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7thKING WAR㉔〜La Mascarade

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『ゼルデギロス』

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#召喚魔王『ゼルデギロス』


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●許乃波奈、散る迄
 水脈枯渇平原に佇む巨大な異世界の魔王の正体。
 それは――召喚魔王、ゼルデギロス。亦の名を此華咲夜若津姫とも云う。

 ガチデビルが特級契約書で呼び寄せた、異世界の魔王のひとり。
 山よりも遥かに巨大な身体を持ち、都市ひとつはあろうかという超巨大槍を携えたその姿は悪魔王遊戯が始まった直後からも見ることが出来た。
 猟兵達は様々なアトラクションを乗り越え、ゼルデギロスに近付けた。
 すると、ゼルデギロスから美しい女性の声が響いた。
「六番目の猟兵達よ、よくぞ来てくださいました。この顔の仮面を破壊すれば私は死にます。ですが私も戦わなくてはなりません」
 ――いざ、尋常に勝負!
 高らかに宣言された言葉は真っ直ぐで凛としている。
 この身体の持ち主、若津姫はゼルデギロスに乗っ取られているらしい。されど意識だけは保っており、こうして猟兵に呼び掛けているようだ。
 若津姫は山よりも巨大な槍、天槍を振るって襲いかかってきた。
「私は操られていますが……お気になさらず! 全力で挑み、私を倒してください」
 彼女は寧ろ容赦なく戦って欲しいと願った。
 自分が倒されることをまったく気にしていない、屈託の無い声は快いものだ。
「私は既に死した身……。ゆえに捨て身で挑まされますが、この戦いによってみなさんに教えられることもあるはず!」
 若津姫と呼ばれた者は魔王ゼルデギロスとして挑んでくる。
 彼女の望み通りに全力で戦い、そして倒す。
 弱点である仮面を倒すには彼女の身体を駆け上り、駆けていくしかない。相手が猟兵達を見つめていると、女性とは別の声が響いた。

『言う事を聞いて戦え……六番目の猟兵に殺されてしまうぞ!』
「ふふふ、流石にあなたの支配を全て退ける事はできません。しかし、この程度の支配度なら、あの方達は容易く私を殺すでしょう。あの方達は、私のぼうや達に勝るとも劣らない、素晴らしき武士でしょうから」

 ゼルデギロスと此華咲夜若津姫。
 ふたつの魂を宿し、魔王として降臨した者。舞い散る桜の着物を纏い、天槍を振るう姫は猛々しくも美麗だ。
 きっと、その散り際も桜の花のように美しいのだろう。
 恐るべき、そして――頼もしき者との戦いが今、此処で幕あける。


犬塚ひなこ
 こちらはデビルキングワールド『7thKING WAR』のシナリオです。
 決戦、召喚魔王ゼルデギロス!

●プレイングボーナス
『先制攻撃に対応し、相手の巨体を利用「しない」戦い方で反撃する』

 ゼルデギロスこと若津姫との戦いです。
 彼女は山より大きな『天槍』を振るい、力を制限された中でも全力の攻撃をしてきます。姫は自分より小さな者との戦闘に長けており、肌の上に攻め上る猟兵を巧みに、ときには自分への負傷をいとわず的確に攻撃してきます。

 敵はユーベルコードによる先制攻撃を放ってくるので、それに対処しつつ、相手の身体の上で「巨体を利用しない戦い方」で反撃しなくてはならないようです。
 山より高い身体を駆け上り弱点である仮面を破壊すれば、仮面の怨嗟と彼女の感謝と共に、ゼルデギロスの超巨体は消滅していきます。

 という流れですが、難しく考えずに全力で戦ってください。
 皆様の格好いいバトルシーンを、こちらも全力で書かせて頂きたいです。どうぞよろしくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『魔王ゼルデギロス・此華咲夜態』

POW   :    ジェットランページ
【天槍から噴出する強烈なオーラ】によりレベル×100km/hで飛翔し、【身長】×【武器の大きさ】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    天槍乱舞
【貫通衝撃波「フォーススティンガー」】【螺旋回転突撃「ドリルインパクト」】【神速連続突き「ミラージュランス」】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    ジャッジメントランス
【天高く天槍を投げ上げるの】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【オーラで構築した天槍の分身】で囲まれた内部に【裁きの雷】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルイ・エルドレッド
『今回も面倒ナ相手ダ』
「これくらい死にゲーのラスボスより楽じゃないか?」
『クックック。確かニ』

そう言っている間に落雷がルイ目掛けて。だがそのタイミングに合わせて飛び上ると抜いた剣に当て、帯電した状態で相手に斬撃として斬り付ける。とあるゲームから学んだ【戦闘知識】が活かされている

「俺たちを嘗めんなって。こう見えても俺、強いから」

その言葉と共にUCを発動。剣を戻し今度は銃を

「デカい図体を利用するまでもない。的が大きいんだからな」
『しっかりエイムしろヨ』
「分かってるって」

銃に[爆破属性、ホーミング、無限]、自分に[透明化、分身、回復]を付与。透明分身して、仮面に追尾する無限の爆破する徹甲弾を撃ち放つ


プフェルトラム・メーベルナッハ
──斯様な状態にありながら、私達の為に何かを残そうというのですね。
分かりました。ならば、私も私の全てを以て、貴女の御意志に応えましょう。
(一礼、魔法剣構え)

先制攻撃に対しては【ダンス】の緩急つけた動きと【フェイント】を交えて【残像】を形成、僅かでも直撃を回避できるよう試みます。
穂先を躱せれば、後はかの巨体が起こす大気の流れも利して身体を動かし、可能な限り被害軽減に努めましょう。

そして舞踏は止めません。
これこそ私の力にして私の在り方。
此を以て貴女を倒してこそ、意味があるのです。

淫蕩舞手の独壇場にて攻撃力を高め、彼女の身体を【ジャンプ】して一気に駆け登り。
その顔を覆う仮面に、魔法剣の斬撃を。


伊高・鷹介
・フン、なるほどね……要するにあの仮面をツブしちまえばそれでOK。デカイ姉ちゃんへのダメージは問わず、か。なら、遠慮無くやらさせてもらうぜ。

・先制攻撃対策
まっすぐ飛んでくる物体は横からの力に弱いってのは知ってるか? 姉ちゃんがどんだけデカて速くかろうが……その切っ先を少しズラしちまえばいいんだ。「念動力」を全開。突っ込んでくる相手に合わせて力場を集中展開し、行き先をズラしてやるぜ。風圧なんかも力場でいなすぜ。

・初撃を凌いだらこっちの番。いちいち山登りをする気はない。【超パワー】で力場を仮面付近に集中して「殴って」やる。自慢じゃないが、俺は津波や地震も起こせるんでね……その力を味わってくれや。



