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7thKING WAR㉒〜フェスティバルリメイク!〜

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』

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#東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』


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「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」
 低く地を這うような声がステージの中央から響き渡る。
「ゲヒャ〜ッヒャッヒャ! さあ、オレサマ達の美声に酔え! 叫べ! 魂を震わせロぉ!」
 観客席に集う悪魔達は頭を上下に揺らし拳を天に突き出し、その声を発する者を讃える。
「CHAOS! CHAOS! CHAOS! CHAOS!」
 歓声は全てステージにいるたった1人の演者へ注がれ、新たな力へと変わる。そしてさらに深みを増した歌声に悪魔達は酔いしれ、声を張り上げる。
 これがスーパーカオスドラゴンを東のラスボスたらしめる原動力であった。

 スーパーカオスドラゴン。
 「混沌魔法」によりデビルキングワールドでカオスの暴走をもたらし、その功績で白羽の矢を立てられた、暴走前の段取りと挨拶回りに定評がある東のラスボスである。
「代表作である『悪魔ならカオスに染まれ』は凄まじい再生数と売り上げを記録してるらしいです。さすがは7thKING筆頭候補が1人といったところですかね」
 手に持った実物を揺らしながら眺めていたルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)は頬杖を解き、猟兵達に向き直る。
「彼が現在の地位を築き上げたのは、彼が最も得意とする混沌魔法『カオスのメロディ』による物です」
 カオスのメロディとは、まるでデスボイスでデスメタルを歌うかの如き凄まじいシャウトを放つことで発動する混沌魔法であり、この詠唱が続けている間、デビルキングワールドの全土から絶えることなくカオスエネルギーを集結させ、集まる限りどこまでも無限にパワーアップする……というとんでもない技である。
「普通の悪魔なら途中で息切れして止まる魔法なのですが……彼は3つの頭を上手く使い、デスボイスの詠唱担当・口から『カオスビーム』を放つ担当・ラスボスらしく真面目に敵を挑発する担当、それぞれの持つ役割を交代し続けることで永久機関を実現したんです。その結果が『東のラスボス』です」
 3本の指を立てた拳を見せたルウはまるでカニのように指を開け閉めしながら告げる。
「今彼はデビルキングワールドのとあるステージに立ち、7thKINGになる前夜祭と称したライブを行なっております。まあ、アイスエイジクイーンが我々との戦いでかなり支持率を下げてるので勝確ムードになるのは理解出来る話ではあるのですが」
 しかし忘れてはならない。アイスエイジクイーンの支持率を削っている猟兵達の中には第三候補以降の者達がいることを。
「その勝確ムードを木っ端微塵にぶっ壊して、一気に下位に転落させるのって結構なワルですよね?」
 そして現在2位のアイスエイジクイーンが倒れたら、次の狙いは1位である自分になることを。
「挑発を言い返して、カオスビームをかわして、カオスのメロディの詠唱を止めて、スーパーカオスドラゴンを倒して、このイベントを我々によるガチデビル討伐の前夜祭に変えてしまいましょう。それでは皆様、よろしくお願いいたしますね?」


平岡祐樹
 フロアを熱狂させるのは絶対王者か、新星か。
 お疲れ様です、平岡祐樹です。

 このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。

 今案件にはシナリオボーナス「3つの頭部に対応する(どの首の相手をしてもOK)」がございます。
 これに基づく対抗策が指定されていると有利になることがありますのでご一考くださいませ。

 ちなみにどこぞの幹部達とは違い、スーパーカオスドラゴンは確定で先制攻撃することはありません。律儀。
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第1章 ボス戦 『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』兇』

POW   :    ウルトラカオスレイジ
【湾曲した無数の角や爪を生やしたカオスな姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ダブルカオスビーム
【詠唱している口以外の2つの口】から、戦場全体に「敵味方を識別する【カオスビーム】」を放ち、ダメージと【ランダムな効果】の状態異常を与える。
WIZ   :    カオティックデスボイス
【『悪魔ならカオスに染まれ』】の主張を込めて歌う事で、レベルm半径内の敵全てに【敵味方識別不能】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

スーパーカオスドラゴンさん!
残念ですが7thKingは私がなります!

