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7thKING WAR㉓〜汝、黒の試練となる者

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『パラダルク』 #導入はありません

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●其は黒き過去
 白と黒の衣装をまとう娘を従え、若い姿と年経た姿に揺らぐ男は、横柄に猟兵たちへと告げた。
「ここは行き止まりだ、他をあたれ」
 力の差を理解できぬほど愚かではあるまい。
 だが、猟兵たちは畏れ退くどころか立ち向かおうとさえしてくる。
 その姿は、ああ、同じだ。
 明日をまっすぐに睨み、どれほど傷つこうとも立ち向かってくる。
 ならばと、若い姿に揺らいだ男──パラダルクは吼えた。
「私の力を知っても向かってくるならば……碎輝と同じくお前達も、私が乗り越えるべき『試練』という事だ!」

●汝、黒を討つ者
 不快げに顔を歪ませて、スフォルツァンド・スケルツァンド(バーチャルキャラクターのバロックメイカー・f10365)は、竜め、と唸るように声を絞り出した。
「パラダルクが現れた。これは、ガチデビルが特級契約書で呼び寄せた「異世界の魔王」だ」
 銀河帝国攻略戦において登場した「実験戦艦ガルベリオン」と同一艦と見られる戦艦が停泊しており、このパラダルクは、その中で何らかの「儀式」を行っているようだ。
 倒せば儀式は止まるが、パラダルクは「万物を女の子(ドラグナーガール)に変えるユーベルコード」を持ち、自然現象やこちらの攻撃はもちろん、時間さえも女の子化して操ってしまう。
 もう一度言う。
「自然現象やこちらの攻撃はもちろん、時間さえも女の子化して操ってしまう」
「地味に嫌な要素が混じっているなあ……」
 もしかして、戦闘になったら有無を言わさず女の子にされてしまうんだろうか。
 嫌だなあとか可愛い女の子になる自信がねーわとか渋い顔になる猟兵たちに、女の子みたいな外見のスフォルツァンドがむぅと唸る。
「猟兵は女の子にされないからとりあえず安心してほしい」
「それは優しい」
「優しいか?」
 それはともかく、対峙するパラダルクは過去属性『アンヘルブラック』の力を体現した「若い姿のパラダルク」であり、必ず先制攻撃をしてくる。この先制攻撃に対処することが鍵となるだろう。
 可能ならばパラダルク自身を撃破したいところだが、と思案する猟兵たちに、グリモア猟兵は首を振った。
「パラダルクの完全な撃破は難しい。挑戦する価値があるかはお前たちに任せるが、無意味に消耗する必要はない」
 パラダルクは超がつくほどに強敵だが、必ずしも倒す必要はない。
 その背後で「儀式の舞」を踊るドラグナーガールたちを倒し、儀式を阻止することでも目的は達成される。
 もっとも、パラダルクが簡単にそうさせてくれるはずはないのだが。
 いかに相手が強敵であろうとも、決して気圧されることなく挑む彼らに、グリモア猟兵は笑みを浮かべる。
「任せたぞ、猟兵。俺はここで待つ。お前らが吉報と共に戻ってくるのを」
 声に心からの信頼を含みそう告げて、猟兵たちを送り出した。


鈴木リョウジ
 こんにちは、鈴木です。
 今回お届けするのは、過去との戦い。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●召喚魔王『パラダルク』
 ガチデビルが特級契約書で呼び寄せた「異世界の魔王」です。
 銀河帝国攻略戦において登場した「実験戦艦ガルベリオン」と同一艦と見られる戦艦が停泊しており、その中で何らかの「儀式」を行っているようです。
 この実験戦艦ガルベリオン内部での戦闘となりますが、広さ等については一切戦闘に支障がないものとします。
 パラダルクを倒せば儀式は止まりますが、パラダルクは「万物を女の子(ドラグナーガール)に変えるユーベルコード」を持ち、自然現象やこちらの攻撃はもちろん、時間さえも女の子化して操ってしまいます。
 なお、猟兵は女の子にされませんので、そちらの対策は不要です。
 【超強敵】ですが、その背後で「儀式の舞」を踊るドラグナーガールたちを倒し、儀式を阻止することでも「シナリオ成功」となります。
 過去属性(アンヘルブラック)の力を体現した「若い姿のパラダルク」は、必ず先制攻撃をしてきます。
 倒すか、儀式を破壊して撤退させれば勝利です。
 しかしパラダルクは、戦力を0にしても完全な撃破は難しいようです。

