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7thKING WAR㉔〜棘ノ侵食、抗ウ此華ハ咲ク

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『ゼルデギロス』

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#7thKING_WAR
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#召喚魔王『ゼルデギロス』


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●魔王『ゼルデギロス』
 山よりも遙かに巨大なその女は、やはり巨大な突撃槍を手にこのデビルキングワールドの地にて猟兵たちの前に立ちはだかる。
 ガチデビルが特級契約書で呼び寄せし『異世界の魔王』――だが、その佇まいは、帯びる空気は邪悪なオブリビオンとは何かが違う。気高き精神と底無しの母性が女から感じられる事だろう。
「来ましたね、六番目の猟兵たち」
 その言葉もまた敵対する意思とは程遠い。まるで歴戦の勇者を迎える女神の如し。
「私は操られておりますが、お気になさらず挑んで下さい!」
『おのれ若津姫……! 血迷い事を!!』
 女の口とは別に声が響く。どうやらその声は彼女の目元を覆う仮面から発せられているらしい。それに猟兵たちが気が付いた事に、その口元を緩めて肯定する。
「ええ、この顔の仮面こそが魔王ゼルデギロスの本体。これを破壊すれば私は死にます」
『貴様、我の言う事を聞いて戦え……!!』
「私は既に天寿を全うした身――」

 六番目の猟兵たちよ。
 残酷なまでに美しく、光り輝くこの今を生きる者達よ。
 いざ尋常に――勝負!!

●仮面(マスカレイド)の操るもの
 グリモアベースに集まる猟兵たちを前に、三眼の侠客は煙管より紫煙をくゆらせてから軽く肩を竦めて告げた。
「操られているにも関わらず支配に抗い、尚且つ武人として此方を認めた上で戦いに臨むたぁ――なかなか見上げた女傑だ。そうは思わねぇか」
 未丘・柘良(天眼・f36659)は異世界の魔王として喚ばれた巨大な女をそう評する。
「魔王ゼルデギロスってのはあくまでこの姐さんに取り憑き操ってる存在よ。はっ、他人に取り憑いて操らねぇとテメェの身体も持たねぇ小物らしいな? だが……別世界の魔王を称するだけあって、悪どいヤツなのは間違いねぇ」
 向こうの世界において相当強い故人である女を選んで来たのも、そう言った理由なのかも知れない。だが魔王の誤算は彼女を完全に支配下に置けなかったと言う事だ。

「仮面野郎に『此華咲夜若津姫』と呼ばれた女は正々堂々と戦う気満々よ。天槍を振るって襲いかかってくる。姫さんの言う通り弱点は仮面だ。倒すには猛攻をくぐり抜け、山より高い姫さんの身体を駆け上ってその美人の顔を拝むしかねぇ」
 しかし、と柘良は紫煙を吐き出して首を横に振る。
「クソ仮面が操り支配出来るのは、取り憑いてる相手だけじゃねぇって事よ。野郎、その力を此方に――猟兵にも向けて来やがる」
 悪しき仮面の力が近付く猟兵の身体に白く不気味な仮面を生やす。精神と肉体を侵すそれは、強制的に真の姿を曝け出させるもの。それにより、猟兵たちの力は増すものの、精神汚染に何らかの対抗をせねば、最悪オブリビオンにその身を変えられてしまう。
「ま、百戦錬磨の猟兵様に今更洗脳だなんだが効くたぁ思わねぇが。気合いならてめぇら負ける訳ねぇだろ? 俺様は武運を祈るしか出来ねぇが……気張って行けよ」
 そう笑いながら、柘良は転移の扉を開き見送るのであった。

●いざ尋常に
 そして。猟兵たちが対峙した所で若津姫が声を上げた。
「ゼルデギロスが仮面(マスカレイド)を使います……心を強くお持ちください!」
 彼女の仮面が、ゼルデギロスが妖しく輝く。
『我が支配せし棘(ソーン)に侵されよ。そして我らが眷属となり従え!』
 響く邪悪な声に呼応する様に――猟兵たちの身体に仮面(マスカレイド)が現れ、その身は異形へと、人ならざる悪しき存在へと変容して行く……!


