7thKING WAR㉕〜見敵必殺、デストロイッス!
●デビルキングワールド・急造デストロイキングダム
「……デェェェストロォォォォイ!!」
突如焦土に轟いたのは、異世界から召喚された魔王『デストロイキングボス』の咆哮!
しかし、召喚魔王様、どこか苛立っているようです。
「足りぬ、デストロイがまるで足りぬぞ!
力とはパワーだ! パワーがあればデストロイできる!
そして我は、人面蜘蛛ビューティスパイダーの居場所にテレポートする能力を持つ。
つまり『悪魔契約書』でスパイダーを送れば、我は全ての世界をデストロイできる。
故に、ガチデビルの護衛を引き受けたのだ!」
とっても丁寧に事情を説明しつつ、苛立ちは隠さないデストロイキングボス。
なぜなら……。
「……だが、やめだ! 何故ならばデストロイが足りぬからだ!
猟兵! お前達を我が標的とする!」
あっ、世界のどこかで魔王ガチデビルが「話が違うぞ!?」とツッコミを入れた気が。
ですが、デストロイキングボスは聞く耳を全く持たず、叫び続けます!!
「我こそはデストロイの王のボス、デストロイキングボス!
真っ向勝負だ、猟兵よ……!」
その呼び声はデビルキングワールド全体だけでなく、世界を超えて遥か彼方のグリモアベースまで轟き。
そして……。
●このオープニングで何度「デストロイ」と叫べばいいのだろう
「……あのさぁ」
どうしました? 鋼鉄製ハリセン片手にがっくりと肩を落としている、グリモア猟兵藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)さん。
「いや、3体目の召喚魔王『デストロイキングボス』への道が開けたので、ちゃちゃっと相手してきてほしいのだ。可能な限り早急に、一撃必殺で」
投げやりな美雪さんに猟兵たちが向けるのは、わけわかんねぇと言いたげな表情。
さすがに説明が足りぬと感じたか、美雪さんはコホン、と咳払い一つしたのち、大真面目に説明を始めました。
「大真面目に説明すると、新たに現れた召喚魔王デストロイキングボスは、1stKING『魔王ガチデビル』が特級契約書で呼び寄せた『異世界の魔王』のうちの1体だ」
一瞬でデストロイする程の圧倒的なパワーと、配下である人面蜘蛛ビューティスパイダーの居場所にテレポートする能力を併せ持つ、「デェェェストロォォォォイ!!」が口癖たる蒼肌の筋肉質な召喚魔王。それがデストロイキングボス。
彼の魔王が厄介なのは、『持ち前の圧倒的なパワー』と『瞬間移動ユーベルコード』を組み合わせ、一撃必殺の攻撃を繰り出して来ることにあるようで。
「しかもこのコンボ、皆がユーベルコードを使うより早く、絶対先制で繰り出してくるのだ……無策でこのコンボを真正面から喰らってしまえば、猟兵とて命はないってのに」
つまり、デストロイキングボスに見つかったが最後、テレポートで一瞬で間を詰められ、周辺を焦土化しながらデストロイされるそうで。
正直反則だろ、と美雪さんも大きくため息ひとつ。
「まあそれでも、このコンボを皆の技量や技能で何とか凌いでもらい、生じた僅かな間に最大級の攻撃を叩き込んでもらえれば、勝機は見えるだろうな」
デストロイキングボスの攻撃が見敵必殺ならば、猟兵側は一撃必殺の気概を持って臨むのが、有効打を与える近道となりそうですね。
「ああ、もし絶対先制コンボに対応できないと感じたなら、周囲のビューティスパイダーを倒し、転移先を減らしていただきたい」
ビューティスパイダーの居場所にしかテレポートできない以上、転移先を減らすのも有効なはずだからな、と付け加える美雪さん。
ちなみに、人面蜘蛛ビューティスパイダーは『顔面が美少年の顔をしている蜘蛛』で、攻撃能力は一切持っていないそうです。
「まあ、正直暑苦しい召喚魔王なのは事実なんで、ちゃっちゃと倒して平穏を取り戻してくれ」
結局本音はそれかよ!? との猟兵たちの総ツッコミを受けながら。
美雪さんはグリモア・ムジカから無数の音符を展開し、猟兵たちを戦場に転送するのでありました。
北瀬沙希
北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
よろしくお願い致します。
とうとう3体目の召喚魔王が、姿を現しました。
猟兵の皆様、絶対先制コンボを何とかして潜り抜け、撃破をお願い致します……!
