7thKING WAR㉔〜散華泡沫
●咲くや血神楽
「1stKING『魔王ガチデビル』はかつての故郷を全世界の中で圧倒的最強だと評して、他世界への悪魔輸出を目論んでいるワケなんだけど。
対立候補のラスボスさん達の予測によれば侵略蔵書『悪魔契約書』大盤振る舞いの野望はたぶん彼が7thKINGとなった後で無いと実行できないみたいなんだよねー」
故に現在のところ特級契約書という切り札がガチデビルによって切られ、
他世界から計3体もの強大な『召喚魔王』が悪魔王遊戯へと呼び寄せられている。
「そのうちの1体が今回闘う敵。
巨大すぎる姿かたちだけは戦争のはじまり頃からずっと見えてたアノ女性。
其の名は召喚魔王『ゼルデギロス』――と、一応は呼んでおくコトにするね」
巳六・荊(枯涙骨・f14646)のぼんやりとした説明の理由を、先だっての『予兆』であの魔王1体から発せられた二者の声を耳にした猟兵には凡そ察せられた。
「そう、『ゼルデギロス』本体は女性の顔を覆う仮面の方。
女性はその強大な戦闘力を欲した『ゼルデギロス』に乗っ取られただけの犠牲者。
そして仮面の『魔王』を倒せば彼女も決して助からないという悲劇的な存在、
……なんだけどー。何っていうか全っ然! 感じられないんだよねー彼女からは。
絶望感とか悲壮感とか恨みつらみとかそーいうの」
あえて安易に手垢のついた一言で表現してしまうのであればそれは「決死の覚悟」。
己が死する最期の最後の瞬間まで、きっと、彼女は彼女に与えられた仮初めの『生』を濃密に活かそうとするだろう。
「つまり、後を託すに相応しいもののふ達と――キミたち猟兵と、手加減いっさいナシの全力で都市サイズのあの『天槍』振るってひたすら戦い抜くってコト」
たとえ逆に猟兵らを完膚なきまで返り討ちにしてしまったとしても已む無し。
そういった類いの『全力』だ。
「あ! 武士(もののふ)っていっても別に彼女の前では殊更古めかしいおサムライさんみたいに振舞えとかそーいうハナシじゃないからね、念の為!
むしろあのヒトどちらかといえば実戦重視、戦闘考察マニアのケがあるっポイ……?」
予知とも当てずっぽうともつかぬ、
そんなヤドリガミからの余計なコメントはともかくとして。
まず彼女には『デカブツ相手なら機動に劣り死角も多い』などという思い込みに基づく戦法は全く通用しない。
その強さを喩えるならば、各種武術を極めており、小技や絡め手にも隙の無い大災害とでも表現しようか……。
「唯一の弱点は、顔の仮面。
うん♪ 実は魔王本体がいっちばん脆くってかろうじてソコだけが破壊可能!」
むろんそれはあの巨大な女性だって百も承知。
容易には手出しさせないだろうし、そもそも近付くまでの猛攻をまず何とか凌がねばならないし、仮面をあえて囮として戦術に組み込んでくる可能性すら考えられる。
「本気の殺し合いだっていうのが大前提で。
でもきっとキミ達にとって得るものの方が遥かに多い戦いになると思うから……」
だから、哀しまないで?
ふわりとそう笑った荊の前でグリモアが輝きを増してゆき――。
●散るや母刀自
見上げれば、実に晴れ晴れとした女の笑顔がそこにはあった。
「顔の仮面を破壊すれば私は死にます。六番目の猟兵達よ、いざ尋常に勝負!」
天衝くほどの巨槍を凛と構えて、
戦さ名乗りもまた響き渡る雷轟のごとき堂々たるもの。
「私は操られていますが……お気になさらず!」
数多のもののふ達の遠き母もまた、自身、まごうこと無きもののふそのもので。
もはや救出など無駄、同情や手加減は一切無用。
二度とは戻らぬ時を往く者同士の戦いにそのような暇など許されてはいない。
「私は既に死した身……。
しかし捨て身の戦いによってみなさんに教えられる事もあるはず!」
かつて『魔女』として運命を操作するという形での庇護を厭い、自らの胎もろともに『やり直し(エンドテイカー)』の力をかなぐり捨てる事でその後の『ぼうや』達の飛躍的発展を促した苛烈にして慈愛深き『母』。
それこそが『仮面(ゼルデギロス)』に支配される前の本来の彼女――此華咲夜若津姫である。
そして今『ぼうや』ならぬ猟兵に対しても惜しみなく彼女の苛烈と慈愛が発揮されようとしている……。
「さあ、ぼうや達にも劣らぬ素晴らしき武士(もののふ)達よ、六番目の猟兵よ。
勝利も謎も未来も――欲するならば自らの手で戦いそして勝ち取ってみせるのです!」
銀條彦
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「7thKING WAR」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●プレイングボーナス
今回は、
『先制攻撃に対応し、相手の巨体を利用「しない」戦い方で反撃する』です。
召喚魔王『ゼルデギロス』は、必ずユーベルコードによる的確な先制攻撃を放ってくるのでユーベルコードに依らない対策が必須です。
●その他
召喚魔王『ゼルデギロス』に操られているらしき巨大な女性は、猟兵からの質問に対して分かる範囲で答えてくれるでしょう。
が、その返答内容はリプレイ内では描写されない旨あらかじめご了承下さい。
御武運を。
第1章 ボス戦
『魔王ゼルデギロス・此華咲夜態』
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POW : ジェットランページ
【天槍から噴出する強烈なオーラ】によりレベル×100km/hで飛翔し、【身長】×【武器の大きさ】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : 天槍乱舞
【貫通衝撃波「フォーススティンガー」】【螺旋回転突撃「ドリルインパクト」】【神速連続突き「ミラージュランス」】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : ジャッジメントランス
【天高く天槍を投げ上げるの】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【オーラで構築した天槍の分身】で囲まれた内部に【裁きの雷】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エンティ・シェア
主に「僕」が務めますが
先制攻撃に対しては「私」の力も借りましょう
直撃を避けられるよう見極め、ありったけの拷問具を盾にして
化術を駆使して弾力性のあるもの、水や砂に変化して
少しでも、衝撃を緩和しましょう
仮面へ向けて駆け出せたなら、足を止める理由はない
ゼルデギロスとやらのやり方は、不愉快で
だからこそ、その余計な感情は武器に込めるには十分な熱量になるでしょう
殺意を煮詰めながら進むこととしますよ
どうぞ心穏やかに、首を洗ってお待ちください
…武器には、込めませんが
攻撃には、敬意も添えさせて頂きます
美しい覚悟を宿した、異世界の姫君
…死を救済と呼ぶのは好みませんが…
貴方を、殺せば
貴方を、救えたことになりますか?
