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7thKING WAR㉓~きみが女の子になるんだよ

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『パラダルク』

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#召喚魔王『パラダルク』


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● 趣味に走ったパラダルク
 銀河帝国攻略戦で、猟兵達の前に立ち塞がった「実験戦艦ガルベリオン」が、デビルキングワールドに停泊していた。
 かつて猟兵達によって沈められたはずの戦艦だが、どう見ても同一艦としか思えない。まるで蘇ったかのようなガルベリオンの中で、音楽が鳴り響いていた。
 聞いたことのないエキゾチックな音楽が、きつく焚かれた香を震わせる。ムスクにも似た香りが立ち込める中、女の子達が踊り狂っていた。見目麗しい女の子たちがステップを踏み、くるりと回る度に場を満たす何らかの力が強くなっていく。その光景に、初老の男が手を叩いた。
「素晴らしい踊りだよ、ドラグナーガール達。この分だと、別の儀式も成功しそうだね」
 楽しそうに微笑んだパラダルクは、連れてきた筋骨隆々な男性悪魔を部屋の中へと突き出した。縄から解放された男性悪魔は、猿轡を外すと叫んだ。
「な、何しやがんだてめ……って、あれ?」
 なにかの違和感に気付いた男性悪魔が、自分の身体をまさぐる。見た目には何の変化もないが、全身を検めた男はガクリと膝をついた。
「な……私、女の子になってる!? そんな……!」
「ふむ。精神汚染だけか。儀式が優先だから、仕方がないか」
 やれやれとため息をついたパラダルクは、検体としてドラグナーガールに連れ出される男性悪魔を見送ると玉座に座った。
「儀式の完成まであと少し。僕を楽しませておくれよ?」
 くつくつと笑った初老のパラダルクの前で、ドラグナーガール達は狂ったように踊り続けた。

● グリモアベースにて
「いやぁ、万物を女の子にするって言っても猟兵は女の子にならないみたい……って安心してたらこれだよ」
 やれやれと肩を竦めたリオンは、映し出される光景を猟兵達に示した。
「召喚魔王の一人・パラダルクの居場所を予知したよ。でもこのパラダルク、自分の趣味? も並走させたみたいなんだ」
 その名も「実験戦艦ガルベリオンの中で謎の儀式を行う傍ら、猟兵も女の子にしてしまう計画(プロジェクト)」。なんだそれ。
「この儀式の中に入った猟兵は【自分が女の子になっちゃった】っていう精神汚染を受けちゃうんだ。もちろん実際に女の子になっちゃう訳じゃないから安心してね」
 この精神汚染は、男性猟兵はもちろん女性猟兵も「女の子になった」という風に思い込まされてしまう。
 「何らかのハプニングで女の子になった」と思い込んだ猟兵は、その精神汚染を乗り越えなければならない。だが、本来の儀式を優先させているため効果は弱く、強い意志で抵抗すれば、最初から精神汚染されることもないだろう。
 その上で、パラダルクの先制攻撃を凌いで攻撃を加えるか、ドラグナーガール達を倒して儀式を中断させるのだ。
「たくさんダメージを与えるか、儀式を中断させるかすればパラダルクは撤退するよ。それまで頑張って精神汚染を乗り越えてね!」
 楽しそうに笑ったリオンは、グリモアを発動させた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 今回は召喚魔王『パラダルク』~ディアブロホワイトの戦いをご案内させていただきます。
 ネタ風味ボスバトルです。きみも女の子になるんだよ。
 ただし、公序良俗に反するプレイングは採用されませんのでご注意ください。

 この戦場に立った猟兵は、男女問わず「自分が女の子になってしまった」という強力な精神汚染を受けてしまいます。どんな風に思うのか、また思わないのか。どんな女の子になったのかはプレイングまでお願いします。「女の子」の定義は曖昧ですので、好きな年齢をプレイングまでお願いします。
 記入のない場合は、「戦場に立った瞬間、精神汚染を跳ね除けた」と判定されて通常通りの戦闘となります。
 なお、オープニングの男性悪魔は無事ですので救助は不要です。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す。

 公平のため、女の子になっちゃった精神抵抗にはプレイングボーナスはありません。
 プレイングはすぐの受付。〆切はタグにてご案内します。
 それでは、良き女の子バトルを。
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第1章 ボス戦 『召喚魔王『パラダルク』ディアブロホワイト』

POW   :    ガールズ・ポシビリティ
自身の【下僕であるドラグナーガール】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[下僕であるドラグナーガール]は【可能性を使い果たしたこと】により破壊される。
SPD   :    フューチャー・ルーラー
【ドラグナーガール達と連携し、精神支配魔術】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【以降の動き方や使用ユーベルコード】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    パラダルク・フューチャー
召喚したレベル×1体の【ドラグナーガール】に【ガルベリオン鋼の機械兵器とダンス技術】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
先制攻撃へは【激痛耐性+オーラ防御】で護身
【空中戦】で回避行動に移りながら
【高速詠唱】で撃ち出す炎魔法の【属性攻撃、範囲攻撃】でカウンター狙い
素材がなんであれ一般的な機械兵器と仕組みが同じなら熱して暴発を

