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7thKING WAR⑳〜風雲アイスエイジ城ですわ!

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #西のラスボス『アイスエイジクイーン』

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#西のラスボス『アイスエイジクイーン』


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「お~っほっほっほ!引き合わせる運命はわたくしと猟兵の雌雄を決する一騎打ちの決戦を選びましたわ!」
 魔界の一角、西のラスボス『アイスエイジクイーン』は、氷の巨大鎧『絶晶』を携えて、今こそ宣戦布告ですわとグリモアベースの一室にジャック放送を試みようとしていた。
 その時である。
「アイスエイジクイーン様!」
「アイスエイジクイーン様が出る事はありませんぞ!」
「ラスボスの前にはボス在り。」
「我ら『アイスエイジクイーン四天王』総勢100名!」
「私達めを倒さずしてアイスエイジクイーンへの挑戦権などありません!」
 そう、アイスエイジクイーンには100体もの四天王がいる。
 どれもこれも強烈な個性を持った者達ばかりだ。
「というわけでこの私、999の陰陽術をマスターし分身までできる陰陽忍者セイオンにお任せを!」
「いいや!俺様に任せな!魔界中のドラゴンを食い漁った事で有名なドラゴンの王メカバーン!」
「おおっと、まずは俺だろ。氷河期大金庫同様の再生と堅甲と凍結能力を持つ四天王随一の門番、グレトンケイル。」
 わいのわいのと、まず猟兵達と戦うのは自分だ!と揉め続けるアイスエイジクイーン四天王達。
「お黙りなさい!」
 そこでアイスエイジクイーンがぴしゃりと叫んだ。
「お前達がそんなに雑多に行けばそれはそれでこれから戦う猟兵達に失礼な印象を与えますわ!わたくしの四天王に収まる器となれば、相応しい場所が必要になりますでしょう。」
 そしてアイスエイジクイーンは杖を地面に打ち鳴らし、氷河期魔法を発動する。
「これより作り出してあげますわ。わたくし率いる可愛い四天王達と、猟兵との戦いに相応しき……決戦のバトルフィールドを!」


「お~っほっほっほ!」
「みんな!これからデビルキングワールドのけっせ……ふぇあぁ!その声は!」
 グリモアベースに猟兵達を呼んだポーラリア・ベル(冬告精・f06947)の後ろで、デビルキングワールドの西のラスボス「アイスエイジクイーン」の映像が映る。
「いよいよわたくしとの決戦ですわね!しかし、その前にわたくしの配下である100体の四天王達が勝負したいと申し出てますわ!」
「四天王!……えっ100人!?どうしてそんなになるまで」
「流れですわ!」
「ながれなんだ!」
「そこでわたくしと四天王、両方が納得いく決戦のバトルフィールドをここに用意したのですわ!御覧なさい!この城を!」
 アイスエイジクイーンがワイプして消え、後ろの巨大な氷の城が映像に映し出される。
 100階はあろう巨大な幾つもの城パーツがくっついた、いびつながらに芸術的な造形をした、氷河期の城。
「お~っほっほっほ!これなるはわたくしの氷河期魔法により即席で作り上げた『アイスエイジ城』!猟兵よ、あなた方とはこの城で勝負していただきますわ!」
 そういうとアイスエイジ城の見取り図が別途映像に表示される。
「このアイスエイジ城は総101階!各フロア1階につき1体の四天王が待ち構えていますわ。あなた方には彼らと1体ずつ勝負していただきますわ。……アイスエイジ四天王はわたくしが選んだ選りすぐりの魔界エリート。どの方も手強く強烈にあなた方を苦しめる事でしょう!そして101階、最上階に辿り着けばこのわたくしといよいよの最終決戦!わたくし自慢の鎧『絶晶』と共に全力のお相手を致しますわー!」

 つまり……100体の四天王と、城の中で勝ち抜き戦をやる感じである。
「アイスエイジクイーン様!終わりましたら急いで最上階へ」
 ワイプから戻り、アイスエイジ城の1階で四天王達に手を引かれるアイスエイジクイーンが映った。
「おほほ。四天王達はやる気満々で迎え入れて頂ける様ですわよ。挑戦、楽しみにお待ちしておりますわ!」
 そう言うと城の1階らしきフロアで待ち構えている四天王が『最上階直通エレベータ』にアイスエイジクイーンを乗せて……。
 映像を見た猟兵達の一部は何やらおおっとな顔をしたのではないでしょうか。
「おっと、このエレベータはアイスエイジクイーン様が最上階に到着次第爆破させてもらう。」
 迸る爆発音。エレベータは爆発された。
 四天王の一人が映像でアップに映り、猟兵達に警告する。
「ないからな!こう、万一アイスエイジクイーン様に何かあった時の為に各フロアに直通手段が点在するなどは……その操作権限は我ら四天王を倒さぬ限り動かぬなど……そんな事はありえないからなー!」
 1階に集まっていた四天王達は次々と持ち場の階へとあがっていく。
「不正を働いたら我々の誰かが確実にお前達を邪魔するであろう!」
「ククク……最上階付近は暇になるだろうから我はソリティアを持参して待ってるぞ!」
「私は分身して一人デビル麻雀でもしておくとするか……待っているぞ……!」

「……分かったかしら?」
 映像が途切れ、ポーラリアは転送の準備をする。
「たぶん、全員を相手にしなくても大丈夫だわ。四天王を倒して、直通手段を手に入れれば、何とかアイスエイジクイーンお姉さんと戦えると思う!頑張ってね!」
 光る転送光。
 猟兵達はアイスエイジクイーンとの決戦に赴いた。
 冷ややかに寒き空気が張り詰めるアイスエイジクイーンの居城。
 まずは、その1階から……。


古塔
 古塔と申します。よろしくお願いします。
 目的……アイスエイジ城の最上階にいるアイスエイジクイーンを倒す。

●概要
 今回はデビルキングワールドの、西のラスボス『アイスエイジクイーン』との1章のみ決戦となります。
 アイスエイジ城にはびこる100体ものアイスエイジクイーン四天王と戦い、101階にいるアイスエイジクイーンと戦って倒してください。

 アイスエイジ城は全部で101階。1階ごとに1体の四天王がいます。
 四天王を1体でも倒すと、何処かに最上階直通手段(ワープ装置とかエレベータとか)が現れますので、そこからアイスエイジクイーンに直接決戦できます。
 でも、みんな倒しに行ってもいいんだよ。

 四天王は、できればどんな奴でどんな戦い方をするか、簡単でいいのでプレイングにお願いします。
(書いてなければおまかせという事でマスターが適当に書きます。)
 ここはデビルキングワールドなので、正当な手段抜きで策を練って四天王を突破しても勿論構いません。
 ただ、その場合でも何らかの四天王と1度は戦う事になります。ご容赦を。

 例……。
 空を飛んで外から直接最上階へ→空を飛ぶ四天王と激突。
 時を止めて楽々素通り→止まった時の中を動ける四天王と激突。
 話術で騙して直通手段を使わせてもらう→話術に長けた四天王の田中と交渉バトル。

 四天王、そして最上階にいるアイスエイジクイーンの使う氷の鎧『絶晶』。
 この二つの戦局にどうにか対応し、勝ち抜いてください!

 プレイングボーナス……四天王しぐさを利用する/絶晶に対処する。
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第1章 ボス戦 『西のラスボス『アイスエイジクイーン』軍』

POW   :    絶晶融解体
自身の【氷の自動鎧「絶晶(ぜっしょう)」】を【融解変形モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    絶極双晶舞
【もう1つの自動鎧「極晶(きょくしょう)」】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    超絶凍結刃
【氷の自動鎧「絶晶」の凍結魔力】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【超凍結】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ラモート・レーパー
「だる……(無言でUC発動)」
なんということでしょう! アイスエイジ城が土煙を上げながら崩れ去っていくではありませんですか!
それもそのはず。猟兵を迎え撃つために建てたられたこの城は101階建てで魔界の一角の所有物と聞こえはいいものの悪い事に惹かれた建築業者の責任か、それとも老朽化のせいなのか現代の建築基準を満たしておらず、脆いところが複数もあるせいで、そこが起点となって城が倒壊する事になってしまったのです。
「住人巻き込まれて何人か逝ったっしょ。後はー適当に配信すっか」




「だる……」
 ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)はそう言った直後、ユーベルコードを発動した。
 するとどういう事でしょう。アイスエイジ城が土煙を上げ、ヒビを起こし、崩れ落ちていこうとしているではありませんか。
「んじゃ、後は適当に配信すっか。」
 ラモートはどこからかスマホカメラめいたものを取り出し、自撮り気味にデビチューバー撮影を始めた。
「なんということでしょう! アイスエイジ城が土煙を上げながら崩れ去っていくではありませんですか!
 それもそのはず。猟兵を迎え撃つために建てたられたこの城は
 101階建てで魔界の一角の所有物と聞こえはいいものの悪い事に惹かれた建築業者の責任か、
 それとも老朽化のせいなのか現代の建築基準を満たしておらず、
 脆いところが複数もあるせいで、そこが起点となって城が倒壊する事になってしまったのです。おおこわ。」

 そう言ってアイスエイジ城を大きく映し出しながら崩れるまでの過程を絶賛生放送で流すラモート。
 するとその時、けたたましい叫び声と共に城の一部からやたら長い蛇龍的なモンスターが飛び出て来た。
 その全身はダイヤモンドの様な宝石で出来ている、蛇のように長い胴体を持ったドラゴン。
 それがアイスエイジ城に巻き付いて光を放っている。
「我はアイスエイジ四天王一の守護者、ブリリアントドラゴン!幸運の力と我が物理的な自力でその崩落は待ってもらおうか!」
 四天王が現れてラモートに勝負を挑んできた。
「あーうざっ、つまんね。じゃあもっと崩れて逝けよほら」
 ラモートが指をくいと動かし、不幸の度合いを上げる。
 それと同時にアイスエイジ城は轟音を立てて更にヒビが入り、ブリリアントドラゴン諸共崩れ落ちていく。

 そう思われていた。

「…………その動きは我を挑発していると見ていいのか?」
 アイスエイジ城には特に何も起こらなかった。
 よく見るとヒビも入っていない。先程の音は空耳、土煙は目の錯覚だったらしい。
 ラモートのユーベルコードはただ指をくいくいしただけで不発に終わっていた。
「あ?……んだよ。なんで壊れねぇの?ここ老朽クソ建築の城だろ?」
「知らぬが……武器も何も持たず自撮りしているようだがいいのだな?」
「あー……」

「崩せば終わりだろと思って何も用意してないんだよね。」

 ブリリアントドラゴンの光り輝くブレスがラモートに直撃する。
 ラモートは一瞬で巨大な宝石の中に閉じ込められた。
 その宝石を破壊する強烈な一撃がブリリアントドラゴンから繰り出される。
 スマホカメラ的な撮影装置は砕ける最後の瞬間までデビチューバーに配信された。



 アイスエイジクイーン自らの氷河期魔法によって即席で作られた新築の氷城ことアイスエイジ城。
 外からの攻撃に対してまるで考えもしていなかったので倒壊策は悪くない。いやデビルキング的に超ワルワルでカッコいい手段だった。
 だが猟兵も🔴も一切無い戦闘序盤の早期タイミングで、🔴の総数に依存する攻撃を初手に出したのは流石に良くなかった。
 あと恐らくは城が倒壊しようとも最上階に居るアイスエイジクイーンは高笑いしながら飛び出して戦闘してくるかと思われるので、もしできればそちらの方も、うん。



 デビチューバーの生放送のチャンネルの一つには、ただただ黒くひび割れた画面が映し出されていた。

失敗 🔴​🔴​🔴​

巨海・蔵人
◼️開門
「たのも~
我こそは、デビTUBEにその人ありと思う四天王よ。
僕は、皆のイイネが僕の力、愉快なバイオモンスター蔵人君、今日はアイスエイジクイーンさんと四天王に突撃SP」
お相手を待ちながらUCのドローンと配信準備と配信準備。
さて、それでは、どっちがバズるかプロデュース対決!
美しい人をより魅力的に!
ここは、アイスエイジクイーンさんをよりバズらせた方が勝ちだよ。
僕はドローンを使って凍結対策してスタイリング。
やっぱり髪は縦ロールにくるくるっと、
氷のドレスも見た目フリフリに仕上げて、
デビルキング候補の証、白羽の矢を構えてポーズお願いしまーす、次はこっちの氷の花束をはい、イイネ。
あ、白羽の矢?えい!




