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7thKING WAR㉔〜さぁ来なさい、異界のぼうや達

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『ゼルデギロス』

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#召喚魔王『ゼルデギロス』


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「お疲れ様です、皆さん。
 皆さんのおかげで早くも、異界の魔王『ゼルデギロス』への道が開かれました。
 ……もっとも、最初から姿は見えていましたが。」
 グリモアベースに集まった猟兵たちへ、アトはいつものように言葉を続けていた。
「皆さんは、あの巨大な魔王を退治して下さい。
 より正確に言うならば、あの魔王の付けている『仮面』を破壊して下さい。
 あの仮面こそが魔王の本体であり、それを付けている巨大な女性は操られているだけですから。
 後のことは、あの女性が教えてくれます。
 大変でしょうが、よろしくお願いします。」
 そう言って開かれたゲートの先には、異界の魔王の姿があった。

『来ましたね、六番目の猟兵達!』
 猟兵たちの姿を認めた魔王……もとい、その女性は溌剌とした声で語りかけてきた。
『私の顔の仮面を破壊すれば、私は死にます。
 私は操られている身ですが……もちろん、遠慮はいりません!
 既に私は死した身なのですから!』
 その屈託のない声には、悲壮感など微塵も感じない。
 それどころか、この状況すら楽しんでいるかのようでもある。
『さぁ、六番目の猟兵達……遠慮なく私の身体を登り、私の仮面を壊しなさい!
 しかし、それを察した魔王は私を操り、この槍であなた達を刺し貫こうとするでしょう。
 さらに言えば私自身、あなた達のような者と戦う事に慣れています。
 ですが……。』
 一度言葉を切ると、手にした巨大な槍を改めて構える。
『あなた達も、私との戦いで得るものもあるでしょう。
 みなさんに教えられる事があるならば、私の命など軽いものです。
 さぁ、六番目の猟兵達よ……いざ尋常に勝負!』


ヨグ
 ヨグです、戦争シナリオ第2弾です。
 懐かしいですね、此華咲夜若津姫……。

 魔王の言葉の『あなた達のような者と戦う事に慣れています』というのは、『一般的な猟兵たちのような身体のサイズの相手』と戦う事に慣れている、と言う意味です。
 なので、見上げるようなサイズの相手ではありますが、その身体の大きさを生かした攻撃や回避はあまり有効ではありません。
 ご注意下さい。

 なお、このシナリオでは以下の行動にプレイングボーナスが付きます。
 ご活用下さい。
=============================
プレイングボーナス……先制攻撃に対応し、相手の巨体を利用「しない」戦い方で反撃する。
=============================
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第1章 ボス戦 『魔王ゼルデギロス・此華咲夜態』

POW   :    ジェットランページ
【天槍から噴出する強烈なオーラ】によりレベル×100km/hで飛翔し、【身長】×【武器の大きさ】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    天槍乱舞
【貫通衝撃波「フォーススティンガー」】【螺旋回転突撃「ドリルインパクト」】【神速連続突き「ミラージュランス」】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    ジャッジメントランス
【天高く天槍を投げ上げるの】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【オーラで構築した天槍の分身】で囲まれた内部に【裁きの雷】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルイ・エルドレッド
「雷を直接か。そういうのはチュートリアルでやるもんだ」

そう言って、そのまま飛び上ると空中で敵の雷を剣で受け、自身に受けた雷を敵に打ち返す。とあるゲームで学んだ【戦闘知識】が活かされている。もちろんこれだけでは終わらない。UCを発動し、自らに[招雷、弱点特攻、筋力強化]の効果を付与。これでルイの攻撃一回に付き相手の雷が相手に当たるという、これもとあるゲームで学んだ戦闘技術だ。

「もうバてたのか?」

ルイの攻撃には【生命力吸収】が乗る。故に体力満タン。その状態で自分に[斬撃強化、高速化、オブリビオン特攻]を付与。素の攻撃力を上げ、オブリビオンに対し弱点ダメージも上げて、高速で仮面を斬り付ける。


