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銀河帝国攻略戦⑭~男なら、誰もが押したい自爆スイッチ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「皆様、戦いは順調に推移しております。」
 グリモアベースにて猟兵たちへと朗らかにそう語り掛けるのは、セバスティアン・ヴァンホーン(真なるお嬢様を探して・f14042)だ。戦いは決して予断を許さないが、全体としては解放軍有利に戦況が推移している。
「今回皆様に対処頂きたいのは、『白魔』艦隊で御座います。遥か昔『伝説の解放軍』を散々に翻弄し苦しめたと伝えられし、白騎士ディアブロ直属艦隊。しかしその実態は…」
 セバスティアンによれば白騎士直属と言えば聞こえは良いものの、その実態は全滅覚悟の特攻艦隊ということだ。彼らは銀河帝国皇帝に絶対の忠誠を誓っており、己が命を犠牲にしてでも攻撃を仕掛くる……このまま解放軍への会敵を許せば、解放軍に甚大な被害が予想されるだろう。
「今回の作戦では、私めが皆様を敵の突貫用高速輸送艦へと転送させて頂きます。そこで敵が味方へと辿り着く前に輸送艦に搭載されている自爆装置を起動頂きたいのです。」
 自爆装置を起動する為には、敵のコアルームへと辿り着く必要がある。しかしながら、輸送艦隊に配置されている敵は非常に多く、全滅させることは出来ないであろう。また、長期戦となっては敵が解放軍へと辿り着いてしまう……時間の余裕もあまり無い。つまりは電撃作戦。出来るだけ素早く、コアルームへと辿り着く為の作戦を練る必要があるだろう。

「コアルームへと直接転送出来れば話が速いのですが……どうにも難しいようです。いやはや、力不足で申し訳無い。ただし、自爆装置起動後は必ず皆様を回収致しますのでご安心下さい。」
 敵は特攻部隊だが、猟兵たちまでもがその流儀に付き合う必要は無いだろう。
「それでは皆様、何卒宜しくお願い致します。」


きみはる
●注意
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●ご挨拶
 お世話になります、新人マスターのきみはるです。ようやく戦争依頼に参加する事が出来ました。宜しくお願い致します。
 今回は潜入破壊ミッションとなります。集団戦へのプレイング、そして何より皆さまのコアルームに向かう為のナイスな作戦を待っております。
 筆の早い方ではありませんが、一生懸命頑張りますので宜しくお願い致します。
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第1章 集団戦 『クローン騎兵』

POW   :    ジェノサイダー
【自身の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ジェノサイドモード】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    インペリアル・インテリジェンス
【銀河帝国式戦術ドローン】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ブラスターレイン
【熱線銃(ブラスター)】を向けた対象に、【連続射撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニオク・イグズヴィ
※ノトス・オルガノン(f03612)と共に作戦参加
 今回の戦争で何度か顔を合わせた、いわば戦友ってやつだ
※アドリブ・アレンジ歓迎

男なら
否、漢なら!
一度は押してみたくなるよなぁ、押しちゃいけないスイッチって
相手が帝国軍なら遠慮はいらねぇ
派手な花火咲かせてやろうぜ

○SPD
バウンドボディ使用
ノトスが目くらましをしている隙に、ダクトに潜り込みコアルームを目指す
ブラックタールの身体は、こういうときに便利だな
余計な戦闘はなるべく避けて敵艦中枢までまっしぐらだ

もし敵と遭遇した場合は【敵を盾にする】事でダメージを軽減する
悪ぃがてめえらと遊んでいる暇はないんでな
慌てなくても、でかい花火を特等席で拝ませてやるぜ!


