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7thKING WAR⑪〜財宝を奪い取れ!

#デビルキングワールド #7thKING_WAR

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●グリモアベースにて - そしてシリアスは逃げ出した -

「集まってくれてありがとう。まあいつものパターンだね、戦争だよ」
 グリモア猟兵アリステル・ブルーはあなたにそう告げると礼をした。
「今回君たちにお願いしたいのは、メガリスの奪取もしくはオブリビオンを倒す事だ。もちろんメガリスを奪えば……」
 オブリビオンは横取りを狙って来るだろう。
「今現地で暴れてるオブリビオンは『断悪の天使』カコエルっていう堕天使だよ」
 グリモア猟兵があなたへ語る事によれば、堕天使はかつて悪魔たちが絶滅しかけたことに目を付けていた。彼らを洗脳し再び『良い子』にしてしまえば、世界はあっさり滅ぶはずなのだ。
 それは同時に、洗脳してしまえば自分たちの思うがまま手足のように扱えるということでもある。
 その上、遊戯の開始で状況が変わった。
「魔王ガチデビルの復活、それが鍵だよ。カコエルだけではデビルキングワールドしか滅ぼせない。だけど、ガチデビルが玉座に就けば?」
 グリモア猟兵は困ったようにあなたへ笑いかけた。
「悪魔は強いらしいからね。他世界へ『輸出』できればお手軽にカタストロフを起こせるってわけ、推測だけどね」
 オブリビオンたちは暗躍(?)していた。
 東西のラスボスがそれぞれ玉座を狙うように、ガチデビルとそれに従う者たちは絶好のチャンスとばかりに各地に出没している。
「オブリビオンはメガリスを手にして、悪魔たちのカリスマになろうとした。今のところ失敗してるようだけど」

 その肝心の試練だが……。
 燃え盛る炎の中へ飛び込み勇気を示しメガリス『火鼠の皮衣』を手に入れることだ。
 これはあらゆる攻撃を防ぐ力を持っている。

 グリモア猟兵は転移門の準備をするとあなたを見た。
「門を潜るかは君次第だ。現地での行動も君が猟兵としてある限り僕は支持しよう。試練を攻略しメガリスを奪うもよし、堕天使が挑む試練を妨害するもよし。基本的に何をしても召喚魔王がKING到達することは防げるからね。猟兵にとって有利に進むはずさ」

 もしもあなたが門を潜るならば。
「どうか気をつけて。君の幸運と無事を祈るよ」
 祈りが聞こえるだろう。


● 7thKING WAR - オーシャンボール跡にて -
 転送された先。
 そこは、かつてコンキスタドールたちが侵攻した跡地だった。
 その証拠はほら、あなたが空を見上げれば目に入るだろう。
 キラキラと揺らめく球が無数に浮いている。よくよく見れば中には水が――海が閉じ込められている。かつてあの球が地に落ちてこの場を海に沈めてしまった。故に、オーシャンボール跡と呼ばれる。
 あなたが再び目線を戻せば、その先で悪魔海賊たちが財宝――ひとつのメガリスを奪い合っていた。
 メガリスを手に入れるためには試練を乗り越えなければならない。今残っている試練は、非常に難易度の高いものばかりなのだ。
 悪魔がいくら強くとも、こればっかりはどうにもならなかったようだ。
 そんな彼らの前で試練を越えれば、悪魔海賊たちからはきっと賞賛されるだろう――なお、オブリビオンも挑んだがあっさり負けたようである。

 試練の入り口では、ごうごうと見上げるほど高く炎が立ち昇っていた。無防備に立ち入れば、喉や肺が焼かれるかもしれない。離れていても異常な温度であることはわかるだろう。
 炎の奥には、頑丈そうな宝箱が置かれていた。
 あれが、あの中にメガリスが眠っている。
 水を被るか、シールドなどでガードするか、はたまた他の手段を考えるか。