オープニングはかなりコミカル風味ですが、有力敵(召喚魔王)戦ですので、判定はやや厳しめです。
それ相応の準備をした上での挑戦をお待ちしております。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「7thKING WAR」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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状況は全てオープニングの通り。
今回は冒頭の追記はありません。
●本シナリオにおける「プレイングボーナス」
【敵の先制攻撃に対処する】か【ビューティスパイダーを排除する】と、プレイングボーナスが付与されます。(どちらか片方だけでOK)
魔王デストロイキングボスは、猟兵の姿を目撃すると、猟兵がユーベルコードを使用するより早く、もっとも近いビューティスパイダーの居場所にテレポートし、圧倒的なパワーで周囲ごと滅してきます。
凶悪な絶対先制コンボを技能や戦術で凌ぎ、数少ない攻撃チャンスをものにした上で、全力の一撃を叩き込んでください!
絶対先制コンボを凌ぎ切れる自信がない場合は、戦場をかさかさ動き回るビューティスパイダーを倒して数を減らし、テレポートを阻害するのも有効でしょう。
●プレイング受付期間
オープニング公開直後~5月14日(土)8:29。
●【重要】プレイングの採用について
早期完結を目指しますので、必要最小限のみの採用となります。
そのため、挑戦者多数の場合は、プレイングを採用せずお返しすることもございますので、ご了承ください。
逆に締切時に必要成功数未達の場合は、サポートの力をお借りさせていただきます。
その他、シナリオ運営に関する諸連絡は、マスターページを参照いただけると幸いです。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『デストロイキングボス・一撃必殺』
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POW : デストロイフィンガー
【ビューティスパイダーへ瞬間転移し、指先】で触れた敵に、【デストロイエネルギー】による内部破壊ダメージを与える。
SPD : デストロイタイフーン
【多くの敵を捕捉できる地点に転移して】から、戦場全体に「敵味方を識別する【破壊の大嵐】」を放ち、ダメージと【装備破壊】の状態異常を与える。
WIZ : インビジブルスパイダー
【転移先となる透明ビューティスパイダー】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シリン・カービン
デストロイとは?
……疑問はさておき、狩りの準備を。
狩りは、一人の時もあれば仲間と行うこともあります。
役割分担と行きましょう。
今回の獲物はビューティスパイダー。
短時間で、数を稼ぐ猟です。
風の精霊に頼み、自分を中心に外側に向かって風を吹かせます。
透明化していても風は避けられません。
風の精霊の反応から周辺の蜘蛛の動きを掴みます。
「逃れられるとお思いですか?」
【Bullet Net】を発動。
弾丸の雨で周囲を一掃します。
残った蜘蛛にはマヒの状態異常を与えて動けないようにし、
少し離れて待機。
運が良ければデストロイキングボスが転送してくるでしょう。
待ち伏せして腹の口に連射を浴びせます。
「あなたは、私の獲物」
マリア・ルート
暑苦しいっつーかなんつーか、別の意味でやりにくい奴よねこいつ……
やるけど。やんなきゃいけない以上、やるけど。
スレイプニルに乗って銃火器とマグナムルートでビューティスパイダーを蹴散らしながらエントリー。なるべくビューティスパイダーのいない場所に陣取りつつ、野生の勘でボスが転移してきたのを察知したら近距離ならスレイプニルを乗り捨てて犠牲になってもらい、遠距離ならカウンターで【指定UC】の無敵の武器を数本飛ばして犠牲になってもらうわ。
どちらにせよ攻撃後の硬直を見逃さない。
(近距離でまだ使ってないなら【指定UC】展開しつつ)ビューティスパイダーごと武器乱舞で範囲攻撃、掃討してやるわ!
筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?
