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銀河帝国攻略戦⑮～精鋭艦隊を撃ち滅ぼせ

作者：暁月

●宇宙に轟く精鋭
「ん、皆のお蔭で帝国大要塞『エンペラーズマインド』も突破出来て、快進撃。順調に進んでるけど、やっぱり帝国もそう甘くないみたい」

　連戦に連戦を続ける猟兵達に、宇宙的な栄養ドリンクを振舞いながら月原・雪花（月兎・f06136）はグリモアを展開し、この先にいる大艦隊の映像を投影する。栄養ドリンクはりんごからバナナ、マンゴーやパイナップル味などあるが諸事情によりイチゴ味だけがはぶられている。解せぬ、といった様子で雪花もりんご味の栄養ドリンクを飲んでいる。

　投影されたのは銀河帝国が誇る精鋭艦隊『白城』。数もさることながら練度も士気も今までの艦隊に比べたら非常に高く、戦いながら練度を高めてきた解放軍では今は拮抗してもいずれ押され、壊滅するのは想像に難くなく、雪花の予知でもその未来が垣間見えた。

「このままだと負ける。だから、僕たちの手で起死回生の一手を打つしかない。相手の今の強みは練度と士気。これを挫く一手」

　続けざまに雪花は大艦隊の中でも一つだけ一際大きく、巨大な砲門を備えた『帝国宇宙戦艦』を映す。

「この戦艦が周りの大艦隊に指示を出してる。相当優秀な人がいるのかな。一糸乱れぬ動きに高い士気。難しいけど、この戦艦さえ落とせば相手の士気は相当落ちるだろうね」

　しかし、『帝国宇宙戦艦』は大艦隊の中心におり、攻撃するには艦砲射撃を潜り抜ける必要性がある。それに加えて『帝国宇宙戦艦』自身の武装も相当脅威だ。全砲一斉射撃で周囲に大破壊を生み、巨大な主砲から繰り出されるレーザーはチャージに時間がかかるものの銀河を切り裂く一撃。そして稼働時間を犠牲に殺傷力を高める帝国式鏖殺形態は封印を施された武装を解禁させる恐るべき機能だ。

「今までより激戦になる。それでも、僕たちが勝たなきゃこの世界が、この世界の人達が消えてしまう。そんなことさせない為に……皆、お願い」

　雪花は集まった猟兵達に深々と頭を下げ、無表情だがウサ耳をぴこぴことさせながら戦場へと送り届けるのだった。

第1章 ボス戦 『帝国宇宙戦艦』

POW   :    フルバースト・コズミック 【全砲一斉射撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    デストロイレーザー 【10秒間のエネルギーチャージ】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【主砲からのレーザー砲撃】で攻撃する。 WIZ   :    インペリアル・マカブル 【自身の稼働可能時間】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【帝国式鏖殺形態】に変化させ、殺傷力を増す。 👑15 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●対艦戦闘用意！

　帝国宇宙戦艦を旗艦とし、周りには小型戦艦や戦闘機が猟兵達を狙いレーザーやミサイルを繰り出してくる。猟兵達は『迷彩』やハッキング、宇宙バイクやブースターを駆使し、嵐のような攻撃をかいくぐり、帝国宇宙戦艦へと近づく。遠くからでも大きく見えたが、接近すればその大きさが良く解る。帝国自慢の巨大戦艦はその存在だけでも畏怖を感じる。これにより、多くの居住惑星や宇宙船が滅ぼされたのかもしれない。
　そしてその巨大な帝国宇宙戦艦は全ての砲門を猟兵達に向けている。だが、それで怯むような猟兵達ではない。むしろ逆にやる気を出し、各々武器を構える。

「さあ、対艦戦闘といこうか、イルダーナ！」

　リア・ファル（三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685）は元々戦艦の制御ユニットだ。対艦戦闘はお手の物だろう。
　
「構造上、脆くなるところってありますよね、そこを狙いましょう」

　ベルカ・スノードロップ（森に住まう"ようかん"司祭・f10622）の意見にリアも同意だ。すぐさまに何処が脆いか見抜くのは流石は戦艦を司る制御ユニットなだけある。その部分に向けてヴェスター・アーベント（漆黒の騎士・f09560）が宇宙空間でもなお映える漆黒の剣を向ける。

「あれもオブリビオンだろう……なら、俺が滅してやる」

　ヴェスターが先陣を切るように宇宙を駆け、それにベルカとリアが続く。リアはハッキングして知り得た内容をヴェスターに伝え、搬入用口の有りかを伝える。それと同時にダミー信号をデブリの中に仕込、時間を稼ぐ仕掛けを備えておく。