●フィールド・オブ・イェーガー
 召喚魔王、ゼルデギロス。
 悪魔王遊戯が開催されている魔界全土から見ることの出来る巨体は山より高く、見上げることそのものが大変なほど。
 そんな相手が此度の敵として立ちはだかっている。
『今回も面倒ナ相手ダ』
「これくらい死にゲーのラスボスより楽じゃないか?」
『クックック。確かニ』
 影から響く声に答えたルイ・エルドレッド(隠しボス・f36867)は恐れなど感じていなかった。強敵ならばこれまでに何度も戦ってきたからだ。
 そのことに加えて此華咲夜態の魔王は支配に抗いながら、此処で自分を倒せと願ってきている。もし完全に操られている状態であればこれ以上に恐ろしい相手だっただろう。
「――斯様な状態にありながら、私達の為に何かを残そうというのですね」
「さぁ、遠慮なく!」
 プフェルトラム・メーベルナッハ(千夜の踊り手・f00012)が此華咲夜若津姫に思いを馳せると、頭上から彼女本人の声が聞こえてきた。
「分かりました。ならば、私も私の全てを以て、貴女の御意志に応えましょう」
 頷いたプフェルトラムは覚悟を決め、魔法剣を構えると共に一礼する。その近くでは、伊高・鷹介(ディザスターコール・f23926)が今回の状況を見極めていた。
「フン、なるほどね……」
 此方が動く前に先制攻撃が向こうから放たれるだろう。
 その間に出来るのは対処について思考することのみ。だが、鷹介にとっては考えを巡らせるだけでも十分だ。
「要するにあの仮面をツブしちまえばそれでOK。デカイ姉ちゃんへのダメージは問わず、か。なら、遠慮無くやらせてもらうぜ」
 これまでの強敵と比べればやりやすいとも語れる状況だ。
 刹那、ゼルデギロスが天高く天槍を投げ上げた。周囲に仕込まれていった天槍の分身は瞬く間に裁きの雷を放ち、ルイ達を穿とうと迫る。
 同時に天槍から噴出する強烈なオーラを纏った若津姫が捨て身の勢いでプフェルトラムや鷹介に攻撃を仕掛けてきた。
「六番目の猟兵達よ、耐えてください!」
 若津姫からの呼び掛けは真剣なものだ。身体を操られていても尚、己を見失わぬ彼女の心の強さが強く感じられる。
 ならば、ルイ達もそれに応えるべく闘うだけ。
 ルイは自分目掛けて落とされた落雷を受け、痺れに耐えた。
「俺たちを嘗めんなって、ゼルデギロス」
 地を踏みしめながらルイが呼び掛けたのは、姫ではなく魔王の方。そのタイミングに合わせて飛び上がったルイは次の雷撃を抜いた剣に当て、帯電させる。
 そのまま一気に足元に向かったルイは雷を纏う斬撃を見舞った。それはルイがとあるゲームから学んだ知識が活かされている反撃技だ。
 同様に、鷹介とプフェルトラムも天槍の攻撃に対抗していた。
「美しい軌跡ですね。ですが……!」
 プフェルトラムは舞踊を応用した緩急をつけた動きで以て、フェイントを交えた残像を作り出していく。形成された残像によって相手の狙いはぶれるはずだ。そうすることで、僅かでも直撃を回避できれば僥倖。
 優雅に舞うプフェルトラムは間一髪で穂先を躱す。
 流石は魔王とも呼ばれる実力を持っている相手だ。ゼルデギロス、ひいては此華咲夜若津姫の実力を認めたプフェルトラムは双眸を細めた。
 鷹介も身を逸し、巨大なエネルギーの奔流に耐えきっている。
「まっすぐ飛んでくる物体は横からの力に弱いってのは知ってるか?」
 頭上に目を向けた鷹介は念動力を展開した。
 激しく振るわれる天槍が起こす風圧からのダメージもあったが、今はそんな痛みなど無視してしまえばいい。
「いいか、姉ちゃんがどんだけデカて速くかろうが……その切っ先を少しズラしちまえばいいんだ。こっちも全力全開で挑むからな!」
 更に突っ込んでくる相手に合わせ、鷹介は力場を集中展開していく。
「その行き先をズラしてやるぜ」
 再び巻き起こった風圧も今は、展開した力場でいなせるようになった。初撃を受けざるを得ない状況にあっても、此処からは反撃と攻勢に入る時間だ。
「初撃を凌いだらこっちの番だ」
「ええ、その通りです」
 プフェルトラムは鷹介が起こした力場を利用させて貰うことを決め、真っ直ぐに此華咲夜若津姫を見つめた。
 かの巨体は激しい攻撃を起こすのに有利。
 だが、その大気の流れは猟兵側にも恩恵をもたらしてくれる。風を利用して身体を動かしたプフェルトラムは決して舞踊を止めない。
 自分も、そして仲間も。可能な限り被害を軽減させることを努めま、プフェルトラムは美しい舞を披露していった。
 其処へユーベルコードを放ったのはルイだ。
「こう見えても俺、強いから」
 宣言する言葉と共に発動したのはドミネーションエリア。
 先程まで構えていた剣を戻し、今度は銃を取り出したルイは銃口を若津姫に向ける。激しい雷が止むことはないが、此処からは猟兵の見せ場だ。
「デカい図体を利用するまでもない。的が大きいんだからな」
『しっかりエイムしろヨ』
「分かってるって」
 影から響く声を受け、ルイは銃に己の力を込めた。
 既に此処はルイが様々なエフェクトを自在に付与できる世界の最中。爆破属性とホーミング、無限銃弾。そして自分には透明化と分身、回復力を付与したルイは一気に透明分身を行っていく。
 撃ち放った徹甲弾は魔王ゼルデギロスの仮面を追尾していきながら、無限の爆破を巻き起こす仕様だ。鋭い音が響き渡る中、ルイは更に銃爪を引く。
 圧倒的な大きさを誇る相手であっても、猟兵達は決して怯まなかった。
「どうぞご覧くださいませ、私の舞を、私の身体を――」
 プフェルトラムは踊り続け、己の肢体を用いて独壇場を作り上げていく。
 その舞踏はゼルデギロスにしかと見られていた。そのことがプフェルトラムの心を沸き立たせ、更なる力に変わっている。
「これこそ私の力にして私の在り方。」
 勝てば手段は問わないなどという戦い方は無礼に当たるだろう。それゆえにプフェルトラムは己らしさを貫くことを心に決めていた。
「此を以て貴女を倒してこそ、意味があるのです」
 淫蕩舞手の場によって力を高めたプフェルトラムは、若津姫の身体に跳躍した。ひといきに駆け登った彼女は魔法剣フラメ・テンツェリンを構えている。
 疾く駆けゆく後ろ姿を見送り、密かな応援を送った鷹介。
 彼は仲間と違って山のような巨体を登る心算はなかった。展開し続けている力場を利用して、この位置から殴ってやればいいからだ。
「その気になれば俺は津波や地震も起こせるんでね……この力を味わってくれや」
 狙いを仮面付近に集中してゆく鷹介は不敵に笑む。
 ルイが巡らせた実効支配の間合いの力もあり、周辺領域は猟兵のものとなっていた。
「ここでは俺が……いや、俺達ルールだ」
「まだまだ行くぜぇ!」
 ルイと鷹介が其々の能力を解き放っていく中、プフェルトラムは頼もしさを抱く。そして、彼女はひといきに若津姫の仮面まで到達した。
「ふふ、見事な力と連携です。後を託すに相応しい方々ですね」
 此華咲夜若津姫はルイと鷹介、プフェルトラムに微笑みを向ける。その賞賛が光栄なものだと感じた猟兵達は更なる力を紡ぐ覚悟を決めた。
 そして――。
「さぁ、私達の全力をご照覧あれ」
 若津姫の顔を覆う仮面に、プフェルトラムが放った刃の斬撃が深く突き刺さった。
 戦場に炎が迸り、熱い願いと思いが交錯する。
 こうして、召喚魔王ゼルデギロスとの戦いは激しく続いてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト
いいよ、こっちだって手加減してあげないんだから!

自分より小さな相手との戦いは慣れてるみたいだけれど、
自分と同じ大きさの相手とだったらどうかな?

【深緑、底知れぬ恐怖を育め】
同じ山のような身の丈の『高き森の怪物』に変身して、先制攻撃に備えるよ
大地に根を張って、暴風に倒されないようにして、彼女の突撃を真っ向から迎え撃つ

ところで、実はわたしも槍を持ってるの
大地のマナを集めてカタチにした光の槍。大龍脈
根を張っている今なら、この地のマナを利用して、その槍を手元に即座に作り上げることが出来る
彼女の突撃の瞬間、カウンターを狙ってみる
驚いてくれるかな?