●プレイングボーナス
 このシナリオには、以下のプレイングボーナスがあります。
=============================
 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す。
=============================

 なお、🔵が成功数に達すると判断して以降のプレイングの採用を見送らせていただく場合があります。
 ご了承ください。
 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』

POW   :    パスト・ガールズ
レベルm半径内を【ドラグナーガールの大軍】で覆い、[ドラグナーガールの大軍]に触れた敵から【ユーベルコードの使い方の記憶】を吸収する。
SPD   :    リピートコード
【戦場内のドラグナーガールのいずれか】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、戦場内のドラグナーガールのいずれかから何度でも発動できる。
WIZ   :    パラダルク・パラダイム
【水光土火樹薬風毒氷闇の十属性】によって【ドラグナーガールの軍勢】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月夜・玲
知らないの?
行き止まりって言われたら、通りたくなるのが猟兵さ


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
此方のユーベルコードをコピーするなら…受け止められないやつを使えば良いだけ!
【Duplicate Myself】起動
分身を召喚するんなら…受け止めようも無いでしょ
分身に空の記憶とKey of Chaosを渡して、後は私自身の技で戦うのみ!
分身と一緒に踊っているドラグナーガールを狙うよ
まずは『斬撃波』でパラダルクに牽制を仕掛けて一瞬でも注意を逸らさせて、一気にドラグナーガールに接近しよう
踊ってる女の子を斬るのは気が引けるけど…『なぎ払い』『串刺し』にして1体ずつ倒していこうかな


桐嶋・水之江
なんでもドラグナーガール化して操るねぇ…
実験体調達し放題じゃないの
その能力私にくれない?
ダメ?ケチ

UCをパクった上で先制攻撃を仕掛けてくるのね
でもそのUC、こんな所で使えば儀式会場の艦内は滅茶苦茶よ?
そもそもワダツミを操縦してないわよね?
仮にワダツミを召喚したらハッキングで掌握させて貰うわ
ワダツミを作った私に掛かれば造作も無いわよ

守る側が使えば不利になるUCをパクらせる
…これが先制攻撃の対処よ

そしてそのUCが海神之剣よ
外に待機してるワダツミを遠隔操縦でこの場に突っ込ませるわ
ガルべリオンの迎撃機能は予めハッキングで破壊しておくわ
私の身柄はエレノアに回収させて退避
後は水之江キャノンを発射するだけよ



