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銀河帝国攻略戦⑯~音楽は宇宙を救う

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 通信機器をジャックされた解放軍艦隊の通信士は、突然流れ出す悲しげな音楽に悲壮な涙を流し始めた。
 『クライングシェル』艦隊の洗脳音楽を聞いた通信士は、即座に目の前が真っ暗になる。
 今まで戦意も高く職務に燃えていた通信士だったが、その音楽を聞いた瞬間から涙が止まらなくなるのを感じた。
 心の底から悲しくなり、何もする気が起きない。もう生きていても仕方がない、この世は絶望に満ちているんだ。
 そんな考えに囚われた通信士は、音楽を全艦に流し始めた。
「この気持、俺だけで受けるのはつらすぎる!」
 全艦に流れた音楽に、艦内は哀しみの渦に叩き込まれる。
「もう嫌だ」
「生きていてもしょうがない」
「死のう」
「そうしよう」
 辛い気持ちに囚われた艦長は、自爆スイッチのボタンを押す。
 洗脳音楽に乗っ取られた戦艦は、極小の太陽となって消えた。

 グリモアベースにワープしたアカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)は、集まった猟兵達に訴えた。
「皆様、たいへんなことが起きました! アカネに力をお貸しくださいませ!」
 『クライングシェル』艦隊は解放軍の力を削ぐために、音楽を使っているのが発覚。
 洗脳音楽を聞いた解放軍が、次々に行動不能に陥っているのだ。
 この洗脳音楽に対抗できるにはただ一つ。音楽だけだった。
「ですが猟兵以外の人々は、すぐに洗脳音楽通信の影響を受けてしまいます。とても音楽を奏でることはできません。この任務を行うことができるのは、アカネ達猟兵だけなのです」
 洗脳音楽に対抗する音楽を流すため、芸能船の放送設備を増強。ここで、猟兵による音楽放送を行うことになる。
 音楽のジャンルは自由。哀しみに暮れるよう仕向けられる音楽に対抗するものであれば、歌でも楽器演奏でも構わない。
 音楽に音楽で打ち勝つことができれば、無血で『クライングシェル』艦隊を無力化することができるだろう。
「血を流して戦うことだけが戦争ではありません。音楽に秘められた無限の力で、帝国軍を打ち破りましょう!」
 アカネは両手を握りしめると、グリモアを発動させた。


三ノ木咲紀

 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 マスターの三ノ木咲紀です。
 今回は、音楽の精神汚染に音楽で対抗する芸術戦争をご案内させていただきます。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 このシナリオに、戦闘はありません。
 皆様の音楽によるパッションがそのまま攻撃力となります。
 ただし、現実に存在する楽曲の曲名や歌詞、替え歌等が記載されているプレイングは採用できません。
 完全オリジナルの歌詞でしたらその限りではありませんが、検索を掛けてグレーゾーンだと判断された時も採用できません。
 それっぽい雰囲気にマスタリングされますので、ご注意ください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ち致しております。
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第1章 冒険 『洗脳音楽通信を撃ち破れ!』

POW   :    激しいビートで、魂を揺さぶり、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

SPD   :    超絶的な技巧で、聴く者を圧倒して、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

WIZ   :    心に響く歌声で、感情を揺り動かして、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水貝・雁之助
音楽かあ、歌は余り得意じゃないけど。龍笛ならそこそこ、かな?