　帝国宇宙戦艦はデブリの中にいる猟兵達に向けて全砲門による一斉射撃――フルバースト・コズミックを放つ。どうやらダミー信号に引っかかったようだが、確実に殺すべく飽和攻撃で周囲ごと攻撃を仕掛けてきた。デブリも小惑星群も、果てには猟兵達に向かっていた戦闘機でさえフルバースト・コズミックに巻き込まれ、蒸発していく。残骸すら残らない一撃だ。
　猟兵達もまともに喰らえばただでは済まないが、猟兵達は既にそこにはいない。ダミー信号をしかけた時点で宇宙空間の闇に『迷彩』で紛れて帝国宇宙戦艦に向けて肉薄していた。猟兵達は莫大な破壊の奔流を背に、ヴェスターは【終焉ヲ齎ス黒】で搬入口を【鎧砕き】で切り裂き、内部への道へと切り開く。

　流石に装甲板を切り裂かれては気づいたのか、帝国宇宙戦艦はその巨大さに見合わぬ速度で猟兵達を引き離す。だが、すでにヴェスターは内部へと侵入していた。
　ヴェスターが戦艦内部で破壊の限りを尽くし、現れる帝国兵も切り捨てて暴れる中、リアは制宙高速戦闘機『イルダーナ』を突撃形態へと変形させる。ただでさえ小型で高速移動するイルダーナを帝国宇宙戦艦は捕える事が出来ない。一斉射撃による飽和攻撃も、効果は薄く銀河を切り裂く一撃はチャージに時間が掛かり単体には効果は望めない。
　そしてリアに翻弄されている隙にベルカは後方に移動し、８５本の槍を生み出す。それらは全て聖槍、魔槍、宝槍。見かけだけだが、威力は申し分はない。うち４０ずつを帝国宇宙戦艦の推進器へと放つ。残り五本の行方は――リアと共に艦橋へと放つ。五光の神速疾走と五本の槍が艦橋を撃ち貫き、内部へと侵入を果たしたと同時に推進器から大爆発が巻き起こる。そして内部からもヴェスターが絶え間なく破壊を続けていく。

　グラリと帝国が誇る宇宙戦艦が揺れる中、激戦は更に混迷を深めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●巨大建造物を壊す心得
「あれが噂の白城艦隊か。まさに大鑑巨砲主義を地で行く艦だな。アレが戦場に出てくるだけで、自ずと士気もあがるというもの。さて、どうやって攻略するか」

　ガーネット・グレイローズ（灰色の薔薇の血族・f01964）は繰り出されるデストロイレーザーを大きく避けながら考え込む。デストロイレーザーは再発射に１０秒時間がかかる。それまでに何としてでも攻略手段を見つけなければならない。
　先行していた猟兵達が内部へ侵入すべく切りこむ様子を見ると、ならば自分は外から掻きまわす方がより効果的だろうと即座に判断を下し【念動武闘法】を使い、十字架型のブラスター銃を複製する。

「神殺しの力の一端をお見せしよう」

　２１個のブラスター銃がガーネットの周りに展開するように現れる。そして再チャージを終えたデストロイレーザーが再び放たれる。莫大なエネルギーの奔流が宇宙空間を切り裂きガーネットに迫るも、どのタイミングで放たれるか【戦闘知識】で読み切ったガーネットはギリギリのところで回避に成功する。極太のレーザーはそれだけで回避を困難にさせ、破壊の嵐を生み出すが一度見たものならば戦闘知識を生かしやすい。
　回避に成功したガーネットは、お返しにと２１丁のブラスターが一斉に火を噴く。一つ一つは小さくとも、束ねれば戦艦に劣らない火力を持つブラスターは帝国宇宙戦艦に直撃し、爆発を巻き起こす。
　デストロイレーザーでは分が悪いと判断した帝国宇宙戦艦は全砲門にエネルギーを回し、一斉に放つ。
　ガーネットはあらかじめ聞いており、気を付けていた事もあって第六感を生かして回避を続けるも、予想していたよりも自分に向かっている砲門の数が少ないのに気づく。それはそうだろう。リオン・ソレイユ（放浪の老騎士・f01568）があえて敵の目につくように移動射撃を行い一斉射撃を引きつけていたからだ。

「ちと骨は折れるが、巨獣の方が何倍も手強いぞ」

　リオンは力を貯めながら砲撃を見切り、ライトニングキャバリアで加速し砲撃を振りきる。

「天の加護は我らと共に。征くぞ、エイス！」

　騎乗したまま大剣に変形させた魔剣で帝国宇宙戦艦の装甲をヘブンリィスラスト切り裂いていく。ギャリギャリギャリと装甲板が魔剣で切り裂かれる音が宇宙空間に鳴り響き、摩擦で火花が巻き起こる。ここまで近接されては砲門を向ける事も出来ず、艦体を反らせるのが精いっぱいだ。だが、そこで他の猟兵が推進器を打ち壊したことにより、それすらも困難となる。
　動きが止まった帝国宇宙戦艦にガーネットが一斉射撃を叩きこみ、リオンは勢いを付けたまま魔剣で装甲板を引き裂いていく。砲門も幾つか叩き斬り、潰していう。
　艦内でも大暴れしているのだろう。至る所で爆発が巻き起こり、装甲板が吹き飛んでいく。