「四天王の誰かが外に出たようだな……」
 1階にて最初の四天王が何かごちていた。
「よもや外からの攻撃に対策していないとは盲点だった。まともに我と戦う者はやって来るのk」
「たのも~」
「ぐおば!?」
 巨漢の横殴り拳が最初の四天王の頬を殴り抜き、四天王一の初見係アンナーガは倒れた。
 しかし1階はグリモアベースで見た通り直通エレベータを破壊されている。
 男にとってはここからが始まりだった。

「我こそは、デビTUBEにその人ありと思う四天王よ。僕は、皆のイイネが僕の力、愉快なバイオモンスター蔵人君(おおきなおおきなうたうたい・f25425)、今日はアイスエイジクイーンさんと四天王に突撃SP。バズり対決を申し出るよ!」
「はいは~い!そうだねぇそこの四天王の恥さらしよりも四天王一可愛いボクがご指名されるのは当然の事!今そっちに行くから準備して待っててー!あっ、直通ワープ装置はロックっと。」
 2階から声が聞こえ、階段を下りる音がする。なんかもう友達の家に遊びに来た様な感覚だ。
「では、お相手を待ちながらJunk:No is e@Squad(ノイズパッチワークスクワッド)のドローンと配信準備と配信準備。今日も元気にバズってみよう!」

 数分後、アイスエイジ城1階は何かのスタジオの様な装いと化していた。
 生放送のカメラに映るのは蔵人、そしてやってきた本日のゲスト四天王、わんこ耳わんこ尻尾とフリフリのピンク衣装にサイバーチックな小型カメラ機器のアクセサリが際立つ、「四天王いちのデビTUBER、レトリーちゃん、ですっ!宜しくお願いしまーす!」」
「はいは~い宜しくお願いします。さてそれでは早速行ってみよう7thKING WAR⑳〜風雲アイスエイジ城、どっちがバズるかプロデュース対決ー!」
 歓声沸き立つ様な映像エフェクトが流れる。
「バズリ勝負ですね!負けませんよ!ゲームで行きますかフリースタイルですか、ワルワル自慢でしょうかこの場で犯罪行為をしてみましょうか!」
「い~えいえいえ。きちんとお題があるんですよ今回は。美しい人をより魅力的に。先に通信で呼び出しておいたからそろそろ来るかと思います。」
「えっ?誰が?」
 いそいそと階段を駆け下りる音が聞こえた。
「お~っほっほっほ!お待たせしましたわね!」
「え゛っ!」
 レトリーは固まった。
 目の前にアイスエイジクイーンが現れたからだ。
「そう!今回のテーマはアイスエイジクイーンさん。各々バズリそうなコーディネイトを施してSNSにアップ。アイスエイジクイーンさんをよりバズらせた方が勝ちだよ。」
「え゛っ待って待って待って!聞いてないんですけどそんなの!」
「お~っほっほっほ!考えましたわね猟兵よ!登るのが面倒なら直接わたくしに来させれば良いだなどと!ですが少々興味も混ぜての登場でしたわ。この存在だけでこの世の頂点に立つ様な完璧と言う言葉そのものを表すようなわたくしを、どのようにコーディネイトするのか、楽しみですわ!お~っほっほっほ!」
「ひえええぇ!?」
「では早速、まずはレトリーさん、宜しくお願い!します!」
「ぎゃあ!私からー!?」
「あら、ぎゃあとは何ですのレトリー?」
 それはもう大御所中の大御所、TOPに立つ様なラスボス存在をいきなり弄れというは部下として何をどうすればいいのかと。
 レトリーはそれはもう固まって固まって縮こまりながら頭の中をフル回転させた。
「(この美しいアイスエイジクイーン様をココからどうやって……季節?季節ですかね!?ああ夏には水着姿で麦わら帽子とか着せたいけど何分今は春なので季節違いとバズが少なさそう!花、花はどうでしょうかそういえば母の日とかありましたよね!5月だから子供の日も……そ、それだ!?)」
 レトリーはどこからか持ってきた段ボール箱の中からゴソゴソとまさぐり、アイスエイジクイーンに色んなものを着飾らせていく。

「で、できました!」
 絶晶には東洋和製の鎧兜らしきものが装備され、氷の槍にはこいのぼりがぱたぱたと泳いでいる。
 アイスエイジクイーン本体には紙で作った兜と、モダンな可愛らしい子供服を着せられて。
 その手には菖蒲が握られている。
「……これはなんですの?」
「子供の日にちなんだ……子供アイスエイジクイーン様です!」
「……アナタ、わたくしの事を」
「とても可愛らしい子供の様に見てまして」
「ラスボスであるわたくしを子供と見ていましたのー!?」
「ひいぃぃぃごめんなさいごめんなさいー!」
 泣きじゃくるレトリーにぽんと肩に手を置いたのは蔵人だ。
 高貴な女王にあどけない子供っぽさを見立てたそれは中々にギャップがあったのか、それなりにバズっていた。

「はいはい。では次は僕の番だね。ちゃんと素敵に着飾ってあげるから大人しくしててね~。」
「今度はきちんとエレガントにお願いしますわ……!」
 アイスエイジクイーンの装備を一旦外し、ドローンを浮かび上がらせてお手伝いさせる。
「僕はね、アイスエイジクイーンさんの魅力を更に引き立てるべきだと思うんだ。」
「分かっている口ですわね。期待していますわ。」

「やっぱり髪は縦ロールにくるくるっと」
 絶晶にかかる様な凄いぼリューミーな縦ロールがかかり。
「氷のドレスも見た目フリフリに仕上げて」
 露出の多い雪の様なドレスが更に豪華にふわりと仕立て上げられ。
「はい、一度鏡を見て見ましょう。どうですか?」
「……アリですわね……高貴なわたくしにさらに磨きがかかりましたわ。」
「オッケーィそれじゃあ更にアイテムも追加していくよ。」
 蔵人はアイスエイジクイーンにカメラをアップして、その手にアイテムを持たせていく。
「まずはこっちの氷の花束を持って。」
 氷の花束を持つ高貴な氷の女王は、ジューンブライダルの花嫁にかかる様な雰囲気を醸し出した。
 アイスエイジクイーンは乗せられて、ちょっとだけ氷の微笑みが朗らかに崩れた気がする。
「次はデビルキング候補の証、白羽の矢を構えてポーズお願いしまーす。」
「え、えっとこうですかしら?」
 もう片方の手に氷の矢を取り出し、掲げるように構えるアイスエイジクイーン。

「あ、それが白羽の矢?」
「ええこれは胸に刺さったというか」
「えい」
「浸透するように入り込んで抜けなかった為に氷で作ったレプリカ……」
 その手に持っていた氷の白羽の矢を蔵人は即座に握りつぶした。



 ――なるほど。



 そんな、身体の芯から凍てつく様な声がした次の瞬間。
 逆鱗に触れたかの様な絶対零度で刺し貫くアイスエイジクイーンの視線が蔵人に向けられ。
 絶晶からの氷槍が瞬時に蔵人を貫き。
 予めドローンから張り巡らしてバリアの様に張っていた凍結耐性効果が強化とみなされ、耐性を貫通しての超凍結作用を生んで蔵人の身体が一瞬で氷の塊と化した。

「悪い子の皆様」
 デビTUBEチャンネルのバズり様は異常なまでに跳ね上がっていた。
 普段はエセお嬢様ロールばかりで本気の怒りを全く見せないアイスエイジクイーンの、何らかの片鱗を垣間見たと話題になり、悪魔達がこぞって視聴を始めたからだ。
 その姿はいつもと違う、蔵人によってデコレートされたエレガントな氷の縦ロール&ロングドレス&花束持ちなのも話題性を生んでいた。
「今宵はここまでと致しますわ。もしもわたくしの7thKING WAR挑戦権を奪う様な真似をする悪魔がいましたら。」
 にこりとカメラに満面の笑みを向ける。
 その隣には蔵人と思わしき氷の塊。
 画面の隅には「反省中」と彫られた氷に閉じ込められた四天王レトリーの氷塊。
「分かりましたわね?それでは、御機嫌よう。チャンネル登録もお願いしますわ。」
 高笑いすら起こす事無く、アイスエイジクイーンの動画配信は終了した。

失敗 🔴​🔴​🔴​

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

何やっても四天王と戦うことになりますね…ならば正面から!
部屋に入るなり現れた四天王…何故かわたしと似たような趣向が相手になりますね…
ならばこちらもそれ相応にお相手します!【固化塗料粘液散布】でドロドロに固めちゃいましょう~♪
終わった頃には戻っていると思うのでちょうどいいかも…?

そんでもって…何故か最上階直通の道がなかなか見つけられず数回ぐらい似たり寄ったりな四天王と戦う羽目に…(使用UCは同様で)
やっとのことで辿り着いた最上階…さすがに何度も戦っていたので息切れ気味…
どうせ凍らされるのならとクイーンの足元に固まる塗料巻き散らしまくって…あとは別の猟兵さんに…(美しい氷像と化す


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

アレ?
これ懐かしのTVバラエティで見た気がするよ?
こう言う番組って最終決戦でお互いメカに乗って、
水鉄砲で撃ち合うってノリだったようなって
四天王も乗ってるのかよ!
こうなりゃカブに『騎乗』して対抗だ!

上手く誘導して『弾幕』を張れれば四天王には勝てるだろうけど、
その後のクイーンがなぁ……
なんで2対1仕掛けてくるのさ。卑怯かよ。
卑怯上等の世界だったわ。

仕方ねぇ、久々の【熱線銃作成】でもう一丁銃を用意!
逃げ回りながら熱線の『属性攻撃』で絶晶と極晶を撃つ!
そうして2体を『おびき寄せ』てぶつからせれば、
融けかけの氷が引っ付いて身動き取れなくなるだろ!
後はそのままクイーンを撃つよ!



●3F
「何やっても四天王と戦うことになりますね…ならば正面から!」
 褐色乳白髪ウサギキマイラのテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は、覚悟を決めてアイスエイジ城に突撃を開始した。
 そして飛び込んだ部屋は、一面の溶けた蝋で覆い尽くされたドロドロの世界だった。
「うわーっ!!!??」
 それはもう敵の胃袋に飛び込んでくださいと言ってる様な状況だったが、今しがたのテフラの叫び声はあろうことか歓喜の叫び声。
 足並みはむしろ急加速して、胃袋の如き蝋ばかりの部屋に勢いよく飛び込んだ。

「ようこそ我が胃袋へ。我は四天王が一人、ドロロプリズン!ドロドロの蝋に絡み込んだ獲物を蝋燭に変えるのだ!」
「なっ、蝋燭では分が悪いです!でも負けませんよ!」

 ドロロプリズンは蝋の津波でテフラを呑み込もうとする。
 テフラは負けじと道具袋の中から色とりどりの蝋シャンパンを取り出し押し返そうとする。
「わわわ、やっぱりだめですーうわぶ!」
 厚くドロドロした蝋の海に飲み込まれたテフラは、ぐにぐにと体を変え。
 蝋の海に直立状態で突き出る人間大蝋燭と化して固まってしまった。

「…………」
 悲壮な表情で涙がぽろりと蝋の塊となって落ちるテフラの頭上、うさ耳の間からぽつりと火が灯る。
「ふははは!我の勝ちだな!お前は戦いが終わるまでこの階を照らす蝋燭となってもらおう!」

 テフラは人間大の蝋燭になってしまった……。

 奥でけたたましく笑うドロロプリズンの声がフロアにこだまする。
 と、どこからか急にドドドド……という地響きが聞こえて来た。
「何だ……?」
 ドロロプリズンの目の前から、蝋を跳ねのける様に少し浮いた状態で飛び込むバイクの姿があった。
「いくよーっ!」
「何ッ次の挑戦者か勝負だ行くぞアババババーッ!?」
 急速に飛び込んできた宇宙カブの前輪に直撃する四天王ドロロプリズン!
 そのまま体ははじけ飛ぶように爆散した!

