7thKING WAR㉓~枯れて香し
『やれやれ、どうやら六番目の猟兵は、僕を見逃してくれる気はないみたいだ』
何もないのにね、と眉を下げ独り言ちるのは初老ながら整った顔立ちの男、召喚魔王『パラダルク』
実験戦艦ガルベリオンの広い一室で円陣を描き儀式の舞を踊る彼の配下、ドラグナーガールの様子をゆるりと見守りながら。
その陣の中から一人駆け寄り、彼にもたれ掛かる白い踊り子がひとり。
『おや、僕のために戦ってくれるのかい? ……いい子だね、ディアブロホワイト』
それを見た他のドラグナーガール達も、抜け駆けは許さないとばかりに彼の元へと集まってゆく。
そんな彼女達をなだめつつ、彼は言う。
『けれど、決して無理をしないように。僕の目的はこの捜索儀式の成功。そして敵もただひとり――』
ほんの寸瞬、その目が若い姿の彼を思わせる、鋭いものへと変わる。
『――碎輝、だけなのだから』
●
「ワルワルですわ〜。コイツは悪いイケオジですわ〜!」
捉えた予兆を語りながら、飛び跳ねているのはグリモア猟兵、納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)
「特級契約書で呼び寄せられた"異世界の魔王"のひとりがこのパラダルクです。ガチデビルの元へ向かう為に撃破が必要なのと――ちょっぴり知り合いの竜神親分が危ないみたいだから、邪魔しに行きませんか?」
曰く、パラダルクが引き連れている配下ことドラグナーガールは万物を女の子化して操っているものだという。
「本気を出せばこちらの攻撃やユーベルコードも女の子化して持ってかれてしまうらしいですわ。メチャクチャ過ぎて、ちょ~~~っと今のアタシ達では勝ち目がありません。……なので今回は、大事な大事な儀式の邪魔に専念いたしましょ!」
儀式はドラグナーガール達が舞い踊ることで進行する。
故に、数多く倒してしまえば成立しなくなるとのこと。
敵の先制攻撃を掻い潜り、背後のドラグナーガール達をできるだけ倒し、即離脱するのが良いだろう。
「直接戦わないにしても、パラダルクの先制攻撃は超~~~強力ですわ! 無策で突っ込んでゆくと、みすみす儀式成功のお手伝いになってしまいますから、しっかり対策を忘れずに向かっていって下さい!」
空中にキリトリ線が現れ、実験戦艦ガルベリオンへ繋がるゲートが現れる。
小風
小風(こかぜ)です。
38作目はデビルキングワールドにて、召喚魔王『パラダルク』~ディアブロホワイトです。
よろしくお願いします。
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プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す。
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また、戦場制圧後の余剰成功になると思うので、リプレイは書けるだけ書きます。
気兼ねなくお送り下さい。
第1章 ボス戦
『召喚魔王『パラダルク』ディアブロホワイト』
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POW : ガールズ・ポシビリティ
自身の【下僕であるドラグナーガール】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[下僕であるドラグナーガール]は【可能性を使い果たしたこと】により破壊される。
SPD : フューチャー・ルーラー
【ドラグナーガール達と連携し、精神支配魔術】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【以降の動き方や使用ユーベルコード】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : パラダルク・フューチャー
召喚したレベル×1体の【ドラグナーガール】に【ガルベリオン鋼の機械兵器とダンス技術】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
イラスト:モツ煮缶
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シン・クレスケンス(サポート)
「大抵のことはこなせますので、何でもお申し付けください」
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける
◆戦闘
【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾等の詠唱銃による攻撃や、魔術による攻撃を得意としている
◆猟兵になる以前の経歴から、情報収集・操作や追跡、索敵もお手の物
◆UDC『ツキ』
シンに取り憑いているUDC。闇色の狼の姿をしている
同じく追跡が得意(魔力を嗅ぎ分けている)で、戦闘は鋭い牙や爪を用いて行う
◆口調
・シン
僕/相手はさん付け(使役は呼び捨て)
~です、~ます、~ですか?等丁寧で穏やかな話し方
・ツキ
俺/お前、呼び捨て。
~だぜ、~だろ、~じゃないか?等男性的な話し方
「時間の属性……果たして僕が元に戻る術のヒントと成り得るでしょうか」
決して油断はせず、さりとてこの邂逅の経験を逃すまいと、古書を片手に構えるシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)
『さてねえ。なかなかに珍しい子達ではあるけれど』
仄明るく光る魔方陣上の踊り子からゆっくりと視線を離し、応じるは未来の姿をした初老の男、召喚魔王『パラダルク』
『君もこの中に加わるのならば、もっと間近で見られると思うよ?』
「……遠慮致します。それはもう、僕ではありませんから」
虚空より召喚された鋼衣装のドラグナーガールが躍り出るのに合わせ、シンの魔導書も頁を広げ出す。
「混沌から産まれし槍よ、我が命に従い、立ち塞がるモノを封じ殲滅せよ!」
繰り出すはユーベルコード、殲滅の槍の召喚(サモン・アナイアレイター)
幾何学模様を描き複雑に飛翔する、黒槍の五月雨だ。
ドラグナーガールが纏い自在飛翔を可能とした"ガルベリオン鋼の機械兵器"とは知らぬ武具だ。
けれど僅かな見目から判断し、シンが己の技に帯びさせた有効属性は――土!
