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7thKING WAR⑳〜西のラスボスと四天王軍団っス

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #西のラスボス『アイスエイジクイーン』

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『お〜っほっほっほっ!』
 城内に響き渡る如何にも高飛車ぶった高笑い。氷河期魔法による溶けない魔法の氷にて作られた調度品に囲まれながら、西のラスボスこと『アイスエイジクイーン』は超大型4Kデビルテレビに映し出されるデビルキングワールドの人気番組『ヘルズラリー』を観戦していた。
 この番組はライバルたる東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』が主催しているものだ。得意とする氷河期魔法で悪魔らしく真っ当と支配地を拡大してきた功績で胸に『7thKING』の有力候補者たる証、『白羽の矢』を受けたアイスエイジクイーン同様にスーパーカオスドラゴンも刺さった。
 巷では東西のラスボスによる『7thKING WAR』頂上決戦の予想が話題となっており、悪魔たちの指示を得ようとしたカオスバイクを駆る東のラスボス直属のライダー軍団によるメディア戦略が行われた……のだが、敢え無く猟兵たちの手によって失敗に終わった。人の不幸は蜜の味、猟兵という7thKINGの座を狙う存在が現れたことを知り得たアイスエイジクイーンは、ライバルの面目丸つぶれとなったこのザマに大満足したという訳である。

『策士策に溺れるとはこのことですわ! 優雅に水面を泳ぐ白鳥の如く、真面目にコツコツと高みを目指すのが悪の美徳ですってよ。お〜っほっほっほっ!』
 テレビの電源を切ると、アイスエイジクイーンはおもむろに立ち上がって部屋を出る。魔界随一のニセ高飛車な彼女とて、7thKINGの座を争うライバルたるスーパーカオスドラゴンの実力は認めている。実のところ、猟兵がライダー軍団に負けないかテレビの前で応援してたぐらいだ。だが、それはそれでこれはこれ。猟兵とはいずれ相まみえる障害にすぎず、対峙すれば徹底的に叩きのめすのみ。

『わたくしめの支配地より選りすぐりに選りすぐった精鋭の中の精鋭たる百騎の四天王。この軍勢とわたくしの氷の自動鎧「絶晶(ぜっしょう)」を前に、猟兵などというどこぞの者か知れぬ馬の骨に遅れをとるなどありえませんわ!』
 アイスエイジクイーンは自らの領地を一望できる扉を開ければ、そこには城外に集結した100人の四天王が女王の命を今か今かと待ち望んでいたのであった。


●グリモアベースにて
「お疲れ様でした。皆さんのご活躍によって、西のラスボス『アイスエイジクイーン』の支配地へ進行することができるようになりました」
 激戦のデビルキングワールドからの帰還と一時の休息。グリモアベースに再び集まった猟兵たちを前にした秋月・信子(魔弾の射手・f00732)が、お辞儀とともに彼らに労いの言葉を送る。それとともに、新たな戦いが始まることを猟兵たちに告げた。

「魔界随一の……ニセ高飛車と崇められるアイスエイジクイーンですが、自らの領土から打って出る気配は見せていません。どうやら彼女の居城で私たち猟兵を迎撃する構えのようです」
 傲慢的にまでの自信家である彼女として、猟兵など恐るに足りぬ存在だと見ているのだろうと、信子は資料に目を通しながら説明を続けた。

「彼女は『氷河期魔法』の使い手として、支配地域を堅実に広げてきました。アイスエイジクイーンは氷の自動鎧『絶晶(ぜっしょう)』と呼称される氷の大鎧と合体しており、その見た目通りの白兵戦闘力を発揮させてきます。ですが、彼女の強みはまだあります。自らの支配地域から選出された精鋭……100人の四天王が彼女を護るように陣を展開しているのです」
 ……はい?
 四天王なのに100人ですって?
 猟兵たちの鳩が豆鉄砲を食らったかのような呆れ顔に、信子もため息交じりに同感ですと零す。

「……どうして四天王なのに100人も居るのでしょうか。支配地域のエリアが25個に区分されていれば、そこのエリアの四天王を集結させると丁度100人になりますけど……。悪魔の考えることは本当によく分かりません」
 常識人な彼女にしてみれば、その仮説が最も理にかなったものだ。だが、本当にそうなのかはアイスエイジクイーン本人にしか分からぬもの。気になる方は彼女へ直に問うのが一番だろう。

「ですが、船頭多くして船山に登るともいいます。いくら個が優れているとは言え、それだけ居ればお互いに仲良く連携し合うとは行かないかもしれません。そこを上手く利用すれば、四天王が纏まってではなくひとりずつ私たちに挑んでくれば、陣の中心に控えているアイスエイジクイーンに肉薄することが可能でしょう」
 最後に、と信子は伝える。悪魔然とした恐ろしい外見の100人の四天王も含めて、アイスエイジクイーンはオブリビオンではない。悪魔なので頑丈であるが、ガチデビルを骸の海へとお繰り返して暫くした後に開かれるであろう正当なる7thKINGには、彼女の存在は不可欠となる。その為、殺害するような行為は控えて欲しいと懇願すると影を伸ばしてグリモアを展開させた。
 かくして猟兵たちは、西のラスボスと100人の四天王との決戦に挑むのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 GWという長期休暇期間効果もありましてか、戦争開始から一週間も立たずに西のラスボス『アイスエイジクイーン』との決戦が始まりました。乾燥した暑い陽気続きで、彼女の氷河期魔法で涼しい気温にしてくれと切に頼みたいところであります。

