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7thKING WAR㉒〜ロックオン!

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』

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#東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』


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●東の横綱
「連日の戦い、お疲れさん」
 そう言う大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)の眼前のテーブルには、キンキンに冷えたレモネードのグラスがずらりと並んでいる。デビルキングワールドで奮戦を続ける猟兵たちへの、彼女なりの精一杯の労いなのだろう。
「けど、まだまだ働いてもらわなきゃいけないんだ。次に戦ってもらいたい相手は、次代のデビルキング候補の一人、東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』だ」
 スーパーカオスドラゴンは名前の通り龍身を持つモンスターで、複数の首を持ち、強力な混沌魔法の使い手でもある。
 世界に混沌の暴走をもたらした(暴走前に許可取りやら注意喚起やらを抜かりなく行うという、段取りの完璧ぶりが好評だったそうな)功績によって、白羽の矢が立てられたという。
 非オブリビオンでも恐るべき超常の力を持つデビルキングワールドにあって、一頭地を抜いて王の候補になるくらいだから、当然、その戦闘力もまた並大抵ではない。
「で、今回案内する戦場が具体的にどんなんかっつー話だが……無限に増殖する力を持ったスーパーカオスドラゴンを討伐してもらう、ってモンだ」
 無限増殖。冗談のような単語だ。
 が、事実である。
 スーパーカオスドラゴンの操る混沌魔法『カオスヘッダー』は、周囲の物質を変成させて新たなスーパーカオスドラゴンを生み出す。いくら増えてもその分戦闘力が半減するなどということもなく、戦いが長引けば長引くほどその数は増えていく。
 猟兵との実力差を鑑みるに、それはどうやったって討伐できないのでは?
 と、思われたが、さしものカオスヘッダーといえどそこまで無敵ではないらしい。
「増殖したスーパーカオスドラゴンは、完全な同一性を持つ……わかりやすくいえば、HPが共通なんだ。つまり、どれか一体を撃破すれば、増殖した他もドカンと吹っ飛んじまう」
 これを踏まえて、朱毘が攻略に当たってのポイントと思ったのは、ざっくり次の三つだという。
 一、倒すべき一体のスーパーカオスドラゴンを定め、見失わないようにすること。
 第二、その一体に効率よく高火力の攻撃を当て続けること。
 第三、他のスーパーカオスドラゴンからの攻撃を防ぐこと。
「……まあ、一人でこの三ついっぺんにやるのは厳しいだろうから、役割分担してチーム組んで当たった方がより確実だろう」
 何しろ、単体であっても一対一では猟兵を大きく上回る実力者である。増殖によって手数が大きく増えているところを相手取ろうと思えば、容易であろうはずもない。
「まあ……実際に戦うのは皆だ。戦術は任せるよ。ただ、何も考えず突撃かませば勝てるような相手じゃないってことだけ、忘れないでくれ」
 言って朱毘は、猟兵たちを激励するように、チン、とグラスをぶつけた。


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。大神登良(おおかみとら)です。

 これは「7thKING WAR」の戦況に影響を与える戦争シナリオで、1章で完結する特殊な形式になります。

 このシナリオには下記の特別な「プレイングボーナス」があります。
『プレイングボーナス……無限に増殖し続けるスーパーカオスドラゴンの群れと戦い、どれか1体を倒す』
 具体的な戦術についてオープニングで朱毘が語っていますが、あくまで例であってこれに準拠しなければならないというものではありません。
 ただし、敵が強大であるのは事実なので、無策な戦い方である場合は、思うような戦果を挙げられない可能性が高いです。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』禍』

POW   :    ハイパーカオスチャージ
【カオスで予測不能な軌道を描く】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のスーパーカオスドラゴン】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    アンリミテッドカオスファング
【三つの頭の牙による連続噛みつき】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    マッドカオスフレイム
自身が【混沌魔法「カオスヘッダー」を発動して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【属性を変え続ける混沌の炎】によるダメージか【肉体を癒やす混沌物質】による治癒を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベルベナ・ラウンドディー
混沌魔法、混沌の炎
成程、ならばこうします


ユーベルコード使用
自分の量掌に魔法文字を刻み、発する暴風を纏う
【破魔・エネルギー充填】…ベルベナ暴風モードです
私の体、纏う空気を破魔属性に強制変換しました
混沌魔法と言えどそれを発する貴方はこの世界の「魔」の王候補
この風を攻守の要に魔を破ります


【鎧無視攻撃・ジャミング】
爆風を拡散して敵群の行動阻害、視界不良
…というより属性を乗せた風で相手の感覚そのものを阻害します
ステルスという点では偵察隊の基本の考え方でしょうか
【滑空】
その風に乗り、死角から一匹を選んで魔法文字を直接刻み付けます
エネルギーの充填
いくら肉体を癒そうが魔力や精神的な部分は防ぎようがない筈です


バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

細やかな心配りに派手な大暴れ。
支持を得るのも納得のラスボスであります!
一人で軍勢を構築できるとは、すごいデース!
しかし、だからと言って負ける訳には行きマセーン!
いざ勝負デース、スーパーカオスドラゴン殿!

