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7thKING WAR⑩〜想いは異世界で煌めいて(作者 湊ゆうき
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#デビルキングワールド  #7thKING_WAR 


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●グリモアベースにて
「デビルキングワールドで始まった7代目のデビルキングを決定する『7thKING WAR』……悪魔王遊戯(デビルアトラクション)の攻略は続々と進んでいるみたいね」
 集まった猟兵たちの頼もしくも、時にはワルい活躍のおかげだと、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)も力強く微笑むと、もうひと頑張りよとエールを送る。
「魔王ガチデビルが7thKINGの座を勝ち取るようなことになれば、『悪魔契約書』によって、『他世界への悪魔輸出』なんてことが起こってしまうわ。そんなことをさせないためにも、あたしたち猟兵がこの戦いに乱入し、悪魔輸出計画を阻止しましょう!」
 そしてエリシャは集まった猟兵たちに向かって欲しい、悪魔王遊戯の場所を示す。
「異世界の妖精さんが作ったと言われている工房よ。ここに『思いの詰まったアイテム』を持ち込むと、その物の中に眠る『小さな異世界(フェアリーランド)』に飛び込むことが出来るんですって」
 不思議だけど素敵よね、とエリシャ。アックス&ウィザーズで、フェアリーの作り出すフェアリーランドの世界で遊んだことがある猟兵にとってはイメージがわきやすいのでは、と語るのだった。
「この小さな異世界はみんなの思い出に即した世界よ。まさに夢の世界ね。そこに一般の悪魔たちを招待してあげてほしいの。彼らはあなたたちの語る思い出話を聞いたり、思い出を追体験したりして、それがすごいものであればあるほど、きっと猟兵を支持してくれるようになるから」
 そうすれば魔王ガチデビルが王位に就くという目論見を阻止する助けになるだろう。
「みんなの思い出の詰まったアイテムで、この戦いを有利に運んでしまいましょう。大切な思い出をもう一度体験するチャンスでもあるしね。楽しい思い出もあれば、そうじゃないこともあるかもしれないけれど……どうか、よろしく頼むわね」
 そう言うと、エリシャは星型のグリモアを輝かせ、不思議な巨大工房への道を開くのだった。


湊ゆうき
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「7thKING WAR」における「⑩フェアリーランド〜思い出の空間っス!」のシナリオとなります。

 こんにちは。湊ゆうきです。
 デビキンにも異世界との繋がりがいろいろあるんですね。

 異世界の妖精さんが作った巨大工房に思いの詰まったアイテムを持ち込めば、そのアイテムの中に眠る小さな異世界へと飛び込めます。何もせずとも一般の悪魔たちは勝手にやってきますが、ご希望の悪魔がいればご指定ください。
 アイテムにまつわる思い出を語ってもいいですし、思い出に即した体験を追体験したりも出来ます。どのようなアイテムでどのような思い出があるかをしっかり書いていただければと思います。楽しい思い出でなくても構いません。

 プレイングボーナスは「思いの強さを示す/思い出を具体的に語る」です。

 プレイングの受付については、タグやMSページにてお知らせいたします。
 皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 日常 『巨大工房の小異世界(フェアリーランド)』

POW思い出の中でパワーや漢気を示してみせる。
SPD思い出の中で器用さや抜け目なさを示してみせる。
WIZ思い出の中で賢さや器のデカさを示してみせる。
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


栗花落・澪
悲しいお話はもう沢山したからね
★泡沫の舞謡を持ち込もうかなって

これは、僕にとって憧れの人からもらったものなんだ
男らしくて背も高くてかっこよくて
ちょっと意地悪だけど、僕を気遣ってくれる優しい人
同じ男としてはさ
あんな風になりたいなって思うわけですよ

これ、僕の為に特注してくれてさ
世界でたった一つの宝物だよ

一見ただのサングラスだけど
遊ぶ時は勿論戦う時だって、ずっと一緒なんだ
別世界の戦争
カルロス、フライングダッチマン
そんな強敵達と死闘を繰り広げる時も
僕にとってはお守りみたいなもので

