7thKING WAR㉕〜破壊愛を打ち砕け
「猟兵はまだか!! デェェェストロォォオイッ!!」
「イエス、ビューティスパイダー」
「足りぬ! 一向にデストロイが足りぬぞ! デェーストロォオーイッ!!」
「イエス、ビューティスパイダー」
「力ある者を更に圧倒的パワーでデストロイしてこそのデストロイヤー!!
動かぬ大地や木々や弱者をデストロイドしても、デストロイパワーはまるで足りぬわ!!」
「イエス、ビューティスパイダー」
「来たれデストロイ! 受けて立とうぞデストロイ!!
我こそデストロイ最強の王だデェェェストロォォオオオーイッッ!!!!」
「イエス、ビューティスパイダー」
「イエス、ビューティスパイダー」
「いえす、びゅーてぃすぱいだー」
●グリモアベースにて。
「――……僕の説明、聞こえましたか……?」
残念ながら……、と首を振る猟兵たちが幾人も見えた。
どうやら予知の映像を流しながら情報を説明していたようだが、あまりに混沌ですとろいな映像だったらしく、完全にグリモア猟兵の声はかき消されたらしい。
「声量が足りず失礼しました」と空咳をしてから、サティ・フェーニエンス(知の海に溺れる迷走っコ・f30798)なる少年は、やや頑張ってちょっとだけ声を張り上げる。
曰く、
異世界の魔王『デストロイキングボス』が現れた。
身の丈50m、溜めもなく放つパンチのみでも大地を砕く、圧倒的力。
超巨躯ゆえスピードはそれほどない、代わりに、人面蜘蛛ビューティスパイダー(美少年の顔を持つシュール蜘蛛)を数多放ち、その蜘蛛が居る所へ瞬間移動をする。
猟兵を標的と定めており、見つかれば一瞬で間合いを詰められデストロイ(破壊)される。
「敵に瞬間移動がある以上、先制攻撃されるのは免れないでしょう……。
どうにかしてその恐ろしいパワーの一撃をまずは対処して下さい。そうすれば、すでに超近接しているわけですから、二撃目まで僅かに隙が出来るはずです。
もしくは、猟兵の周囲を動き回り瞬間移動の不意打ち攻撃を有利にしている蜘蛛たち、それを少しでも排除して下さい。
魔王に見つかる前に数を減らせれば、それが相手の先制攻撃の対処となります」
先制攻撃を防ぐか躱すか出来た後なら、蜘蛛たちに紛れて攪乱戦法ももしかしたら通じるかもしれない、などとぽつりと零す少年。
蜘蛛たちが唯一発する言葉、「イエス、ビューティスパイダー」を一緒になって口にしていれば、超巨躯から見れば場合によっては蜘蛛と判別が出来ない時がある、かも、しれない、なんぞと段々小声で。
「油断だけはしないでください……とても、とても危険ではありますので。
どうかご無事のご帰還を……」
張った喉をまた咳で直しつつ。少年はグリモアを掲げた。
真白ブランコ
脳筋フラグメントだ!!(失敬)と喜々として飛びついてしまった脳筋MSもどき、真白ブランコです。お世話になっております。
バスターゴリラ戦法ってタノシイデスヨネ。
とはいえ超パワーな圧倒ボスな為、何卒お気をつけて。
●プレイングボーナス……敵の先制攻撃に対処する/ビューティスパイダーを排除する。
このシナリオ内に限り、上記プレイングボーナス行動後ならば、ビューティスパイダーたちに紛れる事も可能。
あいことば「イエス、ビューティスパイダー」を胸に、
または「デェェェストロォォオオオイッ!」とボスと雄叫び合って、瞬間攻撃タイミングを見計らう事も可能かもしれません。
破壊愛に共感示してくれるとノりやすいデストロイキングボス、なのかもしれません(このシナリオ内に限ります)。
あくまで、プレイングボーナス行動後で。
●公開と同時に受付開始。
成功人数様集まらなそうな場合は、14日(土)あたりからサポート様のお力を借りる予定です。
御一考何卒宜しくお願い致します。
第1章 ボス戦
『デストロイキングボス・一撃必殺』
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POW : デストロイフィンガー
【ビューティスパイダーへ瞬間転移し、指先】で触れた敵に、【デストロイエネルギー】による内部破壊ダメージを与える。
SPD : デストロイタイフーン
【多くの敵を捕捉できる地点に転移して】から、戦場全体に「敵味方を識別する【破壊の大嵐】」を放ち、ダメージと【装備破壊】の状態異常を与える。
WIZ : インビジブルスパイダー
【転移先となる透明ビューティスパイダー】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マリア・ルート
ええい煩いわよあんた!いやあんたら!