他の方の行動に合わせるメイドの奉仕活動!
ターゲットとなる一体は皆様に任せ、ワタシは周囲にいるカオスヘッダーで生まれたエネミーへ対処しマース!
突進に協力しようとする他のスーパーカオスドラゴンの方々へ、全武装展開!
フルバースト・マキシマム! 殴る貫く吹き飛ばすの暴力デース!

仲間たちへの攻撃には滑空して割込み、ファルシオンを構えてパリィ!
牽制攻撃と友軍警護はお任せくだサーイ!



●そこのけそこのけ
 何が所以ともつかぬ、緑の蛍光色の炎が戦場を包む。
 ゆらゆらと揺らめく炎の舌の隙間から覗き見えるのは、メタリックブラックの照り返しを見せる肌を持つ、幾本もの龍の首。
 増殖したスーパーカオスドラゴンの群れを眺めやって、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は目を丸くした。
「一人で軍勢を構築できるとは、すごいデース!」
 恐れよりは感嘆が勝った声色だった。実力に加えて細かな気配りもできるスーパーカオスドラゴンは、バルタン的には高評価である。
「あれが混沌魔法の炎か……」
 臨戦の場にあって神妙な面持ちになっているベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)の両手に、何やら複雑怪奇な文字が浮かび上がる。
 次の瞬間、それから噴出した魔力が竜巻状の奔流となってベルベナを包む。
 デビルキングの候補ならば、その根幹となる性質は『魔』であるはず。ゆえに、この風の壁は攻防の要たり得る。それが、ベルベナの立てた仮説であった。
「――行きます!」
 ベルベナは地を蹴り、緑の炎の原へ躍り込んだ。
 破魔の竜巻に侵食された空間は、壊れたテレビモニターめいた砂嵐で満たされる。混沌の炎と砂嵐とが互いに食い合い、ザラザラ、バチバチとノイズが鳴る。
 そのノイズになでられたスーパーカオスドラゴンの頭部が、バチン! とのけぞった。
「なるほど、効くゼぇ」
 ニヤリと笑いつつ、スーパーカオスドラゴンは言う。
「人間で言えば、海水が鼻に入ったくらいってところだゼぇ」
 それは結局、大して効いていないというアピールだろう――といって、実際に延々と鼻に海水が入り続けるという状態に陥ったとしたら、まあまあの地獄な気もするが。
 また、砂嵐はダメージのみならず目くらましの効果もある。空間に満たされたノイズにより、ベルベナの姿は霞んで見え辛い。
 スーパーカオスドラゴンがベルベナを見失っている隙に、ベルベナは嵐に乗り、文字通り風のごとき疾さで宙を舞う。
 背側から迫られたスーパーカオスドラゴンの一体が「はっ」とする間もなく、首裏に鍔のない短刀が突き立てられる。
「グォっ!?」
 スーパーカオスドラゴンが思わず悲鳴を上げた時には、首裏にはダメージ効果のある魔文字が刻まれていた。
 即座にスーパーカオスドラゴンは首を振り回しつつ、貼り付いたベルベナ目がけて緑の炎を奔らせる。が、ベルベナは瞬時に砂嵐に紛れて姿を消す。
「その炎、肉体は癒やせるようですが……この傷は肉体より精神へ干渉します」
「ホぉ……」
 スーパーカオスドラゴン自身の体を癒やす効果のある混沌の炎。首裏に刻まれた文字の痕も炙られて淡くはなっていくが、その治りは遅い。
「だが、この程度でオレサマをどうにかできると思ってンなら大間違いだゼぇ!」
 何体ものスーパーカオスドラゴンが一斉に、天をつんざく咆吼を上げる。同時、戦場にはびこる混沌の炎が勢いを倍加させ、破魔の砂嵐を浸食していった。
「――っ!?」
「ゲヒャヒャ! どこに隠れてるかわかんネェなら、嵐ごとゼンブ消しちまえばいいんだゼぇ!」
 度し難い力業だ。
 しかし、頭数と攻撃力に優れるスーパーカオスドラゴンともなれば、その戦術を有効に働かせてしまう。流石は東のラスボスの貫禄、ベルベナ個人が生み出した嵐だけで支えられるほど甘くもない。
 嵐が喰い尽くされ、またもろともにベルベナが焼き尽くされるまで、暇はない――が。
「そうそう好きにはさせまセーン、スーパーカオスドラゴン殿!」
 鋭い声を発したのはバルタンである。
 アームドフォートにごちゃごちゃと目一杯の砲を搭載し、種々の内蔵式の火器も露出させている、物騒さ全開な姿となっている。その威容はメイドというより、火力馬鹿が設計した戦闘車両に美少女の頭部と手足を生やしただけ、といった風情を醸し出す。
 ただ、そんな馬鹿げたバランス感覚の物体は、それでいてしっかりと安定して十全に性能を発揮できる形態であった。
 苛烈に炎を上げるスーパーカオスドラゴンの集団に、【フルバースト・マキシマム】によるグレネード弾やミサイル弾の猛雨が降り注ぐ。
「ぬォ――!?」
 スーパーカオスドラゴンたちが唖然としたところ、幾重にも重なる爆音、爆炎、爆風
 単純な攻撃力よりは、面制圧力に重きを置いた攻撃。爆圧に屈するように緑の炎が散らされる。
 しかし、そこはラスボスの意地。
「こんのォ、なめるんじゃねぇゼぇ!」
 スーパーカオスドラゴンらが一旦密集したかと思ったら、跳んだり走ったり転がったり、めいめいがてんでばらばらな体当たりを仕掛けてくる。カオスな軌道とタイミングだが、狙うところはごく正確にバルタン一点、しかも彼女の生み出す弾幕を押し退けつつの突進である。
 超常存在として見てさえ規格外に過ぎる超絶の圧力を前に、しかし、それでもバルタンは退かない。
「勝負デース!」
 絞り出すような気勢と共に、幅広肉厚の片刃刀を振るう。
 真正面から斬りかかる――わけではない。そんな真似をしても一瞬で力負けして消し飛ばされるのはわかりきっているから。
 全身全霊の剣閃をもって、受け流す。極限の流麗がカオスな暴圧に割り込み、滑らせ、逸らし、いなす。
「何ぃ!?」
 肝といわず五臓六腑全てが冷え切るような一瞬が過ぎた後、ベルベナによって傷を刻まれた一体への道が開けた。
「今デース!」
「おお!」
 バルタンの両腰に備わった砲から吐き出された擲弾と、直刀を構えたベルベナとが、再びスーパーカオスドラゴンへと奔った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

