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わふ!だう!!(作者 いのと
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#アポカリプスヘル  #戦後  #奇天烈のルール・レル  #いつもどおりのプレイングお預かり式に変更します!!  #プレイング受付停止中 


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 アポカリプス・ヘル。
 ひろがるは黙示録の荒野。ひとたび拠点を出れば命はもちろん、命以上の何かすら失いかねない無法の大地。
 いまは、そこに一条の道が切り拓かれている。
 天から見ればちっぽけな道だ。曲がりくねり、ところどころ危ういところもあるだろう。
 だが、生き残った人々にとっては青き大河にも等しい道だ。拠点と拠点を結び、運ばれゆく様々な物資は立ち上がろうとする人類の血液たろう。
 そして。
 肥ゆる河が現れたのなら。
 泳ぐ魚を我が物にせんと狙う不届き者が現れるのも、当然の理であった。
 届くべき人に届く荷を狙い蠢くならず者の王はこう呟いた。
「いや正直無理だわ」
 えっ。
「無理」ボスは厳かに頷く。
「立ち上がりかけのパンピーキッチィ」
 待って?
「俺っちの筋肉バンド並みにパッツパツだわ」そういうのいいから。ポージングされても困るん……いいよォ!!キレッキレだよ!!
「猟兵(イェーガー)だっけ?ああいうのも時折現れるっしょ?マジでツレェわ……」
 えマジかよ本気で言ってる?ちょっとお待ちになっていただける?かっこよくルビ振りで猟兵呼んどいて諦める根性どういうこと?
「あとなんか襲った人の悲鳴ェが最近ちょっと胸にホンマつれェわ……」
 なんでそこで急に優しさ出すかなぁ……。
「大将……」
 そこまで眠れない夜もあったろう美しいポージングを決めるレイダーの王の元へ、渋面の配下がやってくる。
「ッの通りッスよォ!!」
 下っ端ァ!!「正味最近マジパンピーが立ち上がること滝を登る鯉の如しッスわ!!」お前に期待してたのに下っ端ァ!易々と賛成すんなそこは煽れよお前ならず者だろ!!アポカリプスヘルのみんなが元気でほんとよかった!!
「だよなァ……」
「もうこれは平和的解決しかねッスよ……」
 あーあもう……ねえちょっと、かっこよくナレーションしたじゃん、もうちょいさあ、もうちょっとさあ。
「つゥ訳で知性を得た賢いわんわんども――キャモン!!!」
 ピゥイッ!!
 下っ端の口笛と共に突然現れるは――様々なデスバイクやイモータルカーに乗った101匹は軽く超えてるわんわん!
「何ィ!!」フッ。下っ端はキザに笑う。
「コイツらはこないだ見つけた廃墟で目覚めさせた賢ェ動物達……」
 おっ、なんかいい感じになってきた。これよこれ、こういうの。
「コイツらをデスバイクやブラッド戦車に乗せて輸送隊を襲わせ奪わせりゃいい話でさァ……」
 あちこちで口にするもおぞましい車やバイクに乗るわんわんたちは、陽の翳りの中で眼を貪欲に輝かせている。
「お前ェ…!!」
 ライダーの王は上腕三頭筋の筋肉を見せつけるサイドトライセップスをやめてぶるぶると震えた。
「このキャンワイイワンちゃんたちによって平和的に奪取するッつー天才的なひらめきだなッ!!!」
 だめだ。
 もうだめだ。
 なんだよ平和的奪取って。
 感極まったラブアンドピースのベアハッグ。部下の胴締まってるよ。「これなら誰も泣かねェぜ!!」いや物資奪われた人は普通に泣く。あと今お前の部下が苦しみに咽び泣いてる。
「行けェお前ェらァ!!!お兄ちゃんお姉ちゃんたちといっぱい遊んでケツ毛一本残らず毮り取れェ!!」
 もうなんなんだよ。
 派手なエンジンの演奏を響かせ発進するすごいわんわんたちを、ベアハッグによる肋骨複雑骨折寸前な軋みを聞きながら下っ端は誇らしげに見送るのだった。
「なにせ狂犬病って書かれた薬ィ見つけて漏れなく打ちましたからねェ……あいつらはもう最強のケモノですよ」
 それは防ぐ方の薬なんだわ。