葛葉・御前
連携も即興劇も自由にするがよいぞ

妾には問い質したい事はない

戦場でまみえたならば礼を尽くして、全霊を賭けて、打ち倒すのみぞ

妾は高速詠唱と多重詠唱により、攻防一体の隙のない立ち回りを可能とする
己の身を結界術で護りつつ、同時に攻撃を行えるのじゃ

まして天槍を投げ上げて、更には攻撃地点を事前に天槍の分身で囲むなど、言わば二重に攻撃の予兆が存在する技であろう
そのような技、たとえ先手をとられたとしても、避けるのは容易い事じゃ

妾の尾に宿る日曜星の神氣が、勝利と栄光の暁をもって武士たちを照らし上げるじゃろう
力を振り絞り、結集させるのじゃ
妾が立つ戦場に敗北の文字はない



「なるほどのう。お主、死する時まで妾らの役に立ちたいと言うのじゃな?」
『ええ、その通り。』
 葛葉・御前(千年狐狸精・f36990)の問いにも、女性は律儀に答えていた。
 頭の狐耳を軽く揺らしてその様を見上げ、葛葉は優雅に笑みを浮かべて一礼し、
「ならばこちらも、全身全霊を賭けて応えようぞ。妾は葛葉・御前じゃ。」
「そして俺は、ルイ・エルドレッドだ。」
 その動きに習い、隣に立っていたルイ・エルドレッド(隠しボス・f36867)も頭を下げる。
 同時に剣を抜き、どこか芝居がかった動きで構えて言い放つ。
「俺たちはキミを倒しにきた。尋常に勝負、といこうじゃないか。」
『ええ、尋常に……勝負!』
 女性の声が響き渡り、同時に空へと巨大な天槍が投げられた。

「あれが予備動作か。」
「そうじゃ。じきに妾らを囲うように、槍の分身が現われるぞ。」
 言うが早いか葛葉の九尾がぶわりと広がり、極限まで圧縮された詠唱と共に2人を中心に結界が広がる。
 その瞬間、結界の外へと現われ、帯電する天槍の分身を見やり、
「威力はあろうが、攻撃の予兆が大きすぎる。先手を取られようが、避けるのは容易い事じゃ。」
「確かに、な。」
 葛葉の言葉に頷いたルイだが、剣を振り上げたまま結界の外へと跳び上がる。
 同時に天槍から放たれた雷が結界の外を走り、ルイの剣へと吸い寄せられるように殺到した。
「はっ、雷を直接か。そういうのはチュートリアルでやるもんだ。」
 しかし、その雷撃をルイの剣が全て受け止め、身体に雷を受け入れる。
 帯電したまま女性の身体を駆け上がり、
「だが、俺も学んでるのさ。これで、俺の剣は雷の属性を得た。」
『ふふ……やりますね、それでこそです。』
「無茶をするのう。しかし、ならばお主の手助けをするのが妾の勤めじゃな。」
 呆れたような声を上げた葛葉だが、すぐに艶然とした笑みを浮かべ、祝詞を唱える。
 その尾の一つ、日曜尾が輝きを放ち……葛葉の背後から照らし出されるのは日輪の輝き。
「妾の尾に宿る日曜星の神氣が、勝利と栄光の暁をもって武士たちを照らし上げるじゃろう。」
「良いタイミングのバフありがとうよ。……これで、どうだっ!」
 眩いばかりの光に照らし出されたルイの、振り下ろした剣から解き放たれる、雷の一撃。
 真っ直ぐに女性の仮面を貫き、その巨体が仰け反っていった。
「まさかとは思うが、もうバてたのか?」
『ふふ……良い、一撃ですね。』
 しかし……焼け焦げた仮面の下で微笑みながら、女性はその身を起こしていた。
 その様にルイも口の端に笑みを浮かべ、
「だと思ったぜ。キミはこれくらいで沈むような弱さじゃないよな。」
『さぁ、その意気です。打ち合いましょう、存分に!』
「おう、やってやる!」
 ルイの放つ雷撃が女性の手元へ戻った天槍にいなされる。
 だが、その姿が光輝に照らされた瞬間、天槍の間をすり抜けた雷撃が再び仮面を貫いていた。
「助かるぜ。」
「当然じゃ、妾が立つ戦場に敗北の文字はない。」
『見事……さぁ、打ち倒してください。私を!』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

プフェルトラム・メーベルナッハ
良いでしょう、ならば私も全霊でお相手致します。
私の舞、どうぞご覧下さいませ!

