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7thKING WAR㉓〜蘇るクラブ・ガルベリオン

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『パラダルク』 #バズリ

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#召喚魔王『パラダルク』
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●予知:一人のためのディスコ、開店。
 ガチデビルが特級契約書で呼び寄せた、異世界の召喚魔王『パラダルク』。
 かつてスペースシップワールドで発生した銀河帝国攻略戦において登場したという、『実験戦艦ガルベリオン』と同一艦と見られる戦艦を停泊させ、その内部で何らかの儀式を行っているという。
 ガチデビルへの忠誠も、デビルキングの座への意識もない彼の目的とは……。

「いやあ、参ったなあ……どうしても、僕を見逃してもらう訳にはいかないのかい?」

 初老の姿をしたパラダルクが、うら若く美しい女の子を侍らせている。
 豪奢なソファに腰を掛けるパラダルクの後ろでは、数多くの美女・美少女が楽しくダンスを踊っている。
 天井に取り付けられたミラーボールが回転し、設置されたレーザー光が室内を眩く照らす。
 DJ(これも女の子です)が景気よくBGMを演奏し、中央の台座の上ではスパンコールのドレスを着込んだ女性が羽根付き扇子を振り回し狂喜乱舞を披露する。
 まるで90年代前半のディスコの如しフロアであった。
 その部屋の主、パラダルクは中空に視線を向け……グリモア猟兵の予知に目線を合わせて、呟く。

「僕は君たちと戦う必要がないんだけど。
 あくまでも、碎輝を……かつての僕を殺した仇敵を捜しているだけなんだ。
 デビルキングワールドとか、勝手にやってくれ。ほか、迂回路もあるしさ」

 彼は未来属性(ディアブロホワイト)の力を体現しており、この場に猟兵たちが駆け付ける状況を予測しているようだ。
 しばしの沈黙の後、パラダルクはため息をつき、頭を振る。

「やれやれ……忙しいのに、子どもの相手をさせられることになるのか。
 これも召喚された代償ってことかな……。仕方ない。
 時間を操り、成長をも封じる『無敵』の僕の持つ力。
 《万物を女の子(ドラグナーガール)に変えるユーベルコード》でお相手しよう。
 君たち猟兵の攻撃は勿論、自然現象や時間・空間でさえも女の子化して操ることができるのだと言ってもなおやってくるのなら……君たちに敗北を教えてあげようじゃないか」

 元気なドラグナーガールたちの歓声を聴きながら、パラダルクはソファに座ったままカクテルドリンクを口に含んだ。

●招集:強大な敵、出現る。
 グリモア猟兵、フカヒレ・フォルネウスが、予知した内容をプロジェクターで投影させ、居合わせた猟兵たちに報告する。
 そこに映し出された召喚魔王の一人、『パラダルク』の姿を見て、幾人かの猟兵が固唾を飲む。

「……僕は新参ゆえに事情はよく知りませんが、なんとも厄介な相手のようですね。
 何にせよ、放置する訳にはいきません。皆さんの力をお借りいたします」

 フカヒレがグリモアでワインを嗜みながら、状況を説明する。

「パラダルクに従う女の子たち……ドラグナーガールたちのダンスタイム。
 楽しく踊る彼女たちの行為それこそが、『儀式の舞』なのです。
 このままどこぞの御殿にリンクしそうなこの儀式が成功してしまえば、パラダルクが竜神親分『碎輝』の住む世界を特定してしまうことでしょう。
 そうなったどうなるか、僕には想像することもできません」

 仇というほどの間柄。決して、平和的な邂逅になることは、あるまい。
 二人の対面を防ぐためにも……そして、ガチデビルの目論見を打ち砕くためにも。
 パラダルクの計画を阻止しなければならない。

「彼は、パラダルクは超! 強敵です。油断できない圧倒的な実力者です。
 そのため今回は本体を撃破するより、儀式を阻止することを目的と致します。
 ……もちろんですが。別に倒してしまっても構いませんよ?」

 茶化すフカヒレだが、その視線は真剣だ。
 バブリーなダンスをしているドラグナーガールたちにおいても、パラダルクとの連携や未来属性の効果を受けて、並々ならぬ強敵として抵抗するだろう。
 ……案外、真剣にぶつからずダンスに紛れると油断を誘うことができるかもしれない。

「手段、方法は皆様の判断に任せます。
 僕はここでゲートを開き、維持することが務めですので……。
 それでは、皆さんの活躍を信じて待ちます……行ってらっしゃいませ」

 ぐいっと残るワインを飲みほして、フカヒレがグリモアを起動する。
 ゲートの行き先は、実験戦艦ガルベリオン。
 万物を女の子に変える恐るべき魔王との戦いが始まる。


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。

 今回のシナリオは一章構成です。7thKING WARの戦争シナリオとなります。
 『パラダルク』の背後で踊る『ドラグナーガール』を撃破し、儀式を阻止することが目的です。
 パラダルクの撃破を目指しても構いませんが、彼は非常に強力であり、今回のシナリオでは完全に撃破することはできません。難易度が非常に高く、失敗することが予想されます。ご注意ください。

 プレイングボーナスは、『踊るドラグナーガール達を倒す』ことです。
 また、パラダルクは先制攻撃ユーベルコードを行うため、『敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』ことが必須条件となっております。
 パラダルクより先にユーベルコードを使用することはできないので、ご注意ください。
 パラダルクは余裕を持っているため、その油断を突くことができれば効果的と思われます。

 オープニング公開後、断章を公開します。
 プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
 皆様、よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『召喚魔王『パラダルク』ディアブロホワイト』

POW   :    ガールズ・ポシビリティ
自身の【下僕であるドラグナーガール】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[下僕であるドラグナーガール]は【可能性を使い果たしたこと】により破壊される。
SPD   :    フューチャー・ルーラー
【ドラグナーガール達と連携し、精神支配魔術】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【以降の動き方や使用ユーベルコード】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    パラダルク・フューチャー
召喚したレベル×1体の【ドラグナーガール】に【ガルベリオン鋼の機械兵器とダンス技術】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

イラスト:モツ煮缶

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:座して待つ享楽の王。

 実験戦艦ガルベリオンへと転移してきた猟兵たち。
 踏み入った先は、パラダルクのダンスホール。
 ステップを踏んで左右に動き、手や腕を小刻みに動かすパラパラ・ダンスをしているドラグナーガールたち。
 彼女たちのダンスを楽しむように眺めている、初老のオブリビオン。
 異世界の召喚魔王『パラダルク』が、猟兵たちに背を向けて座していた。