で? 猟兵を? 女の子に?
それは見た目で既に女の子だなんだと言われてる僕への嫌味ですか

※女の子認識になっても口調が変わる程度で性格に大差無いと思います
 だって元が女の子っぽいから

よくも私の地雷を踏み抜いたわね
馬鹿みたいに女性を侍らせて
顔が良くても許さないわよ

怒りの視線に【誘惑】を乗せて動揺を誘い【指定UC】発動
【破魔】の炎で踊るドラグナーガールもパラダルクも全部巻き込む【浄化】の【範囲攻撃】



● 男の子だという誇りにかけて
 ムスクのような匂いが立ち込め、どこからともなく音楽が鳴り響く。一種異様な雰囲気の中、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は戦場に立った。妙な香が焚かれ妖しげな音楽が鳴り響く中、踊り狂うドラグナーガール。奇妙な光景に眉を顰めた澪の姿に、パラダルクは立ち上がった。
「ほう、最初のお客様は女の子でしたか。これはなんとも愛らしい……」
「……それは見た目で既に女の子だなんだと言われてる僕への嫌味ですか」
「なんと。きみは男の子だったのか」
 驚いたように目を見張るパラダルクは、まじまじと澪を見つめると頭を横に振った。
「とてもそうは見えないな」
「~~~!!!」
 怒りで声も出ない澪は、霞む視線を上げるとパラダルクを睨みつけた。目の前にいるのは、余裕ありげな薄笑いを浮かべる初老の美男子。胸元を大きくはだけさせた彼は、どこからどう見ても大人の男性で。
 対する澪も性別は男性。性自認も立派な男性だ。だが、女の子のような美しい見た目をしているがために、普段から女性に間違われることもしょっちゅうで。
 それでも自分は男だと主張してきた。容姿も性格も女の子っぽくたって自分は男。それがアイデンティティの一つ。なのに。
 歯を食いしばった澪は、パラダルクだけではなく変化した自分の身体にも怒りを覚えた。今の澪は女の子。誰が、どこから、どう見ても女の子。強制的な変化が、たまらなく腹立たしい。
 睨みつける澪の視線に、パラダルクはやれやれと肩を竦めた。
「何をそんなに怒っているんだい? 君ほど可憐な女の子は滅多にいないというのに。もっと自信を持ちなさい。君ならばいずれ筆頭のドラグナーガールにだって……」
「うるさい!」
 吼えるように叫んだ澪は、Staff of Mariaを手にパラダルクへと肉薄する。その姿に残念そうに目を細めたパラダルクは、侍る召喚済のドラグナーガール達に指示を与えた。
「やれやれ。少し痛い目を見た方が良さそうだね。ーー行きなさい。彼女を君たちの後輩にしておやり」
「はい、パラダルク様」
「必ずや」
「彼女言うな!!」
 パラダルクの物言いに腹を立てる澪に向けて、ドラグナーガール達が一斉に飛び立った。ガルベリオン鋼の機械兵器を生やしたドラグナーガール達が、澪に向けて一斉に銃弾を放つ。オーラ防御を併用してはいるが、貫通する銃弾は回避しきることができない。
 防御姿勢を取り襲う激痛をやり過ごした澪は、一瞬の隙に空に飛び立つと続く銃弾を回避した。
 空中を舞う澪を、ドラグナーガール達が追う。踊るように追撃を仕掛けてくるドラグナーガール達を軽やかに回避した澪は、放たれる銃弾ごと炎の魔法で包み込み迎撃した。
 広範囲に渡って放たれる灼熱の炎。防御姿勢を取ったドラグナーガール達だったが、彼女たちに飛翔能力を与えているのはガルベリオン鋼製の機械兵器。
 熱暴走を起こし動きを止めたドラグナーガール達の上を取った澪は、改めて振り返るとStaff of Mariaを地上に向けた。怒りが突き抜け逆に冷静になった澪は、怒りと誘惑を込めて思い切り見下してやる。お返しだ。
「で? 猟兵を? 女の子に? よくも私の地雷を踏み抜いたわね」
「おやおや。その視線、僕を誘惑しているのかい? 光栄だね。さあ、強がりはやめて降りてきなさい。僕の腕の中に降りて……」
「うるさい! 馬鹿みたいに女性を侍らせて。顔が良くても許さないわよ。……鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
 詠唱と同時に現れた炎の鳥が、澪の周囲に現れる。様々な火の鳥達を召喚した澪は、氷点下の視線でパラダルクを見下ろすとStaff of Mariaを振り下ろした。
「骸の海までね!」
 振り下ろされる杖に、鳥たちが一斉に飛翔する。浄化の炎を纏った鳥たちは、オーバーヒートから回復したドラグナーガールをも巻き込みパラダルクへと放たれる。
 炎に包まれる儀式場をを見下ろした澪は、戻る自認に怒りを収めるとグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
そんな…私、女の子になってる…!
こんな事ってないわ!
なによ!元々女だって言いたいわけ!
何よ!これじゃあ女の子じゃなくてオネエじゃない!

…ツッコミまだ?
無い?
そっか…
気を取り直して真面目にやろ


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
強化されたドラグナーガール…けれど3分凌げばこっちの勝ち
なら真正面から、捌ききる!
『オーラ防御』で障壁を張り、相手の遠距離攻撃を受け流しつつ近接してきたら『武器受け』して対応
『斬撃波』を飛ばして牽制し『吹き飛ばし』たりして相手のペースを乱す戦いをしよう
そうして凌いだら反撃開始だ
【偽書・焔神】起動
踊っている子達目掛けて蒼炎を放つ!
儀式は邪魔させて貰うよ



● 激戦からの女の子の主張
 炎が収まった魔法陣の上に立った月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、床を蹴ると直後駆け出した。
 《RE》IncarnationとBlue Bird。二振りの剣を抜刀した玲は、即座に戦闘態勢を整えたパラダルクが差し向けた一体のドラグナーガールと切り結んだ。
 下僕として召喚されたドラグナーガールは、周囲に浮かべたエネルギー弾を玲に向けて解き放つ。無数のエネルギー弾は複雑な軌道を描き、玲を圧し潰す勢いで迫った。
 咄嗟に回避。一瞬前まで玲のいた空間を引き裂いたエネルギー弾は、ふいに動きを変えると玲を追尾する。物理法則を無視したエネルギー弾が玲の死角から襲いかかり、蹂躙せんと迫る。
 背中から貫くはずのエネルギー弾はしかし、透明な結界により弾かれた。咄嗟に張った半円形の結界により身を守った玲は、回避を捨てその場に留まりエネルギー弾の嵐から身を守る。動きを止めた玲は、迫る殺気に双刀を頭上に構えた。
 間一髪。ドラグナーガールの剣を武器受けで受け止めた玲は、凄まじい殺気と共に押し込まれる剣圧にジリジリと下がった。
 膠着する戦いに、パラダルクは乾いた拍手を送った。
「素晴らしい。僕のかわいいドラグナーガールの攻撃をここまで凌ぐとは」
「お褒めに預かり……光栄?」
「焦りに歪む顔もいい。ふむ。きみは彼女の代わりに新しいドラグナーガールにしてあげよう」
「誰が!」
 叫びを剣圧に乗せ、交差させた剣を大きく斬り払う。渾身の力でドラグナーガールの隙を作った玲は、立て続けに斬撃波を放ち牽制する。
 距離を取ってしばし。睨み合いを続けたドラグナーガールは、じれたように玲に向けて大剣を振りかぶった。脳天から真っ二つにする勢いの剣に、玲は臆することなく右腕を水平に上げた。
「儀式は邪魔させて貰うよ。……システム切替、偽書・焔神起動。猛り、狂い、燃やし尽くせ」
 詠唱と同時に放たれる蒼炎。ノールックで放った蒼い炎は、踊り狂うアンヘルブラックとディアブロホワイトを浄化していく。
 声にならない叫び声を上げるドラグナーガール達の姿が、蒼炎の向こう側へと消える。頭上に迫る大剣をちらりと見た玲は、冷徹な目でドラグナーガールを見上げると憐れとも取れる声で言った。
「3分」
 玲の声に、ドラグナーガールの動きが止まる。全ての可能性を使い果たしたドラグナーガールは、みるみる間に全身の水分を失うと塵となって消えていった。
「3分凌げばこっちの勝ち。これはそういう戦いのはず」
「愛らしい女の子かと思えば、やりますね」
「女の子……?」
 言われて眉を顰めた玲は、ハッと気づくと自分の身体を検めた。降り立った直後に始まった戦闘に気にする暇もなかったが、自分は女の子になったのではなかったか。
 触って分かる。退行した自分の姿に、玲は顔に両手を当てた。
「そんな……私、女の子になってる……! こんな事ってないわ!」
 頬に触れた手が、自分の顔の形を伝えてくる。洗顔時に触れるいつもの肌の記憶とはちょっとだけ違う気がした玲は、両手でそっと胸元に触れてみた。うん、おんなのこだ。
「なによ! 元々女だって言いたいわけ!」
 パラダルクに向けて叫んだ玲は、頬をぷう、とふくらませる。腹立たしげに口を突いて出た声は確かに自分のものだが、幼さが残る声というのはこういうことを言うのだろう。だが、玲の感想は違ったようで。
「何よ! これじゃあ女の子じゃなくてオネエじゃない! ……ツッコミまだ?」
 パラダルクのツッコミを期待した玲だったが、彼は今別の猟兵の相手で手一杯。ぽつんと立った玲は、パラダルクの背中に問いかけた。
「無い?」
 玲の声が戦場に響く。異世界と化した戦場に全神経を持っていかれたパラダルクに、玲の声が届いているとは思えない。
「そっか……。真面目にやったのにな」
 寂しげにため息をついた玲は、肩を落とすとグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
拙者は…銀髪ふわふわロングで巫女服を着た蒼い釣り目の無表情狐耳狐尻尾ないたずらロリ狐だっぐえー

