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7thKING WAR㉔〜仮面の誘

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『ゼルデギロス』 #マスカレイド態

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#召喚魔王『ゼルデギロス』
#マスカレイド態


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●仮面の誘
 デビルキングワールド、水脈枯渇平原――そこに在るは、どこからも目にすることができる巨大な女の姿。
 山よりも遥かに巨大な身体を持ち、都市ひとつはあろうかという超巨大槍を携えたその姿は、戦争中どこからでも見ることができた。
 彼女はガチデビルが特級契約書で呼び寄せた『異世界の魔王』であった。
 その、女の唇が緩やかに動く。
「成程。つまり私は天寿を全うした後、あなたに乗っ取られたのですね」
『ククク、悔しかろう……生前のみならず、死後なお我に翻弄されるとはな!』
 どこからともなく響く声は――召喚魔王『ゼルデギロス』のものだった。
 ゼルデギロスと彼女は、言葉を交わす。
 そしてゼルデギロスの言葉に女が揺らぐことはない。
「少し安心しました。ゼルデギロス、あなたはまだ、何も学んでいないのですね」
『な……何だと!?』
「時は二度と戻らない。だから時は美しく、残酷に光輝くのです」
『ど……どういう意味だ!?』
「つまり、既に死んでいる私など何の価値も無いという事!」
 女は高らかと笑って、己の身をのっとったものへと告げるのだ。
「乗り移る相手を見誤りましたね、ゼルデギロス」
 そして、ゼルデギロスは気付く。
『ぐっ……仮面マスカレイドを放出できぬ! 貴様、何をした!』
「あなたの仮面は、本当に恐るべき能力です。私達の世界は、あなたの為に深く傷つけられました」
 しかし、と彼女は言う。
「あなた自身は……何度でもやりなおせる気楽さに甘え、愚にもつかぬ失態を繰り返す痴れ者。私が決死の覚悟でいる事も分かっている筈なのに、見ないふりをしていたのです」
『やめろ、言う事を聞いて戦え……六番目の猟兵に殺されてしまうぞ!』
「ふふふ、流石にあなたの支配を全て退ける事はできません。しかし、この程度の支配度なら、あの方達は容易く私を殺すでしょう」
 あの方達は、と彼女は――己の方へとあらわれる者達へと意識向ける。
「私のぼうや達に勝るとも劣らない、素晴らしき武士もののふでしょうから」
 そして、告げるのだ。
 己の元に集う猟兵たちへと。
「顔の仮面を破壊すれば私は死にます。六番目の猟兵達よ、いざ尋常に勝負!」
 高らかに宣言し、山よりも巨大な槍『天槍』を振るい大きな一歩を踏み出した。
 こうなってしまったという時は、もう巻き戻せぬのだから受け入れて。
『おのれ若津姫め……言う事を聞いて戦え!』
 しかし、その仮面より苦々し気な言葉が響いた。その声に反応して彼女は猟兵達へと言の葉向ける。
「ゼルデギロスが仮面(マスカレイド)を使います……心を強くお持ちください!」
 近づく猟兵たちの身に、『不気味な仮面』が現れる。
 それは精神と肉体を侵食しようとするもの。そして猟兵の身は、ここで真の姿を晒すことになる。
 そしてこの侵食に抗わねば――最悪、オブリビオン化する危険を孕んでいた。
 女を――いや、魔王ゼルデギロスであるあの仮面を挫くため山の如き巨体を猟兵達は駆けあがる。

●抗うために
「皆を送る先では、その身の真なるを晒すことになってしまう」
 それでも良いというのなら、あの彼女のもとへ向かってほしいと終夜・嵐吾(灰青・f05366)は告げる。
 そして、どうやら力を封じられ、操られているようであるとも。
「彼女がつけておる仮面を破壊するというのは変わらん」
 しかし、と嵐吾は言う。
 召喚魔王ゼルデギロスもまた攻撃を仕掛けてくる。
 近づけば『不気味な仮面』を現して、精神と肉体を侵食してくる。それは最悪オブリビオン化する危険があるのだと嵐吾は告げる。
「その浸食に抗う術も考えておかねばいかん」
 それらに抗いながら、彼女の上を駆け仮面を狙う。
 仮面を砕けば、彼女は、ゼルデギロスは倒れることになるのだから。
 嵐吾はきつい戦いになるかもしれんと言って、それでもいってくれるかと告げる。
 掌の上にグリモアを輝かせて。


志羽
 御目通しありがとうございます、志羽です。
 詳細な受付期間については【マスターページ】【シナリオ上部のタグ】で案内しますのでお手数ですが確認お願いいたします。
 プレイングが送れる限りは送って頂いて大丈夫ですが、すべて採用となるかどうかはわかりません。

●シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「7thKING WAR」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●プレイングボーナスについて
 プレイングボーナスは『マスカレイドの精神抵抗に抗う方法を考え実行する』です。

 精神と肉体を侵食するように仮面が現れたりします。
 どうするかをプレイングにお願いします。
 流血描写などOKの場合は★をプレイングの冒頭か終わりにお願いします。

 また、強制的に真の姿を晒すこととなります。
 真の姿について何かあればプレイングにお願いします。

●お願い
 グループ参加などの場合は、ご一緒する方がわかるように【グループ名】や【ID】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。
 プレイング受付についてはマスターページの【簡易連絡】にて案内いたします。
 受付期間外に送って頂いたプレイングについてはお返しします。受付期間中であれば再送については問題ありません。
 また、団体さんについては人数によってはお返しとなる可能性がありますのでご了承ください。

 以上です。
 ご参加お待ちしております。
278




第1章 ボス戦 『魔王ゼルデギロス・マスカレイド態』

POW   :    マスカレイド・バインド
【呪力でできたトゲ 】が命中した部位に【魔王ゼルデギロスの悪しき呪い】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    マスカレイド・ポゼッション
対象の【肉体のどこか 】に【不気味な仮面】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[肉体のどこか ]を自在に操作できる。
WIZ   :    ワールドエンド・マスカレイド
戦場内に【無数の『不気味な仮面』 】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蓮条・凪紗
姫さん、エンパイアの着物に似たの着とるな…名前も和風みたいやし出身世界気になるわ