ノトス・オルガノン
アドリブ、絡み歓迎です
ニオク・イグズヴィ(f00312)と同行
顔見知りの関係

しぶとい連中とは思っていたが…
ここまで自棄になられるとはな
他者の為に自らの命まで賭す
自己犠牲は美徳というが…命あってのものだと思うがな

さて、ニオク…と言ったか?
キミの身体であれば、敵の足元を潜り抜けていくのも、多少は容易いだろう
敵の目を引きつけている間に、先に行けるだけ行ってくれ

少々骨が折れそうだが…ここは私が引き受けよう

【SPD】
ユーベルコード【Organum】を展開
ニオクに近寄らせないことを第一に
ドローンというのは厄介なものなのだな…
優先的に潰させてもらおう


ネフラ・ノーヴァ
「牛舎」での参加。 目には目を、特攻には特攻を、だ。陽動は任せてもらおう。派手に立ち回って引きつけようではないか。何体いけるかわからんが、刺剣で奴らの白い甲冑を穿ち肉を刺し、血で染め上げよう。コアルームの方はよろしく頼むぞ。程よい所で退散させてもらおう。


ユト・リーィング
【牛舎】のみんなと参加。自爆に関してはほかのメンバーに任せるぜ。機械兵?だったか?さぁ沢山鉄くずにしてやっからかかって来やがれ!前衛で刀を振り回して楽しそうに戦う。まだまだ斬り足りねぇ!と切ってついた機械兵の油を振り払いながら相手の懐に入り込んで【居合切り】で真っ二つにする。2回攻撃で回し切ったり刀が唸る、やりたい放題である。 沢山居るとたくさん斬れるからな・・・楽しい限りだぜ楽しいなぁ・・・なぁおぃ。 鉄くずの山はなんかに再利用できるのか?まぁ、分野違いだからわからないけどよ。 次に斬られたいやつはどいつだ!ど殺気を出しながら吠える。
アドリブ希望、暴れさせてください。


オリオ・イェラキ
【牛舎】と供に

他の方が自爆させる事を信じて陽動を
あれは鉄の人形もどき…かしら
宜しいですわ
宇宙とはまた違う、この星夜をどうぞ堪能なさって

まずは派手に事を始めましょう
大剣を振るい、わざと相手を吹き飛ばす
壁などに激突させた音でここにいる事を敵に教えますの
さあ、来なさい。わたくし達は此処ですわ

ジェノサイダーは兎も角ドローンは破壊を
メテオリオで撃ち墜とし、
花弁を戻した大剣で今度は光線を反射させ受け止めますわ
次はわたくしの番。後衛の方、援護お願い致しますの
懐へ飛び込み瞬く星にて一閃
その首刎ねて差し上げますわ

近接の仲間と立ち回り連携しながら
一体でも多くの獲物を仕留めましょう
貴方達は夜に飲み込まれ、自滅するの


キール・ラトシエ
旅団【牛舎】で参ります

電撃戦となりますとこれは二手に分かれて突入が王道でしょうか
我々は陽動に当たります
派手に暴れて敵の目を引き付けましょう

とは言ったものの
皆さん本当に飛ばしますね
制圧したら私はUDCアースから調達した時限爆弾を30分後に起爆するよう仕掛け次の場所に向かいます
陽動攪乱も我々一か所では敵の集中攻撃を受けてしまいますからこれでより混沌となってくれれば幸いです
なるべく自爆装置に向かった方々のルートにかからない方向に敵を誘導するように私たちは移動していきましょう

戦闘では先手で広範囲に攻撃を仕掛け
乱戦時には敵の勢いがある方向を牽制していきます
周囲を警戒しコントロールするのが私の役割ですね


アルトニア・スカディアナ
【牛舎】と伴に
わたくしも陽動に。
皆様の後方支援を中心に、コアルームへの道を探りましょう。

騎兵様は、わたくしと同じ白でありましね…ふふふ、親近感。
隻眼より耳澄ませ【第六感】で敵の位置を探りましょう。
敵同士の会話内容を聞き情報収集致しましょう。

外套をくるみ【空中戦】で滑空したり、壁を回避に利用して、身をかわしまし。
槍のダルファで振り刺し、距離をとればドラゴンと変えキーのようなもの、隠しているものがないか【盗み攻撃】してみましょう。
邪魔なドローンにはドラゴンから槍へ変え【串刺し】しまし。