 実験戦艦ガルベリオン内部。
 儀式として踊るドラグナーガールと、それとは別のドラグナーガールを侍らせた若い男……召喚魔王『パラダルク』は、対峙する猟兵たちを睥睨する。
「ここは行き止まりだ、他をあたれ」
 居丈高でもなく慇懃尾籠でもなく、ただ事実だけを告げられた猟兵たちの応えは明らかだった。
「知らないの? 行き止まりって言われたら、通りたくなるのが猟兵さ」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)がばさりと切り捨てると同時に、黒衣のドラグナーガールたちがぴりとした気配をまとう。
 もちろん、通らせる……猟兵たちの望むままにさせるはずもない。
 《RE》IncarnationとBlue Bird、ふた振りを抜刀し、玲は攻撃態勢に入る。
(「此方のユーベルコードをコピーするなら……受け止められないやつを使えば良いだけ!」)
『人格エミュレイト……分身生成開始』
 寸時で現れた自身の分身に、残りのふた振りである空の記憶とKey of Chaosを渡し、後は彼女自身の技で戦うのみ。
「分身を召喚するんなら……受け止めようも無いでしょ」
 果たしてそうだろうか。
 結論から言ってしまえば、それは違算だった。
 もとよりそっくりで気付きにくいが、ドラグナーガールたちの姿が少し増えている。彼女たちがコピーできるのは、攻撃だけに限らない。
 しかし、ユーベルコードによらない武器を持つ玲と違い、敵は分身を含めて武器を持たない。数が少し増えただけならば、直接的な脅威はそれほど増えていないと言えるだろう。
 一息に踏み込み、剣閃から斬撃波を放ちパラダルクに牽制を仕掛ける。
 ただの攻撃を防ぐなど造作もない。あっさりと防がれたが、狙いはパラダルクそのものではない。
 一瞬でも注意を逸れたところを、一気にドラグナーガールへと接近していく。
 呼気を鋭く吐きながら振り抜いた一閃は、しかしわずかにかすめただけ。
「二刀流なんて怖いわね! ……きゃっ!」
 抗議めいた声を上げたドラグナーガールは、間髪入れずの次の一手を避けそこなって刃をまともに受けてしまう。地に濡れて倒れた個体を退けて、新たな1体が玲に飛びかかっていった。
「なんでもドラグナーガール化して操るねぇ……」
 パラダルクの意のままであるドラグナーガールたちを見やり、実験体調達し放題じゃないの、とうそぶく桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)。
「その能力私にくれない?」
「断る」
「ダメ? ケチ」
 ほぼ即答に、不満を隠さず言い返す。もしくは、実力で奪えということか。
 だが、ドラグナーガールの1体が喚び出した巨大な艦影を認め、ふっと笑みを深めた。水之江のよく見知ったそれの名はワダツミ。空海宇宙対応のワダツミ級強襲揚陸艦。
 それを見た猟兵たちのなかに、「この空間、こんなものも入るんだ……?」と思った者もいたかもしれない。
「UCをパクった上で先制攻撃を仕掛けてくるのね。でもそのUC、こんな所で使えば儀式会場の艦内は滅茶苦茶よ?」
 超絶究極天災科学者の対策は、突拍子もなく過激で派手で極端でシンプルだった。
(「守る側が使えば不利になるUCをパクらせる。……これが先制攻撃の対処よ」)
 強襲揚陸艦をパラダルクは一瞥し、それから周囲のドラグナーガールたちが不安げな様子を見せることに気付いた。いくら自分の支配下に置いてあると分かっていても、こんなものが大暴れでもしたら被害は想像できない。
 その隙をついて、玲と分身が儀式の踊りを続けるドラグナーガールへと斬りかかる。
(「踊ってる女の子を斬るのは気が引けるけど……」)
 だが、手加減することはできない。阻止しようと立ちふさがるドラグナーガールも相手に、なぎ払い串刺しにして1体ずつ倒していく。
 不意に、なにか目に見えない波紋が、艦内に広がる感覚がした。何かがおかしい。
 それと察した幾体かのドラグナーガールは、周囲を警戒し原因を探ろうとする。パラダルクもまた、その妙な違和感を理解しようとするが、それは「ワダツミを召喚していなければ分からない」ものだった。
「そもそもワダツミを操縦してないわよね?」
 自身で召喚したワダツミを、ドラグナーガールはしかしそれ以上の動作を行わせることができない。
 言うことを聞かないと焦る彼女に、ハッキングで掌握させて貰ったと告げる水之江。
「ワダツミを作った私に掛かれば造作も無いわよ」
 支配権を奪った強襲揚陸艦は、敵にとっての脅威でしかない。
 そして、外に待機している本来のワダツミが、水之江による遠隔操縦でこの場に現れた。
 サイキックキャバリアのアークレイズ・エレノアに自身を回収させて退避した直後、ワダツミに搭載された水之江キャノン、正式名称をハイパーメガビーム砲というその超大口径の艦載装備が、とてつもない熱量を吐き出す。
 実験戦艦ガルベリオン内部で。
「何だと!?」
「ちょ、ちょっと待っ……!」
「ウソでしょー!!」
 さすがのパラダルクも衝撃を隠せず声を上げ、ドラグナーガールたちが慌てふためき戸惑い逃げようとするが、そんな余裕は与えられるはずもなく。
 あまりにも一方的な砲撃いや攻撃に、角持つ娘たちは逃げる間もなく灼かれ、その数を大きく減らした。
 ……としか言えない、圧倒的な蹂躙。
 しかし、まだ戦いは終わらない。
「戦艦、壊れなくてよかった……」
 そんな安堵の言葉が、どこかでぽつりと聞こえてきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
ちょっとパラダルクさん本人を滅ぼすのは難しそうですわねえ。
とは言え、ここ魔界で好き勝手させるつもりはありません。
先の戦争で協力してくれた碎輝さんに関わる事でもあるようですし儀式だけでも潰させてもらいましょう。