天宮朱那
 天宮です。姫だし出さなきゃ…と。
 TW3はそんなに本数書いてはいないけど、やはり思い入れは深い方。

 プレイングボーナス→マスカレイドの精神汚染に抗う方法を考え実行する。

 仮面の力で真の姿を晒す事になります。変化についてはご自由に。
 真の姿イラストがあれば描写の参照にします。複数ある場合は軽く説明あればと。
 敵の攻撃はゼルデギロス本体が放つユーベルコードの他に、身体である若津姫による攻撃も来ると思って頂ければ、と。操られてるんで彼女も易々とやられはせずに手加減無しにバトって下さる模様。胸を借りるつもりでどうぞ。
 精神汚染に対しては気合いとか割と精神論で立ち向かってくれてもOK。熱い少年漫画みたいに来て下されば。

 有力敵戦と言う事で難易度も高め。無傷で帰す気は更々ありませんのでご了承を。
 負傷描写バッチ来いってくらいの気概でどうぞ。熱いバトルを見せてみろ!

 技能の『』【】等カッコ書き不要。技能名大量羅列は描写がシンプル。
 上記読んで無さそうな方は、参加人数次第で採用率低めになります。
 どう使うか、どう動くか――技能の使用に具体的な記述有る方がプラス評価。

 複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載のご協力を。
 全員採用は確約出来ません。オーバーロードはご自由に。採用不採用に変化は無いのでご了承を。

 公開後の8時半以降よりプレイングは受付開始。導入は入れません。
 なお支援停止の状況を見ながら完結を目指すので時期によっては完結を調整する場合もありますのでご了承の上ご参加下さい。
 マスターページやタグ、Twitter(@Amamiya_syuna)などでも随時告知をしますので確認頂けますと幸いです。
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第1章 ボス戦 『魔王ゼルデギロス・マスカレイド態』

POW   :    マスカレイド・バインド
【呪力でできたトゲ 】が命中した部位に【魔王ゼルデギロスの悪しき呪い】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    マスカレイド・ポゼッション
対象の【肉体のどこか 】に【不気味な仮面】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[肉体のどこか ]を自在に操作できる。
WIZ   :    ワールドエンド・マスカレイド
戦場内に【無数の『不気味な仮面』 】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

スキアファール・イリャルギ
(真の姿:UC「泥梨の影法師」参照

はぁ……ったく
強制的にこの姿か

この躰には"先客"がいるようなものなんです
軽い感じで言えば同担拒否みたいな奴がね
おまえに操られるのは怪奇が赦さない
だから怪奇は全力でおまえを葬る

己の呪詛をわざと自身に巡らせ
奴の呪いの浸食を逆に捕食するように上書きする
一番大事であろう部分……己の心は
愛しいひかりが破魔の力で護ってくれますので
(※ひかりは照れている!

UCは射程を半分、移動力を5倍に
己の意志で動かせる影手を駆使し
獣の如く巨体を駆け上がる!