●いぬです。よろしくおねがいします。
「だそうです」
 犬の被り物をつけたイージー・ブロークンハートはきみたちにそう言った。顔が見えるタイプである。「何言ってるかわかんない?オレも」がんばれグリモア猟兵。
「舞台はアポカリプス・ヘル。拠点に向かう輸送隊が、バイクとか車を乗りこなす賢いわんわんに襲撃される」
 首にはめているガボガボの首輪の内側に手を入れてグルングルン回している。
「まあやるこたシンプルよ」
 イージーはその場に屈んで置いてあったわんわんのぬいぐるみを持ち上げてスイッチを入れた。かちっ!
「護衛しつつ荒野の道をぶっ飛ばしながら大量のスーパーわんわんをブッチぎってお荷物・お届け!」
 わんわん吠えながらその場で宙返りを始めるわんわん人形。 わんわん!!わんわん!!
「あ、乗り物が心配?現地の人が助けてくれるから安心して。車かバイクか三輪車か」おいこの男今三輪車つった。トンチキ車の匂いがやばい。「要望言ってくれればご用意してくれるはずだから」
 ……もちろんきみが何か良い乗り物を持っているなら利用するのも手だろう。
「手段は任せるよ」
 わんわん人形を足元でホップ☆ステップさせながらイージーは立ち上がる。
「なんらかの手段で親分を主張して納得させるとか、スピードの違いを見せつけてわんわんの視線を独り占めするとか、餌で懐柔するとか……自由でいいでしょ」
 まあ確かにそれならやりようはありそうではある。なにせわんわんである。わんわん!
「直接的暴力はあんまりおすすめしない」
 顎をぽりぽりとかく。
「賢いけどほんっと遊んでほしいだけのスーパーピュアわんわんだから、下手に攻撃に出ると知性の結晶・野生は剥き出しの暴徒の群れと化す」
 こっわ……。
「まあほら今回はつらいのも怖いのも一切ないから!!」
 犬頭の右下あたりに下がってる紐を男は楽しそうに引っ張る。わんわんの垂れ耳がパタパタうごいた。「気軽に気楽に適当にな!」こいつが一番楽しそうである。
「じゃっあとは現地でよろしく!!」
 にこにこ笑って転送を開始する。
「あ、そだ忘れてた」
 転送のきらめきの向こうから男が慌てて声をかけた。
「戦車出るから」
 えっ???
「出るから。戦車」子供がいるからみたいなノリで宣告された。「ほらあいつら賢いから」お醤油だからみたいなノリでサクッと言ってくる。「多分キリついたあたりで待ち伏せしてんのが出てくるから」
「そこは本気でやっちゃって」
 こ、こらーー!!!


いのと
 初めまして、あるいはお久しぶりです。いのと、と申します。
 いぬです。一匹も死なない・ひどい目に合わない方向で行きます。
 シリアスなど欠片もありません。
 かわいいわんわんどもから荷を守りつつ駆け抜けましょう。トンチキカーもあるぞ!

 オーバーロードに採用の差異はありません。
 今回はプレイングをお預かりせず、できるものを出来るだけでゆこうと思います。
 だいたい月曜日に執筆しています。
 お気楽にどうぞ!
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第1章 冒険 『ワイルドライフ・アニマルズ』

POW肉体言語または威圧感で親分を理解させる
SPD狩りの技術・スピードの違いを見せつける
WIZ頑張れば餌がもらえる事によって従順にさせる
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


□トンチキ度で言えばどっこいどっこいかやや上(こっちが)□

 拠点、ルール・レルを目指し突き進む輸送隊の中程をゆく女がハンドルにくくりつけられたホーン、ゴム球を引っ掴んでやかましい警告音を鳴らす。
「来たァ!!!」
「振り返るな!追いつかれるぞ!」最後尾の男が怒鳴る。
「キタキタキタキタキタキツネ!!!!!」

 おいトンチキの匂いが早すぎるぞ。
 
 仲間が制止するのも聞かず振り返った女が見るのは、知を得自らも乗り物を乗りこなす賢い動物たちだ。

 ロケット爆竹が満載されたバギーカーには片目に傷を負い義眼を嵌め込まれたシベリアンハスキー!
「はふ!!わふっふ!!(訳:こんにちは!!いぬです!!)」

 助手席には七色に毛を染められたゴールデンレトリーバー!
「ふっふ!!わふ!!わふわふ!!(訳:撫でて撫でて!!自慢の毛です!!そっちにはお邪魔していいですか!)」

 エンジンが改造され大地どころか道路すら飲み込もうとするトラクターには傷だらけのドーベルマン!
「わぶっしゅ(へくしゅん)」

 火炎放射器であちこち焼き払いながら追い縋るバイクにはポメラニアン!!
「きゅーん(これを押すと人間がふっとぶ)」

 ……。

 わかってた。

 わかってた、こういうのが来るって。

 思ってたのとちげえなっていうところだけれどあまりにも想定内。

 さまざまなデス・カーを賢さで乗りこなしながらあまりにもわんわんな様々なわんわんたちは尻尾を振りながら輸送隊に追いつかんとする。

「お願いします、猟兵さんッ!!」
 先頭を走る男が叫ぶ。「俺たちは――この機器物資をルール・レルに届けなきゃいけないんです!」

 そうとも想定内――ここからはきみたちの出番だ!

 きみたちはそれぞれの乗り物の上で身構える。走り出す際に借りたものだ。

 即ち。

 単車小型メリーゴーランド、車ほどもある高速ダッシュをキメる犬のおもちゃ(※音付き)、お腹を握るとすげえ声を出すニワトリを二匹つなげた形のハイパーカー!!
 などッッッッ!!!

 ……。
 
 どうして?

 どうしてこうなるの???

「えっ?」先頭を走る男は口がぱくぱくするシャークバイクを走りながら不思議そうな顔をする。「ルール・レルはおもちゃの工場なので」だとしてもこうはならんやろ。
「大丈夫ッ!お似合いです」
 似合っても困るねん!!
 かくてアポカリプスおもちゃゴーカートウィズ犬!!!!!

 何はともあれ、このひたすら遊んでもらいつつ荷物をぶんどろうというわんわんどもをどうにかしながら切り抜けなければいけない!
 ええいもうどっちが何してるかわっかんないぞ!!!
 ともかくゴー!!
 わふ!!だう!!

□舞台□
 拠点:ルール・エルへ向かう幅の広い道路。

□敵□
 とっても賢いわんわんxわふわふ!!ばう!!匹


□マスターからのお知らせ□

 今回はプレイングをお預かりせずかける時かけるだけ式となります。

 必然、お断りも多くなるかと思いますが、よろしければどうぞ。 

 ご希望のおもちゃ(※乗り物)がありましたら一筆くださいませ。
 それでは、ご参加お待ちしております。
〜MSからの業務連絡〜

限られた日数でかけるだけが難しいことに気付きました。
プレイングをお預かりし、後ほどご連絡いたします!
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携・ギャグ・キャラ崩壊諸々全部大歓迎】

あー、うん。
チキチキなマシンな猛レースっぽいのはな、
なんとなくだけど分かったよ、うん。
……てなわけでエントリーさせてもらうよ、この宇宙カブで!

………
テメェら無視すんなやァ!?
いいか!?
こんなどっか街の端っこでチンタラとろとろ走ってるような二輪でもなァ!?
おめーらアニマル共が乗ってるそのビークルに追いつき追い越しくらいはできるんだよ!

逆ギレ気味に『騎乗』してるカブを超高速モードに変形!
一気に『ダッシュ』して、『衝撃波』で周りのトンチキマシンどもをブッ飛ばす!
ついでにそこいらにボールかなんかでも転がしてやらぁ!
野生の衝動に敗北しやがれ!


□ご覧、あれがオープニング承認後最速でファースト・トンチキをキメにきた期待の星よ□

 情報過多だった。
 ツッコミどころが山になってファンファーレ鳴らしながら回転してる。
 エントリーナンバー1、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)。
 悲しきかなボケよりはツッコミ振り回され体質、多すぎるボケにちょっとツッコミが追いつかなかった。そんなあなたが可愛いです。
「……あー」
 しかしそこは腐っても腐らなくても魔法少女経験者。「うん」頷く。
 何度も何度も頷いて失いかけた正気を取り戻そうと深呼吸。
 カムバック正気、カムバック理性。
 間違えた。
 グッバイ正気、グッバイ理性。
「そうだな」
 そうですね。
 ボケの嵐にブチ込まれて流されず自分を保つ大事な基本はとりあえずグッバイ正気、グッバイ理性。
 全部受け入れてから冷静な情報整理と分析、判断ですね。
 そう、大事なのは正気を失いつつ冷静になる心です。

 たとえ。

 たとえ転送されて真っ先に見た護送対象がタイヤを二輪並行に備え付けた巨大遮光器土偶(上が動く)とかたまにUDCの商店街でみるラーメンの飾り(どんぶりから箸で掴んだ麺が垂直に伸びて電気で上下する、店名の書かれた電灯についてるアレ)をそのままでかくして四輪で走ってるとか目を光らせ宙返りしつつ進むエビフライとかどう考えても巨大ゴムボールとかに乗っているとしても。

「チキチキトンチキンマシン猛レースっぽいのはな」
 全力のスルー・スキルを発動してもっぺん大きく頷く。

 そうとも。
 たとえトンチキ護衛対象を追うのがバイクやトラックやオープンカーたちを運転するのがハッピバースデーサングラスをかけた皮がだるんだるんでお目目が隠れるようなブルドックとか、モップをそのまま四つ足にしたようなセピア毛が愛らしいマッチョスーツを着たコモンドールだったりしても。

「うん」
 あと後ろでよくお世話になってるライダーズモーテルの経営者が大量の烏を連れて飛行するシャチに脇腹つつかれるので時々バケツから餌を投げつつ肩に文鳥をとめてバイクで爆走してきてるとしてもだ。

 ……。
 ねえ。
 若干どころでなくやや上くらいで猟兵側のがトンチキじゃないこれ??????

「なんとなくだけど、分かったよ」
 それわかってよかったやつでござるか?

「うん」
 深々と何度も頷いて言い聞かせてるあたりアウトでござらんか????

「つまりレース…レースなんだよな……うん」
 そう、大事なのは正気を失いつつ冷静になる心。
 冷静な、冷静な心で見れば……。
 ……あっ。
 多喜ちゃん目に困惑の小宇宙またたいとる……。
 見んふりしとこ。

「レースなら黙って見過ごすわけにはいかないなァ……!」
 これは何もかもをヨシ!!!って気持ちで追い払った数宮・多喜!

 というわけで!!!
 今回この度は見て見ぬふりして帰っても許されるトンチキだと思わないでもないけれど!!!!!
 冷静な目で見れば真実はいつもシンプル!!!!!

「てなわけで、エントリーさせてもらうよ、このレースッ!!!」

 正気を失った冷静な目で見ればこれはレースッッッッ!!
 溢れるトンチキなど!!!!
 レースの前にそんなことはただの形に過ぎんのです!!!!!
 数宮・多喜、ここに参戦ッ!

 最後のモーテルの方のあのアレはあれだむしろなんだ!あれだ!
 逆にここでヘボキメるなんていうカッコ悪いとこは見せられないってやつだ!そういうことそういうことそういうことにしとこ!!お互い!!

