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7thKING WAR㉕~何はともあれデストロイ

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『デストロイキングボス』

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#召喚魔王『デストロイキングボス』


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 この世界にはデストロイが足りぬ。
 まるで足りぬ!
 世界とはパワーである。突き詰めれば世界はデストロイである。
 何故ならパワーがあればデストロイ出来るからだ。
 世の中はデストロイが支配している。
 我は此処で待とう。急造のキングダムで。

 ガチデビルを倒すというなら、まず我をデストロイするが良い!
 ビューティスパイダーを介して全ての世界をデストロイするという我の夢……これだけは、デストロイさせぬぞ!!

 デェェェェェ……ストロォォォォォイ!!



「で、床パンチして大地がデストロイしちゃう訳」
 ヴィズ・フレアイデア(ニガヨモギ・f28146)もデストロイ語に目覚めつつある。
「……すまない。余りに変な予知だったもので影響されているようだ。魔王デストロイキングボス――彼はガチデビルが特級契約書で呼び寄せた“異世界の魔王”だが、デビルキングワールドにかつていた“デストロイキング一族”の始祖ではないかとも言われているね。兎に角戦法はデストロイだ。極大威力の一撃だとか、無限に攻撃対象が増える雷だとか。更にはお前達の攻撃“を”デストロイする事で全てを回避してしまう術もある」
 デストロイって奥深いなあ。
 そんな気持ちになった猟兵が数名。
「だが、何より危険なのは足場だ。急造のデストロイキングダムの地面はデストロイ(大地破壊)されて、爆裂している。其の大地と噴出する溶岩の中でお前達にはデストロイキングボスと戦って貰う事になる。岩盤を飛び回りながらの電撃戦だ、油断はするなよ」
 ちなみに、彼の特性としてもう一つ。配下のビューティスパイダーを媒介にテレポートする術があるのだけど……最初の一撃で全滅してしまうようだ。
 自ら攻撃の多様性さえもデストロイしてしまう異世界の魔王に、ヴィズは扉を開きながら頭が痛そうな顔をするのだった。


key
 こんにちは、keyです。
 とにかくデストロイだ!!!

●目的
「デストロイキングボスを撃破せよ」

●プレイング受付
 オープニング公開後、すぐに受付開始です。
 受付終了日時はタグ・マスターページにてお知らせ致します。

●このシナリオについて
 1章で終わる戦争シナリオです。

●プレイングボーナス!
「敵の先制攻撃に対処する/崩壊した大地の上で空中戦を展開する」
 デストロイキングボスは先制攻撃してきます。(WIZは一撃目絶対回避と考えて下さい)
 様々な攻撃がありますが、かなり厄介です。戦闘不能になりかねない攻撃もあります。
 更に、大地は戦闘開始時に既に崩壊しています。岩盤が飛び交い、溶岩が噴出しています。デストロイキングボスは猟兵に向かって真っすぐ向かってきますので、岩盤を飛び移るなどの技巧を駆使して戦って下さい。

●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
 迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。
 また、失効日が同一になるタイミングでプレイングを送って頂ければ、こちらとしては助かります。
 単独行動希望の方も一言添えて下さると嬉しいです。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『デストロイキングボス・大地殲滅』

POW   :    デストロイブラスター
自身の【敵の至近距離に移動して】から極大威力の【デストロイエネルギー】を放つ。使用後は【エネルギーチャージ】状態となり、一定時間行動できない。
SPD   :    デストロイサンダー
【デストロイしたい!という気持ち】のチャージ時間に応じ、無限に攻撃対象数が増加する【デストロイサンダー】を放つ。
WIZ   :    アルティメットデストロイ
自身の【肉体が究極デストロイモード】になり、【自分の受ける攻撃全てをデストロイする】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリア・ルート
最初の一撃で全滅って……可哀想な蜘蛛たち…あんたらの分まで私が敵を討ってあげるからね…
ただただデストロイしたいだけのあのボスなんかほとんど獣じゃない…。

デストロイキングボスが大地を破壊したらスレイプニルに乗って悪路走破で不安定な足場を飛び移ったり駆けたりしていくわ。
奴が肉薄するのを野生の勘で察知したら【指定UC】で無敵の武器を盾みたいに展開して防ぎながら距離を取るように走る。一撃さえ耐えれば…!時間稼ぎよ!