金蓮花は勝利の証で僕の象徴
柄には無いけど、これをくれた彼の漆黒
そして共に戦った時の鮮やかな炎を思い出す

温かくて、落ち着くんだ


●勝利はいつも共にある
 魔界にある異世界の妖精さんが作ったという巨大工房。『思いの詰まったアイテム』を持ち込めば、その物の中に眠る『小さな異世界(フェアリーランド)』に飛び込むことができる場所。
「悲しいお話はもう沢山したからね」
 今回の戦争でも持てる力を発揮して、全力で駆け抜けている栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。もうすでに何度もこの工房を訪れている彼は、そう言って笑顔で大切な思い出の品を取り出した。
 すぐさま小さな異世界へと飛び込んだ澪に続いて、興味を惹かれた悪魔たちが続々とやってくる。
 集まった悪魔たちの前で改めて澪が披露した思い出の品は――【泡沫の舞謡】。それは一目見ただけでお洒落なサングラス兼伊達眼鏡。サングラスというかっこいいアイテムに、悪魔は俄然興味を惹かれたようだ。
「かっこいい!」
「それかけて悪いことしたい!」
 根は素直でいい子な悪魔たちは純粋にお洒落なサングラスに憧れを抱いている様子。
「これは、僕にとって憧れの人からもらったものなんだ」
 澪はこの品を贈ってくれた相手を脳裏に思い浮かべながら誇らしげにそう紹介した。
「男らしくて背も高くてかっこよくて。……ちょっと意地悪だけど、僕を気遣ってくれる優しい人」
 どうしても外見と服装で可愛いと評されがちな澪にとって、まさに男らしい彼は憧れの存在でもある。
「同じ男としてはさ、あんな風になりたいなって思うわけですよ」
 そんな存在からプレゼントしてもらったかっこいいサングラス。
「これ、僕の為に特注してくれてさ。世界でたった一つの宝物だよ」
「すごい! 世界でひとつだけ!」
「どんな時にかけるの?」
 悪魔だって特注品や一点ものに弱いのだろう。ますますサングラスに興味を持った様子で、悪魔たちは質問を投げかける。
「うん、一見ただのサングラスだけど……遊ぶ時は勿論、戦う時だって、ずっと一緒なんだ」
 例えば、ここではない別世界での戦争の時も。果てしない海を舞台に、七大海嘯と呼ばれる強敵たちと死闘を繰り広げた時も身につけていて。
「僕にとってはお守りみたいなもので」
 サングラスや伊達眼鏡としての機能だけでなく、持っているだけでも力を与えてくれるのだといつも思わされて。
「ねえ、横の部分に何か模様が入ってるの?」
 目ざとい悪魔が、泡沫の舞謡のテンプル部分に精緻な彫刻があしらわれていることに気づく。
 うん、と頷いてから誇らしげに澪は説明する。
「これは桜珊瑚と金蓮花。金蓮花は勝利の証で僕の象徴でもあるんだ」
 オラトリオの澪の琥珀色の髪を彩る花も金蓮花で。それは澪自身を表している。
「すごいすごい! さすが特注!」
 贈り主がそこにこめた想いを感じ取り、悪魔たちもうっとりと羨ましそうにしている。
「そう、僕にとって本当に大切な持ち物のひとつだよ」
 このサングラスを身につけていれば、柄には無くとも、これをくれた彼の漆黒……そして共に戦った時の鮮やかな炎を思い出すのだ。
「……温かくて、落ち着くんだ」
 その想いと絆は、目には見えなくとも確かに悪魔たちの心を打った。
「猟兵は真っ直ぐでかっこいい!」
「悪いことしてなくてもかっこいい!」
 そんな悪魔たちのキラキラとした眼差しと応援の言葉をこそばゆく感じながらも、澪は微笑み、泡沫の舞謡を大切に抱きしめた。
大成功 🔵🔵🔵