●戦場概要
 シナリオ難易度は、やや難となります。
 西のラスボス、アイスエイジクイーンは「氷河期魔法」でまっとうに支配地を拡大してきた功績で白羽の矢を立てられた、四天王が100人いる西のラスボスです(オブリビオンではありません)。東西のラスボスどちらか1体でも倒すと、猟兵側が「7thKINGの暫定候補者」となり、戦争終了(来月1日の戦力更新時点)までガチデビルは7thKINGになれません。
 此度は、アイスエイジクイーンと彼女が率いる「100人の四天王」との戦いです!
 四天王はその名に恥じず100人全員強いのですが、「○○は一番の小物」「ほう、○○がやられたようだな」「ねえ、アイツ殺しちゃってもイイんだよね!?」とかの四天王しぐさが強すぎて、なんとなく単騎ずつ挑んできます。
 この性質をうまく利用して順番に倒し、氷の自動鎧「絶晶(ぜっしょう)」を操るアイスエイジクイーンに肉薄しましょう!

 よってプレイングボーナスは、『四天王しぐさを利用する/絶晶に対処する』、となります。

 またアイスエイジクイーン配下、100人の四天王ですが、プレイング内で名前やらどんな攻撃を得意としているといった内容があれば、リプレイ内に反映致します。
「○○にして○○の四天王の中の四天王」「どう足掻いてもかませ犬にしかならない四天王」「大げさな二つ名持ちなり、厨二精神全開な四天王」などなど、盛りに盛ったエリートネームドモブを撃破する機会とも言えますので、遊びたい方はあれこれとお試しください。
 特に思いつかなくとも、プレイングの内容からこちらがアドリブってそれらしい四天王を出す形となります。

 それでは、皆様の氷河期魔法による寒さよりも熱くワルいプレイングをお待ちします。
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第1章 ボス戦 『西のラスボス『アイスエイジクイーン』軍』

POW   :    絶晶融解体
自身の【氷の自動鎧「絶晶(ぜっしょう)」】を【融解変形モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    絶極双晶舞
【もう1つの自動鎧「極晶(きょくしょう)」】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    超絶凍結刃
【氷の自動鎧「絶晶」の凍結魔力】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【超凍結】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

プリ・ミョート
四天王であれば必ず一人はいる下克上枠、すなわちアイツを倒してもいいんだよね?! という狂犬的な味方。うーんワルだべ。我ながらワルだべ。え? 所属が違うから成り立たない? そりゃそうか。でも無理を通して道理を引っ込ませるのがワルだべ! ぶっ倒す!
アイツヤっちゃってもいいんだよね? という質問、会話に割って入って自分の能力を引き上げる方向で悪巧みするべ。厳密にはおらがいただいた命令でも、そもそも敵味方関係ないセリフではあるけんども、言葉を受諾すればとりあえず発動すっからな。ししし!
発動しちまえばこっちのもん。一日暴れ回ってやるべ、覚悟してくんろ!



『お~っほっほっほっ! やはり来ましたわね、猟兵。わたくしめの精鋭たる100人の四天王の前にひれ伏しなさい!!」
 氷の平原に響く勝ち誇っているようで高飛車ぶった高笑い。噂に聞いていた猟兵が世界に現れる兆候たるグリモアの光を前に、アイスエイジクイーンは口元で手をやるお嬢様笑い仕草で哄笑し出迎えた。

『ガーッハッハッハッ!』
『ヒーッヒッヒッヒッ!』
『カーッカッカッカッ!』
『キーッキッキッキッ!』
 そんな嘲笑に釣られてか、各四天王もそれぞれ悪魔らしい嘲笑を発し始める。だが、グリモアの光が収まっても猟兵の姿は何処にも見当たらない。アイスエイジクイーン様に恐れをなしたか、我ら四天王を前にブルったかなどなど。昼休みの教室さながら好き放題にあれこれとざわめき立つが、確かに猟兵はこの場へと転送されていた。

「四天王であれば必ず一人はいる下克上枠、すなわちアイツを倒してもいいんだよね?! という狂犬的な味方。うーんワルだべ。我ながらワルだべ」
 ひしめき合う四天王軍団の中に、プリ・ミョート(怪物着取り・f31555)は既に転送されていた。デビルキングワールドにおいてスタンダードとも言える、白く漂白化された『知恵の布』を被っているブギーモンスターなのもであるが、4人でひとつの四天王ならいざしらず100人規模の四天王軍団となればひとり紛れ込んでもすぐに気がつかないものである。
 したとしても、あんなの居たっけ? どこの四天王グループがいつの間にメンバー替えしたんだ? と、なってしまうのも四天王ならぬ百天王の性質上では仕方ない。だが、誤魔化せる者がいれば誤魔化せきれない者はひとりだけ居た。

『そこの田舎者じみたブギーモンスター! あなた……もしやでなくとも、猟兵でしてね!?』
「ヒエッ! もうバレたべさぁ!?」
 それは四天王を統括する女王、アイスエイジクイーンにおいて他ならない。このままバレずに四天王になりすまし、肩に担いだデビルガトリングで奇襲をする作戦は失敗に終わってしまうどころか敵中のど真ん中であり。
 主君の指摘を受けてようやく気づいた各四天王の様子は様々といったところで、素直に驚く者、怒り憤る者、おもしれぇ奴と笑う者、ほぅ……と感心する者。そりゃあ、これだけ四天王が居れば十人十色であろう。