龍笛を『楽器演奏』
大切な人への想いを思い出させる為に自身の感情をしっかり込める

自身の真の姿の醜さをも受け入れてくれた養い子との出会いの喜びを楽しい曲に、その子を奪われた絶望と嘆き、怒りを激しい曲に、再び自身を受け入れてくれた人々との出会いへの喜びと今度は失わない、と言う決意を荘厳な曲で


聞いている人の感情を揺さぶる為に感情を形見の龍笛に込めて演奏する

失った人達と過ごした大切な日々を失った悲しみを
そして守りたいと思う人為の事を思い出せと

戦うことを選んだ理由を忘れるな、決意を取り戻せ、と



 龍笛を握りしめた水貝・雁之助(おにぎり大将放浪記・f06042)は、一つ頷くとマイクの前に立った。
「音楽かあ、歌は余り得意じゃないけど。龍笛ならそこそこ、かな?」
 謙遜しながらも楽器演奏を始めた雁之助の龍笛から、溢れるような清らかな音が溢れ出した。
 哀しみと絶望を増幅され、大切な人への想いを忘れてしまった戦艦の乗組員たちに届くように。
 今乗組員たちが感じているであろう悲しみを、雁之助はかつて乗り越えた。
 経験に裏打ちされた雁之助の演奏は、自身の感情を余すこと無く込めながら演奏される。
 今、乗組員たちは分厚い氷に閉ざされた冬の世界にいるのだ。
 雁之助の脳裏に浮かぶのは、養い子の笑顔。
 自身の真の姿の醜さをも受け入れてくれた、養い子との出会いの喜びを楽しい曲に込める。
 明るく楽しく、幸せな気持ちを乗せた曲が、乗組員たちの顔を上げさせる。沈みきった心に春の日差しのように、あたたかな風が吹き抜ける。
 やがて曲は転調し、その子を奪われた絶望と嘆き、怒りが激しい曲となって乗組員たちを鼓舞する。
 夏の日差しのように強い熱は、乗組員たちの心に沈み込められた熱い気持ちに火をつける。
 再び自身を受け入れてくれた人々との出会いへの喜びと今度は失わない、と言う決意は荘厳な曲に乗って自分の気持を思い出させる。
 灼熱の情熱に身を焼き尽くさせない秋の雨は、大切な人を守るのだという気持ちを実らせる。
 聞いている人の感情を揺さぶる曲が、形見の龍笛から見事な旋律と共に乗組員たちの心に響く。
 失った人達と過ごした大切な日々を失った悲しみを。
 そして守りたいと思う人為の事を思い出せと。
 戦うことを選んだ理由を忘れるな、決意を取り戻せ、と奏で続ける雁之助の龍笛に、乗組員達は一人、また一人と立ち上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

南雲・海莉
【POW】
聴かせるのは味方の艦隊
―本当に届けたいのは、同じ絶望を抱えたまま消えた義兄
私の全てを乗せて、強く歌う

【込める心情】
『今』は知ってる
義兄はずっと絶望的な自己否定からもがいていたと
いつか足掻く力も足場も失って
誰も巻き込まない為に消えたと

ここに居るよ、貴方に生きてほしいと願う存在が
貴方は自分の絶望を隠して、幼い私を護り通してくれた
その『絆』は決して消えない

絶望に一人で立ち上がれないなら頼って
今の私なら支えてみせる
貴方が否定する以上に
私が生きることを肯定する

絶望に包まれて届かないなら何度でも声を張り上げる
唯一人、本当に救いたい貴方に届ける為なら
一億、いや幾億千人でも同じ絶望から連れ戻すと誓う



 マイクの前に立った南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)は、クライングシェル艦隊の音楽攻撃に沈む戦艦へ向けて歌を歌った。
 絶望の縁に立ち、自ら死を選ぼうとする戦艦の乗組員たちの姿が、海莉の義兄と重なる。
 彼らと同じ絶望を抱えたまま、義兄は消えた。
 今はいない彼に向けて、海莉は海莉の全てを乗せて、力強く歌った。

 悲しみと絶望に、ブラスターをこめかみに当てる乗組員達が、海莉の声に顔を上げる。
 こめかみに銃を当てたまま、乗組員達は放送機材から流れる海莉の魂の歌声をじっと聞いていた。

 『今』は知ってる。
 義兄はずっと絶望的な自己否定の中で、必死にもがいていたと。
 いつか足掻く力も足場も失って、誰も巻き込まない為に消えたと。
 手を伸ばしても届かない。今はどこにいるのかも分からない義兄へ届くように。
 美しいメロディに乗せた海莉の歌声が、最高潮を迎えた。