「来たね、六番目の猟兵たち。
 未来属性のドラグナーガール、『ディアブロホワイト』が見たとおりだ」

 白い服を着たドラグナーガールが嬉しそうに微笑み、黒い服を着たドラグナーガールが頬を膨らませて不機嫌をアピールする。

「ははは、『アンヘルブラック』。お前の力を蔑ろにしている訳じゃないさ。
 ただ、彼ら相手なら僕の力と未来属性だけで十分という話だよ」

 予知通りの豪華なソファに腰を下ろしたまま、スキンシップ(このシナリオは全年齢向けです)をしているパラダルクは、余裕を保っているようだ。

「ま、せっかく来たんだ。僕と一緒に楽しむなら来るといい。
 帰りたくなったらいつでも帰ってもらって結構。
 ただ……儀式の邪魔をするというのなら」

 パラダルクが指を鳴らすと、パラダルクに侍っていた白色と黒色のドラグナーガールが立ち上がり、踊っていたドラグナーガールの何人かと共に猟兵たちに向き直る。
 愛らしい見た目とは裏腹に、並のオブリビオンを上回るプレッシャーが猟兵たちに降りかかる。

「戦いたいなら彼女たちが相手をしてやろう。
 どうせ、勝ち負けは目に見えているけどね」

 そう云い放ち、パラダルクはグラスに注いだ上質のウィスキーをロックで呷る。
 余裕をかましている魔王の鼻をあかすことができるか、猟兵たち!
スピカ・ネビュラスター
や~ら~れ~た~
(先制攻撃を受けて倒される)

なーんてね。ラスボスをそう簡単に倒せると思ったかい?
『無限に再臨せし災厄』で復活して戦闘を続けるよ
ずるい? それは褒め言葉だね
使うウィッチクラフトは星型のエネルギー弾とかで、この場に合わせてキラキラ派手に行こうかな

ボクは復活するけど、その子達は使い捨て
それに耐性も積み重なっていくからね
ドラグナーガールがいなくなったら……パラダルク、キミの番だよ

可能な限りパラダルクの撃破を目指して戦うけど……
あまりに埒が開かないようなら、隕石落としのウィッチクラフトで、ガルベリオンの外壁ごと儀式を粉砕するよ

●アドリブ歓迎


雪・兼光
●SPD
あのハーレムキング(パラダルク)の鼻をへし折ってやりてぇが…

★先制対処
第六感を使って可能な限り避ける
逃げ道を塞げれないように情報収集で避けながら間合いを伺い行動する
可能なら相手に回り込んで相手を盾にする要領で、ドラグナーガールを盾にする

楽しんでくれたかい?
俺のダンスは

ユーベルコードを範囲攻撃、2回攻撃、乱れ打ちを使ってドラグナーガールを蹴散らし開始

俺の動きを覚えられたら、たまに鳥メカ達の支持無視で独自で動く

どうだい?どのタイミングで俺の考えて動くとか楽しみにならないか?
読めてるんなら反応できるんだよなぁ?
これも読めてるんだよなぁ?
(ユーベルコードを解除してブラスターで撃つ)


アルテミシア・アガメムノン
余裕綽々ですわね!
まあ、事実として現状で彼を討つのは無理みたいですが……
それはそれとして儀式は潰します。
魔界で好き勝手出来ると思わないことです!
パラダルク自身もその内、討ってあげますわよ!

先制対策
敵POWUCで強化されたドラグナーガールさんですが……
とりあえずは回避に防御専念です。
『アルテミシアの翼』で魔力弾による弾幕をはりつつ第六感と見切りを駆使して凌ぎましょう。

先制を防いだ後は『明星の栄光』を発動。
無限の魔力で増大化した戦闘力。その全てを凝縮して魔力爆発を起こします。周辺一帯を爆破!
踊るドラグナーガール達では耐えられないでしょう。

わたくし自身は爆破のタイミングで転移離脱です!

ごきげんよう!


ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
ばぶりー……ぱらぱら?(困惑)
対策は、悪魔的視力で敵の攻撃に当たらないこと。
敵の攻撃が魔術攻撃である以上は、ボクのダガー錬成と同様に魔力やその辺のものの動きも「視て」、敵の動きを盗み先読み回避。室内を照らすレーザー光も厄介だけど贋作の悪魔なら真贋も見分けなきゃね。

隙を見て【ショータイム!】音ゲー風に光る、パネル型魔法陣を高速展開!光るパネルを踏んでおどろうよ、踏み外したらパネルミミックがパックン!(成否判定は嘘で騙し討ちだけどね!実はデザイン泥棒のダンスフロアで実体と幻を自在に切り替える精巧な贋作。落とし穴もあるよ)
上質のウィスキーも盗って、味だけマズい贋作にすり替えちゃえ


荒谷・つかさ
生憎と私、敗北は身体に刻んでもらわないと判らない質なのよ。
だから……私を負かしてみてくださらない、魔王サマ?

・先制攻撃対策
ひたすらに「怪力(筋肉)」の鎧で防御を固め、ダメージの軽減に努める
未来や可能性というものが相手の手中な以上、回避という不確定要素は相手の有利にしか働かない
なので攻撃は最低限の牽制に留め、確実な防御を選択し続けて未来を収束させる
その上で、コードが使えるようになるまで耐えれば実質私の勝ちよ

【超硬再生・仁王降臨】発動
気功術による超硬化と回復で以て私の状態を振り出しに戻し固定
あとはガールの自壊まで待つだけ
先制で発動した以上、三分後の自壊は確定された未来よ

我慢比べなら負けないんだから


国栖ヶ谷・鈴鹿
●SPD 連携OK

【先制対策】
精神支配魔術も厄介だ。
きこやんの結界術と白鈴晶燈の狂気耐性、防御陣を張ってダメージは凌ぐとしても“記憶”されるのを乗り越えるには……。

【厭穢欣浄パラダヰムシフト】
改編するまでだよ!
……パラダルク達じゃない、敵味方を選別、“ぼくら”を改編して、ユーベルコヲドで覚えられた未来を改編する!

……何回も使える技じゃないけど、切り返しなら、ここからできるよ!魔術は結界術に反転逆凪を改編付与、パラダルクへの目眩しの一矢、本命は、厭穢欣浄を儀式のドラグナーガールを改編して、存在を現象や属性にまで回帰させること。

キミが未来を見ることが出来るなら、ぼくは未来を変えるまでさ!