――おや珍しい。殺し合いの一番手が『私』とは……。
エンティ・シェア(欠片・f00526)が浮かべた小さな笑みは、
刹那のうちに別人の怜悧へと移り変わる。
フィルオールからアリエルへと。
「勿論それは『僕』が務めましょう。ですが――お借りしました」
空ろなままに蓋された棺に納まる多重人格……三つの魂は役割によって互いをきっちり線引きするのが常なのだが、殊この戦いに於いてはその限りでは無かった。
つまりはアリエルを以ってして召喚魔王ゼルデギロスはそうせねば危ういと決断させた程の敵なのだ。
「いざ、尋常に勝負!」
オーラ迸る天槍がひょうと振り回され、その切っ先が女の巨躯を空高くにまで導く。
魔王が先制の一打にと選んだ技はジェットランページ。
巨槍と遣い手の重量はその一撃を加速させこそすれ、速さ損なわれる事は無く……。
(たとえ少しでも、衝撃を緩和できれば――)
黒熊のぬいぐるみが踊り、青年の周囲へとばら撒かれた無数の拷問具。
――同時、
発動した化術がそれら全てを湿り砂へ変化させ降り注ぐ圧を受け止めながら飛散する。
まさに山津波にも比されるべき魔王の先制攻撃に対し、アリエルはその熾りを読んだ上で持てる最大防御を寸分違わず穂先へと合わせたのである。
大地へと、深々、突き立てられた天槍が引き抜かれた頃にはもうそこに彼の姿は無い。
(駆け出せた――ならば、足を止める理由はない)
敵の方から縮めてくれた仮面との間合い。
無傷とはいかずとも魔王の初撃を耐え切った猟兵は柔肌の上を駆け上がってゆく。
「どうぞ心穏やかに、首を洗ってお待ちください」
吐かれた台詞はひどく淡々と刻薄で。
ただ一振り、手元にと残した錆刃を握り締めながら。
湧き上がる端から彼の殺意は色を喪いユーベルコードとして煮詰められてゆくばかり。
(ゼルデギロスとやらのやり方は、ひどく不愉快ですから)
疾駆の中で心無き処刑人として急速にその力を増大化させながら、
遂に目指す仮面を至近にと捉えたアリエル。
「美しい覚悟を宿した、異世界の姫君」
躊躇わず振り下ろした一撃に添わせたのは、敬意の念。
たったひとつ、力として拷問具へ焚べるを選ばず残されたままだった感情。
『やめろ、貴様――……っ』
咎人の首挽くに相応しきかたちにと変化した大鋸刃が掻き斬ったのは、
ゼルデギロスの仮面。
ぎりり。
激しき軋みと共に『魔王』が何を喚こうと処刑人も姫も意にも介さない。
「貴方を、殺せば――」
死を救済などと呼ぶのは彼の好みでは無いけれども。
けれど、
それでも。
「――貴方を、救えたことになりますか?」
「あなたがそれを望むのであれば……必ずやきっと」
いまだ厚い仮面に覆われたままの女は、
その双眸に慈しみの色湛え、きっと、彼へと微笑んでいた事だろう。
成功
🔵🔵🔴
栗花落・澪
【龍花】
WIZUCへは【激痛耐性】を上乗せした【オーラ防御】を展開
僕自身も【高速詠唱】で雷魔法の【属性攻撃】を行い
雷の軌道を誘導
POWUCへは属性を切り替える間は無いだろうから【二重詠唱】
風魔法の【属性攻撃】を突進してくる姫様に向かって撃ち出す事で
風圧の反動を【空中戦】に乗せ回避
せめて致命傷だけ避けられれば
僕は大丈夫っ…
ごめんね鉄馬君、予定通り…任せたよ
【指定UC】発動
ほんとは…体力を削る技だから、身内には禁止されてるんだけど
鉄馬君は僕に甘いから
それにやっぱり…若津姫様にも少しくらい
幸せな瞬間を残してあげたい
これは僕の我儘、だよ
鉄馬君が目的の高度に辿りついたのを見届けてUC解除
後はお願いね
不知火・鉄馬
【龍花】
WIZには澪の防御に自身の【オーラ防御】を重ね掛け
【電撃耐性】を上乗せし
★閃雷による【電撃】で敵の雷を逸らせる
或いは自分に引き寄せ澪を庇う
澪は心臓が弱いから
より頑丈な俺が受けた方がまだ安全だろう
来い、シエン!
突撃は龍形態に変化させた★紫龍に掴まり
【空中戦、空中機動】で回避行動
その際閃雷を薙ぎ払い雷の【斬撃波】で【マヒ攻撃】
少しでも動きを阻害し致命傷だけは避ける
本当は澪に命を削るような行動はさせたくねぇが
あいつが望むなら俺は…受け入れてやりたい
その分俺が急げばいい話だ
【黒紫雷龍】発動
飛ぶだけなら敵対行動でもなんでも無ェからな
本体…仮面の元まで一気に飛び
澪のUC解除と同時に雷を放つ
奔る渦雷が戦場をまばゆく染め上げてゆく。
召喚魔王ゼルデギロスの手から天槍が投げ放たれるや幾条もの雷槍が屹立し、
無数の稲光が落とされたのだ。
「澪……っ!」
「僕は大丈夫っ……」
問答は無用とばかり撃ち撒かれたジャッジメントランスに対して抗うもまた雷。
同属性の光壁を展開して護りを高めた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、加えて、更に雷霆を攻撃魔法として発する事で消雷と避雷を同時に試みる。
そして不知火・鉄馬(戒めの正義・f12794)もまた。
雷光そのものを刃とする戦斧『閃雷』を翳した少年は、半ば咄嗟に、華奢な同齢の少年を庇う立ち位置へと割り込んでいた。
より強き雷気によって誘雷された『裁き』の幾つかは逸らされ、また澪へと向かう筈だった幾筋かが鉄馬の体へと吸い寄せられる。
明滅ののち――爆ぜ散った紫電。
澪の護りに重ね、互いに高める形でオーラ防御を張った少年は雷撃の扱いに秀でたドラゴニアンであり耐性にも優れる……とはいえ魔王からの極大ダメージは減衰させてなお浅くない痛手を少年の体にと刻みつけていた。
「俺の方が頑丈だからな」
したたか灼かれた熱傷へ申し訳無さげに落とされた琥珀色の視線に気付けども、
鉄馬はさもそうするが当然とぶっきらぼうに答えるばかり。
心臓患う澪を気遣う本心は覆い隠される。
(鉄馬君は僕に甘いから……)
むろん澪だってちゃんと見抜いていて。だからこそ、心苦しい。
澪が鉄馬と共にこれから実行しようとする作戦はそんな彼にとっては酷でしか無く……けれど、彼だったら断らない。そんな鉄馬の優しさに甘えた上でのものだから――。
「あれほどの雷すべてを捌き切るとは見事……ならば!」
ゼルデギロスの猛攻は更に続く。
投げ上げられた槍が地へと落ちるを待たず、
魔王の巨躯が自らも天槍追って宙高くへと舞い跳んだのである。
むんずと槍を掴んだその構えからジェットランページの到来を察知した二人は、集中を途切らせない。
護りの属性を切り替えるより多重に起動させた方が速いと判断した澪は、吹き荒れる嵐をゼルデギロスの突進めがけ叩きつけた。
「せめて……致命傷だけでも避けられればっ」
軽減効果こそ微々たるものだったが……風圧を制御し得えた澪の力で飛躍的に向上した空中機動による回避こそが狙いの本命。
「来い、シエン!」
鉄馬の叫びに応えた『紫龍~焔~』が瞬く間にその身をドラゴンランスから金眼の龍へと変化させる。
シエンに掴まりその翼を我が翼とし、雷刃の麻痺攻撃を織り交ぜる事で、
鉄馬もまた魔王からの第二波直撃を躱し致命傷の回避を成し遂げたのである。
こうして怒涛の連続攻撃に曝されてなお少年猟兵ふたりは戦場にと在り続けていた。
反撃の機は、今こそ。
交差する龍花の視線。
「――どうしてもやるんだな、澪」
「ごめんね鉄馬君、予定通り……任せたよ」
ふわり、そう微笑むと。
澪の体にと漲っていた戦意や緊張の全てがぷっつり掻き消えてゆく。
金蓮花揺らす祈りこそがオラトリオの少年から放たれたユーベルコード、
その圧倒的な多幸感の前にあらゆる敵意が霧散する【幸福テンポライズ】。
魔王すらも――魔王の内なる二者すらもその例外では無かった。
『ぐっ……な、何だ……これ……は……?』
「成程――ふふ。あなたには決して解らぬものですよ、ゼルデギロス」
戦場内における一切の敵対行動を封じるその威力たるや絶大である一方で、
代償もまた大きい。
(ほんとは……体力を削る技だから、身内には禁止されてるんだけど)
刻一刻と澪の天命を削り続ける事でのみその維持は保たれるのである。
「それにやっぱり……若津姫様にも少しくらい幸せな瞬間を残してあげたい。
これは僕の我儘、だよ」
本心では鉄馬だってそんな真似を澪にはさせたくなど無い。
(けれどあいつが望むなら、俺は……受け入れてやりたい)
その分自らが体を張って急げばいい話と勇む鉄馬は【黒紫雷龍】の印を組み、
今度こそ自らの翼で飛翔すべく、黒紫の雷龍の姿を解放する。
「空の王者の力、見せてやるよ」
神鳴る紫雷を吐く権能こそ封じられたままではあっても、
天翔けるそのさまはまさに威風堂々。
「飛ぶだけなら敵対行動でもなんでも無ェからな」
棒立ちとなった魔王に向かって突撃し一気に仮面にと肉薄する鉄馬。
朦朧とする意識の中でそれを視認した澪は、
「後はお願いね……」
彼にと託し、祈りを止めて――直後、最大級の放雷が無防備な仮面へと浴びせ掛けられた。
『馬鹿なっっっ!!!』
見苦しき悲鳴すらも掻き消す雷轟の眩さに巨躯の女は眼を細め……。
世界は美しくも残酷。
されど、その残酷を許さぬ為に命燃やす無垢からの贈り物にしばし癒される心地を覚えるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リュカ・エンキアンサス
ディフお兄さんf05200と
事前に星鯨で情報収集
アルビレオでお兄さんを乗せて突入
作ってもらった足場、敵自身の上も走行
ルートは地形の利用と第六感、集めた情報をもとに安全なルートを選出する
そのうえで道中の防御はお兄さんに任せる
…振り落とされる化されないかは、お兄さん次第
頑張って(運転は割と乱暴
…なに、大げさだな
本当は飛べるんじゃないの?
…いいけど
俺もお兄さんと一緒に行くのは、楽だし
また、可能なら灯り木をバイクに固定、自動で撃つ。おまけ程度の牽制を行う
で、眼前まで接近したら蒼天で仮面を撃ち落とす
俺はね。あの仮面なんだか気に食わないんだ。うるさいし
…合わせる?