なっ!何処の誰かも分からない奴がなれるわけない!?
ふふん!挑発のつもりでしょうが私は新興の注目株なんです!
証明してみせますよ!
(UC【元悪!纏絡堕落醜穢終】発動)
分かりますか!?これだけの視線を集める私はまさに注目株!
おっと!挑発が通じなければ今度は力で黙らせますか!
逆にそのメロディを止めてみせます!
(『衝撃波』を使った『ダッシュ』でカオスビームを回避すると{ダーティグリーヴ}で虚空を蹴り上げ詠唱中の首に向けて『斬撃波』を放つ)



「前夜祭楽しそうですねぇ! ただスーパーカオスドラゴンさん! 残念ですが7thKingは私がなります!」
 獣のような、もはや歌詞が聞き取れないスーパーカオスドラゴンの低音ボイスに対抗するかのごとく女性の声が響き渡る。
 突然の横入りに不快に思う観客の視線を一手に引き受けたダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)はメガホン片手に口角を上げて見せた。
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
 スーパーカオスドラゴンのデスボイスをBGMにダーティの前口上が叫ばれる。だが周囲の反応は冷ややかなままであった。
「ダーティ? はっ、7thKING WARが始まってから慌てて動き出した奴が何か言ってラぁ!」
「なっ!」
「何処の誰かも分からない奴に白羽の矢が飛んでくるワケがネぇ。どうせ猟兵の後を引っ付いて食べ残しを突いているだけだロぉー?」
 確かに猟兵になってから7thKING WAR開始までダーティはデビルキングワールド「ではなく」他世界で研鑽を積んでいた。スーパーカオスドラゴンやそのファンからしてみれば突然現れた新人にしか見えないだろう。
 だがそんなことは無いと、今まで積み重ねてきた経験をこの体は知っている。
「何処の誰かも分からない奴がなれるわけない!? ふふん! 挑発のつもりでしょうが私は新興の注目株なんです! 証明してみせますよ!『今より此処、底に至る。汝ら魂、憐れなり』!」
 ダーティの呼びかけに応え、強烈な存在感で精神を蝕む無数の視線がステージ全体を見つめる。そのあまりの圧力に観客は震え上がったが、集まった視線を自らの力に変える能力を持つダーティは逆にイキイキし出した。
「分かりますか!? これだけの視線を集める私はまさに注目株! この豊満なボディで666人の道行く悪魔の目線を奪って深めの水たまりに足を突っ込ませるという大悪行を足がかりに私はここまで成長して乗り込んできたんです!」
「666人?」
 自信満々に胸を張ったダーティにスーパーカオスドラゴンは真顔になり、挑発する声のトーンを一段階下げた。
「オレサマ達が相手にしているのはその辺の町や村の全住民じゃネぇ世界だ。この程度の視線は日常茶飯事なんだヨぉ!」
 これまでずっと無言を貫いていたビーム担当の首が緑色のエネルギーを口内に溜め始める。
「おっと! 挑発が通じなければ今度は力で黙らせますか! ならば逆にそのメロディを止めてみせます!」
 ダーティは衝撃波を使ったダッシュでカオスビームを回避するとダーティグリーヴで虚空を蹴り上げ、詠唱中の首に向けて斬撃波を放つ。
 しかし挑発担当の口から放たれたビームがそれらを全て相殺して、紙吹雪へと変えた。
「オレサマ達の門出を祝う紙吹雪、どうもありがとうなダーティさんヨぉ!」
 勝ち誇るスーパーカオスドラゴンの雄叫びに、観客達は熱狂した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
連携無用
識別不能の危険がある以上、1on1で当たります



ユーベルコード使用、心技体の調和と言う奴でね
少し落ち着いたほうが戦いやすいってのを教えてあげます
相手なさいな、歌ってる首!