『おや、五行説を知らないのかな? 土では金を打ち負かせないよ』
空中を巧みに飛び避けるのみならず、数で勝る槍を器用に打ち砕き、シンに迫り来るドラグナーガール。
破壊された槍の残骸は細かく砕け、黒い塵のように空中を漂う。
「いえ、もっと直接的に――」
黒煙を越え、射程にシンを捉えたドラグナーガールが機械兵器を撃ち放つ――ことが、できなかった。
「――精密機械内に土の汚れは、大敵かと思いまして」
武器を封じられたドラグナーガール達を再び、黒煙に紛れた無数の黒槍が鋭く穿つ!
硬質な音と共に倒れる仲間を見て、儀式中の踊り子達から悲鳴が上がる。
『これはこれはお見事。――で、"無くなった"踊り子の代わりを君が務めてくれると』
「御免、被ります!」
残る黒槍を自分の前へ突き刺し盾とし、その隙に素早く踵を返すシン。
はやく、視界の端で人の形を得てゆくその力が、届かぬ場所まで。
成功
🔵🔵🔴
高柳・源三郎(サポート)
旅芸人一座の座長、それが高柳源三郎じゃ!!(まだ零細なんじゃがな......)。
性格は酔いどれおやじじゃが旅芸人一座の座長なので本番(戦闘)では酔いが殆ど覚めて戦うことが出来るんじゃ。
武器である【不思議なたぬき人形「はな」】【暗殺用たぬき人形「たろう」】を使いまるで踊りや人形劇をするかのう様にユーベルコードを使い戦うのじゃ。時々【竜珠】に封じ込めてある骸魂・八岐大蛇に乗っ取られて暴れて回ってしまうんじゃ。
情報収集は芸をして道行く人の足を止めて人達の噂話を聞けば集められると考えてとるんじゃ。
宴会技能が高いので戦場で宴会をするんじゃ。
口調は(わし、~殿、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)です。
ふらり、ふらりと。
真っ赤な顔をした狸顔の酔っ払い親父、高柳・源三郎(幕府公認?の飲んだくれ野郎な旅芸人で座長・f15710)が居酒屋の暖簾でもくぐるかのように実験戦艦ガルベリオンの儀式場へと入室する。
「うぃ~っく、やってるか~い?」
『は~い、やってませんよ~』
ドラグナーガールの踊り子に囲まれながら、やんわりとした口調でお断りの返事をするのは、初老のイケオジこと召喚魔王『パラダルク』
荒らされた部屋を片付け終わり、一息ついていたところだ。
「まあまあ旦那~そんなこと言わずに、一杯相手をしてくれんかのう?」
『……やれやれ、こちらは相手をする気はないのに。困ったお客様だ』
ゆるりとした姿勢を崩さず、傍らの踊り子と共に精神支配魔術を放つ魔王。
もろに受けて後ろへ転がり倒れる源三郎。
だが寧ろ先程よりも確かな足取りで、ころりと前転にて立ち上がると近付く。
「ふぃ~、ご覧のとおり、酔うのには慣れとるからのう。ほれ、これはわしからじゃ」
そう言って、なみなみと酒の注がれた杯を差し出す狸親父。
ユーベルコード、源三郎の飲み会(ゲンザブロウ・ドリンクパーティー)
それが受け取らねば行動制限を付与する代物だと悟り、受け取るイケオジと嬢。
『! おや、これは存外、なかなかに旨い酒じゃないか。――それにしても奇遇だ。言ってしまえば君も僕も、相手を酔いに誘う技を出して来たってわけだ』
折角の未来が見える攻撃をしたのに……狸を背負った旅芸人が、延々飲んだくれる姿しか見えやしない。
ならばと傍らのドラグナーガールに目配せをして、実験戦艦の一室から持ってこさせたのは見たこともない瓶に入ったアルコール。
――そう、南国の酒である!