青原・理仁(サポート)
人間
年齢 17歳 男
黒い瞳 金髪
口調 男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)

性格面:
やさぐれ、ぶっきらぼう
積極的な人助けはしないが、見捨てきれずに手を貸してしまう

戦闘:
武器は使わず、殴る・蹴る・投げるなど、技能「グラップル」「怪力」を生かしつつ徒手空拳で戦う
構え方は古武術風

雷属性への適性があり、魔力やら気やらを雷撃に変換し、放出したり徒手空拳の際に纏わせたりします


マホルニア・ストブルフ(サポート)
◇口調:男性的
一人称:私
三人称:お前、呼び捨て
【だ、だな、だろう、なのか?】~か、〜するよ、構わん、等
協力者には丁寧に接する。

◇行動方針:問題の解決
一般人がいれば保護が優先。
多少の負傷は気にせず行動。

◇戦闘・技能
知覚端子を張り巡らせ、地形や敵の動向を情報収集しながらサポートしようか。
電子媒体はハッキング、戦闘はグラップル、切断、射撃系がメインだな。使える技能は使っていこう。

武器はレヴィアスクかアサルトライフル。移動や捕縛、足場に転用でGleipnirを使うこともあるな。
UCはハッキング・UDC由来の呪詛を組み合わせて実現させる。詠唱は長いからな、有っても無くても構わない。後はよろしく頼む。



●ブランディッシュ
 スーパーカオスドラゴンは一体につき三つの首を持つ。混沌の炎をもって形成する双角と、黒鉄のような鋭利な牙を備える。
 それは当然ながら、無限増殖によって数を増やしたスーパーカオスドラゴンの全てに備わっている。一本一本が最大級のアナコンダほどもある竜首が数え切れないほどある、というだけでもかなりの光景だが、それらがが【アンリミテッドカオスファング】で首を振り回すとなった様は、まあ控えめに称しても、この世の終わりじみていた。
 どどどど!
 と、地鳴りと爆炎の連鎖が地面を叩き、荒らし、砕く。およそ、その中にあって生物が生存を許されるなどあり得なさげだったが、マホルニア・ストブルフ(欠けた年代記・f29723)は際どくも生き残っていた。
「むぅっ……!」
 マホルニアの周囲を護るように囲うのは、目玉がびっしりと浮き上がった漆黒の怪腕の群れである。【年代記(アカシックレコード)】に由来を持つ、外宇宙より招かれた邪悪なる木の枝たち。本来ならこの宇宙で形ある形で現出するはずのない存在なのだが、そこはそれ、超常を是とするユーベルコードの面目躍如である。
 だが、そんな超常なる怪腕の群れをもってしてさえ、スーパーカオスドラゴンの暴威を抑え切るのは困難だった。スーパーカオスドラゴンの顎が噛み付いてくる都度、密度に勝る怪腕が横合いからその顔を引っ叩くなどするものの、膂力で勝つスーパーカオスドラゴンは容易に怯まない。
「ゲヒャヒャ! 終わりだゼぇ!」
 噛み砕かれた怪腕の檻の隙間からスーパーカオスドラゴンの首がねじ込まれ、マホルニアに竜牙が迫る。
 が、マホルニアの纏った高速演算術式によって、彼女の目にはスーパーカオスドラゴンの動きがゆっくりに見える。
 紙一重、最小限のサイドステップで牙を回避し、さらに密集するスーパーカオスドラゴンらの隙間を縫うように駆ける。次いで、足跡を追うように新たな怪腕を召喚していく。
(……凌げているな)
 胸中でつぶやく。スーパーカオスドラゴンの攻撃は恐ろしく速いし威力が高いが、それぞれの行動の制御は粗い。速度と細やかさを兼備したマホルニアの動きは捉えられていない。
 ただし『今は』の話だ。時間を置けば置くほどスーパーカオスドラゴンは数を増し、不利になる。
「――はぁッ!」
 命そのものを注ぎ込むような気勢と同時、ダメージを負った一体目がけて一際太い怪腕を伸ばす。
 ただ、一体が討たれれば終わるのはスーパーカオスドラゴン自身もわかっているからだろう、他の己自身を盾にするように奥へと逃れていく。
 届かないか。
 そう思われた刹那、伸びた怪腕を足場にして青原・理仁(青天の雷霆・f03611)が駆けた。
「ここまで来て、逃がしやしない――!」
 迅い。まるで雷のようだ。
「うオっ!?」
 スーパーカオスドラゴンが(どの首かはわからないが)慌てた声を上げる。
 しかし慌てつつも、足場となった怪腕に己の分身たちの牙を殺到させた。足場の怪腕は太さに比例した頑強さを持ってはいたが、スーパーカオスドラゴンの猛攻を前にすれば呼吸三つほどの間にズタズタにされ、崩壊する。
 が、それだけ間があれば理仁が足場を駆け抜けるには十二分。
 その上でなお届かないあと一歩があったが、足場が砕け切る寸前の理仁自身の跳躍が、その距離を埋める。
「ち……ナメんじゃねぇゼぇ!」
 傷付いた個体であるとはいえスーパーカオスドラゴン、角も牙も、戦意も健在だった。三本の首がそれぞれに理仁を狙って奔る。
 無論、それが理仁にとって予想外であったわけでもない。
「であぁっ!」
 中空で高速前転しつつ、【雷武練醒】の雷気を纏った足で最も手前の頭に踵落としを放つ。竜牙が理仁の体に届くより先に鼻先に炸裂し、怯ませる――が、微か。
 だがそれも予想の範囲内。
 蹴った頭を足場に第二の頭へ跳躍し、渾身のアッパーカットを顎先に打ち付ける。ごっ! と重い手応えと共にスーパーカオスドラゴンは仰け反った――が、それも微か。
「マジか!?」
 それは流石に理仁の予想から外れた。
 第三の頭が眼前に迫りくる。その牙に胴を抉られる寸前に強引に口内に足をねじ込み、噛み合わされるより先に牙を蹴って間合いの範囲外へと跳ぶ。
 ざりっ! と、蹴り足が裂かれて血煙が舞う。
「ぐ――!」
 痛みに理仁の顔が歪む。が、傷は致命傷には程遠いし、戦闘続行に支障もない。
「はっ……まだまだ、こんなもんじゃない!」
「へっ、しつこいゼぇ!」
 地面に着地すると同時、理仁は再び雷速の跳躍をもってスーパーカオスドラゴンへと挑みかかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
何が起きるか分からないカオスってメチャクチャ面白そうだな!
そんな面白い奴こそ闘い甲斐があるぜ!
悪魔の中の悪魔、デビルキングを巡る闘いを挑ませて貰うぜ!