【串刺し・エネルギー充填・魔力溜め】
引き上げた命中率で狙うべきは矢の刺さった場所、そこなら私の一撃も通るでしょうよ
槍の一突きを与え、魔力溜めの要素を奴の体に充填します
解りやすく言うと魔力放出の抑制ですよ
その放出が無ければただのデカいデスボイス、まぁ迷惑なのでどのみち叩く必要はありますが!

完全に抑制できるほどの力は流石にありません
面食らってくれたところを【化術・爆破】
滞留の力を爆破の力に変化させ、敵を体内からブッ飛ばします



「よっしゃあ、気分が良いからセットリストを変えてやるカぁ! 聞いてくれ『悪魔ならカオスに染まれ』!」
 気を良くした挑発担当の首が、先程までとは違うデスボイスを発し始めると観客から大きな歓声が上がる。
 それを聞きながら先程まで歌唱を担当していた首はステージ脇に置かれていた大容量のペットボトルに入った常温の水で喉を潤していた。
『掴みどころのない、って戦い方を知ってます?』
 その頃、ステージ全体が見渡せる上階の席でベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)は深く息を吐いていた。
「『心技体の調和を果たせた完全均衡とでも言うんでしょうか。一言で言えば太極図そのものです』……すなわち少し落ち着いたほうが戦いやすいってのを教えてあげます」
 そう呟いてベルベナは前にいる悪魔達の大きな肩や背中を踏んづけて前に出ると、落下防止用の柵も飛び越えて目下のスーパーカオスドラゴンに飛びかかった。
「相手なさいな、歌ってる首!」
 狙うはただ一つ、白羽の矢が突き刺さった喉元にある一枚だけ鱗が逆の所……逆鱗の部分だ。ドラゴニアンの1人として、あの部分を触られることを嫌うことは良く知っている。ラスボスだろうとそれは同じことだろう。
「そこなら私の一撃も通るでしょうよ」
 ベルベナが放った槍による一突きは体全体に対しては非常に小さな一撃だったが、たったそれだけでスーパーカオスドラゴンは激しく咳き込み、歌うのを中断した。
 突然の乱入と歌への妨害に周囲から激しいブーイングが響き渡る中、水を飲み終えた首が厳しい視線をベルベナに送る。
「テメェ……何をしてくれんダぁ?」
「スーパーカオスドラゴンさんには魔力溜めの要素を付与させていただきました。……解りやすく言うと魔力放出の抑制ですよ」
 全体が敵としか思えない状況にも関わらず、ベルベナは平然と肩をすくめながら答える。
「その放出が無ければただのデカいデスボイス、まぁ迷惑なのでどのみち叩く必要はありますが!」
 ベルベナはすかさず第二撃目に入ろうとするが、一撃目と違いどこから来るか分かっている攻撃にスーパーカオスドラゴンは2つの頭と2本の腕で的確に阻止してくる。
 そんな中で喉の調子を整えた歌唱担当は再び地を這うような美声を披露し始めた。
「ゲヒャヒャヒャ! さっき抑制したと言ってたがオレサマ達の美声に限りは見えないゼぇ? 随分自信有りげだったが、この程度かよ猟兵さんヨォ!」
「そりゃそうでしょう。完全に抑制できるほどの力は流石にありませんから」
 挑発にあっさり頷かれたことでスーパーカオスドラゴンは完全に面食らって言葉を失う。その瞬間、歌唱担当の頭が内部から爆発した。
「ゲヒャアッ!!?」
「はい、バーン! ってね?」
 逆鱗を突かれたことで滞留していた力を爆破の力に変化させたベルベナは不快な音が止んでどよめき出した会場に安心を見出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

ワタシもこの前渾沌に飲まれてマシタガ、何とか復帰した勢!
ならば乗るしかありマセーン、このカオスのウェーブに!
レッツエンジョイ! ステージへの乱入デース!

