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7thKING WAR⑬〜いつわりの夢

#デビルキングワールド #7thKING_WAR

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 貴方の夢はなんですか。
 手の届かなかった奇跡はなんですか。
 ――……歌うような少女の声が響く。

 崩壊を続ける『カオスの混沌領域』の一角に蒼い薔薇が咲き乱れていた。
 ここを訪れた者たちの前に現れるのは『かつての強敵』の姿。
 もちろん本物ではない。
 それは対象の内心にある驚異がオーラとなり、悪魔の身に纏わっているだけのまやかしだ。

「どのような姿をしていても、それは見せかけだ。憑装という技だね」
 書物の仮面(f22795)が囁くように言う。
「戦い方はオーラを纏った悪魔本来のものであり、その矛盾は弱点となる。そこを突いて戦えば勝てるはずだよ」

 現れる『かつての強敵』は蒼い薔薇をつかって戦うだろう。
 憑装を纏っても、強敵の能力まで再現できる訳ではないらしい。
 たとえどんな姿をしていても、本来の戦い方をすることは絶対にない。

「悪魔の名は『蒼い薔薇の夢を見る』レイリー。希望や、願い、夢を司る少女の姿をした悪魔のようだね」
 オブリビオンではない、この世界の一般的な住人でもある。
 スーパーカオスドラゴンの配下として現れる彼女たちを倒せば、戦況にも変化があるだろう。
 だが、愛らしい姿をしていても、この世界の悪魔たちの強さは油断ならないものだ。
 こちらが手を抜いたりする余裕はないだろう。
 混沌とした状況にも心を静め、立ち向かう必要があるが、君達なら大丈夫なはずだ。

 人によって、それは恐ろしい夢となるだろうか。
 それとも叶うことのなかった望みが現れるだろうか。
 いくつもの感情が複雑に絡み合えば、その結果は想像もつかない。
 だからこそ。
「君の心が生んだ驚異に挑んでみないかい」


鍵森
●こちらは戦争シナリオとなります。
 かつての強敵の姿をした悪魔と戦いましょう。

●プレイングボーナス
 敵の姿と戦い方の矛盾に気付く。

 お目通しありがとうございます。
 こちらは完結優先のため最小人数採用になるかもしれません。
 よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『『蒼い薔薇の夢を見る』レイリー』

POW   :    貴方へ贈る蒼い薔薇
【対象の秘めた闇】から、対象の【奇跡を手にしたい】という願いを叶える【蒼い薔薇】を創造する。[蒼い薔薇]をうまく使わないと願いは叶わない。
SPD   :    奇跡
見えない【筈の、貴方が望んだ夢】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    貴方を奪う青茨
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【青い茨と生命力を啜る青薔薇】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

琴平・琴子
嘗ての強敵は白いドレス姿の「お姫様」
顔をレースで隠して足はない
私とあの人(王子様)だけが見えた幽霊の少女

貴女には可憐なマーガレットが似合うと思っていたけれども
蒼い薔薇も綺麗ね、お姫様

──貴女の様になりたかった
それを口にするのが恥ずかしくてその側にいる王子様になりたい、なんて言ってしまったけれども
貴女という強敵には私は少し近づけているでしょうか

ねえお姫様
その蒼い薔薇を作って費やすの?
蒼い薔薇は作れる、それだけで奇跡な筈なのに?
奇跡をを願うのに奇跡作るなんて変な話ですね

私には花を咲かせる才能は無いのかもしれないけれども
荊道を進む強かさはあります

綺麗な薔薇には棘がある
この棘はお姫様を偽る罰ですよ



 まるで夢の中にでも迷い込んだような光景だった。
 強大な力で一掃された大地に蒼い薔薇が咲き乱れ、周囲には薄い花びらが舞っている。
 ゆっくりと足を進めると、見覚えのある後ろ姿が目に入った。
 真っ白なドレスに身を包んだ彼女を、琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)はじっと見つめる。
「貴女には可憐なマーガレットが似合うと思っていたけれども蒼い薔薇も綺麗ね、お姫様」
 思わず、そう声をかけていた。
 自分の心から抜け出たような『お姫様』の姿は、記憶と少しも違わない。
 心の中に在るままの、琴子から見た『お姫様』がそこに佇んでいる。
 ふわり、ふわり、と白いドレスを揺らして彼女が振り返る。
 レースに隠れた顔、僅かに除いた口は笑みを浮かべているようだった。
 琴子とあの人だけに見えていた幽霊の少女。
 よく笑い、よく拗ね、よく笑う。その愛らしい仕草もそのままに。
 けれど酷い違和感を感じさせる偽物。
「――」
 お姫様が何か言葉を紡いだようだったけれど、唇が動くだけで声はない。
 琴子は大人びた表情で微笑む。