ご近所迷惑じゃない!苦情来ても知らないわよ!?
鼓膜がデェェストロォォオオイされる前にさっさと倒さないと……今一瞬うつったような。気のせいでしょきっと。
透明なビューティスパイダーを呼んで肉薄をしてくるでしょうから、それを野生の勘で見切って早業で【指定UC】発動、チャージ開始して無敵になって相手の攻撃がやむのを待つわ。うまく演技して全然効いてないふりをしましょう。
相手の攻撃がやんだところでコード解放!
無敵は消えちゃうけど、この肉薄距離なら相手は避けられないでしょ!
あとはビューティスパイダーを巻き込みつつ勢いに任せて一気に距離を取るわ。そのまま離脱してもいいわね。
●
破壊の嵐真っ只中へ、殲滅の魔女が舞い降りる。
一方的な蹂躙、“荒らし”の地は見慣れたもの、と口角に微か自嘲の形を作る。
己が過去から塞がり切らぬ血が流れたとて、自ら変わるのだと決意したから。目を逸らし歩みを止めることなどない。
「待ちわびたぞデェェエストロォオオオイッ!!!
響く破壊、見舞おうぞ破壊、何度でも!!!」
「イエス、ビューティスパイダー」
「って、ええい煩いわよあんた! いやあんたら!
ご近所迷惑じゃない! 苦情来ても知らないわよ!?」
とはいえ邂逅するのもこれで数度目ともなれば、超巨躯な強敵相手にも対応慣れするといふもの。
シリアス思考は続くことなく的確なツッコミへと変貌した。
通る地を悉く焦土と化している為、ご近所も苦情もあったものでは無いことはマリア・ルート(紅の姫・f15057)とて重々承知している。しているが言わずにおれぬ台詞とてあるのだ。
まだ距離はあるとはいえ、巨体からすでに此方の事は視認されている。デェェストロォォオイッと叫んでいる内に早々に行動するのが得策だろう。
「鼓膜がデェェストロォォオオイされる前にさっさと倒さないと……、……今、一瞬うつったような。気のせいでしょきっと気ノセイヨ」
数度相まみえ都度あの大音量のセリフを耳にしていれば、脳が誤作動し口を動かしてもおかしくはない。そう、あくまで精神ダメージである。決して、けっして、あの口癖が自分にまでうつったわけではないっ、などと逃避した後。
まみえた経験から、透明なビューティスパイダーを呼んで肉薄してくる相手の戦法は把握済み。マリアは迅速にUC【クライマックス・シュート】を発動し、チャージ状態となる。
直後、マリアの周囲にインビジブル化した数多の蜘蛛たちの気配が広がった。
生物の呼吸を察する野生の勘がいち早くマリアの体を突き動かした。
最もマリアの近距離に在ったインビジブルスパイダーから、身を翻し一定の距離を取ったまさにその瞬間、先程まで遠目に見えていた超巨躯が山の如く目の前に姿を現す。
「デェェエストロォオオイ!!」
「やっぱりきたわね……!」
相手の好間合いからは免れたとはいえ、四方を囲む蜘蛛たちの五感を共有したデストロイキングから、的確にマリアの頭上へ超パワーのパンチが振り下ろされる。
物理においてはUCのおかげで無敵状態、だが、天地揺るがすほどの衝撃が脳や臓器を振動させるのまでは防げない。
隕石群のような攻撃に脳震盪を起こしそうになるのを、マリアはぐっと堪え、あくまで全く効いていないフリをし続けた。
「っ……ほら、ほらっ、デストロイパワーってそんなもの、かしら……!」
「うむ! 流石は何度デストロイしても立ち上がる標的デストロイヤー! 我が好敵手よ!」
「誰が好敵手か……!!」
デストロイキング、感心、といった面持ちで手首返し、再びの溜めに入った。