「ここに居るよ、貴方に生きてほしいと願う存在が
 貴方は自分の絶望を隠して、幼い私を護り通してくれた
 その『絆』は決して消えない」
 絶望に一人で立ち上がれないなら頼って欲しい。
 貴方が守り育ててくれた、今の私なら支えてみせるから。
 貴方が否定する以上に、貴方が生きることを私が肯定する。

 魂を込めて、海莉は歌う。絶望に包まれて届かないなら、何度でも声を張り上げる。
 唯一人、本当に救いたい貴方に届ける為なら。
 一億、いや幾億千人でも同じ絶望から連れ戻すと誓う。
 海莉の歌に涙を流した乗組員たちは、ブラスターを下げると見えない海莉に心からの拍手を送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィリア・セイアッド
【WIZ】で対抗
悲しい曲もある
絶望を歌いあげる歌もある
だけど 音楽の本質は心を揺さぶるものよ
喜びや希望を感じる音楽もたくさんある
人の心に響く そんな歌がわたしは好き

菫のライアを手に 春を待つ歌を
どうか希望や喜びが 苦しむ人の心に届きますようにと「祈り」をこめて
高く遠く 優しい旋律を響かせる

…世界は光に満ち 陽は輝きて鳥は歌う
それは故郷できいた歌
深い森の奥 雪に閉ざされた小さな村で
両親といれば何も怖くなかった
母の笑顔 父の手のひら
大切な人のぬくもりは いつでも前をむく力をくれるから

誰の心の内にでもある大切な何か
それを思い出し 前に進めますように
精一杯声を響かせ 歌う



 未だ悲嘆に暮れる戦艦に、フィリア・セイアッド(白花の翼・f05316)の歌声が響いた。
 悲しい曲もある。絶望を歌いあげる歌もある。
 だが、喜びや希望を感じる音楽もたくさんある。
 人の心に響く そんな歌がフィリアは好きだった。
 音楽の本質は、心を揺さぶるものだから。
 それなのに、人の心を強制的に悲しみと絶望と死に追いやる帝国の音楽を、このままにしてはおけない。
 フィリアは愛用の菫のライアを取り出すと、軽やかに爪弾き春を待つ歌を歌った。
 乗組員たちの心は今、絶望の風に吹かれて凍えている。
 絶望を溶かす春の日差しを、希望と呼ぶ。
 どうか希望や喜びが、苦しむ人の心に届きますようにと「祈り」をこめた歌を歌い上げる。
 高く遠く 優しい旋律を響かせる歌声に、膝を抱えた乗組員たちは顔を上げた。
 全てを見失い、絶望しか見えなくなっていた乗組員たちの心に、美しい風景が映し出された。
 それは、誰もが憧れるであろう美しい風景だった。
 世界は光に満ち、陽は輝きて鳥は歌う。
 深い森の奥、雪に閉ざされた小さな村で、両親といれば何も怖くなかった。
 母の笑顔。父の手のひら。
 大切な人のぬくもりは、いつでも前をむく力をくれるから。
 乗組員一人ひとりの心の内にある大切な思い出と優しい気持ちが、フィリアの歌声で鮮やかに甦る。
 吹き抜ける一陣の春風が、乗組員たちの心に絶望に立ち向かう力を芽吹かせる。
 自分は何のために戦うのか。誰のために戦うのか。
 精一杯声を響かせ歌う声に、乗組員たちは立ち上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 猟兵達の音楽に、艦内は希望を取り戻しつつ在った。
 立ち上がり、帝国の音楽を排除し始める乗組員たちは艦長の指示を待った。
 だが、いつまで待っても命令は下りてこない。
 連絡がつかない艦橋に乗組員たちが不安になった時、全艦退避を告げるアラームが鳴り響いた。
明日葉・雅
【WIZ】で挑戦