タックルをさせる前よりもダッシュで先制に動いて、先に闘ってくれている猟兵が傷つけているドラゴンの一体に、
オレのありったけの【溢れ出る戦士の猛り】を込めた竜斧でぶったたいてやるぜ!
命中時の爆発で他のドラゴンを吹き飛ばして、オレ達が倒そうとするドラゴンの助太刀も阻止するぞ
このオレの闘志が尽きない限り、お前をにがさないぜ!

ドラゴンが不規則に動き始めたら、真の姿に変身してパワーアップした怪力と野生の勘で
ドラゴンに引きずり回られないように引っ張ったり、タックルに出来る限り衝突しないように距離を保つぞ
ドラゴンの姿に象ったオレの生命エネルギーを舐めるなよ!
タックルを避けられなさそうな時はダメージ上等で後退だけはされないように、クロスカウンターを放って少しでもダメージを負わせるぜ
オレの闘志が尽きるのが先か、お前が爆発するのが先か、カオスに勝負だぞ!


アマネセル・エルドラート
「いくら一体だけ倒せば良いと言っても。同時に複数から攻撃されてたら、こっちが攻撃を仕掛けることも難しいわね。」
此処はなるべく数の影響を受けずに、何れか一体に攻撃を仕掛けられそうな戦い方で行くしかない。

「これなら…的を絞るのは難しいはずよね。」
UCドリームメイズで自分の周りに、予測をされないように敢えて自分から少し離れた首の目の前を出口に設定した立体構造の迷路を生成。
複雑な構造だが自分で作った迷路、構造は把握済み。
迷路の壁で攻撃を防ぎつつ、右へ左へ。一気に出口に向けて駆け上がる。
迷路の出口に辿り着いたらランスチャージ、迷路を出ると同時にアリスランスでの攻撃を叩き込もう。



●ラスボスへ続く道
 一体さえ倒せば、無限増殖によって数を増やしたスーパーカオスドラゴンの全てが撃破できる。
 そう言われても、である。
 デビルキングワールドで『東のラスボス』という大看板を張り出す怪物が、分身して大軍勢を成しているのだ。それをかきわけてつつ一体を討てというのは、はいよござんすと請け合えるほど簡単な仕事ではない。
 そんな状況にあって、アマネセル・エルドラート(時計ウサギのアリスナイト・f34731)は考える。自分の持っている手札の中で、この状況にマッチするものはないかと。
(なるべく敵の影響を受けずに、一体を狙って攻撃できるような手段……)
 どんな猟兵にとってもいえることだが、スーパーカオスドラゴンの集団を力尽くで押し退けつつ一体の元へ行くというのは、ほぼ不可能だ。
 何かしら搦め手は必要だろう。では、アマネセルに出来ることは何か。

「カオスってメチャクチャ面白そうだな! 闘い甲斐があるぜ!」
 叫ぶグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は小柄ながら、ドワーフ由来の恐るべき膂力を誇る。
 その膂力によって、体躯にそぐわない巨大な斧状の竜骨が軽々と振り回される。竜斧の刃には【溢れ出る戦士の猛り(バーバリアン・デスマッチ・スピリッツ)】の闘気が宿っており、触れるものを吹き飛ばす爆発力を秘めている。
 グァーネッツォが狙うのは、今までの連戦で負傷したスーパーカオスドラゴンの一体――だが。
 どごっ!
 と、斧の刃が叩きつけられたのは地面。一瞬前まであったはずのスーパーカオスドラゴンの姿は、巨体に似つかわしくない超速によって大きく間合いの外へと逃げていた。
 炸裂点を中心に膨れ上がった闘気の爆風がドーム状に荒れ狂い、グァーネッツォの周囲にいたスーパーカオスドラゴンらは超常の暴圧にさらされた。なまじのオブリビオンであれば根こそぎ吹っ飛ばすか、あるいは木っ端微塵にしていてもおかしくない大爆発である。
 だというのに、スーパーカオスドラゴンらは少しばかり押されて、地面に摩擦痕を刻んだのみ。
「やる気だけは認めてやるゼぇ!」
 哄笑と同時、スーパーカオスドラゴンの集団は一気にグァーネッツォに襲い掛かった。混沌の炎で形成される双角を闘牛よろしく構えた、体当たりだか刺突だかの殺到である。
 小柄なグァーネッツォを狙うにあたってはむしろ邪魔にさえ見える、膨大な手数と攻撃範囲。
 だから、だろうか。グァーネッツォは回避を選ばず、その場に留まった。
「オレの生命エネルギーを――舐めるなよ!」
 咆吼と同時、グァーネッツォの体をハチミツ色の闘気が包む。
 いや、現象の見た目としてはむしろ、急激に膨張したハチミツ色の巨塊に彼女が取り込まれたと称した方がしっくりくる。
 巨塊の体積は瞬き一つでスーパーカオスドラゴンのそれと同等かそれ以上にまで拡大し、四肢と両翼を備えたドラゴンの姿をかたどった。
「ガぁぁっ!」
 咆吼はドラゴンのものかグァーネッツォのものか。
 いずれにせよ闘気を溢れさせつつ振り回された両腕が、迫っていたスーパーカオスドラゴンらを纏めて打ち据えた。
 先の爆発にも勝る暴威の攻勢にさらされ、仰け反るものあり、よろめくものもある。しかし、それでもなお数と威力のプレッシャーはスーパーカオスドラゴンに軍配が上がる。怯ませ損なったスーパーカオスドラゴンらの角が、ハチミツ色のドラゴンの胴体を貫いた――が、それは闘気で形成された仮初めの肉体であり、ドラゴンの胸あたりにある彼女の本体には傷が付いていない。
「ゲヒャ、しぶといじゃネぇか!」
「闘志が尽きない限りオレは止まらねえ! オレの闘志が尽きるのが先か、お前が爆発するのが先か、勝負だ!」
「ゲヒャヒャ! 面白ェ!」
 互いの気勢が交錯すると同時、闘争心で結ばれたグァーネッツォとスーパーカオスドラゴンが打ち合う。
 一体が討たれれば全滅するというのは、スーパーカオスドラゴン自身もわかっているはずだ。しかし、グァーネッツォの闘争心にあてられてしまった彼は、最も負傷のひどい個体を後方に下げるという基礎戦術さえせず、真正面からハチミツ色のドラゴンと殴り合いを挑んでくる。
 この状況は、猛攻にすり潰される危機であると同時、標的の一体を逃がさず仕留める好機でもある。
 ぱき。
 と、何やら乾いた、軽い音が鳴った。猛威と暴威のぶつかり合う物騒な轟音に紛れて、目立ちはしなかったが。
 ゆえに気付かない。気付かれない。
 それと知れたのは姿が目に見えてからだ。負傷したスーパーカオスドラゴンの個体の真上から、円錐状の槍を振りかぶったアマネセルが落下してくるのが。
「――あ?」
 平時ではほぼあり得ないことだが、それを目の前にしてさえスーパーカオスドラゴンの反応は遅れた。グァーネッツォとの闘争に意識を引っ張られていたためだ。
 そこへ、激戦地点の上空に橋を架けるような形で不可視の【ドリームメイズ】を設え、アマネセルは標的の一体へと近付いていたのである。スーパーカオスドラゴンがもう少し感知能力に長けているタイプであれば別の展開があったかもしれないが、そうはならなかった。致命的な隙をさらした。
「だぁぁっ!」
 ランスもろともの渾身の突撃が、三本首の一つを捉えて貫く。
 トールがミョルニルで釘でも打ったがごとき超絶の穿撃は、スーパーカオスドラゴンの首を真っ直ぐ真下に突っ飛ばし、地面に縫い止めた。
 東のラスボスたる竜といえど、こうなってしまえば俎上で捌かれるのを待つウナギ同然。
「今だ! おりゃぁ!」
 即刻即瞬、グァーネッツォの闘気が槍の形を得てスーパーカオスドラゴンの胴を刺し貫いた。
「ゲヒャ、ここまでかァ――やるじゃネェか」
 絞り出すようにスーパーカオスドラゴンがそうぼやいた、次の刹那。
 周囲一帯を埋め尽くしていたスーパーカオスドラゴンの大群が、一度に大爆発を起こした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月18日


挿絵イラスト