【ダンス】の動きを交えつつの【ダッシュ】で敵へ接近。
ステップの向きを変えることでの【フェイント】や動作の緩急による【残像】で敵の攻撃の狙いを逸らし、以て連続攻撃を凌ぎます。

ユーベルコード発動の機が巡り次第、天翔ける閃剣乱舞発動、飛翔して一気に顔の方へと向かいます。
空中でも踊るような軌道を描いての回避機動は忘れずに。
顔の見え次第、光線を仮面目掛けて撃ち込みつつ肉薄、魔法剣で仮面を斬りつけるとしましょう。


カシム・ディーン
機神搭乗
すげーな…体格差の対策が効かねーとか…
「それじゃ逃げちゃうご主人サマ?」
それも悪くねーがその前にやる事はやるぞ

【情報収集・視力・戦闘知識】
体格差を利用しないという手口について冷徹に他の依頼の戦闘記録とその動きから把握分析
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与して光学迷彩と共に水の障壁で熱源匂い音も隠蔽
其の連続攻撃の捕捉から逃れに掛かる
更に無数の立体映像を展開して幻惑
UC発動
【空中戦・弾幕・念動力・スナイパー】
超高速で飛び回りながら仮面に向けて念動光弾乱射
動きを鈍らせれば一気に距離を詰めて
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
超高速での鎌剣での連続斬撃から金目の物強奪と手癖は悪い!



「……すげーな。あんなに体格差があるのに平気で戦ってるぞ、あいつ。」
 他の猟兵との戦いの様を見ていた、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の口から思わず言葉が漏れる。
 その時、乗り込んでいる界導神機『メルクリウス』と名付けられたキャバリアが、軽い調子で話し始めた。
「それじゃ逃げちゃう? ご主人サマ。」
「それも悪くねーが、その前にやる事はやるぞ。」
「はーい、メルシーにまっかせてね☆」
「ふふっ、可愛らしい性格をしたAIですこと。」
 そんな様を横から見上げていたプフェルトラム・メーベルナッハ(千夜の踊り手・f00012)。
 クスクスと笑うごとに、身軽な姿を邪魔しない程度に身につけられた宝飾品が揺れていた。
「さぞや普段から振り回されていることでしょうね。」
「……うっさい。」
『ふふ……他の者に振り回されるというのも、楽しいものですよ。それが愛しい者であれば、尚更。』
「貴女まで言いますか。」
 頭上からかけられた笑い声に、カシムはげんなりした顔になっていた。
『しかし……残念ながら、私はあなた達と戦わねばならない身。戦うのであれば、覚悟を決めて下さいね?』
「ええ、当然。私も全霊でお相手致します。」
 プフェルトラムが魔法剣を引き抜く中、カシムの乗るキャバリアの中に楽しげな声が響く。
「で、どうするの? ご主人サマ。」
「……やらないとは言ってないだろ!」
「はーい! メルシーにお任せ、だよ☆」
『それは何より。では……いきますよ!』
 言い放つ言葉と共にゆらりと女性の構えた天槍が揺らぎ、2人へと交互に高速に穂先が突き出された。

「私は舞が得意でして、」
 一礼したプフェルトラムを天槍が貫くが、それは残像。
 調子の変わらぬ上品な声の続きは、そのすぐ上から響いていた。
「此華咲夜様……私の舞、どうぞご覧下さいませ!」
 言葉通り舞うように天槍を避け、女性の身体を足がかりに跳び上がっていく。
『ふふ、良い動きですね。そこのあなたも。』
「ありがと☆ メルシーちゃんに不可能はないからね!」
 カシムの乗ったキャバリアも、突き出される槍を素早く躱しながら飛んでいる。
 しかし……、
「ぐあ、くっ……いつにも増して、揺れ、が……!」
 中に乗っているカシムは、中の人のことなどお構いなしに動くキャバリアの急激な揺れに苦しんでいた。
『……苦しそうな声は気のせいでしょう。』
「ふふっ……ねぇ、此華咲夜様?」
『何か……っ!?』
 横から呼ぶプフェルトラムの声に女性が視線を向けると、その身体で揺れる宝飾品から幾重もの光線が女性の仮面を狙う。
『目くらまし、ですか。』
「ええ。眩しいでしょうが、目を離してはいけませんよ?」
「よーし、メルシーちゃんもやっちゃうよ☆」
 その光線を追いかけるように、ブーストを吹かしたキャバリアが高速で飛び上がっていく。
 そのまま女性の目の前まで飛び、仮面へと光弾を乱射して、
「メルシーちゃん、ダブルスティール!」
『くっ、あ!』
 掠めるように仮面へ飛びながら振られた鎌剣が、仮面の端を斬り裂いていた。
「いえーい、完璧☆」
『やります、ね!』
 そう女性がキャバリアへと声を掛けた瞬間、目の前に現われたのは魔法剣を構えたプフェルトラム。
『いつの間に、』
「……ふふっ、目を離さないでっていいましたのに。」
『ぐあっ!?』
 真っ正面から仮面を斬りつけられ、血飛沫が舞いあがる。
 その勢いのまま飛び離れるプフェルトラムが女性を振り返ると、血を流す女性の顔には変わらぬ仮面が乗ったまま、こちらを見ていた。
「おやおや……頑丈な仮面ですこと。」
『ふふ、そうですね……残念ですが。』
「では、後の方に任せますわ。」

「もう一回いく? ご主人サマ。」
「……ちょっと、勘弁して、くれ……。」
 ……一方では、そんな会話が成されていたとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

七那原・望
あなたの身体には登りません。わたしの戦場は空なので。

全力魔法で速度を限界突破し、背中の翼で空中戦。
第六感で動きや攻撃を見切り、回避に専念。
天槍は速度を限界突破させたプレストの咄嗟の一撃を側面からぶつけ逸します。

どうしたら身長を伸ば……いえ、わたしが正月に見た編笠の物ではない方の予兆。あれはなんなのです?

質問によって注意を惹けていればそれでいい。

本命はわたしとは別ルートの遥か上空。念動力と全力魔法で限界を超え、超高速飛行するスケルツァンド。

スケルツァンドが女性の頭上に来たら頭頂部に出来た影からオラトリオを出し、刀型の影に変形させ遠隔操作での早業で絶・蘇威禍割を仮面に向けて放ち、概念ごと砕きます。


アルテミシア・アガメムノン
此華咲夜若津姫、天晴な心構えです。
貴女の意思を称え尊重しましょう!

先制対策
超音速の一撃なので動き出してからの回避は至難です。
槍の構えかた、足の位置から攻撃進路を見切り、彼女が動き出した時には既に回避行動に出ることで凌ぎましょう。
(瞬間思考力×見切り)

しかる後に『明星の栄光』を発動。
こちらも超音速飛翔で仮面まで間合いを詰め、『クロノスの大鎌』を渾身の力で振るいます。

ゼルデギロスさん、貴方の様な他者の身体を操る存在はわたくし、好きではないのです!



 一方、女性の近くを飛ぶ二つの人影があった。
「本当、大きい人ですね。」
 目隠しをしながら女性を見上げる、七那原・望(封印されし果実・f04836)の呟きが漏れる。
 ふと、自身を見下ろす七那原の頭の上で、そこに咲いた赤いアネモネが風で揺れていた。
「……どうしたら私も大きくなれるのでしょう?」
「……そこまで深刻に考えることはないでしょう? 貴女はまだ成長途中ですし。」
 その隣でアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は、3対6枚の翼を羽ばたかせながら答えていた。
 心配ない、と励ますように言うアルテミシアの頭の上で、黄金色の光輪が輝いていた。
「それよりも今は、あの方……此華咲夜若津姫を何とかしないとなりませんわ。」
「そう、ですね。」
 2人がそんな話をしていると、頭上で気配が動いた。
『あなた達も、私を倒しに来て下さったのですね。』
 まるで友を歓迎するかのような口調の女性の言葉にコクリと頷く七那原の隣で、アルテミシアは油断なく女性へと視線を向けながら言い放つ。
「その通りですわ! 此華咲夜若津姫、天晴な心構えです。貴女の意思を称え尊重しましょう!」
『ありがとう、第六の猟兵たち……それでは、行きますよ!』
 言葉と共に構えた天槍からオーラが噴き出し、女性は凄まじい速度で2人へと槍を向け、襲いかかってきた。

「さすがに早い……ですが、避けられない程ではありません!」
 女性の動きに目をやっていたアルテミシアは、いち早く槍の軌道から身を躱していた。
 しかし、七那原はその場に残っている……巨大な天槍がその小さな身体へと迫り、
「……どうしたら、」
 ガキン!
 ……大きな音と共に七那原の周囲を飛ぶ手のような飛行ユニットに槍の切っ先が叩かれ、七那原のすぐ横を女性が通り抜けていった。
 その小さな呟きを耳にしたのか、女性はそのまま七那原へと向き直る。
『どうしたら、とは?』
「どうしたら、身長を伸ば……いえ、わたしが正月に見た編笠の物ではない方の予兆。あれはなんなのです?」
『あぁ……あの子、ですか。』
 頷き、女性が口を開いた時……その背後に黄金の光り輝くオーラを纏ったアルテミシアが浮かんでいた。
 そして、女性の頭頂部に小さな影が差す。
『あの子は』
「律儀な人ですね。」
 答えを遮るような七那原の言葉と共に、女性の頭頂部の小さな影からエクルベージュ色の影が立ち上り、刀の形へと変わっていく。
 一瞬の煌めきと共に断たれる、仮面に縫われた糸……そして、無数の剣閃が襲いかかる。
「……その隙を、待ってました。」
『くっ、あぁ!』
「まだ、足らないでしょう?」
 痛みに揺れる女性の顔へと飛翔し、アルテミシアは金色に輝く大鎌を振り上げ、
「ゼルデギロスさん、貴方の様な他者の身体を操る存在はわたくし、好きではないのです!」
 渾身の力で仮面へと振り下ろす。
 金色の輝きは中央へと突き刺さり、下へと切断し……引き裂かれる音が苦悶の叫びのように響き渡った。

『……お見事。』
 しかし、まだ仮面は残っている。
 鉤裂きにされたボロ雑巾のようになってはいるが、女性はまだ倒れていない。
『良い腕をしていますね、第六の猟兵たち。』
「出来るなら、ひと思いにトドメを刺せれば良かったのですけどね。」
 七那原と共に距離を取りながら言葉を掛けるアルテミシアに対し、女性は首を振りながら言葉を返していた。
『いえ、むしろ都合が良いでしょう。まだ、話すことが出来ますからね。』
「じゃあ……。」
『ええ、あなたの問いに答えましょう。あの子は……』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト
そう、遠慮はいらないんだ
なら楽しみましょう。うん、楽しい方が、ずっといいよ
わたしも張り切っちゃうんだから。とっておきで相手してあげる!