勝手に人を脳筋と一緒にしないでちょうだい! とばかりにマリアは絶好のタイミングを見出し、チャージしていたコードを解放する。
蒼玉の瞳を鋭く輝かせ紅の髪を後方へなびかせれば、マリアの両掌から超巨躯すらも飲み込む魔法力の高エネルギーが、螺旋状となって轟音と共に放たれた。
圧倒的パワーに固められた筋肉鎧すらも、圧縮された魔力の前では無に等しく。
「デッ、デストロイ砲ッ、だという、のか……!?」
超巨躯の影がマリアに掛からぬ地まで後退し吹き飛んだ。
その破壊力の余波で、周囲のビューティスパイダーも相当数巻き込み減らしたのを感じ取って、マリアは一気に大地を蹴って離脱のテイをとる。
「私の役目は、十分果たしたかしら……。あんな、体力も化け物級に何度も同じ技撃てないしね」
仲間たちへ、あとは任せたと頷いてみせてはフーッと肩で息一つ。
「……私、脳筋に好敵手呼ばわりされるほど同類じゃ、ないわよね……?」
誰にともなく呟いた言葉がひゅるりと風に吹かれたとか。
成功
🔵🔵🔴
ゲニウス・サガレン
嵐は古来より過ぎ去るのを待つもの
アイテム「沈滞の投網」
金属製の網の下で必死に大地にしがみつく!
うぐっ! 私の装備が! 探検服が!
……ふぅ、この古代パンツを履いてなかったら命まで吹っ飛んでた(気のせい)
嵐を耐えたものの満身創痍
とても動けないが
その必要もない
イエス、ビューティースパイダー!
嵐の中で輝いて
その姿観察した
アイテム「C式ガジェット」&UC「ガジェットショータイム」
クモの天敵はハチだ
ガジェットよ
無数のハチに変化してスパイダーを狙え!
イエス、ビューティースパイダー!
駆逐してやる!
これは持論だけど、注意力に一番聞くのは痛みだと思う
ハチよ、キングの足首も狙え!
いええがああーっ!(謎の雄たけび)
●
派手に吹っ飛んで行ったように見えた敵の姿。しかしてその全長の巨体さから、完全に視界外から消えることはなく、ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)も目を逸らさぬままざわりとした本能から身を屈めた。
数多未開の地、壮大な自然現象を体感した私の肌がビンビンと危険信号を鳴らしている!
己が感覚へ了解の旨として、ゲニウスは即座にカバンから「沈滞の投網」を取り出し全身を覆った。
それとほぼ同時だった。
「デェェエストロォォオオイッ!!」
雄叫びが大技繰り出された合図――分かりやすいなっ、たすかるー!
すでに戦場全体が見渡せる位置にいたデストロイキングから、砂も石も大岩もまとめて巻き上げ大地を削る大嵐が放たれ、あっという間にゲニウスの伏せている地へ到達する。
「唸れタイフゥゥウン!! 両の足で立つ標的たちを破壊し尽くせデストロォーイッ!!」
いやぁ私立ってないんだけど這いつくばってるんだけど素通りしてくれない……よねええ。
マイペース思考を回すのも、己が戦意を保つ一つの方法である。
思考とは裏腹に、ゲニウスの四肢は今にも轟風にもっていかれそうになる体を必死に大地に押し留め。古代繊維により編まれた金属網が削られる地形をも利用し縫い留められるよう、網の下で網を抑え踏ん張る。
嵐は、古来より過ぎ去るのを待つもの。
「……うぐっ!」
ゲニウスは耐える。着心地良い探検服が、共に苦難を乗り越えて来た装備たちが、“破壊”されていっても。
結果、探検家の忍耐力がデストロイを堪えきった。
「……ふぅ、この古代パンツを履いてなかったら命まで吹っ飛んでた」