「カモン、ビッグ・バルタン!」「BARU-!」
先制UCを起動してGO!
そちらが三つのヘッドならば! こちらは二つのボディで応戦!
舞台袖から失礼しマース、バルタンデース!
挨拶を終えたら、奇襲(?)を行うであります!

ワタシの動きをトレースするビッグ・バルタンと連携して斬りかかりマース!
見事な無差別攻撃デスガ、理性が無い分単調デスネ!
ファルシオンで受け流し、ビームを捌き、徐々に距離を縮めて、両サイドから首を叩き切りマース!



『カモン、ビッグ・バルタン!』
『BARU-!』
 3頭身だが本物の3倍ほどの大きさを誇るデフォルメバルタンと一緒に裏口にいた警備員やスタッフ達を蹴散らしたバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が舞台袖に到着するとほぼ同時に、凄まじい爆発音と断末魔が聞こえた。
 物陰からこっそり覗き込むと、首の1つが黒焦げて煙を吐きつつ、白目を剥いて気絶した。
「真ん中ァ!!? ……テメエ、よくもやりやがったナぁ! ライブは一旦中断だ、オレサマ達の本気を見せてやるヨぉ!」
 完全にブチ切れたスーパーカオスドラゴンの頭部や指先から湾曲した無数の角や爪が生え、カオスな姿に変貌する。おそらく1つ減ってしまった首の意識が戻るまでの時間稼ぎなのだろう。
「ゲヒャヒャ〜ッヒャッヒャ!」
 しかし猟兵も観客も機材も関係なく動いてさえいれば襲いかかっているその様子は暴走といっても差し支えがないものだった。
「……おっと、見惚れてるだけじゃいけまセン! ワタシもこの前渾沌に飲まれてマシタガ、何とか復帰した勢! ならば乗るしかありマセーン、このカオスのウェーブに! レッツエンジョイ! ステージへの乱入デース!」
 さんずいの右側が「軍」だろうが「昆」だろうが関係ないと、バルタン達はファルシオン片手にステージ上に姿を見せる。
「舞台袖から失礼しマース、バルタンデース! アリーナのみんなー、元気デスカー!」
 混乱の坩堝にある観客から返答は無かったが、バルタンの挨拶に気づいて振り返ったスーパーカオスドラゴンは速攻で鋭利な爪を振るう。しかし間に割って入ったビッグ・バルタンのファルシオンがそれを受け流した。
「そちらが3つのヘッドならば! こちらは2つのボディで応戦! 1つはおねんねしているみたいデスが!」
 そう叫んでバルタン達は同時に同じ方向へ走り出す。だが身長の差による歩幅の違いで動くたびに2人の距離は離れていき、ほぼ真反対の位置を取った。
 その間にも襲いかかってくる頭突きや振り下ろしをファルシオンで受け流し、カオスビームを捌き、2人は渦を描くように段々とスーパーカオスドラゴンの胴体までの距離を詰めていく。
「見事な無差別攻撃デスガ、理性が無い分単調デスネ!」
 そして突然直角に折れて肉薄すると無骨な刀身を首の付け根に叩きつけた。
 さすがは東のラスボス、2方向からの斬撃を喰らっても千切れなかったが、喉を絞められたことで激しく咳き込んでビームを出すどころじゃなくなった。
「次はアナタの番デース!」
 最後に残された首もがむしゃらに腕を振るったが、力任せなだけの攻撃は非常に避けやすく、こちらも刃によるサンドイッチの憂き目にあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェリクス・フォルクエイン
「そちらが混沌であるならば、こちらは秩序。安心安全健全ごく普通な聖騎士のこの僕がお相手しましょう」
尚、同士討ちを防ぐため愛馬のエミリアには申し訳ないですがお留守番していてもらいます
先制攻撃はないようですので先んじてUCを使用
「では、スーパーカオスドラゴンをやっつけてくださいね?」
三つ首への対処法は、UCの副産物である魅了。魅了した三つの首に同士討ちしてもらいます
「確かその認識阻害は敵にのみ作用するハズ」
魅了された相手には作用しないであろうことを利用し、攻撃は魅了されたドラゴンの首や会場の悪魔たちに任せて回避と防御重視しつつ魅了効果をばらまきます
「堅実にして無難、そう、ごく普通です」キリッ