 ──貴女の様になりたかった。

 それを口にするのが恥ずかしくて、その側にいる王子様になりたい、なんて言ってしまったけれども。
 あれからどれだけの時が過ぎていっただろう。
「貴女という強敵に、私は少し近づけているでしょうか」
 そう問いかけると、『お姫様』の唇が綻ぶ。
 それはもう嬉しそうな笑みを見せて、彼女はそっと手を差し伸べてきた。
 白く細い指先に導かれるように一歩を踏み出すと、琴子は短剣を握り締める。
 刃先を向ける先は、彼女の胸元だ。
「――!」
 鋭い刃先が柔らかな肌を突き破って、鮮血に染まった白い布地に赤い染みが広がる。
 しかし、同時に琴子は奇妙な不快感を感じた。
 心の中の触れられたくない部分になにかか掠めたような感触。
「…… “奇跡を手にしたいという願い” ?」
 頭の中に閃きが過り、口が自然と動いて言葉を呟く。
 途端、輝きとともに美しい蒼い薔薇が琴子の胸の中から現れる。
 貴方へ贈る蒼い薔薇。この花を上手く使えば願いが叶うのだと、直感で理解する。
 悪魔らしいワルさだ。
「ねえお姫様、蒼い薔薇を作って費やすの?」
 琴子は悪魔の差し出した薔薇の花を、迷わずに手の中で握りつぶした。
 可笑しな話でしかなかった。
「蒼い薔薇を作れる、それだけで奇跡な筈なのに?」
 ふ。と息を吐くように笑う。
「奇跡を願うのに奇跡を作るなんて変な話ですね」
 悪魔の誘惑を退け拒絶と嫌悪を滲ませた琴子へ、『お姫様』は尚も微笑みかけている。
 まるですべてを許すかのような、その姿が、引き金だったのか。
 『お姫様』の姿を纏った悪魔の足元に無数の棘が生え、一瞬にして彼女を貫く。
「私には花を咲かせる才能は無いのかもしれないけれども、荊道を進む強かさはあります」
 琴子は冷たい声音で告げる。
「綺麗な薔薇には棘がある――この棘はお姫様を偽った罰ですよ」
 棘による攻撃を受けていつわりの『お姫様』は静かに消え、後には地面に悪魔の少女が横たわっていた。
 命に別状はなく眠っているだけであることを確認して琴子はまた歩きはじめる。
 どんなに苦しい道も進んでいく。
 そうすればいつか本当のあなたに辿り着くでしょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
苦手だった、といえばまず思い浮かぶのがバルバロス兄弟で
その姿が出て来た瞬間思わずゲッて顔に

自身の身を【オーラ防御】で守り
どんな攻撃にも対処できるよう★杖を構えながら
翼の【空中戦】で一定距離を保ちつつ
でも敵が攻撃のため動いた瞬間にきょとんと

あぁ…なるほどね、矛盾ってそういう事か
あのいかにもな脳筋兄弟が青薔薇なんて繊細な小物で戦えるわけない
絶対ない
だって僕があの人ら苦手だった理由こそが
僕が対物理攻撃に極端に弱くて対策も苦手だからで
それを感じられなければそれはもう別人です

