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7thKING WAR⑱〜黄金よりも欲しい物

#デビルキングワールド #7thKING_WAR

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●夢は億万長者
「宝物庫を暴く……なんかこれを聞いただけでワルっぽい気がしてきませんか? そういうアトラクションが実際にありますので、行ってみましょう!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が案内する次なるアトラクションは、6thKINGビームスプリッターが建設した総黄金造りの迷宮を探索するアトラクション。敵対陣営の悪魔達より先に迷宮の宝物庫に辿り着き超高価なお宝を手に入れることができれば、敵対陣営との力の差を見せつけることで7thKING WARをより優位に進めることができる。
「舞台となる迷宮は総黄金造りですから、全てが金ぴか状態です。これだけで目が眩んでしまいそうになりますが……迷宮の恐ろしさはそれだけではありません。黄金の輝きは足を踏み入れた皆さんの精神に働きかけ、『欲望の幻影』を見せてくることでしょう。幻影の誘惑に乗ってふらふら進んでしまうと、とげ床だったり落とし穴だったり鉄球が転がってきたりと様々な危険な罠に引っかかってしまうかもしれませんので、誘惑に負けないように精神を保ちながら迷宮を進んでください」
 欲望の幻影が自分自身の何であるかは本人にしか分からないが、おそらくは本人が今、最も望んでいるものが現れるのでは、とロザリアは推測する。もしかしたら普段意識していないような何かが出てくる可能性もあり、出たとこ勝負で誘惑に耐えなければなさそうだ。
「不安要素はありますが、自分の誘惑にさえ打ち勝ってしまえばお宝はもう目の前です! 行きましょう! 栄光のお宝ロードへ! それではよろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 連休も気が付けば、という感じですね。

●フラグメント詳細
 第1章:冒険『欲望を煽る黄金の光』
 黄金迷宮を進んで宝物庫を探し出すわけですが、その途中で欲望の幻影が現れて皆さんを誘惑してきます。
 それに打ち勝つ方法を考えて迷宮を突破しお宝を掴み取りましょう!
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第1章 冒険 『欲望を煽る黄金の光』

POW   :    自分自身をぶん殴り、目を覚ます

SPD   :    黄金の輝きを目に入れないようにして進む

WIZ   :    魔術や護符、意志の力で幻影を打ち破る

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サカマキ・ダブルナイン
黄金迷宮、流石の迫力じゃが……あくまで目的は宝物庫、それを忘れなければ幻影恐るるに足らずよ!(フラグ)

……ほう、お金(注:スペースシップワールド仕様)の幻影じゃな。
そりゃあわらわ金食い虫の精密機器じゃし、予算はあればあるほど良い……ええい守銭奴とか言うな!
あっやばい足が動いた、あれは幻影だと言っておろうに!いかんもう「炎熱狐」起動!!

……感情プログラムの停止を確認。
任務復唱……当機は迷宮の踏破、及び宝物庫への到達を行います。
「99式カメラアイ」による罠のスキャン、並びに『99式未来予測』による被害予測を開始。
完了後、【悪路走破】による移動、【破壊工作】による強行突破を含む迷宮踏破を実行します。