●熱い戦場がさらに暑くなりそうですね
「よくここに来た猟兵! デェェェストロォォォォイ!!」
戦場全体に無駄に低い声で雄叫びを轟かせながら、転送された猟兵たちを出迎えた召喚魔王『デストロイキングボス』。
その巨体をやや遠目に眺めながら、マリア・ルート(紅の姫・f15057)さんは、肩で大きく息をつくようにため息を吐き出していました。
「暑苦しいっつーかなんつーか、別の意味でやりにくい奴よねこいつ……」
「……うん、すごく暑苦しい魔王だね」
サポートとして駆けつけた筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)さんもまた、マリアさんに同意するかのように軽く眉を顰めています。
ふたりが既に気疲れしているのも無理はありません。
この魔王、挙動も言動もとにかく暑苦しいったらありゃしませんから。
「そもそも……デストロイ、とは」
一方、マリアさんやトオルさんとは対照的に、涼し気な顔をしつつ内心小首を傾げていたのは、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)さん。
確かに、毎回デストロイデストロイと叫び続けられれば、デストロイの意味がゲシュタルト崩壊しそうですね。
しかし、シリンさんの興味は、デストロイキングボス本体よりその足元に群がり始めた人面蜘蛛『ビューティスパイダー』に向けられていました。
そのビューティスパイダーたちは、召喚主たるデストロイキングボスの足元に集まって傅き、同じ美少年顔を召喚主に向けながら、次の言葉を待っているようです。
デストロイキングボスは、コホンと大仰に咳ばらいをしながら、傅く人面蜘蛛に檄を飛ばし始めました。
「ビューティスパイダーよ、これより猟兵との戦を始める!」
『イエス、ビューティスパイダー!』
「己らは我の足場となり、我のデストロイの手助けをせよ!!」
『イエス、ビューティスパイダー!!』
「我のデストロイのために! デェェェストロォォォォイ!!」
『イエス、ビューティスパイダー!!!』
「……って綺麗な顔してそれしか言えないの!? ビューティスパイダーって!?」
美少年顔が揃いも揃って同じ返答しかしないことに呆れたのか、とうとう突っ込むマリアさん。
ええ、そうなんです。この人面蜘蛛、これしか言えないのです……。
『イエス、ビューティスパイダー!!!』
「こっちに律儀に反応しなくていいから!! ……ああもう」
ほぼ脊髄反射で再度突っ込んだ後、突っ込み疲れてがっくり肩を落とすマリアさん。
いや、もう突っ込むだけ無駄だと思います……主も蜘蛛もすっとこどっこいですから。
「マリアさん……僕も手伝いますから……」
心底気乗りしなさそうなマリアさんの肩を、トオルさんがポンと叩いて慰めて。
もっとも、内心は全く別の事を考えていたりしますが。
(「本当はカサカサした敵よりもふもふした敵が良かったんだけど……」)
ダークセイヴァーでももふもふを堪能していたトオルさんですが、それはそれ、ということで。
そんなふたりに、シリンさんがクールな表情を崩さず諭します。
「ふたりとも、今回は役割分担と行きましょう」
狩りは一人の時もあれば仲間と行うこともありますから、と付け加えたシリンさんに、マリアさんもトオルさんも同意しつつ。
「……まあ、やるけど。やんなきゃいけない以上、やるけど」
「やりましょうか……」
無理やり気力を奮い立たせながら、マリアさんは自我を持つ悪魔バイク『スレイプニル』に跨り、トオルさんは右手にメダルを握り込みながら機を伺い始めました。
●クールな狩人は蜘蛛を狩り尽くしたい?
