銀河帝国攻略戦⑭~鮮やかなりし命の光
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趨勢は、革命軍に傾こうとしていた。
破られた「エンペラーズ・マインド」、今も次々と削られゆく帝国軍の戦力。猟兵たちに確実に戦局は味方していた。
そこへ、横から割り入ろうとしている者たちがいる。白騎士ディアブロの直属部隊――『白魔』艦隊である。
彼らはかつて、その高速艦を用いて伝説の解放軍を散々に翻弄し苦しめたと言われているが……現在は少々事情が違うようだ。
此処から先は、グリモア猟兵に語ってもらう事としよう。
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「みんな、お疲れ様! 活躍は僕の耳にも届いてるよ、すっごく誇らしいよ!」
脚立の上でぴょんぴょん跳ねるのはメッティ・アンティカ(f09008)。魔女帽子を整えながら、けれど、ときりっとした顔をした。
「油断はしちゃいけない。白魔艦隊が出てきたんだ。彼らは昔、伝説の解放軍をすっごく苦しめたらしいんだけど……今はただの特攻艦隊に変わっちゃってるみたい。船に戦力を乗せて、敵艦隊に突っ込んで、船を自爆させて敵が混乱したところを攻める……そんな戦法で戦おうとしているみたいなんだ。」
それはまさに、自爆特攻。オブリビオンでなければできない、無茶に無茶を重ねた策。いや――オブリビオンであっても、敵戦域の只中では長くはもたないだろう。まさに自爆特攻としか言いようのない、下策も下策。
「だけど、あの艦にはグリモアの転移が有効なんだ。……つまり、船に転移して、敵と戦いながら……敵の艦隊がこっちに来る前に、自爆させてほしい」
「皆はまず、輸送艦に転移して、敵と戦ってもらう。その隙に誰かがこっそりコアルームに移動して、自爆装置を起動させて自爆させる……のが良いのかな。
コアルームに直接転移させられれば良かったんだけど、そう巧くはいかなかったんだ、ごめんね。だけど、自爆するときには絶対絶対、みんなをグリモアベースに転移させるから! 絶対誰も、一緒に自爆なんかさせないから!」
怖いよね、僕も怖い。失敗したらって思うと、とっても怖い。
けれど、僕には皆を頼るしか出来なくて。ごめんね、ごめんね。
メッティは目元を拭う。ぼろぼろと落ちる雫はとどまる所を知らず、けれど、黒猫ケットシーは力強く前を向く。
「作戦自体はとても簡単なものだよ。とにかくこっちの艦隊に近付く前に片付けちゃえばいい。……やけになった奴らなんかに、『伝説の解放軍』は負けないんだってこと、見せつけてやろうよ!」
key
こんにちは、keyです。
やっと戦争シナリオが出せたぞー!
●注意
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●概要
ほぼメッティ君が説明した通りですが、白魔の戦闘方法はいたって単純です。
敵艦に突っ込み自爆して、死ぬまで兵は戦い、敵を損耗させ続ける。
これを事前に阻止して頂くのが今回のシナリオになります。
まずは敵艦に転移して、集団敵を倒してください。
ただし、倒しきれる数ではありません。誰かが艦を自爆させるまで、戦闘は継続すると考えて下さい。
敵に気付けば船内の敵は大挙して猟兵に押し寄せてきます。
いかにしてコアルームにたどり着くかがカギとなるでしょう。
自爆する船内からはメッティ君が転移させてくれるので、爆発の対策などは不要です。
彼を信じてあげてください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
宜しくお願い致します。いってらっしゃい。
第1章 集団戦
『醜き嫉妬の生命体』
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POW : 妬心の暴虐
【対象の優れた部位を狙う触手】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 精巧贋物
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【喉から手が出るほど欲しい他者の所持品】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ : 縋る腕
【醜い羨望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【粘着性の高いぶよぶよした黒い塊】から、高命中力の【対象の所持品を奪おうとする触手】を飛ばす。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●スーサイド・コード
転移した猟兵たちが見たものは、まさしく不定形の群れであった。
伸び縮みしながら戦場へ向かおうとするそれらが、君たちに気付くまでそう遅くない。どこからきた? どこへもゆけない。ならば殺してしまおう、この場所で。
同じことを考えながら、敵同士刃を交わすのである。
ノエミ・カプドヴィエイユ
【POW】
花火になるのは勘弁デス! えっと、ちゃんとメッティ君のことは信じてますデスよ。
「おりゃー、突撃するのデス!」
と、勇ましく登場するデスが、ぼくは攻撃を防いでわんさか来る敵から皆を守る役割を担うのデス。
【見切り】で相手の攻撃を観察するデス。
仲間を庇えるようであれば、すぐさま飛んでいって【無敵城塞】。
「へーきです、頑丈さがぼくの取り柄なのデス!」
ブロードソードの【武器受け】で、相手の触手攻撃をガンガン弾くデス!