●見え透いた幻影でも
 入口の門からすでに金造りで、内部も曇り一つ無い金の床と壁と天井が続く。
「黄金迷宮、流石の迫力じゃが……あくまで目的は宝物庫、それを忘れなければ幻影恐るるに足らずよ!」
 サカマキ・ダブルナイン(ロボ巫女きつねのお通りじゃ!!!・f31088)は息巻いて迷宮を進んでいく。ひたすら眩しいだけの通路が続いていくのは距離感や方向感覚が狂いそうになるが、それでもずんずんと。サカマキは己の足を信じていた。
 そんな彼女に黄金の魔性はすり寄ってくる。出くわした十字路、真っ直ぐか右か左かと確認していると、左の通路の先にお金が山盛りになっていた。ただしそれはデビルキングワールドで流通しているD(デビル)ではなく、スペースシップワールドで用いられているお金だ。
「……ほう、分かりやすい幻影じゃな。そりゃあわらわ金食い虫の精密機器じゃし、予算はあればあるほど良いわけじゃが、あんなものに引っかかるのは余程の守銭奴――」
 状況を冷静に分析しながらサカマキはスッと左の通路に足を寄せる。言葉とは裏腹に、欲望にしっかり引き寄せられていた。
「ええい言った傍から足が動きおったぞわらわ守銭奴か!? あれは幻影だと言っておろうに! いかんもう『炎熱狐』起動!!」
 そのまま何食わぬ顔で幻影に飛びつく自分の未来の姿が過ってサカマキは慌て気味に炎熱狐を起動させた。感情の停止は切り札だ。それに頼らず迷宮を突破するのが本懐ではあったが已む無し。
「……感情プログラムの停止を確認。任務復唱……当機は迷宮の踏破、及び宝物庫への到達を行います」
 サカマキの99式カメラアイは現実を捉えている。通路の先にお金の山は無く、あるのは天井に隠された棘の山と床に隠された落とし穴。何人もの挑戦者を脱落させたに違いない罠の数々はサカマキを待っている。
 罠があると分かっているのだから普通なら避けるべきだが、サカマキは残る二つの通路の先を見通す。どちらが正しき道か、あるいは――。
「……予測完了。他二つから通じる宝物庫はいずれもダミーと判明。当機はこれより悪路走破による移動、破壊工作による強行突破を含む迷宮踏破を実行します」
 幻覚の欲望に負ければ罠に嵌まって終わり、打ち勝っても罠を裂ければ偽の宝物庫に迷い込んで終わりという二重の罠が仕掛けられていた。悪魔のような構成は看破したとて、これから罠突破という実戦が待っている。
 サカマキはじっと真正面の空間を見据え、やや前傾になって力を溜めてから俊足を飛ばした。落とし穴の位置は判明済みだがそれを避けると天井の棘の山が落下してくるスイッチを踏む羽目になる。
 取捨選択で速度を落としたくなかったサカマキは最短ルートを突き進む。落とし穴の上を踏んだ。がらりと黄金の床が崩れていくが、その崩れ始めるまでの一瞬に次の一歩を踏み出しスイッチを踏む。一段沈みこんだが足場としては機能しており、不安定な体勢を立て直したサカマキは次に降ってくる棘の山を待ち受けた。
 前方、隙間なく天井が棘の山と変わり降ってきた。後ろは落とし穴が完成しており引き返す道は無い。サカマキは推進力を前方に向けたまま後方宙返りの要領で空中に対空の蹴りを放っていった。
 蹴りが棘の山に直撃し、破壊されて金塊の瓦礫となった。飛び散った瓦礫が壁にばらばらと当たって辺り一面に落ちていくが、それがさらに落とし穴を起動してサカマキの着地地点に大穴を開ける。
 着地すべき床が消えた。どこまでも用意周到な悪魔の罠。だが負けるわけにはいかずサカマキは手を思い切り伸ばした。落とし穴の端に指が届けば――。
 サカマキは落とし穴の壁に全身を打ちながらも、右手の指三本を引っ掛けることに成功し落下の危機を逃れる。滑らないように慎重に身を引き揚げ、落とし穴から脱出して罠の存在を再確認。
「これより前方、罠の存在は確認できません。引き続き、迷宮突破を実行します」
 大きな罠を乗り越えたが安堵の暇は無く、サカマキは迷宮突破に徹する。分かれ道を適切に選択し、欲望の幻影には目もくれず、時折再び顔を出す罠を悉く破壊して辿り着いた先は宝物庫と思しき部屋。
 奥には黄金の台座が置かれていた。台座にはめ込まれた指輪、サカマキは周囲を解析したが、罠らしい罠は見当たらない。
「……任務完了」
 サカマキは台座から指輪を外し、見事お宝を手にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
一応いざという時の為に【破魔】を宿した★お守りを握りしめて歩きます

黄金には然程興味無いけど……し…身長……
(1ミリも伸びぬままもうじき2年)

僕だって男だもん
身長欲しい…身長…
とか普段から思ってるから高身長な自分の幻影とか出てきやがりそうですね?
身長ぉ……(ふらふら

はっ…いやでもちょっと待った
身長欲しいのは僕自身であって、目の前に高身長の僕が出て来たからといってそれはつまり身長を得ているのは幻影の方であって僕じゃない
幻影に近づいたところで僕が身長を得られるわけでもない…

嫌味かこのやろー!