「ビューティスパイダーよ、急ぎ散開し、我の道標となれ!」
『イエス、ビューティスパイダー!』
召喚主の命に従い、ビューティスパイダーが、文字通り蜘蛛の子を散らすように戦場に散開していきます。
それ合わせて、シリンさんもこっそり動き出しました。
普段なら先制攻撃を凌ぎながら直接有力敵と対峙するシリンさんですが、今回は蜘蛛狩り狙いが優先、そのついでにデストロイキングボスに一斉射浴びせられれば良し、の姿勢です。
(「風の精霊よ、力を」)
戦場に散るビューティスパイダーたちとシリンさんたち猟兵の位置関係を確認するよう戦場全体を見渡すデストロイキングボスを軽く一瞥した後、シリンさんはそっと風の精霊たちに呼びかけました
呼び出された風の精霊は、常にどこかで溶岩が噴出し、全般的に気温が高めのデビルキングワールド特有の気候を嫌がっているようですが、シリンさんの頼みとあらば断われません。
風の精霊たちは多少逡巡した後、突風を吹かせ始めました。
――ゴウッ!!
熱気を含む風がシリンさんを中心に吹き荒れ、シリンさんに接近していたビューティスパイダーたちの足を鈍らせ、たたらを踏ませます。
しかもその中には、デストロイキングボスがこっそり召喚し紛れ込ませた透明化した個体も含まれている模様。
(「そこに紛れているのですね」)
風の精霊の動きから透明化したビューティスパイダーの居場所を察したシリンさん、精霊銃の銃口を虚空に向け、トリガーを引きました。
「逃れられるとお思いですか?」
――パパパパパパーン!!
虚空に向け撃ち出された1080発の弾丸の雨が、風の精霊に足止めされているビューティスパイダーの群れに降り注ぎ、次々と足や胴を貫き地に沈めていきました。
●暴れ馬と銃器の見本市は数の暴力?
――シリンさんが冷静に蜘蛛狩りをこなす一方。
「ああもう! この暴れ馬!!」
マリアさんは、妙に気性が荒くなっているスレイプニルのコントロールに必死でした。
ある神話の馬の名を冠すこの悪魔バイク、時々マリアさんを振り落としたり蹴っ飛ばしたりするようなので、もともと気性は荒いのかもしれませんが、筋肉悪魔を目にしてさらに気性が荒くなってしまったのかもしれませんね。
とにかく、マリアさんはシリンさんとは別の方角からデストロイキングボスに迫りつつ、スレイプニル搭載の銃火器と範囲殲滅に特化したマグナムルートを乱射しながらビューティスパイダーを次々蹴散らし、転移先を減らしていきます。
「暴れ馬を駆るそこの姫よ、その気概よし! デェェェストロォォォォイ!!」
あっ、デストロイキングボスの気が、蜘蛛を蹴散らしまくるマリアさんに向いたっぽい。
「どうして姫とわかるのよ!?」
「何となくだ!!」
「あてずっぽうじゃない!?」
マリアさんが思わず突っ込んだ途端、ストロイキングボスの姿がふっ、とかき消えました。
「マリアさん、転移したようです!」
トオルさんが警告した直後、デストロイキングボスが姿を見せたのは――マリアさんの直近!!
「デェェェストロォォォォイ!!」
(「えっこっちに来たの!?」)
姿を見せると同時に、デストロイキングボスは揃えた人差し指と中指に破壊の魔力を籠め、圧倒的な怪力任せにマリアさん目がけて突き出しました。
マリアさんも慌ててスレイプニルを乗り捨て、デストロイキングボスに突っ込ませようとしますが、デストロイキングボスの指突のほうが圧倒的に早く、間に合いそうにありません!
(「間に合わない!!」)
破壊の指突がスレイプニルごとマリアさんを貫きそうになり、思わず目を固く閉じるマリアさん。
万事休す!! と思われた、その時。
――スカッ。
――がっしゃーん!!