「よっしゃあ!何か四天王で最弱みたいな耐久力だったね!」
 バイクの主は先程やられた兎キマイラの少女(に見える少年)の元に、溶けて消えていく蝋の海をバイクで走り寄る。
「大丈夫!?ちょっと本当に大丈夫!?」
 テフラに反応は無い。
「これさわっても大丈夫なんだろうね……うわっすっげえすべすべ……じゃなくて!おらっ!」
 その女性はバイクに取り付けた武器『BS-A(JD)マルチプルブラスター』を直に蝋燭にぶち当てて放電。電撃で蝋だけを器用に電気分解しようと試みたのだ。
 ボロボロと崩れて意識を取り戻すテフラ。ちょっと電撃の余波を喰らう。
「はっここはしびびびび!?」
「悪いな!味方の猟兵みたいだったから助けたぜ!乗りな!」
 間髪入れずにその女性は自身の宇宙カブのケツにテフラを乗せ、走る。

「くそっこの階の直通エレベーター、なんでか溶けねぇ蝋で埋め尽くされてやがって!」
「先に進んだ方が早いですか……!?」
「みたいだね。まああたしもちょっくら不完全燃焼だったもんだ。四天王退治につき合ってもらうよ。」
 上階への階段を二人は宇宙カブに乗って走り上がっていく。

「あの、あなたは……。」
「あたしは数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)。UDCアースのスターライダーさ!アンタ、なんだかうちの魔法……」
 開口一番ノリで助けた多喜だが何か嫌な予感が背筋にじっとりとついた。
「魔法?」
「ああいやなんでもない。そうでない奴なのを祈るよ!」
「???」
 多喜にはいつも困った時に力を貸す名目でフリッフリの魔法少女にしてくる魔法マスコットな霊的ウサギが存在し、それと何らかのただならぬ既視感を覚えたが。
 そうだよこいつはキマイラで人型じゃんか魔法で変身したりとかしねえさっきの戦いから見るに道具使いな奴だよな?等とぶつくさいって納得する。
「よく分かりませんがドンマイです。わたしであれば力を貸しますよ。」
「……魔法少女になるウサギじゃないよね?」
「あっ、なりますよ魔法少女。」
「ぶっ!!」

「ど、ドンマイです!今回はそういう方針ではないので。あっでもわたし『魔法少女の秘密基地』と言う旅団にですね」
「いやもうその話はよすわ!今回ならねぇだけでも結構だから!」
「わ、わかりました……ドンマイです多喜さんっ」
 ぐっとガッツポーズして謎の励ましを送るテフラ。
 そうだね、とりあえず置いておこう。

●4F
 キマイラウサギと2人乗りしながら駆け上がった先は、一面の溶けたチョコで覆い尽くされたドロドロの世界だった。
「オイ2番煎じじゃねぇか!?」
「クックック……奴はドロドロ四天王でも一番の小物。最近では2番手に最強が出てくる事も多いこの私の名はショコラレディ!」
 かわいらしい女の子がチョコで出来たスライム娘の如く部屋の奥でドロドロの少女ボディを見せつけていた。
「つまりお前みてえなのがあと2人もいるのかよ!?」
「さあ覚悟なさい。甘ったるいチョコの中に溺れた後板チョコとして加工してあげるわ!」
 ショコラレディはチョコの大津波を放ってきた!
「やる事も2番煎じかお前ー!!」
「うわーっ!こうなったら対抗です!」
 テフラは道具袋の中からフローズンヨーグルとりもちを取り出して、ビターなチョコにぶちまける様にかけると、白くなって凍り付いていく。
「今の内に下を潜り抜ければ!」
「よっしゃしっかりつかまってな!」
 ホバーモードの宇宙カブをふかして猛スピードで回り込む様に回避しながら、術式により強化したSMG-MP5udc(サブマシンガン)を掃射して津波を爆ぜさせていく。
 しかし壊れた津波の隙間から、一段低く素早いチョコ津波が襲い掛かってくる!
「一撃を躱しても二の矢がありましてよ!」
「ちいっ、かわせるか!」
 宇宙カブを横倒しにドリフトして地面すれすれに這う様にして回避する多喜。
「あっ」
「テフラーっ!」
 しかし回避しきれなかった分のチョコ津波が器用にテフラの座席だけを呑み込んだ!
「てめえ!やったなーっ!」
「ホホホ来なさい!私は攻撃に全振り過ぎて一撃当たると倒れぐわーっ!」
「んな事自慢にしてんじゃねええええっ!」
 宇宙カブがショコラレディにダイレクト直撃!ショコラレディの本体は爆ぜた!

「ったく、マジでここから第二第三の展開があるってか……テフラは!」
「あ、ぅぅ、ぅ、ぁ、熱い……!」
 全身にかかったドロドロのチョコが急激に冷えて固まって、チョコバナナの様な像へとテフラは変貌し転がっていく。
「待ってろ今助け」
「……気持ちいい……」
「は?」
 何か変な台詞が聞こえた気がしたが助け出さなければ。
 多喜はバイクに取り付けた武器『BS-A(JD)マルチプルブラスター』を直にチョコバナナ像にぶち当てて熱エネルギー放射モードを起動。
 熱でチョコだけを器用に溶かそうと試みた。

「あ、あちち、ありがとうございました!ちょっとチョコが美味しい……。」
「馬鹿言ってないで先に進むよ!」
 助け出されたテフラは体に付いたチョコを舐めながら宇宙カブに乗り、多喜と共に上へ向かった。

●5~6F
 その後の展開はなあなあで済まされていく。
 樹液で固めて琥珀漬けにしてくる巨大花の姿をした四天王との戦い。
 放たれる樹液の津波にテフラは蔓草の短剣を地に打ち込み、巨大な樹木でガードしながら突き進むも失敗。
 生んだ樹木の隙間から溢れ出た樹液の津波に巻き込まれている間に多喜が四天王を轢き倒し、地面には琥珀漬けとなったテフラの塊が転がった。
 どこか嬉しそうな表情をしている。

 続く階層では溶けるコンクリートブロックを鎧として着込んだ、人型の液体コンクリートで出来た四天王が現れた。
 テフラは特殊なタコを道具袋から取り出すと速乾性の墨を吐き出させてコンクリートを固め動けなくしていく。
 だが地面にも染み込ませた液体コンクリートにうっかり片足を着いてしまった結果、テフラは巨大スライムの如く噴き出る液体コンクリートの塊に飲み込まれ、その隙に多喜が四天王をコンクリート鎧ごと轢き壊して倒した。
 フロアから退いた液体コンクリートの跡にはコンクリートの塊で出来た像のテフラが現れた。
 どこか嬉しそうな表情をしている。

「なんだ、大丈夫か……?」
「え?」
 次の階層に向けてバイクを走らせる多喜が乗っているテフラの身を(ある意味で)案じた。
「あっ、はいおかげさまで!助けてくれてありがとうございます!」
「妙にツヤテカしてる気がするけど気のせいか?」
「え、えっとそれはさっきまでの四天王が色々と美容にいいものをかけてきましたので」
「コンクリートは肌に悪いよ。むしろ炎症起こすってどっかのネットに書いてあった。」
「え、そ、それはえっとー」
 テフラはドMウサギキマイラ。やられる事が前提で動いている節があるキマイラである事に多喜はやや気がつきかけていた。

「それにしてもまったく風雲なんて言いながらアトラクションは四天王バトルばかりとか、ちゃんとリスペクトしなよって話だよ!」
「え?」
「いやさ、この手のは懐かしTVバラエティな元ネタがあってね。あたしも完璧に全部覚えてるわけじゃないけど、最終決戦でお互いメカに乗って、水鉄砲で撃ち合うってノリだったようなって」
「ああ、メカと言えばアイスエイジクイーンさん鎧みたいなのに乗ってますね?」
「アレとはちょっと違うんだよね。何つーか変わったデザインのスペースシップを小型にした様な車みてえなのに乗って。」
「今メカと言ったか!よくぞ気づいたな!」
「あ?」
 上階についたテフラと多喜の前に、カート的な走行メカに乗ったロボットが立ち塞がった。

●7F
「俺様の名は四天王トイカーニバル。いざ尋常に勝負だ!」
 よく見るとそれは下半身がスペースシップワールドにありそうな白塗りベースの宇宙船の如き車。
 そして上半身がヘルメットをかぶったロボットであった。
 車両装甲とロボットの腕には小型の大砲らしきものが付いている。
「はっ、いよいよもってらしい相手が……いやいいのか?悪魔の世界にメカだって?」
「なんでもアリがデビルキングワールドよ!」
「ああそりゃそうだったわな!」

「戦う前に一つ言っておく事がある。お前の言う懐かしのTVバラエティ的な風雲ものは……このデビルキングワールドに沢山あるぞ!」
「何ぃ!?」
「それもこの様な四天王勝ち抜きサバイバルでなく本格アトラクション付きの風雲デスゲーム的なものだ……毎回多くのデビルが死にかけるレベルのトラップが幾つも仕掛けられた超人気テーマパークだぞ。」
「死にかけてんのかよ!」
「この戦争が終わったら事後にもまたどこかの悪魔が開催してるかもしれぬな楽しみに探してみるといい。ただし最終局面でメカに乗って戦う展開や車に乗ったオブリビオンが主催していた事は……覚えている限りではないな!!」
「くっそなんだよその惜しい所まで来てる奴!」
「話は終わりだ!行くぞ!」
 トイカーニバルはエンジンを吹き鳴らし爆走!多喜の宇宙カブとすれ違いざまに猛烈な射撃戦を繰り広げる!
 初撃を避けた多喜はそのまま回り込む様にサブマシンガンで弾幕を張る。負けじとトイカーニバルも弾幕を放ち続けるが、その弾丸の色は透明。否、水?
「あっ、床に当たった水が固まってます!?」
 テフラの声だ!
「水鉄砲まで再現してんのかって話だが、流石にただの水じゃねえわな!」
「その通り!これはレジンだ!」
「レジン~!?」
 その場にとどまりまき散らすかの様にレジンの車キャノン&アームキャノンが放たれ続ける。
「レジンとは樹脂の事だ!おもちゃの素材に使われる様なな……!このレジンに当たった者はたちまちその身体が固まりおもちゃの様になって静まり倒れる!俺はそんなレジン漬けの等身大のトイと化したデビルをコレクションするのが趣味よ!」
 宇宙カブを回転させる様にして弾き避けていく。
「くっそ、もしかしなくてもお前先の津波ぶっぱ四天王の!」
「よく気がついたな!奴らを更に束ねるドロドロ四天王のリーダーこそが俺様よ!」
「四天王の中で更に四天王作って派閥してんじゃねえーっ!」
 多喜はサブマシンガンを乱射!しかしトイカーニバルの放つレジン弾幕が銃弾を透明な膜で包み込むと固まって全て落ちていく。
「くそっ、銃弾を撃ち落とすたぁただもんじゃねぇぞ。」
「危険ですね……ここはボクに任せて一度横に付けてくれませんか?」
 後ろに乗るテフラが言う。
「あ?……なんっだか嫌な予感しかしねえけど、わかった!何とかしてやるよ!」
 多喜は宇宙カブで意を決してレジン弾幕を掻い潜り突撃!
 トイカーニバルは何かを察して再び急発進、部屋の外周を回る様に走る。
 そこをドリフトで加速しながらトイカーニバルと並走し、横に付ける多喜。
「キマフュ製特殊塗料を喰らうです!だばぁー!」
「うおぉ口から吐くアレみてぇな色した奴がバケツから!?」
 テフラは後部座席から突如極彩色の液体が溜まったバケツを取り出し、ざばざばとトイカーニバルに放って散布する。
「ぬあっ!こいつは!しまった俺様のタイヤに付いて……ぬおおあぁ!?」
 様々な塗料がトイカーニバルのホイールに塗りたくられると塊の様になって固体化。トイカーニバルの足のタイヤを回転できなくしてしまい、トイカーニバルは曲がり切れずに壁に激突する!
「ちょっと見直したよテフラ!」
「えっさっきからお役に立ててたでしょう!?」
「いやそのまあ。今回もレジン漬けになるかってヒヤヒヤしてたのが正直な感想というかだね。」
「それも良いですが」
「いいのかよ!?」
「トイカーニバルさんの武器をボクも使ってみたいから生け捕りにしたかったのです。」
「な、なるほどな……?」

