7thKING WAR㉔〜終焉よ再び砕かれよ
●魔王
それは天に着くほどに巨大で。
槍は都市をひと薙ぎにするほどの業物で。
それ以上に美しく、一つの何かを貫いた生き方を現すが如く凛とした姿であった。
「来ましたね」
魔王は槍を構える。
「我が名は魔王ゼルデギロス……この顔の仮面を破壊すれば私は死にます。六番目の猟兵達よ、いざ尋常に勝負!」
ゼルデギロスは敢えて自らの弱点を口にし、そして笑う。
「おかしいと思うでしょう? ご聡明な方ならお気づきでしょうが私は操られています」
屈託のない声が世界に響いた。
「ですが、お気になさらず!」
自ら死を望むは呪縛からの解放を願う故か。
「私は既に死した身……しかし捨て身の戦いによって、みなさんに教えられる事もあるはず!」
それとも、何かを未来に託すためか。
どちらにしても……。
「時は二度と戻らない。だから時は美しく、残酷に光輝くのです……さあ、六番目の猟兵達よ速く!!」
我々はもう一度、彼女に死を与えなければならない。
●グリモアベース
グリモア猟兵、流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)が持っている風車を指で回しつつ、そして問いかける。
「つまりはそういう事ですよ。俺達はおそらくはもう一度、彼女に死を与えなければならない。前回は天寿であったけれど今回は俺達の手で」
風車をどこかに投げ、グリモア猟兵は話を続けた。
「魔王ゼルデギロスは強敵です。話に聞くユーベルコードによる先制攻撃に加えて、自分より小さな者との戦闘にも長けている。肌の上に攻め上る君達を巧みに、時には転がって潰してでも排除するなどして攻撃する事でしょう。」
影郎が眼鏡を外し、レンズを拭く。
「そうなると今回は逆張り、相手の身体を利用しない方法で戦えという事になりますね」
眼鏡を掛けなおせば、いつの間にか道が開かれている。
「俺から言えるのはそれだけです。終わらせましょう……死者には眠りが必要だ」
グリモア猟兵の言葉はどこか悲しげだった。
みなさわ
終焉は砕かれん。
こんにちは、みなさわです。
今回はある願い事を果たす戦いです。
●魔王ゼルデギロス
山よりも大きい超巨体の魔王です。
OPで述べている通り仮面を破壊すれば倒すに至るでしょう。
●プレイングボーナス
制攻撃に対応し、相手の巨体を利用「しない」戦い方で反撃する。
●戦場
広く、何も壊れるものも障害物もない土地です。
●その他
マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。
それでは皆様、彼女の望みに応えてあげてください。
第1章 ボス戦
『魔王ゼルデギロス・此華咲夜態』
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POW : ジェットランページ
【天槍から噴出する強烈なオーラ】によりレベル×100km/hで飛翔し、【身長】×【武器の大きさ】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : 天槍乱舞
【貫通衝撃波「フォーススティンガー」】【螺旋回転突撃「ドリルインパクト」】【神速連続突き「ミラージュランス」】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : ジャッジメントランス
【天高く天槍を投げ上げるの】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【オーラで構築した天槍の分身】で囲まれた内部に【裁きの雷】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●望郷、そして
私のぼうや達は元気にしているだろうか……。
魔王ゼルデギロス、いや此華咲夜は遥か遠くの世を想い首を振った。
もうぼうや達は立派に世界を守り抜いた。
あの世界は彼らのものだ。
だから私も。
「この世界を守り抜くために、あなたの支配に抗います」
仮面を抑え、此華咲夜は呟いた。
それは決意であり、帰るための望み。
死こそが戻れる道ならばためらうことなくそれを選ぼう。
既に天寿を全うした身なのだから。
けれど、託すに足る者がいるのならば自分に出来うるものを託そう。
それが蘇った私の役目なのだろうから。
「あとはお任せします……第六の猟兵」
私はそのために、今、ここに立つ。
…………第六の猟兵よ、君達はどうする?