ただ、耐えても耐えてもなかなか数が減らない敵相手では攻撃を喰らってしまうこともきっとあるデス。そんな時は【激痛耐性】で何とかこらえてみせるデス。
「なめないで欲しいのデスッ!」
ルーレイ・バーンシュタイン
時間稼ぎなら任せてください。持前の【コミュ力】と【優しさ】で、【一輪の花】を使い色鮮やかな花を出して場を和ませます。
別に倒すだけが戦いじゃないはず。
「えっ?違う?何か間違えた?」
どうにもならないときは【逃げ足】で敵を引きつけながら逃げ回ります。
アドリブ絡み歓迎
「時間稼ぎなら任せてください……!」
ルーレイ・バーンシュタイン(人間の探索者・f01355)は、迫りくる敵に向けて手を翳す。見る限り意思疎通は限りなく難しい相手。でも、花を愛でる心は同じなはず。戦場で特攻する、今だからこそ……!
ふわり、彼女の手に巻き起こるのは優しいつむじ風。勿忘草の花弁が舞い、不定形の者たちはシップ内に漂うそれを目で追う。それは場を和ませるというより、少し寂しい空気にして。
「あっ、……な、何か間違えた? わー、ごめんなさい!」
思ったのと違う空気に包まれて、ルーレイはうろたえる。はっ、とその声に我に返った敵たちが、真似をして勿忘草の花弁を作り出し、つむじは花吹雪となる。
「いいえ、それで合ってるデスよ! あとはぼくに任せるデス!」
力強く言って飛び出したのはノエミ・カプドヴィエイユ(ミレナリィドールのパラディン・f10355)。小柄な体に似合わぬブロードソードで、敵に一撃を見舞う。
「あっ……」
違う、私は戦いたいんじゃ。
そういいかけたルーレイの言葉が、喉にとどまる。戦いたくない? 本当に? 自分の花の使い方は、これが最善だったのではないか?
「危ないっ! デス!」
懊悩する彼女を襲った触腕。それを防ぐのはノエミの身体。城塞の如く防御に特化させた体は、その一撃ではびくともしないけれども、走る痛みに耐えるよう、ノエミは歯を食いしばった。
「あ、あなた……大丈夫!?」
「へーきデス! 頑丈さがぼくの取り得なのデス!」
触腕はノエミの優れた部位を嫉ましいと打ち据える。全身を硬化させた彼女なら――それは全身に及ぶ。わずかな痛みも重なれば激痛。うっとうしいのデス! とノエミは無敵城塞を解除すると、ブロードソードで触腕を受けながら、削ぐ。
「守りは任せて欲しいのデス! その隙に!」
ノエミは周囲にいるだろう猟兵に、声高らかに告げた。攻めて攻めて攻め立てて、その隙にコアルームへ誰かがたどり着けるように。
大成功
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スカル・ソロモン
特攻と言うと死を恐れない者達のように聞こえるが、彼らは死を忘れただけだ。
では彼らに思い出させるとしよう、死のなんたるかを。
敵の数を減らす、というのも大変そうだ。まずはコアルームへの経路上から敵を退かすとしようか。
【挑発】で敵を誘き出しつつ【衝撃波、2回攻撃、なぎ払い、怪力、恐怖を与える】を駆使してタクティカル・スパインで敵集団とやり合うとしよう。
継戦時間を稼ぐためにも【生命力吸収】で体力を回復しつつ戦うのも良さそうだ。
弱った敵にはタクティカル・スパインで殴りつけてからのスカル・ブランディングでトドメを刺そう。
逃げ場がなくなったら【ダッシュ、ジャンプ、敵を盾にする】で敵を躱して仕切り直しだ。
エンティ・シェア
倒し切るだけの仕事じゃねーなら「俺」がやる
一先ずはライオンに騎乗して行けるところまで突っ切ろう
誰かが戦闘してる場面に遭遇したら敵に向かって突っ込んでやる。蹴散らすほどの威力はねーだろうけど、突破口くらいにはならんかね
コアルームに真っ直ぐ向かってる仲間が居るなら、囮にぐらいはなれるだろ
大事そうなもん壊してみたり派手に暴れたりして引き寄せられんかね
戦闘も基本はライオンと一緒。よほど不利ならしゃーねぇ、「僕」と交代だ
―「僕」の仕事は目の前の敵を殺すことです。誰かが終わらせてくれることを願って、務めましょう
挑発も混ぜて、コアルームへ向かわせないように
良いんですか、僕を野放しにして。全部殺してあげますよ
「おい、聞いたか?」
「ああ、聞いた。我々は攻撃に専念して、どちらかがコアルームに辿り着ければ」
「いいって事だよな! 行くぜオラァ!」
エンティ・シェア(欠片・f00526)とスカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)は頷き合って、左右に分かれ敵と対峙する。2mはあろうかという黄金の獅子を召喚し、エンティが騎乗して共に突っ込む。コアルームを狙っているように見せかけた囮。意図通り、通さぬと不定形どもがわんさか道を塞いでくる。
戦場を共にするヒーローマスクの動向を目で追いながら、周囲を破壊しつくすかのように踊り、暴れる。
敵は一体どれほど詰め込まれているのか、絶えることなくエンティを取り囲む。欲しい、欲しい、そのライオンが欲しい。作ってみよう、作ってみよう、少しへたくそになるけれど。
敵が次々にライオンとも何とも呼べない獣を作り出す。真似されている、と気付けばエンティは哂った。こいつらは真似をすることでしか、俺に対抗できないってか? 上等だ。本物にニセモノが勝てないって事を教えてやる。
――不利ではありませんか? 僕がやりましょうか。
「うるせえ! まだ“俺”で十分だ!」
嗤いながら吼えると、拷問具で敵を“獣”ごと喰らう。棘で刺し、刃で削ぐ。苦痛を与えるための道具であるが故に、相手を殺すまで時間がかかるのが難点だが。
コアルームに近づいた仲間がいた。咄嗟にエンティは傍の敵に鎖を伸ばして、こっちだと引き寄せ、刃を噛ませる。
「行けぇ!」
スカルは思う。彼らは死を恐れないのではない。死を忘れただけの者なのだと。ならば思い出させよう。死が如何に恐ろしく、抗いがたいものなのかを。
「死にたいものから前に出たまえ」
ひどく簡潔な挑発は、しかし死を前にした敵にはよく効く。触腕を振り上げた敵に背骨を模した杖――タクティカル・スパインを絡め、こちらへ引きずり出すと、絡みを解いたその棍で思い切り殴りつけた。容赦など微塵もない。恐れるように僅かたじろいだ敵をよそに、エンディングの時間だと、殴りつけた敵に死の刻印を付与する。じわり、と刻印が染み入って、びくり、敵は一度だけ痙攣して――動かなくなった。
死とはあまりにも突然で、差別も容赦もない。スカルは刻印を刻んだ敵から既に視線を逸らし、敵を相手にタクティカル・スパインを振るう。
――見えた。
マスク越しに見たのは、コアルームの扉。横目で拷問具を振るう同業を見るに。一番コアルームに近いのは自分のようだ。敵の多さを利用して、盾にもして扱いながら、間を縫うように一気に扉へ近づく。
あと少し――というところで、邪魔しようと現れた敵が何かに引っ張られた。
「行けぇ!」
――ああ、行くとも!
スカルはくるり、と最小限の動きで、コアルームに忍び込んだ。
「ふむ……」
仕組み自体はとても簡素なものだった。コアルームのコアに装置が取り付けられており、時間を刻んでいる。これがゼロになったら、この艦はKa boom! ――終わり、という訳だ。
スカルは手早く装置のスイッチを入れ、回線を組み替える。タイマーが一気に加速を始める。30から20、20から10、10から――
スカルは扉前まで後退し、出来る限り離れた。
「出来たかよ」
扉越しに、声がする。
「ああ、――上出来だ」
その声は、タイマーが0になって起こる爆発に掻き消され――
斯くして、特攻員と化した白魔艦隊の一船は、目論見を前にスペースデブリとなって消えるのだった。
大成功
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