先制対策
敵WIZUCによる軍勢。『アルテミシアの翼』から魔弾による弾幕を張りつつ、敵の攻撃を見切り、『クロノスの大鎌』で弾き、あるいは回避して初撃を凌ぎます。

しかる後に『氷獄の魔帝』を発動。
真の姿に変身。変身後の強さ、無限の魔力のありったけを籠めて戦場全体を絶対零度の氷獄で覆いましょう。(範囲攻撃×全力魔法)
パラダルクさんはともかく踊るドラグナーガール達はしとめます!


荒谷・つかさ
●POW対抗

ま、試練なのはお互い様って所ね。始めましょ?

・行動
召喚されたガール軍団に対し、一見無対策で接触
その後不敵に「風よ炎よ、大地よ水よ!我に力を!」と叫んでからガールズへ本気の「怪力」任せの格闘戦を仕掛ける

・対策内容
「ユーベルコードを使用しない」&「持ち前の怪力をユーベルコードによるものと偽装して戦闘する」
私の怪力は生半可なユーベルコードで得られるレベルを凌駕しているため、偽詠唱も含めれば混乱を招けるはず
よしんばバレた所で「怪力」による戦闘能力が減る訳でもないので、気にせず儀式をぶち壊す
ついでに可能なら特に意味も無くパラダルクも一発殴っとく

これが埒外ってやつよ。お分かりいただけたかしら?



 猟兵たちによる規格外の妨害を受けてなお、儀式の踊りは続いている。
「ちょっとパラダルクさん本人を滅ぼすのは難しそうですわねえ」
 自身では直接攻撃を行ってこないパラダルクを前にして、黄金色に輝く縦ロールを背に払い、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)はふうっと息を吐いた。
「とは言え、ここ魔界で好き勝手させるつもりはありません」
 それは、女帝たる彼女の矜持。
 たとえどれほどの強敵であっても、認めるわけにはいかないのだ。
「では、どうするというのだ」
 問うでない問いを投げるパラダルクの周囲に、減った数よりも多くドラグナーガールが現れる。多くは踊りに混じったり猟兵たちとの攻撃に構えているが、仲間を回復しているものも少なからずいた。
「もう! 無粋なんだから!」
 パラダルクに近づかせないためにか、儀式の邪魔をさせないためか、或いは両方か。
 ドラグナーガールたちは、無礼者を処断しようと猟兵へと食らいつこうとするが、アルテミシアが黄金に輝く光の翼を広げ、羽型の魔力弾による弾幕を張り、接近を許さない。
「ま、試練なのはお互い様って所ね。始めましょ?」
 恐れなど無縁と言わんばかりに、荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)が大量の敵勢に対し接触していく。
「考えなしに突っ込んでくるなんて、脳筋なの?」
 あまりに単純な行動に、当然ドラグナーガールたちは包囲しようと集まってくる。
「風よ炎よ、大地よ水よ! 我に力を!」
 不敵に叫び、避けるどころかむしろ積極的に格闘戦を仕掛けてゆく猟兵は、一見無対策で無謀に思えただろう。何しろ、ただ触れるだけでも猟兵たちには不利になるのだ。
 すぐに無力化されるだろうと判断して、別のドラグナーガールたちがアルテミシアへ襲いかかる。
「あなたはもう少し賢いかしら?」
「パラダルク様を滅ぼすなんて言うんだもの!」
 挑発しながら集団で攻め込む敵の攻撃を、女帝は見切りかわして、手にしたクロノスの大鎌で弾く。
 得物を振るう間を突いて仕掛けられた一撃を回避し、パラダルクを見据えた。
「先の戦争で協力してくれた碎輝さんに関わる事でもあるようですし儀式だけでも潰させてもらいましょう」
 それに対する応えは、やれるものならと告げる視線と、猟兵たちを取り囲む大勢のドラグナーガールだった。
 が、しかし。
「おかしいわ? 攻撃の手が変わらない」
 女帝の相手をせず、無謀な羅刹を取り抑えようと執拗に攻撃していた1体のドラグナーガールの疑問に、周囲もまた同じ意見を持つ。彼女たちに触れれば、ユーベルコードの使い方の記憶が奪われるはずだ。
 だが、からくりを知れば当たり前のことだった。
 つかさはユーベルコードで強化されているわけではなく、またユーベルコードによる攻撃をしているわけではない。
 純粋な、生半可なユーベルコードで得られるレベルを凌駕している怪力を乗せた攻撃は、ユーベルコードに匹敵する威力を有している。そうと知らなければ、ユーベルコードによるものだと誤認してしまうだろう。
 となれば、どれほどドラグナーガールが触れてユーベルコードの使い方の記憶を奪おうとしたところで、その威力が変わるはずもないのだ。
 そしてその手の内がバレても、極限まで高めた自身の力を奪うことはできない。
 つまり、戦闘能力が減る訳でもないので、気にせず儀式をぶち壊すことができるのだ。
「姑息ぅ!」
 悲鳴じみたクレームごと薙ぎ払い、つかさは一度ドラグナーガールたちから距離をとる。
 その背後で、黄金の輝きが不意に強さを増した。
「さあ、審判の時です」
 アルテミシアの言葉とともに、黄金の翼が漆黒へと変じ、六対十二枚の翼を持つ熾天使が現れた。
 尽きず損なわれることのない無限の魔力のありったけを籠めて放たれた絶対零度の氷獄は戦場全体を覆い、ドラグナーガールたちは悲鳴を上げる間も与えられず氷像と化していく。
 そうならなかったものも、狂奔するつかさの攻撃を食らって崩れるように倒れるばかり。
「パラダルクさんはともかく踊るドラグナーガール達はしとめます!」
 戦場を蹂躙する氷獄の険しさをいっそうに強めるアルテミシアの宣言を受け、目を細めたパラダルクの眼前に、羅刹が躍り出た。
 渾身の力を込めたただ一発の拳は、しかし、あっさりと受け止められる。
 これで倒せると思ってはいない。意味もない。ただ。
「これが埒外ってやつよ。お分かりいただけたかしら?」
 やはり不敵に告げる猟兵に、魔王は眉をひそめたに留めるだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
TSしてみたい気がしないでもない拙者だ

迂回しろと言われると通りたくなるよね!などと申していたら周りを【軍勢】に取り囲まれた拙者だ…軍勢?急に発生させたの?そういった演算処理に高負荷かける行為しちゃダメでござるよ!
ほら見ろ【物理演算の神】がご降臨だ!んもー迂闊に軍勢とか増やすからー

うわーお戯れのバグでガール達がガール達だったものに!具体的には身体が尋常じゃなく伸びたり…高く打ち上げられたり…上半身だけ回転したり…
何かしらの儀式だったのが邪教のサバトに…

儀式どころではないなったので土遁して離脱しますぞ!
ついでにこいつはお土産でござる!ガール一体をゴム鉄砲みたいに弾かせてパなんたらに向けて飛ばす!