破魔の【浄化】と身長への願望の高さから
むしろ少しでも引っかかりを覚えた瞬間正気に戻り
【指定UC】で幻影祓います



●幻影は影とは限らない
 億とか兆とかいうレベルではない価値を持っているであろう黄金迷宮。しかし世の中、金では解決しない問題もいくらか存在する。栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は迷宮内部を歩きながら、何となく目の前に現れるであろう欲望の幻影を予感していた。
 早二年が経とうとしている。黄金に映り込む自分の姿、特に身長は何度も何度も計ってみたが一ミリも伸びていない。年齢からして成長期が終わったとは考えにくいのだが、伸びていないというのが無情な現実なのだ。
 澪とて男子であり、高身長には憧れる。百八十だとか百九十だとかいった高望みはしないまでも、一ミリでも伸びてくれれば希望が持てるのだが、そういう意味では澪は絶望の淵にいた。
 足取りはやや重い。幻影が出るのであれば十中八九、身長に纏わることだろうと予想している。破魔のお守りは握り締めているが、どれほどの効果があるかはわからない。しかし幻影を振り払う際に何かしら縋るものは欲しかった。
 とぼとぼ歩き、曲がり角を折れる。その先は行き止まりだった。分かれ道を違えたかな、と引き返そうとして、目に映る自分の姿を疑った。
 行き止まりの黄金の壁はやたらとぴかぴかしていて澪の姿が映っていたが、そこにはすらりと背の高い澪がいた。
「これ、僕……?」
 黄金に映った澪もまた驚きの表情を見せていた。すらっとしたスリムな背の高い男子。顔は澪そのままで身長だけが伸びている。澪が黄金に映った自分を見上げると、黄金の中の澪は今の澪を見下ろしてきた。
 身長が伸びたのか――確かめたくてふらふらと行き止まりの壁に近寄っていく。近寄るごとに身長が縮んで結局同じ高さになるのなら意味が無いが――そうではなかった。ちゃんと黄金に映る澪は背が高い。
「本当に身長が……?」
 澪は壁に手を伸ばして触れようとして、しかしすんでのところで手を止めた。
「はっ……いやでもちょっと待った。身長欲しいのは僕自身であって、目の前に高身長の僕が出て来たからといってそれはつまり身長を得ているのは幻影の方であって僕じゃない。幻影に近づいたところで僕が身長を得られるわけでもない……」
 澪はもう一度黄金に映る自分を見た。高身長の自分は澪を見下ろしてきていて、やっと気付いたか、と言わんばかりに嘲笑を浮かべていた。
「嫌味かこのやろー!」
 黄金は頗る性悪だった。ただぽつんと通路の真ん中に幻影が立っていればすぐに気付くことができただろうが、姿を黄金に映すことで現実感を漂わせる。
 だが最後には澪の冷静さが勝った。お守りの効果もあって邪な存在に引きずり込まれることなく壁から離れ、全身から光を放って幻影を祓っていく。
 黄金に映った澪はほくそ笑んでいたが、光の中に呑み込まれて消えていった。かと思えば黄金の壁そのものまで消滅し、先に道ができる。黄金が作り出した幻影を振り払ったとしても、正しい道を行くためには「黄金の壁そのものが幻影」であることを見抜かなければならなかったのだ。
「ああ、ここは悪魔の世界だったね……」
 半ば呆れたような口ぶりで現実を悟り、澪は現れた道を進んでいく。
 そして程なく宝物庫に辿り着き、奥の台座に鎮座していたお宝の杖を手に入れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
黄金造り良いわね~もうこれ最初っから全部解体しちゃだめ?幻影も見ずに宝物庫+でガッポガポよ?
とまぁ1割位の冗談は置いといてさぁ、宝物庫を目指して!!
宝物庫着いた後なら解体して良いわよね?

はい、じゃあサポートAIのアベルに道の誘導任せたわ
AIなら欲もない故幻影を見ることはない
ということで安心して宝物庫に辿り着けるわね!
ええい!アベル止めないで!あんなところに失われたというコアマシンの製法やワープ技術のの本が…(幻影)

…ついでに迷わないように壁を削って目印、もとい砂金を…
そうこれは欲ではなく純粋に迷宮を攻略するための方法で……この壁も幻影なの!?



●目の付け所がヘスティア
 黄金迷宮は単なる金ぴかの迷宮ではない。中身までしっかり詰まった黄金の迷宮。つまりお宝がどうのこうのと言ってはいるが、迷宮自体が相当なお宝のはずなのである。
「黄金造り良いわね~もうこれ最初っから全部解体しちゃだめ? 幻影も見ずに宝物庫+でガッポガポよ?」
 黄金迷宮へ進入する前から欲望の幻影に囚われているヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)の姿があった。ヘスティアの思考は普通の者が至ってもよさそうなものだが、先代のデビルキングを敬ってのことか、悪魔達は律儀にアトラクションに挑んでいる。
「とまぁ1割位の冗談は置いといて、さぁ、宝物庫を目指して!! 宝物庫着いた後なら解体して良いわよね?」
 決して諦めることが無い。それがヘスティアの良いところだった。

 迷宮内部の先導は「サポートAI端末 ティンク・アベル」に任せていた。AIならば欲が無い。欲が無ければ幻影を見ることはない。合理的な判断と言えた。
 事実、アベルは正確に道を分析し、ヘスティアを導いていく。これで安心、と思ったのも束の間、ヘスティアがふと覗いた別の通路に奇妙な書物が山積みされていた。
 何故黄金迷宮の内部に本が無造作に――少し考えれば不自然さに気付きそうなものだが、ヘスティアはすでに背表紙の文字に惹かれてふらふらと歩み寄っている。
『そちらではございません』
 アベルがその動きを察知して、道を外れるヘスティアの腕を掴んで引っ張るが、
「ええい! アベル止めないで! あんなところに失われたというコアマシンの製法やワープ技術の本が……!」
 スペースシップワールドに存在すれば革命的な文献は、スペースノイドのヘスティアとしては垂涎の代物。飛びつくなと言われても体が勝手に飛びつこうとしてしまう。
『この先に観測されるのは罠のみでございます。安易に足を踏み入れれば両の壁から棘が飛び出して串刺しになってしまうことでしょう』
「えげつない罠が仕掛けられてるわね……それにしても、あれが幻影だなんて……」
 ヘスティアは口惜しそうにしながらアベルに連れられ、黄金迷宮を奥へと進む。

 かりかりかりかり、静かな迷宮に響く音。淡々とルート分析を続けるアベルの後ろではヘスティアが壁を細かく削っていた。目印をつけて迷わないようにするため――もとい、砂金集めのため、と最早ヘスティアは隠さない。
『……到着致しました。この先が宝物庫となっております』
「この先……って、壁よ、ここ」
 アベルが止まったのは全くの通路の途中だ。壁を向いて宝物庫についたと喋っている。ついにアベルに幻影が……? と自分を棚に上げて心配していたヘスティアだったが、アベルはそのままゆっくり壁に向かって進んでいく。
 すると、アベルは黄金の壁をするりと抜け通ってしまった。
「この壁も幻影なの!?」
『そのようでございます。壁を削る音に若干の変化がありましたので、もしや、と』
 アベルはヘスティアの欲望を迷宮攻略に生かす従者の鑑であった。ヘスティアも壁と思しき場所に触れると、手応えなくするりと向こう側へ抜けてしまう。
「ふふ……そう、そうよ! こんなこともあろうかと! わたしは壁を削っていたの!」
 物は言いようであるが。ともあれヘスティアはしてやった顔で黄金迷宮の隠し通路を進み、程なくして黄金に囲まれた部屋に辿り着いた。
「ここが宝物庫! ……『宝物庫』って言う割にはすっきりしてるわね」
 黄金に囲まれているのは入口からすでにそうだった。今更目新しいことではない。一つだけ宝物庫らしい造りと言えば、そこには金の台座があり、その上に神々しい剣が安置されていた。
「剣がお宝? ……まあいいわ、とりあえず持っていって……帰りがけにもう一削りくらいしてもバチは当たらないかしら?」
 お宝を入手したヘスティアだが飽くなき欲望には忠実だ。先導するアベルがいるので道に迷うことはないのだがすっかり忘れて、金削りに全力を注ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月08日


挿絵イラスト