 少し変な気分になりながらも、多喜はトイカーニバルに詰め寄る。
「ウググ、まだ大砲が残って、グワッ!」
 サイキックナックルで腕と車両のレジンキャノンをもいでテフラに投げていく。
「ゴリラデビルか貴様!?」
「うるせぇ!なんだゴリラデビルって!ほらテフラこれでいいだろ。……今までみたいに直通エレベータをレジン漬けにされてそうだからな。」
「な、何をする気だ!」
 多喜はトイカーニバルをサイキックパワーでぐいと掴むと。
「ちょうどいい『爆薬』が、ここにあるっつってんだよ。……派手に!いきな!」
「うおおおぉぉーっ!?」
 横に滑らせるようにジャイアントスイングしてトイカーニバルを直通エレベータの方へ、投擲!
「爆ぜろーっ!!」
 更にサブマシンガンの弾幕を発射!やはり巨大なレジンの塊に漬けられて使用不可にされていた直通エレベータにトイカーニバルが激突した後、エンジン部分に何発もの銃弾が着弾!
「ぐわあああああー-っ!!」
 トイカーニバルはレジン塊ごと爆散したのであった!

●BOSS
「お~っほっほっほ!さしもの猟兵達も100の四天王に参っているようですわね!」
 アイスエイジ城最上階で高笑いするアイスエイジクイーン。
 その傍らにある連絡用エレベーターの扉に、1撃、2撃、衝撃が加わる。
「邪魔するよ!あんたがクイーンだね!」
 エレベーターの扉が内側から勢いよく破壊され、アイスエイジクイーンに向かって吹き飛ぶ!
 それをアイスエイジクイーンは氷の武器を持って横に弾くと、エレベーターの中から、浮遊モードでエレベーターシャフト内を上昇した宇宙カブに乗った二人の猟兵が現れた。

「お~っほっほっほ!四天王をスキップしてよくぞここに参られましたわね!」
「うるさいね!100人も相手してられるかっての。」
「わたしきちんと挑む気でいましたから、協力者がいてホント助かりましたです。」
「それはそれでもうちょっと知恵を回しなさいよ……。まあいいや。いくよ!」

 武器を構え宇宙カブを走らせる多喜。その時アイスエイジクイーンは2体に分裂した。
「は!?」
 よく見ると1体は氷鎧『絶晶』らしきものに、アイスエイジクイーンそっくりの氷像を搭載している。
「お~っほっほっほ!これなるは『絶極双晶舞』。わたくしのもう一つの自動鎧『極晶』を起動しての同時戦闘ですわ!」
「っくそ、なんでラスボスが2体で仕掛けて来るのさ。卑怯かよ!」
「ここはデビルキングワールドでしてよ!」
「そうだったよ卑怯上等の世界だったわ。」

 だが当初の予定と違い、こちらにはテフラがいる。
 2体2、機動力では宇宙カブに乗っていないと追いつかれる。
 実質あまり互角にもならない戦力差に見えた。
「テフラ!やっちまいな!」
「えっ!?」
「えっじゃなくて。さっきの塗料だよ。まだ残ってるね。まき散らして機動力を削ぐよ!」
「分かりましたです!」
 絶晶と極晶、2つの氷槍めいた極冷の武器が地を削る様に降り回され、多喜とテフラを乗せた宇宙カブを追い回していく。
 宇宙カブで逃げながらテフラは『固化塗料粘液』を、カーチェイスのオイルトラップの如くまき散らし、氷の床を様々なペンキ色に塗りたくっていく。
「カチコチになる特殊塗料ですっ!」
「お~っほっほっほ!ならば先に固めてしまうまでの事!」
 アイスエイジクイーンは武器を地面に突き刺した。すると冷気の波動が放たれ、床が一瞬で塗料ごと凍り付いていく。
「うおお!」
 ツルツルに貼りなおされた氷の地面と、突如超低空で放たれた冷気の波動が宇宙カブのタイヤを掬う!
「ペイントも効かねえ!なら、覚悟決めるしかないね!降りるよテフラ!」
「はいぃ!?」
 多喜は壁際で宇宙カブを止め、宇宙カブの中に手を突っ込み機械操作を行う。
 宇宙カブの中のパーツが変形して、2丁の強力なメーザー光線銃が作られた。
『この銃を使うのは苦手なんだけどねぇ……!』
「テフラ!まずは中央突破だ!あいつらの間をくぐって反対側の壁まで滑るよ!」
「そ、そんな無茶な!?」
「あたしに作戦があんだ。サポート頼むよ!いけっ!」
 壁を蹴って二人の猟兵がアイスエイジクイーンに飛び掛かる!

「お~っほっほっほ!飛んで氷(ひ)に入りましたわね!」
 アイスエイジクイーンの2つの氷鎧から武器が振られる!
 テフラはしゃがみながら氷床を滑って躱し、多喜は横に捻るような動きで間一髪回避した。
 そしてすれ違いざまにアイスエイジクイーンの2つの氷鎧の胸にメーザー熱光線を発射した!
「そんなもので溶ける程『絶晶』も『極晶』もヤワではなくてよ!」
 反対側の壁に着く!
 だがその時テフラは居なかった。
「しまった、テフラ!」
「す、すみません掴まってしまって……!」
 武器の手と別の氷鎧の手がテフラに伸び、掴み上げていたのだ。
「お~っほっほっほ!直に『絶晶』の凍結魔力を流し込んで、超・氷結像にしてあげますわ!」
「あ…あぁ、ぁ……」
 凄まじい冷気が手から吹き出して、全身を握られたまま凍り付いていくテフラ。
「テフ、うぐっ!」
 極晶からの氷槍が多喜に向けて投擲され、頭上をかすめて壁を破壊する。
 多喜の後ろでは外に通じる大穴が開く。ここは氷城の101階。魔界の夜景が一望できた。
「お~っほっほっほ!二人を凍らせたらそこから投げ捨てて、デビル危険なダイビングをさせてあげますわ!」
「っ!」
 そうこうしている内に凍っていくテフラ!
「ぁ……さんぷ……いたしましたので……あとは……おまかせ……しま……」
 テフラはアイスエイジクイーンの絶晶の手の中で、完全に凍り付いた。
 美しい氷の部屋の中で綺麗に光り輝く、美しい氷の像に。

「さあ、アナタも同じ様に、握り凍らせてあげますわ!お覚悟なさいませ!お~っほっほっほ!」
 アイスエイジクイーンは高笑いを上げながら絶晶と極晶で同時に手を伸ばし、多喜に飛び掛かってくる。
「……さて、覚悟するのはどっちかな。」
「!?」
 絶晶と極晶は突如動きを止めた。
 それぞれの氷の自動鎧の胸が接触した瞬間、凍り付いて離れなくなったのだ。
「こ、これは……!」
「さっきの熱線、ちょっとは溶けたろ。溶けかけの氷が他の氷とくっつけば……そのまま凍って身動き取れなくなるってな!」
「く、こんな格好で!まだですわよワルツを踊る様に動けば……きゃっ!?」
 更に足がもつれて、多喜の目の前で絶晶と極晶は足の氷が折れて転倒!
 絶晶と極晶の足元には、握られる前、すれ違いざまにテフラが撒いた固化塗料粘液が2体の足を絡め取って固まっていたのだ!
「くっ、まだですわよ!まだ!」
「往生際が悪いな!撃つぜ!」
 絶晶を一度溶かし、新しく作り直そうと動きを止めたアイスエイジクイーンに対して。
 多喜による、チャージされたメーザー熱戦銃の2つの光線がアイスエイジクイーンを撃ち貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チリー・スティーリア
「綺麗...あの頂上に居るのね、アイスエイジクイーンは」

氷河期魔法によって作られた氷の城、各パーツ歪ながらも纏め上げられた美しい造形と、漂う冷気...頂上は絶対零度に満ちているのでしょう
氷の女王との絶対零度の決闘。そんな素敵な響きに誘われ、正々堂々と一階から攻略を始めます
最初に出てきたのは氷使いの四天王

「あら、氷使いの四天王なのね?なら...」

狙いはつまるところ『レベルアップ』。始めに【変化・白魔の大妖狐】を使用、冷気を吸収しながら登り、道中に居れば氷属性の四天王や、100階分の冷気を吸収してアイスエイジクイーンと決闘します

「氷の城に満ちる冷気よ、アイスエイジクイーンまで導いてちょうだい!」



●8F
「綺麗...あの頂上に居るのね、アイスエイジクイーンは」
 魂も凍てつく氷結地獄の呪いを持つ極寒渇望の狐の女、チリー・スティーリア(絶対零度の案内人・f29046)が現れた。
 四天王の部屋に行く前に、窓から外の様子を、このアイスエイジ城を見渡す。
「氷河期魔法によって作られた氷の城、各パーツ歪ながらも纏め上げられた美しい造形と、漂う冷気...」
 冷たいその表情にどこか綻ぶ様な微笑みが映る。
「頂上は絶対零度に満ちているのでしょう。氷の女王との絶対零度の決闘。何て素敵な響きなのでしょうか。」
 これから起こる戦いの出来事に想いを馳せるチリー。
 朗らかに氷結地獄の冷気を纏って先に進むと、氷で出来た四天王が現れた。
「うふふふふ、わたくしは四天王の一人、『アイスエイジガール』!アイスエイジクイーン様の(自称)一番弟子!悪いけどここで凍ってもらうわよ!」
「あら、氷使いの四天王。それも女王の一番弟子なのね?なら...」

『集え、凍気、吹雪達。これが白魔の大妖狐の姿...』
「何かよく分からないけど、アナタ寒そうな恰好しているわね!丁度いいわ!わたくしの氷河期魔法の餌食になりなさい!」
 アイスエイジガールは凍てつく吹雪の激流を放ち、チリーを凍らせながら押し流そうとする。
 しかし狐の形をした白い冷気を纏いだしたチリーは、その魔法の直撃を吸収していく。
「なっ、わたくしの氷河期魔法を……吸収した!?」
 チリーは真っ白で、巨大な妖狐の姿に変化していく。
『こうなった私はもう誰にも止められない...あなたの全てを包み、凍らせてあげる!』
 チリーと言う名の白魔の大妖狐がアイスエイジガールに飛び掛かる。
 アイスエイジガールはいとも簡単に妖狐の中に飲み込まれ、その身に内包した冷気を喰らわれていく。
「ぁ……そんな!い、いや!怖い!凍る!?た、助けて、アイスエイジクイーン……様……」
 凍り付いたアイスエイジガールが大妖狐の身体に浮かび上がった。
 大妖狐は雄たけびを上げて、そのままどんどんアイスエイジ城の階段を駆け上がる。
「俺様が勝――」
「わたちが相手――」
「何、何なのこの冷――」
「うおおおおお――」
 どんどんと四天王を通り過ぎ、その身を氷漬けにして駆け上がっていく。
 氷属性を持っていた四天王はそのまま自身の内部に取り込みながら、そしてアイスエイジ城そのものの氷城の冷気を吸いこみながら。
 どんどん、どんどんと、白魔の大妖狐は駆け上がりながら大きくなっていく。

●BOSS
「お~っほっほっほ!さあ、次の挑戦者は誰かしら?」
 101階、絶対零度の空間の中アイスエイジクイーンが体勢を立て直して絶晶用の玉座に座っていると。
 突如、正面の扉がぐしゃりとへしゃげてぶっ飛んだ。

 扉の中からは巨大で白い、極寒氷狐の口が突き出ていた。
 その異様ともとれる恐怖の姿に、アイスエイジクイーンは物怖じすることなく、むしろ何か宿敵の様なものを見る様な目をして立ち上がった。
「……ああ、その気配。その手の方ですわね。分かりましたわ。」
 大妖狐から、部屋一面を雪に閉ざさんとする極寒の吹雪ブレスが放たれる!
 そのブレスに真っ向から抗う様に、巨大な氷の槍がアイスエイジクイーンから投擲。
 大妖狐の口をふさぐ様に氷槍が直撃し、悶えた!
「お~っほっほっほ!狐狩りと行きますわよ!」
 決戦の火蓋が落とされた!