『珍しい酒の礼だ。君の酌と僕の酌、どちらが強いか飲み比べるのも悪くはない』
「ひょっひょっひょ! 芸はわしに任せとくれ! さあ、宴会の始まりじゃ!!」
「『『『カンパイ!!!』』』」
枯れても香ばしとは沈丁花のことだが。
この場では枯れれば杯に新しい酒が咲く!
酔ったヤツから潰れてゆく。
オジサン二人の果てしなき飲み比べが始まった!!
枯れて香ばし?
否、この場に限り――酒臭え!!!
成功
🔵🔵🔴
ジャスパー・ジャンブルジョルト
先制攻撃ってのは厄介だな。だが、敵がダンス技術で以て戦うのなら、勝負はこっちのもんだ。なぜなら、俺は『アルダワの舞踏王子』と呼ばれた(よばれてない)天才ダンサーだからー!
ダンサーとして才能と経験(【ダンス】【パフォーマンス】)を活かしてドラグナーガールたちの動きを先読みし、華麗なるステップで回避してやる。
そして、即席のダンスミュージックで反撃!(ツィターをかき鳴らす)
ダメージを与えるだけじゃなくて、混乱も誘おうか。ほら、なまじダンス技術があるせいで、音楽に合わせてついつい踊っちゃたりするんじゃね?文字通り掌の上で踊らせてやるぜ!
俺の掌は肉球だけどなー。
※煮るな焼くなとご自由に扱ってください
「タフでクールでダンディな放浪剣士JJのお出ましだ――って、うわ酒くせぇ!?」
勇ましく躍り出たケットシー、ジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)が部屋に立ち籠める臭いに思わず全身の毛を逆立てる。
どうやら捜索儀式だけに飽き足らず、放蕩の宴まで開催されていたらしい。
『おや、迷い猫の猟兵君かな。ここは袋小路だよ。あちらへお行き』
別件で忙しいと不戦を推すのは召喚魔王『パラダルク』
代わる代わる腕から離れないドラグナーガールは引き摺るお大きな翼のよう。
口調と態度の穏やかさとは逆に、肌から感じる実力は底知れぬ印象を受ける。
「俺は"アルダワの舞踏王子"と呼ばれた天才ダンサーだ! そちらのお嬢さんたちを誘いに来たんだぜ!」
『やれ……小猫にねだられると、応えたくなってしまうものだね』
薔薇を片手にビシッと決める自称踊り手・本業演奏家のジャスパーへ向かい、鋼の楽器を携えた踊り子ドラグナーガール達が、危険な足取りで修羅へと誘う。
――ダン、ダダダン。
小さな的を狙い、実験戦艦の一室を穿つ機械兵器の銃声は重たい鈴の音のよう。
戦況に合わせて、独特のリズムを刻むもの。
戦士でありダンスにも音楽にも親しいジャスパーは瞬時にそれを読むと、華麗なステップ回避とタップ音でそれに応じる。
相手に大きなアドバンテージがあるとしても、せっかく始まった演奏だ。
すぐに倒れてしまっては、面白くない。
「お前さん達のダンス、確かに受け取ったぜ。――これは俺からのお返しだ。お前さん達の為だけの即席、ダンスミュージックだ!」
剣の代わりに楽器を。
空中で赤いツッター、名琴〈猫の爪研ぎ〉を掻き鳴らせば、始まるはユーベルコード、JAZZY JUNKET(ジャジー・ジャンケット)の即興演奏!