鬼鉄・マオ
アドリブ・協力歓迎
お前を殴る理由か?…仕事なんでな。悪く思うな。
とはいえ、お前の能力には少し興味がある。私の怪力による破壊力が人になったら、お前はどこまで制御できる?過去と未来に体が揺らぐようなら、万能って訳では無いだろ。
いくぞ。未来が見えるなら、避けてみろ。こいつが地面に当たるだけでも、儀式は台無しになるからな。(全力でUCを放つ)
私の攻撃を擬人化するか?ならば私はそいつと殴り合いをするだけだ。私の攻撃は周囲を巻き込みがちでな…。私は自分の攻撃を食らっても死なない自信があるが(激痛耐性)、お前達やこの部屋はどうだろうな。
まあ、あれだけ余裕かましてたんだ。何があっても別に構わないだろ?


夜久・灯火
【黒猫】
今更だけど万物を「女の子」って凄いパワーワードだよね。
まあ、倒せなくても邪魔はさせてもらうよ。
頑張ろうね、有栖ちゃん。

武器は黒猫式・サーチドローン10体、シールドドローン6体を用意。
敵の先制攻撃には、シールドドローンを用いた【結界術】に雷の【属性攻撃】を乗せて攻撃を防ぎながら迎撃か、【軽業】で回避しよう。

そのまま襲ってくるドラグナーガールの相手をするよ。
【落ち着き】ながら敵の攻撃を防いだり回避して、サーチドローンの機関銃で反撃。
UCの弾丸を使った【ハッキング】も利用して行動も阻害しちゃうおう。

後、有栖ちゃんの方に注意が向かないように目立つように立ち回って【時間稼ぎ】も忘れずにね。


結城・有栖
【黒猫】
とんでもない能力ですが、何で女の子なんでしょう?

「有栖は知らなくていいと思うヨ?…教育に悪いシ。」

そうなんです?兎も角、儀式を止めましょうか。
灯火さんもよろしくです。

敵の先制攻撃は【野生の勘】で【見切り】、【軽業】で避けます。
そして、灯火さんが戦って注意を引いてくれてる間にUCで姿を隠して【目立たない】様にします。

ウィンドボードに乗って敵の上をこっそりと飛び越え、背後で踊ってるドラグナーガールを強襲です。

「後ろががら空きダネ。」

頭上から想像暗器(クナイ)に雷の【属性攻撃】を乗せて、【念動力】で射出して攻撃します。
命中した敵を中心に雷を拡散させて周囲の敵を巻き込んで【範囲攻撃】です。


メンカル・プルモーサ
…なかなか余裕のある事で…その余裕を崩してみようかな…

…ドラグナーガール達が召喚されたら…まずは術式障壁を張って防御を固めめるよ…
…そして障壁に浮かぶ紋様に潜ませた浸透破壊術式【ベルゼブブ】を機械兵器に感染させて同士討ちをさせるよ…
…更に戦艦もハッキングしてレーザー光を操って目潰しをしたり防衛兵器を稼働させてドラグナーガールの足止めを優先…
…その間に【竜屠る英雄の詩】を発動…装備に竜殺しのが意念を付与しよう…
…後は踊るドラグナーガール達を術式装填銃【アヌエヌエ】で射撃…儀式の邪魔をした上で…
…黎明剣【アウローラ】から魔力の刃を伸ばして一閃…予知された未来諸共ディアブロホワイトを切り裂くよ…


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】
※愛機一式は【S・トリックスター】で等身大装甲ドレスに変換

アンタ自身に興味あるからね
女子の好みや作り方とか♪

◆先制
行動成功率は未強化か
なら代表のD娘と3分間ダンス勝負で油断励起♪
《瞬間思考力》で見切った攻撃をスカート内【ヴァルカン】の推力や
体内【マトリクス・メモリ】の『ワープ発生源』で躱しつつ
【8】『円環』由来の激しい輪舞っ

◆攻撃
ホールに陽光はないし【サイバー・ディーヴァ】で超ハイ♡
耐久力頼みに飛び込み《瞬間思考力》の電脳制御と
【O・マッスル】のパワーで【リゲル・T】を駆使して
キャバリア並のパワフルな剣舞を披露♪

この(ダンス勝負時に破壊された)D娘、引き取っていい?
可哀想そうだしさ♪



●『享楽』たちの前に立ち。

 実験戦艦ガルベリオンに踏み込んだ猟兵は、11名。
 一瞥することもない召喚魔王『パラダルク』を前にして、各々の志気を告げていく。

「……なかなか余裕のある事で……その余裕を崩してみようかな……」
「やれやれ……倒してしまっても構わないって? 言ってくれるじゃないか。
 ま、可能な限りパラダルクの撃破を目指して戦うけど……さて」

 三世界の技術を統合してオリジナルの術式としている優れたるウィザード、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が静かにパラダルクを見据えており、
 天に輝く星を司る魔女、スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)は可憐な表情を邪に歪め、目を光らせて笑っている。
 この方、ラスボスです。可憐な見た目の、ラスボスです。


「今更だけど万物を「女の子」って凄いパワーワードだよね」
「とんでもない能力ですが、何で女の子なんでしょう?」
「有栖は知らなくていいと思うヨ? ……教育に悪いシ」
「そうなんです?」

 黒猫亭から駆け付けたのは、ドローンを随伴させている猫っぽいキマイラの少女とフードの付いた赤い衣服を着たオウガブラッドのアリスナイト。
 夜久・灯火(キマイラの電脳魔術士・f04331)と結城・有栖(狼の旅人・f34711)だ。
 パラダルクがなぜ女の子に限定しているのか不思議に思う有栖に、共に生きる友人のオウガ『オオカミさん』は気にしなくてよいと諭す。
 まだ12歳の有栖に、パラダルクのアレコレを説明するのは早いと判断しているようだ。

「まあ、倒せなくても邪魔はさせてもらうよ。頑張ろうね、有栖ちゃん」
「はい、兎も角、儀式を止めましょうか。よろしくです、灯火さん」


「余裕綽々ですわね! まあ、事実として現状で彼を討つのは無理みたいですが……」
「あのハーレムキング(パラダルク)の鼻をへし折ってやりてぇが……」

 デビルキングワールド制覇を目指すアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は鋭い目つきでパラダルクを見つめているが、無謀な戦いではなく作戦遂行を念頭に、行動を思慮している。
 自称悪魔さんと同盟を結んでいるという雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は、一般的なハンドガンサイズの『ブラスター』を手にしてパラダルクを睨みつけている。

「それはそれとして儀式は潰します。
 魔界で好き勝手出来ると思わないことです!」
「了解です、ボス」

 アルテミシアを王とする魔王国に籍を置く兼光は、用心棒としても意気込んでいるようだ。


「ばぶりー……ぱらぱら?」
「あまり気にしなくていいぞ、ユニ。とにかく潰せばいいんだ」
「なるほど……おっけー♪」

 また、同じ魔王国の一員である二人の少女も傍にいる。
 贋作の悪魔のシーフにして魔界盗賊である少女、ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)は世代的にもバブルやパラパラの知識は無いようで、ドラグナーガールたちの様子に困惑している。
 金属バットと『滅殺』の文字が入った特攻服を愛用する傭兵、鬼鉄・マオ(怪力特攻傭兵・f33724)はそんなユニに声をかけ、考えすぎそうになっていたユニをリラックスさせていた。

「面白そうなものもあるし……倒すのが難しくても、できることはあるもんね!」
「戦う必要がない、か。まあ、こちらにはお前を殴る理由がある。
 ……仕事なんでな。悪く思うな」


 そんなマオたちに好意の視線を向ける羅刹もいた。

「その通り。ひたすらに、筋肉で押し通せばいいのよ」
「ぼくも力を尽くすよ。なんたって、天才だからね!」
「わーお♪ 剛毅だね」

 華奢で小柄な大和撫子、のように見える脳筋。
 戦国の世より代々伝わる戦闘流派・荒谷流の正統後継者、荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)が優しく微笑み、
 前衛的な発明品や時代を超越した超機械を作る、天真爛漫で大胆不敵なハイカラ少女。
 特級パーラーメイドであり、一流パテシエイルとして腕をふるう多才な才能の持ち主、国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)が不敵に笑い、

 クロムキャバリア出身の医者にしてキャバリア傭兵兼フィクサー、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(マッド&セクシーなリリー先生・f30386)が量産型重量級キャバリア『ナインス・ライン』を、様々な現象の物理的再現を行う可変式記録媒体『マトリクス・メモリ』の力を変換する光る腕輪『シフト・トリックスター』を使用することで、等身大装甲服ドレスに変換して装備していた。

「アタシはアイツ、パラダルク自身に興味あるからね。女子の好みや作り方とか♪」
「うん、万物を女の子(ドラグナーガール)に変えるユーベルコード、ね。
 それに、未来予知、か……。精神支配魔術も厄介だ」
「ふーん、いろいろ考えるのね。
 ……生憎と私、敗北は身体に刻んでもらわないと判らない質なのよ。
 だから……私を負かしてみてくださらない、魔王サマ?」

「……ああ、なんだ。まだいたのか」

 つかさに語り掛けられ、魔王『パラダルク』がグラスから口を離し、それでもなおソファから腰を上げようとしない。

「それじゃ、ドラグナーガールたち。可愛い子犬(パピー)たちと遊んでやれ」

 白色と黒色のドラグナーガールを臨時の司令塔として、ダンスホールの中にいるドラグナーガールたちが猟兵たちに襲い掛かる。
 猟兵たちは儀式を食い止めるべく、各々の判断で連携し、あるいは独走し、行動を開始した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●ダンスタイム・キャプチャーガール。

「や~ら~れ~た~」
「スピカさんがやられたー!」

 真っ先に白色のドラグナーガール『ディアブロホワイト』の拳を受けて、スピカがやられた。
 驚愕する猟兵一同であったが、その気楽な様子から何か手があるのだろうと判断して、それぞれドラグナーガールたちの攻撃へと対処していく。

「まあ、あの様子は演技でしょ。さて、と」

 そんな最中、リーゼロッテは一人お立ち台の上で羽根付き扇子を振るうドラグナーガールへ向かい歩き出す。
 武器を抜かず、襲い来るドラグナーガールたちを踊るようにいなしつつ、ドレスのスカート内にある急速侵攻用マグナ・ブースター『ヴァルカン』の推進機能を利用して颯爽と舞台に上がる。
 スパンコールのドレスを着込んだドラグナーガールと、リーゼロッテが対峙する。

 そして、発動する敵のユーベルコード《ガールズ・ポシビリティ》。
 パラダルクの下僕であるドラグナーガール一体を対象とし、行動・攻撃の威力を三分間三倍にするユーベルコードだ。
 ただし……対象として選ばれたドラグナーガールは、未来の可能性を使い果たしたことにより三分後に破壊される。
 ドラグナーガールはリーゼロッテを排除すべく、三倍の力で扇子を振りかざす。

「ここはダンス勝負と行こうか♪」

 笑って、リーゼロッテは体内に仕込んでいる『マトリクス・メモリ』を行使して、ワープ発生現象を再現する。
 意思を持つ預言書型メガリス『8(ユイ)』から由来する円環事象と組み合わせ、現れては消え、輝き踊る輪舞を披露する。
 DJドラグナーガールのアップテンポのミュージックに合わせ、タップを踏んで、ステップを披露して、神出鬼没に跳ね回る。
 スパンコールのドラグナーガールの攻撃を合わせ、クルリクルリと、狂理繰瑠璃と、二人が踊る。
 リーゼロッテは美事に跳躍る。

 そうして、瞬く間に三分が経過する。
 お立ち台の上のドラグナーガールが効果時間を終え、膝を落とす。
 その身をさっと抱き留め、リーゼロッテはソファに座るパラダルクへとニヤリと笑いかける。

「ダンス勝負はアタシの勝ちだね。この娘、引き取っていい?」
「なんだ、壊れた女が好みか? 好きにするといい」
「なら遠慮なく♪」

 リーゼロッテは優しくドラグナーガールを『ナインス・ライン』の内側へと収納する。
 そして、リーゼロッテを討とうとにじり寄って来る周囲のドラグナーガールを見渡して微笑む。


「ホールに陽光はないしね。《サイバー・ディーヴァ》ON♪
 ―――アッハァ♡」

 ミラーボールが照らす中、リーゼロッテがユーベルコードを起動する。
 《Op.NULL:CYBER DIVA(サイバー・ディーヴァ)》。
 それはリーゼロッテ自身の徹夜対策であり、そして肉体・電脳・欲望などの抑制をすべて捨て、ハイテンションを魅せる電脳女神状態に変身するユーベルコードだ。
 欠点として太陽光を浴びると頭に黄色いダメージが及ぶのだが、ガルベリオンの艦内では魔界の太陽すら届かない。

「アハハッ! キモチイイッ! さぁ、アタシをもっと楽しませてよぉ♡」

 超ハイッ! になったリーゼロッテは、リミッターを解除した電脳女神の耐久力に任せ、『ナインス・ライン』の武装を展開する。
 格闘強化用シリンダー『オウガ・マッスル』の出力で、多機能型可変武装『リゲル・タクティクス』を振り回す。
 リーゼロッテがお立ち台の上から飛び降りて、群れるドラグナーガールの真っ只中へ飛び込んだ。
 大剣の形状をしている『リゲル・タクティクス』が、薙ぎ払われ、振り回され、叩き込まれる。
 5m級の機械兵器、キャバリアのパワーを濃縮した人型兵器が大いに暴れる。
 先程と打って変わったパワフルな剣技が、ミラーボールの灯りの下で輝いていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●王を守護りし白一点。

「あ~れ~」
「くっ、スピカさんがやられるとは……! やりますわね!」
「あの人さっきもやられてたよな……?」

 アルテミシアと兼光は、回避と防御に専念していた。
 幾人かのドラグナーガールに《ガールズ・ポシビリティ》が施され、三倍の力で襲ってきている。
 その上、ソファに腰掛けるパラダルクが気まぐれに精神支配魔術で攻撃してくるのだ。
 ドラグナーガールたちと連携して放たれる《フューチャー・ルーラー》が命中してしまえば、それ以降の未来が……動き方や、使用するユーベルコードを覚えられてしまう。

 アルテミシアは黄金に光輝く『アルテミシアの翼』から羽型の魔力弾による弾幕を張り、ドラグナーガールたちの接近をけん制している。
 兼光は逃げ道を塞げれないように立ち回り、ドラグナーガール同士が射線上に並ぶように配慮して駆け回っていた。
 二人ともに優れた第六感を有しており、パラダルクが視線を向けた瞬間ドラグナーガールを盾にして《フューチャー・ルーラー》から身を守っていた。

「ふぅん。なかなか動くじゃないか」
「楽しんでくれたかい? 俺のダンスは」
「別に? 男の踊りなんて見てても楽しくはないさ」

 不服そうに眉をしかめてウィスキーの入ったグラスを口につけるパラダルク。
 パラダルクの意識が逸れた一瞬の隙に、兼光はアルテミシアを背にしてユーベルコードを発動させる。

「来い、お前ら! 指示を頼むぞ! 2匹とも!!」
「でちでちでちー! でちたちにおまかせでちー!!!!」
「……でちこ、五月蝿い」

 《bird intelligence(バードインテリジェンス)》。
 二羽の戦術AI搭載の鳥メカ、『でちこ』と『ベージェ』を召喚し、自身を操らせる自己強化型のユーベルコードだ。
 兼光の動きに慣れてきていたドラグナーガールたちは、急に動きを変えた兼光に対応できず、『ブラスター』に撃たれていく。
 連射される『ブラスター』が、的確なスナイプでドラグナーガールの頭を破壊していく。
 そうして次々にドラグナーガールを減らしていく。

「どうだい? どのタイミングで俺の考えて動くとか楽しみにならないか?」
「ほほほ! お見事ですわ、兼光さん!」

 ご満悦のアルテミシアは、力を溜めているようだ。まだブッパする時ではないと。
 勝ち誇る二人に、パラダルクが舌打ちをして吐き捨てる。

「チッ……いい気になるのも今のうちさ。
 所詮カラクリのプログラム。ドラグナーガールはすぐに適応するとも」
「そうかい。読めてるんなら反応できるんだよなぁ?
 当然……これも読めてるんだよなぁ?」

 再び、鳥メカたちの指示に従ってドラグナーガールに『ブラスター』を向け……。
 ようとしたところで、兼光がアルテミシアに銃口を向ける。
 アルテミシアの背後に忍び寄って来ていたドラグナーガールの額を、零距離射撃で撃ち抜いた。

「お見事」
「アンタの言う未来ってのは、俺の鳥たちのことか?
 それとも俺の動きか? はたまたアルテミシア様の指示か?
 見抜く眼力は持ってないみたいだな?」

 苛立ち、グラスをサイドテーブルに叩きつけるパラダルクの視線を受けながら、兼光とアルテミシアはドラグナーガールたちを貫いていく。
 そして、他の仲間たちもまた、活躍しているのだった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●怪力、剛力、暴力無双。

 パラダルクの後方、出入口の付近では、つかさとマオが《ガールズ・ポシビリティ》で強化されたドラグナーガールたちを相手に肉弾戦を繰り広げていた。
 猟兵たちが撤退する時のルートを塞がれないようにするため、二人の力自慢が立ち塞がっているのだ。
 その戦闘の余波でスピカがまた倒されていた。

「このボクがやられるとは~」
「……何か企んでるわね、あの人」
「まあ、そうだろうな……」

 話している間にも、三倍に強化されたドラグナーガールが拳を握って襲い掛かって来る。
 素の状態でも強力なドラグナーガールたちが、ダンスを維持したまま踊るように繰り出される格闘技。
 つかさはその身の筋肉(怪力)の鎧で受け止め、マオは黄金バット『無銘』で受け止めて、防いでいる。
 それでもダメージは確実に二人の身体に響いているが……つかさは筋肉で耐え忍び、マオは気合と根性で耐えている。
 パラダルクが未来属性という不確定要素を手中に収めている以上、不用意な回避や反撃は相手の有利に働きかねない。
 そのため、つかさもマオも最低限の牽制攻撃に留め……堅実な防御という一点に集中していた。

 そして、つかさとマオに連撃を繰り出していたドラグナーガールたちが、突如糸が切れたように崩れ落ちていく。
 三分間という、短くも長い時間の中、二人は一歩たりとも動くことなく耐えきったのだ。

「……三分、経ったな」
「これで実質、私たちの勝ちよ」

 即座に、二人がユーベルコードを稼働させる。
 つかさが発するのは、《超硬再生・仁王降臨(ニオウ・アーマー)》!
 気功術による超硬化と超回復により、蓄積されたダメージをすべて完治させた。
 使用中は全く動けなくなるというデメリットも、門番の役割をこなすには問題にならない。
 もはやドラグナーガールたちに、つかさの未来を砕くすべはない。

「私も我慢比べなら負けないんだから」

 出入口の確保をつかさに託し、マオはドラグナーガールたちに目もくれず、パラダルクへと近づいていく。
 肩に担いだ黄金バット『無銘』を握りしめ、一足飛びで殴りかかれる距離で、立ち止まる。

「パラダルク。お前の能力には少し興味がある」
「へぇ? 何かな、その鉄棒を女の子にして欲しいとか……」
「私の怪力による破壊力が人になったら、お前はどこまで制御できる?」
「おっと、そういう手合いか」

 マオの視線は、パラダルクではなくその下。
 ガルベリオンの床に向けられていた。

「過去と未来に身体が揺らぐようなら、万能って訳では無いだろう。
 いくぞ。未来が見えるなら、避けてみろ。
 ―――こいつが地面に当たるだけでも、儀式は台無しになるからな」
「おいおい、僕の船を壊そうっていうのか? はぁ……。
 ―――ちょっとお痛が過ぎるぞ、小娘」

 振り向き、睨みつけるパラダルクと視線を交わし、マオは全力で金属バットを振り上げる。
 単純で重い金属バットの一撃を叩きつける《重爆星壊撃(ジオサイド)》が、パラダルクめがけて振り下ろされる。
 パラダルクが回避すれば、直撃を受ける床は……ひいてはガルベリオンは無事では済まないだろう。

 それをわかっているためか。
 その衝撃を、パラダルクはドラグナーガールへと変換する。
 《万物を女の子に変える力(ドラグナーガール)》は、猟兵のユーベルコードですら女の子にする。
 マオの眼前に現れたドラグナーガールは、マオの放った衝撃と同等の力量を発揮して、マオに殴り掛かった。

「私の攻撃を擬人化するか? 面白い。ならば私はこいつと殴り合いをするだけだ」

 マオと、マオのパワーから生まれたドラグナーガールが拳で殴り合う。
 その衝撃の余波だけで、近くにいたドラグナーガールが吹き飛び、気絶していく。
 ソファに腰掛けるパラダルクは痛痒を感じない様子であり、《超硬再生・仁王降臨》で身を固めているつかさにも影響はない。

「いいわよ、そこ! 頑張れー!」
「ははっ。私は自分の攻撃を食らっても死なない自信がある。根競べだ」
「チッ。面倒な奴だ……」

 余波でグラスが割れる前にウィスキーを飲み干そうと、パラダルクが一気に呷ろうと手にし……。
 眉をひそめて、床に叩き落す。

「ふざけたことをしてくれるな、小娘」

 その挑発は、マオとパラダルクのやり取りの間にユニが行った成果であった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●俊敏なる少女たちのダンス。

「対策は当たらないこと。これに尽きる!」
「だね。ボクも有栖ちゃんも身軽な方だ。ボクが目立つように立ち回ろう」
「その間に私たちとユニさんがこっそり動くんですね。わかりました」

 乱戦となる前、ユニと灯火、有栖の三人はそのように話し合い、連携を構築していた。
 ユニの悪魔的視力が迫るドラグナーガールの動きを先読みし、時折パラダルクが連携攻撃で放って来る《フューチャー・ルーラー》は魔力の動き、流れを視て回避していく。
 有栖も野生の勘で《ガールズ・ポシビリティ》を施されていないドラグナーガールを見つけ、軽業で彼女たちに近づいて翻弄していく。
 灯火自身も身軽であるが、10体の『黒猫式・サーチドローン』と6体の『黒猫式・シールドドローン』を展開して、バリアを展開して身を守る。

「うーわー、もうだめかもー」

 四回目のスピカが《フューチャー・ルーラー》の流れ弾を受けて倒される様子を一瞥しつつ、灯火は冷静に対処していく。
 強力な《ガールズ・ポシビリティ》には『サーチドローン』に搭載した機関銃と『シールドドローン』のレーザー射撃でけん制し、落ち着いてドラグナーガールたちに対処する。
 特にレーザーは、艦内の光源であるレーザー光に紛れるために、避け辛いようだ。
 派手な銃声とレーザービームの光が目立ち、ドラグナーガールの意識は自然と灯火へと向いていく。

「身を隠すなら影の中です」

 そう呟く有栖の姿を、誰も認識できていない、
 《想像具現・狩人の影(ソウゾウグゲン・シャッテンイェーガー)》。
 自身と武装を想像力で生み出した影のオーラで覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にするユーベルコードが、煌めくダンスホールの中で有栖の存在を目立たなくしていた。。

 影のオーラを纏ったまま、風の魔力を宿した『ウィンドボード』に乗ってこっそりとドラグナーガールの群れをすり抜け、飛び越えていく有栖。
 その標的は、戦いに参加せずに『儀式の舞』を続けている、最後方のドラグナーガールたちであった。DJもここにいる。
 気づかれていない有栖は、ゆっくりと想像力で具現化する『想像暗器』でクナイを作り、雷属性の付与して射出する。
 踊るドラグナーガールたちの頭上に広がったクナイから、拡散された電撃がドラグナーガールたちを襲った。

 ドラグナーガールたちの断末魔の悲鳴が響き渡るが、各地で繰り広げられている戦いの音にかき消される。
 そして、その騒ぎに乗じてユニもまた動き出す。

「―――大怪盗も真っ青、騙りの摩天楼。稀代の贋作師。偽物は真物に。
 真物は偽物に。偽りの王冠を腕輪に。始めよう、騙り語れ―――ショータイム!」

 詠唱完了と同時に、リズムゲームのように光り輝くパネル型の魔法陣がガルベリオンの床に敷き詰められていく。
 それはただのパネルではない。ユニの生み出した盗賊魔術の代物だ。
 《ショータイム!》。
 それは、速度マッハ5.0以上の盗賊魔術で攻撃するユニのユーベルコードだ。
 真物改変・贋作生成・演出を含む数々の魔術は、しばらくの間実体と幻を自在に入れ替える、精巧な贋作が残り続ける代物だ。
 パネルはミミックとして稼働し踏み外したものを食らう……と見せかけて、実際にはダンスフロアの床と入れ替わり、踏み外さなくてもパックンと噛みつかれるという罠であった。
 錬成光や魔法陣展開の軌跡から飛び出す贋作。虚構を重ね築く、真贋揺れる騙りの魔境である。

 ユニが仕掛けたのは、折しもちょうど三分目。
 《ガールズ・ポシビリティ》をかけられたドラグナーガールたちが次々に破壊されていく時期であった。
 戦いに費やされたドラグナーガールたちは倒れ、あるいは鹵獲され。
 《ガールズ・ポシビリティ》による強化を得られていないドラグナーガールたちは猟兵たちのユーベルコードに粉砕されていく。
 踊るドラグナーガールたちも今、有栖の手によって鎮圧され、残るドラグナーガールたちもユニの盗賊魔術で一網打尽になっていった。

 ガルベリオンのダンスフロアで踊っていたドラグナーガールは、今や一体も残っていない有様だ。
 戦いを続けているドラグナーガールたちをすべて討てば、儀式の続行は不可能になるだろう。
 そして、余裕のできたユニはパラダルクの方へと目を向ける。
 パラダルクの意識は、金属バットを振り上げるマオに向けられている。

「えへへ♪ 贋作の悪魔なら真贋も見分けなきゃね」

 ユニはマッハ5.0以上の速度で上質ウィスキーの瓶を盗り、グラスも贋作にすり替えた。
 中身は味だけマズい贋作の酒であったが、それを口にする前に『ディアブロホワイト』の力で、パラダルクは予見したようだ。
 グラスを叩き割ったパラダルクは、にこにこと笑ってウィスキーの瓶を抱えているユニを見る。

「えへっ♪」

 パラダルクは激怒した。

「そうか、そんなに死にたいのなら殺してやろう!」
「させないよ!」「……お前が動くのを待ってた」

 ソファから立ち上がるパラダルクに、後光が光る鈴鹿とメンカルが立ちはだかった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●望まれる力と、望む力。

 鈴鹿とメンカルは、結界・障壁を展開することで防御を固め、ダメージを凌いでいた。
 鈴鹿に宿る稲荷狐『きこやん』と鈴蘭が優しく光る花のランプ『白鈴晶燈』が狂気を防ぐ結界陣を張り、メンカルは術式を構築することで障壁を張っていた。
 ドラグナーガールたちの猛攻を防ぎ切り、攻勢に出ない二人の狙いはドラグナーガールの排除ではなく……その後への対処であった。

 ドラグナーガールたちが壊滅したことで、パラダルクが追加のドラグナーガールを生み出そうとする。
 マオが打ち合っている者しかり……《パラダルク・フューチャー》を行使して、数十、数百のドラグナーガールを増員させようとする。

「……ここ」

 追加召喚されたドラグナーガールたちが現れた瞬間、メンカルが浸透破壊術式『【ベルゼブブ】』を発動させる。
 戦いの最中張り巡らせていた障壁に浮かぶ紋様に潜ませたものは、術式が潜んだ画像を認識した対象に対し 魔術、電子的に感染して影響を与える術式であった。
 《パラダルク・フューチャー》によって現れたドラグナーガールたちは皆、ガルベリオン鋼の機械兵器とダンス技術を身に着けている。
 それがあらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与えるのだが……メンカルの『ベルゼブブ』が、たちまち機械兵器に感染する。

 感染した機械兵器がドラグナーガールを攻撃し、同士討ちをさせていく。
 スピカがその中に飛び入り、五回目の撃破カウントを得た。もう誰もツッコミはいれない。
 その様をパラダルクは余裕を持って受け入れていた。
 それもまた……いつの間にかパラダルクの傍らに立っている、未来属性のドラグナーガール『ディアブロホワイト』によって予期していたのだろう。

「それが最後の悪あがきだ。さあ、未来はもう決まっている。
 お前の竜殺しの概念術式とやら、もらうぞ!」

 パラダルクの精神支配魔術がメンカルに向けて放たれる。
 命中すれば効果を発揮するこの技は、障壁では防げない。
 ゆえに、こそ。

 ハイカラさんが後光を照らす。

「ここはぼくの領域、さぁ、君の魂をあるべき姿へ!」

 鈴鹿の叫びに呼応するように、艦内全体に光が満ちる。
 ディスコの作った瞬きではない、人を優しく包み込む暖かな光が。
 鈴鹿のユーベルコード《厭穢欣浄パラダヰムシフト(プレヰング・ヱデン)》が広がっていく。
 泰然としていたパラダルクが、魔術を放った姿勢のまま硬直する。
 それは攻撃によるものではない。驚愕による衝撃での、心理的硬直だった。

「なんだ……これは……! さっきまで見えていた未来とずれているぞ!?
 あり得ない! 僕に対する効果なら、《万物を女の子に変える力(ドラグナーガール)》で忽ち支配下に置かれるんだぞ!」

 初めて狼狽する姿を晒したパラダルクに、鈴鹿は静かに告げる。

「……キミじゃない。この力は敵味方を選別する。
 改編するのは、ぼくたちさ!
 “ぼくら”を改編して、キミのユーベルコヲドで覚えられた未来を改編する!」

 《厭穢欣浄パラダヰムシフト》は、戦場全体に「敵味方を識別する理想世界再構築型ハイカラさん御光」を放つユーベルコードだ。
 通常は、理想世界改変による性質・形状の変化の状態異常とダメージを与えるユーベルコードであるのだが、鈴鹿はその権能を猟兵たちに用いることで……未来属性の対象から変化させた。
 理想世界再構築とは、時に魂そのものの核心に触れる、故に革新とは常に劇薬なのだ。
 使い方によって、それは毒にも……こうして薬にもなる。

「……何回も使える技じゃないけど、切り返しなら、ここからできるよ!
 メンカルさん!」

「厄討つ譚歌よ、応じよ、宿れ。 汝は鏖殺、汝は屠龍。
 魔女が望むは災厄断ち切る英傑の業」

「っ! やめろ、それを使うな、使うんじゃない!」

 鈴鹿に応え、パラダルクの言葉を無視し、メンカルはユーベルコードを発動する。
 パラダルクがこの場に猟兵たちが到来することを予知し、欲するために待ち構えたユーベルコード。
 自身の装備武器に竜にまつわるものを殺す竜殺しの概念術式を搭載する《竜屠る英雄の詩(ドラゴンスレイヤーズ・バラッド)》が、発動する。 
 濃紺の刀身を持つ黎明剣『アウローラ』から夜明けの如く東雲色を経て白色に輝く魔力の刃を伸ばし、予知された未来諸共『ディアブロホワイト』を一太刀、一閃にて切り裂いた。
 もう、今のパラダルクには未来を操作することはできなくなった。

「くそがああああ!!」
「キミが未来を見ることが出来るなら、ぼくは未来を変えるまでさ!」

 そして、仕上げが始まる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●圧倒的なパワー。

 鈴鹿が、倒れたドラグナーガールたちを対象として《厭穢欣浄パラダヰムシフト》を用いて改変していく。
 それは、反転逆凪を改編付与。
 すなわち、ドラグナーガールたちの存在を、元の姿である現象や属性そのものに回帰させることだ。
 パラダルクにより支配されていた存在を、解き放っているのだ。
 なお、リーゼロッテが鹵獲した娘と、マオと現在も仲良く殴り合っている女の子は対象外です。

「……お前たち、もう許さないよ……!
 儀式の為に揃えたドラグナーガールを消したのはまだいい、手間はかかるが再起できるからね……。
 だが、僕の予定を狂わせた……! その娘のユーベルコードがあれば、碎輝を殺す手札が増えたってのに!」

 勝手なことを宣うパラダルクに、アルテミシアとメンカルが笑いかける。

「あらあら、先程までの余裕が消え失せましたわね!」
「……ん。吠え面を観れて、満足」

 一触即発の空気の中、パラダルクが猟兵たちを害するべく力を籠める。
 その時だ。

「……うん? なんだ?」

 実験戦艦ガルベリオンが揺れた。
 艦内の照明が落ち、非常灯が点く。
 すなわち、パラダルクの制御から外れ、異常事態に陥っている様子だ。

「うまく行ったよ。ありがとうね、メンカルさん」
「……ん。成功。灯火も、お疲れ様」
「ほほ、お二人ともいい仕事をしてくださいましたわね!
 それではわたくしたちは撤退ですわ、ごきげんよう!」
「なんだ、お前たち、何をした! おい!」

 パラダルクを放置して、魔術による転移、隠密移動、普通に走って出るなど、様々な手段で猟兵たちはガルベリオンから脱出する。
 ガルベリオンが機能不全を起こした原因は、猟兵たちによるハッキングにあった。

 鈴鹿の《厭穢欣浄パラダヰムシフト》によって改変させられたこの現在において、灯火が《ハッキング・バレット》を放っていた。
 データから作り出した弾丸が命中した部位にハッキングして、ウィルスデータを流し込むユーベルコードによって、抵抗していたガルベリオンを100秒少々操作することに成功していた。
 この作業にパラダルクと対面していたメンカルもマルチタスクの要領で協力しており、スムーズに機能を掌握することに成功していた。
 後は……自爆させるだけ。

 ではない。

「くっ、後を追うか……」
「いやあ、みんなちゃんと離脱できて何より」
「……何で居る? いや、お前は……何だ?」

 念のため殿をしていたつかさと、マオとマオのドラグナーガールが殴り合いながら艦の外へと退避して……残されたのは、パラダルクとスピカであった。
 戦いの最中、ドラグナーガールたちに何度も倒されていたスピカをパラダルクはこの瞬間まで気に留めていなかった。
 ……何度も倒されていたことに気づき、今に至るまでスピカが『何』か未来属性で見えていなかったことに気づく。
 パラダルクが問いかけ、スピカが笑って答える。

「ボクは、ラスボスだよ。
 倒される度にその攻撃に耐性を持つ姿に変身する、《無限に再臨せし災厄》で復活して戦い続けてたのさ。
 一発目に『ディアブロホワイト』に倒されたから、目立たなかったんだよね」
「……? ……何だ、それは、……なんだそれは……それは!」

 それは、まるで成長し続ける碎輝のような力ではないかと。
 パラダルクが唾を飲み、目を見開いてスピカに手を伸ばそうとする。

「あ、残念だけど、さっきその攻撃はこっそり受けたからね。もう効かないよ」
「ずるいぞ、猟兵! その力を、僕に渡せ! よこせ!!」
「アッハッハ、ずるい? それは褒め言葉だね。さて、それじゃあお暇しよう」

 ズンッ……と、ガルベリオンが振動する。
 《ハッキング・バレット》が、機関部が爆破したのだ。
 そこへ、もう一撃加えるべく、スピカが嗤う。

「この場に合わせてキラキラ派手に行こうかな。撃破できれば最高だけど……。
 ここが残ってたら、また儀式されるかもしれないし、粉砕するよ」
「待て、何を言って……なっ、消えた!?」

 不意に、パラダルクの前からスピカの姿が消える。
 正確に表現するならば、外にあるスピカの本体の元へ戻っただけのことである。
 《無限に再臨せし災厄》は、倒される度に、その攻撃に耐性を持つ。
 そして、使用する度に負傷が回復し……同時発動出来るウィッチクラフトの数と身長が二倍になる。
 スピカは今回。計五回、変身していた。

 外に出た猟兵たちは、30mを超える青い星―――スピカの本体を見て驚いたことだろう。
 そして、天から降り注ぐ30個の隕石にも驚いたことだろう。
 立て続けに、ガルベリオンにメテオストライクが叩き落されていく。
 艦内では、パラダルクが天井を突き破って落ちてきた隕石に《万物を女の子に変える力(ドラグナーガール)》を行使して凌ごうとしているが、一体二体と女の子と化しても次々に降り注ぐ隕石に対応しきれない。
 機関部の爆発も合わさり、パラダルクは冷静さを欠いていた。
 

「ふざけるな! この僕を誰だと思っている! 森羅万象、全てを支配する、無敵の」
「ほほほ! これではインパクトが持っていかれますわね!
 ですが、これもまた良いでしょう! この力は全きもの、光をもたらすもの!」

 ガルベリオンの、開けっ放しになった出入口。
 全身を光り輝くオーラで覆ったアルテミシアが滞空して、そこに狙いを定めていた。
 十分に溜め込んだユーベルコード《明星の栄光(ルキフェル)》によって 無限の魔力で増大化した戦闘力を凝縮させた魔力を放つ。
 蓄えられた金色の魔力の奔流が、上下の危機に手いっぱいのパラダルクを襲う。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

 内部からの爆破。側面からの爆発。そして上部からの質量攻撃。
 圧倒的なPOWERを受けて、実験戦艦ガルベリオンは轟沈した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●その後。

 デビルキングワールドの荒廃した大地に、ガルベリオンの残骸が降り注いだ。
 粉々になった隕石と混ざり合い、原形をとどめておらず……もしドラグナーガールが残っていたとしても、儀式を続行するのは不可能なほど、木端微塵になっていた。
 そんな瓦礫の中、墜落してきたパラダルクが立ち上がる。
 彼は薄汚れているものの、……無傷だった。
 パラダルクは天を見上げ、すでに帰還した猟兵たちを探して……慟哭を上げる。

「猟兵共……あの、小娘共……! 絶対、赦さん、この恨み、忘れぬからなぁ!!」

 やはり、超強敵であるパラダルクを倒すことはできなかった。
 だが、当初の目的である儀式は阻止することに成功した。
 猟兵たちの、大勝利と言える結果であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月14日


挿絵イラスト