「この――」
 多喜はエンジンを吹かせてまずはわんわんの一軍へと突入すべく追い上げる。
 手作りと思しきスパイク・タイヤの起こす砂埃やエンジン共の巻き起こす排気ガスを美しくかわす

「――宇宙カブでッ!!!!!!」
 突入ッ!!!

 わんわん共は自分たちと追いかけるおもちゃ軍団の間に突如割り込んだこの一人と一台に目を剥いた。
 そして――……

 ペプー。
 頭頂の毛を噴水柄に結えたヨークシャー・テリアがくわえたラッパを軽く鳴らす。

 ――なあんだ、おもちゃじゃなのかあ……。

 つまらなさそうに総スルーしてった――……。

「………」
 絶句する多喜の横を、虹色パーリーサングラスをかけた、どついたら倒れそうな薄くて大きい優美なボルゾイがイタリア系の真っ赤でお洒落なモンスター・バイクを転がしていった。
「ばふ(ふふっ)」自慢げに。
 うっわ……あれUDCアースなら200万くらいするやつだあ……ところであれ足どうなってんの?
 ……。
 …………。
「てっ」
 わんわん!きゃうんきゃうん!
 わんわんが絶句して停まった多喜をどんどん置いていきながら楽しそうにはしゃいでいる声がしている。
「テメェら……」
 多喜の体がぶるぶると震える。
 ねえねえ!あそんであそんでー!そんな感じだと多喜にもわかるぐらいのはしゃぎっぷりのイッヌたち。
 多喜だって今そこ行ったじゃん。一度追い抜いて見せたじゃん?なにこれ?なにこの扱い。
 ウェーブがかった茶髪が風ではなく怒気にゆらりと舞う。

 湧き上がるは怒りと悲しみと悔しさとのりたま味のふりかけ……!

「テメェら無視すんなやァ!?!?!?」
 バイカー魂にファイア・イン!!
 無視されて若干涙目がかわいいぞ数宮・多喜!!

「ナァアアアアアアアニが旧時代カブかーーーーーーーーーーッッッッッッッッ!!!」多喜ちゃん、それ誰も言ってないよ。「馬鹿にしてんのかチックショオオオオオオオオオ!!!?」ごめんて。「大事なのは形だけじゃねぇだろうがーーーーーーーーッッッッッ!!!」ほんとごめんて。

 涙目に灯った炎(いかり)はもはやこれでパラパラのチャーハンが作れる熱さ!!!

「いいかッッッッッ!!!」
 数宮・多喜、逆ギレ気味にゴッドスピードに心からライド!!!!

「こんッッッッッッッッなどっっかの街の端っこでチンタラとろとろ走ってるような二輪でもなァッッッッ!!!!?」

 右手と左手のギアを力一杯捻り上げ、同時にサイキック・エナジーにて宇宙カブに強制干渉ッ!

「おめーらアニマル共が乗ってるそのチャラチャラパアパアなビークルにッッッッッ!!」

 即ち答うるはエンジン内部その付近に眠るブラック・ボックスより変形展開。
 通常のカブにはありえない排気ジェット、補佐ブーストエンジン、空気抵抗をいなす装甲、機体は黒く――深く。

 唸れチャンバーッ!吼えろエキゾースト・パイプッッ!!
 かくしてカブの面影何処へや。

 変形・装着完了とともに、エンジンが火を噴く。

「追いつき追い越しくらいは――できるんだよッッ!!」
 一条、竜巻が如く。

 スペースシップ・ワールドですら駆け抜けられるこの一台に、どうして朽ちかけて踏みとどまるアポカリプス・ヘルが勝てようや。

「目ん玉ひん剥いてガン見しやがれッッ!!!」

 置いていかれた数分を、瞬く間で取り戻す!!

「ばふ……ふ!(なん……だと)」先刻のボルゾイが黒い烈風と見紛う多喜の走行を見送る。
「わっふ!!(あ!すごいくるまです!)」
 トランポリン軍団で遊びながら追っかけていたミニチュアブルテリア団が多喜を目撃。白い垂れ耳をぴんと動かす。

「オラァアアアアアアア!!!!!」
 そこへ!!!!!!
 マッドをマックスに怒りの多喜ロードをキメている宇宙バイカーが!!!

「きゃわわん!?(あ!!すごいこっちきます!)」
 白くたるんだ肌と黒斑に隠れたちいさなおめめをさらに輝かせるわんわんたち。
「きゃうんきゃぬん!!!(あれはたつまきです!たつまきです!)」「ぱうぱう!!(各員ぱらしゅーとそーび!!)」
 何事かを言いながら装着している荷物の端から出ている紐を加えたそこへ。
 
「どきやがれええええええええええええ!!!!!」
 衝撃を起こして再度突入ッッッ!!!!

 これらトンチキカーをふきとばすッッ!!!!