己も戦い、よく知った彼女達の呼吸に合わせた旋律をその足さばきに添えてやれば、自然と踊る戦場の花々。
元々儀式の踊り子として重宝されたドラグナーガールだ。
音楽が自分に合わせているのに気付けば楽しく、また旋律が変われば自分から足を合わせに行ってしまう。
いつしか手振りまで添えられ始め。
メインは、戦闘からダンスへと移り変わってゆく。
「これが本当の音楽ってもんだ! フィニッシュ!!」
ジャスパーが最後の音を奏でれば、踊り子も最期を迎え、華麗に退場を迎える。
『これはまた。見事に手のひら……いや、肉球の上で踊らされてしまったね。ところで小猫君、ウチで専属演奏家になる気はないかな?』
大成功
🔵🔵🔵
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
『これは大助かり。つい先程、演奏依頼を断られてしまったところなんだ。ちょっと一曲、お願いするよ』
まず間違いなく戦闘に来たフォースナイトであるアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)を見やり、おどけて無茶振りをかますのは召喚魔王『パラダルク』
圧倒的強者とは遠慮というものを知らないのであろうか。
アスが助力すると言ったのは無論、猟兵に対してである。
返事代わりに二丁の熱線銃"ブルーブラスター"を構えれば、肩をすくめて見せる魔王。
『やれやれ、生真面目なことだ。――では踊り子の一員になってもらおうかな。さあ、勧誘しておいで』
ふわり、シャラリ。
軽やかな足取りで儀式の円陣から進み出た、ひとりの踊り子ドラグナーガール。
近付くほどに、踏みしめるほどに実験戦艦の床に亀裂が走り、その身全てを武器と成しアスへと迫り来る。
「威力はあれど、早さはそれほどでもないな」
ドラグナーガールから距離を保ち、隙の無い連射で迎え撃ち分析するアス。
踊り子は、3分間限りの強化の後に崩壊。
経過と共に焦りを見せるだろうが、それまで主導権をあちらが握り続けることになる。
勝つには、こちらも仕掛けなければならない。
――攻撃にも、一定のリズムというものがある。
攻められれば攻められるほど、同じ最善手を見せて来るものだから。
癖だろうか、疲れだろうか。
あのブラスター使い、一定間隔で連射の間が、少し空く。
私だから見えるその隙。
そう、それは――そこだ!
「そこだ」
冷徹な声が響く。
伸ばした腕の先に、もうその男の姿は無く。
ほんの一歩横から、ひとつの蒼い銃口がドラグナーガールを捉えていた。
サイボーグであるアスが計算尽くで仕掛けた"隙"という絶好のチャンス。
自分の心得るタイミングで、狙ってきた相手を躱し、瞬時に照準を合わせる。
最高の反撃手をものにしたのだ。
「……」
ドラグナーガールの視界外の一丁から、放つはユーベルコード、イーグルショット。
貫く熱線ビームが蒼い鷲の形を成し、肌をさらす脚を瞬く間に焼き真っ黒に焦がす。
思わぬ方向からの攻撃に、驚きの表情のまま倒れ伏す踊り子。
「幾何もない命と言えど、それではもう動けないだろう」
『おやおや、生真面目君は存外、女の子に甘い。さて、あと何人お相手してくれるかな』
やおら、怪しく光る魔方陣の上から、ドラグナーガール達が見つめて来る。
飽くほどにいるぞと、言わんばかりに。
「ならば、こうするまで――アクア!」
パイロットでもあるアスが瞬時に召喚するは、戦艦内にあるには巨大過ぎるサイキックキャバリア"アクアブループラチナⅡ"。
先の戦いで傷ついた実験室の床天井壁を、引っ掻き回すように崩してゆく。
『おいおい突然、大胆過ぎないかい!?』
儀式場で響く悲鳴と、足元で起こるひとつの爆発。
涼やかな見目と戦いから意表を突く混乱を生み出した中、アスは素早く戦場を離脱する。
成功
🔵🔵🔴
儀水・芽亜
魔王に軽々しく世界を渡られては迷惑です。お引き取りください。
それから、勝手に行き止まりを作らない。
精神支配魔術ですか。「狂気耐性」と「呪詛耐性」で凌ぎましょう。こちらも伊達に、精神を扱うわけではありませんので。
それでは、お返しに「全力魔法」「範囲攻撃」「催眠術」「精神攻撃」でサイコフィールドを展開しましょう。
さあ、睡魔に身を委ねて、眠りの淵に沈んでください。
その間に、裁断鋏『Gemeinde』でドラグナーガールの首を「切断」していきますから。こうしていると農作業のようですね。
一応魔王とは距離を置き、儀式をしていたドラグナーガールから優先的に処理しましょう。
魔王ご自身が眠ってくれたら楽なのですけどね。じょきんと、いってみますか?