最後の最後まで楽しみましょう
きっと、その方がいいから、ね


葛葉・御前
連携も即興劇も自由にするがよいぞ

妾には問い質したい事はない

戦場でまみえたならば礼を尽くして、全霊を賭けて、打ち倒すのみぞ

妾は高速詠唱と多重詠唱により、攻防一体の隙のない立ち回りを可能とする
己の身を結界術で護りつつ、同時に攻撃を行えるのじゃ

まして天槍を投げ上げて、更には攻撃地点を事前に天槍の分身で囲むなど、言わば二重に攻撃の予兆が存在する技であろう
そのような技、たとえ先手をとられたとしても、避けるのは容易い事じゃ

妾の尾に宿る日曜星の神氣が、勝利と栄光の暁をもって武士たちを照らし上げるじゃろう
力を振り絞り、結集させるのじゃ
妾が立つ戦場に敗北の文字はない


ティオレンシア・シーディア


うっわあ…大きさを利用「しない」って、パッと浮かぶ手筋が粗方消えるんだけど。勘弁してほしいわねぇ…
あたしこの手の相手はあんまり得意じゃないんだけどなぁ…

防御してどうこうってのはどう考えても無理筋だし、なんとか躱すしかないわねぇ。
ラド(車輪)と韋駄天印(迅速)で機動力を底上げ、エオロー(結界)と風天印(風)で耐衝撃〇オーラ防御を展開。●轢殺起動して流紋にマルガリータを直結、機体制御と軌道演算任せて――全速でバック。焼け石に水でしょうけど少しでも相対速度合わせてギリギリ〇見切ってバレルロール回避。○カウンターで仮面に流鏑馬ブチ当てるわぁ。
特に聞きたいこともないし、登るよりこっちのが現実的でしょ。



●燦然なる光と大地の導き
 魔王ゼルデギロスによって身体を奪われた此華咲夜若津姫。
 彼女は嘗ての能力を封じられながらも圧倒的な巨躯と力を揮って襲い来る。それはゼルデギロスへの抵抗でもあり、猟兵達に何かを教える為の行動だ。
「いざ、尋常に勝負!」
「いいよ、こっちだって手加減してあげないんだから!」
 若津姫から掛けられた言葉を真正面から受け止め、アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は真っ直ぐな思いを返した。
 その近くではティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)が若津姫の巨体を見上げていた。
「うっわあ……あたし、この手の相手はあんまり得意じゃないんだけどなぁ……」
 されど、彼女は怖気付いているわけではない。
 此度は敢えて大きさを利用しない戦い方をすれば有利を取れる。だが、あの巨躯を利用する方が浮かぶ案も多い。
「パッと浮かぶ手筋が粗方消えるんだけど。勘弁してほしいわねぇ」
「何、その方が戦い甲斐がある」
 ティオレンシアの呟きに答えたのは葛葉・御前(千年狐狸精・f36990)だ。若津姫は此方の問いかけや声に応えてくれるらしいが、葛葉御前にその気はない。
 問い質したい事柄はない。戦場でまみえたならば礼を尽くして、全霊を賭けて――。
「此華咲夜若津姫、お主を打ち倒すのみぞ」
「いいでしょう。それでこそ武士というものです」
 葛葉御前の言葉が聞こえたらしく、若津姫は快い視線を向けてくる。その目元は仮面で覆い隠されているが、葛葉御前は確かな眼差しを感じていた。
 三人が身構えた刹那、ゼルデギロスとしての攻撃が猟兵達に放たれる。
 ユーベルコードを紡ぐ暇は与えられなかった。それゆえにアウルとティオレンシア達は其々に身構え、天槍から噴出するオーラに耐える。
 同時に解き放たれた天槍の分身から裁きの雷が轟き、葛葉御前を貫こうとした。
 だが、猟兵達もただ待ち受けていたわけではない。
「防御してどうこうってのはどう考えても無理筋だし、なんとか躱すしかないわねぇ」
「どんな痛みだって耐えてみせるよ!」
 ティオレンシアは直撃を避けながら立ち回り、アウルも強い意志とオーラを躱す動きで対抗していった。
 葛葉御前も高速詠唱と多重詠唱を重ね、攻防一体の受け身を取っている。己の身を結界術で護りつつ、同時に繰り出した反撃は神氣の力。
 ――日曜尾・光輝燦然。
 九尾に宿る日曜星の力によって太陽の如き光輝が周囲に広がった。それは周囲の仲間すべての痛みを癒やしながら、再行動の一手を与えるもの。
 葛葉御前の力を受けたアウルは好機を掴み取る。
 此処からが猟兵の見せ場だ。
「自分より小さな相手との戦いは慣れてるみたいだけれど、自分と同じ大きさの相手とだったらどうかな?」
 アウルは黄金の瞳を覚醒させ、高き森の怪物に変身していく。
 ――深緑、底知れぬ恐怖を育め。
 見る間に巨大化したアウルは若津姫と同じ山のような身の丈になっていく。先制攻撃には耐えられたが、この後も同じ激しさの攻撃が巡るのだろう。
 アウルは大地に根を張り、暴風やオーラに倒されないようにしかと己を支えた。
 この先も此華咲夜若津姫からの攻撃や槍突撃を真っ向から迎え撃つ狙いだ。一緒に仲間に被害が向かわぬように盾になる目的もあった。
「まぁ、なんという頼もしさでしょうか」
「大きさだったら負けないよ! それに、実はわたしも槍を持ってるの」
 若津姫に対し、アウルは片腕を掲げる。
 この地に眠る大地のマナを集めてカタチにした光の槍。その名も大龍脈。
 地面に根を張っている今なら、最大限のマナを利用して此華咲夜若津姫の天槍と真っ向勝負が出来るはず。
 槍を即座に作り上げ、構えたアウルは一気に攻勢に出た。
 狙うは彼女の突撃の瞬間。空を舞う魔王と地に根を張る高き森の化身。
「この一撃、驚いてくれるかな?」
「――!」
 槍と槍が衝突しあい、激しい衝撃が周辺に散った。其処から巻き起こった風は辺りを巻き込むほどのものとなって迸る。
「素晴らしい! 私のぼうや達に勝るとも劣らないと感じたことは確かでしたね」
 若津姫はアウルの全力を称賛した。
 アウルの身体にも衝撃が巡っているが、回復は仲間が担ってくれると信じている。
「うむ、見事な一撃じゃった」
 葛葉御前は仲間が受けた傷を察知し、再び尾を振った。
 日曜星の神氣は癒やしとなり、アウルの背を支えている。其処に追撃を与えに行ったのはティオレンシアだ。
 機動力をあげ、結界術を用いた耐衝撃防御陣を展開したティオレンシアはユーベルコードの力を解き放っていった。
 ――轢殺。
 起動した流紋にマルガリータを直結。AIに機体制御と軌道演算を任せたティオレンシアは、全速でバックする。
「焼け石に水でしょうけど少しでも相対速度を合わせれば……」
 こうすることで次の一撃は見切れるだろう。
 バレルロール回避。其処からのカウンターを狙ったティオレンシアは仮面そのものに流鏑馬を直撃させる狙いだ。
「遠慮なくブチ当てるわぁ」
 バイク型UFO、ミッドナイトレースが戦場を翔ける。ティオレンシアが放った一閃は見事にゼルデギロスの力を削り取った。
「特に聞きたいこともないし、登るよりこっちのが現実的でしょ」
 このまま次々と攻撃を打ち込んで行こうと決め、ティオレンシアは若津姫を見上げる。
 その間も葛葉御前は九尾に宿る力を行使し続けていた。
 若津姫は更に天槍を投げ上げる。
 されど、葛葉御前は既にその一撃を見切っていた。
 あの動作の後、攻撃地点は天槍の分身で囲まれる。葛葉御前にすれば、言わば二重に攻撃の予兆が存在する技でしかない。
 先程の初撃もそうやって致命傷を避けたのだ。
「そのような技、何度来られても避けるのは容易いぞ」
「なるほど、そう判断しましたか。見事な分析力ですね」
 いいこです、と語った若津姫が葛葉御前を褒める様はまるで自分の子を見ているような慈しみに満ちていた。おそらく、ぼうやと語った者達と葛葉御前を重ねて見ている。
 それは決して悪いことではない。
 若津姫は身体を操られながらも此方をしっかりと見つめ、称賛してくれている。葛葉御前は快い気持ちを抱き、此処からも全力を振るうことを決めた。
「妾の神氣が、勝利と栄光の暁をもって武士たちを照らし上げるじゃろう」
 持てる限りの力を振り絞り、結集させる。
 葛葉御前の意思は輝きへと変わり、戦場に勝利を運ぶ軌跡となっていく。ティオレンシアは光を受け、薄く笑む。
「綺麗ねぇ」
 その言葉を聞きアウルもそっと頷いてみせた。
「最後の最後まで楽しみましょう。きっと、その方がいいから、ね」
「ええ、存分に参りましょう」
 此華咲夜若津姫も日曜星の神氣を見つめ、更なる槍撃を振るってくる。天槍と大龍脈の槍が再び交差する中、葛葉御前が放つ光輝の力が戦場を目映く照らした。
「――見よ。妾が立つ戦場に敗北の文字はない」
 それは栄光の煌めき。
 光が指し示す方向には、勝利の道が続いている。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セレナリア・アーチボルト
あの大きな人、どこかで見た様な……。
いやでもまさかあんな大きな人が私の主人を知ってたりしないですよね。
気になりますけど真剣勝負に迷いは不用!いざ勝負!