 先の衝撃で扉周りの壁が少し崩れ、にょきりと大妖狐の両前足が部屋に伸びる。
 それと同時に顎の隙間から大量の極寒氷狐がアイスエイジクイーンに群がっていく。

「絶晶、融解体モードに変形ですわ。」
 氷の鎧が溶けだして形を変えていく。
 腕が巨大なガトリングガンとなって、無数の氷柱を発射!
 極寒の吹雪を纏う氷狐は氷柱の弾丸に当たると一瞬で巨大な氷に包まれ、地面に凍り張り付いて停止してしまう。
 周囲の冷気を吸収し、がぶがぶと噛みつく動作をした大妖狐から、無数の牙の如き氷柱が上下から放たれアイスエイジクイーンを噛み砕こうとする!
 アイスエイジクイーンは更に絶晶を変形し、巨大なアイススケートのブーツにして滑走。氷柱の牙を横に避けると跳躍し、更に絶晶を変形。
 氷鎧が、かき氷機の様な氷を削るグラインダー(円盤みたいな)形状となって、無数の刃を展開し回転!
 大妖狐の頭上に落下し、吸収した冷気を削り取る様にガリガリと刃によって斬りつける!
 身もだえて一時引いた大妖狐は、しかし更に大きくなりながら勢いをつけて扉に体当たり!
 吹き飛ぶも受け身を取ったアイスエイジクイーンの目の前に、遂に扉の壁を破壊して抜け出し、その超巨大な全身を見せつける大妖狐の姿があった。
 アイスエイジクイーンは威嚇する様に絶晶を変貌。その鎧に無数にしてシュプールの如き曲線を描く氷の刃を展開する。
 それに応じて大妖狐も、その白い冷気の毛皮の中から無数の氷の剣を生み出して展開する。
「お~っほっほっほ!楽しくなってきましたわね!」
 射程を超絶に上げて伸ばした氷の刃を、直撃直前で性能を攻撃回数に切り替えて無数の斬撃を繰り出していく絶晶。
 何度刃こぼれしようともその度に倍の刃で対応。毛皮を添う様にして回転のこぎりの如く放たれ続ける大妖狐の氷の剣。
 しかし増えようともアイスエイジクイーンは怯む事なくどんどんと進撃を続ける。伸縮自在にして大量の氷の刃を振るって。
 この巨大にして超極寒の大妖狐にさえ一切たじろぐ事の無いアイスエイジクイーンに一歩退きかける大妖狐。
 しかして同時に極大のご馳走にも見えた。
 彼女を喰らえば私は、更に。

 一瞬アイスエイジクイーンの全ての氷刃を弾いた隙に、大妖狐がアイスエイジクイーンに大口を開け、喰らった……!
「っ!」
 白魔の大妖狐の中はアイスエイジ城、そして氷の四天王から冷気を吸収した超レベルの胃袋。
 氷河期より凍える絶対零度の世界で、たちまちアイスエイジクイーンは絶晶ごと氷の塊に閉じ込められようとしていた。
 白だけが埋め尽くす空間の中、近くには他の、吸収されて凍り付いた四天王も見える。
「……うふふ。絶晶よ、今こそ力を解き放ちなさい。そして喰らい返しなさい!」

「『超・融解変形モード』ですわ!!」

「!!?」
 白魔の大妖狐の冷気が急激に吸収されていく。
 それに抗う様に、どんどんどんどんと大妖狐は巨大化して消化氷結し尽くそうとする。
 だが大妖狐の胃袋を突き破るかの如く更なる巨大化を果たす存在が中から現れた!
 氷河期鎧『絶晶』の氷の中に、眠る様に取り込まれたアイスエイジクイーンを中心に、絶晶が巨大化して変貌していく。
 アイスエイジ城を突き破り、その極寒の空にとどろく様な、超巨大なアイスエイジクイーンの氷巨人が城の頂で爆誕した。
「       」
 巨大なアイスエイジクイーンと化した絶晶が、白魔の大妖狐を見下ろして微笑む。
 その瞬間極大の極寒吹雪が大妖狐を押さえる様に発生し、大妖狐をフロアの地面に叩きつけた。
 魔界の空に極寒の氷河期が満ちる中。
 巨大アイスエイジクイーンに飛び上がり、凍てつかせながらその牙を立てる大妖狐。
 だがそれをじゃれる様にあしらい首に指先を叩きつけたり、振り回して床に落としていく巨大アイスエイジクイーン。
 まるで人間と猛犬が戦っているかのようだった。
「(なぜこのような対策を持っているか。何故この様な力を発揮したか。何故わたくしがこの御方とここまでの戦いを演じるか、疑問に思っていらっしゃるかしら?)」
 氷の中のアイスエイジクイーンの声がどこからか聞こえる。
「(『自称-氷の女王・アイスクイーン』『常冬アイドル・ダイヤモンドダスト』あと何かハニーフロストな悪魔も居ましたわね?そして『こおりのあくま』『氷のクリステフ』『克銘ノ六・紫雪』レキ・ジーレ』など……)」
「……!」
「(それらガチで凍らせにかかる歴戦の氷悪魔達が、バルコニーで絶対零度紅茶を啜るよりも早くに襲い掛かってくるのがデビルキングワールドの日常!彼らをねじ伏せその上に君臨しているのがこのわたくしアイスエイジクイーンです事よ!)」
 巨大アイスエイジクイーンが大妖狐の首を押さえつける。
 何故かこれ以上巨大化できない。恐らくは巨大アイスエイジクイーンが冷気を吸収し返しているのだ。
 身悶えながら、巨大アイスエイジクイーンの手を伝って絶対零度の超極寒氷河期魔力を送り込まれ、冷気の身体のまま凍り付いていく大妖狐!
「(アナタの様に巨大化し、吸収し、凍らせにかかる氷の悪魔など、最早相手に慣れてしまいましたのですわーっ!)」
 ドロドロと絶晶の液体も滝の様に降りかけられていく大妖狐は、遂に抵抗する姿すら動きを止めてしまう。
 凍てつく絶晶の液体がドロドロのまま何層にも覆い固められていき、溶ける事の無い氷の中に封じ込められていく。
 その身体から排出される様に、床に氷漬けとなった四天王達も排出されて転がっていく。

「(観念、できました様ですわね)」
 巨大アイスエイジクイーンが崩れ溶けて、中のアイスエイジクイーンが床に落ち、目を覚ましていく。
 目の前にあるのは、氷漬けとなって転がった四天王、氷に閉ざされた氷妖狐、そして溶ける氷鎧を全身にかけられてドロドロかつ超強固に固められ、動かなくなった、チリーという名の白魔の大妖狐の成れの果てだった。
「……お~っほっほっほ!わたくしの勝利ですわ!ひとまず戦いが終わるまで」
 凍った大妖狐が氷河期魔法によって運ばれていく。
 アイスエイジクイーンの、玉座の後ろへ。
「そうして氷河期女王を称える催しのオブジェとなって佇んでいるがいいですわー!」
 目の前の氷の玉座に絶晶と共に座り直すアイスエイジクイーン。
 その後ろで凍り続ける白魔の大妖狐に、開けた天井から、氷河期の雪が降り注ぎ積もっていくのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

秋月・充嘉
いわゆる100階ダンジョンってやつっすね。
やりがいはありそうだけど、今はちょっとなぁ…とはいえ楽しての惨状はもう見たし…。

というわけで、正面から堂々と入ろう。
ちわー、挑戦しに来たっすよー、団体戦希望っす。
人数?おっと、忘れてた。
(自分の影から【指定UC】で二人を引っ張り出して)
これで3人。先鋒・中堅・大将の星取り形式で、どうっすか?

相手は、剣術に長けたのと肉弾戦に長けた四天王。
あと、影使いな四天王がいればいいっすね。
2勝したら、せめて半分階層スキップを願いたいところっすね。

(とか言ってるうちに、『大将』という言葉に反応したアイスエイジクイーンが来ないとも限らない)

先鋒・狼
中堅・大統領
大将・俺




 凍てついた四天王が溶けて活動を再開した後。
「いわゆる100階ダンジョンってやつっすね。やりがいはありそうっすけど、今はちょっとなぁ…とはいえ楽しての惨状はもう見たし…。」
 グリモアベース。
 狼や龍や獅子を取り入れた偉丈夫のキマイラ、秋月・充嘉(キマイラメカニカ・f01160)が、最初の二人の猟兵の動向を映像で見ていた。
 それはまあ、100回も様々な四天王と戦うのはキリがないし無理があるだろう。
「どうにかして話術と交渉で2戦くらいしたら最上階、せめて半分階層スキップを願いたいところっすね。」
 そう言いながら、秋月はグリモアベースから転送されていった。


「ちわー、挑戦しに来たっすよー、団体戦希望っす。」
 アイスエイジ城の突破された階層の最近部、その部屋に入った秋月。
 部屋の中にはアイスエイジクイーンがいた。

「……あ?……え?」
 アイスエイジクイーンの足元にはひれ伏す様な姿で氷漬けになっている影使いっぽい悪魔がいた。
「おーっほっほっほ!ここの四天王は粗相を犯した為、わたくしが直接手を下しましたわー!」
「おまっ!?」
 これは……四天王しぐさだ!
 裏切ったりクズムーブで展開をかき乱した四天王が、その四天王より更に強い四天王に粛正と言う名の討伐をされてしまうという!
 負けた四天王が直後に搭乗した一段上の四天王に倒されてその四天王が強敵アピール、もしくは連戦となるしぐさとしても有名か。
 だがそれを頭領であるアイスエイジクイーンがやるか!?
「お~っほっほっほ!この四天王『影なるクーイック』は2階先に居る四天王と組んで、
 先程わたくしがデビTUBEで起こした出来事を誇大解釈させた動画を編集し、
 あらぬ噂まででっちあげた目に悪い字幕&広告付き自動音声動画を乱立させた罪があるのですわ!
 粛正されて然るべき四天王だったと言えましょう!
 そしてこれからわたくしは彼に協力した2階上の四天王もお仕置きにかからなければなりませんの。」
「え、えええ!?」
 そういえば先の話でアイスエイジクイーンは、ジャッジメント白羽の矢を壊される仕草を見せられて猟兵を瞬殺する程の怒りを見せていた動画を魔界中に流されていたが。
 ……あの件か!?