全滅覚悟なんて、悲しくありましょう?
【リライト】の祈りよりジェノサイドモードの敵の動きを止めませう。

アドリブ等歓迎




 猟兵達は無事敵輸送艦へと転移された。休憩室か何かであろうか?猟兵達は直ぐ傍に敵の気配が感じられないことを確認すると、互いに視線を交わしながら頷き合う。この後の手筈は、事前に整えた通りだ。
「さて、ニオク……と言ったか?キミの身体が敵を避けた潜入に最も適しているだろう。私達が敵の目を引きつけている間に、先に行ってくれ」
 ノトス・オルガノン(白百合の鎮魂歌・f03612)は、これまでの戦いでも共に戦場を駆け抜け、顔見知りとなったブラックタール――ニオク・イグズヴィ(コインの裏面・f00312)へと作戦を確認するように語り掛ける。
「任せな戦友、相手が帝国軍なら遠慮はいらねぇ。派手な花火咲かせてやろうぜ!」
 ニオクは小さな声で、だが力強く言い放つと『バウンドボディ』により体を液状へと変化させた。大きく引き伸ばされた黒き液体は壁を伝い、そのまま排気口へと姿を消す。
 事前に相談した作戦はシンプルだ――最も狭い隙間を通るのに適したニオクがダクトを通り、コアルームを目指す。そして、残りの全員が“陽動”となる。

「さて、そろそろ我々も派手に立ち回って引きつけようではないか。」
 愉悦の表情を浮かべながらネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)は仲間へと呼びかける。さぁ、後は思う存分暴れるだけだ。


 猟兵達は、戦いながら艦内を進む。少しでも派手に暴れ、少しでも大きな声で騒ぎ、少しでも敵に目立ち、そして少しでも潜入している仲間へと目を向けさせない為に。

「敵襲だぁ!撃て撃て撃てぇ!」
 白騎士麾下のクローン騎兵達の士気は高かった。誰しもが銀河帝国皇帝への忠誠を誓い、己が体を壁にしながら通路を塞ぐように隊列を組む。しかし……敵を倒そうとする戦士では無く、侵入者を先を進めさせないようにする壁では猟兵達の敵では無かった。
「さぁ、血の花を咲かせるがいいっ!」
 ネフラは羊脂玉の髪をたなびかせながら敵の輪の中へ飛び込んだ。彼女の刺突はクローン騎兵が纏う白き鎧を容易く貫く――超高速で繰り出されるその刺突は、白一色の無機質な通路へと無数の血の花を咲かせた。
「……なぁっ!」
 死をものともしない戦士は心臓を貫かれようとも、少女の純白のドレスへと無数の焦げた穴を開けていく。相打ちを確信したクローン騎兵は、ゆっくりと光を失うその瞳で見た――段々と塞がってゆく目の前の少女の傷を。それこそが攻防一体のネフラのユーベルコード、『染血散花(ブラッド・ブリス・ブロッサム)』なのだ。

 アルトニア・スカディアナ(隻眼よりあまねく白夜・f09479)はその身に外套を纏い、宙を舞う。壁を蹴り、敵兵の頭上を取れば、敵中で舞う少女――ネフラへと意識を向ける敵兵たちへ赤竜の牙槍ダルファを繰り出す。
 キール・ラトシエ(古き知識を読み求める者・f04006)が炎の雨を降らせば、負けじとノトスが己がパイプを撃ち放つ。大勢を崩した軍勢へと、オリオ・イェラキ(緋鷹の星夜・f00428)が身の丈ほどの大剣を、ユト・リーィング(蒼き鎧の剣豪妖狐・f00959)大太刀を手に敵兵へと切りかかる。
 猟兵達の猛攻により通路で迎え撃たんとしていたクローン騎兵達は容易く蹂躙された。

