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7thKING WAR㉓〜享楽の扇動

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『パラダルク』

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#召喚魔王『パラダルク』


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●召喚魔王『パラダルク』
 デビルキングワールドの地には似遣わぬその戦艦は、遠い銀河を航行していたものと実に酷似していた。そう、スペースシップワールドにおいて帝国軍が用いた『実験戦艦ガルベリオン』と同一艦と見て間違いは無いだろう。
『――海亀とは似てる様で違うが』
 灰色の髪を揺らし、その青年はその戦艦の中枢部にて同じガルベリオンの名を持つ何かの記憶を手繰っていた。が――思い出せることは一つも無い。
『覚えているのは、私は勝利を目前に敗れた事』
 そう、いかなる存在をも魅了するこの『享楽』の力を以てすれば、万物全てが己の思うまま――の筈だった。世界を構築する元素も、世界の根源たる存在も、全て従え支配する筈だった。なのに、なのに。

『碎輝、め――』

 小物だと見くびったのが拙かった。支配などしようとはせずにそのまま息の根を止めてしまえば良かった。それなのに。
 唇を噛む。敗北の忌まわしい記憶だけが竜の魔王の心を蝕む。
 だが。奴に勝つ為の手は既に講じた。時間を操る力を支配に置いた今、もはや奴の無限成長を恐れる必要は無い。

『ドラグナーガール達よ、儀式を続けよ』
 必ずや碎輝を見つけ出し、そしてこの手で仕留め、憂いを絶つ。
 この世界の大魔王とやらに喚ばれたらしいが、従う義理がどこにあろうか。
『パラダルク様……! 猟兵とやらが此方に向かっております』
『他をあたれ、と告げた筈なのにな』
 ガールの報告を受け、大きく肩を竦める。成る程、称賛はした連中ではあるが、命知らずな連中でもあったらしい。だが考え直す。小さく笑みを浮かべ告げる。
『私の力を知っても向かってくるならば……碎輝と同じくお前達も、私が乗り越えるべき『試練』という事だ!』
 虹色の孔雀の様な竜翼を広げ、冷静な表情で彼は告げた。

 ――私の名はパラダルク。
 享楽の力は最早無敵。邪魔するならば排除するのみ。

●享楽の扇
 竜の翼持つ書架の王、竜王を自称する女。そして竜の翼持つ魔王。
「このカンジ、ブックドミネーターやメロディアにも感じたんやけど」
 蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は猟兵たちを前に小さくぼやく。偶然か必然か。少なくともドラゴンに属する系統の魔王である事は間違い無いだろう、と言う事で。

 ガチデビルが「特級契約書」で喚び寄せた「異世界の魔王」の一体。それが今回戦う事になる、パラダルク。
 何故か銀河帝国攻略戦で見た『実験戦艦ガルベルオン』が停泊しており、彼はその中で何やら儀式を行っているらしい。
「世界征服とか破壊とかカタストロフ級のヤバい事ではあらへんけど……」
 その儀式とは。『成長する』『碎輝という名の存在』を探し出す事。
「……すごくどっかで聞いた名前、やろ?」
 カクリヨファンタズムの四大妖怪・竜神親分『碎輝』の事とみて良いだろう、と。
「碎輝がこのパラダルクにどんな恨み買っとるかは知らんけど。探されて行かれてもその……困るさかいな?」
 何せこのデタラメな能力の魔王を倒すすべを碎輝なら知ってるかもだし。まずカクリヨにカチコミされても困るし。何よりガチデビルを倒しに行くに当たって進行の邪魔だし。

「けどさっきも言うた通り、コイツの能力は享楽――万物を魅了し、女の子に変える事が出来るデタラメな能力。いや、女の子や言うのもどうなん?と思うけど」
 ツッコまずには居られなかったらしい。映像に映し出されたドラグナーガール達はその名の通り、美少女達。擬人美少女化にも程がある。
「自然現象やこちらの攻撃は勿論やけど、時間さえも女の子に変えるとか、訳わからん」
 その結果パラダルクが手中に収めたのが過去属性『アンヘルブラック』と未来属性『ディアブロホワイト』。その結果、パラダルク自身も過去の若い姿と未来の初老の姿を行ったり来たりしているらしいが、だからと言って強さは然程変わらない。