うまくいったらボスは反動で動けなくなるから逆襲の反転攻勢よ。
スレイプニルの銃(重)火器と私の武器乱舞で蜂の巣にしてあんたをデストロイしてあげるわ!
ビューティスパイダー達の分まで喰らいなさい!




 うーん。
 マリア・ルート(紅の姫・f15057)は頭が痛い、という顔をしていた。
「最初の一撃で手下が全滅って……可哀想というか、何と言うか……いえ、可哀想ね。あんたらの分まで私が仇を討ってあげる」

 ――ただただデストロイしたいだけのあのボスなんか、殆ど獣じゃない。

 仰る通りである。
 だが獣には獣の道理があり、彼は其の道理に基づいて行動しているだけなのだ。
「獣と誹るもよし。お前が我を否定する、其れもまたデストロイ……世界は矢張り、デストロイなのだ」
「何を言ってもデストロイじゃない! やってられないわ!」
「そう、此処にはデストロイが満ちている! 我に向かってきた貴様もまた……デストロイされる運命なのだ!」
 絶妙に話が噛み合っていないが、まあつまりゴングが鳴ったという事だ。
 マリアは悪魔バイク“スレイプニル”を呼ぶ。“悪魔”バイクである。自我を持ち、重火器を搭載したマリアの愛機だ。うおん、と鳴るようにいななきながら、スレイプニルが岩盤の間を飛び回る!
 だが、其れを見逃すデストロイキングボスではない。デストロイエネルギーを溜めて、溜めて、溜め込んで、そうして――解き放つ。
 一気に飛び込んできた巨躯に、来たわね、とマリアは内心で舌打ちをして、術を解放した。

 ――マリアは魔女である。
 其の司るところは創造。嘗ては王国を統べていた一族に伝わる魔力だ。最も、其の一族と根城にしていた国は、マリア自身が怒りのままに亡ぼした訳だが。
 話を戻そう。マリアは創造の魔女である。彼女が願えば、全てが現れる。全てを貫く矛でさえも。……全てを防ぐ、盾でさえも!

「デストロォォォォイ!!!」
「何にも負けない、無敵の武器を!!」

 二者の叫びがこだまする。
 デストロイキングボスの拳がしたたかに打ち付けたのは、マリアとスレイプニルを守るように展開された“無敵の武器”。
 ぎりぎりぎり、と刃をデストロイキングボスに向けて、其の指を僅かに傷付ける。

 疑うな。
 信じろ。
 信じれば其れは本当だ!

 武器が花のように開いて、ばちん! とデストロイキングボスの拳を弾いた。……一撃目を凌いだ今なら! 行動できない今なら……!
「ぬおおおおおッ!! 我の拳を……武器如きが!」
「あんたが最初にデストロイしたビューティスパイダーの分まで……喰らいなさいッ!」
 マリアは一気にスレイプニルと術を解放する。武器が舞い、重火器が唸る! 弾丸と数多の刃で押し返されたデストロイキングボスは、僅かな傷を身体中に作って後退した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
潔い性格は好みだが全破壊に未来はない
SDGs(持続可能な破壊作り)の礎になってもらうぜ

砕け舞う岩板をジャンプで飛び移りながら戦うよ
サンダーで岩板を壊されるのは想定内だ
アークウィンドを振るって風属性攻撃による衝撃波の反作用でデストロイキングボスに向かって飛ぶ
しがみ付いて刃を突き立て傷口を抉りまくってやる