実際は経験値と忍耐力と幸運のおかげであろうが、散った戦友たる探検服たちを労い、耐え抜き残ってくれた装備の欠片たちに感謝の意を込めて。
「つまり! 猟兵のデストロイパワーの源とは! ぱんつとやらか! ならばぱんつをデストロォォオオイ!!!」
耳ざとく拾ってしまった破壊王。とんだ単語をですとろい連呼し出した。
「ボスの威厳が! 私のせいかな違うよね!」
爽やかな笑顔浮かべるゲニウスであるが、実際はようやく自分の網から這い出せる程の満身創痍で。肘と膝で四つん這いになり顔を上げるのが精一杯であった、
けれど、これ以上動く必要はない。
大嵐は敵味方を区別し過ぎ去った。ゆえに、未だゲニウス周辺には幾匹もの人面蜘蛛たちが元気にかさかさ動いており。
探検家は生物の処世術を実践する。
「イエス、ビューティースパイダー!」
事前情報を刻んでいれば華麗にあいことばが飛び出した。
途端、ゲニウスをまるで仲間とし、つられたように蜘蛛たちから同台詞が輪唱される。
イエス、ビューティースパイダー。
イエス、ビューティースパイダー。
「ぬっ、猟兵が、消えたっ? 我が呼吸でデストロイか!?」
標的目掛け進行し出していた大山の視界で、木を隠すなら森の中作戦が見事にキマる。
その間に、探検家は観察力を発揮していた。
「――ガジェットよ。無数のハチに変化してスパイダーを狙え!」
古生物研究に名高きガジェッティアが創り出した魔導蒸気「C式ガジェット」が、UC【ガジェットショータイム】の発動を受け、この場において最も的確な姿形へと変貌召喚される。
それは蜘蛛の天敵、ハチ。
「イエス、ビューティースパイダー! 駆逐してやる!」
号令と共に、大ハチとなったガジェットが生き物の如き流麗な動作で、次々と人面蜘蛛たちを刺していくのを爛々とした瞳が捉え続ける。
「どうしたことだ!? 我の移動媒体の数が、減っていく!? デストロイされている、だと!?」
超巨躯の驚愕といった表情を、ゲニウスはじっと見つめた。
……これは持論だけど、注意力に一番聞くのは痛みだと思うんだ。
とかく物体を観察している時ほど、突然の予期せぬ攻撃はダイレクトに脳をつたう。ジャングル行くとよくあったなぁ、なんて思い出がよぎりつつ。
四つん這いのまま、キリッと力を振り絞り雄叫んだ。
「ハチよ、キングの足首も狙え! いええがああーっ!」
「!? デストッ、ロォーーーイッ!?」
「ッいええがあああああ!!」
「ッですとろぉおおおい!!」
全身の痛みを圧してハチを激励し続けるゲニウス。
突如来襲した足元への鋭い痛覚をデストロイドしようとする破壊王。
熾烈な気合い合戦が勃発した。
成功
🔵🔵🔴
森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大惨事大歓迎
…この魔王、暑苦しすぎね?
なあ…蜘蛛ごとまとめて焼いていいか?(げんなり)
先制の透明蜘蛛召喚は阻止できねぇが
俺を追跡するなら手はあらぁ
魔王が蜘蛛を召喚したら
デビルカードを「投擲」で周囲にばら撒き
「属性攻撃(風)、範囲攻撃」でフォルカロルの権能(暴風)発動し足止めし
間髪入れず俺の周りを二槍で一気に「なぎ払い」
「第六感」に引っ掛かればラッキー
蜘蛛を潰したら「高速詠唱、言いくるめ、魔力溜め」+指定UCでアスモデウス召喚
「属性攻撃(炎)、制圧射撃、蹂躙」で魔王周辺を焦土に変えてやらあ!
アスモデウス!
目の前のトンチキ魔王と配下蜘蛛を
てめぇの獄炎でまとめて燃やしちまえ!!