破壊の指先は、なぜかマリアさんのすぐ横を掠めるように空振り、勢い余って急造デストロイキングダムを貫き、崩してしまいました。
「ぬぬぅっ!? そこにいるのに何故デストロイできない!?」
半ば崩れた急造デストロイキングダムから指を引き抜きつつ、無傷で立つマリアさんを目にして首を傾げるデストロイキングボス。
どうやら指突でマリアさんを貫く直前、何らかの力が働いたのか姿を見失ってしまい、軌道が僅かにブレて外したようですね。
その様子を遠目で見ていたトオルさんは、ほっと胸をなで下ろしていました。
「危ない危ない。のらりくらりと惑わせた甲斐があったね」
彼の視線の先にあるのは、マリアさんの背中に張り付いた妖怪ぬらりひょんのメダル。
実はマリアさんが吶喊する直前、こっそりと背中にメダルを貼りつけておいたのですが、ぬらりひょんが一時的にマリアさんの存在を視認されづらくしてくれたおかげで、マリアさんの命は救われました。
そして、トオルさんとぬらりひょんが作ってくれた一瞬の隙を、マリアさんが見逃すはずもなく。
「あんたは見たことある? 目の前を埋め尽くす、武器の大群を」
さっと切り替え『殲滅担当』たる本性を微かに表情に滲ませながら、マリアさんは625丁の銃火器を想像から創造し、デストロイキングボスの目の前にずらりと並べました。
並べられた銃火器は、ありとあらゆる時代のハンドガンからガトリングガンまで様々で。
その様は、あらゆる武器の見本市……否、銃火器の博物館を戦場に持ち込んだよう。
「撃てーっ!!」
マリアさんの号令とともに、ずらりと並んだ銃火器が武器乱舞のごとく一斉に火を噴きました!!
――ドドドドドド!!
――ドンドンドン!!
「ぐおおおっ!?」
銃火器の博物館からの一斉射に、あっという間にデストロイキングボスの全身と、周囲に残っていたビューティスパイダーが蜂の巣に。
筋肉に覆われた召喚魔王ですから、この程度で斃れるほど柔ではありませんが、シリンさんがアタックする時間は十分すぎる程稼げました。
ちなみに、シリンさんの周囲に群がっていたビューティスパイダーたち(透明化個体含む)は、1080発の弾丸の雨を浴びて半分は撃破され、残り半分は麻痺して地面に転がっております。
だからこそ、デストロイキングボスの狙いは、ビューティスパイダーを全滅させる勢いで次々となぎ倒したマリアさんに向かったのですが、もともと狩人のシリンさんにとっては、精霊銃の射程内に留まってくれれば問題ないのもまた事実です。
(「運よく私の近くに転移してくれればよかったのですが、これでも問題ないでしょう」)
小さくため息をつきながら、改めて精霊銃を手にするシリンさん。
「あなたは、私の……いえ」
――私達猟兵の、獲物。
決め台詞を少しアレンジしながら、精霊銃の銃口の狙いを腹に開いた口にしっかりとつけ。
シリンさんは、静かに精霊銃のトリガーを引きました。
――ドドドドドド!!
風と鉛の精霊が宿る弾丸の雨は、デストロイキングボスの腹の口に吸い込まれ。
「ウオオオオオオッ!! 鉛の、鉛の食事はいらん!!」
口内を暴れまわる弾丸をうっかり咀嚼してしまったか、デストロイキングボスはその場でのたうち回っておりました。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「見られたら襲ってくる、ね」
それならこちらが見えなければいいじゃないのかしら?
ということで戦場に入る前から煙玉や発煙筒を展開。
こちらを視認させない。
そして煙の中で敵の動きの察知に聞き耳で注力。
ある程度近くに来たと判断できればユーベルコード【蒼き刃の円舞】
「貴方に不幸を上げるわ」
レベル118メートル半径内を丸ごと薙ぎ払ってあげるわね。
シン・コーエン
瞬間移動しての一撃必殺か。
確かに脅威なのだが、予測された時点で逆に弱点にもなるぞ。
乱暴に過ぎるところはあるが、まあ、こういう真っ直ぐさは嫌いではない。
戦場では先制攻撃に備えて平静に落ち着く。
第六感でデストロイキングボスが転移してくる地点と瞬間を予測し、見切り・瞬間思考力で攻撃を避ける軌道を読み、その場に自分の残像を置き、足の裏から衝撃波を放ちつつ限界突破したダッシュで攻撃回避。
それでも足りなければ自身への念動力で加速。
そのまま背後に回り込み灼星剣を構えてUC:万物両断使用。
UCに加えて、斬り上げ斬り下げる2回攻撃・炎の属性攻撃・鎧無視攻撃・斬撃波にて全力で斬ってのける!