「コアルームへと向かったニオクさんとは別方向へ敵を誘導した方が良いのではないでしょうか?」
 キールは、一先ず息を整える猟兵達へ向かって、次なる方針を提案する。その意見にて相違無いと皆が頷くが、実際に何処へ向かうかが問題だ。
「わたくしに、考えがありんし。」
 アルトニアの提案はこうだ。彼女の『第六感』により僅かに感じとれる艦内の気配によれば、敵が大きく固まっているのは二ヵ所。一つは艦の中央――これは位置からブリッジと推測される。二つ目は艦の後方――重要度で考えると、こちらがコアルームであろう。コアルームへ向かったニオクを援護する為、ブリッジへと向かうべきだ……猟兵達がブリッジ制圧を狙っていると勘違いさせる為に。
「上手く陽動出来ているかは、これで分かるでありんしょう。」
 そう語り掛けるアルトニアの手には、集団で指揮していた、隊長格と思わしき騎兵が所持していたトランシーバーが握られていた。


「糞っ、敵は手練れだっ!艦内の全員に告ぐ!戦術ドローン及び、ジェノサイドモードの解放を許可する。繰り返す、戦術ドローン及び、ジェノサイドモードの解放を許可する。絶対にブリッジへと辿り着かせるな!」
 アルトニアの手中のトランシーバーから、艦長と思わしき男の怒声が聞こえる。陽動は順調に進んでいるだろう。しかし、陽動が順調であればあるほど、猟兵達の戦いは熾烈を極めるのだ。
 クローン騎兵はその鎧から謎の飛行物体を浮かび上がらせた――クローン騎兵自らをコントロールさせることで戦闘力を上昇させる、『銀河帝国式戦術ドローン』だ。猟兵達を迎え撃たんと待ち構える騎兵が格段に手強くなってゆく。しかしその戦術は既に、この戦争を通して幾度と無く切り結んだ猟兵達にとって、脅威では無いものだった。

「さぁ、皆様……宇宙とはまた違う、この星夜をどうぞ堪能なさって。」
 オリオが身の丈ほどの大剣を振るうと、大剣は黒の煌きを放つ薔薇の花びらへと姿を変えた。舞い散る花びらの渦がドローンを囲い、火花を散らして撃ち落とす。飛び散る火花と花びらの煌きが、まるで星空の瞬きのように。
「全滅覚悟なんて、悲しくありましょう?」
 騎兵達の命を代償にジェノサイドモードとなった熱線銃は圧倒的殺傷力を誇り、本来脅威となる強力な武器だ。しかしアルトリアが放つ聖なる光により、解放された筈のエネルギーが収束していく――切り札を封じられた騎兵達は浮足立つ。
「私も負けていられませんね、いきますっ!」
 キールが唱えた『ウィザード・ミサイル』により放たれた炎の矢は百を超え、通路全体へと炎の雨を撒き散らす。その雨は、突如ドローンによる支援を失い、体勢を崩たクローン騎兵達の勢いを大きく削ぐことに成功した。
 クローン騎兵達も負けじと撃ち返すが、彼らが見たのは炎の雨から飛び出た鉄の塊――己が大剣を盾に飛び込んできたオリオだ。
「その首刎ねて差し上げますわ。」
 後衛の支援を受けながらオリオは大剣を振るう。その流星の軌道の如き目にも止まらぬ剣撃が、次々と敵兵の首を刎ねていった。
 猟兵達の勢いは止まらず、艦内を駆け抜ける――己が役割を果たす為に。


 予め猟兵達が説明されていた通り、艦内には全滅仕切ることが不可能なほどの莫大な数の兵が搭乗していた。猟兵たちは休憩することも出来ずに戦い続ける。まるで無限にも感じるほどの援軍が続々と送り込まれてくるが為に。囲まれぬよう周囲に気を配り、位置取りを気にして戦っていた猟兵達も、ついには背後を突かれてしまう態勢となった。