「TSしてみたい気がしないでもない拙者だ」
「私の能力はそういったものではないので期待に添えかねる。他をあたれ」
 うむ、と首肯するエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)を、微妙な丁寧さでパラダルクが拒んだ。
 まあそう言わず。
「迂回しろと言われると通りたくなるよね!」
 などと言っていたら、
「むしろ帰ってほしいわ!」
「儀式の邪魔よ!」
 いつのまにか、ぐるりと必要以上のドラグナーガールに囲まれていた。
 外野から見れば女の子からもみくちゃ寸前ハーレムなのだが、実際は残念ながら少しでも隙を見せた瞬間にフルボッコにされる一触即発の場面である。
 それほどに密度の高い空間に、一瞬で変化していた。
「軍勢? 急に発生させたの? そういった演算処理に高負荷かける行為しちゃダメでござるよ!」
 エドゥアルトが唇を尖らせてブーイングしたその時、不意に空間が軋んだ。
 否、それは空間ではなく、そこに存在するオブジェクトそのものに作用する。
「ほら見ろ物理演算の神がご降臨だ! んもー迂闊に軍勢とか増やすからー」
 真摯に気遣っているとも、ふざけて茶化しているとも取れるエドゥアルトの悲嘆を訝しむ、ドラグナーガールたちの間で異変が起きていく。
 それは一見不可解な現象であり、しかしある条件で定義すれば当然の現象だった。
「うわーお戯れのバグでガール達がガール達だったものに!」
 具体的には身体が尋常じゃなく伸びたり……高く打ち上げられたり……上半身だけ回転したり……。
 なかには具体的に表現できない状態のものや、もはや原型を留めていないものもあり、あっという間に狂気に侵された阿鼻叫喚の場と化す。
 何かしらの儀式だったのが邪教のサバトに……いや、それよりもなおひどい。
「縺?繧後°縺溘☆縺代※」
「縺励※窶ヲ窶ヲ縺薙m縺励※窶ヲ窶ヲ」
 かろうじてヒトの形を残すドラグナーガール『だったもの』から、人には理解し得ないノイズめいた音がぞぶぞぶと立つ。
 もはや戦うのはおろか儀式の継続は難しいと判断したエドゥアルトの取った行動は。
 儀式どころではないなったので土遁して離脱しますぞ! と、身を翻し、すぐそばのドラグナーガールに目を止める。
「ついでにこいつはお土産でござる!」
 1体のドラグナーガールをゴム鉄砲みたいに弾かせて、パラダルクに向けて飛ばす。
 奇矯な挙動を示すそれを造作なく叩き落としたパラダルクは、きり、と唇を引き結んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神宮時・蒼
……?
…ぜんぶが、おんなのこに、なる?
…ちょっと、いえ、だいぶ、意味が、わかりません、が…
…ちなみに、もともとが、女性、だったら、どうする、の、でしょうね

何だかもう、頭がぱーん、しそうな敵ですが
後ろで踊る方を、倒せば、いいのですね
相手の先制攻撃は、【魔力溜め】で作った無属性の【弾幕】をぶつけて、遠くへ飛ばしてしまいましょう
それでも場に残っているドラグナーガールは【見切り】ながら、【衝撃波】でUCの範囲外へ

…時間を女の子にする、という概念が、よく分かりませんが
ちょっと理解出来なさすぎなので逆に見て見たいかもしれません
何て考えつつ、踊るドラグナーガールたちを【呪殺弾】を混ぜた【無月残影ノ舞】で切り裂きます
例え倒せなかったとしても
いずれ全ての感覚が汚染されてしまえば、立つ事すらままならないでしょう
そうすれば、踊りの儀式とやらも台無しになる筈です