瞬間移動に頼りすぎたな。
●熱い戦場をこれ以上熱くしたくないのですが
「さすがだ猟兵! 標的に選んだ我の目に狂いはなかった……ふんっ!!」
先に挑んだ猟兵たちを褒め称えながら、召喚魔王『デストロイキングボス』は全身の筋肉に力を入れバンプアップし、全身に叩き込まれた無数の銃弾を地面に落としました。
「……暑っ苦しいわね」
滝のようになだれ落ちる銃弾の音を耳にしつつ、これまた先の猟兵たちと同じような感想を漏らしながら、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)さんは、事前に用意した煙玉や発煙筒を地面に仕込み始めていました。
しかし、その呆れ声は、あえて小声です。
なぜなら、準備が整うより早く接近されたら困るから!
一方、シン・コーエン(灼閃・f13886))さんは、昂る気持ちを抑えながら、冷静にデストロイキングボスの挙動を観察しています。
確かに、瞬間移動と圧倒的な火力のコンボは、歴戦の猟兵ですら対処を誤ると確殺されかねない、乱暴極まりない必殺のコンボですが……?
(「瞬間移動しての一撃必殺か。確かに脅威なのだが、予測された時点で逆に弱点にもなるぞ」)
シンさんのその推測、果たして吉と出るか凶と出るか?
●相手をデストロイするのはどちら?
「ビューティスパイダーよ、我が意に従い散るが良い!」
『イエス、ビューティスパイダー!』
デストロイキングボスの命を受け、だいぶ数を減らしたビューティスパイダーが三々五々に散り始めました。
随分数は減らされていますが、もしヴィオレッタさんやシンさんがビューティスパイダーに接敵されれば、瞬間移動ユーベルコードと圧倒的な破壊力を組み合わせた必殺コンボの餌食になりかねないことに変わりはありません。
戦場を駆けまわるビューティスパイダーが、徐々にヴィオレッタさんとシンさんに接近します。
――カチッ。
あっ、ビューティスパイダーが何か踏み抜いた。
――もわっ!?
直後、戦場の一部に大量の煙が発生し、煙幕となってヴィオレッタさんの姿を覆い隠しました。
これでは、ビューティスパイダーはヴィオレッタさんを探すだけで一苦労。
「イエス、ビューティスパイダー!」
お決まりの声を出しながらも、ビューティスパイダーはヴィオレッタさんを探し、煙幕の中を右往左往し始めました。
無事に煙幕に紛れ込んだヴィオレッタさんは、煙幕の中に身を潜ませながらも決して油断せず、聞き耳に注力してビューティスパイダーの位置把握に努めながら、その時を待ち受けます。
一方、シンさんはというと、あえてヴィオレッタさんの煙幕は利用せず、目視と第六感でビューティスパイダーの挙動に注意を払いながら、第六感も交えてデストロイキングボスの転移を警戒しているようです。
目を凝らしながら転移に利用しそうなビューティスパイダーの地点、及び転移のタイミングを予測し、いつ転移されてもいいように、その時を待ち受けます。
「煙幕でおおよその位置がわかっているなら、煙幕ごと吹き飛ばすのみ! デェェェストロォォォォイ!!」
その結果、先に狙われたのは、煙幕である程度居場所がバレているヴィオレッタさん!!
煙幕内でヴィオレッタさんに徐々に迫りつつあったビューティスパイダーの居場所に転移した直後、腕を大きく振るって破壊の大嵐を巻き起こしました。
どうやって視認できないビューティスパイダーの居場所を把握したのかって? 魔王(召喚主)と蜘蛛の間にある、揺るぎない絆の賜物です!(?)
居場所を把握できた理由はさておき、転移の瞬間巻き起こされた破壊の大嵐が、もうもうと立ち込めていた煙幕を綺麗さっぱり吹き飛ばし、荒れた地表を露わにします。
しかし、煙幕が吹き散らされた場に立っていたのは、聞き耳のおかげで事前に転移の瞬間と大嵐の前兆を察し、急ぎその場を退避したヴィオレッタさんの姿!