真なるは銀変する髪と瞳
身に浮かぶ赤、今回は棘模様になるんは敵の影響か
けど、陰陽師に取り憑こうやなんて阿呆の極みと知れ!
職業柄、呪詛耐性はある
己の中で邪を調伏するんはいつもの事や

さて、姫さんが取り憑かれとるんなら祓わなアカン
全力駆けて巨体に向かい
トゲは恐れず呪いには屈せず
攻撃受けて血ぃ出たらUC発動の機
己と相手の血は回復と強化の糧
爪を姫の肌に突き刺しながら、その身体を一気に登る
綺麗なお肌なんに堪忍な…
それもこれもお前が悪いねん!
顔覆うクソ仮面に渾身の拳喰らわしたるわ!

姫さんの血は…懐かしく切ない、優しい味しとったな




 黒き仮面に縛られた彼女――その身にまとう衣は着物。
 その姿を見上げ蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は瞳細める。
「姫さん、エンパイアの着物に似たの着とるな……名前も和風みたいやし出身世界気になるわ」
 若津姫、と魔王ゼルデギロスが読んでいた体の主。彼女の自由がない今、己が出来る事はと凪紗は向かう。
 だが近づくたびにその身の変化を感じていた。
 暴かれる――凪紗の髪は翡翠の色から銀を帯びはじめ、やがて完全に元の色を失う。
 瞳も、銀に輝きその身には赤が浮かんでいた。
 その身に浮かぶは――棘。赤い棘が体を覆い始める。その様を一瞥して、敵の影響かと凪紗は零した。
 そしてその身に不気味な仮面が現れ、身を浸そうとしてくる。
「けど、陰陽師に取り憑こうやなんて阿呆の極みと知れ!」
 職業柄、呪詛耐性はある。
 悪意、呪詛――それらと背中合わせの日常でもあるのだから凪紗はぶれない。
 己の中で邪を調伏するんはいつもの事や――そんないつもを、今日も当たり前のように行って、仮面より浸食してくるものを、身の内に招いたとしても払いのけるだけ。
 これに完全に取り込まれぬよう抵抗しながらただ、その仮面――魔王ゼルデギロスへと凪紗は向かう。
 さて、とその足元にたどり着いて見上げ。
「姫さんが取り憑かれとるんなら祓わなアカン」
 けれど簡単には、そうさせてくれない。
 呪力でできたトゲが現れる。そうれは魔王ゼルデギロスの生み出したものであり凪紗の進む先へと広がる。
 そして若津姫の身の上にも表れるのだ。
 それを避けて新たな道を探すことはせず、トゲは恐れずただ走る。
 身を貫く、突き刺す。傷が生まれ血が流れ、そこより魔王ゼルデギロスの悪しき呪いが流し込まれて。
 しかし呪いにも屈せず凪紗は己の血をぬぐって、口元に運び笑う。
 血は、己の血であっても、相手の血であっても強化の糧。凪紗の手、その指先の翡翠の刻爪が鋭さを増して伸びた。
 その血を――その魂、喰らう。
「綺麗なお肌なんに堪忍な……」
 伸ばした爪を肌の上に突き立てながら、その体を一気に上っていく凪紗。
 トゲが刺さるがそれも構いなく、向かうのは仮面。
「それもこれもお前が悪いねん!」
 それを阻もうとトゲが若津姫の肌を突き破り血をしたたらせ、凪紗をまた傷つけていく。
 血が流れ失われていくたびにふつふつと、さらに強く沸き起こるのは魔王ゼルデギロスへと感じる胸糞悪さ。
 顔覆うクソ仮面に渾身の拳喰らわしたるわ! と言の葉にして。
 突きたてた爪から。そして彼女の肌を突き破るトゲから血が滴る。
 その一滴が凪紗にあたえるのは――それはなぜか、懐かしく切ない、優しい味。
 傷を閉じながら走ることができるのはその身を魔鬼としたから。
 凪紗と、魔王ゼルデギロスの呪詛はせめぎ合い均衡保ったまま、仮面へと一撃を届ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪


※真の姿絵参照
※口調、性格共に冷淡

澪の【破魔】の力を借りて自分を【浄化】
【狂気耐性】や【呪詛耐性】で汚染に耐え精神汚染の効果遅延

若津姫…だっけ
良い覚悟だね
僕らに殺されても構わないと?

翼の【空中戦】で直接攻撃による致命傷だけ回避しながらも【血花葬】発動
手っ取り早く植物魔法で蔦や花弁を操り
敢えて自らを傷つける
痛みは正気を保つ役目も果たすから