●
……この魔王、暑苦しすぎね? と思っていたらば、その暑苦しさで拮抗した闘いが繰り広げられていたのを、ついぞ唖然と傍観した後。
対応しておくなら今では? と冷静に思考を回しては、すちゃ、とデビルカードを構えた森宮・陽太(人間のアリスナイト・f23693)。
本当は蜘蛛ごとまとめて焼き払ってしまいたいところであったが、咆えていた破壊王がその視線をこちらに向けているのに気付いていれば、潔く戦法順を切り替えた。
「そこかぁあ!! そこにもデストロイ標的がおったか!! 我にパワーを!! 新たなるデストロイパワーを与えよ!!」
「だから暑苦しいっつーの!!」
「活きの良い標的! デストロイし甲斐ありデストロォオオオイ!!」
スルーすればもうすこぉしだけ静かだったかもしれないが、性分(不本意)たる陽太なれば、キレイに応えてみせて破壊王を絶好調にした。
とはいえ。
ぜってー黙らせる。
火に油注がれやすい破壊王とは裏腹に、決意の分だけ思考の根は冷えていくのは、猟兵としての経験値ゆえかはたまた、心の奥底に抱くもう一つのサガゆえか。
手にしていたデビルカードの内、雄々しく鷲獅子の翼を広げた悪魔「フォルカロル」が描かれた物を己の間合いぎりぎりの周囲へと、的確に投擲した。
「視える!! 視えるわ!! すでに我が蜘蛛たちに囲まれている標的が!! 孤立無援デストロイなり!!」
「おう、脳筋かと思いきやそんな言葉も知ってんのか。安直だが」
しかし孤立無援とは、この場に何とも合わねえチョイスだ。
己を今ターゲットにしている破壊王からは、他の仲間の姿など見えぬのだろう。
そしてなにより。
「見えねぇ札を持ってんのは、テメーだけじゃないんだわ」
緑玉の視線が鋭く光った。
瞬間、待ち伏せるように散らばっていたデビルカードから、暴風の権能が解き放たれる。
「力を借りっぞフォルカロル……!」
風を宿したカードたちから、螺旋状の暴風が陽太の間合いを守るように渦巻き、まさに標的を追跡しようと迫っていたインビジブルスパイダーたちの動きを封じた。
瞬間移動の隙すら与えず、濃紺と淡紅の槍先から力を奮えば、暴風で留め置かれた蜘蛛たちがあっという間に薙ぎ払われた。
手応えあり。
視えずとも、暴風の流れと第六感、そして手元の感触が確かに蜘蛛を屠ったと伝える。
「愚かなり! 愚かなり!! 我のデストロイパワーを受けし機会を、取り込まれる瞬間を、デストロイするなどと!!」
戦えば戦う程、武器を振るい奮う程、冷えていく脳髄。
もはや破壊王に応えることなどしてやらず、陽太は天地を指して悪魔をいざなった。
冷静さの極致にあればすでに高速詠唱を終え、溜められた魔力が炎の化身を付き従えて。
「――アスモデウス! 目の前のトンチキ魔王と配下蜘蛛を、てめぇの獄炎でまとめて燃やしちまえ!!」
“トンチキ魔王”としっかり口から出たあたり、冷たき仮面に引っ張られず堂々陽太として力を使っている証であろうか。
すでに焦土にされてしまった地に思いを馳せて。
てめぇがやったことをそっくり返すぜ……思い知れ!
超巨躯を獄炎が取り囲み、一斉制圧の焔の弾道が破壊王を蹂躙する。
身を焦がし、空気を破壊する獄炎の中で、デストロォオオイイッ!の型をつくる藻掻く口があった。
成功
🔵🔵🔴
朱酉・逢真
【逢魔ヶ時】
心情)元気なフォーミュラだね。ちがう? 気ィ付けなよ脳筋の旦那ァ、人間は死ンだら死ンじまうンだから。そォそ、だから無茶は俺の担当サ。
行動)《毒》を宿した《植(*植物)》で周りのクモ斃しながら、魔王サンの足引っ張って少しでも威力減衰しつつ《獣》どもを出して初撃への盾とする。囮ンなってくれる旦那には多重結界(*結界術)も張って。その隙に仕掛けだ、コンマミリ秒でも視線が切れればいい。その間隙にしかける。ふたりとも殴り砕かれた…と夢見るがいい。クソ強いやつほど自分がミスる可能性を考えない、なんとでもなると思ってッからなァ。だから絶対一度はひっかかる。
すぐ覚めるだろうが、十分だろ。なァ旦那?