「しぶとい連中とは思っていたが、ここまでとはな……皆、先に行ってくれ。少々骨が折れそうだが、ここは私が引き受けよう。」
 背後から猛追する軍勢を引き留めようと足を止めたのは、ノトスであった。彼は『Organum(オルガノン)』により複製されたオルガンのパイプを宙に浮かせると、駆け寄るクローン兵達の頭上へと撃ち放つ――そのパイプは正確に、そして的確にドローンの制御コンピューターを貫いた。
「すみません……。」
 そう言い放ち先へと急ぐ猟兵達の中から、一人残る者がいた――鋼鉄の全身鎧を纏いし狐尾の戦士、ユトだ。
「そんなつれない事言うなよな、俺も残るぜ!たくさん切れるのは楽しい限りだからなぁ!」
 ユトは雄叫びをあげると、追撃せんとするクローン騎兵達へ、愛刀東雲を片手に突撃する。銃口の向きから放たれる閃光を予測し、掻い潜るように肉薄すると、『居合斬り(ケンゴウノイットウ)』により撫で斬りにする。身を翻しながら返す刀でもう一度――くるりくるりと身体を回転させ、次々と敵兵を両断する。彼の大太刀が放つ風切り音は、まるで獣の唸り声のようだ。
「次に斬られたい奴はどいつだぁ!」
 ユトは機械油と血に塗れた刀を振り払うと大きく吠える。その殺気と積み上がる死体の山に、死をも恐れぬはずのクローン騎兵が動揺する。
「風の裂かれる音、聞いてみるか?」
 ノトスが放つパイプが、怯んだ騎兵のこめかみを貫く。勢いを失った死兵はもはや、唯の雑兵と成り果てた。


(男なら……否、漢なら!一度は押してみたくなるよなぁ、押しちゃいけないスイッチって。)
 ダクトを流れるように、静かに、だが素早くニオクは先へ、先へと進んでいた。仲間を思えば、一刻も早くコアルームへと辿り着くことが求められる。だがしかし、『自爆スイッチ』という言葉に、少しばかり心踊ることくらいは許されるだろう。
 ニオクは油断すること無く、慎重に任務をこなしていく。仲間の陽動により流れる人の動きを逆流するように先へ進めば、明らかに一段とセキュリティの高そうな部屋へと辿り着いた。その中央に鎮座する、『明らかに押してはいけない赤い突起物』を見つけたニオクは、それが自爆スイッチだと確信した。
(室内の敵は一、二、三、四……一人じゃぁ、ちと厳しいか。)
 敵の死角をつき、忍び込む……だが、四人全員の死角は存在しない……敵兵を盾に飛び込めば……。様々なシチュエーションを想定するが、どうにも難しい。仲間は全員陽動となっている。自分が失敗すればそれは即ち、作戦の失敗となる……安易な行動には出られない。
 悩み続けるニオクに、チャンスがやってくる。突然爆発音が響いたかと思えば、艦内放送で怒声が響き渡る。すると、その爆発音に対処する為か、部屋で待機していた四名中三名が飛び出していったのだ。ニオクの脳裏に、明らかな爆発物を持ち込んでいた猟兵の一人が思い浮かぶ。
(キールつったか?やるじゃねぇか、あの青髪エルフ。)
 チャンスは今しか無い。壁を、そして天井を這い、ニオクはスイッチの頭上へと辿り着いた。その液状化した体を、少しずつ、少しずつ……残った警備兵に気付かれぬよう、天井から垂らしていく。そしてその質量がスイッチの反発力を上回ったその時――その赤き突起は、静かに沈み込んでいった。

艦内へと響き渡る警告音と共に、照明が赤く点滅する。慌てふためく騎兵達を尻目に、猟兵達は一人、また一人と姿を消した。そして全員が姿を消してからほどなくして――輸送艦はその装甲を膨らませ……宇宙へ光の花を咲かせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト