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7thKING WAR⑫〜連勤術死

作者：にゃあら

●今日はお休みの日なので無敵です
　無敵なので勇者として振る舞いますね？
　旗（フラグ）を不可説不可説転（たくさん）突き刺した勇者（元スタッフ）は平日の疲れを癒すべく絶対幽霊屋敷（ゴースト・ハウス）を訪れたのだった。え？　遊園地（テーマ・パーク）のお化け屋敷で満足しろって？　いやいや、そんな子供騙しじゃ私達は驚きません。発狂させたいならモンスタークレーマーを呼んで来いってわけです。
　※※※※の館にて死せる――夢見る儘に待ちいたり。
　そは永久に横たわる屍にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を越ゆるもの――嗚呼、※※に！　※※！　ひどく冒涜的な、ある種、おぞましいものがコンパニオンに子守歌（ささや）いた――そろそろ身投げしなければ成らない、あの戦禍へと往かねばならない。私達に相応しい、あの地獄（テーマ・パーク）へと。

　異厭　異厭　手異禍腐（てぃかっぷ）　腑堕群。
　回転流の赤色が私達を導いてくれています。

　正しく社畜戦士（デスマーチ）、虚ろな目玉（キャンディ）を回しながら彼女等は働（うご）き始めた。早く正気に戻さなければ召喚魔王の膝元に垂れてしまう。
　嗚呼、ぼうや、可愛い可愛い眷属（ぼうや）。
　此方にいらっしゃい、お客様は神様です。

●グリモアベース
「貴様等、人は休息（やす）まねばならない。常に自分（おのれ）を揮えるほど狂気（おか）しくはないのだ。それは理解出来るな、クカカッ！」
　猟兵（キミ）はおそらく「お前が言うな」と思った事だろう。グリモア猟兵、ロバート・ブレイズは人間のクセして人間らしさがまるで無い。
「兎も角、未だ戦争は続くのだよ。此度の予知（なが）れは――悪魔でも震えあがる絶対幽霊屋敷（アンディファインド）の存在が肝だ。ここには噂が有ってな、曰く『屋敷の一角から謎の子守歌が聞こえてくる』らしい。それに興味を持った勇者が吶喊、見事『傀儡（ぼうや）』に成り果てた末路（オチ）だ。彼女等の尻拭いを頼むぞ――嗚呼、子守歌だが、猟兵（オマエ）にも効果があるようだ。発狂せぬよう気を付け給え」
　グリモアが輝いて。

第1章 集団戦 『オフの日のコンパニオン』

POW   :    今日はオフの日だから……。 完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【右へ受け流し左】から排出する。失敗すると被害は2倍。 SPD   :    今日は休みの日なの！！！！ 【ブチギレモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。 WIZ   :    あ、支配人……え？今から出社ですか！？ 他者からの命令を承諾すると【社会の闇】が出現し、命令の完遂か24時間後まで全技能が「100レベル」になる。 イラスト：たぢまよしかづ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　異厭　異厭　手異禍腐　腑堕群。
　異厭　異　厭　手異禍腐　腐堕群。
　異　厭
　　異　厭
　　　　　手　異　禍　腐
　　　腐　堕　群
　――そは永久に横たわる死者にあらねど。
　――測り知れざる永劫のもとに死を越ゆる管理人（もの）。

　幽霊屋敷に突入（はい）った猟兵（オマエ）は目を虚（くろ）く染め、ぶつぶつと嗤っている勇者達（コンパニオン）を視認（み）るだろうか。早く正気に戻さなければ過労死（いきたえて）終う――！

　異　厭　異　厭
　手　異　禍　腐
　ふ　た　ぐ　ん

　最早感嘆符は殺戮されている、子守歌（まくら）を拭わねば。


　　異厭
　　　異厭
　手異禍腐
　　　　　臓堕群――。

　目の玉を墨（くろ）く塗りたくった、正気の『し』の字も無い勇者（あくま）の群れが痙攣（わら）っている。大好きな大母神（マグナ・マーテル）の膝元でお客様を迎える為に、お客様（ガチデビル）を崇拝（あが）める為に。そんな混沌（ケイオス）に一滴の咆哮（つぶて）――私はダーティ。ダーティ・ゲイズコレクター！　何度目かのご挨拶だと管理人（だれ）かが告げた、真の悪（ワル）は頭を下げないものでは……？　異厭、異厭、愚流愚流、手異禍腐――配下も城も領土も無い私は魔王ではなく無職（ぷぅ）じゃないかとほんの少し思う、凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです！！！
　沈黙――まるでスタート、上へ上へと往く絶叫（コースター）の如くだ。オマエの宣言（ことのは）を聞いて亡者（シャチク）の集いは発狂する。異厭、異厭、お客様、喰らう。なまぬるい子守歌（マッドネス）が脳味噌（シナプス）に這入り混んだ。その原因は蕩けてしまうからです――ぬぞりと先日の🌈（ジュース）が溢れる。
　抗う為に不可欠なのは血潮だ、それも魂の芯から揺さぶる視線（ねつ）だろう。嗚呼、この時、この場所は私（オマエ）にとっての約束の地、目玉（まんなか）と見做される。異厭、異厭、視厭ヱ芽――勇者さんもご堪能ください！
　終始（とわ）――異常なまでに滾り、驚異なほどに燃え、狂気な儘に包まれる。悉くに突き刺さった視線（→）が強烈なまでの緊張感（じごく）を孕んだ――オマエにとっては成程素晴らしい舞台上（ステージ）だが、勇者等にとっては最悪（あくむ）でしかない。異、厭、い……いや。嫌だ！！！　休みの日に清掃業務なんて嫌だ！！！　ああ、お客様！！！　お客様が！！！
　可哀想な勇者は心傷（トラウマ）に塗れて🌈（スロー）！！！　たまりませんね！　勇者さん！！！　こんな悪い魔王、他に居るだろうか。居ない！！！　すっきりしたでしょう！？
　圧倒的なまでの外道っぷりが衝撃波（こぶし）と成って勇者（コンパニオン）をぶん殴る。再起不能（腹パン）――！　最早何も残っていない、胃液（しる）だけが地を濡らした。王手（チェックメイト）。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　夢の国（ドリームランド）が遊園地（テーマ・パーク）だと夢見人（カーター）とやらが嘔吐（は）いたのか。馬面鳥（シャンタク）の群れが杭（ぶ）っ刺さり、コーカス・レースを極めている。乾く筈がない、渇くのはオマエの宇宙（うろ）なのだ。
　子守歌（ノイズ）は此方までも彼方までも、幽霊屋敷（シナリオ）通りに反響するのか。無限に沸騰（わ）き堕つ、ひどく莫迦げた社訓（あさのあいさつ）が半永久的に連なっている。異厭、異厭、手異禍腐、腐堕群――ティーポットには何も入っていないのに紅茶が上手いと勇者（きみ）が謂う、嗚呼、これは確かに不定（ふ）れていた――なるほどねぇ。猟兵（ラスボス）の正体（かお）にも気付けない重症だ、とっとと塗装（なお）さなければ成らない。捻じれ、ふるえた魔笛（フルート）の顕現、悪質で下劣な太鼓（ダムダム）の気配（にお）い――揮うべき伝手は埒外（これ）で十分だろう。
　会社用携帯電話（コール・コール・コール）、深淵（アビス）からの呼び声が煩わしい。特別サービスとでも謂わんばかりに音楽隊（バンド・オブ・アザトース）がやってきた。輪郭は笛吹き男、中身はツングースカ、真相は二枚貝（ザーダ＝ホーグラ）――ぼとり。垂れたのは白痴（まおう）の肉片か勇者（あくま）の涎か、理解出来る者は居ないだろう。

　　異
　　　　厭
　異
　　　厭
　断章（アザトホース）――！
　腑　堕　愚　ン

　無聊（たいくつ）を殺戮された彼女等は目玉を宇宙（そとつら）に剥けてケタケタした。狂気委（まか）せの拳（パンチ）など人間の数値（それ）に等しい。軽々と反撃（うら）を取られ、吹っ飛ぶ貌（ざま）は現実味（リアリティ）まで絶たれていた。彼女等はもう労働（うごめ）く必要もない――楽譜（トルネンブラ）に麻痺（とら）われた。眼球（コズミック・ホラー）の茫大……。
　夜鷹（ウィップ・アーウィル）が沈黙している。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　幸福（ハッピー）を求めてはならない、教訓（ストーリー）を失くしたのか、勇者（あくま）は佛草と愚痴（は）き散らかす。やれ管理人（うえ）が※※だのやれ※客が※※だの。そんな腐敗（つら）では目先の悦びにも浸れない、だから羊飼いのオマエは『こう』挨拶（い）った――はろーてぃーかっぷ！　発音は手異禍腐（てぃかっぷ）だと記載（か）いた筈だ、勇者の一人（こたい）が苛々と指摘（つ）げた。それは失礼。ところでこの流れも何度目だ、存在（い）やしない客がマンネリだと苦笑（わら）う。
　それは塑れとしてオフの日は惰眠（シープ）を数えなければ勿体ない。お邪魔するのは無粋かもしれませんが――ぼうやは良い子だねんねしな、昔っから『よく』謂われているだろう。嗚呼、理解はしている。咀嚼はしている。されど手異禍腐はぐるぐる止まらない。
　異厭、異厭、九頭流、腐堕群――聞き馴染みのある嬉々が星団（シナプス）に這入り混んだ。ちょっとした嫌悪とちょっとしたユリカゴが脳内に想起（う）かび上がってくる。ここが海底（おうち）だとするのなら、妹（てぃかっぷ）には悪いですが――落ちてくるのはきっと断章、先程の白痴（まおうさま）とは別の兄弟（つながり）。黄色だ、黄色だ、ひどく黄色い印（サイン）が刻まれている。

　異厭　異厭
　蓮多――
　苦腐亞也苦　舞嚨喰門夢

　愛（ラヴ）と呼ばれる枕から叩き起こされる感覚（さいあく）は如何だろうか、剥がされた側面（ヴェール）には影も貌もなく、ただ真っ白い仮面（マスク）が寝起（くず）れている。うむぅ――ねむいのだぁ――母親（くろやぎ）の優しい声もなく父親（だれ）の𠮟りつけもない。盲目（み）えない光輝（アルデバラン）は駄々を加速させた。我は寝る！　暴走（あば）れて寝る！　絶望――コンパニオン達は腐敗したような貌（つら）を晒した。
　雁首揃えて落とし仔ごっこだ。こっちの触手を繋げてあっちの触手を絡ませる。焼野（バーン）じみて引っ張られた勇者（かのじょ）の発狂（こえ）が融けて往く。おやすみなさい――破風（マド）の外はマドラーでいっぱいだった。
　宇宙からの🌈（いろ）と謂うには吸収が足りない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　窓の外には家族連れにカップル、おひとり様も今日だけは愉しそうだ。濁った緑色の怪物（めだま）は不眠症（ギンギン）と項垂れている。
　連勤術死（アルケミスト）――意味は理解出来ないが、ひどくイヤな汗（もの）を万人（オマエ）に与えた。それは老若男女誰しもが経験したくない事の筆頭で在り、何ならば邪神（かみ）の類でも文句（ぶぅ）垂れるだろう。兎にも角にも社畜戦士（ワーカーホリック）、猟兵（きみら）としては縁も所縁もない話題（タネ）だ。休みたければ休めばよくない？　禁句（ザクロ）――勇者（ぼうや）達が絶望の呪詛（ワード）を共鳴（あ）げる。
　ええい、くそ、あの時のお客様め、お客様の肉の味わい方を伝授してやろう。ぐるぐる目、🌈などと生易しく表現出来ない感情（マイナス）だ。普通の人類では受け流す事も難しいだろう――なるほどなー大変ですねー。棒読み！　何が原因（ゆえん）で子守歌に溺れたのかは『よく』わかった。ここからは対策を練らねば――身体も心も万全なオマエには絆（えん）のない音符だ、戦場に身投げする際は全身全霊（カンペキ）でなければ成らない。空腹でも満腹でもいけないのだ……異厭、手異禍腐、腐堕群！
　回されたとして惑わされたりはしない。念には念を入れて、石橋は叩いて歩むのが丁度いい。響音（ごぅ）――！　魔剣（オルトリンデ）は竜（えんさ）を解放し、子守歌（ぬくもり）を蹂躙していく。嗚呼、訪れる羅刹（やなぎ）の歌、草花（おに）の囀り――慌ただしくも痙攣（ひく）憑いた勇者（きみ）の胃袋、やってられないと🌈！！！
　地獄絵図（レインボー）な橋掛けと成り果て制圧（おやすみ）へ至った。ちくりとしたお注射の中身は強烈（ストロング）なやつと睡眠薬（ぐぅすぴ）なあれ。お疲れだからよく効くことでしょう。ところで寝た状態（まんま）だと🌈、窒息（つ）まらないか？
　悪魔は頑丈だから大丈夫っぽい！！！
　まるで大SAN事、手異禍腐はようやく蠕動を止めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2022年05月06日