エンティ・シェア
異界の姫君や魔王の言葉を聞けば、聞きたいことは山と湧く
だが、私の口から問いたい事は唯一つ
貴方は、安寧の内に天寿を全うできたのか
…それさえ知れれば、十分さ
さぁ、感傷は置いておこう
今は全力で、貴方に挑もうじゃないか
とは言え、その攻撃は躱すのだって難しそうだ
どこまで見極められるか
どこまで引き付けられるか
ぎりぎりを狙って、飛び退いて
姫君を傷つける事になろうとも、私は、私が駆けるための手段を取るよ
…けれど、最終的には倒れたって良い。私はね
仮面が狙える位置まで這ってでも進めば、後は託すよ
私の片割れ――再演の君に
私の血を吸った拷問具は、きっと切れ味もいいだろう
なにせ、私は苦しめることを望まないのだからね
●託し、託され、そして望む
遠くに見えるは魔王。
「異界の姫君や魔王の言葉を聞けば、聞きたいことは山と湧く」
エンティ・シェア(欠片・f00526)の『私』の唇が動く。
「だが、私の口から問いたい事は唯一つ」
エンティの問いにゼルデギロスは頭を向けた。
「貴方は、安寧の内に天寿を全うできたのか」
「……」
此華咲夜の唇が動く。
「……それさえ知れれば、十分さ」
『私』の口元に浮かんだのは何か。
知るのはその場に居る者のみ。
天槍がオーラを噴出する。
それはまさしく天を突くが勢い。雲が有れば穴が開き、夜の月があれば月影は消える。
やがて空が割れる音が響き、赤熱化した何かが降ってきた。
音速を越えれば空気の壁を破壊し、それ以上を求めれば大気が圧縮され高温が身を包む。
それほどの加速が……身長と武器の大きさを乗算した破壊力を生む。
――ジェットランページ
この地が魔界でなければ、世界は多大なる影響を受けるであろう。
それほどの物をエンティは……ギリギリのところで回避した。
結論から言おう。
エンティ・シェアはもう立てない。
激突ダメージの余波、魔王ゼルデギロスが包むオーラと落下の際に発生した高熱。それを全て身に受けたのだから。
だが……その手は此華咲夜の身を掴んで離さなかった。
「見事」
魔王が賛辞する。
それは尊き犠牲からではない。
エンティがその身と引きかえに選んだ戦い方――ユーベルコードの選択が故。
シキリナオシ
再 演
これは自分の片割れ、再演の君たる者を呼び出す力。
『私』が作り上げたゼルデギロスへの道を狐面の青年が走った。
その手にあるのは『僕』である黒熊人形に封じられた拷問具。
自らの血を吸う事で顕現されたそれが今、魔王へと振るわれる。
――私の血を吸った拷問具は、きっと切れ味もいいだろう。
狐面の青年が振るった刃が仮面を一部、斬り飛ばした。
――なにせ、私は苦しめることを望まないのだからね。
再演の君はエンティの望み通り、此華咲夜を支配から苦しみから解放する最初の刃となった。
苦戦
🔵🔴🔴
黒鋼・ひらり
あんた自身がどう在ろうとも『悪』に操られて動くなら『悪』
『悪』である以上私はあんたをぶっ潰す…容赦も、遠慮もなく
だから気兼ねは要らない…思い切り、来なさいな
先制攻撃の対処…
雷なら私の磁力で干渉出来るけれど流石にこの規模…一筋縄でいかないわね
『武器庫』から磁性体武器をありったけ周囲に展開…無数の斧槍を地に突き刺し、宙には投剣、鋼鉄板を幾重にも浮かべ雷への盾、或いは避雷針代わりにして少しでも分散させた上で磁力操作能力で干渉し防御
そして反撃…巨体を利用しない戦い方ね
上等、なら…こっちも質量で押し切る…!