言葉に、視線に【誘惑】を乗せて

それが君の覚悟だと言うなら
これは僕の覚悟だ
死など恐れない
どうせ僕の…本当の居場所なんて
どこにも有りはしないんだから

今、何を思った?
ふふ…チェックメイトだよ

麻痺毒で動きを封じた隙に翼で接近し
花弁の斬撃で仮面に攻撃するよ



 若津姫――いや、魔王ゼルデギロスの前に出た瞬間、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は暴かれる。
 その姿を晒されて、それは澪であって、澪ではなくなり冷たさを備えていく。
 不気味な仮面の数々。それらを澪は一瞥してそっと自分の胸に手を添えた。
 澪が持つ破魔の力を借りて、自分を内側から浄化していく。
 それが狂気をもたらしても、呪詛を浸しても、その浸食に耐え精神が揺らされるのを遅らせていくだけ。
「若津姫……だっけ」
 その翼広げて、澪は飛翔する。
 瞳を仮面で隠された若津姫と魔王ゼルデギロスに呼ばれる彼女は覚悟している。
 時は二度と戻らないからこそ――ここで倒れて構わないのだと。
「良い覚悟だね。僕らに殺されても構わないと?」
 ええ、その通りとすでに生を一度終えた彼女は頷く。
 澪は自分に向かって放たれる仮面を空中でかわしていく。あれにとらわれるのはまずいと本能で感じて、距離をとりながら致命傷を避けるのは必須だ。
「美しい花には毒がある……なんて、ね」
 ひらり、ふわり。植物魔法を編み上げて、蔦や花弁が舞い踊る。
 それは澪自身も傷つけ、だがその痛みは正気を保つための痛みでもあった。
 こっち、と優雅に穏やかに飛翔して、その視線に誘惑の意思をのせて、澪は口端をあげて微かに笑う。
「それが君の覚悟だと言うなら、これは僕の覚悟だ」
 死など恐れないと澪は言う。
『どうして恐れぬのだ!』
 その言葉にゼルデギロスは喰いつく。若津姫もそうだ。死ぬことを厭わぬことをゼルデギロスは知っている。
 若津姫は、時は戻らぬからこそ残酷で美しいと言う。
 けれど、澪はそれとは違う。
「どうせ僕の……本当の居場所なんて」
 どこにも有りはしないんだから――そう言葉続けた澪の表情は翳りを帯びて。
 それがゼルデギロスに与えた感情は、何だろうか。
 それは何だって、いいのだ。
「今、何を思った?」
 何だっていい――澪から滴り落ちる血から、花が咲く。美しき花々が咲いて、回って踊って。
「ふふ……チェックメイトだよ」
 そして麻痺毒を持つ蔓と花弁の斬撃が仮面に向かって翻る。
 麻痺毒を向けるのは、若津姫へ。
 それでいいのですと彼女は笑った。そして花弁の斬撃は、彼女を戒める黒き仮面に傷をつけていく。
 まだまだ足りないねと澪は羽ばたいて、再びその血を滴らせる。
 不気味な仮面が追いかけてくるのを躱しながら、次の機会をまた探って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
SPD

【真の姿】
後光と脳の使用可能領域が増えてる。
ユーベルコヲドも強化されてる!

紅路夢、きこやん一緒に行くよ!
『精神抵抗』なら、白鈴晶燈の光を見ると、抑えられるし、きこやんの御守りがあれば、安心だと思う!
(狂気耐性・結界術・オーラ防御・破魔・幸運など)

【戦闘】
今日は調子がいいからね、新世界ユウトピア、初めから飛ばしていくよ!

ぼくに仮面を付けようと思ってもムダだよ、シャンバラーゲヱトは世界改変の力、ぼくの一部なんてケチなこと言ってちゃ、即座に改変しちゃうよ。
それに、この光は再構築化の光、仮面がキミの本体なら、害のないただの仮面にするだけさ、害のないオブリビヲンなんて矛盾にキミは耐えられるかな?



 仮面の力が満ち溢れ、猟兵の秘める者が暴かれていく。
 それは国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)だって、変わらない。
 鈴鹿の後光はいつにもまして輝いて。そして脳の使用可能領域も増え、ユーベルコヲドも強化されているのを鈴鹿は感じていた。
「紅路夢、きこやん一緒に行くよ!」
 鈴鹿の発明したフロヲトバイ、百弐拾伍式・紅路夢にまたがって。
 強力な加護と祝福を与えるきこやんは鈴鹿の傍らに姿を現している。
 そしてその姿を暴かれるとともに、鈴鹿の周囲で仮面が嗤う。
 その不気味な笑顔に負けぬように――白鈴晶燈の光を鈴鹿は見詰めた。そしてきこやんの守りがそれに抵抗しているのもわかった。
 湧き上がる何かも抑えられる。鈴鹿は安心を得ながら若津姫を――その仮面を見詰める。
「今日は調子がいいからね、新世界ユウトピア、初めから飛ばしていくよ!」
 理想世界構築型ハイカラさん後光領域――その始まりは鈴鹿から。
「ようこそ! これがぼくの理想郷、夢見た世界さ!」
 光り輝く、後光がすべてを遮って、貫くように輝いて。
 そして若津姫の仮面へも届く。
 魔王ゼルデギロスは唸り、仮面を鈴鹿の身の上に現そうと――した。
 しかし、それがどれほど念じても、力を振るっても現れる何故だと呻く。
「ぼくに仮面を付けようと思ってもムダだよ、シャンバラーゲヱトは世界改変の力、ぼくの一部なんてケチなこと言ってちゃ、即座に改変しちゃうよ」
 その仮面の力は、ぼくには届かないと鈴鹿は言い放つ。
「それに、この光は再構築化の光、仮面がキミの本体なら、害のないただの仮面にするだけさ、害のないオブリビヲンなんて矛盾にキミは耐えられるかな?」
 鈴鹿が笑いかける。しかし簡単にゼルデギロスも負けるものではない。
 強烈な、己が持つ力を叩きつけるように向けてくる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
機神搭乗
やれやれ…どうもマスカレイドって言葉は妙に心がざわつきますね
「不幸なエンディングをブレイクだー☆」(鶏立体映像
おめーは何言ってるんだっ!

対精神
【属性攻撃・念動力・浄化】
闇属性を己達に付与
精神の浸食への抵抗を高め
念動障壁で仮面を引きはがし浄化も行う

冗談じゃねー
僕は自由にエロい事や楽しい事がしてーんだ
おめーに支配されたらできなくなるだろ馬鹿野郎!
「メルシーももっと遊びたいしシン・〇ルトラマンも見たいしね☆」

【空中戦・弾幕・スナイパー・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
UC発動
超高速で飛び回り念動光弾で仮面を蹂躙
そのまま距離を詰めて鎌剣で切り刻みつつ
一部を強奪