手にするのは大龍脈。大地から抽出されるマナの槍
あなたが天を舞う槍を使うなら、わたしは地の槍を使って迎撃する
ありったけのこの地のマナを引っ張ってきて、突撃に合わせて投げ放つよ

もちろん、これはユーベルコードじゃない。突撃を止められるなんて思ってない
けれど、ほんの少しでも軌道を逸らせたのなら

きっと、わたしの勝ちだよ

【深緑、畏れ多き大樹と成りて】
これで同じ大きさ。どう?びっくりしたでしょ

突撃後の彼女とわたしの位置関係は目と鼻の先
逃さないように、槍を振るわれないように、抱きつくように密着して、彼女の動きを制限する
最後は仮面に直接手を伸ばして、彼女の顔から引き剥がすよ

悪いものは、取り除かないとね
じゃあね、大きな貴方。まるでお母さんのような、わたしの知らない人
安心して。世界を、本当に悪いようになんてさせないんだから



 巨大な女性の顔に残る仮面は無残に引き裂かれ、かろうじて片目を隠す程しか残っていない。
 しかし、その下で浮かぶ女性の表情はむしろ楽しげに、前に立つアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)を見下ろしていた。
「さぁ……あなたも、私を倒しにきたのでしょう?」
「……うん、そうだよ。」
 仮面を壊せば、その命は潰える……だというのに、其れこそが望みだと言わんばかりに。
 自らが糧になるならば……そう言い放つ慈母の笑みに、アウルの心は定まった。
「そう、遠慮はいらないんだ。」
「もちろん。」
 天槍を構える女性に対し、アウルは地面へと手を伸ばす。
 ドクン……鼓動のような一度の揺らぎと共に、大地のマナが浮かび上がる。
「なら楽しみましょう。」
「ええ、その通り!」
 柔らかな笑みと共に、アウルの手に集まるマナが槍の形を象った時、女性の天槍からオーラが噴出する。
 オーラに乗って一度空へと舞い上がり、アウラめがけてその切っ先を向けて突進してきた。
「戦いを、楽しみましょう!」
「うん、楽しい方が、ずっといいよ!」
 その時、アウラはありったけの大地のマナを槍に籠め、天槍へと投げ放つ。
 大龍脈と名付けられたその地の槍は、真っ直ぐにアウラへと迫り来る天槍の切っ先に吸い込まれるように飛び……金属の擦れる激しい音と共に、天槍とすれ違うように後ろへ飛んでいった。

「ふふ……お見事、六番目の猟兵さん。」
 もうもうと上がる土煙の中、天槍が貫いたのはアウラのすぐ横の地面だった。
 深々と突き刺さった天槍を引き抜こうと女性が力を込めた時、横から抱き留めるように、その腕を優しく押さえられていた。
「あ、ら……?」
「どう? びっくりしたでしょ。」
 横を振り向けば、笑みを浮かべるアウラの顔……光輝を纏うその身体は、巨大な女性と同じサイズになっていた。
 優しく、しかししっかりと抱えるように抱き留められ、身動きのとれない女性に浮かぶのも嬉しそうな笑みだった。
「抱き留められるなんて、いつ以来でしょうか。」
「あはは。こんなに大きな人って、なかなかいないでしょう?」
「ふふ……そうですね。」
 いつの間にか抵抗も止み、女性は落ち着いた表情でアウラへと身を預けている。
 アウラは女性の顔に纏わり付く、襤褸切れと化している仮面へと手を伸ばす……ゆっくりと近づく手を見上げる表情は、どこまでも穏やかで。
「悪いものは、取り除かないとね。」
「ええ、一思いに。」
 指を掛け、軽く引くだけで仮面は千切れ、塵となって離れていった。
 同時に、女性の身体も端から崩れ、空気に溶けていく。
「ありがとう……これで、私も逝く事が出来ます。」
「そうだね……じゃあね、大きな貴方。まるでお母さんのような、わたしの知らない人。」
「ええ……さようなら……。」
 徐々に軽くなり、その存在が溶けて消えていくのを腕の中で感じ取り……無くなってもしばらくそのままで。
「……安心して。世界を、本当に悪いようになんてさせないんだから。」
 そう呟きを残し、アウルの大きな身体も光となって掻き消えていく。
 そして残った光が元のアウルへと変わり、決意も新たにグリモアベースへと帰っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年06月01日


挿絵イラスト