「というわけでわたくしは忙しいですわ。最上階でまたお会い致します故覚悟の程を宜しく頼みますわ!お~っほっほっほ!」
「ま、待っ、待て!」
 目の前に討伐対象のラスボスがやって来ておいて誰が見逃せるだろうか!
 秋月はせめて一撃でもと階段を上がろうとするアイスエイジクイーンに全速力で切迫を仕掛ける。
 だが突然、秋月の頭上から巨大な輩が、秋月の行く手を阻むように落ちて来た。
「おっと、罰されるべき四天王を取り押さえる様に別階から降りて来たこの拙僧がここを預からせて頂く。」
「四天王の新手っ……すか!?」
「拙僧の名はアダマンタイトをも両断する魔界東国の刺客、四天王が一人『カオスロウニン』。アイスエイジクイーン様の邪魔をしないで頂こう。覚悟!」
 四天王カオスロウニンが剣を振り下ろし秋月に襲い掛かる。
 すると秋月の影から巨大な剣を持った人狼が姿を現した。
「しょうがねぇ奴だ。おい!ここは俺に任せな!先に行け!」
「狼お兄さん!」
 秋月の……頼れるお兄さん、ウルフマンだ!
「お主、四天王しぐさの使い手か!」
 ここは俺に任せて先に行かせ、各々の有力者がそれぞれの四天王と戦うあの四天王しぐさだ!
「んなもん知るかよ。」
 狼お兄さんことウルフの大剣とカオスロウニンの歪んだ刀が打ち合う隙に、秋月は奥の階段を上っていく。

 秋月は更に上へ向かう。
 まだアイスエイジクイーンには追い付かない。
 すると突然、秋月の頭上から巨大な輩が、秋月の行く手を阻むように落ちて来た。
「どこへ行くんだい兄弟(ブラザー)。この四天王が一人、剛腕の『メガフィスト』様と戦わずに上に向かおうとはな……。」
「くそぅ、また新手っすか!」
 その姿はムキムキマッチョの筋肉の塊に6本の腕を有していた。筋肉馬鹿なのは間違いないだろう。
「俺の六連メガフィストを喰らいなーっ!」
 6本の腕から巨大な拳が秋月に連打を繰り出した!
 だがそれは秋月の影から出てきた男が拳を繰り出し、いとも簡単に止めて来た。
「HAHA……軽いな。」
「貴様は!?」
 秋月の目の前に現れたのはスーツ姿で、腕にホイールの様な機械の拳を装備した偉丈夫にしてイケメンの男。
「通りすがりの『プレジデント』とでも名乗っておこうか。ここは私に預からせてもらおう。」
「プレジデント!」
 プレジデントは片方の手をメガフィストにくいくいさせてファイティングポーズ。もう片方の手で秋月に先に行くよう促す。
「で、でも!皆で戦った方が」
「良いから先に向かえ。戦友(とも)よ。急ぎの用なのだろう?」
 四天王しぐさだ!
「プレジデントまで!?」
「これで敗けたら私が吹き飛ばしてやるからな。そのつもりで行け。」
「恩に着るっすよ!」

「誰が通すって言ったい!」
 メガフィストの拳が!
「大統領の名に誓う。私が通すと言った。」
 飛び込んだ大統領の拳と打ち合い、戦闘を開始した。
 秋月は急いで上階へと進んでいく……。

●9F
 剣術に長けた四天王「カオスロウニン」 VS 大剣振るう狼お兄さん「ウルフマン」

 カオスロウニンは光を纏う刀で突きに行く。
 ウルフはそれを大剣で弾き、袈裟懸けの一撃を見舞う。
 それを回転しながら躱したカオスロウニンは即座に納刀し、俊足の斬撃を放つ。
 力任せに引き上げた大剣で斬撃を防ぎながら後退していくウルフ。
「っおら!」
 踏み込んでの衝撃波を起こして一瞬斬撃をかき消した後、ソバットの如き足技で蹴り込んでいく。
 それを籠手で防いだカオスロウニンは倒れ込む様にして姿を消した。
「なんだぁ!?」
「カオス忍法、闇蝉の術……」
 カオスロウニンは空気中の闇に溶け込み、視界外からの刺突を放ってきた!
 不可視の方向からウルフに攻撃が来る。
「はっ、んなもんで俺様を騙せるかよ!」
 ウルフは鼻が利く。
 カオスロウニンの匂いを闇の中から嗅ぎ当て、繰り出される斬撃を力任せの素早い剣撃でいなしていき、詰め込んで一太刀を、浴びせた!

 だがその時、カオスロウニンは2体に分裂して斬撃を回避した。
「なっ」
「「疾!」」
「にぃ!?」
 両側から放たれた刺突に斬り込まれたウルフ!
「我らの名はカオスロウニン。」
「光と」
「闇」
「「2体で一人となっていた四天王よ!」」
 光属性のライトロウニンと闇属性のダークロウニンに別れたカオスロウニン。
 2体の浪人がウルフに迫る。
「クソがあああ!」
 力押しに振るわれる大剣を軽々しく躱し、突きや薙ぎで裂傷を加えていくダブルロウニン!
 ウルフは攻撃の度に体に無理を言わせて飛び、避けるが、避けきれずに肉の一部が切り裂かれていく。
 徐々に押し詰められて、遂には膝をついてしまう。
「この勝利の瞬間と言うのは」
「いつも我々は甘く美味しき……」
 一方が光のオーラ、もう一方が闇のオーラを刀に込め、必殺の一撃を構えだす。
「「トドメといこう!いざ!切り捨て!」」
 飛び掛かろうとするウルフ!
 だがそれを見越してダブルロウニンは光と闇の力を解放!
 放たれた光がウルフの目を潰し、闇の波動がウルフの五感を消していく!
 その状態で同時斬撃を繰り出して八つ裂きにするのが彼らの必殺技、カオススラッシュコンビネーションだ!
「(どこにいるか分からなくたってなぁ……)」
 だがウルフはこれまでの切り合いでダブルロウニンの動きを感覚で学習していた。
「(どこから来るか分かっていりゃあ!)ここだあああぁっー!!」
 剛力を発揮して踏み込み、大剣の一太刀が横一閃で放たれる!
 斬られたのはライトロウニンとダークロウニンの方であった。
「ば」
「馬鹿な……」
「お前ら、先制攻撃と言い肝心な所は大体突きで来ただろうがよ。」
「見切られて」
「いたか……!」
 二人のロウニンは再び1体のカオスロウニンに戻りながら、静かに倒れて動かなくなった。

●10F
 肉弾戦に長けた四天王「メガフィスト」 VS 通りすがりの大統領「プレジデント」

「フンンンンンンン!!」
「Yeaaaaaaaaaaaaaah!!」
 メガフィストの剛腕に一切動じる事無くプレジデントは打ち合う。
「その程度か?」
 ボックスを作り、ボクシングスタイルでメガフィストを挑発しながら、打ち込んで来る拳を逐一ジャブで弾いていく。
「(なんだコイツ!格が違い過ぎる!?)」
 メガフィストの容赦ない六連ラッシュさえもプレジデントは潰し続け、徐々に押されこんでいく。
「その程度で大統領を超えられると思うな!」
「!……だったらこいつでどうだ!」
 メガフィストは壁を背にしながら目を光らせ、六つの腕を同時に打ち放つ!
「Yeaaaaaaaaaaaaaah!」
 プレジデントはその拳をも自身の拳に竜巻を纏わせ、一撃で粉砕、破壊!
 する筈だった。
「!!?」
 プレジデントの腹に6発同時の拳が命中!
「!!?」
 吹き飛ぶ中で更に6発同時の衝撃が腹に走る!
「っ!!!」
 壁に打ちつけられた瞬間にも遅れて6発同時の衝撃が腹に走り、壁にめり込んだ!

「見たかよ俺の奥の手。俺は目を光らせる事で時間を少しだけ操作し……数秒前の過去と数秒後の未来に攻撃を干渉できるのさ。」
 どういう事だろうか!
「これにより俺の拳は相手に入る少し前から相手に直撃し!当たれば本来振るった拳も相手に直撃し!更に未来に起こる攻撃も相手に直撃する!一度に3倍の攻撃をぶつける事が出来るのさ!立ち上がれるかい?ボウヤ。」
 まだ死んでないだろうとファイティングポーズで挑発するメガフィスト。
「効いたよ。」
 壁を引きはがしてゆっくりとプレジデントがメガフィストとの距離を詰める。
「べらべらと喋り好きなウッドペッカーめ。大統領魂を舐めているようだな。」
「舐めて出す技じゃねぇよブラザー。こいつは疲れるんだ。」

 じり、とお互いを包む空気が歪み、出方を疑う二人。
 次の瞬間、二人は同時に打ち合いを始めた。
「フンンンンンンン!!」
「Yeaaaaaaaaaaaaaah!!」
 メガフィストの6つの腕のラッシュが、過去と現在と未来に干渉し三倍のラッシュ力を誇って放たれる!
 それをプレジデントは臆する事無く機械腕を打ち込み続けていく!
 プレジデントに打撃が加わる。腹に、腕に、肩に、頬に!
 しかし全く退く事さえしない。
「(こいつ!)」
 押されているのはメガフィストの方だ。
「バ、バカな!もう何度も打たれているのに!」
「だから何だと言うのだ。」
 ラッシュを続けながらプレジデントは微笑む。
 過去に鑑賞されたメガフィストの拳が、対応するプレジデントの拳に阻まれる。
 現在から飛んでくるメガフィストの拳が即座にプレジデントに弾かれる。
 未来に飛んでくる筈のメガフィストの拳も、プレジデントは容赦なく叩き潰す。
「バっ!!!?」
「これが!」
 驚くメガフィストの顎にプレジデントの渾身の一撃が食い込む!
「大統領!」
 その拳を捻り、アッパーにし、拳に竜巻を巻き起こしながら、衝撃を天に向けて解き放つ!
「魂だー--っ!!!」

「があああああああー--っ!!!」
 メガフィストはそのアッパーによって天高く吹き飛ばされ、天井に勢いよく激突!
 そのまま気を失って落下し、戦闘不能となったのであった。

●11F(BOSS)
「下での決着は済みました様ですわね。」
 薄暗い中に沢山のモニタが映る部屋。
 秋月の前にはアイスエイジクイーンがいた。
 アイスエイジクイーンの足元には、氷漬けとなった話術四天王の田中さんが転がっている。

「……はっ!?や、やべえっす!俺もいつの間にか四天王しぐさを!?」
 これは四天王しぐさの一つ。
『四天王と他の仲間がドンパチしてる中でボスと出くわして最終決戦になった際、仲間のドンパチが終わるまで静かに待ってから始める。』
 何という事だろうか。
 先鋒・中堅・大将での3番勝負を挑む事で大将という言葉につられてやってきたアイスエイジクイーンを討ち取る作戦でいた秋月だったが、いつの間にかアイスエイジクイーン達が繰り出す四天王しぐさによって、アイスエイジクイーンの掌の上で転がされていたではないか。
「お~っほっほっほ!粛正も終わりましたし、折角ですわ。特別にここでアナタとの最終決戦と致しましょう!」
「お、おお!?やってくれるんすか!?どの道逃がすつもりは無かったっすけど、それなら勝負っす!」
 秋月は影から武器を取り出し、構える。
 アイスエイジクイーンも自動鎧『絶晶』に乗って、手から巨大な氷の武器を取り出し、構える。と。
 暗闇から更に氷で出来たアイスエイジクイーンが、別の巨大な自動鎧に乗ってやって来た。
「こ、こいつは!」
「わたくしのユーベルコードによって召喚されしもう1体の自動鎧『極晶』ですわ。」
 絶晶と極晶、2体のラスボスが秋月に迫る。
「2対1、正々堂々と卑怯な手で行きますわよ。」

「なるほどっす。それじゃ。」
 秋月は影から更に2体の存在を引き出して召喚する。
 真っ黒ながら強さは先の二人と同等な、先程の人狼『ウルフ』と、『プレシデント』の影を生み出した。
 3体の猟兵がアイスエイジクイーンに迫る。
「3対2。こちらも正々堂々卑怯な手で行かせてもらうっす。」
「……上等です事よ!」

 影ウルフの大剣が、影プレジデントの拳が、そして秋月のシャドウウェポンが、乱戦の如くアイスエイジクイーンの巨大な氷メイスと打ち合っていく。
「1体は先に行動不能になってもらうっすよ!」
 秋月は2体の自動鎧に飛び掛かり、その攻撃を「うっ!んぐっ……!」力技で何とか押し止め、影の力を解放して大きく弾く。
 その隙を突いて影ウルフと影プレジデントが、極晶に飛び掛かる。
 氷のアイスエイジクイーンを砕かんと、渾身の大剣と竜巻拳が削りにかかる!
「ではこちらも。」
 氷のメイスを三又槍に変形させた本体のアイスエイジクイーンが、いきなり極晶に槍を突き刺した。
「アナタ達には先に行動不能になってもらいますわ!」
 刺さった槍から氷河期の力が解放されると、極晶から無数の氷柱が突き出る様に発生!影の二人を呑み込み、氷柱の中に串刺しにして閉じ込めた!
「なっ!?」
「『氷河期大封印』とでも名付けましょうか。……さ、一対一ですわよ?」
「うおおおおっす!」
 秋月は絶晶のアイスエイジクイーンに飛び掛かる!
 振りかざす絶晶の攻撃を巧みに避けながら懐に飛び込み、本体のアイスエイジクイーンにトゲ付きグローブのシャドウウェポンで殴りにかかる。
 それに対して手をかざしたアイスエイジクイーンが氷の壁を作り秋月の攻撃を防ぐ。
 防がれた秋月の頭上から絶晶の拳が降り下ろされ、地面に叩きつけられてしまう!
「このっす!」
 たじろぐ事無く立ち向かう秋月が横振りに放つ絶晶の武器を跳んで躱し、シャドウウェポンのクナイを投げつける。
 それを絶晶の腕で防ぐアイスエイジクイーン。
 釘付けにした上で本命の貫通攻撃を、と地面に着地した瞬間、絶晶の踏み込みと同時に放たれた冷気の波動に足元から氷が這い上り凍結!
 何とか砕こうとする秋月にアイスエイジクイーンから氷柱の魔法弾が放たれ、直撃を受けて氷が剥がれ吹き飛んでいく!

「お~っほっほっほ!万事休すかしらね!」
「ま、まだ諦めていないっす!」
「聞けば貴方は四天王との戦いに重きを置いた作戦でやって来て、肝心のわたくしには何の対策も考えなかった等。その状態でよくここまで戦えましたわね?」
「なにを言うんすかっ」
「そろそろ氷が解ける頃ですわ。わたくしの『極晶』の部分のみですが。」
 秋月の影の仲間と共に氷結封印されていた極晶が、表面の氷をはがし、動き出し、その手に氷の巨大メイスを手にする。
 氷柱がびっしり生えた極晶の胸に刺さったまま動かない影のウルフと影のプレシデントが、絶望を見せつけるかの如く秋月の眼前に映る。
「これでとどめでしてよ。」
 絶晶と極晶が同時に舞踏をするかのような動きで、秋月に襲い掛かる。

『絶極双晶舞!』

「う、うおおおおおおーっ!」
 秋月は覚悟を決めて『飲むと元気になるクスリ』を服用!
 力と集中力を極限に高め、足元の影を強引に全部ひっぺがす!
「おおおおおおおおーっ!!」
 アイスエイジクイーン達の床から、巨大な影の網が現れる!
 その影網には無数のシャドウウェポンがくっついており、有刺鉄線の如く痛々しき攻撃力を以てアイスエイジクイーン達を絡め取ろうとしている!
「そんなもので、止められるとお思いで!」
 アイスエイジクイーンは2体の自動鎧を舞踏する様に回転させ、逐一切り刻み、破壊していく。
 だが影網はそれでも絡まり続け、絶晶と極晶の鎧に食い込み、削っていく。

 影網が完全に消し飛び、凍てついて粉々に消えていった。
 そのまま2体の自動鎧は同時に跳躍!
 巨大氷武器による攻撃を繰り出す為秋月に迫る。
 秋月はもう力を使い果たし、その場に動けない。
「フィニッシュ!ですわーっ!」

 アイスエイジクイーンの胸に投擲された影の大剣が突き刺さる。
「……何……っ」
 極晶の氷が影の武器網によって削れ砕かれて、閉じ込められていた影の二人が復活していたのだ。
「まさか、これを狙って……おのれ!ですわ!」
 秋月は項垂れながら微笑んだ。
 極晶の武器に乗って遠心力で飛び込んできた影のプレジデントの一撃が、本体のアイスエイジクイーンに叩きこまれ。
 アイスエイジクイーンは上階の階段に向けて盛大に吹き飛んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ラモート・レーパー
「はぁ……めっちゃだるいけどちょっとだけ本気出す。言っとくけど“ここの僕”は騒がしいのが嫌いだから──黙ったまま息絶えて」
真の姿を解放。ネクロフィリアの小さな女王。
UCでシールドと滑る床を作る。まあUCの性質上触れた時点で動きが鈍くなるけど。後は敵が床から逃げる前に端から凍らせて氷漬けにして終わりっと。
「動かなければ進まない。時間も腐敗も。気に入ったからそのまま凍りついて。今の時のまま騒がしい蝿が讃える末代まで」




「はぁ……めっちゃだるいけどちょっとだけ本気出す。」
 ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)
「言っとくけど“ここの僕”は騒がしいのが嫌いだから──」

 ラモートは真の姿を解放する。
 悪魔の如き角と尻尾が生え、薄く雪結晶が馴染む首と耳飾りとドレスを着こなしたネクロフィリアの小さな女王。
 停滞の役割を持つその少女は、瞳の中に全てを止める雪結晶を浮かばせる。

●12F
「来たな!挑戦者――」
 そこにいた四天王は戦慄する。
 床を這い、壁を這い。
 ラモートの『役割』の一側面から生まれたその少女から放たれた氷が全てを包み込む。
 ものの数秒でその部屋は氷で覆い尽くされる。
 覆う氷は薄いが故に、まるで時が止まったかの様に錯覚される。
 四天王はそこから何か言う事も許されず、ただ立ち尽くしたまま凍り付いた。
 その横をネクロフィリアの女王が床を滑る様にして抜けていく。

●13F
 その部屋は先程とは大きく違っていた。
 最初から全ての時が止まったように停滞していたのだ。

 中央には巨大な水晶の柱に閉じ込められた、瑠璃色の様な不思議な輝きを放つ悪魔の少女が、さかさまになって眠っていた。
 それはまるで空から落ちて来た少女の姿をそのまま水晶の柱に閉じ込めたかのようだった。
「…………」
 なんだコイツ、と言うような目をしながら、少女はその部屋を凍らせ、横をスケートする様に滑って通り抜けようとした。
 だが水晶柱の近くに来た時、ぴたりと少女さえも動きを止めてしまった。
 まるで時間が止まったかのように。

 張り詰めた空間。
 水晶の塊が1つ、2つ、唐突に宙に浮いて現れていく。
 その塊が消えたかと思うと、水晶のあった空間が削られ消えていく。
 幾度も幾度も水晶が生み出され、世界が消えていく。

 彼女の名はアイスエイジ四天王が一人、『クリワルド』。
 止まった世界の中を生き続ける存在。
 彼女もまた、己をこの柱に固定する事で、世界から「動」を奪う力を持っていた。
 
 動かなければ進まない。時間も腐敗も。
 彼女が止まった世界の中で意思を向けさえするならば、誰もが綺麗なまま生き絶える。
 倒すには彼女を超える質量(おおきさ)を持つ者が、止まる世界の枠を超えてもぎ潰す他は無い。
 アイスエイジクイーンはそうした巨大な氷鎧を以て、かつてこの四天王をねじ伏せていた。

「一緒にしないで。」
 ネクロフィリアの少女が目を向ける。
 己の役割もまた、万物に等しく停止を与える力を持つ存在。
 目を輝かせ、世界を更に強く凍てつかせる。
 止まった世界に氷の結晶が生まれ、満ちる。
 相手の停滞の力を己の停滞の力で上書きし、さび付いた機械の如く、少しずつ止まった世界の住人へと復帰して。
 ネクロフィリアの少女はただ一人、動き、立ち直す。

 次階への階段が透明な水晶で埋まってしまう。
 それと同時に、世界を消してしまう、大量の止まった水晶が部屋のあちこちに生まれては消える。
 制御はできないらしく、少女を確実に狙いはしない。だが予期せぬ場所から発生する水晶に飲まれればただでは済まないと、現れた水晶から飛び退くように少女は踊る。
 少女は四天王に手をかざした。
 四天王の胸に黒い杭が刺さったように発生した。
 少女は舞う。少女は踊る。
 止まった氷と水晶の世界の中、眠った悪魔の周りを、滑る様に、妖精女王の様に。
 そうして空間を削っていく水晶を避けながら、手をかざす。
 2本、3本、黒き杭が水晶の中に居る四天王に突き刺さっていく。
 音もなく、水晶が割れる。
 コマ送りの様に、壊れた水晶の柱の欠片が飛ぶのでなく、割れた瞬間の光景を世界に瞬時に映し出す。

 限界が来た蒼き悪魔の少女は、その輝きを瑠璃から金剛石の様な白い光に変えていく。
 自身がやられてしまった後、恐らく彼女を止める者は居ない。
 ならば、止まった世界を別の座標に転移させて、お帰り願って頂こう――。

 少女はその光を見た瞬間に、意志に関係なくぴたりと動きを停止してしまった。
 完全に止まった世界の中で、グリモアの様な転移光を、ただ見届けるしかなかった。

 だが蒼き悪魔の少女はうっかり転移座標をミスってしまった。
 気がつくとネクロフィリアの女王は、101階のラスボスの部屋の前に居た。

●BOSS
「お~っほっほっほ!……あら、また可愛らしい悪魔が来ましたわね。」
 巨大な氷漬けの妖狐を背に、氷の玉座に座るアイスエイジクイーンが腰を上げて相対した。
「騒がしいのは、嫌い。」
「戦う意思が無ければお帰りはあちらです事よ。」
 部屋の壁は全て壊れている。アイスエイジクイーンは壁の向こう、開けた魔界の空を指さしていた。
「役割は停滞。全てを凍らせ留める氷。――黙ったまま息絶えて」
「その裁定を下すのはわたくしです事よ。全てを終焉の氷河期に導くアイスエイジクイーンこそが。」
 そこで言葉を止め、アイスエイジクイーンは少女の意を汲むと、つうっと自身の口に指を滑らせた。お口チャックのつもりだろう。

 ネクロフィリアの少女は手をかざす。
 床を這い、触れたモノの運動を停滞させる氷の波がアイスエイジクイーンに押し寄せる。
 アイスエイジクイーンは手にした巨大な氷杖を床に打ち鳴らす。
 すると自身の装備した氷鎧『絶晶』の表面が溶け出し、極低温の液体となって切り離され、絶対零度の波として少女に押し寄せた。
 絶対零度の波と停滞を起こす氷の波がぶつかり合い、凍てついて止まる。

 少女は氷の上を滑走し、凍った波の上を跳ぶ。
「動かなければ進まない。時間も腐敗も。気に入ったからそのまま凍りついて。」
「停めに来たにしましては随分と口が滑りますのね」
 アイスエイジクイーンはすっと微笑んだ。
 そして杖を音もなく打ち鳴らすと、氷河期を思わせる巨大な氷の柱が床から瞬間的に生み出された。 
 動くのでは無く、生まれる。氷がそこに生み出されていく。
 少女は氷の盾を生み出すと、ボード代わりにして騎乗。
 凍てついたかのように自身のポーズを固定しながら、起伏の激しい氷の上を重心移動で滑り、氷柱の上に乗り上げて跳ぶ。
 アイスエイジクイーンは杖を光らせる。
 魔界の空に無数の巨大な雪結晶が作り上げられ、空間に固定されている。
 恐らくは触れた瞬間に氷河期魔法が発生して凍り付いてしまうのだろう。
 少女は氷の盾を乗り捨てて空中でひらりと身を回す。
 滑空する様に空気の流れに乗って、飛び、アイスエイジクイーンの目前にまで切迫する。
「冷凍標本(リューバ)と化して、どうかそのまま停まっていて。今の時のまま騒がしい蝿が讃える末代まで」
 少女の目やドレスなどの周り付く雪結晶が輝き、アイスエイジクイーンに全てを止める氷の手をかざす。
「喜んで。」
 アイスエイジクイーンはその手を、取った。
「ですが標本となるのは貴女もですわよ。小さな悪魔の淑女。わたくしの氷河期魔法を甘く見ない事ですわ。」
 アイスエイジクイーンの身体に纏わりつく雪結晶の紋様、そして周囲の氷と結晶が、氷河期をも閉じ込める様な絶対零度の冷気の光を放ち出し。