「ゲヒャッ! いけねぇ、イッちまってたぜ……ってオマエら大丈夫カぁ!?」
 焦げついた首が目を覚ますと生えていた角が引っ込んだ。どうやら1首でも正気の物がいるとあの姿は発現しないようだ。
 しかし正気に戻ってしまったということは再び「カオスのメロディ」を歌える状態になったということでもあった。
「テメェら、オレサマ達がもっと熱くなれるような歓声をくレぇ! まだまだ騒ぎたりねぇよナぁ? カオスになり切れてねぇよナぁ?」
 スーパーカオスドラゴンが観客達を煽っていく中、フェリクス・フォルクエイン(人間の天馬聖騎士・f00171)はボウ・アンド・スクレープをしてみせた。
「そちらが混沌であるならば、こちらは秩序。安心安全健全ごく普通な聖騎士のこの僕がお相手しましょう」
 ビーム担当が送った視線の先には女性物のパレオを着たフェリクスの姿があった。……ごく普通はどこにいった。
 ただ実態を知っている面子からはツッコミしか飛んでこないであろう光景であったが、今のフェリクスは何も知らない悪魔達からすると声がちょっと低めの水着女子にしか見えない。
 それを知ってか知らずか、フェリクスは小首を傾げて微笑んだ。
「では、スーパーカオスドラゴンをやっつけてくださいね?」
 腰布によって隠された下腹部の膨らみに気づけなかった悪魔達はホイホイとスーパーカオスドラゴンに襲いかかる。そしてそれはスーパーカオスドラゴンも同じであった。
「テメェうるせぇぞ、あの子の話が聞こえねぇだろうガぁ!」
「知るか……っておいやめろこっちに撃つナぁ!?」
 群がってくる悪魔達だけでなくビーム担当までも裏切った状況に挑発担当が泡を食う。
「オマエら、いい加減にしろやあああああ!」
 そして歌唱担当はブチ切れつつ、渾身のシャウトを響かせて周囲にいた悪魔達の鼓膜を震わせる。
 すると悪魔達はスーパーカオスドラゴンだけでなく周囲にいる同胞達と喧嘩し出し、ライブは収拾不可能なまでに混沌とし出した。
 その頃フェリクスは階段を上り、何が起きているのか分かっていない2階席のファンを毒牙にかけていた。
「堅実にして無難、そう、ごく普通です」
 魅了され、スーパーカオスドラゴンを倒そうと飛び降りていく悪魔達を見送りつつ自慢げな顔を浮かべて頷いていたフェリクスは背後からした風切り音に慌てて飛び退く。
「確か認識阻害は敵にのみ作用するハズじゃ……!?」
 フェリクスの認識は確かに正しかった。
 だがフェリクスの味方となった時点でスーパーカオスドラゴンに敵と認定される。
 敵となった者達はカオスのメロディの魔の手にかかり、手当たり次第に近くの者に襲い掛かる狂魔となる。
 その標的には当然、フェリクスも含まれている。
 虚な目をした悪魔は2撃目を振るおうとプラスチック製の椅子を粉々に砕け散らせた拳をゆっくりと上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

サハリエ・ステーロ
候補者を全て倒せば次のデビルキングは一旦空位に戻る
そうすれば僕にも再度チャンスが出来る

フーハッハッハッ、ではスーパーカオスドラゴン!君を猟兵へ覚醒したこの僕、兎の魔王サハリエ様の覇道の最初の試練としよう!

