7thKING WAR㉓〜アドラブル・ドラクルズ?
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それは、忽然と魔界に姿を現した、巨大な戦艦の中での出来事。
「なるほど……『私』が二つに揺らいだか。まぁ良い。大事なのは、私の森羅万象を操る能力が健在である事。そして、そこにお前たち二人が加わっている事だ」
若く美しい容姿と威容を兼ね備えた青年は、近くに侍らせた見目麗しい二人の少女の髪を、頭から生えた竜を思わせる角と共に撫でてやる。
「今の私は『無敵』。故に何人たりともこの儀式を脅かす事は出来ない」
暗く広い空間を照らすのは、十色に明滅する魔法陣。その上で十名の少女達が舞い踊る光景を、青年は静かに見守っていた。
「お前達はそれを止めに来たか? よくぞここまで来たと称賛しよう。だが、ここは行き止まりだ」
青年が、ゆっくりとこちらへ振り返る。
満ちる魔力。同時に、船室のあちこちから、新たな少女が湧き出し船室を埋め尽くす。
「だが、私の力を知っても向かって来るならば……お前達も、私が乗り越えるべき『試練』という事だ!」
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「――みなさん、デビルキングワールドでの戦い、お疲れ様です」
グリモアベースの片隅で、集まった猟兵達を前に、クララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)がお辞儀をした。
「ガチデビルが呼び寄せた召喚魔王、『パラダルク』が姿を現しました」
今、彼が着手しているのは、魔法陣と舞踏を用いた儀式である。
「予知の光景から見て、捜索の儀式かと思われます。そしてどうやらパラダルクは記憶を失いつつも、遥かな過去に何者かから受けた、苦い敗北の傷痕を自覚してもいるようです」
ならば捜索の儀式が成功した時、彼が次に行う事とその結果の甚大さは、容易に想像がつく。その前に儀式を止めるのが、今回の任務となる。
だが召喚魔王『パラダルク』の能力は強力だ。
彼はユーベルコードにより、万物を女の子――ドラグナーガール――に変えてしまう。
「ここで言う万物には、私達が知る多くのものが含まれます。自然現象やこちらの攻撃は勿論、十属性に纏わる全てを、ドラグナーガールに変えてしまうのです」
武器、ユーベルコード、さらには呼吸する空気さえも女の子化し、自身のものにしてしまう。
直撃、あるいは発動前にドラグナーガールに変えられてしまうのであれば、こちらのユーベルコードの速度はほぼ意味を持たない……つまり、必ずパラダルクに先手を取られるのと同義だ。
そして、その能力をさらに厄介にしているのは、彼に侍る二人の特別なドラグナーガール。
「黒い服を着ているのが過去属性の『アンヘルブラック』、白い服を着ているのが未来属性の『ディアブロホワイト』です」
数人の猟兵が反応を示す。その名はスペースシップワールドにおける黒騎士と白騎士を彷彿とさせるものであり、サムライエンパイアで対峙した軍神『上杉謙信』の携えた二刀の名でもあった。
「パラダルクは彼女達を獲得することにより、時間すらも女の子に変えられるようになりました」
パラダルクにしてみれば、攻め手が増えた形となる。ユーベルコードの対処を怠れば、あらゆる手段で召喚されたドラグナーガールの大軍を前に、問答無用の苦戦を強いられる。率直に言って、強敵だ。
戦いの舞台は、魔界に停泊する戦艦。銀河帝国攻略戦に参戦した者は、それが『実験戦艦ガルベリオン』と同一のものだと気づく事が出来るだろう。
その広い一室には、過去属性の『アンヘルブラック』を体現するパラダルクが存在している。
「パラダルクの背後では、十名のドラグナーガール達が『儀式の舞』を踊っています」
これは猟兵側にとって狙い目となる。パラダルクを直接倒すのは勿論、彼女達を倒す事でも儀式を阻止する事が出来るからだ。だが、彼を完全に滅ぼす事は難しいだろう。
纏めるとこうだ。
先制ユーベルコードに対しての対処は必須。その上で、パラダルク本人の撃破か儀式の阻止を行えば、こちらの作戦は成功となる。
「いずれにしても、無敵に近い相手を正面に据えた、難しい戦いとなります。ですが、何としても儀式を阻止して、無事に戻って来て下さい。それでは……宜しくお願いします」
白妙
宜しくお願いします。
ガチデビルが特級契約書で呼び寄せた異世界の魔王「パラダルク」。
その現れの一つ、過去属性『若きアンヘルブラック』との戦いです。
●戦争シナリオ
これは戦争シナリオです。一章で完結します。
●難易度
『やや難』となります。判定方法はマスタールールに準拠します。
●先制攻撃ユーベルコード
この敵は猟兵に対し、必ずユーベルコードで先制を取ります。
また、【超強敵】であり、先制への対処を行わない限り、必ず判定は苦戦or失敗となります。
●『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』
自然現象、こちらの攻撃、時間を女の子化して操る力を持ちます。
背後で行われる儀式を守るように動きます。
彼もしくは儀式を進めるドラグナーガール達を倒すのが成功条件となります。
(戦力を0にしても完全な撃破は難しいですが、撤退に追い込む事が出来ます)
●ドラグナーガール
女の子。戦闘力は並ですが、数が多く厄介です。
パラダルクの先制ユーベルコードに使われるのと、対処に失敗した猟兵を苦戦に持ち込むのが主なお仕事。
(ひたすら速度のみを重視して突っ込んだ猟兵を、背後から大量に生み出された『時間』のドラグナーガールが無理やり引き戻す等)
●プレイングボーナス
『敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す』となります。
第1章 ボス戦
『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』
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POW : パスト・ガールズ
レベルm半径内を【ドラグナーガールの大軍】で覆い、[ドラグナーガールの大軍]に触れた敵から【ユーベルコードの使い方の記憶】を吸収する。
SPD : リピートコード
【戦場内のドラグナーガールのいずれか】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、戦場内のドラグナーガールのいずれかから何度でも発動できる。
WIZ : パラダルク・パラダイム
【水光土火樹薬風毒氷闇の十属性】によって【ドラグナーガールの軍勢】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
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御形・菘
はっはっは、試練とは正にその通り!