花は、燃えるから
【指定UC】発動
全方位に炎の鳥を放つことで敵のUCを相殺し
残った鳥の【破魔】の炎による【浄化】でレイリーさんを攻撃



 海原の色にも似た蒼い薔薇の花が咲く大地に現れた巨大な影。
 継ぎ接ぎ合わされた体を持つ巨人の海賊――七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟。
 その姿を見た途端、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は思わず「ゲッ」と顔をしかめた。
 かつて戦った敵の中でも苦手だった相手、といえばまず思い浮かんだのがこの顔。
「さあ暴れてやろうぜ! ハイレディン!」
「おうよ、オルチ兄!」
 豪快に笑う二人を前に、臨戦態勢をとりながら澪は翼を広げて空へと飛ぶ。
 オーラで身を守りながら杖を構え、苦々しい気持ちで敵を見下ろし距離を取れば、益々楽しそうに兄弟は笑っていた。
「ハハハハハ! 欲しい物は奪え! 邪魔な奴はブチ殺せ!!」
 あの豪雷のような声まで再現されると記憶がより鮮明に蘇ってくる。
 来ると解っていても攻撃を避けられず、地面に叩き伏せられた瞬間の衝撃と痛み。巨躯から繰り出される荒々しい攻撃の威力を身をもって知っているからこそ、思わずぐっと奥歯を噛みしめる。
(目が合った。攻撃が来る……!)
 しかしぎょろりと大きな眼がこちらを見据えると同時に放たれたのは、茨の蔓と蒼い薔薇の花による広範囲の攻撃。咄嵯に身を捻り直撃を避けて、澪はきょとんとした表情を浮かべた。
「あぁ……なるほどね、矛盾ってそういう事か」
 そして納得したように一つうなずき、ため息を零す。
 空を舞う澪を捕らえようと、伸び生える茨が追ってくるけれど、風に乗って飛行スピードを上げ縦横無尽にそれを躱しながら杖から炎を放てば燃える花びらが空中に散る。
「見た目だけだ。本当に」
 あのいかにもな脳筋兄弟が青薔薇なんて繊細な小物で戦えるわけない。
 絶対ない。
 確信が深まるにつれ、頭が冴えていく。
 自分の目の前にいるのは姿形だけ纏った別人だ。ならば恐れる事はない。
「あの人らを苦手なのは、僕が物理攻撃に極端に弱くて対策も苦手だからだ」
 弱者を力任せに殴りつけるような暴虐さも、大きな体で人を踏みにじる残虐さも、あれにはない。
 美しい花で敵を絡め取ろうとする不似合いな戦い方に、バルバロス兄弟らしさはもう感じられなかった。
「もう驚異ですらないな」
 凛とした眼差しで敵を見据える。
 澪の周りに炎が起こり。赤く燃える炎は無数の鳥へと姿を変えて飛び放たれた。
「花は、燃えるから」
 だから炎で焼き尽くせる。
 燃え盛る鳥たちが襲い掛かれば、その度に茨たちは焼け焦げていく。
 蒼い薔薇はみるみる内に炎に飲み込まれて、赤く塗りつぶされていくようだった。
「てめぇ……! よくもやりやがったな!」
「偽者ごっこは終わりだよ」
 燃え盛る火の海に立つバルバロス兄弟の顔は苦々しく歪む。
「僕からはなにも奪えない」
 そう呟いて、澪は杖を振るった。
 鳥たちが羽ばたいて一斉にバルバロス兄弟へ飛びかかる。
 薔薇を焼かれ、破魔の炎を防ぐ手立てもないまま巨躯が燃えていく。
 心の中にあった爪痕が現れて、消えていく。
 これはきっとそれだけのこと。
「鳥たちよ……導いて」
 この心が晴れるように。
 胸に手を当てて澪は少しだけ目を閉じた。次に見た時にはもうバルバロス兄弟の姿は消えているだろう。
 舞い上がる火の粉が、風に乗ってどこかへと飛んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
かつての強敵:ラビットバニー
(参考シナリオid=9318)

バトルオブフラワーズの戦いでわたくしを庇い
彼女の攻撃を受けて傷ついたヴォルフ
あの頃のわたくしは彼の傷を癒しながら
ただ詫びることしか出来なかった

絶対無敵バリアに足元に咲く花を操る能力
心の中の恐れが、ありもしない「あの時と同じ技」を見せつける
でも、彼に食らわせた「赤べこキャノン」は一向に使ってこない
足元の花も色とりどりで、青薔薇だけなんてことはなかったわ

わたくしはもう、ただ彼の後ろで泣くだけのお姫様じゃない
幾多の戦いを経て、共に戦う勇気を覚えた
導きの星の光に触れ、迷いを断ち切り、過去の痛みを乗り越えて
青薔薇の包囲攻撃をなぎ払い浄化する