帝竜ワームといい、賢竜を操った大魔王といい
"仮面"をとやらは禄でもない奴ばかりだ
全力で叩き割ってやりますのでご安心ください、若津姫



『我が支配せし棘(ソーン)に侵されよ』
 魔王とやらの声が響くと共に。はらり、と。身を覆う黒包帯が解けていく。いや、内側から膨張した影が抑えきれないのだ。
「はぁ……ったく」
 ――強制的にこの姿か。スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)はいつもより更に青白い顔に明らかな嫌悪感を浮かべ、変異していく己の姿に溜息一つ。
 身に浮かぶ仮面は影の身体にくっきりと白く浮かぶ。それは彼自身の表情と違い、にたりと不気味な笑みを浮かべている様にも見えた。
 影人間たる彼の普段の人の姿は擬態。真たりし影は内側から膨れ上がり、割れる様に数多もの口を開け、目を剥いた。ぎょろぎょろと彼の意思と関係あるのか無いのか、身を覆う瞳が巨大な女と彼女を支配する魔王に向く。
『――仮面(マスカレイド)の支配を受け容れよ!』
「ああ、申し訳ないんですけどね」
 敵の仮面より聞こえる声に、スキアファールは全く申し訳なくなさそうに応じる。
「この躰には『先客』がいるようなものなんです。軽い感じで言えば……そう、同担拒否みたいな奴がね」
 己を蝕む怪奇とは呪いの様なものである。その呪詛をわざと異形たる身に巡らせるスキアファール。既にそのシルエットは人間のモノとはかけ離れつつあり、しかしそれは仮面の影響などでは無い。
「おまえに操られるのは怪奇が赦さない」
 侵食してくる呪力のトゲは影たる身に刺さるも、むしろ捕食する様に彼自身の呪いが上書きし相殺する。身体を引きずる様に彼は一歩二歩と魔王に向けて進み出す。
 ――蠢く呪いの具現の奥には確かな『ひかり』が存在する。一番大事な己の心を護るもの。怪奇たる己の唯一のニンゲンは、この愛しきひかりが破魔の力で優しく護っていてくれるから……彼は人間でいられると信じている。
(「とか言うとひかり自身が凄く照れるんですけど」)
 こう身がざわめく間も今の様に冷静に思考を回せるのはその恩恵だとして。
『な……我が力が及ばぬと言うのか!?』
 ゼルデギロスが叫び、操られた女が嬉しそうに口元に笑みを浮かべながら天槍を振るってスキアファール目掛けて突きを放つ。
「――怪奇は全力でおまえを葬る」
 ぶわ、と彼の全身から影が無数の手となって伸びる。神話の巨人の如く百を超える腕を生やした膨張せし怪奇は、その移動力を五倍とした上で槍の一撃を避け、地面と槍先の激突に伴う衝撃を背にしながら一気に若津姫の巨体を駆け上がる!
「帝竜ワームといい、賢竜を操った大魔王といい――」
 仮面、をとやらは禄でもない奴ばかりだ……スキアフォールは心底思う。駆け上る己を見つめる姫の瞳は仮面に遮られて視認は出来ないが、その口元の笑みからは優しく慈愛に満ちた人物だと想像するに難くなかった。
「全力で叩き割ってやりますのでご安心ください、若津姫」
 上り詰めた先――彼の幾多もの影手が全力で黒く悪しき仮面にその拳を叩き付け、ゼルデギロスの悲鳴が響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
異世界の者ですか。
この世界に手を出したことを後悔させてあげましょう!

真の姿、熾天使となってゼルデギロス退治へ。
『地母神の戦域』を発動。
自身を起点に戦場全体に輝く霧を行き渡らせましょう。
そして、此華咲夜若津姫の頭部、仮面を目指して飛翔いたします。

精神汚染に対しては女帝の矜持(この戦争に勝ち抜き国家臣民を守る)で対抗。癒しの風の状態異常回復もそれを後押し。

敵SPDUCで生えてくる仮面は神炎で滅却します。自身に生えた仮面も即座に焼失させ、自身の負った火傷は癒しの風で超再生。

仮面まで辿り着いたら『クロノスの大鎌』による渾身の一撃を放ちましょう!



 山よりも尚高い巨体。遠くからでも視認出来たそれを目の前にしながらも、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は恐れる事無く対峙していた。
「成る程、異世界の者ですか」
 この世界に生まれ、この世界に生きる者――そして一国の魔王の一人でもあるアルテミシアは、敵に近付くにつれて本当の悪しき力が広がっているのを感じる。
 そしてざわめく心に応じる様に、彼女の胸元には不気味な笑みを湛えた白き仮面が浮かび上がってくる。
『我が支配せし棘(ソーン)に侵されよ』
「……心を強くお持ちください!」
 敵の黒き仮面から声が響き、それを顔に貼り付けた女が叫ぶ。仮面(マスカレイド)が憑いたものは心と身を侵され、異形の身と成される所であるのだが。
 アルテミシアの場合、その内に秘めたる真は――神々しく美しき、六対十二枚の翼を持つ熾天使。エネルギー体の翼は黒く実体持つそれと化し、空気を叩き付ける様に彼女は羽ばたき戦場に舞う。
「この世界に手を出したことを後悔させてあげましょう!」
 仮面(マスカレイド)は真の姿を曝き、その心を蝕み支配に置く。だがこのアルテミシアの心は屈しない。
 それは矜持。一国の女帝たる己の使命は、国家臣民を守ること。何としてでも勝たねばならない理由が、戦う理由があるからこそ立ち向かえるのだ。
「そしてこの戦場はわたくしの支配下に置きましょう……!」
 輝く霧がアルテミシアを中心に広がる。若津姫の巨体すらも覆うその霧は、視界こそ妨げぬものの、その身を魂魄を焼く灼熱の金!
『うぐおぉぉぉっ!? 貴様、何故我が支配に堕ちぬ!?』
 ゼルデギロスが魂魄を焼かれる苦痛に声を上げる。一方、若津姫の巨体は身じろぎもしないが攻撃のその手は止まっているように見えた。
「やさしい風ですね――さぁ、今のうちです」
 姫は優しい微笑みを浮かべ、自分の頭部に向かって飛翔してくるアルテミシアにそう告げた。この霧は味方に癒やしをもたらすもの。そう、若津姫は猟兵たちにとっては味方なのだと霧は示していた。
 一方、悪しき仮面は姫の身体の支配を妨げられ、熾天使に更なる仮面を生やすも周囲を覆う霧の神炎が即座に減却焼灼させていく。
『く、斯様な虫ケラ一つ叩き落とせぬのか!?』
「では、お言葉に甘えて――その仮面、叩き壊して差し上げましょう!」
 若津姫の目前、黒き仮面の元に一気に飛び上がってきたアルテミシアは、手にした大鎌を思い切り振りかぶり、渾身の力を篭めて一撃を放つ!
『ぐあああぁぁっ!!?』
「――お見事」
 アルテミシアは確かに聞いたのだった。魔王の悲鳴と姫の賞賛の言葉――二つの声が重なったのを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月白・雪音
…異なる世より出し姫御前。我らに信を賜るとあらば応えましょう。
我が内に眠る獣の衝動…、それは私の本質なれど、
其れを律し揺らがぬ精神の在り様こそ、我が武の真髄なれば。