なんか既に混沌としてるな
さすがデビルキング候補になった混沌魔法の使い手だ

こちらも得意魔法を使わせてもらうよ。
UC【兎魔王流:流星魔法『メテオ』】使用
混乱している皆に杖を向けまくって流星群を起こそう。
頭に1発喰らえば正気に戻るかもしれないしね

フフフそして隕石の轟音で君の挑発もデスボイスも聞こえないだろう
さぁ、覚悟しろ!
えっ、僕も何言ってるか分からない
そんなー

※アドリブ・連携歓迎



「起きたかヨぉ……」
「すまない、どうかしてたぜ……」
 2首がかりでボコボコにされ、1首は正気に戻ったが女装男子に狂わされた悪魔達はまだまだ多い。
 ここまでの経緯を知らないサハリエ・ステーロ(時計ウサギの魔王・f37256)はその惨状をスーパーカオスドラゴンの所業として、ただ感心していた。
「なんか既に混沌としてるな。さすがデビルキング候補になった混沌魔法の使い手だ」
 しかし感心しているだけでは彼らを超えることは出来ない。サハリエは杖を構えて高らかに笑い声を上げた。
「フーハッハッハッ、ではスーパーカオスドラゴン! 君を猟兵へ覚醒したこの僕、兎の魔王サハリエ様の覇道の最初の試練としよう!」
「兎の魔王ダぁ……?」
 スーパーカオスドラゴンは悪魔にしては華奢なサハリエの体を上から下まで眺め、再び顔を上げると生温かい視線を向けた。
「……まぁ、目指すのは止めねぇが……あの、うん……頑張れ」
 哀れに思う気持ちを隠しきれず、かといって嘲け笑おうともしない、あからさまに励ますような声色にサハリエは顔を真っ赤にさせた。
 由緒正しきラスボス魔王の一族に名を連ねるサハリエにとってデビルキングになることは悲願。だがその元に白羽の矢が舞い降りることは無かった。
 その上に流れた、失脚したはずのガチデビルが復権を狙って立候補したという知らせに両親は「これからは使命に囚われずやりたい事をやっていいよ」とサハリエを抱きしめ、頭を優しく撫でた。
 だが、それで挫けてしまうほどサハリエは弱くなかった。
「候補者を全て倒せば次のデビルキングは一旦空位に戻る。そうすれば僕にも再度チャンスが出来る!」
 20歳も過ぎれば子供の頃には気づけなかったあれこれに察しがつき始める。優しい両親のことだ、自分が真面目な顔で面と向かって問い詰めない限りはのらりくらりとはぐらかすだろう。
 だからこそ、退くことは出来ない。
 デビルキングを育てた最高の両親であると胸を張って紹介するために、心の底から育ててくれてありがとうと感謝するために!
「こちらも得意魔法を使わせてもらうよ、【兎魔王流:流星魔法『メテオ』】!」
 サハリエの想いがこもった流星群がライブ会場に降り注ぐ。スーパーカオスドラゴンは2首のビームでことごとく撃墜したが、目の前の相手を倒す事だけに集中していた悪魔達は見事に潰され、吹っ飛ばされていった。
『ふっ、まだ兎魔王流でも基本の魔法にすぎないさ。』
 タクトのように杖を振るサハリエの耳には隕石の轟音でスーパーカオスドラゴンの挑発もデスボイスも届かない。東のラスボスの混沌魔法を封殺したという事実を誇りつつ、隕石が切れたタイミングでサハリエは叫んだ。
「さぁ、覚悟しろ!」
「だから、何言ってんのか分からねぇっつてんだロぉ!?」
「そんなー」
 しかしそれはサハリエの一世一代の口上も同じだったようで、スーパーカオスドラゴンからの指摘にサハリエの長い耳はへたばった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ポーラリア・ベル
カオスの!顔っスか!こんにちはー!

凄い歌!すごい渾沌!すごいラスボス!
でもポーラも負けないよ!
アイスエイジクイーンお姉さんのライバルさんなら尚更だわ!

あたしのベルを聞いてーっ!
【楽器演奏】と【天候操作】でものすごい滅茶苦茶に冬告げのベルと吹雪を鳴らしてお歌に対抗!
ベルを体に付けながら【雪だるまアーマー】装着!
無数の角や爪に当たる度、雪の鎧が反応して雪玉放ちながらの爆発。
&直ぐに張り直して巨大化&強化。
どんどんカオスドラゴンお兄さんの大きさを超えて挑発もビームも蚊帳の外に!
あたしこそが真のラスボスのアルティメット雪だるポーラなのだわー!

そのまま巨大化に応じた雪玉の弾幕アタックで雪だるまにするよ!



 静かになった会場に軽やかな鈴の音が鳴り響く。
「カオスの! 顔っスか!こんにちはー!」
 開いた天井から舞い降りてきたポーラリア・ベル(冬告精・f06947)が放った駄洒落にスーパーカオスドラゴンは苦笑いを浮かべた。掴みは上々のようだ。
「これはこれは可愛らしいお客さんだ。だが、見かけだけで騙されるほどオレサマ達は愚かではないゼぇ!」
 歌唱担当の喉から大地を揺らす重低音が響き渡る。その音圧で吹き飛びそうになる体を堪えながらポーラは笑った。
「凄い歌! すごい渾沌! すごいラスボス! でもポーラも負けないよ! アイスエイジクイーンお姉さんのライバルさんなら尚更だわ!あたしのベルを聞いてーっ!」
 ポーラも対抗して滅茶苦茶に冬告げのベルを鳴らすと、それに呼応したかのように吹雪が降り注ぐ。
 その寒さとポーラの言葉にスーパーカオスドラゴンは歌うのを止めた。
「お姉さん、ネぇ……アイスエイジクイーンの手先か。だがもうオレサマ達を止めることは出来ないゼぇ!」
 完全なる勝利をライバルに見せつけるためか、スーパーカオスドラゴンの身体中から湾曲した無数の角や爪を生え、カオスな姿が再び露わとなる。
 危険を察知したのか、ポーラは手に持っていたベルを腰に吊るすと愛嬌抜群な雪だるまアーマーを一瞬で身につけた。
「ゲヒャヒャヒャヒャ!」
 笑い声と共に振るわれる無数の角や爪に当たる度、雪の鎧は反応して雪玉をばら撒きながら爆発する。
 しかし鎧はそれで崩れることはなく、砕けた部位に雪が入り込むことでどんどん硬く大きくなっていく。
 そして底辺が地面につく頃には、スーパーカオスドラゴンを余裕で超すほど巨大な雪だるまが顕現していた。
「あたしこそが真のラスボスのアルティメット雪だるポーラなのだわー!」
 ポーラの勝ち誇る声が雪だるまの中から響き渡る。ここまで大きくなってしまえば挑発もビームもカオスなメロディも届かない。
 しかしカオスに身を委ねたスーパーカオスドラゴンは恐れる様子も見せずひたすらに雪だるまを削ろうと試み続けていた。
 ただ楽しい時間はいつかは終わってしまうものだ。
『雪玉ころころ雪だるまー!どんどん大っきくなって、触るとドッカーンだよー!』
 そのかけ声と共に雪だるまの全身から大量の雪玉が放たれ、スーパーカオスドラゴンの巨体を押し潰す。
 そして出来上がった雪山を手で削っていくと、3つ首の可愛らしい雪だるまがお目見えした。
「はい、かんせー!」
 巨大雪だるまの中から出てきたポーラはスーパーカオスドラゴンが埋まっているであろう3つ首の雪だるまの周りを、楽しげに飛び回るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年05月18日


挿絵イラスト