「魔王に軽々しく世界を渡られては迷惑です。お引き取りください」
実験戦艦ガルベリオンの一室に勇ましく飛び込むは猟兵がひとり儀水・芽亜(共に見る希望の夢・f35644)
『おや、この瓦礫の山を引き取ってくれるのかい? それは大助かり。部屋が行き来できなくて困っていたところなんだ。では、よろしく頼むよ』
「勝手に行き止まりを作らない!」
瞬時に戦場と化したこの地で飄々とした対応をするのは初老の男、召喚魔王『パラダルク』
仄かに光る魔方陣の向こうに盛大に積み上がるは、天井や床や壁だったはずのもの。
儀式優先、その他は二の次、という情報は事実であるようだ。
しかし、逃げ場がないということはチャンスでもある。
手下のドラグナーガールが残っていれば、また即座に動き出すかもしれないのだ。
「この場で、全滅させます」
『順当に考えれば君のピンチ、なんだけどね。それなら、お代に未来をいただこうか』
傍らの踊り子ドラグナーガールに語りかける何気ない動作の中、放たれる鋭い光は精神支配の魔術。
フラッシュによる目の眩みと、同時に侵食してくる甘やかな何かに耐えようと、思わず口を押さえてふらつく芽亜。
クスクスと微かに笑うドラグナーガールの声が、段々と遠くなってゆく。
フッと、腹に力を込めて足を踏ん張る芽亜。
見つめる瞼の裏に映るは、銀の雨を経て再び手にした己の力。
骸の海渡る今、遠く離れたこの場所すら、守るべき地続きの己の世界。
スペードのフリッカーならば知っている。
たとえ言葉にならなくとも、極限にまで鍛えた魂の叫びが、力を宿すことを。
――――私の世界で勝手はさせません!
大きな空気の震えと共に、世界が鴇色の陽炎に塗り潰される。
一人の人間から出ているとは思えない声量で展開されるはユーベルコード、サイコフィールド。
天上の歌声で放たれるデスボイス。夢魔が駆ける虹の橋。
形容できない叫び声が現を取り払い、聞くもの全てを夢幻の世界へ連れて行く。
「さあ、睡魔に身を委ねて、眠りの淵に沈んでください」
いくらこちらの動きを覚えても、眠っていては十分に動けるはずもないのだ。
『これはこれは、心地良い惰眠を貪れそうな陽気だ。では遠慮なく、ひと眠りさせてもらおうかな』
ふわりと身をゆだねるように、陽炎の内へ身を沈めるパラダルク。
追おうとする芽亜の前へ踊って立ち塞がるは、寝ぼけ眼のドラグナーガール。
けれど、これもまた好機。
すぐさま得物の裁断鋏"Gemeinde"で踊り子の首を、剪定するように断ち切ってゆく。
ザンッ! パシャッ! ジャラジャラ!
薄紅衣装のドラグナーガールは花弁に。水色衣装の踊り子は清水に。キラキラ衣装の角娘は宝石に。夢現の内にその正体をさらして消えてゆく。
「……ちょっと楽しい……じゃなくて! お仕事お仕事!」
自分の張った結界ゆえ敵の場所はなんとなく分かるが、肝心のパラダルクの姿が見えない。農作業よろしく順調な中でも、油断は禁物である。
最後に切ったのは変わり種。
ひときわ小柄な鴇色衣装のドラグナーガール。
断ち切れば小さな蜃気楼を残して、その姿を消した。
そして見渡す。この地の隅々まで。
……パラダルクが、どこにも居ない。
芽亜は先程の手応えと、予兆で見たかの魔王の能力を思い出し、小さく唸る。
「なるほど、一筋縄ではいかない相手のようですね」
次こそはその首じょきんと、いってみせます。
再び現実で相まみえるであろうその者に届くよう、芽亜は力強く言の葉を響かせる。
大成功
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