 大地を埋めるように咲き乱れる蒼い薔薇の花々、辺りを舞う花びらは風に踊る。
 その光景がヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)に辛い記憶を呼び起こさせた。
「……あなたは!」
 思わず息を呑む。
 花の上に降り立ったヘルガの前に現れたのは、かつてバトルオブフラワーズで相まみえたカワイイ怪人『ラビットバニー』。
 兎の着ぐるみの頭を被ったような姿は、あの日と何も変わらない。
「まーじやばいよねー! この展開エモすぎじゃない?」
 ヘルガの反応を楽しむように、ラビットバニーはきゃらきゃらと明るく笑う。
 声が、仕草が、あまりにも同じであるものだから。
 姿を纏っただけである筈なのに、気を抜くとあの瞬間に引き戻されそうな気がした。
 ドクドクと心臓が大きく脈打ち全身に凍えるような寒気が走る。
「一人で立ち向かうのも格好いいケド。盾なしで戦えんの――お姫サマ?」
 挑発するようなラビットバニーの言葉にヘルガは唇を引き結んだまま答えない。
 無言のまま、手に嵌めた指輪を包むように両手を握りしめた。
 ヘルガを敵の攻撃から庇って、愛する者が傷ついたあの瞬間の、胸が引き裂かれそうな程の恐怖が蘇る。
 眼前のラビットバニーより、自分が傷つくことよりもずっと。
 愛する彼を失うかもしれないことが何よりも恐ろしかった。
 瀕死状態だった彼の傷を癒やしながら、ヘルガはただ詫びることしか出来なかった。
 彼を信じていた。
 けれど一瞬でも悪い予感が過ぎらなかったかと断言できるだろうか。
 全身全霊の力を尽くしてもまだ足りないと、限界まで力を使い意識を失ってしまったあの瞬間。
 彼を失ってしまうかもしれない――その可能性を想像しなかっただろうか。

 心の中にある恐れがありもしない光景を見せている。

「とりま、リベンジしちゃおっか!」
 軽い言葉とは裏腹に、肌を刺すような殺気を感じてヘルガは身構える。
 ラビットバニーが背中に持った巨大なキャノン砲を向けた。
「赤べこキャノン……――いいえ、これは!」
 銃口から放たれた攻撃を白い翼を広げて俊敏に避けたヘルガは、蒼い薔薇の茨が自分に向かって伸びるのを見て驚愕する。
 その瞬間、記憶と重なっていた光景が急速に書き換わっていくようだった。
 ここはあの日じゃない。
 足元の花は蒼い薔薇一色、色とりどりの花が咲いていたあの場所はもう過去のこと。
「あなたを、あの日の恐怖を、わたくしは越えていく」
 まるで呪縛が解けたように体が軽くなり、ヘルガは唇をゆるませた。
 蒼い薔薇の花がまるで意志を持っているかのようにうねりながら、鋭い棘のある蔦でヘルガを捕えようとする。手にした細剣でその攻撃を華麗に捌きながら、ヘルガは歌い始めた。
(わたくしはもう、ただ彼の後ろで泣くだけのお姫様じゃない)
 幾多の戦いを経て、共に戦う勇気を覚えた。
 だからここに居るのだと、歌に気持ちを込めて。
 祈りの聖歌は、導きの星を喚ぶ。ヘルガの歌に呼応するように彼女の周囲に光の粒子が集まり始める。
「輝く星よ、わたくしに力を与えて……!」
 導きの星に触れたヘルガは迷いを断ち切り細剣を振り上げた。
 鋭い一閃が走る。眩く光る刃が軌跡を描き、斬撃が蒼い薔薇ごとラビットバニーを薙ぎ払う。
「――ッは。最高にエッモいじゃん……」
 刹那の斬撃を防ぐことも出来ずに聖なる力で浄化され、敵の姿が消えていく。
 ヘルガはその光景を見届けながら、小さく息を吐いた。
「きっとあれはわたくしの中にあった、過去の痛みだったのでしょう」
 なんだか少しだけ、心が軽くなったような気がする。
 踵を返したその足が向かうのは、きっと愛する人の居るところ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
嘗ての強敵か…
最強無敵のカシムさんですがないと言う訳ではありませんしね
「ご主人サマが対峙した強敵はメルシーも興味があるよ☆」(銀髪少女
強敵
帝竜オアニーヴ
唯一眼球を奪えなかった帝竜

思い出すだけで忌々しい…!