UC発動、先程防御に使った磁性体武器をありったけ一点…鎖鉄球に集め巨大な鉄塊を仮面にぶち込むわよ
●『悪』なればこそ
黒鋼・ひらり(鐵の彗星・f18062)の右手が何かを帯びる。
「あんた自身がどう在ろうとも『悪』に操られて動くなら『悪』」
磁力を操るひらりには何が来るかは分かっていた。
「『悪』である以上私はあんたをぶっ潰す……容赦も、遠慮もなく」
だが、それを先に潰すには相手は手ごわすぎるし、何よりも……。
「だから気兼ねは要らない……思い切り、来なさいな」
その必要が無かった!
魔王ゼルデギロスが天槍を空へ投げる。
槍は魔界の空に消え、そして空が咆哮する。
「来たわね」
内心、冷や汗をかきながらタイピンに触れる。
その直後、天槍を象ったオーラに包まれた複数の雷が空を穿つべく降り注いだ。
――ジャッジメントランス
雷自体ならひらりの磁力で対処できた。
だがオーラがそれを阻み、そして……数が全てを叩きのめすであろうことは分かっていた。
だから自分もありったけで挑む。
『武器庫』展開!!
別空間に保管していたありったけの磁性体――大地には斧槍が突き刺さり、空には剣が飛び、空間には鋼鉄板を幾重にも浮かんだ。
それを可能にするのが磁力の少女のタイピン、兵装転送機構――MAGIC BOX!
裁きの雷が鋼鉄板を容易く貫く。
天槍のオーラを削り取られた雷が次に空を切り裂く剣に削り取られ、そして……。
「……行くわよ」
ひらりが掲げた右手が空間を歪ませる。
ありったけの磁力、手は尽くした後は立ち向かうのみ!
雷が降り注ぎ、大地に紫電が走った。
その中で……黒鋼・ひらりは立っていた。
鋼鉄板、剣、斧槍。
防御と避雷針を兼ねた二重三重の防御に自らの磁力を展開すればこそ、ひらりは立っていられた。
一つでも欠けていたら倒れていただろう。
だが、彼女は立っている。
「こんどはこっちの番!」
手に持つのは黒鉄の大型鉄球。
「そっちが大きいなら……」
振り回せば鉄球は大きくなり、そして形を変える。
「こっちも質量で押し切る!!」
周囲に展開させた斧槍、剣、鋼鉄板を磁力で吸い寄せて!
Magnetic Gigant
磁 界 巨 星
「食らいなさい、私の――」
巨星に相応しき鉄球がひらりの怪力によって。
「ありったけ!!」
魔王ゼルデギロスの顔面に叩き込まれた!
「これが……私の思い切りよ」
過負荷に悲鳴を上げる右手を抑え、黒鋼・ひらりは倒れゆく此華咲夜へと告げた。
成功
🔵🔵🔴
ティオレンシア・シーディア
うっわあ…大きさを利用「しない」って、パッと浮かぶ手筋が粗方消えるんだけど。勘弁してほしいわねぇ…
あたしこの手の相手はあんまり得意じゃないんだけどなぁ…
防御してどうこうってのはどう考えても無理筋だし、なんとか躱すしかないわねぇ。
ラド(車輪)と韋駄天印(迅速)で機動力を底上げ、エオロー(結界)と風天印(風)で耐衝撃〇オーラ防御を展開。●轢殺起動して流紋にマルガリータを直結、機体制御と軌道演算任せて――全速でバック。焼け石に水でしょうけど少しでも相対速度合わせてギリギリ〇見切ってバレルロール回避。○カウンターで仮面に流鏑馬ブチ当てるわぁ。
特に聞きたいこともないし、登るよりこっちのが現実的でしょ。
シリン・カービン
ゼルデギロス、いえ此華咲夜。
貴女の望みに応えましょう。
天槍の分身が出現次第、以下の対策を。
・古竜散弾を装填、上空へ射撃。(UCの弱体化)
・雷の精霊を宿した精霊猟刀数本を周囲に投擲。(避雷針として)
・ハンターマントを被り、身を低くする。(電撃耐性)
・感覚を研ぎ澄まし、雷の精霊の様子から着弾点を推察して躱す。
雷を避け爆風を躱しても、ダメージ無しとは行かないでしょうが、
身体が動けば行けます。
彼女も大技の連発は効かないでしょう。
ならば。
『裁きの雷』でこの地に満ちた雷の精霊たち。
霧散する前に彼らに呼びかけます。
雷を束ね、渦巻かせ、細く鋭く槍の様に。
「あなたの願いに、応えます」
彼女の仮面に向けて、雷槍を。
●雷銃、仮面を貫いて
荒野を駆けるミッドナイトレース。
バイク型UFOに跨ったティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)が魔王ゼルデギロスに対峙し見上げた。
「うっわあ……大きさを利用『しない』って、パッと浮かぶ手筋が粗方消えるんだけど。勘弁してほしいわねぇ……」
ティオレンシアが口から甘いトーンのボイスと正直な感想が漏れた。
「あたしこの手の相手はあんまり得意じゃないんだけどなぁ……」
火薬と魔法文字、二つを使いこなす知性。それがイエローバロットと呼ばれる所以であり武器。
だからこそ圧倒的な力と体格差の不利すら無視する強さには相性が悪いのだ。
けれど何故戦場に立つのかは……
「まぁ、なんとかしてみるわねぇ」
本人のみぞ知る。
魔王が天へ向けて槍を投げ、追うように跳躍した。
戦いが始まった。
一方、ティオレンシアより遠く。
魔界の岩陰に潜む外套の狙撃手。
「ゼルデギロス、いえ此華咲夜」
シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)が精霊銃のボルトを引く。
「貴女の望みに応えましょう」
天槍が空を貫き魔王が空を支配する中、シリンの銃は天へと狙いを定める。
撃針が雷管を叩き螺旋を描き銃弾が飛んだ。
古龍の骨で加工された弾丸は空中で霰が如く飛散し、空に障壁を作る。
さらに狩り人が投げた精霊猟刀が数本、大地に突き刺さる。
勿論、これは避雷針代わり。
猟刀に宿った雷の精霊が天雷を導くであろうことを期待して。
さらにシリンがフードを脱ぎ、精霊の声を聴く。
精霊のざわつきが耳と肌で感じられる中、伝わる殺意。
「――来た」
シリンが身を低くして、岩陰に隠れた直後。
雷が戦場を支配した。
――ジャッジメントランス
雷轟轟く中、戦場に立つティオレンシアには確信がある。
この雷が狙っているのはおそらくは別の存在。
だからこそ――刻む時は今だった!
『ᚱ』――車輪よ
『वि』――迅速たれ
『वा』――風よ
『ᛉ』――結界たらん
バイク型UFOミッドナイトレースに刻まれたルーンと真言が速さと守りの加護を与える。
その上で念を入れようとユーベルコードのトリガーを開放しようとした時――オーラに包まれた天槍が視界を支配した。
「……!?」
糸目の女の目がわずかに見開かれた後、先制の一撃が大地を穿った。
――ジェットランページ
ギアを入れてスロットルを捻るのと、天槍が大地を穿つのはほぼ同時だった。
前輪が砕かれ、ハンドルがひしゃげる中、螺旋を描きティオレンシアのミッドナイトレースが後方に飛ぶ。
バックギアに入れてなければおそらくは直撃だっただろう。
アクセルを開いて無ければ足は失われていただろう。
必然が重なり、チャンスが産み出された。
Gun Parade
轢 殺
バイク型UFOミッドナイトレースの速度と耐久性を引き上げ、自身の動体視力と運転及び射撃能力を引き上げるユーベルコード。
バイクを駆りつつ糸目の女はヘッドマウントディスプレイを被り、リボルバーを構えた。
『軌道制御します』
「お願いねぇ」
ディスプレイ『流紋』から聞こえるマルガリータなボイスのAIに車体制御を任せ、ティオレンシアはトリガーに力を込めた。
シリン・カービンが立ち上がった。
裁きの雷で満ちた精霊の声を聴く。
マントは所々焼け焦げ、稲妻の迸りが鼓膜に残響を残す。
その中でも雷の精霊の言葉は聞き取れた。
ボルトを引き、弾丸を抜く。
銃弾は要らない、力は周りに満ちているのだから。
構えた精霊猟銃の銃口、空気の流れが変わり火花が散り、そして蒼光る槍の穂先ともいえる刃が出来上がる。