堺・晃
思い出、ねぇ…
まぁ、悪魔目線なら思うところもあるかもしれませんね
何せ僕は、父親殺しの暗殺者でしたから

★龍狼剣
一方には龍が、一方には狼が刻まれた小型の剣

僕と母は、父に虐待を受けていた
商人でもあった父は外面だけは良くて、慕われていて
けれど酒癖は最悪で、僕も母も、いつだって生傷が絶えなかった
その父の命を奪ったのがこの剣だった
母を守る為
後悔なんて無いけど、汚れた手で母の傍に居るのは忍びなくて
僕は家を去った

それからは見ず知らずの人々を生きる為に殺した
この刃はそれだけ多くの血を吸ってきた
こびり付いた匂いが取れなくなる程に

不気味ですか
でもね、僕にとっては一番の相棒なんですよ
罪を背負うべき僕には似合いの武器だ


●強き者の証
「思い出、ねぇ……」
 悪魔たちに支持してもらうため、この不思議な工房に思いの詰まったアイテムを持ち込み、小さな異世界に飛び込む必要があるらしい。
 悪魔たちが感動できるような思い出の品などあるだろうかと考えた堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)だが、逆に悪魔目線で見れば思うところがあるかもしれない品があることを思い出す。
「何せ僕は、父親殺しの暗殺者でしたから」
 さらっと重すぎる過去を告白する晃。一見すれば、柔和で爽やかな笑顔が印象的な優しく親切そうなお兄さんにしか見えない晃であるが、その本性は腹黒くて、超がつくドSの鬼畜悪魔でもあるのだ。
 早速そのアイテムを取り出しては、小さな異世界へと吸い込まれる。
「おお、かっこいい剣だな!」
「それがお兄さんの思い出の品?」
 早速やってきた悪魔が興味深そうに晃が手にした剣を指差しては問いかける。
「そう、龍狼剣と言うんですが……見えますか? 一方には龍が、一方には狼が刻まれているんです」
 なるほど、龍も狼も強そうだと、その意匠にもこだわりを感じ、悪魔たちは晃の言葉の続きを待つ。
「小さな剣に見えるでしょうが、斬れ味は抜群ですよ……」
 すると辺りは晃の思い出に即した世界へと変わり始める。そこにいるのは幼い晃と母親。二人は家で仲良く夕食をとっていたのだが、帰って来た父親が、何が気に入らなかったのか二人を見て暴力を振るい始める。
『やめて!』
 母親が晃を庇おうとしてくれたけれど、結局二人とも殴られ、蹴られ、生傷や青痣が絶えなくて。
 父がいつもこんなだったわけではないけれど。
 商人であった父は商売人らしく外面だけが良く、多くの人に慕われていて。だから世間一般には幸せな家庭だと思われていたのだろう。
 けれど酒癖は最悪で。酔った勢いで罵倒され、殴り蹴飛ばされるのもよくあることだった。
 このままじゃ、母が死んでしまうかもしれない。
 少年は決意とともに小さな剣を握りしめた。そうして――。
「その父の命を奪ったのがこの剣だった」
 少年だった晃が手にした剣は確かに父の身体に突き刺さって。溢れる血が手を汚したけれど後悔なんてなかった。
 母を守ることができたのだ。けれど、肉親殺しの汚れた手で、母の傍にいるのはやはり忍びなくて。
「僕は家を去った」
 それからも龍狼剣は晃と共にあって。その後も見ず知らずの人々の命を奪うことになる。
 ――それは自らが生きるために必要なことだった。
「この刃はそれだけ多くの血を吸ってきた……こびり付いた匂いが取れなくなる程に」
 しん、と悪魔たちの顔から表情が消え、静まり返る小さな異世界。
「不気味ですか。でもね、僕にとっては一番の相棒なんですよ。……罪を背負うべき僕には似合いの武器だ」
 自嘲的にそう呟くが、悪魔たちの顔に浮かぶのは嫌悪の色ではなかった。背負うべき罪と向き合い、守るべきものを守ろうとした孤独な青年へ抱く言い知れない感情だった。
「俺だったら、思い出すのも辛くて見えないところにしまっちまう」
「強くないとできないことね……」
 こんな話はあまり人にすべきものでもないと思っていたけれど。悪魔たちにとっては心に響くものだったらしい。
(「この先も、ずっと……」)
 母を守った少年の勇気と肉親殺しの咎と共に、この相棒と歩いて行くのだ。
大成功 🔵🔵🔵

四王天・焔
アドリブ・他猟兵との連携歓迎

●心情
思い出の詰まったアイテムかぁ、焔も色んな道具を持ち歩いているけど
やっぱり思い出のアイテムはこれかな?

●アイテム
『飾紐』ブルーデージーの髪留めリボン

焔の義理の姉(シホ姉)からの誕生日プレゼントとして頂いた物だよ。
身に付けると、傷が徐々に癒えていく神秘的な力に満ち溢れていて
様々な冒険で重宝してきたリボンだね。
シホ姉が、焔の為に頑張って作ってくれた
心の籠ったアイテムだから、焔も宝物にしているよ。

さて、このアイテムの『小さな異世界』に飛び込んで
一般の悪魔たちを招待してあげるよ。
悪魔の皆……焔たち猟兵たちを支持してあげてね!


●幸福を招くブルーデージー
「思い出の詰まったアイテムかぁ」
 悪魔王遊戯(デビルアトラクション)のひとつ、異世界の妖精が作ったという不思議な工房にやって来た四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は、うーんと自身の持つアイテムからどれを選ぼうか思案する。
 無邪気で純粋で甘えん坊な焔は、四王天姉妹の末っ子として愛され可愛がられ、贈り物としてもらったものもたくさん持ち歩いている。その中のひとつ、魔界に咲くシロツメクサの漆黒の四つ葉なんかもこの世界にはある意味ぴったりだけれど。
「やっぱり思い出のアイテムはこれかな?」
 考えた末に焔が選んだのは可愛らしい青と白の縞々模様のリボンだった。すると、そのリボンへの思いに呼応するように、気がつけば小さな異世界へと飛び込んでいた。
「さて、それじゃあここに一般の悪魔たちを招待して……」
 焔がそう言うと、早速どこからともなく悪魔が姿を現した。招待したい気持ちが強ければより多くの悪魔が来るのか、わいわいとその数を増やしていく。
「ようこそ、焔の異世界へ!」
 和服メイド姿の愛らしい妖狐の娘が微笑めば、悪魔たちも焔を中心に円を描くように集まってきた。
「焔の大切な思い出のアイテムはね……このリボンだよ」
 じゃーんと取り出して掲げたのは、青と白の縞々リボン。よく見れば瑠璃雛菊の花柄がうっすらと見え、それが手の込んだ一点ものであることがわかる。
「可愛いリボンだね」
「おねえちゃんによく似合ってる!」
 小さな悪魔からも好評で、焔はにっこりと笑うと説明を続ける。
「これは焔の義理の姉……シホ姉から誕生日プレゼントとして頂いた物だよ」
 四王天姉妹の次女である姉の恋人――義理の姉に当たる女性は優しく気高い素敵な人。
「これは可愛いだけじゃなくてね、身につけてると、傷が徐々に癒えていく神秘な力に満ち溢れていて……」
 これまでの様々な冒険で重宝してきたリボンなのだと、エピソードを交えながら誇らしげに焔は語るのだ。
「贈り主の思いがこめられているんだね」
 うっとりとした瞳でリボンを見つめる悪魔に焔は頷いて見せて。
「シホ姉が、焔の為に頑張って作ってくれた心の籠ったアイテムだから、焔も宝物にしているよ」
「手作りなんだね!」
「素敵! いいなあ、こんなの欲しい!」
 盛り上がる悪魔たちに焔はにっこりと笑って頷いて見せる。
「じゃあ、作ってみる?」
 ここは不思議な異世界。いつの間にか辺りはリボン工房に変わっていて。色とりどりの布やテープが並び、机の上には手芸道具が用意されている。
 わあわあと興味を惹かれた悪魔たちが早速布やテープを物色し始める。机の上には、丁寧にリボンの作り方の説明まで置かれている。これならきっと悪魔たちでも作ることが出来るだろう。
 盛り上がる悪魔たちにひとつ言っておかなければいけないことがあると焔は思い出して。
「悪魔の皆……焔たち猟兵たちを支持してあげてね!」
「猟兵……いろんな冒険しててかっこいい!」
「ファンになっちゃった!」
 根は素直な悪魔たちはそう言って次々に猟兵の支持を表明する。
「よーし、じゃあ素敵なリボン作っちゃおっか?」
 焔は大切なブルーデージーのリボンを抱きしめ、満面の笑顔で悪魔たちにそう語り掛けた。
大成功 🔵🔵🔵

鎖木・茜
アドリブ◎

心から滲み出たのはお母様の笑顔
故郷で過ごした懐かしくも愛おしい日々
美しいお母様
優しいお兄様
皆の笑顔に胸が熱くなり
差し出される手に縋りかけた時
舞台目録が落ち開き具現化

主人公は生真面目な銀行員
親や社会の期待に沿うことだけを考えていた彼が
色々な事件を経験して人間性を取り戻し
最後は銀行を辞めて子供の頃夢見ていた
ダンサーとして歩み出すという名作
サムライエンパイアの清浄な朝靄は
アルダワのスチーム煙る街並に変化
お母様は主人公の母親役に
わたくしは主人公となり
奇抜な衣装で踊りましょう
今なら彼の心情が手にとるように分かりますの

幕が下り悪魔達が拍手喝采
アンコールでスポットライトを浴びて一礼
笑顔で応えますわ


●真新しい地図
「ここが異世界の妖精さんが作ったという工房ですのね……?」
 魔界と呼ばれるその場所で、大きな戦いが行われているらしい。グリモアベースで受けた説明のまま、思い出の品を手にやって来た鎖木・茜(自由を手にした姫君・f36460)は、少し不安げに辺りを見回した。
 いつも一緒にいた魂の親友はそばにいない。つい最近新しく手に入れた身体には慣れてはきたけれど、一人で行動することにまだまだ慣れなくて。新しい自分になってから猟兵として赴く依頼で一人なのは初めてだった。
「いいえ、わたくしだって一人でできますもの。アカネがいなくても一人でやってみせます」
 そう自分を鼓舞して、持ってきた思い出の品を胸に抱きしめていると……いつのまにか、小さな異世界へと入り込んでいたようで。
「ここは……?」
 故郷であるサムライエンパイアのような風景。家族と一緒に過ごしたあの神社で何度と見た清浄な朝靄。
 ああ、思い出すのは――。
(「お母様……」)
 優しく聡明で茜が大好きな母。その笑顔に守られて育ったのだ。
 身体が変わったとはいえ、忘れることなどない。あの故郷で過ごした懐かしくも愛おしい日々。
 美しいお母様が笑顔で微笑み、優しいお兄様が名を呼んでくれる。
 そう、茜がいるべき場所はやはりここで。
 胸が熱くなる。大好きな家族は茜の姿が変わってもちゃんと理解してくれている。愛してくれる。
 差し出された手を取ろうと手を伸ばしたその時。
 大切に抱きしめていた舞台目録が地面に落ちると、景色が一変した。
 サムライエンパイアの清浄な朝靄は、アルダワの蒸気機械から立ち昇るスチーム煙る街並みに変化していく。
 そうして一つの舞台の幕が上がる。
 主人公は生真面目な銀行員の青年。毎日ぴったりと数字が合わなければいけないその厳格な職場は、ある意味彼には似合いの職業だったのかもしれない。
 ただ彼が銀行員になったのは、親や社会の期待に沿った形であり、彼の夢ではなかった。
 そんな主人公の銀行員となった茜はしわひとつないぴっちりとしたスーツを着て、毎日ただただ機械的にルーティンワークをこなして日々を過ごしていた。
