需要があるんだよ……」
「僕に需要があるよ。きっとかわいいだろうね」
パラダルクは笑顔ではとりの独り言に返事をした。節操なさすぎでは? というつっこみをする前に、男の笑みは妖しく深まる。
『魔力攻撃を 感知しました』
ぱちん、とウィンクひとつに込められた、見えない精神支配が少年を襲う。迷うことなく手にした魔剣で防御した次の瞬間、彼の手には刃がなくなっていた。その代わり、
「……誰だお前」
「やぁ、はとり」
思わずそう零したはとりの眼前には、少年と瓜二つの少女が立っていた。アッシュグレーのショートヘアに薄氷の眼差しは、はとりとよく似ている。双子の妹と言っても差し支えないような彼女の服装は、馴染みある母校の女子制服。
「誰か知らないけど解放してくれてありがとう、僕は偽神兵器コキュートス」
「はぁ!?」
少女の返事に素っ頓狂な声をあげるはとりとは裏腹に、パラダルクはどういたしまして、と微笑み返す。
はとりの偽神兵器を名乗った少女は、ポケットからコンパクトミラーを取り出して身だしなみチェック。
「うん、中々可愛いじゃないか。流石僕のホームズだ」
「お前何言って……うわっ」
一人のドラグナーガールが襲いかかった瞬間、コキュートスはあろうことかはとりの腕を掴んで無理矢理前へとぶん投げる。ガールの強烈な蹴りが命中した少年はあっという間に気絶した。これにはパラダルクさんもちょっとびっくり。
「彼は主人じゃないのかい?」
「気絶させておいた方が面倒がないんだよ」
どのみち記憶は後で操作するのだし。何も問題はないと言いたげに、コキュートスははとりに似た貌で笑む。
「僕がきみ達と戦えばいいんだろ? コキュートスのAIは優秀なんだ」
本当はね、と人差し指を立ててみずからの唇を塞ぐ。ぶっ倒れたままのはとりを放置していても、三分くらいは保つだろう。とはいえ、万一壊れても困る。
コキュートスの足元からふわりと立ち昇る冷気は、猛吹雪と化してガール達を一気に小声させていく。
「さ、寒! なにこれ寒い!」
「やだー動きたくないー」
ぴえんと涙目でがたがた震える彼女達が、はとりに手出しできないうちに。コキュートスは少年を吹っ飛ばしたガールとキャットファイトを開始した。
「肉弾戦は嫌いじゃないよ」
蹴りと拳の応酬は、カップ麺ができあがるまでのわずかな間。冴え渡る人工知能が三分経過を認識すれば、むくりとはとりが起きあがる。
「ふふ、さぁ、事件解決のお時間だ」
光の燈らぬ少年の眼差しは、なんとか踊り続けていた美少女達を撲殺、殴殺、蹴殺。踊る人形が真犯人、そんなの誰も知りえっこない。
「行こうはとり……夏海箱音は死んだよ」
――だって僕が殺した。
「随分と厄介な子に好かれているね、君は」
儀式を失敗させられたパラダルクがそう呟いたとて、はとりの胸には届かぬまま。完全に意識を奪われ、ぶつりと動かなくなった少年を抱きかかえて、少女は戦場を去る。
「ワトソンは一人で十分――きみを傷つけていいのは僕だけだ」
これはそういう、ミステリーラブコメディである。ほんとかなぁ!?
あれだけ居た美少女達が一人も居なくなり、魔王は肩を竦める。
「今回は僕の負けってことか」
それでも、と魔王は呟く。諦められないものがある、奪いたい奴がいる。
「まぁ、かわいい子達を堪能できたと思って、今日は退こうとしようか」
次は猟兵全員が女の子になってくれるといいなぁ、なんて思いながら。
大成功
🔵🔵🔵