ジェットランページは突撃技、面ではなく点での攻撃ですね!
だったら地表をダッシュで逃げ回って地面を狙わせてみましょう
ナイトランスが埋まったりすればその隙に武器に登れば攻撃し辛いでしょうしね!……なんで攻撃方法を知ってるんでしょう?
まあいっか! ひたすらジェットを噴かせてお顔に向かってGOGOGO!
その仮面、砕かせていただきます!

あー、いや、やっぱり気になります。あなたの言うぼうや達ってどちらの方ですか……?


大町・詩乃
私も死した後は此華咲夜若津姫さんのように未練を抱かず、後進に全てを委ねたいものです。
そのお見事な覚悟に報いる為、世界と人々を護る為、全力でお相手いたします!

先制攻撃は第六感で攻撃軌道を予測。
とても大きな武器ですので、残像を地上に残し、空中浮遊・自身への念動力にて空へと飛翔し、空中戦・見切り・ダンスにて空を大きく舞うように回避します。
余波はオーラ防御で耐えます。

そしてUC発動。
前述の回避方法に加えてUCの高速飛翔能力を使い、仮面に接近。
煌月に雷の属性攻撃・神罰・破魔・浄化を籠め、UC効果に加えてなぎ払い・鎧無視攻撃・衝撃波で仮面のみを斬り裂きます。

醜悪なる魔王よ此華咲夜若津姫さんを解放しなさい!



●ぼうやと呼ばれし者
「あの大きな人、どこかで見たような……」
 山の如く巨大な女性、此華咲夜若津姫。
 一度見れば絶対に忘れないような出で立ちの相手を振り仰ぎ、セレナリア・アーチボルト(ストレンジジャーニー・f19515)は首を傾げる。
 記憶の奥底から何かが拾い上げられそうだったが、セレナリアは肝心なことを何も思い出せないでいた。首を横に振ったセレナリアは気を取り直し、現状を見据える。
「いやでもまさか……あんな大きな人が私の主人を知ってたりしないですよね。気になりますけど、真剣勝負に迷いは不用!」
 いざ勝負、と言葉にしたセレナリアは魔王ゼルデギロスを見上げた。
 その隣では、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)が身構えている。詩乃はゼルデギロスに乗っ取られても尚、若津姫として意識を保っている彼女に感心していた。
「私もいつか死した後は此華咲夜若津姫さんのように未練を抱かず、あのように後進に全てを委ねたいものです」
 彼女の潔さたるや、尊敬に値するもの。
 それゆえに詩乃は全力で、一切の手心を加えずに挑むと心に決めていた。
「そのお見事な覚悟に報いる為、世界と人々を護る為、手は抜きません!」
「ええ、その意気です。参りますよ!」
 頭上から響く若津姫の声も猟兵達への慈しみと真剣さに満ちている。そして、ゼルデギロスとしての一撃がセレナリアと詩乃へ解き放たれた。
 天槍から繰り出される強烈なオーラ。
 そして、一点だけを狙った鋭い一撃。それはまともに受ければただでは済まないほどの威力だ。されどセレナリアも詩乃も慌てず、攻撃の性質を見極めた。
 ジェットランページは突撃技。
 つまり面ではなく、点での攻撃だ。それならば此方は地表をダッシュで逃げ回っていき、狙いを狂わせると共に地面を狙わせてみればいい。
「これでどうでしょうか!」
「こうすれば私達への直撃は防げるはずです」
 詩乃は残像を地上に残し、空中浮遊で以て地面から離れた。
 次の瞬間、地表に巨大な天槍が突き刺さる。その余波で崩れた地面が周囲に激しく飛び散っていく。地上で身構えたセレナリアや、空中に移動した詩乃に衝撃が向かったが、直撃よりはましな痛みだ。
「見てください、ナイトランスが地面に埋まりました!」
「今のうちに反撃ですね」
 セレナリアが示した隙を狙い、詩乃はオーラ防御を巡らせていく。セレナリアはこの間に武器に登れば相手が攻撃し辛いと予測した。
 しかし、ふと疑問が浮かぶ。
「あれ、私……なんで攻撃方法を知ってるんでしょう?」
 既視感があるからだろうか。
 どうしてか分からなかったが、今は深く考えている暇はないだろう。もしも気になって仕方ないのならば後でめいっぱい考えてみればいい。
「まあいっか! GOGOGO!」
 セレナリアはひたすらジェットを噴かせ、若津姫の顔に向かっていく。
 其処に続き、詩乃も空を舞う。優雅な舞踊で以て斬り込むが如く、詩乃は若津姫目掛けて進んでいった。
「全力でお相手いたします!」
「こちらも捨て身でいきましょう」
 迎え撃つ若津姫に対し、詩乃は神性を解放する。若草色のオーラを纏った彼女の力は危害ある全てを浄化して消滅させるものだ。
 人々や世界を護りたい想いは詩乃の力を更に増していく。
 その高速飛行術で先んじて仮面に接近した詩乃は、煌月に雷の属性を纏わせた。神罰と破魔、そして浄化の念を籠めた薙刀がひといきに振り下ろされる。
 衝撃波が巻き起こされる中、セレナリアも仮面に到着した。決戦用のメイドの嗜み、もといハンマーが仮面を大きく穿つ。
「その仮面、砕かせていただきます!」
「醜悪なる魔王よ、此華咲夜若津姫さんを解放しなさい!」
 セレナリアのまっしぐらな一撃と、詩乃の真っ直ぐな神撃。
 ふたつが重なった瞬間、此華咲夜若津姫の巨躯が大きく揺らいだ。仮面にはかなりのダメージが響いているようだ。
「ふふ、ぼうや達のようにお強い……」
 体勢を立て直した若津姫がちいさく呟いた。
 先程から語られているぼうや達とは何なのだろうか。戦いの最中に気にしてはいけないと思っていたのだが、セレナリアはずっとそれが気に掛かって仕方なかった。
「あー、いや、やっぱり気になります」
「どうかしましたか?」
 詩乃が不思議そうにしている中、セレナリアが耐えきれずに問いかけていく。
「あなたの言うぼうや達ってどちらの方ですか……?」
「私のぼうや達ですか? それは――」
 そして、此華咲夜若津姫はセレナリアの問いに返答した。
 その答えは――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
ワン嬢(f00710)と。
これは……富嶽にも勝るような偉容。

己が蚤になった錯覚すらしますが――ワン嬢が隣にいてくださるなら、意気だけはかの巨躯をも呑んでみせましょう。

此度も頼りにしておりますぞ。


此方こそ、全力で参る。
大槍の乱閃、愛馬に【騎乗】しながらの疾走で回避し、ワン嬢の攻め手が整うまでの囮も兼ねましょう。

穂先を【見切り】、狙いを読んで直撃を躱しつつ近くの地面や壁を【怪力】の斬撃で崩し、粉塵を撒き散らしつつ視界を曇らせ狙いを撹乱。
衝撃波は【結界術】で抑え込み、吹き飛ばされぬように。