苛まれるは己が本質たる獣の本能。
武の至りにて律すそれは膨れ上がり確かな殺意の声を以て精神を蝕む

されどUC発動、落ち着き技能の限界突破、無想の至りを以て殺戮の衝動を抑え込み業を練り、
怪力、グラップル、残像による高速格闘戦にて戦闘展開
野生の勘、見切りにて相手の攻撃を察知、仮面を即座に破壊しつつ
怪力、グラップル、体勢を崩すにて巨躯を持ち上げ投げ落とす
頭部の位置が下がれば最大威力、最大速度の一撃にて仮面を破壊する

真の姿は該当の全身図を参照


エンティ・シェア
灰髪の処刑人。僕の、真の姿
こちらの力を引き上げて下さり感謝しますよ、姫
魔王?知りませんね
人の『住居』に勝手に入り込もうとする輩の事をそう呼ぶんですか?
煩わしいので、早々に退去を願いませんとね

精神を蝕む仮面の他に、未だ追加が来ましたが…
自在に操作、ですか
ええ、構いませんよ?
僕が持つ得物は鋒一つ
これで、好きなように僕を刻めばいい
――すべてご自身に還ることを、承知の上ならば
告白を発動させておいて
後はお任せ、ご自由に
姫君は大きくていらっしゃるから、どこに居たって、良く、見えますからね

そんな適当な所を斬ったって、僕は倒れませんよ
ほら、急所は、此処だ
お望み通り斬って、刺して、貫いて
根競べ、致しましょう?



 この世界のどの山よりも巨大なその体躯を持つ着物姿の女。それが――いや、その彼女の身を侵し操る存在こそが、異世界の魔王『ゼルデギロス』なのだと言う。
『我が支配せし棘(ソーン)に侵されよ――!』
 黒き仮面が吼える。同時に伝播するは魔王の他者を侵し操る悪しき仮面の力。近付くにつれ、猟兵たちの身に白く不気味な仮面がにたりと嫌らしい笑みで浮かび上がってくる。
「魔王? 知りませんね」
 強制的に引き出されるは己の真の姿。エンティ・シェア(欠片・f00526)が変化したその容貌は、彼の複数有する人格が一人の本来の形――灰髪の処刑人・アリエルのもの。
「人の『住居』に勝手に入り込もうとする輩の事をそう呼ぶんですか?」
 喧嘩を売る様に彼は淡々と告げる。表情は変えず、しかしその声色は明らかに煩わしさに怒りの様なものを含んでいた。
「早々に退去を願いませんとね」
 そして、とアリエルは言葉続けて見上げるは、此方に柔らかな唇の内から注意勧告をしてくれた巨大な女の顔。
「こちらの力を引き上げて下さり感謝しますよ、姫」
 心を強く持てと言ってくれたからこそ。仮面による身の強化の恩恵のみがある。
「……異なる世より出し姫御前。我らに信を賜るとあらば応えましょう」
 月白・雪音(月輪氷華・f29413)の四肢が大きく膨れ上がり、白虎のそれへと変貌していく。それはキマイラたる彼女の内に眠りし獣の衝動にして彼女の本質。
 身を蝕む仮面の力が雪音の野生を呼び起こし、魔獣へ堕とそうとするも――彼女は其れに然りと耐え、己を律する。
「揺らがぬ精神の在り様こそ、我が武の真髄なれば……!」
『貴様等も、我が力を受け付けぬと言うのか――!?』
 魔王が有り得ぬ信じられぬと嘆くもこれが事実。それに対し姫と呼ばれる女は嬉しそうにその口元に笑みを湛えていた。
「貴方達なら御せると信じておりましたよ」
『ええい、黙れ黙れ! その手で蹴散らして貰うぞ若津姫!』
 天槍が振るわれる。地面を穿つ巨大な一撃を猟兵は避け、巨体に向けて駆ける。
『もう一押し、もう一押しだ。貴様等を我が眷属に迎え入れようぞ!』
 仮面が更に悪しき力を、今度は直接二人にぶつけてきた。先とは別の箇所に嗤う白面が浮かび上がってくる。
「精神を蝕む仮面の他に、未だ追加が来ましたが……」
 アリエルは眉を潜める。精神汚染への対抗が精々なのに、これには恐らく完全には抗えぬと直感的に判断する。
 雪音もまた、己が本質たる獣の本能が更に刺激され暴走しそうな状態に足を止める。それは武の至りにて律せられる限度を超え、膨れ上がる一方。確かな殺意の声が高らかと上がり、彼女の心を蝕むのを感じる。
 だが。
「――弱きヒトが至りし闘争の極地こそ、我が戦の粋なれば――!」
 発動するユーベルコードは武の極みを体現せしもの。無想の至りを以て殺戮の衝動を御し、戦に挑む事こそ武人の粋。そして高まる闘争心と共に、白虎の拳士は超高速にて巨躯に向かう。
 魔王に操られた姫の槍が次々と雪音に向かい地面に突き刺さる。だが彼女自身には穂先一つすら当たりはしない。襲い来る攻撃は野生に従い最低限の動きで回避する。
 やがて辿り着いた若津姫の足元。雪音は大木より尚も大きいその足の指に手をかけ、力を篭め始めるではないか。
『何を……? はは、莫迦な事を――この超巨大な女の身を蟻の分際で』
 動かそうと、投げ倒そうと言うのか。だが、魔王の嘲笑もそこまでだった。
「……!!?」
 突如、姫の全身に血が迸る。まるでズタズタに刃物で切り裂かれた様な傷。無論、彼女の身を裂く刃物など、彼女自身が用いる巨大な武器でも無い限り有り得ない。
「僕が持つ得物は鋒一つ」
 見ればアリエルの身もまた、姫と同様の傷にまみれ、血を滴らせているのだ。
「自在に操作、ですか――ええ、構いませんよ?」
 腕に仮面が取り憑いた時、それに向って、彼はそう告げていた。
「これで好きなように僕を刻めばいい。すべてご自身に還ることを承知の上ならば」
 告白(ミチヅレ)。彼の持つ鋒にて彼自身を刻む――即ち自傷行為は視認した相手にも同じ、いや、更に倍のダメージをもたらすユーベルコード。
「姫君は大きくていらっしゃるから、どこに居たって、良く、見えますからね」
 地の果てにいたって彼女の姿は充分視認出来たから。そして自分より大きい彼女が自分と同じ箇所に同じ以上の傷を負う。
『貴様……死ね、さっさとくたばれ!』
「そんな適当な所を斬ったって、僕は倒れませんよ? ほら、急所は此処だ」
 挑発された魔王はアリエルの腕を操作して彼自身の手で殺そうと、それ以外の手段を見失った事が間違いだったと気付かない。斬って刺して貫いた分、ダメージは魔王が取り憑いた姫に跳ね返る。
「根競べ、致しましょう?」
 流石の若津姫も受けた事の無い外傷に、大地を踏みしめるその力は確実に弱まる。
「――はぁぁぁっっ!!!」
 その隙を見逃さず。雪音はその恐るべき怪力を以て姫の指を持ち上げ、足元を物理的に掬い上げ――彼女の身を横転させる!!
 ずぅんっ!と。デビルキングワールドの気象庁が地震と誤認する様な地響き一つ。
 頭部の位置が下がった所で、雪音は一気に姫の顔面に駆けて迫る。
「私に尻を着かせるとは、実にお見事」
「その仮面、砕いて差し上げましょう!」
 賞賛を告げる姫の言葉を耳にしながら、雪音は己の最大の力を以て拳を悪しき仮面に叩き付ければ。幾多ものヒビが走り、魔王の絶叫が周囲に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鐘射寺・大殺
(真の姿)
髪の毛が長く伸び、耳の先がエルフのように尖る。
また、体格は筋骨隆々の成人のものに成長。