音楽をこのように使うのは許せません。
歌は、私にとって唯一の救いだったから。

人の心を揺さぶることができるか自信はありませんが、願いと祈りを込めて歌わせていただきます。
でも、歌えるのは子守歌と鎮魂歌だけですけど……。
あまりこの場に相応しいとは言えませんね。

荒れた心を安らぐように、不安を取り除くように子守唄を歌います。
それでも愛しい人の別れを惜しむ方々いらっしゃるなら、鎮魂歌を。
……私が守れなかった命に捧げているためのものですが。
悲しくとも前を向けるように、愛しい人との時を思い出してもらえるように、その命を大切に思ってもらえるように。
少しでも皆さんの心を励ませれたら幸いですわ。



 閉ざされた艦橋に続く扉の向こう側で、自爆スイッチの最終ロックを外した艦長は、赤いボタンに手を掛けた。
 艦長としての最初の航海だった。ただでさえ責任とプレッシャーに押しつぶされそうだったのに、追い打ちを掛ける艦内の混乱。通信士が流した純度の高い絶望の音楽を聞いた艦長の精神は、限界を超えていた。
「もうだめだ……死のう」
 ボタンが押される寸前、艦長の耳に美しい歌が響いた。
 明日葉・雅(咎喰らい・f07590)の澄んだ歌声が、艦長の心を優しく包みこむ。
 雅の美しい子守唄が、艦長の荒れた心を安らげるように、不安を取り除くようにと響く。
 その歌声は艦橋内に響き渡り、艦長同様乗組員を支えてきた幹部達のささくれだった心に潤いの水を与える。
 願いと祈りが。救いと希望が。先の見えない絶望と悲しみに必死に抵抗していた幹部たちの心を癒やす。
 落ち着きを取り戻しつつある艦橋に、艦長は大きなため息をついた。
 艦長の心に湧いた悲しみは、軍人を志した事件を思い出させる。
 帝国軍に滅ぼされた村の光景が、目に浮かぶ。このスイッチを押せばあの絶望も忘れられると、帝国の歌がささやく。
 再びスイッチに手を掛ける艦長に、雅の声が再び響く。
 雅が守れなかった命に捧げる鎮魂歌が、艦橋に流れる帝国の歌を塗り替えていく。
 亡くなった方へ、最大級の哀悼を。
 生き残った人々へ、慰めと癒しを。
 悲しくとも前を向けるように、愛しい人との時を思い出してもらえるように、その命を大切に思ってもらえるように。
 別れを乗り越え、前へ進むために、死者の魂と生者の心を慰める。
 【シンフォニック・キュア】を乗せた歌声は、機能を完全に停止していた艦橋を再生させていった。
 響く雅の歌声に顔を上げた艦長は、顔を上げると自爆スイッチを再びロックする。
 非常警報が解除され、待機を告げる通信が艦内に流れる。
 希望を取り戻した艦長は、マイクを手にすると乗組員たちに語りかけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・マドック
サウンドウェポンをMIDIパッドに展開してEDMを【楽器演奏】【歌唱】するよ。
洗脳音楽の悲しげな曲調とは正反対の心が燃え上がるような重低音が響く曲で銀河帝国の音楽を打ち破ろう。あと洗脳を解く目的で【シンフォニック・キュア】を使用するよ。
音楽の持つ力は知ってる、だからこそ俺達の音楽で銀河帝国を破らなきゃいけないんだ。


君達を導く自由の女神が必要かい?
女神がいても自分の足で歩けなきゃ彼女にはついていけないさ
叫ぼうが泣こうが構わない
それはまだ君が生きてるからだ

さあ魂を生き返らせて
心に火を灯せ
まだ死ぬには早すぎるだろ?
何度でも魂を甦らせて
心に炎を燃やすんだ
いつか燃え尽きる時は来るさ
でもそれは今じゃない


リリィエル・ロックウェル
【WIZなのです】
お絵かきは得意ですけどお歌はあまり得意じゃないのです。
けど歌はハートで歌うのです、まずは一歩を踏み出す勇気なのです。