「今回は過去の力を体現した若いにーちゃん姿のパラダルク相手や」
 向こうは確実に先制攻撃をしてくる。その攻撃に対処した上で、パラダルク本人を倒しに狙うか――その後ろで踊ってるドラグナーガール達を倒して儀式を潰すかだ。
 儀式を潰されればパラダルクは退く。無論倒す事も出来るが……本人の能力的に困難な上に完全な撃破は難しいと見られている。

「つまり乗り込んで暴れて儀式台無しにしてくるくらいの気持ちで行って来ぃ」
 無理に倒すまで至らずとも良い。撤退させるだけして、無事に戻って来て欲しい。
 凪紗はそう願いながら、グリモアによる転移を開始した。


天宮朱那
 天宮です。
 ドラゴンロードは絶対書きたいんで滑り込み!
 好みに忠実に従ってイケメンサイドにしました、はい。

 プレイングボーナス→
「敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)」
「踊るドラグナーガール達を倒す」

 ガルベリオン内部、パラダルクとドラグナーガールの儀式場から開始。
 まず、パラダルク自身は今回の戦争の中では完全撃破は出来ません。
 今回は「パラダルクを倒す」か「踊るドラグナーガールの儀式阻止」のどちらかを行う事でクリアとなります。難易度的には後者のがまだ簡単かも。
 いずれにしても先制でユーベルコードを使ってきます。対抗策が無いと苦戦か失敗となりますので必ずプレイングで記載下さい。なお「▲▲(技能)を使って防御」だけでは対抗と見なしませんので具体的に記述下さい。
 パラダルクへの直接狙いは攻撃そのものが魅了され操られる場合もあります、ご注意を。――碎輝いなかったら本当にどうやって倒すんだよコイツ。

 有力敵戦と言う事で難易度も高め。負傷描写バッチ来いってくらいの気概でどうぞ。

 技能の『』【】等カッコ書き不要。技能名大量羅列は描写がシンプル。
 上記読んで無さそうな方は、参加人数次第で採用率低めになります。
 どう使うか、どう動くか――技能の使用に具体的な記述有る方がプラス評価。

 複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載のご協力を。
 全員採用は確約出来ません。オーバーロードはご自由に。採用不採用に変化は無いのでご了承を。

 5月17日(火)8時半以降よりプレイング頂けると有り難いです。
 導入部分は入れれたら入れるかも。
 マスターページやタグ、Twitter(@Amamiya_syuna)などでも随時告知をしますので確認頂けますと幸いです。
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第1章 ボス戦 『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』

POW   :    パスト・ガールズ
レベルm半径内を【ドラグナーガールの大軍】で覆い、[ドラグナーガールの大軍]に触れた敵から【ユーベルコードの使い方の記憶】を吸収する。
SPD   :    リピートコード
【戦場内のドラグナーガールのいずれか】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、戦場内のドラグナーガールのいずれかから何度でも発動できる。
WIZ   :    パラダルク・パラダイム
【水光土火樹薬風毒氷闇の十属性】によって【ドラグナーガールの軍勢】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。

イラスト:モツ煮缶

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

三上・くぬぎ
女の子いっぱいより、ねこさんいっぱいのほうがいいです

レプリカクラフトがコピーされたです?
でもそれ、仕掛け罠以外はあんまり使えないですよね
あのひとたちが仕掛け罠にくわしいとはかんがえにくいです
もし仕掛け罠ができたとしても、それってだいたい、じめんに設置するものですよ
だから空中を移動するです
設置アミとかワイヤーが張られてないか気をつけつつ、ちっちゃい体を活かしてあちこち逃げまわるです!

儀式してる場所についたら、UCで反撃です
作れるだけのゴキブリホイホイとネズミ捕りをばらまくですよ!
いっぱい踊ってるから、罠にかかりやすいですね
罠にかかって動揺してるドラグナーガールを、注射器銃の出血毒で攻撃ですー!



 多くの可愛らしい女の子達が何やら不思議なダンスを輪になって踊る。どこかのクラブでも盆踊り会場でもない。ここは戦艦ガルベルオンの中枢部で、あれは魔王パラダルクの行う儀式なのである。
「女の子いっぱいより、ねこさんいっぱいのほうがいいです」
 三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)は、むぅっと女の子に囲まれて座すパラダルクを睨み付けて言う。
『ふむ、私としてはネコよりも猫耳の娘が良いのだが――』
 真顔で性癖垂れ流すパラダルク。ダメだこいつ。そしてくぬぎはプンスコと目の前の悪者に対して怒りを滲ませているその様子であったが。
『やだ、かわいい……』
『かわいい……パラダルクさま、あれ欲しい……』
 そんな彼女を見て思わずキュンキュンしてるドラグナーガール達。作られた存在とは言え、乙女心を持ち合わせているらしく。可愛いものには弱そうだ。
『私は儀式に忙しい。あの毛玉の生き物が欲しければ自分達で捕獲すると良い。どうやらアレも邪魔をしに来た猟兵らしいのでな』
『『はーい!!』』
 踊りの輪から数体が抜け出てくぬぎに向かって飛びかかる。ぴょん、と身をかわしながらくぬぎが地面に仕込んでいたのはレプリカクラフトによる仕掛け罠。
『きゃっ!?』
 トラバサミに足をガッツリ挟まれ、悲鳴を上げるガールの一体。痛そうな表情をするガールとは別の個体が同時にしてやったりの表情浮かべた。
『そのユーベルコード、お返しよ!!』
 ガールが指を鳴らせば地面に幾多もの仕掛け罠が具現化して現れる……!
「レプリカクラフトがコピーされたです?」
 驚いた表情を浮かべるくぬぎ。ガールの誰かが受けたユーベルコードを別の個体が用いる。普通に考えたら驚異である――筈なのだが。
『ふふん、自分の技で掴まっちゃいなさい!』
「……でもそれ、仕掛け罠以外はあんまり使えないですよね」
『え?』
 このガール達が仕掛け罠について詳しいとは考えにくい。現に目の前で量産されていく罠は最初にくぬぎが作って見せたトラバサミ一種類のみ、バカの一つ覚えにも程がある。
『ふ、ふふン、近づけるものなら近付いてごらんなさい!!』
 ガール達のダンスの輪に向かうにはトラバサミゾーンを越える必要がある状態。これだけ罠がずらっと地面を覆い尽くすと何だかシュール。
「それってだいたい、じめんに設置するものですよ……だから、空中を移動するです!」
 ぴょーん。大きくジャンプしたくぬぎは軽々と地面を覆う罠を飛び越え、ふわふわと空中泳いでガール達の目前までやって来る。
『えー!?』
『飛ぶとか反則ー!?』
「くぬぎはべつに、とべないとは言ってないです」
 設置アミもワイヤートラップも無いのは確認済み。作られたばかりの存在であるガール達には知識も経験も無く、本当に見様見真似しか模倣出来ぬらしい。
『――それしきのネズミ一匹捕まえられんとは』
 パラダルクも呆れた表情一つ。踊ってるガール達に指示を出し、くぬぎの排除に更に要員を回すも既に遅し。
「儀式なんてつぶしちゃいますよー!」
 バッとくぬぎが一斉にばら撒いたのは、人間サイズのゴキブリホイホイとネズミ捕り!
『きゃー!? べたべたねばねばー!?』
 ずぼっとホイホイを頭から被せられたガールの悲鳴が上がり。
『ひぎーっ!? 痛い痛い、動けないーっ!?』
 ネズミ捕りに挟まれてひぃひぃ涙目になっているガールもいる。
「おまけにこいつも食らえですよー!」
 動揺しまくってるドラグナーガールに注射器銃でブチコンと攻撃すれば、出血毒で再起不能。
『くっ……小さいからと見くびったのは誤りであったか……!』
 踊り所じゃ無い阿鼻叫喚の儀式場。気が付けばくぬぎの姿は見えず。儀式を担うガール達の散々な様子にパラダルクは唇を噛むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
女性人格の私が行くのだわ
「…ハレムとか滅べばいいのだわ」
女の敵死すべし慈悲はない
まぁ…殺せないと聞いてるけどね

「…まぁかっこいいのは認めるけど…」
…好きな人程殺してコレクションにしたくなっちゃうのよね
目とか手とか頂けないかしら?
駄目?しょうがないわね

敵は好きよ
好きになっても問題ないから
魅了というか素ね

…コピーされるのも厄介ね
なら使いたければ使えばいいのだわ

…というかイタズラとか悪の好きな誰かさん達のから自分だけ逃れられるとでも?
戦場は…カオスの炎に包まれるのだわ

実行犯は別の誰かだから私でもガール達でも予想は無理よ
驚いたふりをして呼ばれた人達のテンションに燃料投下
ガール達が踊れない状況を作るわ



「……ハレムとか、滅べばいいのだわ」
 実験戦艦ガルベルオン内部。転送された先に見えたものに、尾守・夜野(墓守・f05352)――の内の女性人格が浮かび出てはポツリと呟いた。
 見る限り、数え切れない程のドラグナーガールが円陣を組んで謎のダンスを踊っており。それを悠然と見つめるパラダルクとやらの周囲にもドラグナーガール達が侍っているのが良く見えた。
『また猟兵、か。私の邪魔をしに来たのか?』
 片手でガールを抱きながら、真顔で此方を見つめて肩を竦めるパラダルク。その様子に夜野(女性人格)は何だかムカッとする。
(「女の敵死すべし――慈悲は ない」)
 実際は殺せないと聞いているけども、気持ちとしてはぶっ殺したい。何見せつけてくれてるんだコイツ……と思うも、パラダルク本人を改めて見るに思うのだ。
「……まぁかっこいいのは認めるけど……」
『そうよそうよ、パラダルク様はとっても素敵な方なのよー!』
『あなたみたいなちんちくりんに興味はございませんことよー』
 ガール達がヤジを飛ばしてきた。身長については男性人格が泣きそうだから止めて差し上げろとは思いつつ無視。
「……好きな人程殺してコレクションにしたくなっちゃうのよね」
『ほう?』
 夜野の物騒な言葉に竜魔王が初めて興味を向ける様に口角を上げた。
「目とか手とか頂けないかしら?」
『残念ながら、私のこの身は私の物ただ一つ。譲る程持ち合わせてもいないのでな』
「駄目? しょうがないわね」
 好き、と言うこの感情は恐らく魅了の為に生じたものでは無い。素に芽生えた感情だ。だが、『彼女』は元々『敵』が好きなのだ。だって、好きになっても――壊してしまっても、問題が無いのだから。
『お喋りも飽きた。ガール達、その青年を丁重にお返ししろ』
『はーい!!』
 押し寄せてくるガール達。だがまだ帰る気は毛頭無い。手にした呪具は良く解らない曰く付き。それを宙に滑らせて、描くは呪いのメッセージ。
「……コピーするらしいわね、こちらの能力」
 スラスラ書き上げた呪いの言葉は薄らと輝き、その場に『何か』と喚び出した。
「なら使いたければ使えばいいのだわ」
『『ケキャーッキャキャキャ!!!』』
 現れたのは――悪戯好きなカクリヨ妖怪さん達の恐るべき百鬼夜行!!
『ひいぃぃっ!!?』
 見た目が特に不気味だとか怖ろしいとか、ガチなお化け屋敷の中から飛び出てきた様なのが一斉にガール達に襲いかかる!
『きゃーっ! 触られたぁ!?』
『やだー、スカート捲らないで!?』
『闇に引きずり込まれ……あ、あっ!?』
 戦場は――カオスの炎に包まれる。
「キャー! こわい、たすけてー!!」
 驚いた振りをすれば、喚ばれた驚かし大好き妖怪さん達もテンションアップ。燃料投下、とも言う。何よりこの喚ばれた者達の行動は喚んだ夜野自身にも想定不可能で、ガール達も予測不可能にも程があった。
 無論、このユーベルコードをコピーして更に阿鼻叫喚にしようとするガールはただの一匹もいない。それどころでも無いし。
『ええぃ、お前達落ち着け! 儀式を継続――うぐ!?』
 踊りの輪もハチャメチャにされて声を荒げたパラダルクの言葉が途切れた。恐れ知らずの妖怪さんがパラダルクの口の中に何故かちくわをブチ込んだのである。
「ふふ、これで儀式どころじゃないわね?」
 ドラグナーガール達の攻撃を受けて戻っていく妖怪さんと共にどさくさで撤収した夜野。儀式の踊りの輪は乱れに乱れ、阻止に大きく貢献したのは間違いなかったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハイネ・アーラス
お見知りおきを、享楽の方

随分と増えたものですね。
寵愛でも求め合っているようであれば、こちらも楽なんですが

軍勢である以上、下手に距離は詰めず
舵輪と共に毒を封じた宝石を放ち、間合いの確保と防御を
時間稼ぎになれば幸い
致命傷を受けることだけはないように立ちまわり、機を狙います

お嬢さん方、身を飾る宝石など如何ですか?

パラダルクが何か声をかけるかすれば幸い程度に
彼女達が気になるのは主人の声でしょう

——俺が、願う声よりも

蠱惑の願を使い、毒の雨にてドラグナーガール達を沈めます
数がいれど、沈めば——ここは我らが海
抜け出される前にナイフで仕留めきりましょう

儀式の邪魔をさせていただきますよ、さぁどうぞ蠱惑の底へ



 また一人、実験戦艦ガルベリオンの中枢に猟兵が姿を現す。コツン、コツンと硬質の床に響く足音は異世界の魔王が座すその正面にて止まる。
「お見知りおきを、享楽の方」
『招いたつもりは毛頭無いのだがな』
 ハイネ・アーラス(海華の契約・f26238)が柔和な笑みを向けて声を発するも、パラダルクは表情を変えずに言い放つ。その左右に甘えるドラグナーガールがいても特に感情を動かさぬのは、それがこの男にとって当然の事だからか。
『折角来て頂いた所、実に恐縮だが――此方も忙しい。お引き取り願おう』
 口先だけは丁重に告げると、パラダルクは指を鳴らす。すると、陣を作って踊る以上のドラグナーガールがその場に喚び出された。
『パラダルク様、お呼びになりましたぁ?』
『ここはあたしたちにお任せくださーい』
「――随分と増えたものですね」
 ガール達の明るいノリとその数に、ハイネは思わず息をつく。
(「寵愛でも求め合っているようであれば、こちらも楽なんですが」)
 彼女達の心が基本、主人であり創造主であるパラダルクに向くならば――勝機はある。ハイネは軍勢に対し距離を詰める事はせずに得物である舵輪を構えた。
『来ないならこっちから行くわよー!』
 向かってくるドラグナーガール達自体は各々属性持った攻撃をしてくるとは言えど、個体の強さは然程では無い。舵輪を投げ振り回して間合いを取りながら打ち倒し、迫り来る攻撃から身を守る。
「お嬢さん方、身を飾る宝石など如何ですか?」
 礫の如く放たれる宝石たち……ユーダリルを身に受けたガールは、受けた箇所から滲む毒に目を回し膝を着く。
『あら、そんな贈り物されてもあたしたちのパラダルク様への愛は揺るがないわよ?』
 毒を受けても揺るがぬ少女が吼える。どうやら毒属性持ちの個体らしい。
 致命傷を避ける様に立ち回っても、ハイネの豪奢な衣装から裂かれ、その下の白き膚にも傷が増えていく。だが水属性はセイレーンたる身には然程効かぬのが、そして向こうに雷属性が無いのがある意味有り難い。
『たった一人で見事なものだ。だが私は過去をも支配した――アンヘルブラックよ』
 パラダルクの言葉に、侍っていた黒き少女が倒れ傷付いたガール達に向けて手を伸ばす。その声に、仕草にガール達の意識が全て彼に向く。
(「やはり――彼女達が何より気になるのは主人の声」)
 そう――俺が、願う声よりも。
 回復し、立ち上がるガール達。だが、享楽の宴に蠱惑の神が舞い降りる。
『――なに?』
 パラダルクが表情を変えた。室内なのに突如雨が降り注ぐ。スプリンクラーとは違い、重くのし掛かるその滴は毒。
『『きゃあああっっ!!??』』
 毒の雨が海と化す。荒れ狂う波がドラグナーガール達を呑み込み沈めて行く。
『こっの!!』
「おっと、流石にキミは無事な様で」
 唯一十属性の内、この環境に適応出来る毒属性のガールが襲い来るも、ハイネは慌てず手にしたナイフで確実に仕留め。そして毒の津波は儀式のダンスを踊る円陣のドラグナーガール達にも及ぶ。
『ひぃぃっ!?』
『きゃあっ!?』
 この状態ではいくら負傷を回復させても毒海に呑まれたままでは戦う事すら出来やせず。パラダルクは初めてそこで怒りを顕わにした表情でハイネを睨み付けた。
『おのれ――小癪な真似を』
「儀式の邪魔をさせていただきますよ、さぁどうぞ蠱惑の底へ」
 享楽の竜王に向けたハイネのその微笑みは実に挑発的なのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルベナ・ラウンドディー
一応初めまして
其方の自己紹介は結構、概ね知ってます
貴方が埒外であるように


「此方にも優秀な予知者がいます」から



●串刺し・衝撃波
コード使用、刺突の無差別乱射を直刀で行う
真似など結構、集団戦なら味方に当たって扱いきれませんから。
立ち止まらず吹き飛ばし乱戦を誘う
同時に道を拓きイケメンを射程に収めます

ま、ド真正面から突っ込めば
途中で刀か衝撃波が女の娘になりますが…
どうせ使い捨て、油断を誘う分には上等です


●功夫・元気・武器改造・ぶん回し
なので自前の生命波動を武器化してブッ刺します、これが本命
動きを変えてカーブを描く串刺しです




次会うときに思い出してください
警戒すべきは彼だけではなかった、と
始めからね



 他の猟兵たちが散々荒らした後なのだろう、とベルベナ・ラウンドディー(berbenah・∂・f07708)は実験戦艦ガルベルオンのその奥に足を踏み入れるなり思う。
 輪になって踊っての儀式をしていると聞いたが。最早その円陣も崩れて再度並び直そうとしているドラグナーガール達。そんな彼女達に指図する竜翼の男が魔王パラダルクか。
『――お前達の相手をしている暇は無いのだがな。見ての通り立て込み中だ』
「そのようですね。しかし私は貴方に用が有る」
 白翠二色の髪を揺らし、ベルベナは慇懃な態度を崩さずに告げた。
「一応……初めまして。ああ、其方の自己紹介は結構、概ね知ってます。そう――」

 ――貴方が埒外であるように。

 ぴくり、と竜魔王の眉が動く。大きくわざとらしい溜息の後、男は問う。
『何故そう言い切れるのだ?』
「此方にも優秀な予知者がいますから」
『成る程』
 パラダルクは表情もそのままにドラグナーガール達に目配せ一つ。そして小さく一言のみ、彼女らに命じた。
『その竜人を摘まみ出せ』
『『はーい!!』』
 その場に残っていたドラグナーガール達はその身に過去の――リピートコードの魔力を帯びた状態で一斉にベルベナに向かって攻撃を仕掛けてきた。
「さて、真似が得意と聞きましたが」
 直刀を刺突の型に構え、青年は床を蹴る。ガール達の入り乱れる中に自ら突っ込みながら、放つは夕立一輪――即ち刺突の無差別連射たる技。
 剣先に走る衝撃波が少女達を捉え、高威力の突きが次々と彼女達を屠っていく。
『この……っ! お返ししてやるんだから……っ!』
「ええ、真似など結構――」
 食らいつつ辛うじて耐えたドラグナーガールの一体がベルベナのそのユーベルコードを模倣して放つ、も。
『きゃあぁっ!!?』
『ひぃぃっ!?』
 敵味方を問わぬその技を、この集団戦の中で用いるなど愚の極み。
「味方に当たって扱いきれませんから、ね」
 敵のユーベルコードをある意味封じたところでベルベナは立ち止まらず突き進む。ガール達自体は強くは無い。吹き飛ばし、道を拓き、向かうはイケメンぶった男の元へ。
『狙いは私か』
 パラダルクがその手を向ければ、ベルベナが剣の先より放った衝撃波は途中で捉えられ、少女の姿と化して彼自身に襲いかかる。
 真正面から突っ込めばそうなるのは想定内。衝撃波属性の少女の爪を受けながらもベルベナは足を止めない。突き出した刀も彼に襲いかかるがどうせ使い捨て――素手となった自分を見て、敵は油断しているのを確信した。
「はぁぁぁっっっ!!!」
 練り上げた氣を諸手から放った。生命力そのものが武器と成った波動砲。しかもそれはパラダルクに向けてでは無く明後日の方向に撃たれた……かに見えた。
『はっ、撃ち損ねたか』
「いいえ、これが私の本命……!」
 身を宙で捩るとその波動は大きく曲線を描き――パラダルクの側面より穿つ様に突き刺さった!!
『が、は――!?』
 座した場所から崩れる様に倒れるパラダルク。無論これしきで倒れる存在では無い。彼の横に侍るアンヘルブラックがその傷を戻していく術からも解った。だが。
『――もう良い。撤収だ』
『パラダルク様!?』
『私の目的は碎輝を見つけ仕留める事』
 だが既にその為の儀式は乱され、行う事は出来なくなった。そして考えを切り替えたのだ。この場所に、この地に固執する必要の無い事に。
『――邪魔したな、六番目の猟兵達よ』
「次会うときに、思い出してください」
 ベルベナはガルベリオンごと移動を決めたパラダルクに告げるのだ。
「警戒すべきは彼だけではなかった、と――始めからね」
『覚えていたら、な――?』

 異世界の魔王は去り、道は拓かれる。
 この先――この世界の覇者を決める戦いが終わり、まだ続くのだとも識らずに。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月30日


挿絵イラスト