…なんか、見た目は、麗しいの、でしょうけれど
…やっている事が、外道、過ぎるの、ですよね、あの、魔王
…魔王だから、いいの、でしょうか…



「…………?」
 パラダルクを前にして、神宮時・蒼(追懐の花雨・f03681)はううん、と唸る。
「……ぜんぶが、おんなのこに、なる?」
 なんだかふわっとした感じの説明だし、実際に目にしてもよく分からない。
 ……ちょっと、いえ、だいぶ、意味が、わかりません、が……。
「……ちなみに、もともとが、女性、だったら、どうする、の、でしょうね」
 たどたどしい問いに、パラダルクは冷めたような、呆れたような視線を返した。
 元が何であろうと、彼の能力に影響はない。そもそもが、それすら考慮に値しないのである。
「勘違いしているようだが、私の能力は、森羅万象……水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇の十属性にまつわるすべてを、ドラグナーガールに変えるものだ。何でも少女に変える能力ではない」
 とはいえ、確かに女の子に変えることには違いない。
 蒼は分かったような分からなかったような顔をし、こくんと首を傾げる。
「何だかもう、頭がぱーん、しそうな敵ですが」
 後ろで踊る方を、倒せば、いいのですね。
 幻出するドラグナーガールの軍勢と対峙しつつ口にし、手にする杖を構えた。
「もう! 邪魔ばっかりしていないで、さっさとどっか行きなさいよ!」
「どんなに悪あがきしたって、どうせパラダルク様には勝てないんだから!」
 儀式の邪魔をされ続けてこらえきれなくなった抗議を口々に叫びながら、強制的に排除しようと、ドラグナーガールたちが蒼めがけてなだれるように襲いかかる。
 蒼はただ1体も逃さないよう目をこらしつつ魔力を集め、無属性の弾幕をぶつけて遠くへ飛ばしてしまうと、場に残っている敵が接近し放つ攻撃を見切って、杖をゆるく振るう。
「っきゃん!」
 決して激しくはないはずのその動作から生まれた衝撃波に、したたか撃たれたドラグナーガールが遠く弾かれた。
 敵の増員を警戒して、ふと、思う。
「……時間を女の子にする、という概念が、よく分かりませんが」
 ちょっと理解出来なさすぎなので逆に見て見たいかもしれません。
 などと考えつつ、茉莉花の花と蔦が絡んだ鎌の刃に色彩をうつす。
「……此の、嘆きは、泡沫の、如く。……導くは、黄泉への、路。……蝕め、身を窶せ」
 詠唱を紡ぎながら、呪詛を纏った乱舞攻撃を放つ。甘い芳香をかすかになびかせての攻撃は、ドラグナーガールたちを斬り裂いていくが、一撃必殺までには至らない。
 だが、一撃で倒せるとも思っていない。この攻撃は、時間と共に侵食し、感覚を汚染する呪いで蝕んでいく。
(「例え倒せなかったとしても、いずれ全ての感覚が汚染されてしまえば、立つ事すらままならないでしょう」)
 そうすれば、踊りの儀式とやらも台無しになる筈です。考えて、無理に攻め込むことはしない。
 猟兵の思惑を知ってか知らずか、ドラグナーガールたちは執拗に追いかけて攻撃を仕掛ける。
「……なんか、見た目は、麗しいの、でしょうけれど」
 攻撃を受け流しながら、ちらと視線を向けた先、じりじりとした表情で睨む男。
 街角ですれ違ったら理由なく見てしまうくらいには端整な顔立ちで、少女たちをはべらせているのも、まあ、夢中になってしまう子もいるかな、と理解できる。
 本当に、ただの普通の人間であれば。
「……やっている事が、外道、過ぎるの、ですよね、あの、魔王」
 偉そうだったり強かったりする相手は他にもいた。しかし、ここまでの外道はなかなかいない。
「……魔王だから、いいの、でしょうか……」
 その独白は、ばたばたと倒れる音がかき消した。
 完全に呪詛に侵され投げ出されたように倒れ臥すドラグナーガールたちを足元に、完全に儀式を妨害され継続を不可能にされた魔王パラダルクは、言葉もなく立ち尽くす。
 その瞳に、ただならぬ情動を冩して。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月18日


挿絵イラスト