妾こそがお主の前に立ち塞がる最大の壁!
ガードのために全身に邪神オーラを纏い、
頭や首など急所には左腕を翳して攻撃の直撃を避けよう
痛みは我慢、戦闘が継続できる程度の負傷なら問題ない!
妾のバトルの本質をコピーするとは大したものだ
で、今この状況で、お主らが背負える不利とは何だ?
あえて主を守らずフリーにさせるか、ガールが誰かタイマンを仕掛けてくるか?
さあ堂々と一対多数、撮れ高抜群の集団戦だ!
主を狙おうというフリをして心理的揺さぶりを掛けつつ、ガールたちとバトろう
皆に満遍なく攻撃と見せかけながら、実は一体のガールへと特に攻め手は集中してな
邪神の左腕の一撃でブッ飛ぶがよい!
戦闘開始と同時に躍りかかるドラグナーの数は凄まじく、彼女達はたちまち御形・菘(オブリビオンではない・f12350)の体に無数の打撃を叩き込んだ。
だがそれは大したダメージとならなかった。菘の体は邪神の黒きオーラで覆われ、首や頭などの急所は巨大な左腕でガードされている。
準備万端。何の為に。素晴らしい動画を作り上げる為、撮れ高をその身で受け止め引き出す為だ。
『お前もまた、私の前に立ち塞がるのか』
「はっはっは、正にその通り! 妾こそがお主の前に立ち塞がる最大の壁!」
パラダルクの深く静かな声を、船内中に響き渡る菘の大声が掻き消す。
両者の間に割り込むのは数十人のドラグナーガール達。その全員が数を頼んでいるのは一目瞭然だが、対する菘も単身である。
数の多寡、突き刺さる熱視線、一触即発の気配。
誰が見ても不利と言えるその状況は、彼女を怯ませるものでは無く――むしろ、高揚させるものであった。
進み出た数人のドラグナーガール。彼女達の取った防御寄りでありながらも大きな構えを見て、菘はほくそ笑む。
「妾のバトルの本質をコピーするとは大したものだ!」
ドラグナーガール達に僅かな動揺が走る。先程の先制攻撃は猟兵側の記憶を奪い取る為のもの。だが確かに菘から奪った筈のそれは、全くと言っても良い程に自身等に効果を及ぼしていない。
「で、今この状況で、お主らが背負える不利とは何だ?」
言い放ち、菘は相手を威圧するように、巨大に成長した自身のオーラを昂らせた。
菘のユーベルコード『逆境アサルト』は、不利を背負える固い信念を持つ者にのみ微笑む。
正々堂々一体多数。圧倒的に不利な状況を受け入れた菘の体は、その能力を大きく増大させていた。
他方、圧倒的に有利なドラグナーガール達にとって、それは無用のものであった。
ドラグナーガール達は数の優位を捨てず、飽くまで集団で菘の前に立ち塞がる構えを取った。
「主をフリーにする事も、タイマンを挑むことも無しか! 良いだろう!」
凄まじい速度を纏い、菘の巨大な体が飛び込む。
パラダルクに向けて一直線。
その動きに心理的な揺さぶりをかけられたドラグナーガール達は、反射的に菘に向けて駆け出す。
数に任せた蹴りと殴打を前に菘の体が軋む。だが戦闘の続行は十分に可能だ。
巨大な左腕を掲げ、薙ぎ払いの構えを見せる菘。
周囲に満遍なく攻撃すると見せかけて、その意識は目前のドラグナーガールへと集中させていた。
「邪神の一撃でブッ飛ぶがよい!」
派手な円弧を描いた漆黒の拳は、狙い過たず目標を絶命させた。
菘の腕力を前に、後方へと吹き飛び後続を巻き込むドラグナーガールの亡骸。
割れる軍勢。彼女達が将棋倒しとなった先には、此方を見据えるパラダルクの姿の姿があった。
彼と視線をカチ合わせた菘は、以降もドラグナーガールとの不利な戦いを演じ続け――その戦力を大きく削ったのだった。
成功
🔵🔵🔴
灯篭城・燈子
うわ気に入らない。
私こういう女を道具扱いする男、マジで嫌いなのよね。
まあいいわ、感情なんていまはなんの得にもならない。
で、あの娘らはそんな強くない、でも多い、と。
で? ええと、水光土火樹薬風毒氷闇の十属性……ん?