 あなたの視界に、カコエルが翼を焦がしながら試練から逃げ出してきたようだ。
 このオブリビオンが試練を達成できぬように妨害するのも良いだろう。
 或いは――今ここで戦闘を挑むのも有効であろう。
 オブリビオンの排除。
 メガリスを奪わせない。
 これが達成されさえすれば、あなたの、猟兵の勝ちなのだ。
 幸いにしてここは善悪の価値観がひっくり返った世界。『悪い事』を行うことは『良い事』を行うのに等しい。

 悪魔王遊戯の幕はとうに上がった。
 あとは玉座に誰かを座らせるか、空位を維持するかのどちらかだ。

 さて、あなたはこの地で何を為すだろうか?


いつき
 はじめまして、あるいはこんにちは。
 UDCアースはお出かけ日和ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
 今回は戦争シナリオです!
 シリアスっぽいOPですけど汝の為したいように為すがよい、です。

 いつものように連携アドリブ可と受け取りますので、NGの方だけ冒頭に×をお付けください。
 技能の【】などは省略して大丈夫です。
 省略した文字数をプレイングに是非ご利用ください。

●本シナリオは1章構成の「戦争シナリオ」です。
 断章追加はありませんのでプレイングはお好きなタイミングでどうぞ。
 なるべく早めに完結を目指します。成功分以上は余力と戦況次第です。ごめんなさい!

●目的
 オブリビオンを倒す事。
 シンプルisベストの見本ですね。
 試練の攻略を妨害しても良し、オブリビオンに戦闘仕掛けるでも良し。
 猟兵さんのお好きなようにして下さい。

●プレイングボーナス
 ・試練の攻略を妨害しながら戦う。
 ・猟兵がメガリスを奪う。
 どちらかを満たしていればOKです。

 また奪ったメガリスは下記の能力を別途扱えます。必要ならご自由にどうぞ。

●メガリス『火鼠の皮衣』
 あらゆる物理魔法デバフ問わず攻撃を無効化します(このシナリオの戦闘中一度だけ有効)

●補足
 悪魔たちは強いのでちょっとやそっとじゃ死にません。猟兵さんの行動に巻き込んでもピンピンしてるのでご安心を。丈夫な良い子たちですね。

 それでは良い旅を!
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第1章 ボス戦 『『断悪の天使』カコエル』

POW   :    エンジェル・プロモーション
【自身が敵から負傷を受ける度に上位の天使】に変身する。変身の度に自身の【翼】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD   :    セイクリッド・シャイン
【自身から溢れ出る聖なる輝き】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ   :    エンジェルハイロゥ
対象の【頭部】に【天使の輪】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[頭部]を自在に操作できる。

イラスト:文月燈夏

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

モフットボール・クラウディン
「メガリスは要らないけど、邪魔するよ」
燃える毛玉、モフットボール・クラウディンが参戦します。

防火炎壁盾で入口を塞ぎ、時間稼ぎに徹します。当然、他の猟兵は通れるようにタイミング等を調整します。攻撃を受け続ける『覚悟』はあるので、『限界突破』してでもカコエルの侵入を妨害します。
「ファイアウォール・シールド!! さぁ、今のうちにっ!」


地籠・陵也
【アドリブ連携歓迎】
【属性攻撃(氷)】と【オーラ防御】の術を【多重詠唱】、ひんやり空気の膜を作って進むぞ。
流石に普通に進むだけだと暑すぎてそれどころじゃないからな。

ついでに【指定UC】で【範囲攻撃】、悪魔の邪魔をしつつ俺自身は回復とバフがかかるので体力の消費も少なく進むことができるだろう。
こうして体力の消費差で勝負をつけていけば俺の方が先にメガリスに辿り着くのは容易なハズだ。

……あ、何か「ずるくね?」的な視線を感じるな。
デビルキング法に基づき鼻で笑って返そう。
こうするのが悪の美学だとここの本には書いてあったからな(?)
それで怒って攻撃してきたら【破魔】の【レーザー射撃】で【カウンター】するぞ。


蛇無・杏珠
◎連携・アドリブ歓迎。

「炎に飛び込んでお宝を取ってくればいいんだね!よーし、任せて!」

火の中は得意だよ!早速UC発動!持ち前の【勇気】と【火炎耐性】も使って勢いよく飛び込むよ。

「がおー!暴君竜だぞ!いかにも悪そうでしょ!」

爪に火鼠の皮衣を丁寧に引っ掛けて、炎の中から脱出!