振り落とされりゃ眼下にカウントダウンを落として爆風で舞うぜ
チンケな攻撃なら再び風を使って避ける
最大奥義でデストロイし合おうではないかと挑発するよ

空中浮遊と空中戦で態勢を整え神鳴を手に力溜め開始
サンダー諸共断理の剣で胴体輪切にしてやるよ
多少の被弾は覚悟の上さ
殺し合いは一方的じゃないから愉しいのさ




 全ては、力。力は破壊につながる。即ち全ては破壊である。
 其のデストロイキングボスの信念は、四王天・燦(月夜の翼・f04448)の好むところである。端的に言えば弱肉強食の体現とも言えるだろう。
 けれども、全てを破壊したところで未来はない。
「という訳で、SDGs……持続可能な破壊作りの礎になってもらうぜ」
「デストロイ……全ては破壊の為に……永遠の破壊……! デストロォォォイ!!!」
 何かいま通じ合うものがあった気がするけど、決定的にすれ違っていたような気もする。
 燦は砕けて舞い散る岩盤を飛び移る。
 デストロイキングボスの放電が追うように放たれて、岩盤を砕いていく。
「へっ、想定内だよ……!」
 燦は短刀を振り翳す。“アークウィンド”……風精霊の寿ぎが為された刃を振り下ろせば、竜巻が再び岩盤を吹き上げた。其の反動で燦は後ろに――跳ぶ! 向かう先はデストロイキングボスの巨躯!

「小賢しいッ! デストロイ!!」

 デストロイキングボスの拳が振り上げられ、小さい動物のように燦は殴り飛ばされた。
「かっ……!」
 振り落とされる。溶岩の熱さが膚を焼き焦がす。墜ちれば猟兵とてただでは済まない。燦は咄嗟に箱を一つ、落として――ぴ、ぴ、ぴ。かちり。

 BOMB!

 爆風!
 紅い爆発が燦の身体をふわりと持ち上げる。其の一瞬の間に燦は意識を建て直して、衝撃に痛む身体で岩盤に着地する。
「……お互い、チマチマした攻撃じゃあ物足りないだろ?」
 燦がふと言うと、デストロイキングボスに向かって笑ってみせた。
「どうせだ。最大奥義でデストロイし合おうじゃないか。勝負は簡単。デストロイされた方が負け」
「成る程……貴様もデストロイに自信を持つ者か。ならば其の勝負、デストロイキングボスとして受けぬわけにはいくまい。良かろう! お互いのデストロイを懸けて勝負!」
 燦は其の言葉を聞くや、短刀を仕舞って刀に手をかけていた。ばちり、ばちり。デストロイキングボスのものではない、紅い雷が弾けた音を立てる。
「我がデストロイは……この拳に全てあり。この拳こそがデストロイを作り出し……そして全てをデストロイする」
 デストロイキングボスも構える。小手先の雷ではなく、本当に最大奥義……膂力の全てを懸けたストレートで挑もうとしていた。

「――いくよ!」
「デストロォォォォイ!」

 二つの影が交錯する。
 其れは一瞬の勝負だった。

 ――之なるは、理を断つ剣。

 燦の神鳴が奔る。
 デストロイキングボスの拳が唸る。
 神鳴は、其の拳の丁度半分の辺りに突き立って……すらり、とまるで果実の皮を剥くように、巨躯の左腕を削り取っていく。
「……ぐ」
 しかし、燦の顔に喜色はない。彼女もデストロイキングボスの一撃を、直接ではなくとも受けていた。掠っただけなのに、其処が酷く痛む。内臓にまでダメージは及んでいるかもしれない。
 殺し合いは、一方的じゃないから楽しい。
 ……だから、燦は軽くないダメージを敵に与えられたと、牙を剥いて威嚇するように笑ってみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎

キャバリア・イグニシオンに[騎乗]して[空中戦]だ
砕かれた大地っていう[地形の利用]も行い、ワイヤーアンカーをひっかけての加速や方向転換なども駆使した高速機動戦闘主体で行くぜ

雷は見てからの反応では間に合わない
これまでの[戦闘知識]である程度タイミングを予測し、[第六感]による危険感知も併せて落ちてくるタイミングを[見切り]、[ダッシュ]で回避してそのまま反撃に転じる
[残像]で翻弄しながらUCで超高速飛行、焔の太刀であらゆる方向から何度も斬り抜けて溶岩に叩き落し、俺の焔と合わせて[焼却]するぜ