「貴方たち皆に不幸をあげるわ」
煙幕から退避しつつ取り出した青金剛石のチャクラムを巨大化させたヴィオレッタさんは、円舞を踊るように半径118mの空間をビューティスパイダーごと一気になぎ払いました。
――ザシュッ!!
巨大化したチャクラムの一撃は、デストロイキングボスの周囲に点在していたビューティスパイダーごと、デストロイキングボスの胴を薙ぎ払いました!
「ぬぐおおおおっ!?」
両腕と口ごとまとめて胴を斬られたデストロイキングボス、慌てて胴が泣き別れにならないよう、器用に両腕で押さえて呻きつつ追撃に備えますが、追撃が来る様子はありません。
……というか、迂闊に追撃するとシンさんを巻き込んでしまいますので、ヴィオレッタさんも1回に留めるしかなかったりします。
「そのような隠し玉を持っていたとは!」
だがまだ終わらぬ! とばかりに、デストロイキングボスはヴィオレッタさんの追撃を警戒し、狙いをシンさんに変更して、僅かに残っていたビューティスパイダーの下へ転移。
「取ったぞ! デェェェストロォォォォイ!!」
転移直後、破壊の魔力を揃えた右人差し指と中指に籠めながら、怪力任せに真正面に突き出し、シンさんを貫きました!
しかし、指に貫かれたシンさんの姿は、装備を破壊されることなく霞のようにかき消えました。
「ぬぅっ!?」
手ごたえのなさにデストロイキングボスが顔をあげると、足の裏から衝撃波を発生させ、己の限界を超える加速でその場から離れるシンさんの姿が目に入ります。
「咄嗟に持てる術を駆使して避けるとは、なかなかの巧者だな!」
「瞬間移動に頼り過ぎたな」
推測が吉と出たと内心ほっとしつつ、念動力も併用して加速しつつ背後に回ったシンさんは、灼星剣に炎のオーラを纏わせながら、再度衝撃波を発射し加速。
「灼光の刃よ、全てを両断せよ!」
「もう1度 不幸をあげるわ!」
シンさんが背後から灼星剣を振り上げるのに合わせ、ヴィオレッタさんもう1度青金剛石のチャクラムを巨大化し、二人同時に挟み撃ちにしながら、デストロイキングボスに切りかかりました。
――ザシュッ!!
シンさんの斬り上げ斬り下げの二連撃は、デストロイキングボスの背の筋肉を易々と切り裂きながら炎の斬撃波で内臓を寸断。
追撃とばかりに振るわれた青金剛石のチャクラムが、デストロイキングボスの頭上から地面に叩きつけられるように振り下ろされ、頭から胴を左右に両断しました。
胴が左右に分かたれるより早く、再度シンさんが今度は左右に薙ぎ払うように二連撃し、傷口を炎の斬撃波で焼き刻みながら胴を上下に泣き別れにしました。
「見事だ猟兵! 我が肉体をデストロイするとは!」
全身を四分割され傷口を焼かれながらも、デストロイキングボスは器用に顔と腹の口から異口同音に猟兵たちを褒め称えつつ。
「これからもさらなるデストロイに励むが良い……デェェェストロォォォォイ!!」
最後に虚空に向かって一咆えし……あっ、何だか嫌な予感。
――ちゅどーん!!
かくして、異世界からの召喚魔王は、断末魔を上げながら爆発四散し、急造デストロイキングダムごと消滅したのでありました。
もちろん、至近距離にいたヴィオレッタさんとシンさんは、断末魔を上げる前にダッシュでその場から退避しています。
「止め刺したら爆発するなんて聞いていないわよ!?」
「乱暴に過ぎるところはあるが、まあ、こういう真っ直ぐさは嫌いではない」
最後までこのノリかと呆れるヴィオレッタさんに、シンさんも内心呆れつつ、口ではしっかりと魔王を褒めていました。
いや、一応コミカルシナリオですから、最後は爆発四散で締めないと、ね?
こうして、暑苦しいながらも武人でもあった召喚魔王『デストロイキングボス』は、猟兵たちとの戦に満足しながら骸の海へと還ったのでありました。
――召喚魔王デストロイキングボス、撃破!
大成功
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