 けれど一日たりとも全く同じ日などないように。同じように思えた職場でも小さな事件は起こりうる。
 夢を追う人々の眩しい笑顔。常識にとらわれない斬新な価値観。
 決められたレールを親の期待通りに進むのが正しいと思っていた。けれど。
 まるで機械のように仕事をこなしていた彼に、やがて人間らしさが戻ってくる。
(「あの時は、彼の気持ちが理解できませんでした。お母様の言うとおりにしてれば万事うまくいくのです。お母様の期待に応えることが全てでしたから」)
 主人公の青年は、最後には銀行を辞めると、彼が子供の頃に夢見ていたダンサーとして歩みだすという名作。
 最後の見せ場は、常識にとらわれない奇抜な衣装を身につけた主人公が他のキャストと一緒に躍る圧巻のダンスシーン。
 茜は初めてこのお芝居を見た時、この主人公の変化に戸惑い、恐ろしく感じたものだ。ひょっとして自分もいずれこうなるのではと、恐ろしくなってもう一人の自分――アカネの人格を生み出したのだ。
 だが今は違う。新たな身体を手に入れた茜は、誰の庇護も受けず自由と共に歩き出すのだ。自分だけの道を。
 主人公の母親役には大好きなお母様が。一緒に手を取り踊りだす。
 お兄様も故郷の人々も、それぞれの役になって一緒に躍ってくれて。
(「ああ、今なら彼の心情が手にとるように分かりますの」)
 親が与えてくれた真っ直ぐなレールを歩くだけが人生ではなくて。自由は時には怖いけれど、それでも無限の可能性が広がっているから。
(「わたくしも新たな自分に出会えました」)
 お母様もお兄様も、今でも大切な存在に変わりない。大切な人たちが舞台の上で、茜の門出を祝福してくれる。
 舞台の幕が降りると、拍手喝采。いつのまにか集まっていた悪魔たちの熱いスタンディングオベーションに緞帳は再び上げられる。
 アンコールに応えた茜はスポットライトを浴び、笑顔で一礼。鳴りやまない拍手に何度も笑顔で応えるのだった。
(「そう、わたくしも以前はテアトル・リエーブルで舞台の主役を務めていたのでした……」)
 それが茜の夢なのかはわからない。けれどその可能性に、万雷の拍手に、茜は胸に手を当て、そっと目を閉じるのだった。
大成功 🔵🔵🔵

佐伯・晶
悪魔達が支持したくなるような思い出か
なかなか難しいなぁ

私に良い考えがありますの
悪魔の方々はワルが大好きですの
ですから魔界学校での思い出を語りますの
もっていくアイテムは改造学ランですの

宵闇の衣の見た目を変えただけで
フリル満載の学ランと言い張ってるだけの何かだろ、それ

学園を牛耳っていたグループが
銀行強盗で集めてきたDを強奪したり
そのグループのメンバーを買収して
仲間を増やしたりと晶のワルい行いを話しますの
ガチデビル様だけがワルではありませんの

仲間を増やすとこについては
絶対お前も裏で糸引いてたろ

ちょっと晶の活躍を宣伝しただけですの
それに学ランのデザインは私の案ですけれど
その後の作戦立案と実行は晶ですの


●悪道武勇譚
「悪魔達が支持したくなるような思い出か……なかなか難しいなぁ」
 異世界の妖精が作ったという不思議な工房にやってきた佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、そう言うと一度考え込む。
 良い子過ぎる悪魔たちのせいでデビルキング法が制定されたぐらいである。彼らにとっては悪い奴はかっこいい、欲望は素晴らしいという当然のルールが前提としてあるので、一般的な思い出話ではパンチ力が足りないのは、今までのこの世界での戦いにおいて、晶は嫌というほど思い知らされていた。
「私に良い考えがありますの」
 わくわくとした楽し気な声に、晶はなんだか嫌な予感がした。
 もちろん私も手伝いますわと、やたら前のめりに出てきた晶と融合した邪神の分霊がうきうきとした様子で何かを手に晶の前に現れる。
「それってもしかして……」
 見覚えのあるその思い出の品に、晶はやっぱりこの世界ではそうなるかと納得のような諦めのような感情を抱く。
「ふふ、晶にとっても思い出ですの? 悪魔の方々はワルが大好きですの。ですから魔界学校での思い出を語りますの」
 嬉しそうに邪神が差し出したのは、いつも着ているふりふりの漆黒のドレスではなく。
「もっていくアイテムは改造学ランですの」
「宵闇の衣の見た目を変えただけで、フリル満載の学ランと言い張ってるだけの何かだろ、それ」
 邪神が広げて見せたそれは、忘れもしない名門魔界学校に潜入……カチコミ? した時のものである。フリル付きの白いブラウスに黒いスカート。学ランには「紗衣鬼 鴉輝羅」と刺繍されているこだわりぶり。
「可愛さも大事ですの。ブロマイドも大人気でしたの」
「ああ、もうその話はいいから……」
 最終的に晶を旗印にした一大番長グループとなったのは、もはや黒歴史と言える。邪神の思い出話はせめて悪魔たちに聞かせようと、二人は改造学ランに眠る小さな異世界へと飛び込むのだった。
「わあ、猟兵だー」
「次はどんな思い出話を聞かせてくれるの?」
 もはや呼ばなくても勝手にやってくる悪魔たちは、他の猟兵にも話を聞いたのか、わくわくした目でこちらを見てくる。
「これからとびっきりワルい話を聞かせて差し上げますの」
「……なんで自分からハードル上げるんだよ」
 なんだか得意げな邪神が改造学ランを示して見せると、集まった悪魔たちは熱い視線を送る。
「うわあ、めちゃくちゃかっこいい!」
「番長? 番長なの?」
 掴みはばっちりである。そうしてなぜか邪神が主体になってあの学園での一部始終を語るのだった。
 突如やって来た転校生悪魔が学園に番長として君臨し、生徒に銀行強盗や悪事でDを集めるように指示していたところ、晶は改造学ランを身に纏い、彼らが銀行強盗して集めてきたDを校門前で問答無用で強奪。
「ええ、それはもう理不尽かつ容赦なく。なおかつそのグループのメンバーを買収する悪徳っぷりですの」
「清々しいまでのワル!」
「そんな可愛い格好で容赦なさ過ぎてクールで痺れるっす!」
「ガチデビル様だけがワルではありませんの」
 強奪したDで相手を買収し裏切らせる。そして良い子の悪魔たちは、この裏切りという悪い行為に瞳を輝かせ、ころっと裏切ってしまうので、どんどんと仲間は増えていったわけだが。
「仲間を増やすとこについては、絶対お前も裏で糸引いてたろ」
「ちょっと晶の活躍を宣伝しただけですの」
 どう考えても増え方がおかしかった。それにあの例のブロマイドをみんな持っているのがおかしい。
 邪神は晶の追及をさらっとスルーしては、さらに裏切った悪魔たちから彼らが集め貯蔵していたDの場所を聞き出し奪取し、さらにそれを元手にグループメンバーを買収し……一大番長グループになったことを面白おかしく話すのだった。
「すごい……ワルい、ワルすぎる……!」
 言葉とは裏腹に、晶を見る眼差しはヒーローに対するものである。
「やってることは事実だけどさ、なんか脚色が入ってない?」
「そうですの? 全て晶が企てたワルい計画ですの。学ランのデザインは私の案ですけれど、その後の作戦立案と実行はぜーんぶ晶ですの」
 まあ確かにそうだけれど。悪いことをしなければいけないから、それにそってやっただけなのにこの言われようだ。
「い、今からでもグループに入れる?」
 きらきらとした瞳で悪魔たちに見つめられ、いくら猟兵に対する支持が必要とは言え、さすがに勘弁してほしいと思う晶だった。
大成功 🔵🔵🔵