【メタリックデビル】を使用し、巨大な悪魔ロボットに
変身。空中を飛行して、ゼルデギロスへと立ち向かう!
…変身してなお、サイズの差は歴然か。まるで熊と蜂よの。
だが、蜂の一刺しを侮るでないぞ!

仮面から流れ込む邪悪な思念に飲まれそうになった時、
スカイ・ダイサツ・ギョクーザから
声が聞こえてくる。これは、歴代魔王たちの思念か!
心を強く持てと…あい分かった!
魔王の思念の助けを受けて呪いに抵抗、
敵の身体を足場に使って大きく飛び跳ねる。
ゼルデギロスの顔の仮面に向けて、破壊光線を叩き込んでくれるわ!



 悪しき魔王の力を受け、鐘射寺・大殺(砕魂の魔王・f36145)はその内より溢れる魔力のようなものを感じていた。
 まだまだ成長過程にある少年の背丈がびきびきと伸び、その細い四肢が盛り上がる。首を振れば尖った長い耳の上にばさりと黒髪がなびき、分厚くなった胸板が学ランのボタンを弾き飛ばせば、その下には六つに割れた腹筋が姿を見せた。
「おお……これが、これがオレ――我輩の真たる姿」
 もしくは未来の姿とも言えようか。父王の全盛期に勝るとも劣らない堂々とした美丈夫がそこにはあった。
『我が支配を受け容れぬと言うのか……!』
「フハハハ! 我輩も魔王の一人よ! 余所の魔王に頭を垂れる理由なぞ皆無!!」
 ゼルデギロスの言葉を一蹴すると大殺はマントを翻して拳を高々と突き上げ叫ぶ。
「薙ぎ払ってくれる! 変身!!」
 高笑いと共に大殺の身体が閃光に包まれる! そして――!
 ズバァァーン!
 そこに現れたのは究極超合金悪魔ロボット『メタリックデビル』であった!
「行くぞ、異世界の魔王よ!!」
 大殺が変身した悪魔ロボットは拳を前に宙を飛び、真っ直ぐ姫の顔面……即ちゼルデギロス本体の仮面へと向かって行く。
「……変身してなお、サイズの差は歴然か。まるで熊と蜂よの」
『虫ケラが何に変わろうと同じ事よ』
「だが、蜂の一刺しを侮るでないぞ!」
『クハハ、戯れ言を――これでも受けよ』
 仮面が吼える。呪力が大殺の変身したロボに流れ込み、その邪悪な思念が意識を奪おうとするのを必死に堪えていたその時。
(『大殺よ――我らが子孫よ』)
(『心を強く持て――!』)
 気が付けば現れていた玉座が、王家に代々伝わるそれが大殺に声を届ける。そう、その声こそ歴代魔王の、彼の偉大なる先祖達の思念であった。
「――あい分かった!!」
 当代の魔王として、屈する訳には行かぬ。呪いを振り払う様に大殺は若津姫の身体まで一気に飛翔し迫ると、その身体を足場に蹴り上がり、頭部まであっと言う間に上り詰めた。
『効かぬ、だと?』
「あなたの魔王としての矜持、確かに見届けましたよ」
 動揺する仮面の声に対し、姫の慈愛に満ちた言葉が聞こえる。その言葉に応じる様に、メタリックデビルはゼルデギロス本体である仮面の前に到達するとその全魔力を集中し――。
「食らえっ!! メタルブレイクビーム!!」
 必殺の破壊光線が放たれ、黒く悪しき仮面が灼かれると共に悲痛な叫びを上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・エアレーザー
真の姿:通常より獣人化が進んだ姿
四肢は青い毛皮で覆われた狼じみた形状となり
爪と犬歯はより鋭さを増す


突き刺さる棘から流れ込む悪意
燃え滾る怒り
暴走する本能
闘争への渇望
奪え引き裂け喰らえ殺せ蹂躙せよ……!

違う
俺の生きる意味、戦う理由は

胸の奥であたたかな灯が燃えている
無辜の人々の幸せを望む聖なる光
ヘルガ
俺に優しさを教えてくれた女性(ひと)

飲まれるな
俺の剣は、彼女が望んだ平和のために……!

ゼルデギロス、若津姫の肉体は操れても
彼女の心、誇りまでは奪えまい
その卑劣、その悪辣、必ず打ち砕く!

心身に受けるダメージを激痛耐性、狂気耐性で耐え
勇気と覚悟を振り絞って限界突破で駆け抜ける
鎧砕きの力込めた魂の一撃を……!



 内なる獣が目を覚ます。
 人狼であるヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)の身体に白く邪悪な仮面が嗤った時、人の姿からより獣に、狼に変貌していくのを自分で抑えられなくなった。
 四肢を覆う青い毛皮。膨らみ獣の手足と成り果て、爪が牙が伸びて鋭さを増す。
「心を強くお持ちください!」
 いつもより然りと立つ耳に届いたのは、魔王にその身の制御を奪われた巨躯持つ姫君の叱咤激励の声。
『我が支配を受け容れよ!!』
 そして黒き仮面の魔王が声を放ち、同時に飛んでくるのは悪しき棘の呪力。
「ぐっ……!?」
 抗えぬ程の悪意が己の心に蔦を伸ばす。突き刺さる棘より仮面より身に流れ込む。
 それは、燃え滾る怒り――暴走する本能――闘争への渇望――。
 奪え、引き裂け、喰ラえ、殺セ、蹂躙セヨ……!

「――違うッ!!」

 男は吼える。振り払う。俺の生きる意味、戦う理由は――?
「――ヘルガ」
 脳裏によぎる姿は愛するひと。聖なる光、あたたかな灯。胸に届かんとした棘を燃やしつくし灼きつくす……!
「我は――誓う」
 守護騎士の守るもの。それは彼女の望んだ平和。この剣は彼女に捧げたのだと。
「敢えてその身に棘を受け、耐え抜きましたか」
 見事です――そう若津姫はヴォルフガングの力の高まりにふふっと笑む。
『貴様……ええい、もう少しであったと言うのに!』
「ゼルデギロス――若津姫の肉体は操れても、彼女の心や誇りまでは奪えまい」
 騎士は駆ける。痛みも呪いも全て耐え、振り切って。
 獣の四肢にて一息に駆け上がった若津姫の胸元を強く蹴り、大きな跳躍を見せてヴォルフガングは重い得物を振りかぶる!
「その卑劣、その悪辣、必ず打ち砕く!」
 魂と矜持の篭められた一撃が、魔王の本体に叩き付けられ、邪悪なるものの絶叫が耳を劈くかの様に響き渡ったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロト・ラトキエ
気持ち良い程の武士の心。
…なんて、女性には失礼やもしれませぬが、
赦してくださいそうな気風もあって。
仮面に支配など、何としても払いたい…
不思議ですね。そんな気分にさせられる方でいらっしゃる。
なればこそ。

俺は俺。
何物にも縛られず捕らわれず、傲慢こそ己の本質。
眷属?ヤなこった。おととい来やがれ。
こちとら帰る処があるんでね。

仮面の干渉など持ち前の傲岸不遜で噛み殺し。
或いは痛みで払うなら、仮面に一刺しくれてやり。
…こんな傷など構わない。
今、心が傾くのは――姫の解放。

鋼糸を張り引く速度の水増し、糸を足場とした機動、
傷と見える姫の腹へのナイフ投擲や、死角への移動など、
重ねての仮面を防ぐべく立ち回り。
且つ、姫の意識の向きや体捌き、手足の動き等、
よく視、見切りを常に留意。
槍が来たならこれ幸いと、振るう風圧に乗って空中へと跳んで飛び。
高い所も見下ろすのも、あの女仮面(?)の特権じゃ無い。
駆け上るのは、肌より感じ難かろう衣の上を主に。
仮面へと届いたら…

手前こそ彼女の上からとっとと消えろ。
放つ連撃
――薔薇の剣戟



『おのれ……おのれっ、六番目の猟兵共め! 若津姫め!』
 幾多の猟兵の猛攻を受け、その黒く悪しき仮面には数えきれぬ損傷が見え、死の淵に置かれているのは一目瞭然であった。
「さぁ――遠慮することはありませんよ。あなた達の力、存分にお見せなさい」
 対し、その仮面を着けた女の口元はほころんで見えた。猟兵たちへの信頼、そしてその力量と真っ向からぶつかり合い感じる事への高揚故か。
「気持ち良い程の武士の心。……なんて、女性には失礼やもしれませぬが」
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は軽く眼鏡を押し上げながら、見上げねば見えぬ姫のその表情を伺う。慈母の如きその存在、どんな無礼を働いたとて優しく笑って赦して下さる――。
「……不思議ですね。そんな気分にさせられる方でいらっしゃる」
 仮面に支配など、されてはならぬお方だ――そうクロトは思う。だから願う。何としても払いたい……と。
 なればこそ。力を尽くす。彼女の思いに応える為にも。

「仮面(マスカレイド)の力に呑み込まれませんよう、心を強くお持ちください!」
 姫の声は大きく大気を震わせる。その注意の呼びかけと同時に仮面より邪悪な力が蔦を延ばす様に広がり、それはクロトを捉えんとする。
「――俺は俺」
 身に浮き出る円い仮面は不気味で厭らしい笑み浮かべていた。身の内のざわめきと共にクロトの黒髪より色素が薄れ、金色が薄らと輝く。
 だが、クロト自身もまた、仮面に負けぬ程の不貞不貞しい笑み浮かべていた。何物にも縛られず捕らわれず――傲慢こそ己の本質と理解していたから。
「眷属? ヤなこった。おととい来やがれ」
 一歩、二歩と前に進み――そして男は駆け出す。囚われの姫に向かって。
「こちとら帰る処があるんでね!」
『ええぃ、何故だ! 何故我が支配が及ばぬと言うのだ!!?』
 魔王が吼える。更に放たれる呪力がクロトの手足に姿を見せ、その主導権を奪おうとするも。手にしたナイフが大腿に現れた仮面の真ん中に突き刺さる。
「……こんな傷など、構わない」
 傲岸不遜に仮面の干渉を噛み殺し、そいつに一刺しくれてやる事で同時に痛みがその意識を明瞭とする。
 今、心が傾くのは――姫の解放。ただその一つ。
 鋼糸がピン、と高い音を立てた気がした。それを張り引く速度は常の速度を大幅に超えている。真なる姿と秘めたる力を引き出された点にのみ、仮面には感謝を述べるべきか。
 姫の足元まで辿り着いた時、糸を足場に彼は宙を舞う。目に入るは腹部の痛々しき傷痕。母の母たる象徴があるべきそこに向け、クロトは躊躇いなくナイフを投げつける。戦なれば、相手を気遣う甘さは必要無い。武人たる姫もそんな手心望む筈が無いと思っていた。
『ちょこまかと――!』
「良き動きです。私も負けてられませんね」
 戦いに歓喜する様に、姫が動く。巨躯ながらも素早いその動きはクロトの位置を的確に捉え、槍の腹で打ち落とさんとする。
 だがクロトもまた、姫の意識の向かう先や身体捌きをしかと見極め、張り巡らせた糸を用いて攻撃を回避する。
 黒き仮面から見て死角と思しき位置に入れば、追加の仮面を飛ばされる事も無く。しかし姫は彼の存在など、位置など重々承知の上。振り返りざまに勢い良く槍を突き出した。
「それを待ってた……!」
 向かってくる巨大な槍の上に彼は跳ぶ。振るわれる事で生じた風圧が背中を押し、クロトは一気に女の胸元でその身を運ぶ。
 衣の上を一息に駆け上がれば、目に入るは黒く悪しき仮面が美しき姫の顔を覆い、此方を見やる様子。
「高い所も見下ろすのも、手前の特権じゃ無い」
 ――彼女の上からとっとと消えろ。
 普段の柔和な笑みなど既に其処に在らず。手にした得物が一瞬の内に煌めいて、その周囲に開花を見せるは薔薇の花。
『が、あ、あぁぁ――!?』
「悪しき仮面の魔王に、終焉を」
 最後の一撃が魔王の本体を貫けば、声にならぬ断末魔と共に仮面が崩壊する。
「――お見事」
 仮面の消滅と共に、称賛の言葉を告げた姫の巨躯もまた消え去り始める。
 だが、クロトは確かに見届けたのだ。ようやく素顔を見せる事が出来た若津姫のその瞳もまた、慈愛と母性に満ち溢れたものであった――と。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月18日


挿絵イラスト