 101階にもなる氷の城の最上階。
 開けた氷のステージの上には、動きを止めた氷像が2体。
 氷鎧を通り越して氷河期の女王と、手を取り合うネクロフィリアの女王。
(落とす事さえも憚られるのか、ネクロフィリアの女王の足は地面から這い上がるいびつな氷の柱が伸びて覆われている。まるでフィギュアの姿勢を留める固定棒の様に。)
 薄く透明な氷がその身体をコーティングして、世界を永遠に止めている。
 凍てつく空と魔界の星空さえも、凍ったように景色を止めている。


 アイスエイジクイーンの身体が淡く光り輝いていく。
 絶対零度を、停滞を超えて冷え出したその力が、彼女の中で生み出され続け、膨れ上がり、そして……爆発した。
 城の最上階が巨大な白の煙で覆われた。
「ごめん遊ばせ。西のラスボスとして悪魔を背負っている以上、今はこうしているわけにはいかなくてよ。」
 動きを止めて凍てついたまま吹き飛んで城の外へ落ちていく少女を見やりながら、アイスエイジクイーンはそっと唇に人差し指を添えた。
 自身でも無理のある力を無理矢理解放したからか、その後アイスエイジクイーンは膝をついた。
 恐らく戦闘は次の戦いまでが限度だろう。

「…………」
 停滞した氷の中から眼を覚まし、氷を消して立ち上がったネクロフィリアの女王は城の上を見やる。
 その後、その場に向かって何度も何度も停滞の氷を解放し、城を、魔界中を凍らせ続けた。
 どこか気に入らない、気に喰わないといわんやな顔をしながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
クイーンと戦うの何度目だろ

吊橋の階層で飛んでくる氷球を切り払って突破し、ビールをお土産として四天王に渡します
クイーンに届けてください
背中を向けたら騙し討ちの峰打ち気絶攻撃をあびせるよ

改めて101階でクイーンにお土産を渡して、戦後に氷河期魔法を教えて下さいと頼むぜ

稲荷符から火属性攻撃の狐火を飛ばして攻撃
誘導弾と乱れ撃ちで上半身に飽和攻撃を仕掛けて視界を奪ってクイーンの攻撃精度を落とすよ
絶晶の槍を見切って稲荷符のオーラ防御で受け流して『防御』する

絶晶搭乗なんて強化にあるクイーンに鏡華散月の符による超凍結を浴びせて美しく磔氷封印刑をお返しだ
お~っほっほっほ、なんてね♪
決着後にお湯かけて封印を解くぜ



●14F
「クイーンと戦うの何度目だろ」
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)が最後の挑戦者として、アイスエイジ城の中へ入っていった。

「ふほーっほほ!ワタシは四天王のマッドピエロ!曲芸の為に張り巡らされた罠で死ぬが良い!」
 吊り橋どころか1本の縄だけが張られた通路。その下にはマグマがあり、横からは振り子動作で鉄球が飛んでくる。
「予想と違う!というか氷関係ないじゃん!なんだこれ!」
「ほっほほほ!アイスエイジ四天王は多種多様の力に秀でたエリート集団にございます!氷河期魔法だけが取り柄のラスボスと思いますと痛い目を見ますよ!」
 そう言いながらマッドピエロは何かを投げて来た。
 透き通る氷のナイフだ!
 限りなく透明で、着弾すればマグマの熱も相まってすぐ溶けてどういう技なのか分からなくする恐怖の暗器だ。
「ちょっとばっちぃ気もするがこいつにするか」
 燦は綱をシーフ特有の凄いバランス感覚で歩き、狐の様に跳躍しながら鉄球を躱し、飛んでくる氷ナイフをキャッチし、素手で砕いていく。
 砕いた氷の欠片は懐から取り出したビール入りジョッキの中に入れていく。

「すみませんこれアイスエイジクイーンへのお土産なんですが」
 マッドピエロの目の前に飛び降りた燦はビールを差し出す。
「ああこれはどうもご丁寧に。ですがクイーン様はどちらかと言うと高貴なワイン的なのがお好きかとですし、発泡酒は入れたてが一番……まあいいでしょう。」
 マッドピエロはお辞儀してビールジョッキを手に取り、踵を返「隙あり」
「あぐあっ!?」
 何とデビルデビルしい不意打ち攻撃だろう。
 妖刀『神鳴』の柄がマッドピエロの脳天に綺麗に入り、四天王は気絶してその場に倒れたのであった。
「お、すぐ傍で何か光ったな。こいつが直通エレベータって奴か!お邪魔するぜ。」
 そうして燦はラスボスのもとへと進んでいったのだった。

●LAST BOSS
「お~っほっほっほ!周回の如く何度もわたくしに挑んで頂きラスボスとして感服の極みですわ。これで7度目程でしたかしら?」
「そうだったかな」
 アイスエイジ城101階、ラスボスの部屋だった屋上。
 対峙した燦はアイスエイジクイーンにお土産を渡す。
「折角だから土産を持ってきたぜ。14階のマグマで焼いた焼き鳥だ」
「あらこれはどうもご丁寧に。氷のビールを取り寄せますわ」
 そう言うとアイスエイジクイーンはどこからか氷の詰まったビールを取り出した。
「あっ、人が用意しようとしていたものを」
「お~っほっほっほ!わたくしは鳥を口にするだけで宜しいですわ。戦前の酒はまだ早くてよ」
「んー!じゃあいいや。戦おう。口にできるといいけどね。」
 二人は武器を構えた。
 荒廃して開けた、床一面が凍っているだけのフロア。
 最上階特有の空の景色が見える中、氷漬けの巨大妖狐をバックに。
「随分荒れ果てたな。」
「ラスボスとの戦いは熾烈を極めたのですわ。」
「……一つ提案なんだけどさ。この戦いが終わったら、アタシに氷河期魔法を教えてくれないか?」
「おほほほほ!それはわたくしの軍門に下るという事で宜しいですのね?」
「そうしたいのはやまやまだけど、アタシはあくまでも猟兵だからね。職業柄、その超凍結の力にすっっごい興味があるだけさ」
「仮にもラスボスであるこのわたくしの力、安く手に入れると思わない事ですわね。」
 じりじりと、距離を詰める。その空気が触発された瞬間。
「いくぜ!」
 燦とアイスエイジクイーンは同時に飛び掛かった。

 燦は稲荷符から火属性攻撃の狐火を弾幕の様に飛ばす。
 それをアイスエイジクイーンは氷の三又槍を振るい、吹雪を起こしてかき消していく。
 アイスエイジクイーンから、寒波と共に地や空から無数の氷柱が放たれる。
 燦は炎の符を一枚だけ自身に付けてカイロ代わりにする。普段なら火傷するが、極寒の中では暖かく己の体温を高める。
 そのまま更に弾幕を強め、乱れ討つようにアイスエイジクイーンの上半身の本体に向けて飽和攻撃を仕掛ける燦。
「その様な攻撃が効くものですか。今楽にして差し上げますわ。」
 アイスエイジクイーンは氷の三又槍に氷河期の凍結魔力を込めていく。
「『超絶凍結刃』!」
 超絶対零度の刃が燦を突き刺す!
 だが懐に忍ばせた、オーラを込めた呪符で受け止めると、呪符の中に超絶対零度の力が吸収されていく。

「さあ、今楽にしてやるぜ。【符術"鏡華散月"(ユーベルリフレクション)】」
 燦は即座に超絶対零度の呪符を、アイスエイジクイーンに返すように放った!
 その目の前で、アイスエイジクイーンは。
「二の矢のごり押しはいかがかしら!必殺」
 今持っていた武器を瞬時に粉々に砕き消しながら、もう片方の腕から生み出された氷の三又槍で。
「『超絶凍結刃・二段』!」
 返すように再度、超絶対零度の刃を撃ち放っていた。

「あ?」
 呪符によるカウンターを決めて油断した燦に、オーラ防御により強化された体が一瞬で貫かれ凍っていく。
「えっ?」
 自身の力を持った呪符を飛ばされるとは想定もしていなかったアイスエイジクイーンの胸に、超絶対零度の符が貼り付けられ、その力が解き放たれる。



「あ、アイスエイジクイーン様……!」
 戦闘が終わった後。
 見事な氷壁に包まれて封印された超氷漬け状態のアイスエイジクイーン
「大丈夫なんでしょうかアレ。」
 そんなアイスエイジクイーンの氷壁にはしごをかけ、上からヤカンの熱湯を注ぎ続ける四天王達。
「うおああぁかけた所からお湯が凍っちまう!?もっともっと熱いのを寄越せ!」
「流石アイスエイジクイーン様の超凍結……」
「言うてる場合か!タライでかけろ!いっぱい持ってこい!」
 アイスエイジ城101階。
 わいやわいやと四天王達が心配そうにアイスエイジクイーンを見守りながら、解凍作業が行われていた。
「そういやこっちの猟兵さんはどうするんで?」
 アイスエイジクイーンより小さいが、同じように氷壁の中に超凍結封印されている、燦。
 勝ち誇り、高笑いをしているような笑みを浮かべた姿をしたまま、溶ける事無く凍ったままでいる。
「アイスエイジクイーン様はプライドの高いお方。今我々が『この隙に粉々にして倒しましたアピール』しようとするならば後が怖いぞ。『わたくしの対戦相手をみずみず殺したというのかしら!?』とか言って凍らされかねん。」
「うへー……これ生きてるんですかねぇ。」
 ぺちぺちと四天王の一人が燦が封印されている氷を叩いている。

「「「せーの、それっ!!!」」」
「あっ!溶け出しましたよ!アイスエイジクイーン様ー!」
 マグマの様に煮え立ったタライ一杯のお湯をざばざばとかけ流し続けた結果、ようやっとアイスエイジクイーンの氷が溶け出した。
「…………はっ!?あっあちゃちゃちゃちゃ!?熱い!?熱いですわー!?」
 超氷漬け封印から解かれたアイスエイジクイーンは開口一番、身動きの取れない状態で熱いお湯を頭からかぶり続けて、泣いた。

「ど、どうしましたの。皆してこの場に集まるなど。」
 氷の涙をハンカチで全力で拭いて取り繕いながらアイスエイジクイーンは問う。
「それがですねジャッジメントガール様の裁定により。」
「今回のアイスエイジ城の戦いは猟兵側の勝利と言われてしまいましたっスー!」
「な、なんですってー!」
 そういえば先程まで自身は凍らされていた。自分自身の技を返されて。
 今の敗北が決定的になったらしい。
「そ、そんな……覚えてらっしゃい猟兵!いつかまたキングの座を奪い取って見せますわ!」
 キィー!とハンカチを噛みながらアイスエイジクイーンは負け惜しみを叫び、アイスエイジ城を倒壊する準備を始めたのだった。

「それでですね、実は最後の戦いは同士討ちだったのですが。」
 アイスエイジの目の前に、氷壁から切り出された超氷漬け状態の燦が、板に乗せられて四天王複数がかりでえっほえっほと運ばれた。
「あら、そうでしたの。今わの際にそういえば技を繰り出していたような……そうですわね。」
 アイスエイジクイーンがゆっくりと、いけ好かない笑みを浮かべながら凍り付いている燦を見下す。
「『氷河期魔法を教えて欲しい』との約束でしたわね。」
 そんな燦に、冷ややかな笑みを浮かべて、冷たい冷気を纏った手を差し伸べる。
「たあっぷり教えて差し上げますわ。わたくしの様々な氷河期の魔法の力を。……その身の全てを以て、ですわ!お~っほっほっほ!」

 アイスエイジクイーンから氷河期魔法が放たれる。無抵抗で無防備な燦に対して。
 白き極寒の冷気が、アイスエイジ城の最上階で爆発する様に展開し続けた。
 燦が果たしてどのような氷河期魔法を受けたかは、ここでは語らず。
 皆様のご想像にお任せしたく……。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年05月24日


挿絵イラスト