全ての世界とあんたの夢、デストロイされるべきはそっちだったな




「久遠寺遥翔――イグニシオン、出る!」
 久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)は白磁の門を潜るやいなや、キャバリアに騎乗して発進する。上下に飛び交う岩盤を避けながら、デストロイキングボスを其の射程内に捉えた。
「ほう……なかなかにデストロイ出来そうなものが来たな。其の鉄クズ、デストロイしてしまっても構わんのだろう?」
 デストロイキングボスの片腕からは、ぼたぼたと血が流れ落ちている。青黒い灰へと変わりゆく血液を流しながらも、デストロイキングボス自身はデストロイを諦めていないようだった。
「まだ世界をデストロイするって夢を見てるのか?」
「夢ではない。これから為される現実である」
「俺達を前にしてそう言える――其の度胸だけは認めてやるぜッ!」
 イグニシオンが舞う。
 デストロイキングボスが両手を前に出す其の兆候を見た瞬間、真横へと横転するように機体を操っていた。
「っぐっ……!!」
 力を得たとはいえ、遥翔は人間だ。其の急激なGの変化に苦し気に呻く。
 しかし其の横転には意味がある。残像を残して急移動したイグニシオンの横を、デストロイキングボスの雷撃が駆け抜けていく。
 ――当たったら、恐らく終わりだ。
 イグニシオンはキャバリアだ。ただの雷を受けたところで壊れるような代物ではないが、敵オブリビオンの雷撃となれば話は別だ。しかも目標は無限に増やせると来た。
「デストロイ……デストロイ、デストロイ!! 全てはデストロイに帰るのだ!!!」

 ――デストロイしたい。
 ――全てをデストロイして、其のデストロイさえもデストロイしたい!

 デストロイキングボスの心中で、欲望が膨れ上がって行く。其れほどに雷が枝分かれして唸り、岩盤を次々と撃ち砕いていく。
「ち! 脳内全部デストロイかよ……ッ!」
 見切る。半分勘に頼りながら、キャバリアのブースターをふかして加速、雷撃をかわしていく。岩盤の雨の中、イグニシオンは迦具土を構える。
 デストロイキングボスの雷撃が、幾つものイグニシオンを捉えるが――其れは残像で、本物ではない。
「行くぜ……相棒!」
 遥翔は操縦桿を握る。手に汗握るくらいが丁度いい!
 ユーベルコード解放! 一気にイグニシオンが加速して、光の赤い軌跡を描きながら岩盤の間を舞った!
 細かな岩盤は、逆にイグニシオンに当たった瞬間砂礫へと変わっていく。焔纏う太刀が一気にデストロイキングボスへと肉薄して、

「……デストロォイ!!!」

 デストロイキングボスが交差した腕に、太刀が突き刺さる。
 ぎちぎち、と筋肉が呻く。筋繊維に挟まれた太刀は前にも後ろにも行けないが、其の炎はデストロイキングボスの傷付いた両腕を焼き焦がす!

「ぬうううおおぉぉおおお……ッ!!」
「太刀が斬り抜けられないとか、どんだけの筋力だよ……!!」

 イグニシオンの素早さが幸いした。
 遥翔が後退を判断し、太刀を腕から抜いて素早くバックダッシュした其の一瞬、殺気が先程までイグニシオンがいた場所を抉っていた。
 ――デストロイキングボスの脚だ。あと一瞬後退の判断が遅れていれば、キャバリアは蹴りの一撃を受けて、少なくないダメージを負っていただろう。

「ぐうっ……この程度の傷……デストロイしてくれる……!!」

 焼き焦がされた両腕は、間違いなく痛むだろう。
 だが、……何故だろうか。デストロイキングボスは、嬉しそうだったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
分かりやすいのか分かりにくいのか、よく分からん……いや、余計な事を考えるのはやめよう
そんな事をして戦える相手じゃない

神刀を手に、神気を纏って身体能力を強化。空は飛べないし、岩盤を飛び移って移動だ。時には岩盤を切り崩して足場を確保
似た移動法は何度かやった事があるからすぐに慣れる

とりあえず斬撃波を放ってみるが……命中する前に消滅している?
なら直接斬るしかないが機動力の差を考えれば追いつけない

とすると、俺の取れる手段はカウンターのみ
奴はなんだかんだで正面突破をしてくるようだし、焦らなければその機会は訪れるさ
絶技【無為】。ヤツの纏ったデストロイな力
その弱所を一点突破で叩き切り、そのまま神刀を叩き込む




 デストロイがデストロイで、世界はデストロイ。
 はて、判りやすいのか判りにくいのか? 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は心中で首を傾げたが、余計な事を考えるのはやめよう、と矢張り心中で頭を振った。深く考えると、デストロイの闇に呑まれてしまいそうだったからだ。
 両腕が焼け焦げた状態だが、デストロイキングボス自体はまだ鏡介の前に立ちはだかっている。
 鏡介は白磁の門から岩盤を跳び上がりながら、神刀を抜いた。身体が軽い。飛び石めいた移動法も、以前やったことがあるから直ぐに慣れられるだろう。
 問題は――

「兎に角、一撃放ってみるか、ッ!」

 神刀を振るう。見えぬ衝撃が刃となって、デストロイキングボスに迫るが――

「無駄だ! 我はデストロイキングボス……全てをデストロイする者なり!!」

 ぱちん、とまるで泡が弾けるような音がした。
 其れは筋肉で弾かれるでもなく……受け止められた訳でもなく、止められた訳でもなく……斬撃波は、“消えた”。
「……消えた?」
「そう。我が貴様の攻撃をデストロイしたのだ。そしてこれからもデストロイするだろう……貴様に勝ち目はない。潔く去るか、此処でデストロイされるか、好きな方を選ぶと良い」

 どちらにしろ、貴様等にはデストロイされる未来しか残されていないのだから。

 デストロイキングボスは立っていた岩盤を蹴り、宙に舞いながら鏡介へとそう宣告した。そしてまるで音か光のような速さで飛行を始める! 鏡介の目をもってしても、其れは追えるものではない……!

「(直接斬るには、機動力に差がありすぎる)」

 鏡介は剣の柄を握り直し、飛び回るデストロイキングボスを見上げる。時に上に、時に下に。左に右に、前に後ろに飛び回る巨躯だけれども、きっと本命の攻撃は一撃の筈だ。ならば、取れる手段は後の先しかない。力の流れ、其の根源へと一撃を叩き込み、無力化する……!
「ふはははは! この速度差の前では貴様は我を見て捉える事すら出来まい! さあ、デストロイの時間だ……!! 去らずに我に一撃を放った勇気は認めよう! しかし、去って最期の時を待つ方が良かったと後悔してももう遅い! 貴様は此処で、デストロイされる運命になったのだから!!」

 ――鏡介は、目を閉じた。

 これだけの力の塊が接近すれば、其の風圧で嫌でもわかる。そして、視界をきらきら瞬く軌跡に惑わされたくない。
 載っている岩盤が、墜ちているのか昇っているのか判らない。或いは浮遊しているのかもしれない。デストロイキングボスの膂力は恐るべきもの、故に……

「此処で、討つ」
「まだ言うか! つくづく勇気のある者もいたものだ!!」

 デストロイキングボスが狙いを定める。目を閉じた標的に向かって一直線に、真っ直ぐに、拳を握りしめて――肉薄する!

「……絶技。“無為”」

 一歩、斜め前に出る。
 すらり、刀が曲線を描く。
 柔らかな――まるで女性が踊るかのような軌跡を描いた剣先は、デストロイキングボスのスピードを乗せた一撃を見事にいなしてみせた。
 ぴぴぴぴぴぴぴ。デストロイキングボスの傷付いた腕に、手の甲から肩まで紋様めいた紅い曲線が奔り……血が噴き出す。
 そして剣先で其の腕力の源泉、肩を穿たれて、デストロイキングボスは速度のままに下方の岩盤へ墜ちて行った。

「……まだだな」

 まだ討ててはいないだろう。
 だが。次の者が、必ず。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼鉄・マオ
世界はデストロイ、か。
…その通りだ!分かっているではないか。とりあえず、面倒なことは全て粉砕してしまえばいいのだ。暴力は全てを解決する。とても他人とは思えんな。髪の色も似ているし。お前がガチデビル側でなければ、いい関係を築けたかもしれんな…。
だが、これも仕事なんでな。私はお前を倒さねばならん。どちらのデストロイが上か勝負だ。
先制攻撃には【怪力】の一撃をぶつけ、さらに【激痛耐性】で凌ぐ。あとは【気合い】、そして【根性】だ!
凌いだら、足場をジャンプで移動し、敵に近寄る。【空中戦】は私も得意だ。これだけデカければ全部当たる!食らえ!(UCを発動する)
お前のデストロイも、中々のものだったよ。じゃあな。




 マオは、争いの才能があった。
 両親は幼い頃に死んだ。生きる為には合法違法なんて構っていられなかった。腕力を使い、時に武器を使い、生きるために必要なものを“得て”いくうちに――自分の身体の異常な強さと、生存能力の高さに気付いた。

 ――自分は暴力を振るう事しか出来ない。

 其れが、マオの出した結論だった。暴力を振るわれる事を畏れていては、暴力を振るえない。暴力を振るう事を躊躇っていたら、明日を生きていけない。
 だから、マオは暴力の中で死ぬつもりでいた。其れが今か、次なのか、判らないでいる。

「世界はデストロイ、か」

 だから、共感出来てしまったのだ。世界は破壊(デストロイ)であると述べるデストロイキングボスの言葉に、頷いてしまった。
 良く判っているではないか、其の通りだ!
「面倒な事は全て粉砕してしまえばいいのだ。暴力は、デストロイは全てを解決する」
「ほう……? 我を否定するように刃を向けた猟兵の中に、貴様のような逸材がいようとは。そうとも、世界はデストロイ。全てはデストロイなのだ」
「とても他人とは思えんな。そういえば髪の色も似ているし……お前がガチデビル側でなければ、いい関係を築けたかも知れんな」
「貴様がガチデビル側に来るという選択肢はないのか? 猟兵という立場はそんなに大事か」
「……ガチデビルに勝機があるとは思えんから、其れは無理だな。よってたかって暴力を振るわれるのは大変結構だが、負け戦は好きではない。そんな奴の護衛をする気分にはなれん」
「そうか。……残念だ」
 デストロイキングボスは力の入らない腕を向ける。ばぢばぢ、と雷が弾けて、マオへと電撃が放たれた。
「ああ、残念だよ。……ッ、オラァ!!」

 お互いに、破壊しなければ生きていけない存在だからこそ。
 判り合える相手と判っていても、破壊しなければならない。

 マオは電撃を真っ向から受ける。痛いのなら慣れている。痛めつけるのも痛むのも、小さい頃から“死ぬほど”体験してきた!
 痛みにどう耐えるかって? 気合と根性! これに尽きる。絶対に立っている、絶対に反撃するという意志が、マオを前へと進ませた。
 電撃から逃れるように、岩盤を飛び移る。例え目標が無限に増えるっつったって、狙っているのは私だけなんだろ? 私は此処だ。お前は其処だな?
 頬がひくつく。筋肉が電撃の影響で収縮して、脚に集中していないと足場を踏み外してしまいそうだ。だが――其れこそ、そんなものデストロイ(くそくらえ)だ!
 岩盤を飛び移り、デストロイキングボスに肉薄する。これだけデカけりゃ、“全部当たる”!
「生憎、空中戦は私も得意なんだ!!」
 バットを、無銘を振り翳す。空を駆けあがって、マオはバットを振り下ろした。デストロイキングボスが力の入らない両腕でガードしようとするが……遅い。

 一撃。脳天をかち割るかのように振り下ろし。
 二撃。反動から更に振り下ろし、誰かが傷付けていた肩を打った。
 三撃。拳を向けてきたデストロイキングボスの腕を蹴り、其の腕をしたたかに殴って。
 四撃。回転して……反対側の腕を打った。

 其れはあっという間の事だった。
 “あっという間”で、デストロイキングボスの存在は否定され……即ち、彼は死を迎える。
 マオはデストロイキングボスを見上げた。何か言いたい事はあるか、と言いたげに。
 だが、巨人は何も言わなかった。敗者はただ、潔く去るのみ。其れが生への渇望をデストロイするという事。

 さらり、と青黒い灰が熱した場に舞って。
 そうしてデストロイキングボスは、骸の海へと還ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月17日


挿絵イラスト