そして好機と見れば【鉄騎走舞】の力を得て仮面の元まで。
全霊込めた【鎧砕き】の一閃にて砕かせて頂く。


ワン・シャウレン
鞍馬(f02972)と

なんとも潔いもの
話の分かる相手であれど勝負と言われては乗る他あるまいが、
しかしまぁ手綱も握れぬとは高望みが過ぎたの魔王

狙うは仮面か
火力はお主が上。わしが引き付け目晦まし、お主が攻め入るが良かろ
間を与えればすぐ気づきそうじゃし速度重視

動きを見るに懐に入られての戦闘にも慣れてそうじゃからな
あえて入らぬ、そちらの間合いに合わせる
槍撃から距離を保ち回避に集中、衝撃波には注意し同じく回避か
受けられそうなら呼び出した水やオーラを使って上を滑って受け流すことも考える
攻勢を凌いで距離を合わせたら鞍馬に当たらぬ間合いで水天輪を使用
利用はせんが巨体に見合うサイズのリングで殴り合いよ



●武勇の水天疾駆
「これは……」
 振り仰ぐ天空。その果てまで届くかのような巨躯の女性。
 此華咲夜若津姫の姿を見上げ、鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)は素直な感想を零す。
「まさに富嶽にも勝るような偉容ですね」
 景正が山と彼女を見比べると、若津姫の声が頭上から降ってきた。
「さぁ、六番目の猟兵達よ。いざ尋常に勝負です!」
「なんとも潔いものよ」
 ワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)は若津姫の快さに感心している。言葉も真っ直ぐに通じており、此方に親愛にも似た感情を抱いている相手。
 実に話の分かる相手ではあるが、彼女は或る意味では囚われの身。そして、真剣勝負と言われては乗るほかない。
「しかしまぁ手綱も握れぬとは高望みが過ぎたの、魔王とやら」
 ワンが次に意識を向けたのは若津姫を乗っ取っている魔王ゼルデギロスだ。強い身体を手に入れても操りきれないのでは意味がない。
 景正もゼルデギロスを倒すことを心に決め、ワンの隣に立つ。
「己が蚤になった錯覚すらしますが――ワン嬢が隣にいてくださるなら、意気だけはかの巨躯をも呑んでみせましょう」
「わしもお主とならば、何でも為せると思っておる」
「此度も頼りにしておりますぞ」
 二人は視線を交わし、すぐに身構えた。そうした理由はゼルデギロスとしての若津姫が攻撃を放つ気配を察したからだ。
「今の私が出せる全力で行きます。どうか受け止めてください!」
「此方こそ、全力で挑もう」
「受け止めるどころか、倍以上にして返してやろうぞ」
 景正とワンは若津姫の言葉に応えるべく、其々の行動に出た。
 貫通衝撃波。其処から繰り出される螺旋回転突撃。神速の連続突きが目にも留まらぬ速さでゼルデギロスから放たれた。
 景正は大槍の乱閃を少しでも避けるため愛馬の夙夜を呼び寄せていた。槍撃が放たれる直前に駆けてきた夙夜に飛び乗った彼は、風圧に耐えながら素早く立ち回っている。
 疾走する夙夜がやられぬよう、振るい上げた鞍切正宗で攻撃を弾いた。
「鋭い一撃ですが、まだ潜り抜けようはあります」
 激しい攻撃だが、その一撃ずつは軽い。その速さが威力を代償にした連撃ならば多少受けようとも耐えられた。
 景正は繰り出され続ける穂先を見切り、たえず狙いを読んだ。直撃を躱しつつ、派手に立ち回り続けるのには意味がある。
 狙うは仮面。
「火力はお主が上。わしが引き付け目晦まし、お主が攻め入るが良かろ」
 ワンの言葉に頷いた景正は刀を握り直した。
 攻め込みながらもワンの攻め手が整うまでの囮も兼ねて動く景正は勇猛果敢そのもの。ワンも彼の援護になるよう動くことに努めた。
 間を与えればすぐに相手も気付くだろう。
 あの動きを見るに、向こうは懐に入られての戦闘にも慣れていそうだ。
「ふむ。ならばあえて入らぬ」
 そちらの間合いに合わせる、と声にしたワンもまた槍撃を回避していく。ある程度の距離を保てば回避に集中できる。
 攻撃の余波である衝撃波には注意しなければいけないが、数撃ならば連続でくらっても耐えきれそうだ。
 その間に景正は斬撃を放つ。その狙いは近くの地面だ。怪力で以て崩した大地で粉塵を生み出し、撒き散らした景正は自分の姿を眩ませる。
 相手の視界を曇らせて狙いを撹乱したならば、次は攻勢に入る時。
 ワンも好機に気付いたらしく、水天輪を発動させた。
「さて、薙ぎ払ってくれるわ」
 精霊の力を帯びた水の環が鋭く飛び、若津姫の顔を覆う仮面に向かっていく。透き通った青の一閃が敵を穿つ中、景正は結界術を張り巡らせた。
 この先の好機に向け、吹き飛ばされぬように衝撃波を抑え込むためだ。
「――参る」
 宣言した景正は鉄騎走舞の力を得て、仮面の元まで一気に駆けた。甲冑を乗騎の鎧に変化させることで風よりも疾く駆けた景正は大太刀を構え直す。
 彼が遥か高き仮面まで到達できるよう、ワンが次々と水天輪を繰り出した。
 ワンの水環は若津姫とも渡り合えるほどに巨大化され、殴り合いの如き連撃が相手を穿っていく。ワンの援護に感謝と頼もしさを抱き、景正は刃を仮面に向けた。
「この一閃にて砕かせて頂く」
 全霊を込めた斬撃が振り下ろされ、禍々しい仮面に罅を入れることに成功した。その瞬間、ワンと若津姫の声が重なる。
「流石、見事じゃ」
「流石ですね、お見事です」
「む?」
「まぁ、同じことを……。私達はどうやら気が合うようですね」
「そのようじゃな」
 若津姫は口元を緩め、おかしそうに笑った。その間もゼルデギロスとしての攻撃は放たれているが、ワンは呼び出した水の上を滑ることで回避した。
「これでも未だ倒れぬ、と。流石なのは其方です」
 景正は夙夜の手綱を引き、危険区域から脱していく。その際に若津姫への賞賛を向けた景正は静かに双眸を細めた。
 もし若津姫が敵として現れなければ、今のようにワンと穏やかな会話を交わしていたのかもしれない。されど若津姫は既に死を迎えている者。
「ワン嬢、いけますか?」
「勿論じゃ」
 彼女の願い通りに遠慮なく倒すべきだとして、景正とワンは思いを重ねた。
 そして、猟兵達は果敢に戦い続けていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヲルガ・ヨハ


ふふ、ふ
かの姫君の言葉に
深く笑む

嗚呼、嗚呼
これ程迄の強大な敵にまみえるとは
先手なる一撃も
いっそ、喰らうてしまいたい
なれど、ああ、口惜し
ひとたまりもないのだろう……ふふ

煙(けぶり)が如き『オーラ防御』を纏い
『限界突破』で迎え撃つ
直撃とならぬ様、見定め、軌道をそらし
――そなたの武、確と憶えた
その信念を、つまらぬ仮面なぞに覆わせはしない
そんな愚弄はゆるさぬ
気力一つで、意識を繋ぎ止めてでも、立つ

UCを用い
神力をくゆらせ、完全竜体(真の姿)に変ず
人形たる"おまえ"は術で逆鱗の内におさめ
巨躯に沿い、最高速度で飛翔する

悪霊たる身はほろほろとほろろぐ
ゆえに
そなたの武に応え、わが身を賭し抗おう
的確な攻撃は
闘気帯びた尾で『なぎ払い』の反動で移動し、或いは飛翔するまま距離をとる
放ち続ける霹靂は、攻勢にあらず
駆け上がる仲間への援護に他ならぬ

撃ち落とされようとも意識ある限り
這いあがってやろうぞ
昇りきったならば
わが身厭わず、迷いなく、かの仮面へと人形を落とす

砕け、
"おまえ"が拳の『捨て身の一撃』
ただ一撃を、当てよ



●青天の霹靂、天槍の風
「――ふふ、ふ」
 ヲルガ・ヨハ(片破星・f31777)は深く笑む。
 愉しげに、何処か嬉しげに声を紡いだ理由は、かの姫君の言葉を聞いたゆえ。
 既に己が身は死した。
 操られていようとも希望を抱き、此の戦いで教えられることもあるはず。
 そのように語った此華咲夜若津姫。今は魔王ゼルデギロスの依代ではあるが、生前のままの彼女の意思が残っている。
「嗚呼、嗚呼」
 ヲルガはこの状況に感嘆していた。
 あの巨躯から繰り出される攻撃はどれも強力なものに違いない。そして、彼女もまた武士のような心意気を宿している。
「これ程迄の強大な敵にまみえるとは――」
 先手は確実に取られる。その一撃もいっそ喰らうてしまいたい、と思うほど。されどヲルガは知っている。
「ああ、口惜し。まともに受ければひとたまりもないのだろう……ふふ」
 悔しさを言葉にしながらもヲルガは笑っていた。
 刹那、此華咲夜若津姫が持つ天槍から強大なオーラが噴出した。此方が狙われていると察したヲルガは即座に防御陣を巡らせる。
 間に合うか否か。
 それほどの瀬戸際を感じるほど、ゼルデギロスとして動く若津姫の動きは速い。
 だが、ヲルガは間一髪で槍の穂先を避けた。
 直撃とならぬようによく見定め、軌道をそらした結果だ。風圧で吹き飛ばされそうになるほどの衝撃が地面に疾走ったが、瞬時に煙が如きオーラを纏ったことで致命傷は防がれた。
 この相手には常の状態では勝てない。
 なれば、と小さく呟いたヲルガは己の力を限界突破させていく。次に何が来ようとも迎え撃つ意思を抱き、ヲルガは反撃へと移っていった。
 ヲルガの姿は瞬時に完全な竜体に変わる。
 飛翔することで地面から離れたヲルガは自由自在に空を舞った。
「――そなたの武、確と憶えた」
 若津姫本人として相見えたならば、更に心が躍っただろう。しかし、彼女の身は死したもの。それをゼルデギロスに乗っ取られているとなれば胸の奥がざわめいた。
「その信念を、つまらぬ仮面なぞに覆わせはしない」
 そんな愚弄は赦さない。
 気高き者を地に落とすような行いをした魔王ゼルデギロス。その存在にヲルガが向けるのは必ず討ち斃す決意だ。
 たとえどれほどの痛みを負おうとも、気力で立ち続ける。
 無理矢理に意識を繋ぎ止めてでも戦い続けたい。ヲルガが裡に秘め、雷撃の力として振るう思いは何よりも強く巡っていた。
 空が轟き、神力がくゆる。
 まことの姿を見せ、巨躯の若津姫の周囲を翔ぶヲルガ。雷が激しくゼルデギロスとしての身を貫く中、ヲルガの逆鱗に潜むものがいる。
 それはヲルガが常に連れる人形、“おまえ”と呼ばれるものだ。
 術で逆鱗の内におさめられたからくり人形もまた、ヲルガと共に在る。ヲルガは更に振るわれた天槍の一撃を受け止め、衝撃を空中に散らした。
 避けきるのでは風圧や衝撃波が飛んでくる。それゆえに、いなして留めることが最適解だと判断したからだ。
 巨躯に沿い、最高速度で飛翔するヲルガは若津姫の視線を感じていた。
 目元は仮面で覆われているが、確かな眼差しが此方に向けられている。おそらくヲルガのことを認めてくれているのだろう。
 それゆえか、悪霊たる身はほろほろとほろろぐ。
「そなたの武に応え、わが身を賭し抗おう」
「ええ、その志たるや素晴らしきもの。私も今の全力で参りましょう」
 言葉が交わされ、思いが重なる。
 天槍は尚もヲルガを貫こうと迫ってきた。若津姫の的確な攻撃は称賛に値するほど。しかし、ヲルガも直撃からの致命傷は避けたい。
 ヲルガは闘気を帯びた尾で槍を薙ぎ払い、その反動で一気に空を翔けた。大きく移動したことで相手の狙いは付け辛くなるはず。
 そのまま高く飛翔したヲルガは敢えて一度、距離を取った。
 絶えず放ち続ける霹靂は。それは攻勢に見せかけて、攻撃にあらず。かの巨躯を駆け上がる仲間への援護として巡らせ続けているものだ。
 何人かの仲間が魔王ゼルデギロスの仮面に向かっていくことを確かめ、ヲルガは竜体を華麗にひるがえした。
 振るわれる天槍の衝撃波は何度もヲルガを穿っている。
 だが、撃ち落とされたとしても意識ある限りは動き続けると決めていた。
「幾度でも這いあがってやろうぞ」
「強き御方ですね、あなたは」
「嗚呼、恐悦至極に存じる」
 ヲルガは此華咲夜若津姫に礼を尽くし、竜眼を細める。そして、仲間達が昇りきったことを見遣ったヲルガは本当の攻勢に入ってゆく。
 わが身を厭わず、迷いもなく――かの仮面へと人形を落とす。
 槍から齎される痛みも、身体中を駆け巡る衝撃に耐えたのもすべて此の時のため。
「――砕け。ただ一撃を、当てよ」
 ヲルガが命じた言葉と共に、繰り出されるのは“おまえ”の拳。捨て身で以て解き放たれた一撃は主の願い通り、悪しき仮面を打ち貫いた。
 刻まれていた罅が大きくなり、ゼルデギロスの力が弱まる。
 あと僅かで勝利を得られると確信したヲルガは、更なる雷を迸らせていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

エンティ・シェア
【奇縁】

強い意志を持って凛と立つ女性は、実に美しいものだね
心惹かれるのも分かるとも
はは、そうだねぇ、思う一人が居るならば、戦場に邪など持ち込むまい
…お互いに、ね
さて、お気になさらずといわれても、気には、なるさ
さりとて手を緩めるのは貴方に失礼だ
お相手願おう、気高き魂を持つ、麗しの姫君

山より大きな貴女に組み付くなら、飛んでいくのも手だろうか
化楽三重奏で白兎に転じて
そっとふわふわ飛んでいこう
隠れる気はないよ。クロトが動きやすいよう、多少目立つ心づもり

移動時は彼女の肌の近くを沿って、必要ならば茶猫に転じて
空と陸とを移り変わりながら、駆けのぼっていこうかな
躱す努力はするけども…
まぁ、今はぬいぐるみだからね、多少千切れても平気だよ
腕でも足でもくれてやろう。後で拾えば問題ない
そうして仮面の眼前までたどり着けたなら
パッと黒熊に変化して
貴方を蝕む仮面を、殴り飛ばしてやろうじゃないか
もふもふだからと侮るなかれ
この熊さんのパンチは、痛いんだ

けれど、まぁ
私の役目は目晦まし程度で、十分だ
後は任せたよ、クロト


クロト・ラトキエ
【奇縁】
うーん
何と言いますか…天晴なまでに清々しい武士ですねっ
…女性に武士と言うのも何ですが
もふもふなら君の方ですし
…おっと、変な意味は無いですよ?
僕の心の向く先は、帰るところは、唯一つのみですから

閑話休題
如何な相手でしょうと、これもお仕事
槍の質量、衝撃波の飛距離、突撃の破壊範囲、突きの精度…
勿論、彼女の意識の向き、足捌き、体幹に手の挙動
あらゆるを視、見切り、知識に照らし
走破、潜伏、或いは風圧の利用等、極力の回避を試み
時には鋼糸を周囲に張り、強く引いて速度を上げつつ
此方の間合いへ接近を

地形の凹凸、可能なら彼女の衣服へ掛ける鋼糸
エンティの動きへ意識が向かうならそれも利用し
…己は只の人間
巨大化も飛行も出来ませんけれど
空中での戦も動きも、出来ないわけじゃありませんから

鋼糸の巻き取りも用いた一気跳躍と移動、空中での機動
布の弛みの利用、背面へ回る等した潜伏回避
持てる全てで以て登頂し
仮面へと向け放つ
――薔薇の剣戟

ご案じ召されませぬ様
僕、終焉らせるのには慣れてますし
怨嗟とか全く気にならない悪人ですので



●気高き桜花
 山より高き其の身に宿すは気高さと慈愛。
 魔王に身体を奪われながらも、此華咲夜若津姫そのものとして立つ者。彼女を振り仰ぎ、エンティ・シェア(欠片・f00526)は感嘆の言葉を落とした。
「強い意志を持って凛と立つ女性は、実に美しいものだね」
「うーん、何と言いますか……天晴なまでに清々しい武士ですねっ」
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)も同じ思いを抱き、遥かな天を仰ぐ。若津姫の顔は仮面に覆われており、支配が巡っているようだ。
「皆が、それにクロトが心惹かれるのも分かるとも」
「……女性に武士と言うのも何ですが、もふもふなら君の方ですし」
「もふもふ? もののふ?」
 冗談めかした口調で語るクロトに対してエンティが笑みを向けた。クロトはこれから始まる戦いに向けて身構えながら、微笑みを返す。
「おっと、変な意味は無いですよ? 僕の心の向く先は、帰るところは――」
 唯一つのみ。
 はっきりと宣言したクロトの眼差しは真っ直ぐだ。
「はは、そうだねぇ。たしかに思う一人が居るならば、どんな戦場であっても邪など持ち込むまい。……お互いに、ね」
 エンティは気を引き締め、胸の裡に巡った思いを確かめる。
 すると頭上から若津姫の声が響いてきた。
「六番目の猟兵達よ、何も気にせず全力で掛かってきてください!」
「さて、お気になさらずといわれても、気には、なるさ」
 エンティは首を横に振る。ああして気丈に振る舞える快い相手であっても、死した者をもう一度殺すという行為は憚られるもの。さりとて手を緩め、加減をすることの方が彼女への失礼にあたることをエンティは知っている。
「お相手願おう、気高き魂を持つ、麗しの姫君」
「参りましょうか」
 クロトも天を振り仰ぎ、己の役目を身に刻む。既に若津姫は此方を穿つための攻撃動作に入っていた。身構える程度の隙はあれど、此方が先手を取ることは望めない。
「如何な相手でしょうと、これもお仕事」
 それゆえにクロトは若津姫の動きと得物をしかと観察していた。まずは槍の質量、衝撃波の飛距離。突撃の破壊範囲や突きの精度。
 それだけにあらず、彼女の意識の向きや足捌き、体幹。手の挙動に至るまであらゆる仕草や動作、流れを視る。
 天槍の乱舞はエンティとクロトに幾度も襲い掛かってきた。
 全てを貫通するが如き衝撃波は身を逸らすことで被害を抑え、螺旋の回転突撃は敢えて風圧に乗ることで直撃を避ける。
 エンティは身を翻し、クロトは風に身を任せて駆けた。
「見事なお手並みだ」
 次に振るわれた神速の連続突きがエンティの身を裂く。しかし、手数を重視したその連撃は威力を代償にしていた。
 痛みは走れど、すぐに倒されてしまうものではない。
 軋む身体を奮い立たせたエンティは、クロトとは別の方向に回り込む。いくら巨体とはいえど相手はひとり。対して、此方は少なくとも二人で協力できる。
 クロトも一閃ずつを見切り、これまでの交戦知識に照らしあわせながら戦場を駆け巡っていた。相手が巨大であるゆえ、戦場も広大な範囲となっている。
 縦横無尽に戦場を走破しながら物陰に潜伏。時には風圧を利用して駆け上がり、クロトとエンティは巧みに立ち回った。
「さて、そろそろ反撃の時間ですね」
 クロトはエンティに視線を送り、己の腕を引く。今まで駆け抜けて来た際に張り巡らせた鋼糸が役に立つときが訪れた。
 一気に鋼糸を強く引いたクロトは駆ける速度を上げる。
「山より大きな貴女に組み付くなら――」
 敢えて此処から空を飛んでいくのも手だろう。巡らせるのはエンティ、フィルオール、リージュ、全ての魂で共有する化楽三重奏の力。
 白兎に転じて飛翔力を増したエンティは風に乗り、ふわりと舞う。
 クロトが策を講じているので隠れて進む心算はない。彼が動きやすいように立ち回ろうと決めたエンティは若津姫を見上げた。
 その間にクロトは地上を駆け抜け、地形の凹凸を利用しながら更なる鋼糸を巡らせる。
「この辺りで仕掛けましょうか」
 若津姫の衣服へ掛けた鋼糸。それを一気に引けば、先駆けとして彼女の着物の一部がはらりと斬り裂かれた。
 それを合図にしてエンティが動く。
 一部とはいえ、彼女の着物となれば切れ端でも巨大すぎるほどのもの。桜柄の着物の影に隠れるかたちで飛翔したエンティは若津姫の腰の辺りまで到達した。
 彼女の肌の近くを沿えたならば、後は茶猫に転じて駆けるのみ。目指すのは勿論、若津姫の顔を覆う仮面だ。
 すると、その動きに気付いた若津姫が自らに螺旋の風を向けた。
「まだまだ参ります。お覚悟を!」
 捨て身の攻撃。つまりは自分ごと、肌を登るエンティを貫くつもりだ。されどその機を待っていた者がいる。
 そう、エンティ自身とクロトだ。
「……己は只の人間。巨大化も飛行も出来ませんけれど、空中での戦も動きも出来ないわけじゃありませんから」
 仲間だけに相手の意識が向かった瞬間がクロトの出番。
 鋼糸の巻き取りを用いた一気呵成の跳躍から、ひといきに移動したクロトは空中での機動を相手に見せつけていった。それによってエンティだけに被害が集中しないよう取り組みつつ、クロトは鋭い攻勢に出る。
 布の弛みを利用して影に潜んだクロトは、一撃をくらわせると共に背面へ回る。その際、猟兵二人の距離が縮まった。
「大丈夫でしたか」
「まぁ、今はぬいぐるみだからね、多少千切れても平気だよ」
 エンティはクロトに答え、素早く立ち回っていく。その際も螺旋と神速の突きが襲い掛かってきたが、エンティは敢えて受けて立っていた。
 これほどの強敵だ。いっそ腕でも足でもくれてやればいい。
 後で拾えば問題ないと示したエンティの身体は、言葉通りボロボロだ。足の片方が千切れていても、彼は真っ直ぐに仮面を目指して駆けることができる。彼の意気込みを感じ取ったクロトは空中から落ちてきた足の部位に腕を伸ばし、拾い上げた。
 そうして、エンティ達はその眼前まで辿り着く。
 茶猫は瞬く間に黒熊へと変化していき、その腕が振り上げられた。
「貴方を蝕む仮面を、殴り飛ばしてやろうじゃないか。もふもふだからと侮るなかれ」
 視界を奪い、自分だけに目を向けさせること。
 それが自分の役目だと律していたエンティは不敵な雰囲気を敢えて纏う。
「この熊さんのパンチは、痛いんだ」
 宣言が落とされた、次の瞬間。暴威を振るうと表すに相応しい一撃が魔王ゼルデギロスに叩き込まれた。
 巨躯が揺れ、思い衝撃が走る。
 だが、それはいわゆる前座のようなものに過ぎない。
「私の役目は目晦まし程度で、十分だ。さぁ――後は任せたよ、クロト」
「お任せを」
 エンティが視線を向けた先には、既にクロトが控えていた。
 放つのは持てる限り全て。
 仮面へと繰り出したのは、優雅に踊るが如き薔薇の剣戟。軌跡には光を、周囲には幻の薔薇の花を。一撃目は若津姫が顔を逸らすことで外したが、二撃目からは絶対に外さぬ勢いと確信があった。
「ご案じ召されませぬよう。僕、終焉らせるのには慣れてますし――怨嗟とか全く気にならない悪人ですので」
 囁くような言葉を落としたクロトは連撃を一気に叩き込んだ。
 それによって若津姫が更に揺らぐ。
 その直後に螺旋の衝撃波が迫ってきたことも解った。エンティに腕を伸ばし、颯爽と抱えたクロトは別に巡らせていた鋼糸を巻き取る。
 そして、クロト達は危険区域となりそうな領域から即座に離脱した。
「あと少しみたいだ」
「そのようですね。もうすぐで――」
 この戦いは終わる。
 エンティとクロトは遥かな山の如き、美しき姫を再び振り仰いだ。その気高き心と凛とした心の在り方は決して忘れない。
 刃を交えられたことを光栄だと感じながら、二人は戦いの行く末を見据えた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神宮時・蒼
…敵ながら、何とも、気持ちの良い、相手と、言いますか
…元々は、素晴らしい、お方、だった、の、でしょう
…あそこまで、仰って、いるの、です。此方も、全力を、出さねば、失礼、でしょう
…それに、しても、あの仮面は、何処かで、見た事が、ある、ような…。…気のせい、でしょうか?

【WIZ】
落とされる雷も、大きいのでしょうか
自分に「結界術」を張りながら、仮面を目指しましょう
雷が落ちてくるというのであれば、杖を避雷針代わりに「受け流し」
「第六感」や「見切り」で回避できるならば回避行動を
多少、電流が流れるかもしれませんが「電撃耐性」で耐え抜きます

…美しき、武の姫君
…僕の、全力を、以って、其の呪縛から、解放、します
「全力魔法」と「魔力溜め」で、渾身の「雪花誓願ノ禱」を放ちます

主に仮面を狙いたいところではありますが
難しい場合は、仮面を中心にUCを展開します
…貴女様と、戦えて、良かった、です
…其の魂に、敬意を―。



●此之花、咲く迄
 六番目の猟兵を真正面から迎え撃ち、快い言葉を向けてくれた女性。
 その名は此華咲夜若津姫。
 魔王ゼルデギロスにその身を奪われながらも強い意思を持ち、山のような気高き姿と海の如き慈愛と思いを抱く者。
 その姿を見れば敬意を払い、礼儀を尽くしたくもなる。
「……敵ながら、何とも、気持ちの良い、相手と、言いますか」
 聳え立つと語るに相応しい相手を振り仰ぎ、神宮時・蒼(追懐の花雨・f03681)は思いを言葉に変えた。 若津姫は既に天寿を全うしているという。 その身がこうして使われていると思うと、彼女の願い通りに斃すことが正解だ。
 生前もきっと、あのような気持ちの良い判断を行う者だったに違いない。
「……元々は、素晴らしい、お方、だった、の、でしょう」
 蒼は一礼してから、若津姫に挑む覚悟を決めた。彼女があそこまで語っているのならば、手を抜く必要も加減する心算もない。
 此方も全力を出さねば、失礼に当たる。蒼は己が持てる限りの力を発揮しようと心に決め、若津姫の巨躯を見上げた。
 彼女の顔を覆っているのは黒い仮面だ。
「……それに、しても、あの仮面は、何処かで、見た事が、ある、ような……。……気のせい、でしょうか?」
 軽く首を傾げてみた蒼は思考を巡らせる。
 だが、その間に此華咲夜若津姫が素早く動いた。天高く天槍を投げ上げたことで周囲に天槍の分身が浮かび上がる。
 蒼は瞬く間に槍に囲まれ、周囲から轟く裁きの雷が迸ってきた。
「……やはり、落とされる雷も、大きいのですね」
 かなりの衝撃を覚悟した蒼は雷撃を受け止める。だが、その途中に巡らせた結界で何とか転倒を防いだ。身体に響く衝撃はあるが、蒼は立ち止まったりはしない。
 目指すべき場所は遥か高み。
 山の如く佇み、その力を振るう若津姫の眼前だ。次々と落ちてくる裁きの雷を見つめ、蒼は杖を掲げる。雷として此方に落ちてくるというのであれば、この杖を避雷針代わりにして受け流してしまえばいい。
 雷撃を避け、時には弾き返した蒼は駆ける。
 進むのはただ一点。
 駆けて、駈けて、翔ける。その姿は煌めきを抱く真の姿へと変わっていき、蒼は風の如き速さを纏った。次第に蒼の周りには水晶蝶と氷晶花の破片が現れ、ゼルデギロスの身体を穿っていた。水晶蝶達は同時に雷を払う防御にもなっていく。
 其れは凍った心を砕いた欠片。
 蝶は舞い、花と凛と咲く。相対する此華、桜花の姫に終わりを与えるために。
 破片は心を蝕む傷みと也て、美しき軌跡を描きながら迸る。
「……負けたり、しません」
 どんな痛みであっても、どのような苦しみが訪れても戦い抜くと決めた。蒼は全力の魔力を紡ぎながら、ひといきに駆け昇っていく。
「ふふ、勇ましき方々ですね。私のぼうや達を思い出します」
「……美しき、武の姫君」
 若津姫と蒼の眼差しが交錯した。仮面に顔を覆われていようとも分かる。若津姫は真っ直ぐに自分達、猟兵を見つめてくれている、と。
「……僕の、全力を、以って、其の呪縛から、解放、します」
「此方も礼儀として、放てるすべての力を出します。いざ、尋常に――!」
「……勝負」
 蒼は仮面に向け、水晶蝶と氷晶花を解き放った。それはこれまで放っていたものとは比べ物にならないほどの魔力と思いを込めた、渾身の一撃となってゆく。
 解けぬ氷、白き色彩、凍露の花。
 此れは、呪いと共に歩む覚悟の唄。
 翔けろ、天高く。雪花の誓いと願いは今、此処に――。
 輝きを纏う琥珀の化身、蒼は髪をなびかせて更に駆ける。茉莉花の花と蔦が絡んだ刃を振り上げ、己の手で仮面を葬るためだ。
 嘆きの刃で断ち切るのは、美しき姫ではなく悪しき仮面だけ。
「ああ、なんと綺麗なのでしょうか……」
 黒き仮面を更に覆うようにして蝶が舞い、水晶の花が揺らめく。その光景を感じ取った此華咲夜若津姫は感嘆の声を紡いでいた。
 蒼は自分に向けられた称賛を受け止め、双眸をそっと細める。
「……貴女様と、戦えて、良かった、です」
 振り下ろされた刃は色彩の光を映し込み、戦場を美麗に彩った。其処へ繰り出されるのはこの戦場で共に戦っていた猟兵達の攻撃。
 誰もが若津姫を思い、マスカレイドの支配から解放するために戦った。
「ありがとう、六番目の猟兵達……」
 その一撃ずつを受け止め、認めた若津姫の思いは強い。
 そうして、蒼の一閃が再び振るわれた刹那。
 天槍が取り落とされ、若津姫の身体が薄れていった。地表に突き刺さったランスブルグの槍もまた、此華咲夜若津姫と共に消えていくようだ。
「これでゼルデギロスの悪しき行いを止められますね。ふふ……みな勇敢で頼もしく、素晴らしき方々でした……」
 若津姫は最期に穏やかに微笑みながら、猟兵達を称えた。
 蒼はその姿を見送り、両手を重ねる。死の先に繋がる未来を託してくれたひと。
 懸命に生きて死を認めた彼女に送るのは感謝と、そして――。
「……其の魂に、敬意を」


●此之華、散る刻
 はらり、ひらりと桜が舞っているような気がした。
 水脈枯渇平原に散ったのは、美しく咲き誇った花が遺した意志。散花を振り仰いだ猟兵達は其々の思いを抱き、此の戦いの終わりを見守った。
 時は二度と戻らない。
 それゆえに時は美しく残酷だ。けれども――だからこそ、懸命に光り輝く。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月09日


挿絵イラスト