深山・鴇
【逢魔ヶ時】
脳筋とイエスマンしかいなくないか?
ま、俺も相手の事は言えないんだが
(大抵斬ればなんとかなると思っている)
うん、それはね、人間は多分皆知ってると思うよ
君は死んでも死なないけどね(正確には死ですらない)
だからって無茶していいって訳じゃないんだよなぁ!
攻撃はこちらに来るように相手を煽る
力勝負かい?なら俺が相手をしよう
なんならデストロイも叫んでタイミングを合わせ相手の攻撃を見切ろう
無理でも逢真君の結界がなんとかしてくれると信じてるよ
隙ができたなら一瞬でも問題ないさ、斬ってご覧にいれようとも
あぁ、タイミングはバッチリだよ逢真君!
UCで逢真君が作った隙を狙って攻撃
腹の口ごと一文字に真っ二つだよ
●
焼けて黒く広がる景色。砕かれ生物立つ事も叶わぬ大地。
生命喪ったという点においては彼岸と似て、けれど非なる――。それを視界という名の仮初の感覚で捉えながら、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は確かに此処は己が役目を執行する地だと認識する。
「虫植獣だけでも随分減らしたモンだ。元気なフォーミュラだね。ット・違うか」
「……脳筋とイエスマンしかいなくないか?」
世界の一部として風景を映す逢真、一方で、未だそそり立つ存在感、蒼き山の如きデストロイキングと、かしこを走る蜘蛛の方へ視線をやるのは深山・鴇(黒花鳥・f22925)。
一定頻度で鳴る雄叫びと続く輪唱を、情報として確認した後、もう十分だなとばかりに眼鏡押し上げる動作にてそっと流した。
「気ィ付けなよ脳筋の旦那ァ、人間は死ンだら死ンじまうンだから」
「おっと俺も脳筋だとよくご存知で。死については、うん、それはね、人間は多分皆知ってるよ。気を付ける気を付ける。君は死んでも死なないけどね」
「そォそ、だから無茶は俺の担当サ」
「だからって無茶していいって訳じゃないんだよなぁ!」
逢真が死の枠外に存在する神であれば、彼にとって身を滅ぼす事は死ですらない。
が、それはそれ、これはこれ。叶うなら裏拳あたりを突っ込みたかった鴇である。彼がこちらに触れぬよう気を配ってくれている日頃を知っているゆえ、堪えたけれど。
そんな鴇へ深淵思わせる緋の瞳を、逢真は僅か細める。
「相変わらずやさしいねェ旦那は。マ・今回は適材適所ッてな」
「ああ分かっているよ」
廉直なる応え合いの後、同時にそれぞれの臨戦態勢と成る。
「デストロォオオオイッ!! 我がパワーに砕けよ標的ども! 足掻くは無駄! デストロイこそ至高!!」
「イエス、ビューティスパイダー」
とても分かりやすい轟きを合図に、二つの影が分かたれた。
敵から技放出の気配はなかった。しかし能力で構成されているとはいえ、インビジブルスパイダーの生命力は確かに“在る”と感知できるもので。
「オソマツな隠れ方だァな」
生の色浮かばぬ顔に形だけの微笑みがつくられた。
直後、蜘蛛たちの感覚がばったばったと消え失せるのを破壊王は感知する。
病毒の権化、その一部を具現化した黒緑色の植物が逢真の影から伸び、見えぬはずの蜘蛛たちを的確に侵食し屠っていく。
「どんなデストロイだ!? 我が力の解放を邪魔するデストロイヤーはキサマか!?」
「いいやこちらだよ。あっちはおたくの蜘蛛の影じゃあないかな。さっき『イエス、ビューティスパイダー』と言っていたよ」
「ぬっ、そうか! ではキサマをデストロォォオイッ!!」
破壊王の意識が逢真に向きそうになった瞬間、真横から鴇が飛び込み告げれば、溜めたパワーの進行方向があっさりと鴇へと向いた。
あざやかとはこの事だねェ。
かみさま、共闘相手の流言手並みに無自覚な感嘆の吐息一つ。
秒単位で減らされていくスパイダーの感覚に、デストロイキングも行動を定める。
一体の蜘蛛の視界に上等なスーツの背が映った瞬間、超巨躯は一瞬にして鴇の背後を取った。
桜色の瞳に驚きの色が浮く。も、想定内とばかりに準備されていた肺活量が打ち出される。
「デーーーーストロォオーーーイッ!!」
「!! デエエエストロォォオオイッ!!」
それは大技への誘導。鴇の大音量なる挑発に、破壊王、まんまとつられて技発動を叫んだ。
不意打ちに背後を取られた形なれど、攻撃タイミングを誘導出来たならば見切る事も可能となる。鴇、降って来た巨大人差し指を、寸でのところで見切る――も。
「ッ!」
それは世界覆しほどのエネルギー。
なびいた横髪その一房を掠めた、それだけで膨大な内部破壊衝撃が鴇の全身を震わせた。
一部始終を見つめていた逢真。
大技先導した頼もしい背中が、暫くしても落ちる事無く両の足でまだ立ったままだと見とめれば、命の灯は無事かねと確認の声をかける。
「よくぞご無事で」
「いやぁ危なかったげっほ……君の事前に掛けてくれた結界術が、見事に守ってくれたよ、ありがとう」
「お役に立って光栄だ。俺じゃァ先の風圧だけでオダブツな自信あらァな」
「そうだね、良い子も神様もマネしないように」
深く頷く鴇がいた。何せこのかみさま、無敵なようでいてむしろ常人より余程虚弱体質なのである。今も自身の方まで飛んできた風圧は、咄嗟に《獣》たちを盾にする事で難を逃れたのだった。
捉えた!! とドヤ顔準備していた破壊王、尚佇む猟兵の姿に現状理解する脳処理が追い付かず、破壊技が止まる。
二人分の視線がそれを見逃すはずもなく。
「互いに得意分野でもうひと踏ん張りといくかね」
「了解だ」
鴇が距離を取る間、逢真は即座にUCを発動させた。
【夢見の小鳥(オネイロイ)】。放たれた三羽の小鳥の霊が、破壊王に夢を魅せる。痛みを伴わぬゆえ掛かっていることにも気づかぬ麻薬、対象が望む結末を見せる罠へのいざない。
「――オオオオオ!! やはり! やはりデストロイド!! 標的もはや砕け散った!! 我、最強の破壊王なり!!」
引っかかったどうか、一目瞭然であった。
クソ強いやつほど自分がミスる可能性を考えない、なんとでもなると思ってッからなァ。
三羽の小鳥たちが、破壊王の眼前で舞うのを見上げたまま、逢真は紡ぐ。
「すぐ覚めるだろうが、十分だろ。――なァ旦那?」
瞬間、無防備然となった破壊王の真正面に鴇が駆け込んだ。
「ああ、タイミングはバッチリだよ逢真君!」
大山の如き大きさでも、瞬間移動という躱し技を持っていても、刹那の隙さえ捉えたならばそれらは彼の前では無に等しい。
斬ってご覧にいれようとも。
銀の刃が翻った。
唇の動きのみで『《咲け》』と成れば、抜かれた刀にUCの輝きがのる。
斬るモノの規模も、距離や空間さえも無視した、全てを飲み込む一刀両断の斬撃。
力強く踏み込んだ足と同時に、刀は斬撃の軌跡を描いて破壊王の腹の口目掛け、光の線を創った。
己が身に何が起きたか、きっと理解せぬままに。一文字描かれた山がゆっくり二つに、大きな音を轟かせ崩れ落ちた。
「……こいつをする気は勿論ないけれど。こういう、大きな供え物もあった方がいいのかな」
緊迫感も一緒に両断したかのように、鴇がふと素朴な疑問といったのんびりとしたトーンを醸し出せば、逢真は肩をすくめる。
「さァて。供物を選べた試しがねェし選ぼうとも思ったこたァ無い、ガ。
誰かが言いそうなセリフを一応言っとこうかィ? “大きけりゃァいいってもんじゃない” と」
とかく最近は、新鮮なモンを頂戴することも増えたしナ、などと微かよぎりながら。
「マ・今は間に合ってらァな」
踵を返しながらそう紡がれた言の葉を、どこか微笑ましい温度浮かべる淡色の瞳が追うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