と言うわけで妖精に伝わる童謡を歌うのです、一歩を踏み出す勇気の歌。
妖精が恐怖を振り払って進む時に歌う歌を歌うのです、大事なのは勇気を持ったハートなのです、上手いとか下手とかじゃないその勇気が大事なのです。



 艦長の演説に再び立ち上がった乗組員たちに、帝国の流す悲しげな音楽が再び響いた。
 猟兵達の抵抗に気づいたクライングシェル艦隊が、最大の怨霊で絶望の音楽を流し始める。
 強制的に絶望を齎す音楽に再び屈しそうになった時、ジェラルド・マドック(しがない演奏家・f01674)はサウンドウェポンをMIDIパッドに展開した。
「音楽の持つ力は知ってる。だからこそ俺達の音楽で銀河帝国を破らなきゃいけないんだ」
「お絵かきは得意ですけどお歌はあまり得意じゃないのです。けど歌はハートで歌うのです、まずは一歩を踏み出す勇気なのです。私もお手伝いするのです!」
 リリィエル・ロックウェル(クレヨンの勇者・f01438)の申し出に、ジェラルドは力強く頷く。
「ジェラルドさん、この歌は知っていますか?」
 リリィエルはジェラルドに、故郷に伝わる歌を歌った。
 妖精が恐怖を振り払って進む時に歌う歌だった。
「大事なのは勇気を持ったハートなのです、上手いとか下手とかじゃないその勇気が大事なのです」
「いい曲だ。使わせて貰おうか」
 リリィエルの故郷に伝わる童謡を聞いたジェラルドは、そこにある一歩を踏み出す勇気の歌にインスピレーションを得るとEDMを【楽器演奏】した。
 洗脳音楽の悲しげな曲調とは正反対の、心が燃え上がるような重低音が響く曲が、銀河帝国の音楽を打ち破っていく。
 アレンジされた故郷の歌に、リリィエルもコーラスを響かせる。
 【シンフォニック・キュア】の乗った音楽は、最後の抵抗を見せる帝国の音楽を押し返す勢いで艦内に響いた。

「君達を導く自由の女神が必要かい?
 女神がいても自分の足で歩けなきゃ彼女にはついていけないさ
 叫ぼうが泣こうが構わない
 それはまだ君が生きてるからだ

 さあ魂を生き返らせて
 心に火を灯せ
 まだ死ぬには早すぎるだろ?
 何度でも魂を甦らせて
 心に炎を燃やすんだ

 いつか燃え尽きる時は来るさ
 でもそれは今じゃない」

 ジェラルドの楽器演奏と歌唱とリリィエルのコーラスが艦内に響く。
 そこに、猟兵達の音楽が寄り添った。
 絶望と悲しみを癒やした雅の鎮魂歌が、乗組員たちの心の深い場所を優しく守り、癒やし、足場を固める。
 フィリアの歌声と共に原風景として、原体験として乗組員たちの心に折れない芯と意思を作り上げていく。
 そこに、海莉のコーラスが調和した。
 今この瞬間も、帝国の圧政に支配され絶望に沈む人がいる。
 彼らを必ず救い出すという思いが、乗組員たちの心に甦る。
 曲が最高潮に達した時、雁之助の龍笛が高く響いた。
 澄み切った音色が、大切な人を今度こそ失わないという決意を新たにさせる。
 猟兵達の演奏と歌は不思議な調和を見せ、帝国の音楽を押し戻し、塗り替える。
 猟兵達と乗組員たちが心を一つにした音楽が、クライングシェル艦隊に押し寄せる。
 希望の音楽を受けたクライングシェル艦隊は、活動不能に陥ると完全に沈黙した。
 猟兵たちの音楽が、帝国の音楽に勝利した瞬間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト