7thKING WAR⑳〜冬来たる
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デビルキングワールドの平原に、冬の嵐が吹き荒れる――配下の『絶滅悪魔軍団』を引き連れて現れたのは、パワードスーツのごとく純白の甲冑を纏った女悪魔。
「お〜っほっほっほっ! まるでこの世の摂理かのように、わたくしに白羽の矢が刺さりましたわ! わたくしが操るは、終末を導く『氷河期魔法』! どのような御方が相手でも、わたくしの敵ではありませんわ!」
悪の女幹部のテンプレ的な口調で高笑いをかます彼女の名は、西のラスボス『アイスエイジクイーン』。東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』と勢力を二分する、強大なラスボス悪魔(オブリビオンではない)である。
「デビルキングワールドを統べるのは、ガチデビルでもスーパーカオスドラゴンでもない。この『アイスエイジクイーン』ですわ。――さあ、出てきなさい『絶滅悪魔軍団』!わたくし達氷の悪魔の恐ろしさを、猟兵に知らしめるのよん!!」
『御意ッ!!』
彼女の招集に応じ、アイスエイジクイーンが纏う氷の鎧の中から解凍された『絶滅悪魔軍団』が次々と姿を現した。スミロドンやマンモス……はるか昔絶滅した生物の姿を模した悪魔戦士たちが、氷の武具を構えて女王の前に整列した。
「――というわけで、最近デビルキングワールドがちょっとピンチなんだ」
ある日のグリモアベース。作戦開始の連絡を受けて集まってきた猟兵の前で、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が輝くグリモアを操作しながら語りだす。
「現在デビルキングワールドは、新たなデビルキングを決める戦い『7thKING WAR』の真っ最中だ。オブリビオンフォーミュラの『ガチデビル』のほかに、『アイスエイジクイーン』と『スーパーカオスドラゴン』という、二大ラスボスも名乗りを上げている。今から君たちに向かってもらうのは、西のラスボス『アイスエイジクイーン』の陣営さ」
アイスエイジクイーンは、キワモノ揃いの悪魔達の中で、至って真っ当に武力で勢力を拡大してきたラスボスである。配下の四天王が100人居るという噂が立っているが、真相は定かではない。
「その名の通り、アイスエイジクイーンは『氷河期魔法』なる氷の魔法を操ることができる。今回の作戦では、彼女の纏う鎧『絶晶(ぜっしょう)』から、精鋭の『絶滅悪魔軍団』を呼び出し、共に戦わせるだろう。弓兵や騎馬隊、歩兵で構成される、オーソドックスな中世騎士団だと思ってくれていい。これはかなりの強敵なので、彼らに構っていては苦戦は避けられないよ」
絶滅悪魔軍団は、氷属性の武具に身を固めた精鋭戦士たち。彼らの猛攻を掻い潜り、攻撃をアイスエイジクイーンに集中させる必要があるだろう。
「アイスエイジクイーンさえ倒すことが出来れば、召喚された絶滅悪魔軍団は活動を停止するだろう。うまく彼らの攻撃をかわして、クイーン本体を狙う方法を探してみてくれ」
戦争もいよいよ佳境。新たなデビルキングを決める戦いは、より激しさを増していくことだろう――健闘を祈る、と猟兵を激励して、ガーネットは猟兵を転移させる準備に取り掛かった。
弥句
こんにちは、弥句です。今回は『7thKING WAR』西のラスボス『アイスエイジクイーン』との戦いをお送りいたします。
このシナリオは『戦争シナリオ』で、『ボス戦』一章のみの構成となっております。
このシナリオの結果が、戦争イベント『7thKING WAR』の情勢に影響を与えることになります。
また、下記の条件を満たすことで、判定に有利なプレイングボーナスを得ることができます。
プレイングボーナス……絶滅悪魔軍団の猛攻をかわす。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『西のラスボス『アイスエイジクイーン』解』
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POW : 氷河期召喚術『ジュデッカ』
レベル×1体の【絶滅悪魔軍】を召喚する。[絶滅悪魔軍]は【氷】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 氷河期魔法『アイスエイジ』
戦場全体に【悪魔も凍てつく氷河期の寒波と吹雪】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【量産型「絶晶」の装着】による攻撃力と防御力の強化を与える。
WIZ : 合体氷河期魔法『ディノホロボシータ』
自身と仲間達の【放つ、氷属性の攻撃魔法】が合体する。[放つ、氷属性の攻撃魔法]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
イラスト:屮方
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルイ・エルドレッド
『オイ相棒。全員皆殺しで良いんじゃないカ?』
「ゾンビゲーで学んだだろ? 態々相手する必要はない」
そう言うとUCを発動して、一緒に羽織っているペリースを投げ飛ばす。ペリースは空中で真っ白なセイレーンの姿となる。ここで自らに[透明化、火属性、鋼鉄化]を付与。共に透明になったセイレーンを使って空中に飛び上り、銃を構える。有象無象は無視できるはず。
『ガバるなよ?』
「分かってる」
影の中のジークがそう呟くが、ルイは今までに多くの戦場(ゲーム)を経験した。エイム力も【戦闘知識】として蓄積している。そのままボスの親玉の額に向け徹甲弾と焼夷弾が合わさった状態の弾丸を撃ち放つ。
本山・葵
・UCで絶滅悪魔軍団の視界を奪い、猛攻をかわす
「こんなのまともに戦ってたらやってらんねーっす。
しばらく行動不能になってもらうっすよ!」
・熱線銃で軍団の隙間を通す狙撃をする
「アイスエイジクイーンへの射線が通ったっす!」
「やっぱり氷には熱が一番っすね!」
技能:スナイパー、視力
※共闘、アドリブご自由にどうぞ
プリ・ミョート
100人いると思ってるならきっと1000人いると思った方がええな。さすが絶氷の女帝。層が厚いべ。おらが幼い頃から読んできたまおうだいずかんにも書いてあるべ。まあこの方のことじゃねえかもしんねーけど!
とりあえず悪魔軍団の相手は布(一枚目)を脱いでその中に引き抜いた手足を入れて囮にしとくべ。お前らの相手はこれで十分だべ
自分は2枚目の皮を引っ被って巨大化、凍傷になりながらそのまま殴りつけてやるべ。どのみち手足なら生え変わるからな。肉を切らせて骨を断つ、まさしく四天王っぽかろ? ふひひひ!
夜刀神・鏡介
ガチデビルの手の者が王にならなければ後は誰がなってもこの世界の問題だし、彼女を倒すべき理由はないのだろうが
この戦いに乱入する以上は致し方なしか……どうにか軍団に挑むとしよう
神刀を抜き、合の型【澄心】を発動。視聴嗅覚の探知を回避して突貫
尤も、探知されないだけで広範囲攻撃などは有効だ。斬撃波で遠目から攻撃してダッシュで離れたり、敢えて踏み込んで直接攻撃をするなどして、此方の位置を誤認させていく
とはいえ軍団とまともに戦ってもキリがないので、あくまで掻き乱す程度に留めてクイーンの元へ
クイーンに攻撃を仕掛ければ此方の位置は完全に捕捉される
時間をかけられないので、最初の一撃に全力を込めて叩き切る
冬原・イロハ
ルーンソードを手にわくわくとラクスくんに騎乗します
「一撃離脱ですよ、ラクスくん」
気取られないようにUCの竜巻に身を覆い
空を翔けて眼下広がる景色に、たくさんの騎士さんたち
武具、かっこいいですねぇ!
騎士物語にも出てくるような格好良さに惚れ惚れ
彼らの上を行き掻い潜り、ショートカットです
氷河期の寒波と吹雪に対しては
ほんのすこし炎の属性を竜巻に混ぜて暖をとりたいところです
なるべく速翔けで、クイーンさんに接敵直前に、炎の属性を込めて竜巻を飛ばします
初めまして! 格好良くて強くて、そして美しいアイスエイジクイーンさん!
自己紹介しつつ
絶晶から放たれる攻撃を剣で受け流し、私は自身の一撃にありったけの力を込めます
霧島・クロト
数だけはくっそ多いしマトモに相手するだけ手損……
なら、こうだ。『纏めてぶっちぎる』までだな!!!
いきなり【リミッター解除】。
氷の魔力を全力で吹かしながら【指定UC】で吶喊ってヤツだ!
加速しながら氷の魔力(【属性攻撃】【オーラ防御】)を纏うのは忘れず。
んでマトモに相手するつもりはハナっからねぇから
【フェイント】【残像】【見切り】フル活用。
【空中戦】前提の【空中機動】見せてやるよ。
良ければ避けるほど加速力は上がってくからな!!
巧くアイスエイジクイーン御本人まで到達したら
【マヒ攻撃】【呪殺弾】【神罰】の乗った氷の弾丸と俺自身が化して
そのまま全力キックで大激突だ! ド派手にブチかます!!
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氷雪の女王に率いられ、冬の軍団がやって来た。デビルキングワールド、バスジャック平原は一面の銀世界。西のラスボス『アイスエイジクイーン』は、7thKING WARの覇者となるべく、絶滅悪魔軍団を率いて進軍を続けていた。
「お~ほっほっほ! この調子でドンドン凍らせまくっていくのよ! ……ん?」
アイスエイジクイーンは自慢の自動鎧『絶晶』から大寒波と氷雪を放ち続け、ご機嫌な様子で周囲を凍土に変えていた。そんな彼女の前に立ちはだかったのは、我らが猟兵の精鋭チームである。
「奴がアイスエイジクイーンか。ガチデビルの手の者が王にならなければ後は誰がなってもこの世界の問題だし、彼女を倒すべき理由はないのだろうが、この戦いに乱入する以上は致し方なしか……どうにか軍団に挑むとしよう」
サクラミラージュからやって来た武術家、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が愛用の神刀【無仭】を抜き、闘いを前に静かに精神を集中させている。
「あなた方が噂の猟兵ですわね! ですが! 100名の四天王と絶滅悪魔軍団を従える、このアイスエイジクイーンに死角はありませんわ! 覚悟はよくって!?」
四天王なのに4人以上いるというのはどうなんだ、と突っ込みたくもなるが、今は戦闘に集中するべきだろう。
「100人いると思ってるならきっと1000人いると思った方がええな。さすが絶氷の女帝。層が厚いべ。おらが幼い頃から読んできたまおうだいずかんにも書いてあるべ。まあこの方のことじゃねえかもしんねーけど!」
鏡介の傍らで、ブギーモンスターのプリ・ミョート(怪物着取り・f31555)が知恵の布の下でゴソゴソと体を動かしている。彼女のように、猟兵として活動する四天王も存在するのだ。
「はっ、数だけは多いな……!」
いち早く行動を仕掛けたのは、サイボーグの猟兵霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)であった。ブースター付の魔導パワードスーツ『極天の氷鎧』が強烈な加速を与えて、彼を敵陣へと押し進める。
「マトモに相手するだけ手損か……なら、『纏めてぶっちぎる』までだな!!!」
強敵を相手に、力の出し惜しみなどしない。スーツのリミッターを解除し、クロトは【ROCKET DIVE!】を発動させた。同時に魔術回路『貪狼の氷樹』がフル稼働を始め、蒼白の冷気を帯びたクロトがダイヤモンドダストを撒き散らしながら空中を自在に飛び回る。
『弓兵部隊、構え! 迎撃せよっ!』
指揮官の号令下、弓兵たちが一斉に空へ向けて矢を放った。夥しい数の氷の矢が、クロトに迫る――!
「マトモに相手するつもりはハナっからねぇよ。一気に大将首だ!」
矢の雨を次々と掻い潜り、クロトはアイスエイジクイーンの本陣へ向けて更にロケットエンジンを加速させた。
『オイ相棒。全員皆殺しで良いんじゃないカ?』
「ゾンビゲーで学んだだろ? 態々相手する必要はない」
ルイ・エルドレッド(隠しボス・f36867)は、足元に蠢く影の魔獣『ジーク』と語り合いながら、眼前の悪魔軍団を一瞥。羽織っていた『風飄の魔導衣』を空へ投げると、それは真っ白なセイレーンの姿へと変じた。ルイの体内に内蔵された世界浸食ソフト『OPUS』が、戦場の物理法則を即座に書き換えていく。
「ここでは俺がルールだ。対象・自身。エンチャント、[透明化、火属性、鋼鉄化]を追加する」
ワールドハッカーでもあるルイにとってみれば、戦場の環境を自分に優位なように変えていくことは造作も無い。自身にステルス機能と身体強化を施し、セイレーンと共に透明化したルイは空へ浮かび上がった。後はゲームのミッションと同じだ。敵を察知し、仕留めるのみである。
「はわ、私も皆さんに遅れないように急がないと」
ケットシーの冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)は相棒のホワイトグリフォン『ラクスくん』の背に跨り、愛用のルーンソードに火の力を込めている。冷気にかじかんでいたイロハの手が、じんわりと暖まり始めた。そんなイロハを勇気づけるように、ラクスくんが高く鳴いた。そして逞しい翼をはためかせ、力強く四肢を動かして前進を開始する。
「一撃離脱ですよ、ラクスくん」
イロハの眼下には、アイスエイジクイーンから賜った『量産型絶晶』で身を固めた、絶滅悪魔軍団たちが整然と布陣していた。
「氷の武具、かっこいいですねぇ!」
女王を護る銀の戦士たちを、イロハは素直に美しいと感じた。風の魔力を周囲に集め、【シルフィードクローク】の竜巻で視聴嗅覚による探知を遮断する。
「このまま加速していくぜ!」
そして最前線では、早くもクロトが弓兵部隊と接敵していた。次々と射かけられる氷の矢を躱し、薙ぎ払いつつ、機人の戦士は勇敢に敵の本陣へ切り込んでいく。イロハも本来ならば弓矢の格好の的になるだろうが、ユーベルコードの効果が働いて敵の認識から外れることができた。とはいえ流れ矢に当たってしまわぬよう、イロハは周囲に風の防壁を間断なく展開させた。
『騎兵部隊、前へ。総員突撃ィーーッ!』
一方、地上では悪魔騎馬隊が猟兵に対し突撃を敢行していた。武装した軍馬に跨がっているのは、スミロドンの頭を持つ悪魔騎兵だ。牙のごとく長い氷属性のサーベルを抜き放ち、騎兵は猛然とプリへと駆ける。
『念願のアイスサーベルを遂に手に入れたぞ。食らえーっ!』
ザバッ! 白い知恵の布が大きく切り裂かれ、さらに馬の巨体によって軽々と空へカチ上げられるプリ。これが最初の戦闘不能者か――?
『むっ……手応えがない!?』
「お前らの相手はこれで十分だべ!」
実は騎兵が仕留めた筈のプリは、彼女が脱いだ知恵の布に細工を施したものだったのだ。引っこ抜いた手足を、空洞の布の中に通して囮に使っていたのである。そして当のプリはというと、既に用意していた二枚目の皮を被ってユーベルコードを発動させている。
「肉を切らせて骨を断つ、まさしく四天王っぽかろ? ふひひひ!」
身体を巨大化させながら腕をブンブン振り回し、プリが敵陣に突撃する。すれ違いざまのラリアットをもろに受け、騎兵は敢えなく落馬してしまった。プリはそのまま勢いに任せ、大きな足音を響かせてアイスエイジクイーンの元へと直行する。
「このっ、このっ! さっさと倒れるっすよ!」
『怯むな! 我らが肉壁となって、女王様の安全を確保するのだ』
『オウッ!!』
アイスエイジクイーンを守護する歩兵軍団を相手に、本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)は熱線銃で果敢に射撃を仕掛けていた。しかし『量産型絶晶』で身を固めたメガテリウム歩兵は防御力が高く、なかなかクイーン本体への活路が開かれない。さらには後方からクイーン自身が放つブリザードが吹き荒れており、視界不良である。
「こんなのまともに戦ってたらやってらんねーっす。しばらく行動不能になってもらうっすよ!」
ヤドリガミである葵の本体は、彼女が身に着けている眼鏡である。葵がスチャッと眼鏡のフレームに指を掛けると、レンズから瞬時に眩い閃光が迸った。
「はい! こっちに注目っす!」
『うおっ! まぶしっ……』
葵が放った【眼鏡フラッシュ】により、一瞬だが悪魔軍団の動きが足止めされた。それを好機に、合の型【澄心】で気配を絶った鏡介が脇から敵軍を突破していく。
「ありがたい。この一太刀に全てを賭け、敵将を討ち取ってみせる……!」
敵の探知から逃れた鏡介が歩兵の真っ只中を駆け抜け、遂に葵は銃口の先にアイスエイジクイーンの姿を捉えることができた。
「アイスエイジクイーンへの射線が通ったっす!」
『いかん! 女王様をお守りせねば……!』
「来ましたわね、猟兵!」
女王をガードすべく、親衛隊が彼女の元へと集まった。アイスエイジクイーンは、後方から氷河期魔法で悪魔軍団を強化し、支援し続けていたのだ。そこへ、地上と空の両方から猟兵が一気呵成に攻め込む!
『ガバるなよ?』
影の中の魔獣、ジークの声がはっきりと聞こえた。バッファローライフル1874を構え、ルイは眼下の女王へと狙いをつける。他の有象無象は無視だ。
「分かってる」
己の狙撃スキルと、特別効果をもつ弾丸があれば、必ず敵を仕留められる。ルイは己の手腕に絶対の自信を持っていた。
「いくぜ! ド派手にブチかます!!」
ルイがライフルの照準を設定したタイミングに合わせ、自分自身を氷の弾丸に見立てたクロトが猛加速をつけて降下していく。さらに、炎属性の竜巻を前方に放ちながら、イロハがラクスくんと共に飛び込んでいった。
「初めまして! 格好良くて強くて、そして美しいアイスエイジクイーンさん!」
「えっ! わたくしが格好良くて強くて、美しい……!?」
イロハの挨拶に、アイスエイジクイーンは思わず気を取られてしまった。悪魔はちょろいのである。おそらくイロハはお世辞ではなく、素直にそう思ってストレートに敬意を表したのだろうが。
「……ハッ! 皆の者、力を合わせて一斉に呪文を唱えるのよ! せーの……」
『『ディノホロボシータッ!!!』』
これはアイスエイジクイーンが追い詰められた時に使う、攻撃氷河期魔法である。配下の悪魔達と力を合わせて詠唱することで、魔法は合体強化されるのだ。
恐竜をも滅ぼしたという極寒の氷河期魔法と猟兵のユーベルコードが、至近距離で激突する。鏡介の神刀による一閃が、走り込んできたプリの全力打撃が、クロトのフル加速錐揉みキックが、ルイの徹甲焼夷弾が、イロハの火炎魔法剣が、葵の高出力熱線が、氷の刃と防壁を砕きながら『絶晶』へと叩き込まれる!
「きゃああああっ!」
『『女王様ァーッ!』』
壮絶な力と力のぶつかり合いの果てに、遂にアイスエイジクイーンの『絶晶』が稼働限界を迎えた。氷の自動鎧が破壊され、女王が力を使い果たすと同時に、絶滅悪魔軍団もまた、白い闇の中へと還ってく運命にあるのである。
「ここまでのようね……しかし! わたくしは必ずカムバックしてみせますわ! おーっほっほっほっほ!!」
『全軍退却~~っ!!』
――こうして、バスジャック平原の戦いは、猟兵の勝利に終わったのである。しかし、転んでもただでは起きないのが西のラスボスである。また近い将来、猟兵はアイスエイジクイーンと相まみえるかもしれない。
大成功
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