『あら……? そのデビルガトリングは……。思い出しましたわ。ヘルズラリーに出場していた者ですわね?』
「へ? へぇ……」
 だが、ひとりひとり配下の顔と名前をしっかり覚えている彼女からすれば、つい先程まで観戦していた番組に出ていたプリの顔も覚えているというもの。絶体絶命の中で西のラスボスが醸し出すカリスマ性に気押されながら、プリは確かにそうであると震える声で返事をした。

『……気に入りましたわ! 何よりも気に入ったのは、あなたが先程仰っていた、四天王であれば必ず一人はいる下克上枠。何時如何なる時でさえも、弱目を見せてはならない油断も隙もならない奸臣が欲しいと願っていたところでしてよ!』
「は、はぁッ!?」
 まさか、まさかのヘッドハンティング。これもヘルズラリーで縦横無尽に暴れていた賜物なのだろうか。アイスエイジクイーンとしては、同じデビルキングワールドの悪魔ではあるが猟兵を配下に納めることでさらなる高み身を目指してのことだろう。
 そして、プリとはと言うと、片田舎暮らしをしていた頃には雲の上の存在であった西のラスボスから目をかけられるという、思いがけない展開に身体を震わせている。勿論、身に余る名誉もだが、その腹の底ではアイスエイジクイーンに成り代わって自らが西のラスボスとして君臨する光景が禍々しくも渦巻いている。

「で、ですがぁ、アイスエイジクイーン様ぁ。もう四天王は100人も居るでねぇべさ」
『然り、ですわ。生憎ながら、四天王の定数は100人。実力がある者が新たな四天王となり、実力なき者は四天王の座から降りる。それでありません?』
 四天王となれば実力主義。自らの力を誇示し勝ち上がれ。かくしてプリは、アイスエイジクイーン認定の四天王候補として今、新たな西のラスボス四天王への道を駆け上ろうとしていた。

「じゃあ、アイツヤっちゃってもいいんだべ?」
 プリが指を指し示したのは、同じブギーモンスターの四天王『ズッター・ブクロー』。同じ姿や種族の四天王はダブってしまうからという意思表示に、ザッケンナコラーと彼は怒りを露わにした。

『良いですわ。さぁ、互いに四天王の座を巡って競い合いなさい。お~ほっほっほっ!』
『ギーッシシッシッ! オレ様も同じブギーモンスターと被るのは真っ平御免だぜェ!』
 熱り立つズッター・ブクローとのタイマン勝負。彼は身を翻すと、知恵の布を覆面代わりとしたムキムキマッチョマンの変態野郎なパンツマスクと化していく。
 ボロボロ同然の知恵の布が丁度ズタ袋を被っているように見えるから、ズッター・ブクロー。そう納得するプリは、ある提案を持ちかけた。

「ヤり合う前に提案があるべさ。おら何もねぇと張り合いがねぇから、リングを作ってもええか?」
『そうですわね……。余興としては、確かにあれば越したことはありませんわ』
 アイスエイジクイーンの許しを得ると、プリは自らのUC『全てはわが策略の内』を発現させた。召喚された髑髏柱は少ないが、リングを形成するコーナーポストとしては十分と言えよう。周囲は同じ四天王や他の四天王が取り囲んで沸き立ち、アイスエイジクイーンの凍結魔力で作り出した氷が弾けると、それの音がゴングとなって四天王争奪戦の火蓋が落とされた。

『そんな豆鉄砲じゃ、オレサマの筋肉の鎧をぶち抜けねぇぜ。ギーッシシッシッ!!』
 いまだ知恵の布を被ったブギーモンスター然のプリを一気に叩き潰そうと、マッスル化したズッター・ブクローが襲いかかる。

「ぐふふ。そんなの知ってるべ。だからこそ、骸骨柱のリングを拵えたんだべさ!」
 四方を囲む骸骨柱の目のくぼみが妖しく光った。これはUCによる弱体化の呪詛を撒き散らす骸骨柱。プリが構えているデビルガトリングの銃身が動作確認に空回りすると、瘴気や毒液を弾丸とする魔界のガトリング銃が火を吹いた。
 自身の筋肉に絶大な信頼を持つズッター・ブクローは躱すことなく受けてみせたが、UCによる呪詛がゴムのように張り詰めた筋肉で弾かれる運命だった弾丸を敢え無く貫通させてみせたのだった。

『ギャアーッ!!』
 秒殺同然にも敗れたズッター・ブクローだが、取り巻く四天王らは憐れむ声を上げずに「ズッター・ブクローの奴め、しくじりおって」「フン! 奴は我ら四天王の中で最強に等しい実力者」「どうしよう」「どうしよう」「どうしよう」などと、ジャイアント・キリングな下剋上を敢え無く成し遂げたプリに慄く。

「晴れて四天王となったから……アイツも、アイツも、アイツも、ヤっちゃってもいいんだよね? 一日暴れ回って、とことん成り上がってやるべ。覚悟してくんろ!」
 自らが新しい四天王と誇示すんばかりに、しおしおと元のブギーモンスターに戻りつつあるズッター・ブクローを踏みつけるプリ。そして、リングの外でどよめき立つ四天王軍団にデビルガトリングの銃身を向け、一気に薙ぎ払う。流石にリングの外では呪詛の効力が弱まっていたのもあったが、手に負えない狂犬から逃れるべく各四天王は蜘蛛の子を散るかのように逃げ回るしかない。

『お~っほっほっほっ! ……もしかしてわたくし、とんでもない獅子身中の虫めを取り立ててしまいまして?』
 念の為にと張っていた透明同然な氷の障壁でアイスエイジクイーンにはプリの銃弾が届かなかったにしろ、四天王の実力者が敢え無く破れて再起不能となったのを機に彼女の統率の瓦解が始まろうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

嘉納・武道
≪力の四天王≫『ストロング・剛力』
類稀な怪力を持ち、大根役者並みの粗暴さで悪事を重ねようと努力する巨漢。素朴で要領が悪く、長年下っ端を仰せつかっていたが『アイスエイジクイーン』の目に留まり四天王に抜擢。田舎の家族に仕送りもできた。その恩に報いる為、忠誠心はMAX。戦闘スタイルは掴んで怪力で圧し潰す・投げ飛ばす。

「自分は柔道王。君達は『悪魔でも出来る柔道教室』の為の生贄です」
対四天王
・四つ手の力比べ。敵の力を制御[体制を崩す]し【背負投】
ボス戦
・[殺気]を持つ[残像]を伴った【空気投】で触れずに投げ飛ばす
共通
・[気合]と[根性]で攻撃を耐え反撃の機会を窺う

上記を含め、他の行動・言動は委ねます。



「仲間の手によって統率は崩れたが、未だに気概ある者は顕在か」
 使い込まれた道着に『銀誓館』と所属を表している刺繍文字。かつて在籍していたシルバーレインの銀誓館で苦楽をともにしてきた戦装束を身に纏う嘉納・武道(柔道整復師にして青龍拳士・f36325)は、ある者と対峙している。
 その名は、≪力の四天王≫『ストロング・剛力』。
 先程敗れた力の四天王の実力者『ズッター・ブクロー』と双璧をなす彼の姿は、西洋的でパンクラチオンの覇者めいた悪魔が多い中、どこか東洋に由来する悪魔じみた雰囲気を醸し出していた。まさに仁王の体現とも見て取れる引き締められた肉体は、柔道家としては小柄ながらもハンデを克服すべく鍛錬を重ねた武道も同じこと。
 そんなふたりがこうして相まみえることは、運命的であったのかもしれない。

『お~ほっほっほっ! 先程はズッター・ブクローが油断しきっておりましたが、今回もそうとは限りませんわ。ストロング・剛力の直向きさは、四天王随一といっても過言ではありませんことよ?』
 アイスエイジクイーン直々の賛辞を受けてもなお、彼の口は閉じたままである。気迫、眼力、練り上げられた体躯。異能者が集う学園で送った青春の中で繰り広げた、数多くの試合と潜り抜けた死線でも、これほどのプレッシャーを受けた相手はそうそうと居ない。互いに相手の出方を伺うふたりの前に、アイスエイジクーンの自らが見出した四天王自慢話は続く。

 曰く、素朴で要領が悪く大根役者並の粗暴さと類稀な怪力の持ち主。
 曰く、その要領の悪さから悪事仲間を出し抜くということが出来なかったが、ふとしたことを切っ掛けにして彼女の目に留まったこと。
 曰く、四天王となってからも悪事を尽くしているが、その収益の大半を田舎の家族に仕送りに充てている無欲者。

 ……アイスエイジクイーン軍はホワイト企業体質な悪の組織にありがちな、部下を褒めて伸ばすという方針なのだろうか?
 数多くの自慢話を半分聞き流しながら、ふとそんなことがストロング・剛力の目を捉え続けている武道の脳裏をよぎると、重かった彼の口がゆっくりと開いた。

『このぶきっちょうな私めをお取り立てて頂いたアイスエイジクイーン様に受けた数々のご恩に報いるため、このストロング・剛力。この身が果ようとも、我が主君の覇道を邪魔立てする不埒者を排していきましょうぞ』
 人には歴史あり、悪魔にも歴史あり。そんな真面目すぎるまでの愚直さには思わず同情の余地が生まれそうになってしまうが、それはそれでこれはこれ。
 彼には負けない理由があるように、こちらにも引けぬ理由があるのだ。

「……自分は柔道王。君達は『悪魔でも出来る柔道教室』の為の生贄です」
 挑発とも受けて取れる武道の言葉を受けたストロング・剛力が目を見開き、剛腕をもってして組みかかろうとする。武道とストロング・剛力の間で空間が歪むほどの闘気を前にし、迂闊に不意打ちすればこちらがやられると固唾を飲んで見ていた四天王が「勝負は付いた」「あの馬鹿力を見くびってジャガった四天王候補は数知れず」「クックック、奴の土俵で闘いを挑むとは死にたいバカのようだ」などと呈していく。
 だが、それもすぐにひとつのざわめきへと変わった。

『ぐ、ぐぬぬぬぅ……』
「……どうした。ストロング・剛力の力とはそんなものか?」
 人と悪魔の手四つ力比べ。一回りも二回りも巨漢なストロング・剛力が有利と思われた組手に応じた武道だったが、他四天王の予想を裏切る形で互いの力は拮抗している。彼の頭は見る見ると湯だったタコさながらに赤くなり、身体の至るところに太い血管がくっきりと浮かびつつある。誰がどう見てもストロング・剛力は決して遊んでいるという訳ではなく、全力を出しているのが明白であった。
 だが、武道としても同じこと。人外が生み出す万力のように締め付ける握力とプレス機さながらに重くのしかかる力を受けて、組み合っている腕周りの骨はおろか骨太である全身の骨が軋む感覚が全身に駆け巡る。
 気合と根性、そして武に生きるものの意地。両者のそれは互角同然であったが、やはり種族という壁というものは厚い。徐々にであるが、力比べで武道が押されつつある。例え生命の埒外たる猟兵と言えども、武道は人間である。人間が悪魔と純粋な力比べをするのは自殺行為に等しい。
 しかしながら、それは己を過信していない武道自身は承知している。技を仕掛ける隙を見せなかったストロング・剛力が、勝負があったという気の緩みで僅かながら見せた『勝機』というチャンスに己が今まで捧げてきた柔道に掛けるためにである。

「……でぇえええいッ!!」
『ぐわぁあああっ!?』
 柔よく剛を制す。相手の体重バランスと力を制御する形で体制を崩してからの一本の背負投によって、ストロング・剛力の巨体が宙に浮かび、そして無防備な背中から激しく地面へと叩きつけられた。明らかに不利な形勢からの逆転劇を前に言葉を失うのは、四天王軍団の他にアイスエイジクイーンも同じである。
 ストロング・剛力を御した武道が深く一呼吸のみをすると、少しばかし離れているアイスエイジクイーンへと向き直して右足を斜め前に出し半身を構えた。

『……はっ! あまりにも華麗すぎて目を奪われていましたわ!?』
「遅いッ!!」
 この距離では飛び道具などない武道が何を仕掛けようとも、アイスエイジクイーンの元へ詰め寄らねばならない。猟兵たる彼が構えの姿勢を取ることで何かをしでかしてくるかを察知した彼女であったが、それが返って自体を悪化するとは露知らずである。
 UC『無双空気投げ』。本来であれば自分の体を中心に受け身を取り難い無数の投げ技を放つUCであるが、先程に武道が構え直すと同時に殺気によって形作られた残像をアイスエイジクイーンへと放っている。それに反応し、彼女は思わずとして体勢を崩したことで効力を有した武道の残像が彼女の身体を掴み、そして相手に一切と触れることなく投げ飛ばす。
 一見すると単に立ちくらみか目眩を起こしてしまった。もしくは足を滑らせて倒れたかのようにも見えるが、受けた本人としては見えない透明人間かなにかによって倒された以外に他ならない。

『くっ……! 奇妙な技で、このわたくしを地につかせるなど……ありえませんわ!?』
 触れずにして相手を御する東洋の神秘、柔道界において幻の技と伝説に名高い空気投げ。気高き氷の女王に初めて土がついたと、四天王軍団に広がる動揺は激しさを増していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久留米・圓太郎
■WIZ
■対抗する四天王=「凍結のフリーズ」(氷結技を得意とする)

「三大なんとか」が「推す対象が統一されていない」以上、その数字以上に事柄が増えるってのはよくあるパターンだけど、さぁ。
いくら何でも四天王が百人、って盛りすぎだろ?

(四天王の名乗りを受けて)
「四天王とやり合えるのは光栄だな。他に3人じゃ無くて99人もいるというのは、癪、だけどな。あとそのネーミングのセンスは何とかならんかったのか?」
(UC発動)
「単純だけど、氷結には高熱だぜ!」
[高速詠唱、全力魔法]で力押しするが[多重詠唱]で強風を吹かせ熱風攻撃だ!

「そこまで鎧装しておいて何で上半身晒すかなぁ……女王??」

※連携・アドリブ共歓迎



『ぐぬぬぬ……このわたくしめを此の様な惨めな思いをさせるとは』
 今までの傲慢さが鳴りを潜め、怒りの感情を露わにするアイスエイジクイーン。だが、女王を取り巻く四天王軍団は未だに健在だ。

「『三大なんとか』が『推す対象が統一されていない』以上、その数字以上に事柄が増えるってのはよくあるパターンだけど、さぁ……。いくら何でも四天王が百人、って盛りすぎだろ?」
 だが、そんな大軍を前にしながらも久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)はどこか呆れた様子である。そりゃあ、四天王がそれだけ居ればそうなるのが当然の反応とも言える。しかし、アイスエイジクイーン側はそうとは思わずコレが正しい姿と信じて疑わない。
 自身もキマイラフューチャー出身であるが、アルダワ魔法学園に在籍している。あそこも多種多様な世界から学生を受け入れているので多様性は凄まじいが、流石に悪魔という種族は独特すぎる感性の持ち主と言えよう。

『フリーリリリィ! 脳筋どもには力不足であったようだな。アイスエイジクイーン様、この「凍結のフリーズ」めにすべてお任せくださいませ!』
 更に機嫌を損なえば自身の身も危ういと尻込みする四天王軍団から、アイスエイジクイーンの怒りを宥めに入った勇気ある者。その名は『凍結のフリーズ』。
 凍結魔法の使い手で、アイスエイジクイーンの城がそびえる中央エリア出身の悪魔である。先程仲間の猟兵が戦った、弾ける筋肉なズッター・ブクローとストロング・剛力とは対象的な痩躯の魔術師タイプといったところか。

『おお、凍結のフリーズ』
『奴は四天王の中でもずる賢い知恵者』
『私の計算では、99.99%の勝利は間違いない』
 それぞれの四天王が口を揃えてアレコレとテンプレ的な讃え言葉を発していれば、この凍結のフリーズという四天王の実力はかなりのものなのであろう。何となくフラグを立てまくっているが、それは気のせいであろう。

『お~っほっほっほっ! 何時もなら漁夫の利を狙うあなたが自ら名乗りを上げるとは、絶対的な勝機があってのことですわね?』
『はっ、この凍結のフリーズ。猟兵めを氷漬けにしてみせ、城の調度品として飾ってみせましょうぞ。フリーリリリィ!!』
 なんかまた実はコイツもキマヒュ出身じゃないかと疑ってしまう、個性的な怪人っぽい四天王が出てきた。冷ややか目で彼らのやり取りを見ていた圓太郎であるが、売られた喧嘩は買わぬわけにはいかない。

「四天王とやり合えるのは光栄だな。他に3人じゃ無くて何十人もいるというのは、癪、だけどな。あと、そのネーミングのセンスと笑い声は何とかならんかったのか?」
 圓太郎は、UDCアースの教鞭を模って伸縮自在故に箒に比べて小ぶりなウィザードロッドを手首のスナップを効かせて一気に展開しつつ、売り言葉に買い言葉とばかりにお返しする。

『フリィ!? 何たる侮辱の言葉! この称号はアイスエイジクイーン様より賜りし名誉あるもの。この笑いは四天王軍団で、誰が物申したかを直ぐ様区別するもの。四天王の証たるこれらを嘲るとは万死に値するフリィイイッ!!』
 まさかのアイスエイジクイーン自らが名付けたとは。そりゃまぁ、コレだけ四天王が居れば被ってしまうのも中には出てしまうだろう。
 分かりやすく、特徴的に、なおかつ四天王の自尊心をも保たせる。女王もふんぞり返ってるだけでなく、こういう気配りもしないとならないんだって大変だ。そんな気苦労があるのかもと圓太郎が考えている中、周囲の気温が急激に下がった。

「うぅ……さむっ」
 まずは相手の出方を伺っていた圓太郎だったが、その凍てつく寒さに三毛猫の遺伝子を有する彼は思わず身震いをしてしまう。そして、次第に地面には霜が降りていき……圓太郎の足元にまで達すると、這い上がる虫の群れのごとく霜が靴にまで及んで来る。

『フリーリリリィ!! どうしたどうしたぁ? アレだけ大口を叩いておいて、手も足も出ないのか?』
 聞けば彼のものであるとすぐに分かる、特徴的な笑い声で勝ち誇る凍結のフリーズ。だが、圓太郎はというと特に慌てる様子もなく「こんなものか」と深くため息をつくのみだった。

「うん。実力はわかった。ここまでしてくれたら、こっちもお返ししなきゃな?」
 ここに来て、ようやく圓太郎が握っているウィザードロッドが動いた。ピッと凍結のフリーズとアイス・エイジクイーンを指し示すと、UCを高らかに詠唱する。

「単純だけど、氷結には高熱で駆逐する! このフネと古代戦士達の力でな!」
 UC『ニスル・サギール』。彼の背後で顕現したそれは、槍と炎属性の大砲で武装した古代戦士を乗せた飛空艇の幻影。その船体に炎が揺らめいているが、見せかけではなく熱を伴う幻影である。
 これにより、凍結のフリーズが放った凍結魔法は敢え無く溶け去り、圓太郎は自由の身となる。更には飛空艇を浮かび上がらすためのローターが勢いよく回転し、下方へと吹き下ろされる風が燃え盛る炎の熱を帯びた熱波となって、凍結のフリーズとアイス・エイジクイーンに襲いかかった。

『フリーリリリィ!?』
 自身の凍結魔法をもってして、冷気の壁で敬愛する女王を護ろうと奮戦する凍結のフリーズ。だが、機械が生み出す無限の駆動力を前にすれば力負けするのは必定であり、ついに魔力が尽きてしまった凍結のフリーズは熱風を浴びて徐々に小さくなっていく。これが彼の本当の姿なのだろう。

『凍結のフリーズの魔力をもってしても遮れない熱風でしても、わたくしの氷河期魔法をお舐めにならないでくださるかしら?』
 だが、流石は西のラスボス。実力ある四天王が敗れた熱風を、自らの氷河期魔法で作り出した氷の盾で防いでみせた。

『お~っほっほっほっ! 小癪な船はわたくしの超絶凍結刃で貫いてみせましてよ』
 自身は高笑いをしつつ、優雅に氷の自動鎧「絶晶」の片腕が上がると上空に氷の槍が象られていく。このままでは飛空艇の幻影もろとも圓太郎にも被害が出るのは必定だが、お忘れでなかろうか?
 この飛空艇の幻影には、大砲が積まれていることを。

『よぉーし、古代の戦士たち。今がチャンスだ!』
 圓太郎の号令の元、上空の氷槍と眼の前のアイスエイジクイーンを護る氷盾へと燃え盛る火弾が一斉に放たれた。それぞれは圧倒的な熱量の前に溶け砕け、自身の剥き出しになった上半身を護るものが失われた氷の女王へと容赦なく熱風が襲いかかった。

『ひぃいいいっ!? 熱い、熱すぎますわ!?』
「そこまで鎧装しておいて何で上半身晒すかなぁ……女王??」
 見栄えや自らの美しさを誇示するためなのかもしれないが、やはり悪魔の考えていることは分からない。悶え苦しむアイスエイジクイーンを尻目にしながら、圓太郎は再び呆れた顔となるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポーラリア・ベル
こんにちは。あたしは冬!勝負をお申込みします!

ところで四天王さんに素敵な提案があるのですが。
折角一人ずつ戦うなら、専用のお部屋で待ち構えませんか。
ラスダン辺りで今までのボスと各部屋で戦ってからラスボスなあの形にしませんか!
UCで作る氷のダンジョンで再現しますので、各お部屋の中でご待機くださいますとー!

入った?じゃあ悪戯罠で扉を閉め(完全固定す)るね。
これで出られない!そしてアイスエイジクイーンお姉さんのお部屋まで直通構造にしたわ!
かくごー!

ベルを武器に戦いつつ
超絶凍結刃が飛んで来たら、でかい氷の柱が飛び出る罠を起動してガード!
その隙に懐に飛び込んで、まいったというまで体中をこちょこちょするの!


マリア・ルート
四天王が多すぎよ……収拾つかないじゃないこれじゃあ。
あんたら、数に身を任せるしかできないの!?
面子の多勢無勢で圧倒して、それでもあんたら四天王!?
これで負けたら今度は「ダンピール如きに負けるとは四天王の面汚しよ」とか言われるわよ!?

ふぅ、こんだけ言えば激昂した奴が1人くらいは来るでしょ。
あとは【指定UC】を展開、誘き出した四天王を集中砲火で潰すわ。面子の多勢無勢は小物だけど手段としての多勢無勢は王道よ、魔王だって4人で挑むことが多いでしょ?

あっ、アイスエイジクイーンもどうにかしないとね。
まぁ、四天王対応しつつ数本ずつ剣を飛ばしていき、四天王を倒した瞬間にガッといきなり本数増やしてやりましょう。



『ククク、凍結のフリーズもやられてしまったようだ』
『奴には荷が重すぎたようだな……次は誰が挑む?』
『では、私が行こう』
『待て、ここは妾が行こう』
『いやいや、それならオレサマが行くぜ』
『じゃ、じゃあ俺が行こう』
『『『どうぞどうぞ』』』
『おいッ!!』
 実力ある四天王が相次いでやられたことにより、アイスエイジクイーンの四天王軍団にさらなる動揺が置き始める。しまいには、恐れをなした一部の四天王集団らが「次はお前が行けよ」と押し付け合うこの始末。はてさて、この先どうなりますことやら。

「四天王が多すぎよ……収拾つかないじゃないこれじゃあ」
 このカオス極まりない状況に、マリア・ルート(紅の姫・f15057)は思わず苛立ちを募らせてしまう。組織に無闇に拘束されるのをよしとしない自由人である彼女として、組織であるが故にしがらみが生じているさまを目の当たりとすれば、さも当然の反応であるであろう。

『我らが言い争っていても仕方ない。ここは利害関係を忘れ、共に手を合わせて……』
「あんたら、数に身を任せるしかできないの!? 面子の多勢無勢で圧倒して、それでもあんたら四天王!?」
 ようやく四天王らの話が纏まりかけてようとしていた矢先、マリアは大声を張り上げて彼らの合議を遮った。

「これで負けたら今度は『ダンピール如きに負けるとは四天王の面汚しよ』とか言われるわよ!?
『……確かに。この「薔薇逆十字のトリニティ」、吸血鬼としてダンピール如きに破れるとは吸血貴族の恥となろう』
 これに応じたのは、いわゆる耽美系に属する四天王から名乗りを上げた薔薇逆十字のトリニティ。四天王軍団の結束を促していた四天王の奮闘もむなしく、氷のように透き通った白い肌の吸血鬼卿がマリアの挑発に応じた。

『薔薇逆十字のトリニティ……』
『卿はこの吸血鬼四天王きっての耽美系』
『優雅に華麗に大胆に、勝利の花を女王陛下へと献上することでしょう』
 さらには彼が所属する四天王サークル薔薇十字のトリニティを讃えつつもデス・ノボリを立てまくっており、もはや四天王らが猟兵に総攻撃を仕掛けることは難しいであろう。その時、頭を抱えている共闘派四天王の前にひとりの猟兵がぴょこっと躍り出た。

「こんにちは。あたしは冬! 勝負をお申込みします!」
 元気のいい挨拶とともに現れたのは、舞い散る雪とともにどこからともなくやってくる冬の妖精、ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)。どれもこれも恐ろしい外見の四天王軍団を前にしながらも、ただ無邪気に振る舞う彼女を前にした四天王軍団は、思わずこんにちわと挨拶を返すしかなかった。そういうところだぞ、お前ら。

「ところで四天王さんに素敵な提案があるのですが……折角一人ずつ戦うなら、専用のお部屋で待ち構えませんか?」
 具体的には、RPGゲームのラストダンジョンである魔王の城にある今まで戦ってきた強敵と再び相まみえる部屋と彼女は説明する。最後のフロアはラスボスである魔王が控えているという構造であり、それには共闘派と単独派の四天王も互いに頷きあいながら納得する。あとは、そのラスボスであるアイスエイジクイーンがどう出るか、だ。

『お~っほっほっほっ! それは妙案ですわ、採用!』
 とまぁ、えらく気に入った様子で即決即断にポーラリアの提案は承認されたのだった。

「わかったわ。ここでたっぷり遊びましょう」
 ポーラリアがひらひらと宙を舞うと、氷河期が到来でもしたかのような凍てつく寒風が周囲に渦巻いた。
 UC『冬の迷い路(ウィンターフェアリーメイズ)』……実のところ、これは彼女が作り出したUCによる雪と氷のダンジョンである。それを知らずにして、あっという間に完成したダンジョンに四天王軍団は競い合いながら中へと突入した。それぞれが待ち受ける部屋を早い者勝ちとしたからだ。

『お~っほっほっほっ! わたくしは当然、最奥のフロアですわね』
 アイスエイジクイーンは高笑いをしながら四天王が入っていった入口とは真逆の出口から入る。では、私もと薔薇逆十字のトリニティがマントを翻したが、既にマリアと対峙している状態であればそうは問屋が卸さない。

「あんたはここで私と勝負をするのよ!」
 UC『血見猛猟・百器野行(ワイルドハント・ウェポンズカーニバル)』によって幾多にも複製されたツインブレイド・Δが、剣の雨となって薔薇逆十字のトリニティへと降り注ぐ。地面に倒れ込んだ姿は、まさに虫ピンを刺された昆虫標本さながらの無様さである。致命傷は免れているが、まぁ吸血鬼なんだしコレだけ刺さっても命に別状はないよね?

『ククク、薔薇逆十字のトリニティがやられたようだな』
『ダンピールの小娘めに油断しきったのが命取りよ』
『だが、我ら四天王軍団は今も健在』
『この部屋で迎え撃ってくれようぞ……』
 ──ガチャ。
 ほくそ笑む四天王軍団であったが、その余裕はいきなり掛かった施錠音で消えることとなる。何せこの雪と氷の迷宮、悪戯好き妖精のポーラリアによって無数の悪戯罠が仕込まれているのだもの。

『これで出られない! そしてアイスエイジクイーンお姉さんのお部屋まで直通構造にしたわ!』
『入ってすぐ、隣リに最奥のフロア直通の扉があるダンジョンって……』
 悪戯が大成功となって喜ぶポーラリア。四天王が部屋から脱出しようにも壊れないまでに頑丈な氷の壁に覆われた雪を払うと、そこから隠し扉が現れたのに呆れ顔のマリア。

『お~っほっほっほっ! さぁ、どんなセリフで迎えて差し上げてあげましょうかしら……って、ええっ!?』
 そして、いきなり猟兵ふたりが隠し扉から姿を見せたのに驚愕するアイスエイジクイーン。ちょっと早すぎでありませんと抗議するが、そういうダンジョンなのでそういうことなのです。だが、そこは西のラスボスと呼ばれるだけの実力者。不意打ち同然の襲撃にあっても氷の自動鎧「絶晶」を駆動させて、凍結魔力を籠めた氷槍をふたりの猟兵へと放ったのだった。

「流石に氷の女王だけあって、隙は少ないわね!」
 マリアは複製した剣で迎撃するが、あちらは空中の水分を触媒にしているのか生産スピードではアイスエイジクイーンの方が上である。

『お~っほっほっほっ! その程度の生産力では無駄でございましてよ?』
 氷の自動鎧「絶晶」を融解変形モードにさせ、氷槍の攻撃回数ともいえる生産数を増していくアイスエイジイーン。だが、勝ち誇った彼女が歩を進めると……カチッという音が部屋に響いた。

「お姉さん、もう忘れたの? このダンジョン、悪戯罠でいっぱいなのよ」
 勢いよく縦横無尽にせり出してくる氷の柱。複雑に屹立するそれらがアイスエイジクイーンが放つ氷槍を防いでみせ、同時に彼女を叩き潰そうとも襲いかかってくる。

『ひぃいいいっ!?』
 ゾッとした表情で間一髪と躱していく中、そこへ襲いかかる氷の罠を潜り抜けたポーラリアがたどり着き、剥き出しとなった女王の身体へと纏わり付いた。

「チェックメイトだね、アイスエイジクイーンお姉さん?」
 だが、ポーラリアはアイスエイジクイーンに刃を向けなかった。彼女は悪戯好きな氷の妖精である。

『ちょ、まっ!? そこをくすぐらないで……くださ……っ!!』
 こちょこちょと容赦ないくすぐり攻撃を仕掛けるポーラリア。流石に氷の自動鎧を身に纏っていても、アイスエイジクイーンの本体が剥き出しであればそうなろう。

「……なんか、やる気が失せてきたわ」
 そんなやりとりを目の当たりにしてバカバカしくなったマリアが外に出るべく戻ろうとしたその時、踏んだ床が少し沈んで再びカチッという音が鳴り響いた。

『も、もう……参りました、わぁ!?』
 ポーラリアのくすぐり攻撃を受けてアイスエイジクイーンが降参宣言をしようとした矢先、再び悪戯罠が発動した。勢いよく横からせり出した氷の柱が転げ回るアイスエイジクイーンを叩きつけ、出口の扉から勢いよく氷の迷宮から叩き出したのだ。

「あーあ、もうちょっとだったのに」
 悔しがるポーラリアであるが、四天王軍団はというとまだそれぞれの部屋に閉じ込められているままであったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月16日


挿絵イラスト