おうこら人が属性盛ってる間に殺すんじゃないでござるよ!うっかり死んで精神汚染(妄想)が解けただろうが!
なんで無事なのかって?先制攻撃で雑に死んで【リスポン】したんでござるよ

バーカ!もうくらってやらん!漫画めいた足ぐるぐるダッシュで儀式会場中を逃げるぞ!因みに今からここは【ギャグ時空】だ!撃てば軽率に仲間へ誤射する世界ですぞ!

ウッ!失礼、今は124秒程経つと死ぬんだ、まあ再度リスポンするんだが…いかん!空からガールが降ってくるぞ!ガス欠かな?
パなんとか等に直撃した…兵器も派手に炎上してこれは…爆発オチ…



● ギャグ空間の星となれ
 場を満たすムスクのような匂いを胸の奥まで吸い込んだエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は、深呼吸で香を堪能してしばし。どこからともなく取り出した姿見に、自分の姿を映し出すとポーズを取った。
「ふふん、思い通りでござる。今の拙者は……銀髪ふわふわロングで巫女服を着た蒼い釣り目の無表情狐耳狐尻尾ないたずらロリ狐だっぐえー」
「行きなさいドラグナーガール達」
 差し向けられたドラグナーガールが、一斉に飛び立ち肉薄するとエドゥアルトに向けて大剣を振り下ろす。髪ふわふわロングで巫女服を着た蒼い釣り目の無表情狐耳狐尻尾ないたずらロリ狐は、背中から袈裟懸けに斬られるとその場に倒れ伏した。
 動かなくなった髪ふわふわロングで巫女服を着た蒼い釣り目の無表情狐耳狐尻尾ないたずらロリ狐に、パラダルクは冷めた目を向けた。
「何をしたかったんですか何を」
「本当にな!」
 声と同時に、髪ふわふわロングで巫女服を着た蒼い釣り目の無表情狐耳狐尻尾ないたずらロリ狐の背中の傷から、腕が飛び出した。
 ずるり、と音がしそうな感じに髪ふわふわロングで巫女服を着た蒼い釣り目の無表情狐耳狐尻尾ないたずらロリ狐の背中から這い出したのは、中年の男だった。
 髪ふわふわロングで巫女服を着た蒼い釣り目の無表情狐耳狐尻……。
「いやいや、くどいでござるよ! 容姿の描写をコピペで済まそうとするなでござる! だいたい美少女描写をするなら、もっと具体的にこう『腰まで伸びた長い髪はふわふわに流れて、巫女服の背中で弾むように揺れる。長い髪をうるさそうに払った蒼い釣り目の美少女は、まだ幼女と呼んで差し支えないほどの年齢だったが……』」
「やかましい!」
 滔々と文句を言うエドゥアルトに、我を取り戻したドラグナーガールが斬りかかる。慌てて回避したエドゥアルトは、ギャグ漫画のような適当なフォルムになるとぷんすこ怒り出した。
「おうこら人が属性盛ってる間に殺すんじゃないでござるよ! うっかり死んで精神汚染(妄想)が解けただろうが!」
「確かにお前は死んだはず! なのになぜ生きている!」
「先制攻撃で雑に死んで【リスポン】したんでござるよ」
「パラダルク様のユーベルコードは絶対先制! なのに……」
「ちっちっち。ちゃんと説明書きを読むでござる! 

●パラダルク・フューチャー
召喚したレベル×1体の【ドラグナーガール】に【ガルベリオン鋼の機械兵器とダンス技術】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

 ということは! 召喚した時点で先制攻撃終了! 後攻の拙者がユーベルコードを詠唱するのに何の不都合があろうか! いや無い! ちなみにこの判定はこのシナリオのみに有効だからな! 勘違いするんじゃねえぞ!」
「誰に何を言っている!?」
「ならば数の暴力で圧し潰すまで!」
「バーカ! もうくらってやらん!」
 あっかんべーと挑発したエドゥアルトは、漫画めいた足でぐるぐるダッシュで儀式会場中を逃げ回る。腹立たしげに剣を繰り出した剣を華麗に回避したエドゥアルトに、ドラグナーガールはエネルギー弾を放った。
 必殺の追尾弾はしかし、ギャグのような軌跡を描きエドゥアルトを避けて飛ぶ。目を見開くドラグナーガールが回避すれば、別のドラグナーガールに着弾・爆発を起こした。
「因みに今からここは【ギャグ時空】だ! 撃てば軽率に仲間へ誤射する世界ですぞ! ……ウッ! 失礼、今は124秒程経つと死ぬんだ、まあ再度リスポンするんだが……」
「な、やめろドラグナーガール!」
 滔々と語る中、エドゥアルトに向けて降ってきたドラグナーガールが真っ直ぐパラダルクに飛んでいく。兵器を胸に抱き自爆攻撃を仕掛けるドラグナーガールに、エドゥアルトは顎を撫でた。
「ふむ、ガス欠か……」
 エドゥアルトが首を傾げるのが早いか。兵器が派手に引火したドラグナーガールが爆発・炎上。
 ドラグナーガール達の誘爆に巻き込まれたエドゥアルトは、吹き飛ばされ夜空の一番星となると、そのままグリモアベースに帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
僕の体が女の子になっている!!
…いつも通りだね、どちくしょう

何度確認しても体は女の子のままだね
まあ、-と-をかけたら+になるとか
そんな都合の良い事はないよね

色物っぽい雰囲気でも
油断できる相手じゃないから
まずは相手の攻撃を凌ごうか

かなりの数のドラグナーガールが向かってくるけど
同時に攻撃できる人数には限りがあるはずだからね
他のドラグナーガールの攻撃が遮られる様に立ち回ろうか

当たりそうな攻撃はワイヤーガンで高速移動して躱したり
神気で固定して防いだりしよう
後者は僕なりのオーラ防御だよ
相手の体勢を崩したり武器を落としたりできるなら活用しようか

凌いだらUCでドラグナーガール達を彫像に変えて
儀式を邪魔しよう



● 通常運行とは
 ギャグ空間からようやく解放され、肩で息をし始めたパラダルクを華麗にスルーした佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、自分の体を両手でペタペタ検めると往年の少女漫画のような表情で叫んだ。
「僕の体が女の子になっている!!」
 劇画調で目の中から全ての光を消して驚いてしばし。沈黙する場にぽつり毒づいた。
「……いつも通りだね、どちくしょう」
「何を言い出すかと思えば。あなたは最初から女の子でしょうに」
「パラダルクなら、-と-をかけたら+になるとか、そんな都合の良い事を用意してくれてもいいじゃない!」
「何のことですか何の!」
 呆れたようにツッコミを入れつつ肩を竦めるパラダルクを、晶はキッと睨みつけた。晶は昔、ごく普通の男性だったのだ。登山中の事故で邪神に取り憑かれ、少女の姿になってからしばらく経つ。例え一時でも男に戻るかと思ったが、そうは問屋が卸さないらしい。
 身体を何度検めても、何度確認しても女の子のまま。ため息をついた晶は、やれやれと首を横に振った。
「まあ、しょうがないよね」
「戯言はここまでです! 行きなさい、ドラグナーガール達!」
 パラダルクの号令に、召喚されたドラグナーガール達は一斉に晶に向けて襲いかかった。色っぽい雰囲気で女の子達を侍らせてはいるが、油断できる相手では決してない。殺気も顕に襲いかかってくるドラグナーガール達の姿に、晶はワイヤーガンを放った。
 儀式場の柱にワイヤーを巻き付け、高速移動で攻撃を回避。敵の攻撃をいなした晶は、上手に場を活かしながらドラグナーガール達の攻撃を回避すると地上に降り立った。
 敵は圧倒的多数。武装も強化されあらゆる環境で戦闘を仕掛けてくる。だが、同時に攻撃できる人数には限りがある。そう考えた晶に、エネルギー弾が迫った。
「遠距離ありなんて卑怯な!」
 叫んだ晶は、全方向に向け神気を解放した。あり得ない軌跡を描きながら晶に迫っていたエネルギー弾の動きがふいに止まる。固定の神気を受けたエネルギー弾が、晶から一定距離離れた場所で固定され、有効打を与えられない。その隙に駆け出した晶は、戦場全体を捉えられる場所に移動すると詠唱を開始した。
「永遠を差し上げますの。」
 詠唱と同時に、宵闇の衣が淡く輝いた。邪神の力で生成された漆黒のドレスは霧のように周囲に溢れ、場の空気を満たしていった。
「なっ! これは……」
「万物に停滞を齎す神気です。動くもの全てを彫像に変え、停止した時間の檻に閉じ込めますの」
 邪神のような笑みを浮かべた晶は、動きを止めるドラグナーガール達に微笑んだ。召喚されたドラグナーガールはもとより、儀式で踊り狂うアンヘルブラックとディアブロホワイトの動きをも拘束していく。
 その状況に、パラダルクは動いた。
「少しお痛が過ぎますね」
 声と同時に一歩踏み出すパラダルクの気配に、晶は背筋を走る悪寒に大きく飛び退いた。ドラグナーガールをけしかけるばかりで自らは動こうとしないパラダルクが、直接動こうとする。
 彼自身の戦闘能力については全くの未知。予知が無いまま戦うのは危険過ぎる。ユーベルコードを解除した晶は、他の猟兵に意識を逸らした隙を突いてグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
うーん(年はそのまま
嘘のよーだけど女の子になったとしか思えない
どうしよ
あら?でもコレ女装の腕が上がるのでは?いや女装?変装?

仮に今からくノ一人生が始まろうとも困らない程度には鍛錬してきた!羅刹だし力も負けない!と自分を鼓舞しなきゃやってられない
名前も変えないとねぇ

>先制攻撃
敵の動きを【追跡し野生の勘】フル活用で攻撃を躱す
これ以上精神攻撃はごめんだね
だからさっきアンタの見た姿と動きを無しにしよう
羅刹の姿は捨てるわけじゃない
ちょっとあの狸に貸すだけよ

UCで変化
理性の有るうちドラグナーガールを標的に定め
理性が薄れても続行
儀式破壊狙い
攻撃は奔り飛び掛かり爪、牙を使う

我に返った時が怖い
色々と

アドリブ可



● 変身〝赭狸〟
 戦場に降り立った鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は、少し戸惑ったように身体を検めた。日々の鍛錬で鍛え上げた筋肉質な肉体は変わらず、女性特有の柔らかいフォルムに変わっている。ウエストから腰に掛けてを触ってみても、なめらかなくびれがあるのが何とも違和感で。
「うーん」
 見た目の年齢は変わっていないようで、少し安心する。これで幼女になったなんて言われた日には、視線も違えば体捌きも違ってくる。いつもと同じように動いては、リーチが足りずに絶体絶命、なんて笑えない状況になってしまうかも知れない。
「嘘のよーだけど女の子になったとしか思えない。どうしよ」
 自分の耳で聞く自分の声もまた、女の子のそれで。高くて柔らかい声色は自分のものと言われても違和感があるが、それはつまり誰が聞いても女の子の声ということではないだろうか?
「あら? でもコレ女装の腕が上がるのでは? いや女装? 変装?」
 トーゴだって忍の端くれ。変装の心得はある。だが異性になりきるのはなかなか難しいのだ。ここで女性としての動きを会得しておけば、いつかどこかで役に立つかも知れない。
 だが、もしこのまま戻らなかったらどうしよう。ふいに不安に囚われたトーゴは、己を鼓舞するように高らかに笑った。
「……仮に今からくノ一人生が始まろうとも困らない程度には鍛錬してきた! 羅刹だし力も負けない! と自分を鼓舞しなきゃやってられない!」
 言わなくてもいいことまで言ったトーゴは、なんだか楽しくなってあれこれ考え始めた。もしこのままくノ一として生きるなら、名前も考えなければ。服はどうしようか。化粧もした方がいいか。あれこれ考えだしたトーゴは、間近に迫る殺気に身を躱した。
「クッ! この、ちょこまかと!」
「これ以上の精神攻撃はごめんだね」
 腹立たしげなドラグナーガールの声を聞き流しながらも、放たれる精神支配魔術を回避し続ける。野生の勘と追跡を合わせて攻撃を回避し続けるが、さすがにそれだけで全てを躱せるほど甘くはない。死角から迫った精神魔術が着弾する直前、詠唱が完成した。
「誓い鏡は割れた月寄せる鈴の音千々途切れ 燈護の灯りに血を辿る ── 赭狸や赭狸 使えやこの血」
 憑き魔を抑える腕輪と護符を脱ぎ捨てたトーゴの姿が、ふいに歪む。頭上を通過した精神支配魔術を見送ったトーゴは……否、認識した敵を追い詰める憑き狸〝赭狸〟は、凶暴な牙をむき出しにするとディアブロホワイトとアンヘルブラックに向けて駆け出した。
「その狸を止めなさい!」
 パラダルクの号令に、立て続けに精神支配魔術が放たれる。理性と引き換えに研ぎ澄まされた野生の勘で精神支配魔術を回避したトーゴは……否〝赭狸〟は、強化された脚力を遺憾なく発揮すると二人のドラグナーガール達に肉薄した。
 一気に飛びかかり、牙を立てる。ディアブロホワイトが踊りを中断して噛みつく〝赭狸〟を振り払おうとするが、決して離さない。ついには肉を噛みちぎった〝赭狸〟は、腕の肉を旨そうに咀嚼して飲み下す。その姿に、パラダルクは吐き捨てた。
「汚らわしいケダモノめが」
 その声に、アンヘルブラックに狙いを定めた〝赭狸〟の動きが止まる。苦しそうにうめいてしばし。放置された憑き魔を抑える腕輪と護符に飛びついた〝赭狸〟は、トーゴの姿に戻ると肩で息をした。
「……羅刹の姿は捨てるわけじゃない。ちょっとあの狸に貸すだけよ」
「隙ありだ!」
 急激に戻る理性に酔ったトーゴに、精神支配魔術が放たれた。遠ざかる意識を辛うじて繋ぎ止めたトーゴは、よろりと後ろへ下がった。更に追撃を受ける寸前、割って入ってくれた猟兵の姿に心の底から安堵の息を吐く。
「悪いが、アンタに付き合うつもりはねえよ」
 戦線を猟兵に任せたトーゴは、胸に湧き上がる感情に胸を押さえると、グリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
女の子、ですか……
少女時代くらいであれば、未熟とは言え狩猟に勤しんでいましたから、
なんとか戦えるでしょう。

と思っていたのですが。

「わたし、シリン!5歳!!」

えっと、何だか嫌な力が強くなってるって精霊さんが言ってるね。
よし、それじゃ邪魔しちゃおう!

植物の精霊を呼び出し、戦場を故郷の森に変化させるね。
樹がいっぱい生えているから、隠れるところは沢山あるし、
飛び回るのもきっと難しいよ。

狩りの練習は始めたところだけど、このおっきい鉄砲があれば……
あのお姉さん、よーく狙って。(ズドン)
やったやったー!よーし次だね♪(枝の茂みに消える)

(精神汚染がとけて、ものすごい目)
パラダルク……あなたは、私の、獲物……



● 森は燃えているか
 戦場に立ったシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)は、余裕の笑みを崩さないパラダルクの姿を睨みつけた。
「あなたがパラダルクですか」
「ほう、今度はエルフのお嬢さんかな。これはこれは愛らしい」
「愛らしい……?」
 パラダルクの物言いに首を傾げたシリンは、いつの間にか低くなっている視点に目を見開いた。恐る恐る両手を見る。すらりと伸びた美しい指ではなく、紅葉のような愛らしい指が空間をにぎにぎする。全身を改めてみると、シリンの姿は女の子ーー幼女のような姿に変わっていた。
 吸い込んだムスクのような香りに軽く咳き込む。嫌らしい匂いが、脳裏に膜を張っていく。身体だけではなく少しずつ変わっていく意識に眉を顰めたシリンは、グリモア猟兵の言っていた事態はこれかと納得した。
(「女の子、ですか……」)
 大丈夫だ。少女時代くらいであれば、未熟とは言え狩猟に勤しんでいたから、なんとか戦えるだろう。森の中で狩猟採集で糧を得るエルフは、子供の頃から優れた狩人、または精霊術師として自然と鍛えられるものなのだ。
 だから大丈夫。そう思っていたが、事態はシリンの予想を斜め上を狙ったようだった。大きな目をくりっと開けたシリンは、パラダルクに手のひらを突き出した。
「わたし、シリン! 5歳!!」
「はい、よく言えました。ご褒美にお姉さん達が遊んでくれるそうだよ」
 手を叩くパラダルクの背後から、ガルベリオン鋼でできた武装で身を固めたドラグナーガール達がシリンへと向かって飛んでいく。邪悪な気配に頬を膨らませたシリンは、周囲にいる精霊達の警告に詠唱を開始した。
「えっと、何だか嫌な力が強くなってるって精霊さんが言ってるね。よし、それじゃ邪魔しちゃおう!」
 シリンの召喚に応じて現れた植物の精霊達は、その場を一瞬で故郷の森へと変化させた。かつて暮らした懐かしい森の姿が蘇る。嬉しくなったシリンは、戸惑ったように動きを止めるドラグナーガール達に楽しそうに声を掛けた。
「すごいでしょ! 樹がいっぱい生えているから、隠れるところは沢山あるし、飛び回るのもきっと難しいよ!」
「確かに、通常ならばこの森を抜けるのは至難の業でしょう。ですが、ガルベリオン鋼の機械兵器とダンス技術を持っている我らには、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力が与えられるのです!」
「足止めもされず十全の力を発揮する我らから、逃げられると思うな!」
「ええっ!?」
 驚いたシリンは、慌てて森の茂みに身を隠すと手にした精霊猟銃を抱き締めた。自分の身の丈ほどもある大きさの猟銃は、弓の練習をしていたはずのシリンの手によく馴染んでいる。あまり使ったことはないはずだけれど、今はこれに頼るのが良い。そう直感したシリンは、息を潜めると探索しているドラグナーガールに狙いを定めた。
「狩りの練習は始めたところだけど、このおっきい鉄砲があれば……。あのお姉さん、よーく狙って」
 意識を集中させ、照準を合わせる。呼吸を止めた瞬間引いた引き金に、精霊猟銃から銃弾が放たれた。
 大きな銃声と同時に、ドラグナーガールが倒れる。こめかみに銃弾を受けたドラグナーガールが消えるのを見たシリンは、喜びに両手を上げた。
「やったやったー! よーし次だね♪」
 一撃で獲物を仕留めたシリンは、上機嫌で微笑む。だが、敵のドラグナーガールは一人ではない。銃声と射線を読んだドラグナーガール達は、シリンの居場所を特定すると一斉に襲いかかった。
「いたわ!」
「あそこよ!」
「いっけない! すぐ移動しなきゃ!」
 慌てて茂みの中へと飛び込んだシリンは、ドラグナーガール達の追跡を逃れる。業を煮やしたドラグナーガール達は、ガルベリオン鋼製の武装を火炎放射モードに切り替えるとシリンがいるであろう森に火を放った。
「邪魔な木々など、燃やしなさい!」
「エルフを炎で焼き出して仕留めるのよ!」
「やめて!」
 故郷の森に放たれる火は、容赦なく燃え上がる。記憶の通りに燃える森の姿に、シリンは正気を取り戻すとユーベルコードを解除した。
 森は消え、身体も戻る。精神汚染を解いたシリンは、嫌らしい笑みを浮かべるパラダルクをものすごい目で睨みつけた。
「パラダルク……あなたは、私の、獲物……」
「僕を仕留めたければ、まずはドラグナーガール達を抜けてくることだね」
 やれやれと肩をすくめるパラダルクとの間に、ドラグナーガール達が立ちはだかる。今のままでは多勢に無勢。悪魔をも射殺す目で睨みつけたシリンは、ドラグナーガール達の包囲を抜けるとグリモアベースへと帰還した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ジェイ・バグショット
…は?女になってる
不健康な体も元より無い胸もそのまま

ハァ…どうせ女にするなら
もっと夢のある扱いにしてよね
男が金を貢ぎそうな、イイ女に

悪態つく気怠い性格
誘う視線や仕草、口調や雰囲気は柔らかい
金を生む女たちを無意識に真似ているのだろうか

女と遊ぶのが好きなんでしょう?
混ぜてくれる?
とびきりスリリングな刺激をあげる

拷問具『荊棘王ワポゼ』召喚した七つの鉄輪は高速回転しながら自動で敵を追尾する

拘束特化型拷問具『従属のウュズミガ』
手枷、口枷、足枷、鉄の首輪、鋼鉄の鎖の五点一式でそれぞれが自動で飛来し敵を拘束

紅い月が輝けば
凄惨苛烈なステージの始まり

ごめんなさいね
アタシ、悪い女なの

血に塗れた男がひとり妖艶に笑う



● 精神汚染
 戦場に立ったジェイ・バグショット(幕引き・f01070)に、パラダルクはおかしそうに声を掛けた。
「おや。これは美しい女性だ」
「は?」
 眉を顰めてしばし。グリモア猟兵の言葉を思い出したジェイは、胡乱げな視線を自分の身体へ投げた。不健康そうな肌色はそのままだが、ボディラインが若干丸みを帯びている。
「……は? 女になってる」
 身体は女っぽい。ならここはどうだと、襟元を摘んで覗き込んだそこには、いつもの見慣れた平たい胸元とは似て非なるものがあった。
 胸はない。いや辛うじて少し膨らんでいる気もするが、ジェイにしてみれば無いに等しい。貧相とも言える体つきに、ジェイは深いため息をついた。
「ハァ……どうせ女にするなら、もっと夢のある扱いにしてよね。男が金を貢ぎそうな、イイ女に」
「おや自己評価が低いなあ。グラマラスな女性も好みだけどね、きみのような雰囲気のある女性も嫌いじゃないよ」
「お褒めに預かり光栄、とでも言っておこうかしら」
 気怠く柔らかい口調で返したジェイは、視線をパラダルクへと向けた。気怠い中にも誘うような色気を含ませた視線は、男達を誘惑する麻薬のような甘さを持っている。危険な流し目を受けたパラダルクは、それをそつなく受け取ると意味深な視線で応える。
 視線だけのやり取り。この流れに、ジェイは覚えがあった。
 胡乱な空間に侍る、金を生む女たち。身近にいる彼女達を無意識に真似ているのだろうか。ならば徹底的に真似るまで。
 侍るドラグナーガールが嫉妬に狂ったような視線を送る中、ジェイはパラダルクへと歩み寄った。
「女と遊ぶのが好きなんでしょう? 混ぜてくれる? とびきりスリリングな刺激をあげる」
「そう、それは楽しみだ」
 ユーベルコードを乗せた目で覗き込まれたジェイは、パラダルクから離れると拷問具『荊棘王ワポゼ』を召喚した。
 召喚した七つの鉄輪が、高速回転しながら自動で敵を追尾せんと危険な軌跡を描きジェイの周囲に侍る。
 続けて現れた拘束特化型拷問具『従属のウュズミガ』は、手枷、口枷、足枷、鉄の首輪、鋼鉄の鎖の五点一式の拷問具。左右に召喚した拷問具達を忠実な下僕のように侍らせたジェイは、妖艶な笑みを浮かべると詠唱を開始した。
「おやすみの時間よ」
 詠唱と同時に、紅い月がジェイの上空に現れ、彼女の姿を映し出す。自分の意志を持ったかのように飛んだ従属のウュズミガが、パラダルクや踊るドラグナーガール達を拘束する。踊りをやめ、拘束から逃れようともがくパラダルクやドラグナーガール達を荊棘王ワポゼが容赦なく蹂躙する。
 凄惨苛烈なステージと化した儀式場に、断末魔の悲鳴が響く。血と肉の塊と化した敵を見下したジェイは、頬に当たった返り血を舌で舐め取った。
「ごめんなさいね。アタシ、悪い女なの」
「気にすることはないさ。僕も悪い男だからね」
 肉塊と化したパラダルクから聞こえる声に、ジェイは眉をしかめた。血と肉の海に沈んだはずのパラダルクは無傷で立ち上がり勝利の笑みを浮かべる。倒れたはずのドラグナーガール達もまた、何事もなかったかのように立ち上がると再び踊り始めた。
 何が起こったのか。目を見開いたジェイは、返る天地に目を見開いた。霞む目が映すのは、儀式場の天井。同時に、地獄の激痛がジェイを襲った。ジェイを絶え間なく責め立てるのは、自身の拷問具。回避しようと試みるが、四肢を拘束され身動きが取れない。
「あ……?」
「フューチャー・ルーラー。きみの精神を支配させてもらったよ。勝利から敗北を味合わされた気分はどうだい?」
 勝ち誇った笑みを浮かべながら、パラダルクが近づいてくる。先制攻撃対策がされないまま精神支配魔術をまともに受けてしまったジェイは、自身に向けてユーベルコードを放ったのだ。この場の理として、女の子になったことへの精神抵抗は猟兵有利に働かない。
 血に塗れた男がひとり妖艶に笑う。ジェイを救援しようと猟兵が飛び出す気配を最後に、意識が闇へ落ちた。

失敗 🔴​🔴​🔴​

大町・詩乃
人によっては深い傷を負うかも…仕方ありません、ここは一肌脱ぎましょう♪
いそいそとセーラー服に着替えて向かいます。

「私はただの女子高生になってしまったのですね。
ですが世界と皆さんを護る為、頑張ります!」と堂々とセーラー服着れて少し嬉し気♪

先制攻撃は第六感で予測し、見切り・功夫・ダンスで舞うように回避。
オーラ防御も纏いますよ。

初発之回帰にて召喚されたドラグナーガールにはお引き取り願い、踊っているドラグナーガール達には雷の属性攻撃・全力魔法・神罰・高速詠唱・範囲攻撃による雷で倒します。

そして彼の鳩尾に発勁(功夫・打撃属性攻撃・神罰・衝撃波・貫通攻撃)を打ち込みます。
猟兵の身体は変換できないでしょう。



● セーラー服と時間遡行
 精神支配魔術を受けた猟兵に向けて攻撃が仕掛けられる。
 その間に割って入った大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、展開したオーラで攻撃を弾くとパラダルクに向き合った。
「自分が女の子になったと思い込ませる精神汚染……。それは人によっては心に深い傷を負うかも知れない危険なものだと、分かっているのですか?」
「ふむ。僕のかわいいドラグナーガールになれる栄誉を思えば、傷も勲章だと思うけどねえ」
「勝手なことを!」
「他人のことはいいんだよ。僕には君が嫌がっているようには、とても思えないんだけどねえ」
「こ、これは……」
 嫌らしくニヤニヤするパラダルクの指摘に、詩乃は慌てて自分の衣装を検めた。裾を持ち上げたプリーツスカートは、絶対領域を確保した絶妙な長さのミニ丈。白のハイソックスに黒のローファー、シンプルな白のセーラーカラーを差し色のように彩る赤いリボン。黒の細い二本線。誰がどう見てもセーラー服だ。
 セーラー服を普段の詩乃には少し抵抗がある。だが、今この場の詩乃は女子高生。堂々と着れた詩乃は、嬉しそうに胸を張った。
「いいじゃないですか! 今の私はただの女子高生になってしまったのです。ですが世界と皆さんを護る為、頑張ります!」
 照れながら拳を握る詩乃に、パラダルクはやれやれと肩を竦める。自分が女の子になると聞いた時からセーラー服を着ると決めていた。
 文化によっては18歳以下の少女にしか着ることを許されない聖服であるセーラー服。今年めでたく飲酒も可能になった詩乃には、近くて遠い衣装。心置きなく着れる機会は逃したくないではないか。
「ふう、まあいい。逃してしまった猟兵の代わりに、きみをドラグナーガールにするとしよう」
 パラダルクが指を弾いた瞬間、背後の空間が歪んだ。現れたガルベリオン鋼の武装をしたドラグナーガール達は、一斉に銃口を詩乃に向けると一斉に発砲した。
 響く銃声。先制攻撃は承知していた詩乃は、セーラー服の裾を翻しながらオーラ防御を展開した。無数の銃弾が結界面に突き刺さり、幾何学模様に歪む。銃弾を辛うじて防御した詩乃は、仲間が撤退を完了したのを見送ると深くしゃがみ込んだ。
 直後に頭上を通過する銃弾。一点集中でオーラ防御を破ろうと放たれた銃弾を第六感で回避した詩乃は、低い姿勢のまま地を蹴った。
 剣を抜き、近接戦闘を仕掛けるドラグナーガール達の下を抜け、背後を取る。不意を突かれ振り返るドラグナーガール達に姿勢を正した詩乃は、即座に詠唱を開始した。
「歪んだ世界をあるべき姿に戻しましょう」
 詩乃の全身から溢れ出した神気が、構えた両手から放たれる。踊るように回避を試みるドラグナーガール達だったが、その姿がふいに歪んだ。
 振り返ろうとするドラグナーガール達が、詩乃に背中を向ける。そのまま逆再生される映像のように突き進んだドラグナーガール達を横ステップで回避した詩乃は、パラダルクの背後に消えるドラグナーガール達を見送ると肩に掛かった髪を払った。
「ドラグナーガールにはお引き取り願いました」
「素晴らしい! まさか召喚前まで時間遡行するとは思わなかったよ」
「それはどうも」
 余裕の笑みを崩さないパラダルクが、嫌味のように手を叩く。大袈裟に動くパラダルクから視線を外さずに、踊る二人のドラグナーガール達に指を向けた。
 直後に落ちる、巨大な雷。詩乃の全力で放った神罰は二人のドラグナーガールを巻き込み、打ち据えていく。耳をつんざく轟音が響く中、詩乃はパラダルクの鳩尾に発剄を打ち込もうと地面を蹴る。だがパラダルクの方が早かった。雷攻撃直後の硬直を狙い突き出される手刀を、間一髪回避する。そのまま距離を取る詩乃に、パラダルクは更に踏み込んだ。
「やれやれ、僕のドラグナーガール達に酷いことをする子にはお仕置きが必要だね!」
「くっ!」
 間合いを取った詩乃は、警戒を強めるパラダルクの隙を探るが、さすがに見つけられない。これ以上は無理と判断した詩乃は、撤退の間合いを探る。
 二人の間に割って入った猟兵の姿に、詩乃はグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シズ・ククリエ
マジでドン引き
自分の趣味を他人に押し付けんな…って
待って、うわあ…

気づけば、同い年くらいの女の体つき
腕や指先は細く繊細に見えて

おれ、女になっちゃった…
さすがに不安になる訳で
喋る武器の電球杖フィラメントに視線向けるが

『キャーッ!オレ様も美少女になってるゥー!』
――フ ィ ル 、お 前 も か

いや、お前手も足も生えてないから!
流れるようにツッコミ入れたら
なんかどうでもよくなってきた

…フィルは飛んでる奴のデコイにでもなっててよ
『オレ様、超カワイイ―!』
電球ピカピカ、電撃バチバチ弾ける相棒は囮に
軽率に近づいて痺れてしまえばいい

時間さえ稼げれば充分
祈りを糧に侵食する白き闇
全部ぜんぶ飲み込まれてしまえ



● 女の子になっても変わらない相棒
「やあ。きみも女の子になったんだね。そしてドラグナーガールになって僕と握手。こんな光栄なことは他にあるかい?」
 戦場に立ったシズ・ククリエ(レム睡眠・f31664)に向けて放たれた第一声はそれだった。召喚されたドラグナーガール達を侍らせて悦に入るパラダルクは、戦況が良くないことは重々承知しているだろう。だが、臆面もなく困った様子もなくヘラヘラと手を伸ばしてくる姿に、シズは全身に立った鳥肌を慌てて宥めた。
「っえー、マジでドン引き。自分の趣味を他人に押し付けんな」
「強者にはそれが許されるんだよ。そういうきみも、なかなか愛らしい姿じゃないか」
「へ? 待って、うわあ……」
 拒否する暇もあればこそ。意識が一瞬途切れたシズは、女の子の姿になった自分の身体を見下ろした。
 年齢は今と同じ18歳くらいだろうか。少女から女性へと美しく変化を遂げたばかりの初々しい身体はなめらかな曲線を描き、腕や指先は細く繊細に見える。どこからどう見ても女性の身体に変化した自分の頬に触ったシズは、不安のため息をついた。
「おれ、女になっちゃった……」
 女になったから今すぐどうだ、ということはない。だが、これからもずっと女として生きなければならなとしたら、どうすればいいんだろう。
 せり上がる不安を和らげようと、喋る武器の電球杖フィラメントに視線を向ける。おののいたように明滅させたフィラメントは、甲高い声で叫んだ。
『キャーッ! オレ様も美少女になってるゥー!』
「――フ ィ ル 、お 前 も か」
 思わずツッコミを入れたシズに、フィラメントは更に言い募った。
『見て見てこの髪! くりっとした目に愛らしい頬、腕や足もお人形さんみたい……』
「いや、お前手も足も生えてないから!」
『あーら、シズさん。あーたもなかなかな美少女何じゃなくて? キー、悔しい!』
「いやなにその口調!?」
 ボケ倒すフィラメントに流れるような裏拳ツッコミを入れると、なんだか不安なんてどうでも良くなってくる。思わず笑ったシズに、フィラメントも笑うように明滅する。二人の漫才を見守っていたパラダルクは、笑い声を上げると手を叩いた。
「なかなかおもしろい出し物だったよ。ーードラグナーガール達、遊んであげなさい」
「はい、パラダルク様」
 頷いたドラグナーガールが、シズに向けてガルベリオン鋼製の銃口を向ける。放たれる攻撃を左右に別れて回避したシズは、相棒のフィラメントに指示を出した。
「フィルは飛んでる奴のデコイにでもなっててよ」
『オレ様、超カワイイ―!』
 カワイイアピールしながら電撃を放つフィラメントに、ドラグナーガール達動きを止める。その隙に詠唱を完成させたシズは、白き闇の翼を場に展開した。
 シズの背中から伸びた一対の白き闇の翼が、ドラグナーガール達を侵食していく。シズに向けて直接攻撃を仕掛けようとするドラグナーガール達は、フィラメントが電撃で動きを止める。ダメージを負ったフィラメントは、背中から伸びるもう一対の黒き光の翼で癒やしていった。
「祈りを糧に侵食する白き闇に、全部ぜんぶ飲み込まれてしまえ」
 召喚されたドラグナーガール達が、次々に白き闇の翼に囚われる。次々に闇の中に消し去ったシズは、ダメージを負いながらも未だ残ったディアブロホワイトとアンヘルブラックに祈りを向ける。
 祈りを捧げ続けるシズに、パラダルクは地面を蹴った。
「魔力の源はきみの祈りだね」
 迫る異様な力に、シズは思わず祈りをやめて攻撃を回避する。フィラメントが足止めしようとするが、さすがに止めきれない。
 パラダルク自身の攻撃力は未知数。これ以上の戦闘は危険と判断したシズは、グリモアベースへと帰還した。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・深耶
その二つの属性を掌握しているのが貴様だけだとなぜ思える?
白先、黒後、私が『攻撃を受ける未来』と『攻撃を受けた過去』を切り捨てろ
それにより先制攻撃にまつわる時間軸を切り捨てる!

凌いだならばこちらの手番だ
白騎士の力と黒騎士の力を複合させた白先と黒後の二刀流を用いた時空間切断剣術により高速飛翔を開始
強化されたドラグナーガールと空中戦を繰り広げながら時空間切断剣術で距離座標を無視した斬撃を叩き込み、可能ならばパラダルクのその首を狙う!
貴様の下種加減には聞いてて呆れていた
故に私の『ディアブロホワイト』と『アンヘルブラック』で引導を渡してやろう



● 白と黒の終局
 猟兵達の絶え間ない攻撃で破壊された儀式場。その中央では、未だに二人のドラグナーガールが踊っていた。
 深いダメージを負い、もはや踊りとも言えない動きで手足を動かす。そんなドラグナーガール達を愛おしそうな目で見守るパラダルクの前に、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)は黙って歩み出た。
 深耶の気配に、パラダルクは振り返る。臨戦態勢を整える深耶から視線を外したパラダルクは、再び踊るドラグナーガールを見つめた。
「あれだけいた僕のドラグナーガール達も、ついに彼女たちだけになってしまったよ」
「案ずるな。お前もすぐに後を追わせてやる」
「おお怖い」
 怖がっているなど欠片も感じさせないパラダルクは、踊るアンヘルブラックとディアブロホワイトに両手を差し出した。
「さて、僕のかわいいドラグナーガール達。最後の仕事だ」
「はい、パラダルク様」
「ご命令を」
「あの猟兵の首を、僕の前に差し出せ。君たち二人は瀕死だが、力を合わせれば一人分の動きはできるだろう」
「「かしこまりました」」
 恭しく一礼したアンヘルブラックとディアブロホワイトが、深耶に向けて躍りかかる。過去と未来を象徴する二人が踊りながら繰り出す攻撃を、転生式次元干渉兵装・封縛刀『白先』と転生式次元干渉兵装・封縛刀『黒後』で受け止める。
 白先でアンヘルブラックの、黒後でディアブロホワイトの攻撃を受け止めた深耶に、両脇から二人の蹴り技が放たれた。
 威力はそこまでではないはずだが、強化された蹴りを腹部に受けた深耶は、身体をくの字に折って威力を逃すと大きく後方へとジャンプした。
 強い。先制のユーベルコードで強化されたドラグナーガールの攻撃を受けた深耶は、口の端から流れる血を拭うと不敵な笑みを浮かべた。
「その二つの属性を掌握しているのが貴様だけだとなぜ思える?」
「ほう?」
「白先、黒後、私が『攻撃を受ける未来』と『攻撃を受けた過去』を切り捨てろ。それにより先制攻撃にまつわる時間軸を切り捨てる!」
 深耶の号令に、二振りの刀が淡い光を帯びる。ぐにゃりと歪む空間がパラダルク達を飲み込むように展開したが、大きく手を振ったパラダルクの動きに光は掻き消された。
「何?」
「ユーベルコードの裏打ちもなしに、この僕の攻撃をなかったことにできると? そして弱体化しているとはいえ、この二人に残された時間はまだある。ろくに回避も防御もせずにどこまで堪えられるか、試してみるとしようか」
「黒白空撃・それは未来と過去の狭間に在る唯一つの時に飛来する双の一撃!」
 直後に繰り出されるアンヘルブラックとディアブロホワイトの攻撃に、間一髪飛翔した深耶は、空中に飛び立つと双刀を構えた。深耶を追跡し飛翔したアンヘルブラックとディアブロホワイトが代わる代わる仕掛ける攻撃を高速移動で回避するが、全てを回避しきることはできない。
 体力は徐々に削られていく。それでも、ここで深耶が引く訳にはいかない。
 辛抱強く空中を駆け巡り時期を待った深耶は、ようやく訪れたチャンスに双刀を構えた。可能性を使い潰したアンヘルブラックとディアブロホワイトの動きが止まる。二人の向こうにパラダルクを捉えた深耶は、白と黒の刀を構えると宙を蹴った。
「私の『ディアブロホワイト』と『アンヘルブラック』で引導を渡してやろう!」
 白騎士の力と黒騎士の力を複合させた双刀が、空を斬る。豆粒ほどの大きさのパラダルクを射程に収めた深耶は、次の瞬間地上に降り立っていた。
 その動きを捉えられた人がいただろうか。時空の法則を無視したかのように一気に距離を詰めた深耶は、豆粒ほどの大きさにまで離れていたパラダルクの首を落としたのだ。
 儀式場に転がったパラダルクの首が、
「きみのディアブロホワイトとアンヘルブラックか。二人に倒されるなら本望だよ。僕の敗因は、新しいドラグナーガールを増やせなかった……」
「黙れ下郎。貴様の下種加減には聞いてて呆れていた」
「ははっ。下郎に下衆か。まあいい。いい暇潰しになったよ。また会おう猟兵」
 高らかに笑ったパラダルクの首が、灰色の霧になって消える。静寂を取り戻した儀式場で息を整えた深耶は、グリモアベースへと帰還した。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年05月16日


挿絵イラスト