了解
終わったら、彼女にもお疲れ様と言いたい
ディフ・クライン
リュカ/f02586と
バイクに乗せてもらい
氷のオーラを結界としてオレを中心に展開しバイクごと守ろう
氷は電気を通さない
裁きの雷相手にどこまで耐えられるかわからないが
全力で耐え続けてみせる
リュカ、振り落とさないでね、なんて笑って
わかった、頑張るよ
けれど共に行けるのは嬉しいなあ
飛べないよ、だから乗せてもらってる
仮面に辿り着かねば届かぬ攻撃だ
初手を耐えきったなら即座にネージュの真の力を解放し
味方に加護を、仮面に絶対零度の氷の吹雪を
進む道がなければ吹雪で道を作り
時にBonheurの背を跳ね場にして
仮面に辿り着いたら
合わせるよ、リュカ
奇遇だね、同じことを思ってた
氷吹雪を散弾の如く打ち付けて
彼女を解き放とう
荒涼ばかりが横たわる水脈枯渇の平原に光投げかけて、宙泳ぐ小さき「星鯨」。
限られた時間内、敵(オブリビオン)に近付き過ぎない範囲内――無人機が持ち帰った各種情報はごく限定的なもの。
それでも、既に終えられていた天槍分身の設置状況を把握できるメリットは大きい。
漏れなくすべてリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)は頭に叩き込む。
「あの人を中心に、わりと極端に左へ偏ってる」
「あるいは槍術の左前半身をカバーする為なのかもしれないね」
リュカに応えた声は少年の後ろから。
いつもの旅鞄に代わって今クラシックな旧式バイクの後部座席にはディフ・クライン(雪月夜・f05200)が鎮座中。
ああ、本当に彼女は武人さんなんだね、と。
風防用にと装着されたゴーグル越しに改めて、都市ほどの槍携えて立つ峰よりも巨大なその人を――目指す『異世界の魔王』の威容をリュカは見上げるのだった。
「次なるは軽騎兵ですか!
勇ましきもののふ達よ。その轍、我が山斬烈槍を越えられますか」
黒き仮面に阻まれて視認できた訳では無いが……多分ぜったい、彼女にとって物珍しき戦相手を前にして彼女は一瞬その眼を輝かせた様な気がする。
成程、もはや悲壮や絶望などとは無縁の域であるらしい。
機動こそが要の『馬』と初見で見切った召喚魔王はジャッジメントランスの雷をあえて極大ダメージ狙いの一斉発射では無く、一槍一槍ごとタイミングをずらしながらの連射へと切り替えて来た。一発でも掠りさえすればそれで足は止まるとの判断からだろう。
だが……。
「裁きの雷相手にどこまで耐えられるかわからないが」
ディフから噴きあがった蒼きオーラが護りとなり、凍てつき、道と化す。
まったき純水を結晶させた氷は絶縁体には至らずとも電気を通しにくくいわば半導体。
敷かれた凍結路の上、リュカは迷わずアクセル全開の急加速。
少年のステアリング捌きはやや……かなり……いや、きわめてラフなもの。
以前、同じようにリュカの愛車でタンデムした際も彼は酷い目に遭ったのだが、
あの時は断崖絶壁の走破で、今回は急ごしらえの氷結路上を雷嵐突破。
必要に駆られて行われて来たこの二人のタンデムはそもそも快適からは程遠い。
「リュカ、振り落とさないでね」
ディフが笑いながら請えどもリュカからの返答は一言。
「頑張って」
自己努力って大事。
「わかった、頑張るよ」
ガクガクと激しく全身揺すぶられ続ける中、第六感まかせのハンドルに合わせての全力の魔力放出と精密制御をディフは決して途切らせない。
なんてこと無いような顔でこなしてはいるしお兄さんなら出来ると信じてこそだが、
それでも、中々の無茶振りしているなぁとの自覚はリュカにだってちらと有った。
「けれど共に行けるのは嬉しいなあ」
「……なに、大げさだな」
なのに、ミレナリィドールの青年が皮肉を口にしている様子はまったく無くて。
信じられない事にこの状況下でのその台詞はディフお兄さんの100%本心からだ。
「本当は飛べるんじゃないの?」
「飛べないよ、だから乗せてもらってる」
今お兄さんはいったいどんな表情をしているのだかと、
その時リュカに湧き上がった、振り返って肩越しに確かめてやりたいという衝動。
されど仮面の魔王の膝元までは後わずか。
いよいよ雨霰と降り注ぐ雷撃の只中、そんな余裕などむろん無くって。
「……いいけど。俺もお兄さんと一緒に行くのは、楽だし」
かくして遂に、
走破した氷路から大跳躍で跳びつき、巨躯の上へと辿り着いた暴れ馬。
『おのれ! だからあれほど我の言う事を聞いて戦えと!!』
またも六番目の猟兵達に肉薄された事で焦りを覚えた『仮面』が声を荒げ、女への支配度を高めようとするもいまだ容易にはかなわぬらしい。
「……俺はね。あの仮面なんだか気に食わないんだ。うるさいし」
「奇遇だね、同じことを思ってた」
合わせる、了解と声掛け合った二人による渾身の反撃は阿吽の呼吸であった。
「解き放とう……」
醜き仮面からいずこかのぼうや達の『母』を。
そして、『彼女(ネージュ)』を。
蒼く深き宝石の如き瞳がそっと綴じられ――吹き荒れる【最果ての雪姫(ネージュ・ユグドラシル・グラース)】の絶対零度が黒き仮面すらも凍てつかせる。
『くそっっ!!!』
そして。
散弾の如き猛吹雪下で苛まれる仮面がさらにその支配を緩めた間隙を衝き、リュカの手から撃ち放たれた【凶星砕き(イノリヲココニ)】。
其れは遠き何処かにおいて真の『空』見た者が時に手に入れた力を想起させるような、
悪しき棘――『仮面』砕く為の『蒼天』一射。
被弾した仮面の端に一筋のヒビが走り、僅かに露わとなったのは――、
散るを待ち侘びる紅櫻の如きその眼差し。
「お疲れ様」
此華咲夜若津姫へ、そして何よりネージュへと。
少年が手向けたことばは、そのただ一言。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鷲生・嵯泉
既に自らの状況を正しく理解しているとあらば
糺し正す事なぞ御仁には不要だろう
なれば――鷲生嵯泉、参る
視線や得物の向き、風の動きに気の流れ、身体の微動に足捌き
五感にて得られる情報全てに第六感加えて戦闘知識にて図り見極め
致命と行動阻害に至る攻撃は見切り躱すに努め
些細なものは武器受けにて弾いてくれよう
多少の傷なぞ構いはせん、激痛耐性で捻じ伏せ前へと出る
達人なればこそ存在するだろう型と流れの律動を探り
其れに自らの動きを合わせる事で『隙間』へと刃を叩き込む
――逸捨煎離、穿て獄炎
脚力に怪力回し、必要な“場”へと立ち回り