オブリビオンさん、これが欲しいの?
でもダメだよ!

口から炎を吹いて通せんぼ!元々の試練の炎の勢いを借りて強く燃え上がらせるよ!

カコエルさんに恨みはないけど、これは蛇無ちゃんが持って帰らせてもらうね!


ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
ボクは試練の攻略を兼ねた、妨害をしていくね!
自慢の視力で敵の動きを盗みつつ、メガリスが眠っている宝箱を対象に【デモン・フェイカー】。精巧なる贋作「偽宝箱」を宙に生やして、どう?この存在感!メガリスはいただいたよ(嘘)嘘だと思う?本当に?ボクがあらゆるものを盗む魔界盗賊でも?。
偽物特性のミミック化で騙し討ち、時には壁代わりに、敵の聖なる輝きを偽宝箱ガード!。どれかは本物だよ!
攻略:メガリスの入った宝箱に試練を突破して貰う
ボクのユーベルコードの真価は、贋作対象になった「本物」の操作権を盗むこと!本物の宝箱を操り、収納の魔術カードの中へ詰め込むよ。
ワルいね、ボクはあくまで盗賊だから。



●火鼠の毛皮が炎の中にあるのはバグなのでは?
 断悪の天使ことカコエルは、幾度目かの挑戦に失敗し炎の中から飛び出した。
「もうなんなのよー!」
 パタパタと先っちょが少し焦げた翼を震わせて思わず叫んでいた。
 財宝――メガリスを中心に炎が囲んでいた。一箇所だけ誘い込むように口を開けている『試練』とやらは、一見すると簡単に見える。
 視界の中に敵らしき敵はいない。
 ただ燃えさかる炎の壁を越えて財宝を手にすれば良いのだから。
 けれど悪魔海賊たちの敗北が現実をカコエルに見せつけるのだ。
 悪魔は財宝を求め試練に挑むが、ことごとく返り討ちにされている。あの頑丈な悪魔たちが尻尾を巻いて逃げてくるのだ。
 普段ならばカコエルだって大笑いでその光景を眺めていただろう。
 ここで颯爽と財宝を持ち帰れば、洗脳するまでもなく彼らのカリスマとなれたはず。
 はずだった。
 現実は、熱さに耐えられずに逃げ帰っているのが現実だ。
「そろそろ……別の試練に挑もうかしら」
 思わず泣き言を漏らす。
 けれどそれでは堕天使の名が泣いてしまう。
 オブリビオンだって辛く感じることだってあるのだ。
 けれどどんなに辛くたって、それでも召喚魔王には【KING】へ到達してもらわなくてはならないのだから。
 カコエルは再び試練に挑もうと翼を広げて――。