 もうどっちが暴走族かわっかんねーな。
 
 ……ちな弾き飛ばされたミニチュアブルテリアはというと。
「きゃうーんきゃうーん!(きゃっきゃ!きゃっきゃ!!)」
 衝撃波の風力とトランポリンを組み合わせて利用し最大級の空中散歩を楽しんでいた。
「おん!!おんおん!!(おねちゃんすごーいすごーい!)
 短い足を懸命に動かして空中遊泳するやつまでいる。

「見たかあたしの愛車の力をッ!!!!」
 多喜、片腕を掲げガッツポーズ。
 すげー青空に犬がたのしそうに泳いでてしあわせそう。「ふっ」その様子に少なからず和む。
「こいつは」
 多喜はついでに追いついた護衛対象のビニールボールプールカー――ちなみに鯛の形をしていて地上で跳ねるようにすすんでいく。どゆこと――その子供用入り口にサイキックで手をかける。「あっちょ猟兵さあん!」

「選別だッッッッッッ!!!!!!!」
 開かれる入り口、飛び溢れるビニールボール!!!!

 ただでさえ空中遊泳でハイテンションなわんわんどもが溢れるボールというこの欲望に勝てるはずもなく――……!

「野生の衝動に敗北しなッ!!!!!」 
 たからかな勝利宣言と共にボールを追いかけ散っていくわんわんたちを多喜は堂に入った笑みで見送るのだった。

 ちな拾って戻ってくるのも早かったしもう一回のおねだりされた。
 してあげた。
成功 🔵🔵🔴

エスタシュ・ロックドア
俺が跨るのはシンディーちゃんただ一機(断固)
こっちを見るなえびせん丸
俺の意志は固ぇんだ(ニシン投げながら)

シンディーちゃんに【騎乗】【運転】
『金剛嘴烏』発動
カラス×37とシャチと文鳥引き連れ【ダッシュ】
ワンコどもの前に出て【存在感】出すぜ
【動物と話す】
よう随分と元気が有り余ってるようじゃねぇか
俺らと遊んでくれよ

取り出すのはその辺で拾った角材
を、輸送隊から離れるよう明後日の方向に【怪力】でぶん投げる
おらおら早く取りに行かねぇと俺の子分どもが先に取っちまうぜ
取ってきた奴にゃご褒美をやろうな
これを繰り返しながら手なずけよう
なお文鳥は特に何もしねぇ(鳥のエサやりながら)

……正気に返ったら負け、負けだ


□とっても動物園□

 むにむに。

「――いいか」
 エスタシュ・ロックドア(大鴉・f01818)は風はためく音の中、低い声で告げる。
 彼の顔に浮かぶはこの上ない真剣な表情だ。光の加減か影も落ち、普段の気さくで剛毅な態度からは思いもしない静かな圧が放たれている。
 自由をこよなく愛するエスタシュにとってバイクを駆ることは彼が愛する自由の象徴そのものだ――表情は大抵に於いて明るく、時に溌剌と時には誇りの滲む剛毅な笑みがある。真顔など余程の事でなければすることもない。

 そう。
 今は、余程の事態なのだ。

「俺が跨るのはシンディーちゃんただ一機だ」
 額にメガリスを輝かせ空飛んでエスタシュの脇腹を突いてくる規格外に馬鹿でかいシャチ・えびせん丸の額を片手むにむにしつつ肩には文鳥をとめ37匹の烏を引き連れながらビーチバギーに満載のチャウチャウやバイクに誇らしげに乗るセントハウンドなどに囲まれているのだから。
 
 うーん、動物園。
 
「でもワンちゃん見てますよ」
 お椀からラーメンが出たり引っ込んだりするタイプのおもちゃバイク、両端に箱型のエネルギー・タンクを下げた女が尋ねてくる。ラーメンが箸にオカモチ引っ掛けて運んでるみたいだ。「絶対乗ったらいいですって」ラーメンがボケを押してくる。
「見てても乗らねえ」
 これ以上胡乱を足したら終わっちゃうだろうが色んなものが。

 ……エスタシュが率いる烏軍団と、カラス37匹ウィズ文鳥とシャチとおにいさんの存在感に引き寄せられたわんわん軍団はもはや一触即発。こんにちは!いぬです!こんにちは!カラスです!なまえはカンです!かぜがきもちいいねえ。そだねえ。ねえねえかんちゃん、すきなあそびはなんですか?いろいろすき!ほんとほんと!?ほんとほんと!!あそぶのすき!?すき!!わあ〜〜〜〜い!!いぇ〜〜〜い!!!
 ――もはや一秒の後、どこでどんなパラダイスが始まってもおかしくない状態であった。

「俺が、跨るのは、シンディーちゃんただ一機だ」
 エスタシュは断固の意をもって告げる。
 隣を走るジェット一輪車に乗ってるパグの眉が明らかにハの字になった。バケツに魚と皿に動物の餌入れたものをすごいバイクに乗せためっちゃ鴉連れてるおもしろトンチキおかしそうなお兄さんがすごいスピードで眼前まで飛ばして来たけど遊んでくれるって聞いてた人と乗り物がちょっと違うから様子見してたらなんか乗らないって言ってる。困惑。
 むにむにされてたシャチのえびせん丸も明らかにしょんぼり顔でエスタシュの腕から逃れて距離を開けた。シャチもだめ……?「だからこっち見んなえびせん丸」エスタシュはすかさずバケツに手を突っ込んでニシンを引っ張り出して投擲ッ!「俺の意思は固ぇんだ」シャチのえびせん丸すかさずこれをキャッチ!もむもむ。いつでも言ってくださいね!
「俺が跨るのはシンディーちゃん、た・だ・一・機・だ」
 ちょっと強めに圧を押しておく。ついでに言うなら陸レースで空飛ぶシャチに騎乗はトンチキを通り越して狂気だ。モーテルの利用者だって見てる。
「安心しろよ、仕事はキッチリこなしてやらあ」
 ぴん!!ぷぴん!わんわんどもの耳がエスタシュの言葉に諸皆ピンと立つ。
「先行けよラーメン」
 ………。
 いや相手がラーメンバイク乗ってんだからそう呼ぶしかないんだけど先行けよラーメンなんて発言すること人生でそうそうある?エスタシュに正気がそっと話しかけてくる。言う、多分言う。必死で正気を追い払う。ラーメン並んでて譲ってやる時は言ってやるかもしれん。あーね、そういうね?あり得るわ。やってきた正気が帰っていった。
「――ご武運を!」ラーメンが加速してエスタシュの先をゆく。
 ………。
 ねえ。
 やっぱラーメンが加速するって人生で聞く事そうそうある?帰っていった正気がUターンで戻ってきてラーメンを見送るエスタシュの耳元で囁く。ある。多分ある。Uターンをキメやがった正気を必死で追い払う。チャーシュー山盛り食い放題とかあったら加速する。あーね、なるほどね?あり得るわ。Uターンキメた正気が帰っていった。でもチャーシュー山盛り食い放題だったら正直切る前の塊でよこせって思うよね。正気がなんか言い残してった。うるせえ。
「よお、お前ら」
 エスタシュはUターンキメやがった正気がVターンする前に強めにクラクションを鳴らし、烏と見つめ合っていたわんわんどもの視線を集めて肩越しへ向かって笑いかけてやる。
「随分と元気が有り余ってるようじゃねぇか」
 わんわんどもが一斉にうぉんうぉんと吠え始める。
 烏率い自らも烏に根差すエスタシュにとって動物との会話など朝飯前だ。
 うん!げんきげんきーーー!!だとかきょうはいつもよりいっぱいごはんをたべてきました!とか可愛らしいお返事がよおく聞き取れる。「そうかそうか」エスタシュはそれはそれは鷹揚に寛大に頷く。いやちょっとボケの嵐で荒んだ心にこの素直でピュアな眸はちょっと可愛いやつらと思わないでもない。

「俺らと遊んでくれよ」
 ッッヒューーーーーーーッッッ!!
 ナレーションとわんわんのテンションが爆あがりする。
 なにであそぶの!!!なになにーーーーーーー!!!!みたいなひと昔前のテレビみたいなコールアンドレスポンス。
「待てよ」
 いい男の笑顔でいなすエスタシュの片手には「そう迅るな」

 角材。

 角 材。

 褐色にツノの生えたにーちゃんがバイクのってそれをするんだから絵面が最高にマッドである。
 これで殴ると思いきや今回は誰も傷付かず泣かない脳内麻薬がハッピーシナリオ、そんなことは微塵も起きない。そもエスタシュとて無駄に悪行するつもりもないのだが。
 エスタシュが何をするのか――誰もが、否、何犬もが予想がついていた。
 見てあの毛玉みたいなキースホンド、ふわふわの体にチグハグなヘルメットつけてるけど尻尾が360度で回ってる。
「行くぜ――」
 バイクに乗りながら大きく振りかぶって――

「取ってこーい!!!!!!!!!」
 ――輸送隊から離れる方法に怪力まかせの大暴投ッ!!!

「おらおら行ってこい」当シナリオには猟兵以外には犬しかいないため解説がいないことが悔やまれる。どんなレベルで飛んだのだろうか。
「早く取りに行かねぇと俺の子分どもが先に取っちまうぜ」
 エスタシュが指を鳴らせば子分鴉たちが一斉に飛び立つ。
 すかさず飛び立つ子分鴉たち――からあげ!からあげ!たつたあげ!さんま!!!!――ウィズ・シャチが我先にと飛行する。「さんまかよ」思わずつぶやく。さんまの旬は九月なので今は高い。肩に停まっているスノーベリーがエスタシュの頬をつついてきたのでそっと餌をやることにしておく。

 一斉に飛び立つものが多ければ多いほど犬心も刺激されるというものである。
 たまらず備え付けの犬専用ミサイルランチャーから発射されるハウンド・ドックたち。どうやって戻ってくるんだろうとおもったら大型バギーから犬用小型バギーが発射されてそいつに乗って帰ってくるものもいれば別の犬と相乗りなどしてかえってくる。

 かくて犬と鴉とシャチが廃材を楽しくおっかけて取ってきてはまた投げての要求戦争。
 ときどき正気が隣に座って、バイク運転しながら何してんのって囁きかけてくるので7回ほどの攻防の経て見てみろライダーズモーテルの利用客だってあっちでボールまみれで涙目じゃねえかここはこれが普通なんだわいいから黙ってろと人様をダシに正気の実家に帰らせた。正気の実家てどこだろね。

 エスタシュVS正気の攻防はさておき。
 一度会ったら気が合えばすぐおともだちを作れるのがイッヌというものである。
 帰ってきた鴉が小型犬咥えて帰ってきているのやら、シャチのえびせん丸が犬を何匹も乗っけてくるのようになっていた。

 ………。
 実家に帰らせたはずの正気が隣で座って囁いて、こう囁いてきた。

 やべーなこれ。
 37匹プラス一尾に大量のお友達ができる予感。

 見よ、流石はこないだやべえ数の現地子分を得た男である。
 面構えが死んでいた。

「正気に帰ったら負けだ、負け」 
 うるせえ。
成功 🔵🔵🔴

花邨・八千代
意味わからんな!大好きだぞこういうの!
行け!俺の陸上用足漕ぎペダル式スワン号!(命名:梵天丸)
自力で走っても良いんだけどここはふいんき大事にしたいからな!
持ってて良かった怪力700!楽々漕げるぜ!

なんかよく知らんけどあの犬っころども何とかすりゃいいんだろ?
ここにな、召喚したクソデカ黒ひよこがいるだろ?
かぁいいよなぁー

これをこうして(掴む)こうじゃ(投げる)

わはははマリカーみてぇー!ウケるー!
黒ひよこに犬っころどもが釣られてる間にとんずらするって訳だ!
俺って頭良い~~~!

あ、こら!つつくな!ひよこで前が見えねぇ!?
ぐぁあああ!!!(ハンドルを取られてクラッシュするけどコメディなので誰も死なない)


□スワン、陸上だから足見えてるよ□

「うははははははは!!!!!」
 花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)の大笑が荒野に響く。
「おうおうおうおう来やがれ来やがれ来やがれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
 彼女が駆るは陸上用足漕ぎペダルスワン号。
 八千代のダイナミックなペダリングに合わせて底部分のスワン脚がすげー勢いで地面を掻いているしなんなら火花が出ている。
 ……。
 足漕ぎ???
 足漕ぎ????

「行ッッくぜぇええええええええ俺の梵・天・丸ッ!!!!」

 ウワァアアアアアア!!!!足・漕ぎ・ダァアアアア!!!!

 この場合行ってるのは梵天丸じゃなくて八千代である!!!!

 いやぶっちゃけ八千代としてはソロで走ってもよかったがみんなが乗り物に乗ってレースしてるのに隣を並走したらふいん……ふんいき、ぶち壊しだ。それはいけない。

「正直運転技能もってねえから心配だったけどこれなら実質チャリだわ!」
 実質チャリっていうかチャリ以上の負荷かかっている。
 なんせこのスワン、ファミリータイプなので四人乗りだ。
 八千代はいわゆる運転席ポジでスワン漕いでいる。乗ってくれるかどうかはさておき薬袋家全員乗せてもまだひとり余る。ペットもいける。なんなら今後部座席に人間大のでかいひよこを中心としたがうとうとしながら乗っている。
 せっかくだからと団地から呼んだがうとうとしてるあたりなかなかの乗り心地らしい。やったぜ。

「チャリなら楽勝ってもんだぜええええええええええ!!」
 持っててよかった筋力700、楽々漕げる。

 見て、足漕ぎスワンがバイクとトラックと車と拮抗どころか若干押してる。
 やはり筋力、筋力は全てを解決するのだ。

「ッハ!」
 運動の本質を理屈でなく筋肉(たましい)で理解する羅刹はサドルに腰掛けずペダルの上に立ち外側からハンドルを握りこむマウンテンバイカーもびっくりの美しいフォームを維持し楽々スワンチャリを漕ぎながら隣を笑いみる。

 八千代を追うのは巨大なハムスター滑車軍団である。エンジンを中央に抱く形でハムスター滑車がトライアングルを形成する形で設置しておりその中をめちゃくちゃ眼を輝かせたポメラニアンが走っていた。

「意味わからんな!!!!!」
 ほんとにな。

 ポメラニアンのきらっきらのおめめと八千代の眼が合う。ランナーズハイが決まりきっておさんぽしか頭にない顔だ。これはあれだ行こうぜ大地の果ておれとおまえの限界までよって顔だ。いい。そういうガッツ、いい。きらいじゃない。嫌いじゃないどころか
「大好きだぞこういうの!!!!!」
 もう大地の果てまで行こうって気しか湧かない。
 一体敵さんはこんなトンチキ事件起こすなんて何考えてるんだろう。もしかして荷物の奪取どころか、かわいいかわいいわんわんを自慢したかったのかなって気すらしてくる。八千代の予感は多分三割くらい合ってる。とりあえず隣のいっぬは爆走するおねえちゃんに爆走してついていくことしか考えてない。
「すごいですね!?!?」
 これには奇天烈のルール・レルを目指すトンチキカー乗りもびっくりである。ちなみに八千代の少しまえを行くのはかわいい着せ替え人形の女の子が四つん這いで走る乗り物である。運転席は頭部だ。
「お前もな!!」
 ほんとにな。
 一歩間違わなくてもホラーだ。八千代の素直な感想に乗っている女が頷く。「威嚇に」「確かに深夜に見たくねえなあ」その人形から垂れて引きずってる髪とか正直走行の邪魔じゃない?
「これアレだよな!!!アレ!!」
 スワンチャリ・梵天丸は窓ガラスなんてものはない。そんな速度で使う想定してねえから当たり前である。すると自然と空気抵抗と風圧のおかげで八千代は声を張り上げないとどうしようもないのだ。エレクトロっつーかデスメタルみたいな声量である。
 こうなるとただでさえ筋肉を使う要酸素運動に肺活量も要求されて脳味噌にも酸素がちょっと足りない。

 ……つまりどういうことかって?――

「なんかよく知らんけどあの犬っころども何とかすりゃいいんだろ!?」
 八千代は風の中で問う。「そうです!!!」人形女が頷く。「でも流石にチャリ漕ぎながらは――」
「まっかせろ!!」八千代は器用にも体を起こしチャリのペダルが回転する勢いをカンマ数秒だけ生かし、スワンのフロントに肘ついてたち乗りの要領でサドルに逆乗りする。

 そしておもむろにうとうとしていた巨大宇宙色ひよこを掴んだ。

「ここにな、召喚したクソデカ黒ひよこがいるだろ?」
 全長153cm、下手するとちょっと小さい成人女性サイズのひよこをむんずと掴みチャリを踵のみで漕ぎながら掴む。
 ハイパースワン・梵天丸を漕ぐハイパーねーちゃんがふわふわをとった時点でただでさえハイテンションポメラニアン軍団の魂は最高潮である。毛玉と毛玉が見つめ合ってる。
「わかる、わかるぞお前ら〜〜」八千代はポメポメ軍団に何度も頷く。
「かぁいいよなぁ〜〜〜」
 かるがるひよこをかかげて円を描くように動かす。ひよこが天井でこすれてる。
 
「これをな」

 八千代は美貌が輝くそれはそれは可愛らしい可愛らしい笑みで。

「こうして」

 窓ガラスなんてない枠だけの窓からも゛っ、とひよこを出し。

「こうじゃ」
 なっ。

 投げたァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!

 ――……つまりどういうことかって?

 さすがに付近を運て…走行していたポメラニアン軍団これは避けることができない!!!むしろひよこを取りに行こうとして加速するまで犬だけにワンチャンあるが当然ハムスター滑車なのでひよこをとれることはなくひよこがバウンドキメて次のぽめぽめ滑車にブチあたるわけである。

「わはははははは!!!マリカみてぇーーー!!!ウケるーーー!!!」

 最高にハイってこと・さ☆

 スワンチャリ逆乗り片手運転とかいう自転車運転法違反とかいうレベルじゃない暴挙をかましながらポメポメどもの間をぽんぽこひよこが跳ねていくのをみる八千代。
 よくよく考えると鬼の所業なのd……羅刹だなこのこ。
 じゃあいっか!!!
「よぉしこれでトンズラするぞ!!!」
 八千代は背面乗りから体勢を直すべく手近にあった天井脇のハンドルをつかむ。「黒ひよこに犬っころどもが釣られてる間にとんずらするって訳だ!」「なるほどですね!!!」人形女がエンジンを加圧し加速に入る。人形の四つん這いが加速しててマジ怖い。どうしてそこポーズだけでタイヤにならんかったの?
「俺って頭良い〜〜〜〜〜!!」
 ポメポメ軍団の大混乱をもう一瞥だけしようとした八千代はそこで驚くべきものを見る。

 すなわち
 ぽめぽめにぽめっと跳ねられたひよこが

「あ」

 嗚呼。
 窓に!!窓に!!

 ……。

 窓ガラスねえんだったわこの梵天丸。

 なので。

 後部座席側の広い窓からぶっこんでくるのある!!!!

 もちろん跳ねられた勢いでそのまま飛んでくるので「おぶふッ」顔面直撃!!
 ついでに勢いで入ったひよこ!さんざんっぱら跳ねられた抵抗でつつく!つつく!とりあえずつんつつく!!
「あこらッ!?」
 なにせ掴んで離したいが八千代の片手は体勢を直そうと思ってなんかのハンドルを掴んでいる。自転車逆乗りなので体力は大丈夫だがバランスがちとしんどい。
 片手で必死に抵抗するが視界がみえない状態でフワッフワのボディが掴みづらい。
「つつくな!!つつくなひよこ!!」
 ひよこに相手を見る余裕?
 そこになければないですねー。
「くそおおおおおおおッ!!」

 あわやクラッシュと思われたその時。
 八千代の抵抗の手が光明を掴む。

 ・・・・
 ハンドルである。

 思えば八千代は片手が掴んでるこのハンドルなんだかわからない。
 これで両手がハンドル(前はひよこ)で埋まってしまった。
 しかもこのハンドル――回る。
 ボートの櫂のように……回るのである。
 回るなら!?

「ちくしょおおおおおおおおおおお!!」

 回さないでいられようか!!!!!
 いやいられまい!!!!!!!

 そんなわけで。
 怪力700、今度は腕に回って輝いた。

 ハンドルにはこうラベルが貼られていた。

 “ウィング”

 普段は――たぶん、漕げない方が回したり、疲れた方や子供が対象なのだろう。
 スワンの羽がはばたくのをほっこりして眺めるのだろう。

 しかし今。
 舞台はアポカリプス・ヘル。

 乗るは羅刹。

「オラァァアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 かくて梵天丸は空をゆく。
 
 もちろん前が見えないから普通に落ちてクラッシュした。
 かしこいポメラニアンがたすけてくれた。
成功 🔵🔵🔴