狙うは脚・腹・首――そして仮面
護る為の刃は折れはせん
安心して本来在るべき処で休まれるが良い
「いずれ劣らぬもののふ達よ。強くも心優しき者たちよ。
時は二度とは戻らぬもの。私という過去を喰らい、あなた方という未来は前へと進んでゆかねばなりません」
己が死を求め――。
だがそれ以上に猟兵らの勝利を心の底から信じ切っているが故の意気揚々。
散華の如き女が発するその鮮烈を見据えれば、
鷲生・嵯泉(烈志・f05845)の隻眼にもまた奈落が如き赤熱が燈されて。
「既に自らの状況を正しく理解しているとあらば、糺し正す事なぞ御仁には不要だろう」
なれば――鷲生嵯泉、参る」
応じるは【天槍乱舞】。
戦場を疾駆する小さき敵にと振り降ろされた絶技は、
天変地異にも等しき、滅殺の広範囲乱撃であった。
単騎にして軍団にも比する手数を誇る、暴力的な先の先。
瞬きの判断が絶えず迫られる死地にと我が身を曝し……されどいよいよ五感研ぎ澄ませたままに前へと早駈ける嵯泉の足は止まらない。
振るわれる秋水の刃は螺旋突撃を逸らし流し、貫通衝撃波を払い去なし、
そして神速誇る連続突きの悉くを、彼もまた神速の見切りによって受け止める。
手負いとなるは避けられぬとの覚悟で激痛を捻じ伏せて、更に前へ前へ。
間合いの利は、今や、天槍から刀へと移り……。
「――逸捨煎離、穿て獄炎」
肌蹴けられた白き腿を灼いた獄炎の初撃は、
次いで古傷残る腹を鋭く薙いだ後、うなじへと狙い定められ……しかし寸での処で逆手にと持ち替えられた柄での防御に弾き返される。
そして遂に仮面をも穿った四撃目の獄炎。
成程、グリモア猟兵の言の通りに此処への手応えが最も脆い。
みしりと大きく軋んで焼かれた仮面からは、
血飛沫の代わり、幾つもの焦片が毀れ落ちる。
致命には到らずとも、そも其れさえ打ち砕けば諸共に『魔王』は滅して逝くのである。
「いずれ剣狼剣聖の域にも到ろう、見事たる剣士振り。
……吹き抜ける風の如きあの男を今更に思い起こす事となろうとは」
何とも懐しき心地と、刹那、『母』の慈愛とは異なる色をゼルデギロスと呼ばれた女の貌が覗かせる。
四撃必殺の全てを甘んじて浴び、嵯泉によって今この場で討たれていれば至福のままに死を迎えられていただろう事は彼女も承知。だが――まだなのである。
「護る為の刃は折れはせん。
安心して本来在るべき処で休まれるが良い」
「ふふ、あなたのその言葉に心揺れぬといえば嘘になりましょうが……」
まだ彼女は仮初の『生』を生きねばならぬ。
死しての後に託すべき全てを、女はまだ、燃やし尽くしてはいないのだ。
大成功
🔵🔵🔵
クーナ・セラフィン
超戦闘民族な気配がするけど姫様はいい人っぽい?
仮面からは帝竜ワーム系の邪悪さ感じるけど…操られててここまで悲壮感無い人見るのは初めてな気がする。
…姫様の期待に応えて胸を借りる気分で挑んで乗り越えないとね。
突撃槍使いとして親近感もあるし。
風のルーン記述した符を準備。
噴出するオーラで一気に加速してくるだろうから当たるタイミング見切りつつ衝撃を受け流す方向で凌ぐ。
軌道見切った瞬間に符に魔力通し私自身を吹き飛ばして天槍の穂先を回避、更に突撃槍の先端を天槍の側面にぶつける形で反動で私の体を弾かせつつ衝撃で空へとジャンプする。
衝撃緩和に念動力と符で発生させた風、それから陽だまりのオーラも活用。
空中では軽業で体勢立て直しつつ天槍や姫様の体の上へと着地、そのまま向こうが突っ込んでくる勢いも利用して仮面へと距離を詰めて至近距離でUC起動、悪しき仮面を砕く突撃槍を突きこむよ。
そうだ、質問。
…ゼルデギロスって変身したりするの?
アルダワの大魔王みたいに別形態出てくるかもしれないからね。
※アドリブ絡み負傷等お任せ
邪しまな仮面をもって他者を操り嘲笑おうとする性悪さと、
強大な力に比して卑小とすら評したくなる、だだっ子みたいなその器の小ささ――。
向かう先を仰ぎ見たクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)が思い起こしたのは帝竜ワームであった。
かつての帝竜戦役において彼女を群竜大陸の領主(ドラゴンロード)の一角へと就けた戦勲こそが幾多もの『無限竜』の首級に他ならない。
「けど姫様の方はいい人っぽい? 超戦闘民族な気配ではあるけれど。
……それにしたって操られててここまで悲壮感無い人見るのは初めてな気がする」
いろいろとデッカい大物と小物この上ない大物。
そんな彼らがかつて相争ったという異世界って一体――などと興味は尽きねど今はまず騎士の名にかけて姫様からのご期待に応える刻。
「突撃槍使いとしての親近感もあるし。胸を借りる気分で挑んで、乗り越えないとね」
ならばいざ魔王退治をと麗しき猫騎士は白銀の突撃槍ヴァン・フルール押したてて。
「戦闘民族などとは過分な光栄ですが……そも命そのものがその形こそ無数に違えど例外なく今を戦うものを指すのでしょう」
咆哮を思わせる鳴動を伴いながら――構えた天槍から放たれた爆発的なオーラ。
飛翔による上昇の後に急加速した巨躯の女は、ただサイズ差に物を言わせた突進技などといった慢心で猟兵を侮ってはくれない様だ。
緩急自在の戦技はその余波のみですら大気を掻き乱し容易にその軌道を読ませない。
天から襲来する長大な穂先にクーナがまず合わせたのは――風。
予め携えていたルーンの魔術符から疾風を生み出す事でかろうじてケットシーの小さな体はジェットランページの直撃から紙一重で脱しており……其処からすかさずカウンターの呼吸で突き出された一突き。
「じゃあ、やっぱり戦闘民族だ。あなただって『今』を戦っているひとりだものね」
白銀の穂先が側面から天槍の柄をしたたか弾いてみせればその衝撃の反動がクーナを宙へと泳がせ、彼女は一気に護拳の傘鍔部にまで至る。
巨大槍伝いに肉薄、
などと表現すればいかにも軽やかな小が大を手玉に取ったかの印象を受けるが。
噴出するオーラを絶えず至近から浴び続ける事となったクーナのダメージは決して浅くは無く、難事であった。
念動力による緩和と彼女の全身を包み込む陽だまり色の護りが有ればこそ、
騎士猫はこうして敢然と戦い続けていられるのだ。
くるり、俊敏な動作によって体勢を立て直したクーナから姫君の手の甲へと落とされたのはキスならぬ、猫足のステップからの渾身の踏み込み。
「あ、そうだ。質問。 ……魔王ゼルデギロスって変身したりするの?