「あなたの願いに、応えます」
エレメンタル・ファンタジア
狩り人が引鉄を引くのはあくまで魔法のトリガー。
放たれるは雷に満ちた槍。
大気に触れて放電し、音を立てながら雷槍は魔王へと突き進み、ティオレンシアの真横を通り過ぎる。
糸目の女のオブシディアンが雷管を叩いたのも同じタイミングだった。
雷と鉛、二つの弾丸が仮面の左右を貫く。
「いまは」
ティオレンシアが
「これが」
シリンが
「現実的よねぇ」
呟き。
「私の応え」
応えた。
此華咲夜は満足した笑みを以て、それを受け入れた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
荒谷・つかさ
貴女の覚悟、しかと受け取ったわ。
それじゃあ、私も覚悟を見せないとね。
――さあ、来るなら来なさいよ寄生虫。
小細工なしで叩き潰してあげる。
やるべきことはただ一つ
地面にどっしりと足を付けて構え、敵の先制攻撃を「怪力」で正面から受け止めるのみ
確かにあの大きさにあの得物、相当な威力でしょう
けれど「飛翔」しているということは、どれほどの勢いがあろうとも「踏ん張りがきかない」ということ
であれば、受けた後にちょっと(※ちょっとじゃない)踏ん張って力を加えてやれば簡単に逸らせるわ(※簡単ではない)
後は【超★筋肉黙示録】発動
脳筋自己暗示で無敵に強化された筋力で以て、その巨体をぶん回して顔面地面に叩きつけてやるわ
●力という覚悟
力とは腕力を指差すであろう。
だが力でどこまでやれるか?
今、魔王ゼルデギロスと荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)によって我々はそれを知ることになろう。
「貴女の覚悟、しかと受け取ったわ」
つかさが魔王へと歩み寄る。
「それじゃあ、私も覚悟を見せないとね」
互いに拳が届く距離へと近寄ると羅刹が笑う。
「――さあ、来るなら来なさいよ寄生虫。小細工なしで叩き潰してあげる」
その言葉に此華咲夜が笑った。
先手は魔王ゼルデギロスが取った。
オーラを纏い、天へと駆ける。
対するつかさは……無手。
その掌と力で受け止めようとしていた。
「無手……違いますね。その手、その腕、その身で受け止めるつもりですね――第六の猟兵よ」
此華咲夜の口元に笑みがこぼれた。
このような者に会えるとは思わなかった。
決して無謀ではあるまい、自分という存在を知ってなお挑もうとするのだ。
ならば、それに応えるのが――今の自分に出来る最大限の礼儀!
――ジェットランページ
衝撃波が落下点の空気を吹き飛ばし、遅れて大地が陥没し、余波で岩が剥離し舞い上がる。
「確かにその大きさにその得物、相当な威力でしょう」
膝まで地面に埋まりつつもつかさは口を開く。
「けれど『飛翔』しているということは、どれほどの勢いがあろうとも『踏ん張りがきかない』ということ!」
羅刹の言う事は確かに事実。
空中に居るという事は地面に踏ん張って構える、大地の反発力を得られないのだから。
それを補うべく天槍はオーラを噴出し、力と化してつかさを突き刺さんとする。
羅刹の手が断熱圧縮によって高熱を帯びた大気によって焼けただれ、肉が見える。
痛みが走るが脳から分泌される高揚感がそれを打ち消す。
だが、それに酔う事はない。
肉体を稼働させるアドレナリンすら制することが怪力たる所以なのだから。
つかさは全てを受け止め、そしてある方向へ力を加える。
それ自体は普段の力に比べれば弱きもの、だが魔王の穂先をずらすに充分なモーメントであった。
ゼルデギロスが大地に孔を穿ち、そして世界は揺れた。
咆哮が響く。
それは、人か、鬼か、いや、羅刹だ。
その腕は血に塗れ、全身の骨は亀裂が走り、臓腑は熱と衝撃で機能をなさない。
それでもなお!
今出来る全力と筋力で相手を――倒す!
――超★筋肉黙示録
その一節にこうある。
『腕力を以て振り回せば遠心力を得て、相手はその体重を威力とし、大地に激突するだろう――己と敵と大地。是即ち三位一体』
膝までめり込んだ足を抜き、大地に立ったつかさ。
その両腕が持つのは魔王。
「破ぁあああああああああああああああああっ!」
力でどこまでやれるか?
「……お見事」
それは天に浮いた此華咲夜がその力を認め大地へと叩きつけられる事で証明された。
苦戦
🔵🔴🔴
エル・クーゴー
●SPD
躯体番号L-95
貴女がそれを望むなら
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します
・『アルテミス』に搭乗し出陣
●対先制
敵攻撃は総じて直進性を重視した攻撃と推察されます
私自身、加えてキャバリア、あとついでにドローン・マネギの有する電脳リソースを直結し敵挙動の分析に傾注(ハッキング+瞬間思考力)
槍穂先の延長線上_及び_衝撃の波及等が想定される攻撃効果範囲を視界内へ常にAR表示し、最大戦速度で回避機動を実行します(空中機動+推進力)
●反撃
・槍が次に突いて来る軌跡を予測し『L95式電磁投射砲(エネルギー重点+リミッター解除+スナイパー)』、発射
・穂先へと叩き込み、得物の毀損を狙う
プフェルトラム・メーベルナッハ
判りました。
貴女を在るべき処へお還しするべく…
私のすべてで、お相手致しましょう。
【ダンス】の動きに、ステップを交えた【フェイント】や動作の緩急による【残像】を加え、以て彼女の攻撃の狙いを絞らせぬようにしつつ回避。その動きを経て接近を試みます。
スカイステッパーを発動し、彼女の身体の上を【ジャンプ】し駆け上がっていきます。
この際にも踊るような動きを継続、迎撃動作のタイミングを狂わせ躱し凌いで顔まで跳び上がり。
魔法剣の斬撃を浴びせていきましょう。
問いをかける暇があらば、一つお尋ねしましょう。
貴女の仰る『ぼうや』達は、今も貴女の在った世界に在るのか。それとも旅立たれたのか。
●終焉の魔王よ、今ここに砕かれん
ディスプレイが点灯しエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)の顔が蒼い光に染まる。
センサーが感知した情報は熱源、光学、音、全てゴーグルにリンクされているがバックアップと機体の状況を確認するためにディスプレイを点灯するのはいつもの作業。
「躯体番号L-95」
声紋認証:解除
「貴女がそれを望むなら」
AccessCode:承認
「これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」
作戦目標:入力完了
CHROME CAVALIER Type-L95:Artemis――Active!!
操縦レバーを握る指に力を込めると、L95式キャバリア『アルテミス』のスラスターが炎を吐き戦場へと現れた。
「判りました」
その機影を眺め、乱れる髪を抑えながらプフェルトラム・メーベルナッハ(千夜の踊り手・f00012)は呟く。
「貴女を在るべき処へお還しするべく……」
伝える言葉はエルと同じ。
「私のすべてで、お相手致しましょう」
此華咲夜の想いに応えるべく、プッフィは荒野へと降り立った。
最初に放たれたのは全てを貫く衝撃波だった。
フォーススティンガー
距離の優位はこれで潰されるであろう。
次に襲うのは螺旋のように回転する突撃
ドリルインパクト
弾丸の如き回転をその巨体で行えば、全てを巻き込むのは必至。
そして、神速の連続突きが止めとならん。
ミラージュランス
全てを組み合わせたこれこそがユーベルコード。
その名は――
天槍乱舞!!
そして、この技の恐ろしさは連撃だけではない。
またも放たれる衝撃波。
……続くのだ。
終わることのない天槍の舞。
一度、先手を奪われれば、一撃は軽くても数がそれを補い凌駕する。
その槍の輪舞を……一体と一人は全て躱していた。
「……っ!」
叩きつけられるようなGが襲い掛かる中、エルは操縦桿にしがみつくように歯を食いしばりゴーグルに映る情報を視野に叩き込む。
ディスプレイとゴーグルが表示するのは拡張現実によって予想される槍の軌道及び衝撃波の範囲。
先に挑んだ猟兵の戦闘データおよびユーベルコードの傾向、そして天槍の形状からミレナリィドールは一つの仮説を立てていた。
――敵攻撃は総じて直進性を重視した攻撃と推察される。
体格差と質量を活かして、槍を振り回すという選択肢もあっただろう。
だが、それを選ばないのは槍の特性を活かしたいという事と……大きさ故に得物を振り回した際の隙――体格差を不利に取られない戦術を選ぶが故。
結果、行使するのは急降下による激突、複数の雷撃、そして刺突の乱舞となる。
ならば対策は簡単だ。
『目』と『脳』を増やせばよい。
エル・クーゴーのセンサー、キャバリアのシステム、そしてドローン・マネギの電脳リソースを直結し、許容量を拡張し処理速度を上げる。
後は最大戦速度で回避機動を実行するのみ。
金色の瞳が赤く染まり、血のような液体が頬を伝う。
「……角膜破損、視覚に影響なし」
負荷が過剰すぎるのだろう。
だが……だが……終わっていないのだ。
ワイルドハントは!
その一方でプフェルトラムはステップを踏む。
軽やかなるダンスは虚実合わさった幻想。
実際、動きは幻惑を生み、分身が踊る。
魔王の槍が貫くたびにプッフィの姿が消え、さらに間合いを詰める踊り手の姿が見える。
時に清流のせせらぎの如く、時に荒れ狂う濁流の如く。
緩急入り混じったステップは大地からやがて空へと踏み出していく。
スカイステッパー
大地にて舞った踊り手は空へとゼルデギロスへとその足を向ける。
二人でダンスを踊るなら、その手を取る必要があるのだから。
だが返答は槍の一撃。
衝撃を伴う針が如き刺突。
「目標補足」
しかし、それは叶うことは無かった。
「当機は情報蓄積による偏差射撃において優位を獲得しています」
エルのキャバリア、アルテミスがもうレールガンをロックしていたのだから。
Type-L95:Railgun
L95式電磁投射砲!
ローレンツ力によって射出された超高速の弾丸が天槍を貫き、遅れて射出音と破砕音、そしてプラズマ化した弾丸によって生じる爆発が戦場に響いた。
この一撃をミレナリィドールが外すことはゼロに等しく。
この一射で槍が砕ける確信は100%に等しかった。
そのために猟兵と戦う魔王の戦闘データを蓄積し、自らも戦地にて情報を獲得したのだから。
自らが、猟兵が、積み重ねた物が、今の弾丸に込められていたのだから。
槍を失った此華咲夜の目の前にプッフィが歩む。
「一つお尋ねしましょう」
踊り手が問う。
「貴女の仰る『ぼうや』達は、今も貴女の在った世界に在るのか。それとも旅立たれたのか」
魔王たる巨躯、その唇が動きプフェルトラム・メーベルナッハは答えを聞いた。
これは今、ここで口にするものではない。
おそらくはグリモアへと持ち変えるべきものであろう――だから今は!
魔法剣を振り下ろすのみ!
斬撃が魔王ゼルデギロスの仮面を切断すると、此華咲夜は笑みを浮かべ灰となって消えていった。
「ワイルドハント、終了しました」
アルテミスのレールガンのバレルが下がり、機体のスラスターが噴射される。
「これより帰投いたします」
エル・クーゴーが呟きと共にグリモアの門をくぐる
プフェルトラムがそれを見送り、そして後ろを振り向く。
戦いの後は何も残っていない
……あるのは猟兵達の想いと記憶のみ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