先制攻撃対策
魔力封印解除
魔法の杖、大魔法の杖、魔導書で増幅した
属性攻撃「電気」で自分の周りの軍勢をふっとばす。
本人が出張ってこないならなんとかなるわ。
再行動してきたら、こっちもUCを展開。
【雷(デンキマホウ)】加減なしの最大威力。
軍勢ごと儀式の娘たちを黒焦げにしてあげる。
ムカつく男は無事だし、すぐに代わり作るんでしょうけど
それは次の猟兵に任せるわ。
ほんっと、こういう男は嫌いよ。
二人のドラグナーガールを側に侍らせた『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』が右手を上に向ければ、周囲の物質を構成する魔素が震える。
生み出されたのはドラグナーガールの大軍勢。彼女達が戦場を覆い尽くす光景を、灯篭城・燈子(魔女・f36229)は冷め切った視線で観察していた。
「うわ気に入らない」
思わず口に出す。否、出さずにはいられなかった。
(「私こういう女を道具扱いする男、マジで嫌いなのよね」)
姦しく囀り合いながらも徐々に迫って来るドラグナーガールは肉の壁に等しい。彼女達を後方から指一つで追い使う『パラダルク』はまさに女の敵だ。彼に向けて、燈子は一瞥をくれてやる。
「まぁいいわ……で? ええと……」
溜息一つ。燈子は冷静に観察を進める。
呼び出されたドラグナーガールの数は多いが、一般人程では無いにせよ、オブリビオンとしては弱い部類に入りそうだ。
だが真に恐ろしいのは、後方のパラダルクによる、十属性を用いた軍勢の再行動である。
事前情報と自身の知識を頼りに、その属性を確かめていく燈子。
(「水光土火樹薬風毒氷闇の十属性……ん?)
足りない。
気付いた時、燈子は行動を起こしていた。
二本の杖を交差させると同時、魔力の封印を解除していた。
目の前に浮遊させた魔導書の頁が激しい紙音を立て捲れる中、増幅された魔力が杖の先端へと収斂していく。
自身を取り囲むドラグナーガールを他所に詠唱を終わらせた燈子は、高鳴る魔力を一気に解放した。
属性は――電気。
『!』
杖から放射状に迸る稲妻の群れ。激しく後方に吹き飛ばされるドラグナーガールの軍勢。
その全員が雷に打たれ、感電により行動不能に追いやられる。
「……」
パラダルクも動く。
たちまち戦場に生み出されたのは新たなドラグナーガール。個では無く集団としての再行動であった。
痺れた仲間の体を乗り越え、再び迫る壁。だが彼女達の後方で渦巻く魔力の残滓を見て取り、燈子は確信した。
パラダルクの操る十属性には雷が含まれていない。
それは彼が操る事が出来ない盲点であり――属性魔法の繰り手である魔女の独壇場でもあった。
加減無し。
少女たちの手が触れる寸前まで魔力を高め――今度こそ最大威力の電気魔法を炸裂させた。
轟音と共に降り注ぐ稲妻の光条。先程とは比べ物にならない規模の破壊は、着弾の度にドラグナーガールを消滅させ、周囲の者も残らず感電させる。
それはパラダルクの後方すらも例外ではない。落雷は魔法陣の周囲にまで到達し、儀式を続けていたドラグナーガールのうち、水色の薄布を纏った少女を打ち倒した。
(「ムカつく男は無事だし、すぐに代わり作るんでしょうけど」)
燈子の予想通り、少女達に守られた魔王は無傷。黒焦げになって倒れ込んだ少女を他所に、無言で儀式の続行を命じる。
だが尚も降り注ぐ落雷の中、中断した儀式を再開するのは容易い事では無い。
「――ほんっと、こういう男は嫌いよ」
密かな呟きを残し、なおも生み出される軍勢を避け、燈子は戦場から姿を消すのだった。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・つかさ
●POW対抗
女の子化……まあ、深く考えるのは止めましょうか。
相手が何だろうと全力で殴る、私に出来る事なんてそのくらいなんだから。
先制で呼び出されたガール軍団に対し、正面から「怪力」で殴りかかる
するとコードの記憶を奪われる、けれど問題無い
何故なら私は今回「ユーベルコードを使用しない」からよ
私の「怪力」は、生半可なコードによって得られる怪力を凌駕する
そしてコード不使用で挑めば、相手は実質数が多いだけの雑兵
であれば、多少時間はかかっても力ずくで蹴散らす程度は容易いわ
立ち塞がるなら殴り飛ばし、取りついてくるなら締めあげ叩きつけ、引き戻そうとするなら逆に引きずって進み、儀式を力ずくで破壊するわよ
それまで閉じていた赤茶色の双眸を、荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)はゆっくりと見開いた。
するとその視界には、ドラグナーガールの大軍勢が津波のように押し寄せる光景が飛び込んで来る。
「……まあ、深く考えるのは止めましょうか」
召喚魔王『パラダルク』。彼が無限に生み出すのが、うら若き乙女である点を、である。
美しいと言う意味では魔王と呼ばれる者には相応しいのかも知れないが、パラダルクの場合それ以上の何かがある気がしてならない。
だがそれでも彼女達の存在が脅威である事に変わりはない。数と互いの連携により、ドラグナーガール達はあっという間につかさを包囲する。
『ふふっ』
そして遂にそのうちの一人が、つかさに向けてその手を伸ばした。
『?』
つかさの肌に触れたまま、ドラグナーガールが表情を固まらせる。
「気が付いた? ――ええ、そうよ」
相手が間合いに踏み込んだのを認め、つかさはその手に持った鉄槌を、勢い良くカチ上げた。
骨を砕く音。超重の鉄塊に殴りつけられ、華奢なドラグナーガールの体が放物線を描いて吹き飛ぶ。
『!!』
ドラグナーガール達の戦列に動揺が走る。
つかさの手で味方が次々と吹き飛ばされ始めたから、ではない。
彼女達から奪った筈のユーベルコードの記憶が、存在しないからであった。
敢えてのユーベルコード不使用。それはドラグナーガール達による先制の盲点を突くものである。
背中から抱き付いたドラグナーガールをつかさは軽く往なすと、あとは力だけで締め上げに持っていく。
「……」
たちまち意識を失ったドラグナーガールの体を、つかさは正面から向かって来る一群に向けて投げつける。
割れる戦線。悲鳴と動揺に向けて、今度は良い感じの丸太の一振りが叩きつけられた。
凄まじい膂力。つかさの筋力は数万人は存在する猟兵達のほぼ全員を凌駕している。生半可なユーベルコードでは対処する事は不可能だ。
(「相手が何だろうと全力で殴る、私に出来る事なんてそのくらいなんだから」)
必死で取りつくドラグナーガール達を引き摺り、つかさは突進を開始する。
『……』
一旦打つべき手立てを失い、脇に避けるパラダルク。だがその後方には儀式があった。
魔法陣に踏み込むや、丸太を一閃させるつかさ。
その巨大な質量を前に、軌道上で儀式を続けていた数体のドラグナーガール達は大きく吹き飛ばされ、そのまま立ち上がる事も叶わず骸の海へと消滅していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
メルガシェラ・トヴェナク
わあ、すごい性能ですね
兵器としてはうらやましいくらい
でも、ここで彼の意表を突ければ
きっとボクの有益性を主張できますよね
この体も服も、すべてナノマシンの集合体ですから
転送されたらすぐに分解します
ドラグナーガールさんたちの指先を捕食しながら
地面も捕食して穿孔して逃げます
ドラグナーガールさんって人型ですよね?
手が入らないくらい細い穴で逃げたら
追いかけてこられないかなって
質量を得ると大変ですよね
あとはUCを使ってスピードを上げて
戦艦を破壊し回って、魔法陣のある場所ごと爆破します
まっすぐ向かったら勝てないので
搦め手を使って頑張りますね、戦争ですから
モフットボール・クラウディン
「技でもなんでも味方に変える能力……ちょっと難しいな。」
悩める一頭身、モフットボール・クラウディン参戦です。
共闘アドリブ歓迎。
【クラウディン秘伝・羊雲】により約90個の巨大毛玉を召喚します。要は攪乱作戦です。[空中浮遊]する毛玉により、他の猟兵たちが活動しやすい戦況をつくります。
先制攻撃の対策ですが、仮にこの無害な毛玉をドラグナーガールに変化させたとしても「無害な女の子」が増えるだけです。無駄なことをさせた隙に誰かが攻撃できると嬉しいです。
「もふもふぅ! これなら、どうかな!?」
戦場のありとあらゆるものが、見目麗しい少女へと変わっていく。
凄絶そのものと言って良いその光景を、普段の大人しい表情から、ほんの少しだけ眉根をきゅっと寄せて観察する、一体のモーラットが居た。
「技でもなんでも味方に変える能力……ちょっと難しいな」
悩める一頭身、モフットボール・クラウディン(燃える毛毬球、はぐれモーラット・f35950)の参戦である。
「わあ、すごい性能ですね」
一方、ふわふわと浮くモフットボールのすぐ下で、メルガシェラ・トヴェナク(スノウ・ドロップ・f13880)は、軽く数度両手を打ち合わせ賞賛の意を示す。
兵器として、である。
その在り様が本質的に兵器とすら言えるメルガシェラからの、ほんの少しの羨みすら込めた賞賛であった。
「――でも、ここで彼の意表を突ければ、きっとボクの有益性を主張できますよね」
ちょうどそのタイミングで発生したドラグナーガールの一団が、あっという間に二人に肉薄し、まずは手始めとばかりに地上のメルガシェラへと手を伸ばす。
だが。
『――ッッ!?』
メルガシェラの服に手を伸ばしたドラグナーガールが、声にならない叫びと共に腕を引っ込める。
果たして彼女の指は数本が無くなっていた。驚くドラグナーガール達の掌向けて、メルガシェラは肉薄。今や雪の如き霧と化した彼女が動くたび、戦場のあちこちで悲鳴が上がる。
メルガシェラの体は捕食性ナノマシンの集合体。触れたが最後、電子レベルまでバラバラにされてしまう。
「もふもふ、もふもふぅー! 舞えっ!」
浮き足立つドラグナーガール達の混乱を増し、メルガシェラが地面に穿孔する隙を与えたのは、頭上でボフンと炸裂した白い花火だった。
――否、毛玉だ。滞空するモフットボールの特徴である雲のようなモフモフの体毛。それを用いて作られた、100にも迫る巨大毛玉であった。
『む……』
その時、後方のパラダルクが見遣った方角で、爆発が起こり、周囲に居たドラグナーガールが纏めて吹き飛ばされる。
ナノマシンの集合体であるメルガシェラが船内の配管に潜伏し、船のあちこちを破壊し始めたのだ。
無数の細い穴を伝い移動するメルガシェラを捕捉することは最早困難だ。パラダルクの能力が質量の在る人型を取った事が、ここに来て仇となる。
さらに爆発。メルガシェラの速度は徐々に増している。どうやら船の装甲を掘り穿ち、魔法陣へと近づきつつあるようだ。
パラダルク本人であればメルガシェラを止められたかも知れない。だが彼は儀式の守備を周囲のドラグナーガール達に任せ、自身はモフットボールを仕留めにかかる。
結果的には、その判断が分かれ目となった。
地上へ落下し散らばったモフットボールそっくりの毛玉。ドラグナーガール達が扱いかねていたそれらにパラダルクが掌を翳せば、たちまち大量のドラグナーガールが湧き出す。
だが新たに生み出されたドラグナーガール達は、色素が薄く、大人しそうで、何より殺気が感じられない。
強いて言えば無属性だろうか。その全員が無害な雰囲気を漂わせていた。
クラウディン秘伝・羊雲――モフットボールが生み出したのは、戦闘力の無い毛玉に過ぎなかった。
「もふもふぅ! これなら、どうかな!?」」
大量に生み出された『無害な女の子』を巻き込み、動きを鈍らせたドラグナーガールの軍勢。そして無駄な一手に貴重な時を消費した魔王。
彼等の背後で、巨大な爆発が巻き起こった。
「ごきげんよう。質量を得ると大変ですよね」
そこには淑やかに微笑むメルガシェラが立っていた。
儀式に携わっていたドラグナーガール達は全員爆発により吹き飛ばされ、儀式は中断に追い込まれている。
メルガシェラとモフットボール――搦手を軸にした両名の働きは、同時に戦いの趨勢を決定づけるものでもあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ワン・シャウレン
鞍馬(f02972)と
(なーに言ってんだこいつ、という表情を一切隠さずに)
金等その手の逸話は多いからの
猟兵ならば不可能でもないやもしれんがそこは枯れじの杯とか甕ではないか?
ともあれ行くぞ鞍馬
向こうは準備万端にカウンターの構えかの
まずは鞍馬のUCを覚えさす所からじゃな
それまではオーラ防御全開で格闘の構え
待ち構える連中はさておき来る者共を迎撃しよう
鞍馬が矢を放てば真の行動開始の合図
水霊駆動を発動し一気に儀式に切り込む
切り込むまで流水を敵には当てぬし、高速移動と共に流水で鞍馬の移動も補助
コピーする連中は10秒動かぬし、しなければUCでの迎撃はない
一撃離脱で儀式の妨害じゃ
追撃は流水で相殺か薙ぎ払う
鞍馬・景正
ワン嬢(f00710)と。
ほう、万物を女性にする能力……。
ワン嬢、万物を酒にする術などは開発できませんでしょうか。
◆
さておき。時間さえ彼奴の掌中ならば、いっそ与えましょう。
弓を取り、【千里眼射ち】の構えにて集中を。
ワン嬢に何もかも任すのは心苦しくありますが、彼女ならば出来ると信じております。
そして10秒経れば矢を放ち、その術を覚えさせましょう。
存分に繰り出すと良い――10秒かけて。
その間にワン嬢と共に切り込み。
二刀を抜いて【早業】の【斬撃波】で道中の敵を薙ぎ払いつつ儀式を行う者たちのところへ。
水に乗り、素早く纏めて一閃してそのまま離脱。
もし矢の追撃が来れば切り払ってワン嬢の背中を守りましょう。
目の前に広がるのは、凄まじい光景だった。
地面に描かれた魔法陣が光り輝き、四方八方の壁や天井を照らし出す。
そこから大量に湧き出し始めたドラグナーガールの大軍勢は、召喚魔王『パラダルク』へと続く道を塞ぎ、徐々に此方へと迫って来る。
「ほう、万物を女性にする能力……」
顎に指を当て、慎重な様子で観察していた鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)は、やがて、ぽつりと零した。
「ワン嬢、万物を酒にする術などは開発できませんでしょうか」
僅かに弛緩する空気。すぐ横で準備を整えていたワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)も、思わず気の抜けたような表情を見せる。
「そこは枯れじの杯とか甕ではないか?」
とはいえ景正とは親しい仲。彼の楽しみも知っているワンは、口元に薄笑みを戻し飄々とした様子で返す。
「猟兵ならば不可能でもないやもしれん。金等その手の逸話は多いからの……」
「成程」
気心の知れた応酬に場の雰囲気が和む。
日頃より超常の力に触れている猟兵達にとって、様々なものを無限に湧かす事は可能だろう。
それにしてもパラダルクの能力は規格外だ。船内から産み落とされるドラグナーガールの数は数知れない。まずは彼女達を相手取らなくてはならないだろう。
ともあれ、猟兵達のやることは一つ。
「行くぞ鞍馬」
「ええ――」
少し前方へ進み出るワン。ドラグナーガール達の内訳は、今まさに殺到しようとする者と後方の魔法陣を守る者、ほぼ半々と言った所だろう。
後者ならばそれでも良し。前者に対応すべく、ワンは展開したフォースフィールドを身に纏い、迎撃に備える。
その後方で景正もまた武器を手に取る。和弓『虎落笛』だ。
呼吸に合わせ、五人張りの弓弦が易々と引き絞る。
ちょうどそのタイミングで、ワンはドラグナーガール達と交戦を開始した。
伸ばされる褐色の腕に白い腕が絡まった刹那、淡金色の髪が揺れる。
『!』
次の瞬間、ドラグナーガール達は吹き飛んだ。
ワンの僅かな動きを前に、接近を果たした筈の全員が後方の仲間と追突し、将棋倒しになる。
「お主の相手はわしじゃよ」
『!?』
怯む一人に狙いを絞り込み、肉薄。そのまま地面へと叩き付ける。
未だユーベルコードは用いていない。ワンが頼みとする、卓越した武術の力であった。
「……」
ドラグナーガールを相手に視界内で暴れ回るワンを、景正は集中を高めつつ、静かに見守っていた。
ワンが景正の為に稼ぎ出すのは、10秒という時間。
その時が満ち、景正が指を離せば、刹那、耳元で風が千切れた。
真冬の凄風が如き音を上げ、戦場を駆けたのは数本の矢。
周囲のドラグナーガールを捌いたワン。その前方の闇から、射られた敵の断末魔と倒れ込む音が連続する。
『千里眼射ち』――それが行動の起点となった。
「舞うとしようか、鞍馬」
「ええ、ワン嬢」
羽衣が如き衣装を翻したワンの周囲を、紺碧の輝きが包む。
水霊駆動――ワンが精霊の加護を纏った水で流れを形作れば、景正がそこへ加わった。
変幻自在の流水に身を乗せ、同時に切り込む。
凄まじいスピード。先駆けの景正が二刀を振るえば、水の勢いを乗せた二つの斬撃波が進行方向のドラグナーガール達を瞬時に斬り伏せる。
そのすぐ後ろでワンは流水を慎重に操作しつつも、ドラグナーガール達が見様見真似で此方に弓を引くような動作を見せるのを、視界の端に捉えてほくそ笑む。
敵が景正から奪い取ったユーベルコードは汎用性の高いもの。各員、使えれば使うだろう。
ただし一撃離脱を狙うワン達と対峙するには、集中の為の10秒という時間は余りに長い。
『!!』
鬼包丁の一閃で敵の戦列が崩れれば、その先に見えたのは魔法陣と舞い踊るドラグナーガール達。
それを認めるや、流水の流れに背を押され、駆け抜けざまに景正が鞍切正宗を一閃。
ほぼ同時にワンも豪速の踏み込みを見せると、後方に溜めていた手刀に、流水を篭めて横薙ぎした。
二人の背後で三体ずつ。計六体ものドラグナーガールが血飛沫と共に倒れ来む。
即座に離脱。十秒足らずの出来事。
さらに一拍置いて、先程までワンと景正が居た場所に、的を失った無数の矢が飛来したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
箒星・仄々
敗北を引きずるなんて格好悪いです
儀式を止めます
自分のUCですから
対処の仕方はよーく判ってます
ぺろしようと体を屈める体勢の方が件のガールさんです
判っていれば避けられます
それに自分の摩擦抵抗を調整しながら
自在にスケーティングするのは
結構コツが必要なんですよ
ほら、つるっと転んでしまうでしょ?
UCですから間もなく慣れるでしょうけれど…
その暇は与えません
先制に対処した後は
立ち塞がるガールさん達をつるっとすり抜け
元々がどんな属性だろうと時間だろうと
ガールさんになっているなら関係ありませんからね
怒涛のスケーティングで一気に魔法陣へ
魔法陣か踊るガールさんちをペロっとすれば
将棋倒しで踊れなくなります
残念でした♪
畢竟、囚われているのだろう。箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はそう思う。
摩擦抵抗をゼロにした足裏で加速。ドラグナーガール達の繰り出す蹴りを躱し、すれ違いざまに彼女の靴裏を一舐め。
悲鳴と共にすてんと転ぶ少女の脇を抜ければ、そこには此方を睥睨するパラダルクの姿があった。
だがすぐさま仄々の視界に少女達の壁が立ちはだかる。彼女達と魔王が守ろうとするのは、仇敵を捜し出す為の儀式であった。
パラダルクにとって過去の戦いがどれほど無念だったのか、仄々にも察しが付く。
『えいっ』
「!」
襲い掛かる二人のドラグナーガールに対し、仄々は疾駆を再開する。
先頭の踏み付けを避けた瞬間、後続のドラグナーガールの『頭』が迫っていた。
だが仄々は慌てず跳躍。すれ違いざまに足元を一舐めする。
『きゃあっ!!』
すてん、と転ぶドラグナーガール。
彼女が戦場で屈み込んだ、その目的は明らか。仄々から奪い取ったユーベルコード『ぺろぺろ舐める』を叩き込む為だ。
だが所詮は付け焼刃。仄々から見れば、その扱いは未熟そのもの。
「自分の摩擦抵抗を調整しながら自在にスケーティングするのは、結構コツが必要なんですよ」
『きゃっ!』
華麗に着地し、船内をスケートリンクのように滑る仄々の後方では、さらに数人のドラグナーガールが悲鳴を上げる。
どうやら仄々に追いつくべく自身の足を舐めたようだ。だがユーベルコードが発動出来るのと、制御出来るのとは別だ。
「ほら、つるっと転んでしまうでしょ?」
立ち上がれないドラグナーガール達の間を仄々が素早く抜ければ、その緑の瞳が、一瞬だけ見えたパラダルクの視線とぶつかる。
「敗北を引きずるなんて格好悪いです」
怨恨に囚われるのは格好悪い。その通りだろう。あるいは囚われたのもオブリビオン故か。
パラダルクが目的を果たした後、何をするのかもわからない。それらを未然に防ぐために、仄々は動く。
(「とはいえ、時間はありません」)
いずれドラグナーガール達も今の状況に慣れる。ならばその時間を与えるつもりはない。
上体を少し前傾に。
風で揺れる帽子を片手で押さえ、仄々は怒涛のスケーティングを開始した。
洒落になってない加速力。舐めた肘で立ち塞がる敵を押し、そのままつるりと抜けつつ軌道修正。
驚くドラグナーガール達は全員が薄布のような衣装を纏っている。その色は彼女達の属性を現している事が仄々にも知れたが、追いつけなければ無用の長物だ。
混乱に陥った敵の戦列を迂回した仄々は、そのままトップスピードで魔法陣へと踏み込む。
そして踊る少女達数人の背後へと迫り、足元を駆け抜けた。
『――!!』
離脱する仄々。その後ろで声にならない悲鳴を上げ、後続と将棋倒しになるドラグナーガール達。これでは儀式も中断せざるを得ないだろう。
「残念でした♪」
仄々はその様子を振り返って確かめると、帽子を軽く持ち上げて別れの挨拶とするのだった。
成功
🔵🔵🔴
月白・雪音
…あらゆる過去の再現支配。正しく過去の残滓の手勢に相応しい異能と言えましょう。
探し人を捉えた上で何を狙うか…、ただ殺めるのみに在らぬとは考えますが、答える気も無いのでしょうね。
UCを返そうと相手が構えれば、野生の勘にて相手の急所を的確に見極め
UCを用いることなく無手の一撃を以て打ち抜く
相手に隙が出来ればUC発動、落ち着き技能の限界突破、無想の至りを以て業を練り
呼吸を最低限に抑え怪力、踏みつけ、地形破壊、体勢を崩すにて床板を砕き揺るがしドラグナーガールの動きを阻害
残像、グラップルを交えた属性を有さない高速格闘戦にて『受け止める』余裕を与えることなく仕留める
過去の操作は見切り、野生の勘にて『使われた』ことを察知して対処を
過去を捉え私の業を真似たとて、その在り様を最も知るは私自身。故に遅れる道理は無し
貴方にはそれを用いた『経験』、そしてそれに伴う『成長』が無い。
ただ小手先の業に過ぎぬ破壊の技術を模倣するのみなれば猶更です。
業を模倣されれば動作の隙を的確に捉え、カウンターにて一撃を以て急所を貫く
船室の暗闇を駆け、黒幕の元へと向かう。
ここに転送されてから、月白・雪音(月輪氷華・f29413)はドラグナーガールとの遭遇戦を幾度か制した。
紅い瞳が見据える先には召喚魔王『パラダルク』。彼との交戦はこれからだ。
(「……あらゆる過去の再現支配。正しく過去の残滓の手勢に相応しい異能と言えましょう」)
属性も、物品も、時間すらも支配し、少女の群れと化す彼の能力は、極めて強力と言えるものだ。
そして彼の後ろに見え隠れするのは、魔法陣と踊る少女達。
(「探し人を捉えた上で何を狙うか……」)
聡い雪音にはパラダルクの思惑もある程度まで予想はつく。その先が判らないのは不気味だが。
(「そして、問うても答える気は無いのでしょうね」)
一旦彼から視線を外し、目前へと意識を向け直す。
『ふふ』『あははっ』
物陰から、地面から、天井から。
殺到する幾つもの視線に笑い声。パラダルクを完全に覆い隠し、まだ増える。
戦場を埋め尽くすドラグナーガールの数は凄まじい。その展開も、高次元の武を修めた雪音をして突破を諦めさせた程度には速い。
――だからこそ、パラダルクが軽々に動く事は考えにくい。
徒手の構えを取る。
殺到する数人のドラグナーガールを前に、雪音の姿が僅かにぶれた。
『――』
次の瞬間、全員が崩れ落ちた。
違う。
雪音が、急所を打ち抜いた。
卓越した格闘術。的確そのものの戦闘勘。無手の一撃を前に空気が揺れた。
呼吸を最低限に、いつもと変わらぬ静けさを保ち――心は夢想の極致へと。
倒れた味方に目を見開くドラグナーガール達を前に、雪音は右足裏を、思い切り地に踏み下ろした。
そこから放射状に走り抜ける衝撃。
『……!!』
船の床板に亀裂が走り、少し遅れて、無数の陥没が発生した。
闘気すら用いず理合のみで行われた広範囲破壊に、殆どのドラグナーガールが呑み込まれ、戦闘力を奪われる。
辛うじて破壊を逃れ出たドラグナーガール達に、雪音は、残像と共に襲い掛かった。
肉薄。
しなやかな虎の動きを纏い、着物を翻し敵の間を縫っていく。
一人に一撃。先制に次ぐ先制。
繰り出される高速格闘術は何ら属性を有さず、反撃はおろか受ける事すら許さない。
雪音とすれ違う度にドラグナーガール達は防御を抜かれ、急所を押さえて倒れ込んでいった。
「――」
敵の囲みを抜け、着地と同時に足を溜める雪音。
そのまま床を蹴った先には――パラダルクと二人の少女。
『!』
三人の目の前に雪音が現れる。
勢いを乗せて繰り出したのは掌底。真っ直ぐパラダルクを撃ち抜くその射線上に、白い服を纏うドラグナーガールが身を晒した。
そのまま吹き飛び、戦闘不能に陥る『未来』。だが同時に『過去』が動いた。
刹那重なる二つの踏み込み。発生した地響きが全てを沈黙させる。
立ったまま『過去』と密着した雪音は、やがて、静かに言葉を漏らした。
「過去を捉え私の業を真似たとて、その在り様を最も知るは私自身。故に遅れる道理は無し」
――それは、揺るがぬ精神。
今の雪音の強さの根幹にして、ユーベルコード・拳武を真に支えるもの。
「貴方にはそれを用いた『経験』、そしてそれに伴う『成長』が無い」
果たして、ずるり、と崩れ落ちたのは、黒であった。
「ただ小手先の業に過ぎぬ破壊の技術を模倣するのみなれば猶更です――」
最後のドラグナーガールが俯せに倒れ込む。
雪音のカウンターは、彼女の動作の隙を縫い、急所をまともに捉えていた。
最早守る者も居なくなったパラダルクの間近へ雪音は踏み込み。
――至近距離から、船を揺らす衝撃を叩き込んだ。
「そしてこれが爪牙すら持たぬヒトの極致。即ち『成長』の先にあるものです」
『……』
パラダルクが絶命すると同時、全てのドラグナーガール達が、魔法陣と共に戦場から霧散する。
かくして魔王は消滅し、猟兵達の手で、その目的を完膚無きまでに挫かれたのであった――。
成功
🔵🔵🔴