【情報収集・視力・戦闘知識】
嘗ての強敵の動きと癖…過去の記憶を思い出して

あー…全然ちげーですね
そもそも無差別で異様に早い奴でしたし


僕の夢?はっ…ハーレムとかそういうのか?
(展開されるのは普通の家族としての日常。父母が居て…そんな普通の家庭

…なんだこれは
「ご主人サマ…!」(号泣

ふん…所詮夢だ

UC発動
【空中戦・二回攻撃・切断・属性攻撃・弾幕】
超高速で飛び回り
連続斬撃による猛攻と火炎弾乱射の蹂躙



 ここを訪れたものは嘗ての強敵の姿を見ることになる。
 蒼い薔薇が咲く大地に降り立った、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の表情に苦いものが浮かぶ。
「最強無敵のカシムさんですが、そういう相手がないと言う訳ではありませんしね。まあ相手してやりましょう」
 忌々しい過去を思い出しながら呟いて、手にした武器を構える。
「ご主人サマが対峙した強敵はメルシーも興味があるよ☆」
 傍らに寄り添う長い銀髪の少女が明るい声でそう言った。好奇心に輝く瞳はキラキラと輝いている。
 鬱陶しげに少女の顔を見たカシムは溜息をつく。あまり人に話したいことではない。どうせ魔力と思考をリンクさせれば、同じものを見ることになるのだとしても。
「……来るぞメルシー」
 カシムの言葉と同時に地面が揺れ動き、巨大な影が現れる。
 それはドラゴンだった。呪いの仮面を被らされた帝竜『オアニーヴ』の姿。
「あのドラゴンがご主人サマの強敵!」
「ああそうだ。思い出すだけで忌々しい……! 僕が唯一眼球を奪えなかった帝竜」
 魔術盗賊であるカシムにとって、盗みそこねた獲物というのは屈辱以外の何物でもない。
 天才であることを自称する自分が味わった苦痛を思い起こし、その感情を隠しもせずに顔を歪める。
 かつての一戦を思い起こしながら、敵の攻撃を予測しカシムは動いた。
「ウオオオオォォォオオ――……!!」
 オアニーヴが咆哮を響かせる。白い翼を広げて飛び立つと、上空からカシムを見下ろした。
 あの時。巨体とは思えぬ俊敏な動きで滑空し、振り上げた前足の爪が自分たちを引き裂いた。
 記憶の中にある光景が浮かび、カシムは唇を引き結ぶ。
 相手の動きと癖は覚えている。思い出しさえすれば対応できるはずだ。
 ――しかし。
「ご主人サマ? あのドラゴンの動き……」
 メルシーが首を傾げる。
「あー……全然ちげーですね」
 自分達を圧倒したあの強さを目の前の敵は持っていない。鋭い観察眼を持つカシムは、すぐにその事に気がついた。あれは別物なのだ。
「本物は無差別で異様に早い奴でしたし」
 オアニーヴの姿を纏っただけの悪魔の攻撃を避けていなし、つまらなさそうに溜息を吐く。
 その姿を見た敵は少しの間、動きを止めた。

 ――貴方の手の届かなかった奇跡はなんですか……貴方が望んだ夢はなんですか。

 そう尋ねかけた声はオアニーヴのもののようであり、別の声のようでもある。
「夢」
 興味を惹かれたようにカシムは考え、
「僕の夢? はっ……ハーレムとかそういうのか?」
 欲望に忠実な願望を呟く。
 すると見えないなにかが、カシムの周りを覆うような感覚が起こった。辺りの光景が歪んで幻の風景が広がっていく。どこか別世界の出来事が目の前に起こっているような感覚だった。どこか見覚えのある人影が現れて、カシムに向かって話しかけたり笑いかけたりしている。
「……なんだこれは」
 人影は父母だ。いつの間にか、カシムは家族に囲まれていた。仲の良い三人で食卓を囲んでいる。
 あたたかな家庭。普通の家庭で平凡な日常を過ごす……それが自分の夢だというのか。
「ご主人サマ……!」
 大粒の涙をこぼして泣くメルシーの声で我に返る。
 一瞬の出来事だった筈なのに、長い夢から醒めたような気分だった。
「ふん……所詮夢だ」
 吐き捨てる。天涯孤独の自分が随分と甘ったれた夢を見せられたものだと薄く笑って。
「いくぞメルシー! 魔力と思考をリンクさせろ!」
「ラジャったよご主人サマ♪ メルシーとご主人サマのスペシャルアタック見せちゃうぞ☆」
 少女の姿をした機神『メルクリウス』と共に飛翔したカシムは敵を見据えた。
「いりませんよ、こんなもの」
 夢ごと空間を切り裂いて、火炎が蒼い薔薇を焼き払う。
 何度も何度も苛烈な攻撃が繰り広げられたその跡には、ドラゴンの姿も消え失せていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェルンド・ラスリス
思い出すのは…友と呼ぶ竜と共に戦った、黒い炎を纏うあの竜「ヴェログルス」だろうか。