　帝国が誇る宇宙戦艦は猟兵達の手により、大きな損傷を負って良くも敵の攻撃はやむことなく、周囲の艦隊や戦闘機の攻撃も苛烈なものとなっていく。帝国宇宙戦艦が落ちるのが先か、それとも猟兵達が落ちるのが先か、その運命は予知ですら見えない――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●悪を穿つ小さなドリルと、巨大戦艦の弱点

　宇宙空間を一つのバイクが駆け抜ける。解放軍から貸し出されたものではなく、先端が竜の頭を模した二輪バイクだ。

「 この世界じゃバイクで宇宙空間を飛んでんだ。お前にもできるよな、ライドラン！」

　ライドランと呼ぶバイクに乗るのはアーサー・ツヴァイク（ドーンブレイカー・f03446）だ。正義の改造人間であるアーサーは帝国宇宙戦艦から繰り出される砲撃を超スピードで回避し、避けれないと判断すれば盾にオーラの膜を張り速度を落とさずに鉄壁の構えで強引に抜けていく。一斉射撃による周囲に大破壊を生み出す飽和攻撃を繰り出すも、こうも早く、そして硬いとあっては効果が薄い。死に死に帝国宇宙戦艦は戦艦や戦闘機、宇宙船と戦う為の兵器だ。人のような小さなものに当てようと思っても中々当たらない。となれば当然―――もっと小さいのは当たる訳もなく、存在にすら気づいていない。

　帝国宇宙戦艦に新しいアラームが鳴り響く。既にブリッジや搬入口から侵入され、内部で大暴れされた上に推進器も破壊、装甲板も切り刻まれるという事態で船艇に大穴が空くという緊急事態が発生したのだ。
　宇宙戦では、３６０度警戒しなければならず、船艇にはリアクターや燃料などを貯蔵する場所なのでより一層気を付けていた。砲門も多く設置されておりオペレーターたちも気を配っていたのだが、気づけなかったのだ。
　それはそうだろう。ただでさえ戦艦より小さい人に気を奪っていたのに、それより小さな存在なんて見つけられるはずがない。

　リリィエル・ロックウェル（クレヨンの勇者・f01438）はアーサーや他の猟兵達が内外両方で暴れている隙にひっそりと船艇に取りついた。そしてにんまりと笑みを浮かべ、クレヨンで出来た剣を構える。

「銀色は輝く鋼の色、銀の螺旋の力が全てを貫くのです！！」

　クレヨンが銀色に輝き、螺旋を描く。そして全力全開の力を籠め【クレヨンソード銀色：ギガドリルクラッシャー】で船艇に大穴を開け、内部へと侵入を果たした。そのままドリルで多くの障壁や壁、天井などを撃ち貫き一つの巨大な機械を見つける。ゴゥンゴゥンと高らかになる巨大な機械は帝国宇宙戦艦を支える動力炉だ。リリィエルが動力炉を見つけたと同時に、先行していたヴェスターが司令部施設への扉を切り捨て、ブリッジから潜入したリアがリリィエルが見つけた動力炉を天井から見つける。そして帝国宇宙戦艦が誇るデストロイの異名を持つ砲門にアーサーが辿り着く。

「光よりも速く……！いっけぇぇえええええ！！」

　アーサーが帝国宇宙戦艦の立派な砲門に向けて全力で槍を投げ、リアとリリィエルの二人が動力炉を破壊したのは同時だった。
　帝国宇宙戦艦は今までにないほどの衝撃が走り、動力炉を破壊された戦艦は至る所で爆発が起こり装甲板が吹き飛んでいく。ヴェスターは司令官を切り捨て、壁を切り裂いて宇宙へと脱出し、他の猟兵達も今まで通ってきた穴を逆走するように大急ぎで退避する。背後から強力な爆風が迫っている。帝国宇宙戦艦の攻撃は何とかしのぐことは出来たが、ここで爆発に巻き込まれるのは勘弁だと言わんばかりの全力疾走。

　アーサーも爆発に巻き込まれる前にライドランで距離を置き、デブリにあった丁度良さそうな足場で爆発する帝国宇宙戦艦を眺める。
　巨大な砲門も周囲に破壊をもたらした砲塔も、そしてついぞ出番が無かった兵器も一切合財纏めて爆発していく。猟兵達が安全圏まで逃げ延びたその時、宇宙空間を振動させる程の巨大な爆発が帝国宇宙戦艦から起こり――その姿を消滅させた。残るのはただの残骸のみ。その残骸も後で解放軍のサルベージ屋が引き取り、ジャンク屋で再利用されるだろう。

　一歩ずつ確実に銀河皇帝を追い詰めている。その実感を得ながら猟兵達は皆の元へと帰るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月16日