あ、質問タイムです
ぼうやってなんだ



 相棒の機神、メルクリウス――メルシーに乗って、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はやれやれと肩をすくめる。
「どうもマスカレイドって言葉は妙に心がざわつきますね」
 そう言うカシムの頭上に鶏の立体映像があらわれて。
「不幸なエンディングをブレイクだー☆」
「おめーは何言ってるんだっ!」
 そんなやり取りしながら戦場へ――そこは真の姿を暴き出す場所。
 そして魔王ゼルデギロスの力により精神が歪められ、貶められていくような感覚に浸される。
 それを感じ、カシムは闇属性を自分たちに付与して、精神の浸食への抵抗を高めた。
 それに――自分の身体の上で、仮面が嗤う。
 それは機神の身の上にも、そして自分の上にも現れていた。
 カシムはそれを念動障壁で引きはがし、その都度浄化を施す。
「冗談じゃねー、僕は自由にエロい事や楽しい事がしてーんだ」
 おめーに支配されたらできなくなるだろ馬鹿野郎! とカシムは叫ぶ。それもまた、精神汚染をはじく気持ちのひとつ。
 メルシーももっと遊びたいしと頭上で発する言葉がある。
 見たい新作の映画だってある、もっとほかにも色々――そのためにはこの戦いから帰らねばならないのだ。
「加速装置起動……メルクリウス……お前の力を見せてみろ……!」
 だから、飛翔速度を上げてその仮面へと向かう。
 飛び回り狙いをつけさせないようにしながら、念動光弾を放ちカシムは肉薄する。
 距離詰めて、BX鎌剣『ハルペー』を振り抜いてその仮面を切り刻む。
 そして、ふと気づいて。
「あ、質問タイムです」
 ぼうやってなんだ、と問うけれど――魔王ゼルデギロスの力が強く増している今、答えはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朔夜・煉
「起動」
現役時代の装備はまだ封印が解けてない故、ありあわせの装備しかないが、やりようはいくらでもある。
「なるほど、汚染と言ってもこの程度か。この程度で汚染されるようなら、俺の一族はとうの昔に滅んでいる」
何代にもわたり、見えざる狂気や呪いと共に生きてきた。
大事なのは衝動に呑まれぬよう、受け流し、乗りこなすこと。
それが我が一族が見出した狂気と呪いに抗う術。幼い頃から徹底的に仕込まれている。まぁ、感情の起伏が乏しくなるという弊害はあるが、さして気にもならん。
「致命の一撃とはいかんだろが、援護くらいにはなるだろう」
天候操作による雷雨を隠れ蓑にヘヴンリィ・シルバー・ストームに戦場に万色の雷と雨を降らせる



「起動」
 ただ一言朔夜・煉(鍾馗・f35342)は紡ぐ。
 この場にくると同時に体のうちから暴かれるような感覚。それは魔王ゼルデギロスの前にいるからなのだろう。
 煉は己が持つものを見る。
 現役時代の装備はまだ、封印が解けていない。
 それ故、ありあわせの装備しかないが――やりようはいくらでもある、と煉は駆ける。
 己に侵食してくる何かを感じながら――しかしそれはまだ耐えられるものだった。
「なるほど、汚染と言ってもこの程度か。この程度で汚染されるようなら、俺の一族はとうの昔に滅んでいる」
 そう零し、思うのだ。己の一族が歩んでいた道程を。
 何代にもわたり、見えざる狂気や呪いと共に生きてきた――だからこうして呪いを向けられてもすぐに屈することなどない。
 煉は知っている。
 大事なのは衝動に呑まれぬよう、受け流し、乗りこなすということを。
 それが我が一族が見出した狂気と呪いに抗う術。
 煉が幼い頃から徹底的に仕込まれていることだ。
 だからこの場に満ちる呪いも、今までと同じように抗えばいい。
 身に沁みついたそれは息をするように自然に行えた。
(「まぁ、感情の起伏が乏しくなるという弊害はあるが」)
 それは煉にとってさして気にもならない事だった。
 煉の上で仮面が嗤う。しかしそれを今はなんともせずに煉は見上げて。
「致命の一撃とはいかんだろが、援護くらいにはなるだろう」
 この空に銀色の雨を――ぽつぽつと降り始めたその雨の中に万色の稲妻が走る。
 その雨は味方の傷を癒し、そして万色の稲妻は敵を撃つもの。
 仮面にそれが、落ちる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
なるほど、仮面は暴き侵すものか
そうであるならば、抗うまでだ
今までもそうしてきたし、これからもそうする
ただ、それだけだ

だって、そうだろう?
俺なくして生きていけぬと最愛の花が言うのだから
俺を活かすのはあの花で、あの花を活かすのは俺で
『そうして生きていく』と決めた以上、覚悟を持ってその矜持を貫かせて貰う

肌を這う黒蔦が、仮面如きに侵蝕などさせぬと言いたげに熱い
蔦の発端である背の羅刹紋も焼けるような熱さで俺であれと促す
そうだな、俺は受け継いだ全てを持って生きていく

橋の上での一夜限りの逢瀬
安堵の笑みを浮かべた先代へと胸の内で誓ったように
華焔刀を握り直して、仮面の元へと急ぐ
『彼女』の望みを叶える為に
その信頼に応える為に

暁焔使用
空中機動も使って仮面に接近
攻撃は見切りや残像も交えて回避
負傷や侵蝕のダメージには激痛耐性と狂気耐性も使っていく
気休め上等だ

回避不能時はオーラ防御で凌いでジャストガード
直後にカウンターで衝撃波と斬撃波を乗せた華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃
既に負傷があるなら部位破壊でそこを狙う



 その力に触れて、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は自分が揺らされるのを感じていた。
「なるほど、仮面は暴き侵すものか」
 身の内からあふれるのは己の真なるもの。
 それに加えて、何かが浸してくる感覚。
 けれど、そうであるならば、抗うまでだと倫太郎は零す。
 今までもそうしてきたし、これからもそうする。
「ただ、それだけだ」
 紡いだ言葉には重みがある。
 己の身を、精神を浸そうとしてくるものをかわすかのように倫太郎は思うのだ。
 今までの己がある。そしてそれがいい。
 だって、そうだろう? と笑い零して。
「俺なくして生きていけぬと最愛の花が言うのだから――俺を活かすのはあの花で、あの花を活かすのは俺で」
 今までだって、そうだった。
『そうして生きていく』と決めた以上、覚悟を持ってその矜持を貫かせて貰うと、思えば仮面の囁きなどと切り捨てることが出来る。
 肌を這う黒蔦が、仮面如きに侵蝕などさせぬと言いたげに熱を帯びる。
 その熱の芯たるは、その背中にあった。
 倫太郎は笑う。お前もそう言うのかというように。
 蔦の発端、背にある羅刹紋も焼けるような熱さで、倫太郎の全てを肯定する。
 俺であれ、と己の全てが言っているのだ。
「そうだな、俺は受け継いだ全てを持って生きていく」
 全部全部、己の中にあるのだと倫太郎は知っている。
 だからこの、身の上に現れる仮面に負ける気もない。
 橋の上での一夜限りの逢瀬――安堵の笑みを浮かべた先代へと胸の内で誓ったように。
 華焔刀をぐっと握り直して、倫太郎は魔王ゼルデギロスの、砕くべき仮面の元へと急ぐ。
『彼女』の望みを叶える為に。
 その信頼に、応える為に。
「夜陰の果て、眠りは終焉。常世を焼く焔で暁を呼べ」
 暴かれているのではなく、己の意志をもってその姿になるということにも、きっと意味がある。
 無数の仮面が向かってくるのを切払いつつ、空を蹴って倫太郎はただただ、進む。
 それでも、仮面の力は大きく宥めきれない時もあるのだ。
 痛みで意識を持っていこうとしても耐え、狂わせようとしてくるのもいなして。
 気休めだと倫太郎自身もわかっているがそれでいい。
 あの仮面まで、持てばいいのだから。
 身体に感じる熱は、仮面に浸食されているからではなく己であるからこその熱だ。
 それが滾る限りはと思いつつ彼女の身を蹴った。
 目の前に現れる仮面を華焔刀で薙ぎ払って、斬り伏せたなら次はあの仮面だ。
 黒きそれに、一閃放つ。
 彼女を戒めるそれへと倫太郎は華焔刀を振り下ろした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヲルガ・ヨハ


嗤う仮面が宿れば、人の化生が煙(けぶり)の如く消え
真の姿ーー白銀の竜神、完全竜体のかたちどる
絶えずはらはら涙雨が降り
身を捩る度鱗が落つ
煙のよにこの身がほほろぐのは悪霊であるがゆえ

なんだ、なんなのだ
猛る熱が、本能が、われをわれでなくそうとする
人形の"おまえ"を術で逆鱗の内に隠し
堪らずぐるる、と喉鳴らす

ふふ、ふふふ!
面白い
下賤な仮面一つで、この魂を喰らおうというか
良いだろう

喰うか喰われるか、それでこそ戦場(いくさば)
われがお前を喰らうが先か
お前がわれを喰らうが先か
さァ――抗い、足掻き、戦おう!
『空中浮遊』で頂目指し
障害は龍尾で『なぎ払う』

嗚呼、"おまえ"がなにかも、なにもかも
すべて喰らって生き永らえたというのに
今更手離すわけがあるまい

愛し戦場(いくさば)が褥なら本望
朽ち果てようとも、抗い、この牙で
噛みついてやらう!
仮面の傀儡となった部位さえ
"おまえ"遣わせ、ひき千切らせる事も厭わぬ

痴れ者が
降注ぐ星の『神罰』と
遣わす人形の一撃を姫君の仮面へ

われは、われだけのもの
何人たりとも触れさせは、しない



 仮面が嗤う――それが己の身の上に宿るのをヲルガ・ヨハ(片破星・f31777)は目にしたのも一瞬。
 人の化生が煙の如く消えて――白銀が踊る。
 白銀の竜神。
 それがヲルガの真なる姿。
 完全な竜体となれば、絶えずはらはら涙雨。
 身を捩る度、鱗が落ちてきらきら輝くのも束の間、煙のように消えていく。
 それはヲルガが悪霊であるがゆえに。
 そしてヲルガの心は、荒れていた。
 なんだ、なんなのだ――身の内を駆け巡るものがある。
 それは己が御せるものではなかった。
 猛る熱が、本能が、われをわれでなくそうとする――ヲルガはその中で、隠す。
 人形の"おまえ"を術で逆鱗の内に。
 この喉元にある――たまらずぐるる、と喉は鳴って。
 仮面が身の上に現れただけというのに。
 簡単に暴いて、晒して――初めての感覚だ。
「ふふ、ふふふ!」
 そしてヲルガから笑い零れる。
 面白い、面白い――こんな、と竜体が踊る。
 身の上に笑うそれを振り払うかのように尾が踊り、はらはらと鱗が落ちようとも、それはある。
 下賤な仮面一つで、この魂を喰らおうというか――良いだろう、と己の身の内を荒れ狂うそれに、ヲルガは突きつける。
 喰うか喰われるか、それでこそ戦場(いくさば)と。
「われがお前を喰らうが先か」
 それとも。
「お前がわれを喰らうが先か」
 どちらが先か――身の内をゆるゆると侵食してくるそれを知っても、感じてもヲルガは構わずただ、進む。
 その身を躍らせ、その仮面へと。
 さァ――抗い、足掻き、戦おう!
 空に身を躍らせて、その頂を目指すだけ。
 己の前に立ちふさがる者は全て、龍の尾で振り払うだけだ。
 精神を支配しようと、ひたひたと侵食してくるものをねじ伏せるようにヲルガは零す。
 それは吐息のようでもあり、慟哭のようでもあった。
 嗚呼、"おまえ"がなにかも、なにもかも――すべて喰らって生き永らえたというのに。
 今更手離すわけがあるまいと、己を奪おうとする嗤う仮面を振り払う。
 振り払っても、それはまた現れて飲み込もうとしてくるが、違うのだとヲルガは思う。
 ここは戦場ではある。だがしかし――ここではない。
 己が一等望む、愛しい戦場は。
 それが褥であらば本望だ。
 しかしここは、違う。だからここで終わるという選択はない。
 朽ち果てようとも、抗い、この牙で――噛みついてやらう!
 ヲルガは大きく口開いて飛び掛かる。
 けれどそれを邪魔するのは、己の身の上で嗤う仮面。
 嗚呼、それは――邪魔だ。
 仮面の傀儡となったのなら、いらぬと思えばそれを排するのは"おまえ"だけ。
 その身の一部、ひき千切らせることも厭わず。
 血潮が、赤い色も舞い踊る。はららと雨のように――美しく。
 痴れ者が、と白銀が告げる。
 巨大な女の身の上を駆けあがり、そのかんばせにある黒き仮面へと向けるは降り注ぐ星。
 先に動いたのは"おまえ"だ。
 その仮面めがけて、"おまえ"とヲルガが畳みかける。
 その仮面がいくら嗤おうとも――われは、とヲルガは零す。
 われは、われだけのものと。
「何人たりとも触れさせは、しない」
 その黒き仮面のものの力にも屈せぬとただ気高く、軍神であるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エンティ・シェア
【奇縁】
「俺」人格の真の姿で

あんたを仮面の支配に置くなんて
あんたを、救えないなんて
そんな不甲斐ないことがあってたまるか
あぁ、くそ。被る、重なる
オブリビオン化した、恋人に

浸蝕してくる仮面のせいか、気が逸る
連れが居るのだけは忘れずに、足並みくらいは揃えて
迫ってくる棘だ何だは、獣奏器で払いのけていく
狂気耐性ってやつも多少は効いてくれりゃいい
生えてくる仮面には鋒を突き立てて
てめぇの好きにさせるくらいなら、慣れない刃物で抉る方が、マシ

姫さんに抗う意思があってくれて良かった
あんたは、そうでなきゃ
クソ野郎でしかない魔王の言いなりになんぞなってたまるか
そら、既にうるさい同居人が二人も居んだ
今も心底うるせぇんだ
やれそれは僕のナイフだの、君にまで無茶な自傷を赦した覚えは無いだの
ぴーちくぱーちく
ご覧の通り余剰スペースなんぞ皆無だ
とっくの昔に、満室だっつの

的がでかすぎてどこを叩きゃ壊せるのかわからんけど
奏舞――殴って蹴って、叩き割れ
どいつもこいつも死体まで無理を強いやがって
死んだ体は安らかに眠らせてやれってんだ


クロト・ラトキエ
【奇縁】
いってくれるか?
無論
それが猟兵の、傭兵のお仕事ですから

…けれど、それのみでなく
彼女をあの仮面から解放しなければならない
そんな思いが何処かに、在る
あの気風の良さ故でしょうか…?
いえ、想うひとは唯一人なんですけどねっ
思う所ありそうな彼には、勘付かれぬ様にひそりと

狷介不羈、唯我独尊…
この身を、心を、こんなもんに明け渡すなんざ真っ平だ
仮面が現れたなら刃で一刺し
痛みで無理繰り此方に精神を持ってくるか
削る剥がすが出来るなら、抉ってでも
腕脚なら機動が殺がれて、傷より痛いが
…なんて、誰かさんの前じゃ言えないが
外せなければ痛みと苛立ちで、意地でも奴に意識なぞ持ってはいかせず
鋼糸を張り、引くなりリールで巻き取るなりして速度水増し
或いは糸の上も足場として空中も行動域に
飛び来る棘はナイフ投擲、叩き落し
時に姫の衣装も隠れ蓑に
仮面を、射程内に

手前の迂闊のお陰で、俺の準備は万端だ
手繰る命の紅…布槍と成し、彼の道行きを穿ち拓こう
――唯式・丹

全く、同意
眠りは安息であるべき、なんだろ?
理不尽に邪魔してんじゃあない




 いってくれるか?
 その響きをクロト・ラトキエ(TTX・f00472)は反芻して、無論と零しこの場へきたのだ。
 それが猟兵の、傭兵のお仕事ですからと笑って。
 けれど――ここにいるのは、仕事だからだけではない。
 クロトは彼女の、そのかんばせ隠す黒き仮面を見詰めていた。
 彼女をあの仮面から解放しなければならない――そんな感情が、思いが何処かに、在る。
「あの気風の良さ故でしょうか……?」
 そう思うが、いえ、想うひとは唯一人なんですけどねっとクロトは零し傍らに視線を向ける。感づかれぬ様にひそりと。
 魔王ゼルデギロスにのっとられ。そして倒せと真正面から紡いで。
 その姿をエンティ・シェア(欠片・f00526)は見上げて瞳細める。
 今その身にあるのは『俺』――リージュだ。
 あんたを仮面の支配に置くなんて。
 あんたを、救えないなんて――と、抱いた想いは大きくなるばかり。
「そんな不甲斐ないことがあってたまるか」
 そう、言葉にして。けれどリージュは吐き捨てるように。
「あぁ、くそ」
 零していた。被る、重なる。
 彼女の姿が――オブリビオン化した、恋人に。
 気が逸るのは、己の抱えたもの故か。それとも、浸食してくる仮面の所為か――そのどちらもか。
 一歩踏み出すごとに、何かが己を暴いて。そしてその姿を引出し晒していく。
 リージュも、クロトもそれはかわらない。
 駆ける。その足並みが揃っているのはそれくらいは揃えてと思ってか。
 ふたりを貫くように現れるトゲ。それは進む先を阻むように彼女の肌を突き破るように現れる。
 それとともに、リージュにも、クロトにも仮面が現れては引きずり落とそうとしてくる。
 それは甘い囁きか。それともただの蹂躙か。そのどちらでもあるようで、そうではないものだ。
「狷介不羈、唯我独尊……」
 クロトは零す。
 この身の内から飲み込もうとするもの、それは悪意でもあるのだろう。
 この身を、心を、こんなもんに明け渡すなんざ真っ平だ――そう思った瞬間、体は動く。
 己の身の上に現れた仮面に刃走らせ一刺し。それを傷つければ痛みが走る。
 けれどその痛みが覚醒させる。
 痛みで無理繰り此方に精神を持ってくるか。それでも、身を抉ってそれを削ぎ落すのが、今出来る事。
 腕脚なら軌道が殺がれて、傷より痛いが――なんて、誰かさんの前じゃ言えないがとクロトは笑い零す。
 削いでも抉ってもまた、仮面が現れる。痛みと苛立ちは、意地でも意識なぞ持っていかれるものかとクロトを深く繋いでいた。
 そしてとんと傍らの彼が高く飛ぶ。獣奏器でトゲを払いのけながら高く飛んで。
 リージュもまた、自分の身の上で嗤うそれに鋒を突き立てた。
「てめぇの好きにさせるくらいなら」
 慣れない刃物で抉る方が、マシとそれを剥いで投げ捨てる。
 狂わせてくる。その感覚をねじ伏せるような感覚。
 多少は、己がもつ耐性が意味を成しているのだろう。
 魔王ゼルデギロスの攻撃は止まらない。それでもただ駆け上がり、その仮面のもとへと向かうだけ。
 鋼糸を巡らせ、クロトは巻き取る。それにより一気に速度は増して。
 ぶわ、と閃くだけでも突風を起す彼女の衣服も隠れ蓑に、その仮面への射程を詰めていく。
 それはリージュも。
「姫さんに抗う意思があってくれて良かった」
 あんたは、そうでなきゃと向かう。
「クソ野郎でしかない魔王の言いなりになんぞなってたまるか」
 リージュは吐き捨てて、己に囁き落とす魔王の言葉には耳を貸さない。
「そら、既にうるさい同居人が二人も居んだ」
 今も心底うるせぇんだと紡ぐ声色は、もううんざりだという色を滲ませていた。
 やれそれは僕のナイフだの、君にまで無茶な自傷を赦した覚えは無いだのと、はぁと溜息まじり。
 ぴーちくぱーちく、と彼らの言葉を聞き流して。
「ご覧の通り余剰スペースなんぞ皆無だ」
 とっくの昔に、満室だっつのと言いながら振り回した獣奏器が空を飲んで音響かせる。
 その音に耳を傾けながらクロトは、細く巡らせた鋼糸の上を蹴って。
「手前の迂闊のお陰で、俺の準備は万端」
 自身が流した血を代償に――それは仮面がなければもっと、少なかっただろう。
「二つ、選択肢をあげる。――壊れるか。絶えるか」
 切れぬ血の絲で編んだ伸縮変幻自在の紅の布。それは命の紅。
 手繰るそれを布槍として目の前に現れるトゲへと向ける。
 彼の道行きを穿ち拓こうと。
「――唯式・丹」
 鋭き閃いたそれが、トゲを砕いてリージュに道を。
 その上を走り、リージュは獣奏器を構え、辿り着く。
「的がでかすぎてどこを叩きゃ壊せるのかわからんけど」
 そう零すものの、いや、と見つける。その仮面のほころびを。 ここだ、とその拳を、脚を。その手に持つ獣奏器を思い切り振り下ろす。
 それを叩き割るために。
「どいつもこいつも死体まで無理を強いやがって」
 死んだ体は安らかに眠らせてやれってんだとリージュは仮面へと言い放つ。
「全く、同意」
 その言葉にクロトも頷くだけだ。
「眠りは安息であるべき、なんだろ? 理不尽に邪魔してんじゃあない」
 眠るならただ静かに穏やかに。
 それを乱すものは赦されない。
 仮面の一部が砕かれ、魔王ゼルデギロスは怨嗟を吐く。
 まだ、まだ終わってやらぬと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朧・ユェー
【月光】★

彼女はあの仮面に操れようとしているのですね
でも抗っている
それを助けなればいけませんね
あの仮面まで…
ルーシーちゃん…大丈夫ですか?

娘を片手で抱き上げて
しっかり僕に掴まってくださいね
【漆黒ノ鏈】万年筆を取り出しチェーンに変え、彼女の大きな身体に絡めながら上と登っていく

仮面が肉体と精神を攻撃してくる

瞳は紅染まり髪は黒く大きな口
あまり見せたくない姿

飢餓が襲う
喰いたい喰いたい
赤、紅、緋、赫、朱
アカが足りない
狂おしい程の赤

狂気の中に違う自分がいる
片手に小さな重み、伝わる温かさ
この子を娘を護らなくては
ふと顔を見ると涙を流しそれでも僕に気を遣う子
ああ、嗚呼
可哀想にツライ想いをしている娘
そんな姿にさせた相手に怒り
娘を泣かせるのは罪は重い

緋喰
牙で砕き、紅く染まった仮面のお前ごと喰ってやる

彼女の涙を拭って


ルーシー・ブルーベル
【月光】★

ええ、助けなくては
例え亡くなっていたとしても
と、しても――?
頭の中が霞みがかっていくよう

だいじょうぶよ、ゆぇパパ
しがみ付いて
必死に衝動を抑える

顔の右半分が仮面に覆われていく
仮面越しの瞳は金色
左目は眼球の代わりに咲く蒼花
身体のあちこちから花咲く蔦が伸びて

寂しい、恋しい
独りはいや
お腹がすいた

ぐちゃぐちゃな感情が裡から湧き上がる
これはわたしの気持ちじゃなくて
右目の――蒼花の形をした『かみさま』の心?

涙が勝手に溢れてくる
膨大な感情に
わたしの心など磨り潰されそう
けれどだめ
パパがいつもと違う姿をしている
以前、ほんの少しだけ見せてくれた姿
きっと他人に見せたくないのだろうと思う
それでもわたしは、傍にいなくちゃ

此方を気遣う気配を感じる
だいじょうぶ
あなたはゆぇパパよ
だからわたしもパパの娘で居なくちゃ
『かみさま』なんかに渡さない

瑠璃色の人形劇
涙を瑠璃の小刀に変えてパパの隣へ立つ
護られるだけではダメ
わたしもパパを護って、戦える
その仮面に振り下ろすわ

あたたかな指が目元をなぞる
だいじょうぶ
もう泣いてないよ



「彼女はあの仮面に操られようとしているのですね。でも抗っている」
 それを助けなればいけませんねと柔らかに紡いだのは朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)だ。
「ええ、助けなくては」
 例え亡くなっていたとしても。
 そう、ルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)は思う。
 思って、そして。
 と、しても――?
 心に、頭の中に霞がかかっていくような心地に抱かれる。
 ぼう、と少ししてしまって上の空のような。
「あの仮面まで……」
 ユェーはそう言いながらルーシーへと視線向け――。
「ルーシーちゃん……大丈夫ですか?」
 その声にルーシーは顔をあげ、ユェーへとしがみつく。
「だいじょうぶよ、ゆぇパパ」
 だいじょうぶ、と零しながら必死に衝動を抑えて。そんなルーシーをユェーは静かに抱え上げた。
「しっかり僕に掴まってくださいね」
 ユェーは【漆黒ノ鏈】万年筆を取り出しチェーンに変え、巨大な彼女の身体に絡めながら上へと昇っていく。
 離れぬように、落ちぬようにとぎゅっと掴むルーシーの手は白む。
 この場にいることによって暴かれるのは――己のありよう。
 ルーシーの顔、その右半分が仮面に覆われていく。仮面越しの瞳は金色に輝いて。
 けれど左目には蒼花が咲き零れる。そして身体のあちこちから花咲く蔦が伸びてルーシーの上を這う。
 寂しい、恋しい。
 独りはいや。
 お腹がすいた。
 ぐちゃぐちゃな感情。色々な想いが裡から湧き上がる。
 ルーシーはけれど、気づく。
 この感情は自分が感じてはいるけれど、自分が想うものではない。
 これはわたしの気持ちじゃなくて、とルーシーは気付く。
 はらりと咲き誇る、そう、これはと。
 右目の――蒼花の形をした『かみさま』の心?
 そうっと蒼花に触れるルーシー。
 ほろ、と瞳から零れる熱があった。それは涙。涙が勝手にあふれて、ルーシーを苛んでいた。
 膨大な感情にルーシーの心は磨り潰されそう。
 けれど、だめとその涙払うようにルーシーは瞬いて。そして、ユェーを見上げた。
 いつもと違う、その姿。
 ユェーもまた、その真の姿を暴かれていた。
 瞳は紅に染まり、髪は黒く大きな口。
 ユェーにとってそれはあまり見せたくない姿でも、あった。
 以前、ほんの少しだけ見せてくれたその姿とルーシーはきゅっとしがみ付く手に力込める。
 きっと他人に見せたくないのだろうと――それでも。
 それでもわたしは、傍にいなくちゃとユェーを見詰めた。
 そしてユェーも己の内で荒れ狂うものを感じていた。
 餓えている。飢餓が、襲う。
 喰いたい喰いたい――際限なく求めてしまう欲。
 赤、紅、緋、赫、朱。
 アカが足りないと求め往く。
 狂おしい程の赤――荒れる心はその狂気に満たされて、いや沈めていかれるような心地。
 けれど、沈む心地の中手放せぬ重みが何か、己の腕にある。
 狂気の中であるのに、違う自分。重み、伝わる温かさ。
 この子を守らなくてはと、腕の中へとユェーは視線向けた。
 はらりと涙を流して。それでもユェーを見詰めて。
「だいじょうぶ」
 そう言って、ルーシーはやわらかに笑み浮かべて。
「あなたはゆぇパパよ」
 だからわたしもパパの娘で居なくちゃ――この、自分のものではない感情には負けないとルーシーは己を強く持つ。
『かみさま』なんかに渡さないと、己のいる場所をもう定めているから。
 そんな様子に――ユェーの口から自然と。
「ああ、嗚呼」
 零れ落ちるのは吐息交じりのような。
 可哀想にと、その姿に心が凪ぐ心地。ツライ想いをしているこの腕の少女は――ユェーにとって大切な娘。
 そんな顔にさせているのはいったい何だ。誰だとユェーの怒りが向くのは、この場で真の姿を引き出すことをしかけたもの。
 娘を泣かせるその罪はどこまでも重いのだ。
 無数のトゲが、女の肌の上を突き破るように現れて、ふたりの行く先を閉ざす。
 けれどそれを振り払う。トゲが傷つけ呪力を流し込もうと、其れに屈することはない。
 少女がここにあるという安堵。守らねばならぬ娘がいるのだから、こんな狂気に浸されるわけにはいかない。
 そして一緒にいるためにも、己は渡さないと娘も思うのだ。
 だからこの涙を瑠璃の小刀に変えて、その手にもって。ルーシーはパパ、と呼ぶ。
 護られるだけではダメだから。
「わたしもパパを護って、戦える」
 ぎゅっと小刀を握ったルーシーは強い光をその瞳にたたえて。
 仮面に振り下ろすわと、彼女の黒き仮面を捉えていた。
 なら――共にとユェーは抱える手を強める。
 決して落とさぬように、離れぬように。そしてユェーは、女のそのかんばせに向かう。
 牙で砕き、紅く染まった仮面のお前ごと喰ってやる――赤く。その仮面の赤をめがけて――ユェーは一撃を振り下ろす。
 そして手にもった小刀をルーシーも仮面へと振り下ろした。
 それは同時。ふつりと、彼女を戒めていた仮面がほどけ、壊れていく。
 ああ、よくやってくれました――そう、彼女が零す感謝と共に砕かれた仮面からは怨嗟の声が轟く。
 そしてその巨大な身体は、次第に崩れ消えていくのだ。
 ルーシーはユェーの腕の中で、終わったのだと瞬く。するとひとつぶ、涙が零れた。
 指先でその涙を拭っていくユェー。ルーシーはくすぐったそうにその指先受け入れて、そしてだいじょうぶと紡いだ。
「もう泣いてないよ」
 もうここには、悪意はない。二人の身から、何かを引き出すものはいない。
 二人の姿も、いつもの姿へと戻って――そのかんばせに笑みが咲く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月30日


挿絵イラスト