「メガリスは要らないけど、邪魔するよ」
 そこへ突如試練へと乱入してきたのは、燃える毛玉ことモフットボール・クラウディン(モーラットのブレイズキャリバー・f35950)である。
 今回の予知に限っては、どうあがいても猟兵たちの有利は確定していた。悪魔海賊が残った高難易度試練を突破出来る見込みもなければ、オブリビオンも攻略に失敗している。おそらく終わりのない試練への挑戦が成功する前に、本来ならば「めでたしめでたし」で終わる話であった。
 此度の戦争がなければ、あるいは魔王ガチデビルに白羽の矢が刺さらなければの話だけれど。
 モフットは素早く戦況を把握する。
『試練』の外にはオブリビオンは一体と悪魔海賊の一団。ただし半数以上が試練に返り討ちに合い回復中だ。猟兵たちの行く手には先行している悪魔が複数見えるけれど、
「さぁ、今のうちにっ!」
 と仲間たちを炎の中に送り込む。皆ならばきっと大丈夫だろうと信じて。
 ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)はそんな彼の隣を駆けて行く。
「それじゃあ遠慮なく。ボクは試練の攻略を兼ねた、妨害をしていくね!」
「ありがとう。よーし、蛇無ちゃんに任せて!」
 蛇無・杏珠(暴走恐竜配信者・f35795)がその後を追いかけて、
「ここは任せた」
 と、モフットへ声をかけて地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)が財宝へと続く道へと飛び込んでいく。
 猟兵たちの乱入、そして試練への参戦を見たオブリビオンとまだ動ける悪魔海賊がざわめいて。
「まって抜け駆けは許さないわ!」
 オブリビオン・カコエルと試練に挑んでいた悪魔たちが猟兵を阻止しようと動き出すのを見た。
「間に合え!」
 敵が試練へ続く唯一の入口へたどり着く前に、モフットがファイアウォール・シールドで塞いだ。
 幾人かの悪魔が盾にはじかれるのが見える。
 それは彼の全身を炎の大盾へと変えるユーベルコードだ。
 敵の行手を阻む盾として――あらゆる攻撃をここで食い止める覚悟を決めた一手だ。
 代償に彼自身は全く動けないけれど、それでも、モフットは時間稼ぎに徹すると決めたのだ。
 仲間たちが財宝を手に入れ戻って来るまで、この場を防衛するのだ。
「この先は誰一人通さないよ」
 彼の背後では確かに仲間たちの足音が遠ざかって行く。

 征く道は周囲の熱で揺らいで見えた。
 何せ炎の壁に囲まれているので必然的に温度が上がる。先に侵入していた悪魔がへろへろになっているくらいだ。あの頑丈な悪魔が、だ。
 陵也は氷を利用してひんやりとした空気の膜を作って進んでいた。
 その場の環境への耐性はあれど、流石にこの状況はあまりにも暑すぎて財宝どころの話ではないからだ。
 それこそ、あのオーシャンボールでも落とさなければ鎮火しないのではないだろうか?
「お宝を取ってくればいいんだね! 
 その隣を走る杏珠は涼しい顔をして、早速自身のユーベルコード暴君竜の乱舞を発動させる。
「がおー! 暴君竜だぞ!」
 翼を持つ巨大なティラノサウルスへと変身した彼女は、炎を吐き出すとわざとらしく咆哮してみせる。
 怯んだ悪魔たちを見てきゃらきゃらと得意げに笑って、
「えへ、いかにもワルそうでしょ!」
 杏珠はその翼をはためかせた。
 炎へ飛び込むことへ恐怖も躊躇いもなかった。持ち前の勇気が、そんなもの振り払ってくれるからだ。
 彼女を射落とそうと弓を向ける悪魔を目敏く見つけて、
「そうはさせない……!」
 陵也が放った、降り注ぐは熾天の光が光雨となり敵へと向かう。浄化と破魔の力を纏ったそれは、悪魔の行動を妨害しつつ、陵也自身と仲間たちは回復の恩恵に預かることが出来る。
 戦場へ一瞬齎された混乱。
「今度はボクの番だね!」
 敵の動きが止まる刹那の時間さえあれば、ユニにとって十分だった。
 彼女は自慢の視力で悪魔たちの動きを盗みつつ、財宝ことメガリスが眠っている宝箱を対象にユーベルコードを仕掛ける。
 ユニが胸元からカードを取り出すと共に、宙にぽんと宝箱が生えた。
「えっ宝箱!?」
 と隣でこぼれたのは誰の声だったか。
 それをよそに「宝箱」は悪魔の攻撃を退け、あるいはミミック化して騙し討ちを食らわせている。
「どう? この存在感! メガリスはいただいたよ」
 嘘か真か。ユニは悪魔らしくワルい笑顔を浮かべる。
 デモン・フェイカー。
 それはこの世のあらゆるものの精巧なる贋作を生み出す堕落の法だ。
「揺らぐ真実。偽りの財貨にかき乱されて、崩れし真作が今、悪魔の手に堕ちる」
 けれど、贋作を作る――それだけがこのユーベルコードの真価ではないのだ。
「嘘だと思う? 本当に? ボクがあらゆるものを盗む魔界盗賊でも?」
「それじゃあ、脱出ー!」
(……!)
 明るい杏珠の声をバックに、一連の出来事に反応出来なかった悪魔の恨めしげな視線に陵也は気がついた。
(……あ、何か「ずるくね?」的な視線を感じるな)
 だから郷に習って、陵也は鼻で笑って返す。
 デビルキング法に基づくのであれば、
「こうするのが悪の美学だとここの本には書いてあったからな」
 持てる手段を全て使っての財宝強奪は、この世界においては褒められるべきワルい事だろうから。
 直後、杏珠がユニと陵也の二人を丁寧に引っ掛けて炎の中から脱出を計る。
 あっという間に試練から脱出した彼らの眼下では、孤軍奮闘するモフットの姿が見えていた。
 小さなモーラットでありながらも、彼はオブリビオンに勇敢に立ち向かっていた。
 その証拠に三人が戻ってくるまでの間、誰一人彼の足止めから逃れられた者はいないのだから。
 オブリビオン――カコエルは最初に見た時よりも数倍大きく見える。振り上げられるその手には、断悪の光が灯る。
「ダメだよ!!」
 杏珠が、口から炎を吹いて威嚇する。試練の炎の勢いを借りて強く燃え上がる炎に、カコエルがわずかに怯む。
「――来たれ、術式展開!!」
 その隙を逃さず陵也の光の雨が的確にカコエルの翼を射貫く。

 地面に猟兵たちが降り立って、膝をついた彼女は彼らを見下ろしていた。
 猟兵たちの手元には宝箱があった。
 カコエルがどれだけ挑んでも手に入らなかったそれが、あっさりと彼らに奪い取られたのだ。
 そうっと手を伸ばすが、それはあっさり宝箱自身によってはね除けられた。
「オブリビオンさん、これが欲しいの? でもこれは蛇無ちゃんが持って帰らせてもらうね!」
 カコエルの前でパカっと開いた宝箱は空っぽだった。
 ユニのユーベルコードの真価は、贋作対象になった「本物」の操作権を盗むことなのだ。
「ワルいね、ボクはあくまで盗賊だから」
 とっくの昔に本物を収納した魔術カードから「本物」を取り出してユニは不敵に笑う。
 愕然としているカコエルにとどめの一撃が与えられて、やがてオブリビオンが朽ち果てる。

 状況を理解した悪魔たちから歓声があがるのはその直後のことだった。


●物語のその後で
 オブリビオンも消え去り、後は帰還するだけの時。
 準備が整うまでの待ち時間に、あなたや仲間たちには悪魔海賊たちから尊敬の眼差しを向けられていた。
 兄貴、姉御! そんな呼び声も聞こえるかもしれない。
 試練を突破した実力。
 財宝の為に己が持てる全てを持って勝ち取る強さ――或いは欺く『ワル』さ。
 それらは彼らの尊敬を集めるに十分相応しいものだったので。
 転送の準備が整って転移の輪を潜ろうとした時、
「――――っ」
 突如突風が吹き抜けた。
「あっ!」
 誰かが声を上げる。
「あっち、あっちだよ!」
 悪魔が指し示す先には『火鼠の皮衣』が風に攫われていた。
 それを追うように、幾人かの手が伸びる。
 あなたは自身の手に視線を落とした。
 手を伸ばすもよし、傍観するもよし。
 あなたが欲しいと思うならば、財宝を奪い取ることだって出来るのだ。
 だってこの世界では、全ての『悪事』が肯定されるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月08日


挿絵イラスト