幾つもの形態を持っていたアルダワの大魔王みたいに後から後から別形態が出てくる!
なんて心配は無い?」
思えば、かの帝竜ワームも『再孵化』なるやり直しの力を有した帝竜ヴァルギリオスにとっての奥の手であった。
憂慮から発せられたクーナからの問い掛けにスラスラと『若津姫』として答えるその唇すらも、魔王そのひとである『仮面』の支配度では阻む事かなわず――。
「――そっか、有難う姫様。それじゃ改めて……」
「ええ、心置きなく尋常に勝負と参りましょう」
互いから迸るオーラとオーラを花と散らす二人舞。
躍動する槍騎士と槍武者、
両者ほぼ同時に繰り出した刺突の死合いはさながら神楽の一幕を思わせる程に激しくも清冽で……。
そして荒れ狂う嵐舞を翔け抜けたクーナがその銀槍に超克の煌めき発する白百合を宿しながら『仮面』の至近へと高速で踏み込み――【騎士猫の介錯(ダージュ)】の穂先が、最も瑕深き箇所を捉えて穿たれた。
ひどく涼やかな高音が鳴り響き、パキリパキリと割り砕かれた仮面の下から、
遂に、完全に露わとなったのは右の片紅眼。
見事、騎士の槍をもって天槍を越えて『仮面』に痛撃を与えたクーナ。
直後を襲った反撃の激突ダメージによって深き傷を負い帰還とはなったが……彼女も又この戦いで多くを得たひとりと言えるだろう。
成功
🔵🔵🔴
鈴久名・紡
実際の処、俺は腹を立てているのだろうと思う
死を愚弄する仮面の遣り方に対して
けれど、それさえも『彼女』にとっては俺達への試練の一つなのだろう
なんと言うか……カクリヨの親分衆といい、潔すぎるだろう
しかし、それもまた教えか
であるならば、その覚悟と矜持
しかと受け取らせて貰おう
こちらも相応の覚悟と矜持を持って
先制対応
竜神形態の真の姿を解放し飛翔
オーラ防御は常時展開し出来るだけ仮面への距離を詰めよう
見切りと残像を組み込んだフェイントを空中機動で制御し
直撃による致命傷を避ける形で回避
手数が多い以上、無傷とは行かないのは百も承知
負傷は激痛耐性で凌ぐ
以降の攻撃も同様に対処
初撃を凌いだらカリソメの記録を使用
葬焔を弓に、禮火を矢にして胴に射掛ける
当たれば僥倖
最悪、掠るだけでもいい
タイミングと威力を知らないのと知るのでは対処が異なる
何より、知る事で得られる恩恵もある
空中戦の要領で接近し、仮面に対して再度射掛ける
今度は衝撃波と鎧砕き、氷結系の属性攻撃も上乗せ
既に破損した箇所が仮面にあるならば
部位破壊にてそこを狙う
二度と戻らぬ時に在って、散る華の残酷と美こそが命。輝ける光の泡沫。
なればこそ――。
鈴久名・紡(境界・f27962)は魔界の天を飛翔する。
まったき竜神と化した今の彼が纏う神気はただ在るだけで力有る障壁と為り……。
(実際の処、俺は腹を立てているのだろうと思う。死を愚弄する仮面の遣り方に対して)
「――けれど、下劣な『仮面』の遣り口すらあんたにとっては俺達への試練の一つか。
なんと言うか……カクリヨの親分衆といい、潔すぎるだろう」
ふたつの世界を救う為、あえて敵の軍門に下りそして猟兵に討たれる事で滅亡の元凶に至る道を拓いた四親分。
結果として彼らはいずれもカクリヨにいまだ健在という大団円を迎えたが……今、眼前に立つ『彼女』は違う。
一度は黄泉路を渡ったという若津姫の滅びはすでに揺るぎ無い。
にもかかわらず一点の曇りすら兆さぬままに、女は笑う。
「悪しき棘に歪められぬ、本来の有り様の竜と戦う事になろうとは。
そういえば大空司りし竜の攻略にはいかなる武具や技が有効であるかとかつてぼうや達と議論交わした事もありましたが……」
戦闘考察マニアなどとグリモア猟兵に評されていた彼女だが、
その見立てはどうやらあながち見当違いでも無かったらしい。
「ほう、結論は出たのか?」
「備えるべきは対空性能、長射程――そして圧倒的制圧力」
これまでの戦いとは逆に、
天仰ぐ形となった女の口こそ遠き過去の回顧を紡げども、その眼はただ一点。
ただ『今』だけを……天高くより睥睨する竜神だけを見つめて離すことは無く。
不意に逆巻いた風こそが乱舞する天槍のさきぶれ。
(……これもまた教えか。
であるならば。その覚悟と矜持、しかと受け取らせて貰おう)
此方もまた相応の覚悟と矜持を持ってと、
澄み切った清水の如き眼差しが力強く見開かれる。
神速変幻誇る槍技の一つたりと見逃さず、全方位から次々襲いかかる穂先を神速の機動と変幻たる残像によって凌ぎ続ける紡。
藍き輝きを発するほどに高められた護りすら突き通し、
時に天槍は幾度と竜鱗にまで至れども……。
「――流石の手数だな。だが無傷とは行かないのは百も承知」
その痛みが『今』を糧にその先の未来を見据えるこの竜神の飛翔を阻む事など無い。
絶対の初撃を耐え抜いた紡が反撃の機と構えるや――漆黒と白銀、双つの神器がその意思に呼応して天舞う『魔王』討つに相応しき弓矢のすがたへとその形を変えてゆく。
山を思わせる体躯を射抜くに足る、都市ほどの大きさにと巨大化した『葬焔』の弦に『禮火』の矢柄が番えられ、ひょうと放たれた。
ここまで度重なった幾人もの猟兵らの攻勢が、魔王をして咄嗟に仮面を庇わせども紡が一射目を浴びせた先はがら空きとなった胴。
完全に虚を衝かれる形となったゼルデギロスはそれでも直撃を躱し、紡の一矢は踊帯が巻かれた胴を掠めるに留まった。
しかし、元よりそれこそが彼の狙い。
(当たれば僥倖――タイミングと威力を知らないのと知るのでは対処が異なる。
何より、知る事で得られる恩恵もある)
天翔ける竜が仮面への急接近を果たす一瞬の隙を得られたのがまず一つ。
そして、紡の脳裡にと灼きつけられたカリソメの記憶が魔王討つにより適した所作にと彼自身を導いてゆき……。
「本命はこちらだ」
速射された二矢目の『禮火』は先とはガラリと様相異なり絶対たる凍気を迸らせ、
護身のオーラすら散らす衝撃波に加えて遥かに増した貫通性能をも注がれており……。
今度こそ、狙い違わず仮面へと射掛けられたのである。
『ひぃ……よせっ……やめろっっ!!!
我の仮面が! 我がっ! 崩れてゆくっ!???』
半ば以上を破砕されいよいよその原形を留めぬ有り様となった『仮面』は、
それでもなお生き汚く喚きながら、
女の白皙へと棘伸ばして往生際悪く貼りついたまま剥がれようとはしなかった。
微笑を保ったままの女は、おもむろに、大気そのものたる竜を討った話の続きを語る。
「――先に列挙したものは私の結論。ですが、ぼうや達は違いました。
彼らは大気司る竜を討つために大空もろともその竜を地へと引き摺り落としてしまったのですから」
そのようなすべも発想すらも持ち合わせぬ私があなたという竜を打ち破れぬは必定と。
零れた笑みは誇らしげ。
そんな、途方も無い逸話を聞かされながら。
「……あんたのぼうや達が成し遂げたことが俺たち猟兵にも可能、と?」
「必ずや――。
あなた方の行く手には自由だけが広がり、そこには無限たる可能性が在るのですから」
許された刻限はあと僅か。
彼女は試練とともに後事を託すと同時、ただ『母』として慈しんだ者達との思い出語りを遺そうともしているのだとその心汲んだ紡は無言で頷くのであった。
成功
🔵🔵🔴
浅間・墨
ロベルタさん(f22361)
恐らく心技体全て相手が勝っていると考えます。
ならば私は『兼元』の一振りで全力でぶつかるまで…。
リミッターを解除してから限界突破して身体強化。
そのあとで多重詠唱をして【地擦り一閃『伏雷』】を。
速度と威力は継戦能力で維持して猛者に挑みますね。
この巨躯に似つかない俊敏性。覇気で圧されます。
私は。何もない私は真正面からぶつかろうと思います。
彼女の技を見切りと野生の勘と第六感で紙一重で回避。
彼女のその攻撃に身体を少しひっかけるかもしれません。
でも試してみたいのでギリギリで回避を試みます。
もし回避できたら私の中で何かが広がる気がします。
それが見識なのか戦いの勘なのかはわかりませんが。
速度と技の威力に重量攻撃と早業を籠めて巨躯に一撃を。
ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)
パフォーマンスを上げてから封印を解くじぇ♪
それから多重詠唱しながら【黄金の大槌】を発動。
ねーちゃんの繰り出す槍の攻撃と僕の脚…勝負だじょ。
重量攻撃と鎧砕きを籠めて力の流れを逸らすよ。
見切りと野生の勘に第六感で武器の流れを読んでみる。
脚にオーラ防御を集中的に纏ってダメージを軽減するじぇ。
フェイントを入れてもいいけど多分通用しないと思うねぃ。
だから武器の攻撃の力を受け流してから懐に入るッ!
せめて。せめてねーちゃんの腕を痺れさせたいよねぃ。
今の僕ががもってる最大級に重い蹴り技で!いざ!
一撃だけだと負けちゃうから2回攻撃の早業でいくじぇ♪
それでもダメなら早業の零距離射撃とクイックドローの蹴りを。
そして――最後に戦場へと降り立ったのは二人の少女猟兵であった。
(……なんという……覇気……)
浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は自身もまた秀でた戦士であるが故に『仮面』が寄生先にと選んだこの女性の強さを痛感し。
「うぇ~い♪ ド派手なバトルが楽しめそーだじぇー♪」
片やロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)はといえば、無邪気に、いまだかつてない巨大槍とのガチンコ勝負にワクワクと胸躍らせて。
「……それにしても、このはなさくや、とは……」
気圧されつつも、
不思議な奇縁に感じ入る墨はしばし自身の声への嫌悪も忘れて感懐を漏らした。
「墨ねーのしり合い?」
「……い……いえ……」
幾人ものグリモア猟兵が『仮面』に侵蝕されて尚も凛と歪まぬ異世界の魔王のさまを『此華咲夜態』と呼びならわしている点についてである。
山岳信仰の神職たる彼女にとって其の名は浅間大神の異名に他ならない。
――もっとも墨が知るコノハナサクヤはこれほどに武威誇る女神ではなかった筈で……おそらくは同音異義の別存在であるのだろう。
「ねーちゃんの繰り出す槍の攻撃と僕の脚……勝負だじょ♪」
長い黒リボンを可憐に揺らしながら元気いっぱい、
天真爛漫に満ちたロベルタの戦口上を受け、異世界の魔王は破顔する。
「嗚呼、生命まばゆいばかりのもののふよ。
――ならば、いざ、挑ませていただくとしましょう」
徒手空拳のまま弾むようにして駆け出した少女に対し、堂々、構えられた天槍。
しかし。
突如くるりと踵を返して方向転換したロベルタが向かった先は魔王ゼルデギロスの足元では無く……。
「しってるじぇ♪ ビリビリって雷が出るのはこいつからからなんだじょ!
だったらその前にぶっこわしちゃえばいいんだじぇ~♪」
戦場の各所で次々に林立し始めた闘気の槍であった。
「なんと!?」
「そぉれ、と~りゃ~♪」
まずは一撃粉砕。そして次のオーラ槍めざして少女は風のように駆け抜ける。
魔王のユーベルコード【ジャッジメントランス】において叩くべき『槍』は天槍本体では無くこちらだと少女は直感したらしい。
黒ワンピースの裾を翻して蹴り放たれるロベルタのキックは物理法則を笑い飛ばすかのような威力を発揮した。
「単純にして明快な決断と、即座にそれを実行へ移す胆力。
生来の気性もあるのでしょうが、数々の修羅場を乗り越えた裏打ちを感じさせますね」
ロベルタの戦闘勘を半ば呆れるようにして讃えながら、ゼルデギロスが取った対応策もまた迅速にして単純明快。
委細構わず、投げ上げられた天槍。
分身槍の防衛や追加補充などといった選択肢には目もくれず、
残る分身槍から一斉発射を強行したのである。
――戦場が灼光にと呑み込まれる。
その只中、最初から己がリミッターを外して戦さ場にと臨んだ墨は疾駆する。
分身槍による包囲網下、彼女の身にも続々と雷撃が襲うが彼女自身もまた迅雷と化したが如き機動と見切りとを駆使しその殆どを躱し続けている。
ロベルタが引き起こした威力減衰と、何より、まるで陽動を引き受けているかのような彼女の言動が、そのまま墨への援護として機能している利点も大きかっただろう。
(そして私は……私には……何もない……)
巨躯に驕らぬ女神が永きに渡り鍛え抜いた果ての、超越したその心技体も。
陰惨なアリスとしての境遇すら物ともしない、あの友のような豪胆も。
(……だから……何もない私そのものを……真正面からぶつけてみせましょう)
ひたむきに魔王の『仮面』だけを狙い、黙々、紙一重の回避を繰り返す墨の肩口を遂に裁きの雷が灼き貫くも、心身の限界を凌駕せし少女は前へとひた走る。
(この『兼元』の一振りを――ただ全力をもって!)
真柄斬兼元と銘打たれた太刀は二尺三寸三分。
巨大な女神へ……その貌へいまだ貼り付く黒き仮面への遠さに比すればあまりに短く。
されども、少女達の『埒外』は不可能を可能へと変えてゆく。
「――ッ!?」
号令の役割終えて落下するばかりとなった自らの愛槍を掴もうと、
伸ばされた魔王の腕が、突如、硬直し……。
「――Questa è la chiave per vincere!」
劈く轟音と共に天槍の穂先は、深々、大地に突き立てられる。
「一撃かぎりじゃやっぱりダメかー……だったら何発でもいくじぇ♪」
ロベルタが【金色の大槌(ゴルディオン・ハンマァー)】の右かかと落としを至近から振り下ろしたのである。
両脚にと込めたオーラで稲妻の軌跡すら受け流しながら、少女はすでに魔王の懐にまで飛び込んでいたのだ。
そしてロベルタの反撃は貪欲で、これだけで満足など出来るはずも無い。
さらにもう一撃と重力乗せて左の廻し蹴りを炸裂させるや、抜き撃たれた拳銃が彼女の両手から同時に火を噴く。
ようやく力無く垂れ下がった魔王の腕の上、してやったりと満面の笑みが咲く。
「オウガのねちねちしたデスゲームを真っ向から粉砕してやるのも悪くはねーけど、
ねーちゃんとこうやって真剣勝負であそぶのは、
同じ命がけでもわかりやすくって楽しいんだじぇー♪」
魔王の腕と武器とが一時的に無力化された好機を見逃さぬ墨。
今度こそ雷の流れ全てを完全に見切り躱し切った少女の脳裡で、
『それ』はまるで天啓のごとく閃いて。
(見識? それとも戦いの勘? それが何なのかはわかりませんが……)
超克の領域へと踏み入った墨の眼に映る『世界』はひどく遅くて脆くて、
されど、かけがえなく美しいものにと思えてならなくて。
(貴女の技と覚悟に触れ得た事で――私の中の何かが広がった気がするのです)
魔王の体伝いにと翔けた少女が『仮面』を自らの間合いにと捉える。
『動け、動くのだっ! 我は今度こそ数多の世界に棘をっ!!』
死の到来にいよいよ焦燥した魔王がようやく女への支配を強めて避けようと試みるも、時はとうに逸し。
「八雷の名の元に……この一振りへ今の私の心技体すべてを籠めて!!」
疾雷。
抜刀。
――斬と、あっけなく。
絶技へと研ぎ澄まされた【地擦り一閃『伏雷』】の一刀の下、切り捨てられ千々に砕け朽ちてゆく黒き『仮面(ゼルデギロス)』。
『おのれおのれおのれ……認めるものかっ! 仮面(マスカレイド)の王たる我が!
我こそが! ……我が母こそが……っ!!!』
破片とともに最後までやかましく怨嗟を振り撒きながら『仮面』が消えれば、
真の死までの刹那――取り戻された女神の素顔は晴れ晴れと、
感謝と喜びに満ちていて。
「――すでに死したるこの命……もののふ達の糧となって散るならば本懐。
いえ……ぼうや達と同様に……あなた方にはもう……子守唄は、必要ないのです……」
かくて仮初めの花は散り、泡沫は再び骸の海へと沈みゆく。
されど、託して撒かれた種子の数々が花開くその時を夢見て。
――「ありがとう」の一言が、最期にはかなく、天へと吸い込まれたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