首に掛けるたんぽぽの首飾りを一瞥する。

「まぁ、あの時よりも圧は感じないな」

あの時と同じ様に、背の大剣を抜剣。あの時と違うのは、共に戦う竜が居ない事だろうか。

「あいつにカッコ悪いとこは見せられないな」
真正面に対峙し、剣を振るい、大技のUCでの一撃の隙を伺う。

「本物のお前は、もっとギラついた奴だった。その復讐の黒炎を忘れ、蒼薔薇を使うお前に敗けてやるつもりは無い」

あの竜に似合わない蒼薔薇は己の蒼炎で焼き払おう。



※アドリブ、共闘、苦戦、なんでも歓迎です



 世界を懸けた戦いだとしても、彼のやるべきことは変わらない。
 ヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)は常のように黒鎧を纏い、背中の大剣を手にし、戦場へと参じた。まるで黒い影のような己の中で、熱い火がうねるのを感じながら。
「……」
 蒼い薔薇が咲き乱れている。意志を持つかのようにうぞめくそれは大地を埋めるように増殖しているようだった。悪魔の仕業に違いない。
「かつての強敵……か」
 この地の悪魔は別の姿を纏って現れるのだという。
 幾多の戦いを繰り広げた身だ。なにが出てもおかしくはない。
 そう思った瞬間、巨大な影が立ち昇った。
『――――オ゛オオオオオオオオ!!』
 咆哮と共に現れたのは、瘴気の炎を吐く『黒焔魔竜・ヴェログルス』。世を憎み、同族である竜の棲家を焼き払おうとした憎悪の怪物だ。
 その姿を見たヴェルンドは表情に不思議な感情を走らせた。一瞬のことではあったが、それは純粋な驚きだったのかもしれない。無意識に思い出した一戦が、この姿となって現れたという事に。
「――ふっ!」
 大地を蹴って駆けた。
 首に掛けたたんぽぽの首飾りが揺れる。竜花。友から貰ったそれを一瞥した。
 黒焔魔竜との戦いで出会った一頭の竜。
「あいつにカッコ悪いとこは見せられないな」
 無骨に呟く。
 構えた大剣から炎が吹き出し、刀身を覆う。燃え盛るその刃が狙うのは黒焔魔竜の首。
 かつての戦いを思い出しながら、敵の動きから目を離さずに真正面へ突き進む。
 相対するヴェルンドを、爛々と輝く瞳が睨んだ。
『忌゛々シイ!! 虫ケラガアアァァアアア!!!』
 見上げるほどの巨体が吠え声を上げて口を開こうとする。炎が来る。反射的に思う。だがヴェルンドは恐れることなく突っ込んだ。
 あの時を思い起こさせる戦い。違うのは、共に戦う竜が居ないことだろうか。
 ――いや、違う。
 黒焔魔竜は炎を吐かず、身を守るかのように蒼い茨を操り、ヴェルンドを迎え撃った。
 可憐な花でありながら鋭い棘を備えたそれは、まるで生きた鞭のように動き回る。
「燃え落ちろ!」
 ヴェルンドが叫ぶと同時、横に一閃した大剣が薔薇に炎を浴びせ薙ぎ払う。
 蒼炎に照らされたヴェルンドの顔を見て、黒焔魔竜がたじろぐ。ジリジリと迫る熱気に苦悶するかのように。
「この程度か……?」
 大剣の切っ先を突きつけて告げる。
「本物のお前は、もっとギラついた奴だった」
 深い憎悪にその身を滾らせて猛り狂い、この世を呪いの炎で焼き尽くそうとするような竜だった。
 復讐心があの竜を強くし、恐るべき存在としていた。
「その復讐の黒焔を忘れ、蒼薔薇を使うお前に敗けてやるつもりは無い」
 ヴェルンドの言葉に、黒焔魔竜が怒りの叫びを上げた。
『グゥウ……! 我ヲ侮辱スルカ!』
 見せかけを続ける悪魔を唇だけで笑う。もはや滑稽だった。
 最後の力を振り絞るように殺到する薔薇の茨を蒼炎で焼き払い、ヴェルンドは地を蹴って接敵した。
「その姿に蒼薔薇は似合わない」
 呟くと同時に大剣を振り下ろし、荒々しい一撃を見舞った。獄炎に覆われた刃が黒焔魔竜の姿を穿ち貫く。
 あっけない手応えだった。ズ、と崩れるようにその姿が蒼い薔薇と共に消えていくのを見送る。

 どうやら、この地にいた悪魔は一掃できたらしい。
 一息ついて、ヴェルンドは不意に空を見上げた。風の中に『またね! オレの友だち!』と瑠璃色の鱗を持つ友の笑う声がしたような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月18日


挿絵イラスト