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銀河帝国攻略戦⑭~白悪魔正体見たり特攻艦

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●ブリーフィング/スーサイド・フリート
「緊急事態アルヨ! グリモアが予知を告げているアル! 解放軍艦隊が帝国『白魔』艦隊の強襲を受け、大打撃を受けるアルヨ!」
 グリモア猟兵、ミャオ・ニャンニャン(謎のヒーローマスク・f13204)が覗き穴から唾を飛ばしながら緊急の任務を告げる。『白魔』艦隊と言えば、帝国の二大巨頭が一つ『白騎士ディアブロ』の直属艦隊。伝説によれば、高速艦のみで構成されたそれはかつての解放軍をその機動力と練度で散々に苦しめたという。
「……何が直属精鋭部隊の高い練度、高質で統一された艦艇の機動性アルヨ!? グリモアが見せたのは単なる自爆特攻戦法アルヨ! 精鋭が聞いて呆れるアル!」
 ミャオはヒステリーめいた声で、語り継がれている高尚なる伝説と、そこに隠されたお粗末極まる事実の乖離を叫ぶ。長きに渡る平和な時間が真実を歪めたのか、あるいはあまりにも常軌を逸した戦法故に真実を伝える事すら憚られたのか。いずれにせよ、解放軍艦隊は『白魔』艦隊による自爆攻撃の危機を迎えている。
 ここで多大な被害を受け、戦力を削られ足並みを乱されようものなら、間違いなくこれまでの快進撃に水を差されることになるだろう。無論、帝国もそれに乗じさらなる追撃を行ったり、解放軍の瓦解を目論み調略に乗り出し始めるだろうことも想像に難くない。故に何としても止めなくてはならない。

「この『白魔』艦隊の攻撃、現状の解放軍艦隊に止める術はないアル。防ぐ方法はただ一つ、ワタシ達猟兵による敵艦への直接転移、そしてコアマシンに直結した自爆装置の強制作動のみアルヨ」
 敵艦は今もなお全速で解放軍艦隊の真っ只中目掛けて侵攻している。懐に潜り込まれたら一巻の終わりだ。その前に、安全圏から強制的に自爆させなくてはならない。
「敵艦は輸送艦ベースな中にその中に詰め込めるだけ詰め込んでいて、滅茶苦茶多いアル。しかも敵は自分達の作戦を重々承知しているアル。こちらを倒すよりも、とにかく時間稼ぎに徹してくるし、自分達が勝っても負けても死ぬことを知ってるから、命を惜しむこともしないアル。……分かるアルネ? そんな奴らと虱潰しに戦ってもキリがないアル。とにかくコアマシンへの進路を切り開くことが最優先アル。敵を倒すのはあくまでその手段だという事を忘れちゃいけないアルヨ」
 ミャオは今回の作戦目的を念入りに釘を刺す。万難を排すのは、敵艦中枢部に存在する自爆装置の作動のため。それを見誤れば目標達成に重大な支障をきたすこととなるだろう。注意せねばならない。

「アナタ達に、敵艦の一隻を任せるアル。コアマシンへの直接転移は出来ないアルケド、出来るだけ近くには転移してみるアル。勿論、作戦が終わったら転移で帰還させるアルカラ、決死の覚悟で達成して――帰ってくるアルヨ!」
 ミャオが敵艦内部への転移を開く。目指すは敵艦中枢。タイムリミットが迫る。


前後
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 皆さん、初めましての方は初めまして。以前プレイングを送って下さった方は今回も御贔屓にありがとうございます。戦争も中盤戦に入りましたね。前後です。

 今回の目的は【コアマシンに直結した自爆装置の破壊】です。自爆装置はコンソールを操作しても、物理的に壊してもどちらでもOKです。
 無論、敵もその点を重々承知しています。何としてもこちらの進行を防ごうと抵抗してきますし、可能な限り時間を稼ごうとしてきますので、それをどう打ち破るかを考えてプレイングを送って頂ければいい感じになるのではないかと思います。

 参加して頂ける方にはいつも感謝させて頂いております。
 皆さんがプレイングを通して寄せて頂ける期待にリプレイで応えられるよう尽力しますので、どうぞよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『タイプ・メデューサ』

POW   :    触手の一撃
単純で重い【液状触手】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    強化増殖
自身が戦闘で瀕死になると【(強化版)タイプ・メデューサ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    石化粘液
【液状の触手】から【石化粘液】を放ち、【石化】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルトルファス・ルーテルガイト
……不快な感覚だ、命を捨て石にする事を苦にも思わないやり方は。
…命の価値を物にしか見ない連中、此処にいるなら直ぐにでも斬り捨てたいが、まあ…いないだろうな。
(冷ややかな視線を向けながら、柄だけの剣を構えて)

(方針)
…要はコアマシンに通じるまでの道が出来る様に薙ぎ払えばいい事。
…『個』を相手にせず、『面』で薙ぎ払って道を作る!
…『エレメンタル・ファンタジア』を使用して、『雷の津波』をコアのある方向に向けて押し流しながら進むぞ。
…戦艦内なら、電気はあちこちに存在するだろうから…媒介は十分な筈。
…だがコアに完全に届かないなら、コアへの道を作る事に専念する事も視野に入れる。



●サンダークラップス
「……不快な感覚だ。命を捨て石、物の数としか思わぬやり方は」
 黒く長い艶やかな髪を持ち、赤褐色の外套を羽織る精霊剣士ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)。彼のその冷たく整った顔立ちに、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「このような手段を考え付く連中、此処にいるなら直ぐにでも斬り捨てたい所だが……」
 まあ、いないだろうなと独り言ちる。ルトルファスの目の前に立ち塞がるのは【タイプ・メデューサ】と呼称されるオブリビオンの群れ。直立する蛸とも海月とも付かぬ姿を持つ、かつてはブラックタールであっただろうモノの成れの果ての、さらに成れの果てのみ。それらは自我すらも剥奪され、死してでも敵を足止めするという命令を遂行する、単なる艦艇の防衛機構に過ぎない。
「……終わらせてやる。この戦いも――そしてお前達も」
 彼らもまた、非道なる帝国とその実験の被害者。ルトルファスは目の前の敵に憐れみの視線を向け、そして遥か後方でその様をほくそ笑んでいるであろう黒幕に燃え上がる義憤を抱くと、柄だけの【精霊剣(スピリチュアルソード)】を構える。

 ルトルファスを見つけた無数のメデューサ達は笠状の頭部に虚ろな表情を思わせる凹凸を浮かべると、ルトルファス目掛けて触手を向けセメント状の【石化粘液】を噴射する。ルトルファスが躱し、着弾した先でそれは忽ち凝固し、コンクリート塊に変貌する。命中すればその体を石と変え、例え外してもそれが積み重なれば道を塞ぐ防壁と化すだろう。
「敵は多い上に厄介だ。だが全てを相手取る必要も、倒す必要はない……要はコアマシンに通じるまでの道を切り開けばいい事!」
 ルトルファスは艦内の壁や天井に目を向ける。艦のあちこちで、まるで血管の如く走る動力の波。力の媒介には十分過ぎる量と範囲だ。ルトルファスは【高速詠唱】と共に【エレメンタル・ファンタジア】の術式を編み上げ、その完成と共に精霊剣を振るう。
「精霊の怒り……受けてみろ!」
 その柄から刀身が具現化すると同時に、その刃から光り輝く雷の津波が、目の前のメデューサ、そしてその先に存在する中枢部に目掛けて放たれる。水の轟音、雷の爆音を立てて襲い掛かる稲妻の大河は、艦内の動力をも巻き込んであっという間に鉄砲水と化し、反撃ごとメデューサ達を呑み込み押し流し、水が蒸発する音と共にそれを焼き焦がし、そして小さく干からびた焦げた匂いの物体へと変貌させていく。

 制御困難な精霊現象の暴走は、むしろ今回の戦いでは最良の結果に働いた。動力を吸って肥大化し続ける雷電の大洪水は、メデューサ達を立ちはだかる先から塵芥へと変えていく。そしてそれが収まった後には、コアマシンへと繋がる、巨大な風穴の如く血路が開かれていた。ルトルファスの放った会心の一撃によって、猟兵達は一気にコアマシンまでの距離を詰めていく。
 無論、メデューサはあれで全てではない。無尽蔵とも言える増援がやがてこの空隙を埋めていき、次々に猟兵達に立ちはだかるだろう。戦いはこれからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グルクトゥラ・ウォータンク
コアマシンまで何マイル~、マイクロバスで行くんじゃよ~。まあマイクロバスはないし野球に行くわけでもないが。

カミカゼ突撃に逆突入、ご機嫌なシチュエーションじゃな。ギアをあげていこうかの。
【攻性電脳妖精多重召喚】、拡張オプション「LOVEサンダー」により電撃攻撃できるようになった400の高速機動電脳妖精が敵に張り付きバリバリ焼いちゃうぞい♪(90年代リスペクト)【マヒ攻撃】【先制攻撃】【属性攻撃】じゃ。
自分の周囲には【ガジェットボールズバタリオン】を護衛として置いて、電脳妖精の指示出しに専念じゃ。【範囲攻撃】しつつ【罠使い】も活用するぞい。
物量には物量で勝負、ガンガン増やしてガンガン進むぞい!



●ソング・オブ・ウォー
「コアマシンまでは何マイル~、マイクロバスで行くんじゃよ~♪」
 ご機嫌な様子でノリノリな歌を口ずさみ、無数の戦闘用球体【ガジェットボールズバタリオン】を浮かべて従え、敵陣を進むのはグルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)。赤銅色の肌に濃い髭を結わえ、メカニックのツナギを着こなすガッシリとした体形のドワーフだ。
「まあマイクロバスはないし、野球に行く訳ではないが」
 カミカゼ特攻に対し逆にこちらがカミカゼ特攻を掛けるのは、何ともご機嫌なシチュエーションであるとは本人談。そして軍隊屋グルクトゥラが得意とする戦法は、本来少数戦力による起死回生の策であるカミカゼとは真逆に位置する、数的優位による圧殺だ。

 先ほどの攻勢から体制を立て直したメデューサ部隊が、大きく開かれた進路を埋めようと殺到し、グルクトゥラ含めた猟兵達をも圧殺しようと迫り来る。ボールズはそれを近づく側から迎撃し、またメデューサも触手を振り回してそれを叩き落としていく。ボールズ部隊は一体一体の性能よりも数を揃えることを重視しており、メデューサの撃破数こそ大して稼げないものの、敵の足止め――即ち味方の開けた進路を維持するという目的にはこれ以上になく合致した特性だ。
「ギアをあげていこうかの――バリバリ焼いちゃうぞい♪」
 ダメ押しとばかりにグルクトゥラは【攻性電脳妖精多重召喚】を発動。それは一見すると大気が光り輝いているようにしか見えないが、その実態は数百にも及ぶ電撃妖精の群れだ。【電脳妖精拡張オプション『LOVEサンダー』】を搭載された不可視なるそれは、迫り来るメデューサに音を立てながら放電し、その体を痺れさせると同時に焼き焦がしていく。

 無論メデューサも黙って焼き焦がされている訳ではない。無数の触手を遮二無二に力を込めて振るい、貼り付いた電脳妖精を叩き落とそうと抵抗する。いくら姿が見えなくとも、放たれる電撃で概ねの位置は察せる。さらにその物量となれば、適当に振るっても何体かには命中し、徐々に光り輝く空気は艦艇の床に力なく滞留するようになっていく。
 それでも、メデューサからすれば時間稼ぎに徹するはずが逆に自分達が足止めされるという、完全に予想外の事態に遭遇している。遊兵と化した後続のメデューサが放物線を描いて石化粘液を放つも、空中で分散したそれはグルクトゥラが被っても大した量にはならず、彼とその軍勢を足止めすることは叶わない。

「足止めはこの程度で十分じゃな。次は一点突破、ガンガン進むぞい!」
 コアマシンへ繋がる進路の一点に電脳妖精を集め、その雷撃を集約させる。一本の落雷と化した一撃は前方に立ち塞がるメデューサ群を一瞬で蒸発させ、致命傷を免れたものもボールズの追撃を受けトドメを刺される。とは言え、油断は禁物だ。メデューサは倒された側から【強化増殖】を初め、数の維持と戦力の強化を始めるからだ。
「やはり一筋縄ではいかぬか。じゃがそうでなくてはな! ワッハッハッ!」
 尽きぬメデューサの戦力を前に、粘液を被って体のあちこちにアスファルトを付けながら、上機嫌で笑うグルクトゥラであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エール・アブス
これが本物のブラックタールかぁ。なんか親近感沸かないや。いわゆる神風特攻してくる敵艦をどうにかすればいいんだよね、だったらわたしは道を開けることに徹するよ。

【POW】で判定。自爆装置はコアマシンと直結してるって聞いたから、コアマシンルームへ行けばいいんだね。

まずはわたし自身を『転生齎す灰色の泥沼』で覚醒状態に。覚醒状態になったら、生命を溶かす力を強めた『灰泥の涙』で通路上にいるメデューサを全部溶かしてあげるわ。
自爆装置の破壊は、誰かに託そうかしら。わたしがやることは道を開くだけよ。

(覚醒時は女性的な口調になるので注意)



●マッド・オブ・プライマル
「これが本物のブラックタールかぁ。なんか親近感湧かないや」
 エール・アブス(好奇心旺盛な泥人形・f07961)は目の前に立ち塞がる『同族』の群れに対し、複雑な表情を浮かべる。
 色や材質は緑掛かっているか赤みを帯びているかの差異はあるものの、似たような黒系の柔らかな物質。だが豊かな感情を浮かべるエールの顔と、模様と見間違えかねない程の薄い凹凸の、そして焦点も合わぬ虚ろな顔付きが浮かぶのみのメデューサの顔は明らかに異なるものであった。メデューサの表情、即ち感情は度重なる非道な実験と度重なる死と再生の末に崩壊していた。それはブラックタールというよりは、ブラックタールを素材とした兵器と形容した方がむしろ近いとすら言える。
「この神風特攻を試みる艦をどうにかすればいいんだね。そしてそのためには自爆装置を作動させる必要があり、それはコアマシンと直結している――つまりコアマシンルームを目指せばいいのか」
 エールは作戦目的と現状を再確認する。目的地であるコアマシンルームに辿り着けば実質作戦は成功だ。そして到達までの道のりはまだ半ば程。猟兵達はそのためのあと半分を、メデューサの集団を掻い潜り突破しなければならない。

「だったらわたしは道を開けることに専念するね。自爆装置の破壊は任せるよ」
 自身と似て、だが非なるメデューサは溶けたような口を開きながら、ジリジリとエールににじる寄る。成すことは決めた。後は実行するのみだ。
 エールは【転生齎す灰色の泥沼】を発動し、己の内に眠る外なる神の力を覚醒させる。覚醒と共にエールを形取る黒緑の体表が白い灰のような色に変わり、中性的な面もあったその姿を女性的な側面を強めたものへと変貌させていく。
 姿と言葉を変えると同時に恐るべき力を解放したエール。エールでありながらエールでない、外なる力が目覚める。

 例え心を持たずとも、その姿の変貌、そして放たれる異様な力に、兵器としてのメデューサ達が彼女を危険視したのも当然だ。その歩みを止めようと【触手の一撃】を打ち付けるも、覚醒したエールはそれらの攻撃を一顧だにしない。だがそれは、現世の命であるエールには過ぎた力でもある。あまり長くは保てない。その前に道を切り開かなくては。
「哀れなる生けしもの。わたしが終わらせてあげるわ」
 エールがそう語ると共に、彼女の周囲からエネルギーの濁流が溢れ出る。【灰泥の涙】、覚醒した彼女の体にも似た色を持つ泥のような液体が、エールを囲むメデューサの足を浸し始める。無論、それは単なる水流ではない。
 メデューサの背丈が徐々に縮んでいく。いや、厳密に言えばその構成物質が足元から溶かされているのだ。メデューサは強化増殖を試みるも、生命の存在を否定する混沌の潮流はそれすらも許さない。やがて潮流は濁流へと変わり、次々に、そしてメデューサ達のみを選択して押し流し、呑み込み、彼らを再び骸の海へと還していく。果たして、今度こそ安らかに眠れるのだろうか。
 そして濁流が過ぎ去った先には、コアマシンへと繋がる道筋が広がる。エールの恐るべき攻撃に、辛うじて逃れたメデューサ達も及び腰だ。その隙に、猟兵達はさらに歩みを進める。

成功 🔵​🔵​🔴​

グァンデ・アォ
《アドリブ、連携、苦戦描写、その他何でも歓迎です》
(ぱたぱた)うーん、思った以上にこの船の中って広いね。やっぱり『輸送船』だからかなぁ。
えーと、この部屋の中はどうなってるのかな……(窓から中をのぞく)……うわ、敵がいっぱーい。どうしよ。

……ねえ、この船って、たしか輸送船だよね。とすると、この部屋って輸送コンテナ?
もしそうなら、切り離して宇宙に放り出せないかな!?

早速、コンピュータカタカタしたり、機械ガチャガチャするのが得意そうな人に相談してみるよー。


月凪・ハルマ
◆SPD

さっさとコアマシンまで辿り着きたいとこだけど、
流石に敵の数が多すぎるか

ならこっちは【魔導機兵連隊】でゴーレム達に敵を抑えてもらおう
数が多い方がいいので今回は合体させずに運用
ぶっちゃけ時間が稼げればいいからね

自身はなるべく戦闘を避けながらコアマシンを目指す
途中で敵と遭遇した場合は【見切り】【残像】を駆使して回避

あと念のため、【武器改造】で手裏剣に爆破属性を付与
回避できない敵はそれで吹き飛ばしつつ
(倒せなくても構わないので)全速力でコアマシンを目指す

上手い事コアマシンに到達できたら改造した手裏剣を
打ち込んで破壊

いやもう単純に時間が惜しい。
あのクラゲ、際限なく湧いてくるし!

※連携・ドリブ歓迎



●神風吹かず
「さっさとコアマシンまで辿り着きたいとこだけど――」
 月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)の視線の先には、既にコアマシンの入口が見えていた。透明の大扉の先には既にコアマシン、そしてそれに絡みつくように取り付けられた触手の生えた目玉状の物体――自爆装置が姿を見せている。あの扉を潜れば、いや開くだけでもいい。そうすれば自爆装置を強制起動させられ、解放軍艦隊を救うことが出来る。だが、そうは問屋が卸さない。
「流石に数が多すぎる。あのクラゲ、際限なく湧いてくるし! こうしている間にも時間が……!!」
 敵メデューサ群も最後の抵抗とばかりに戦力を集約させ、石化粘液や自身の肉体で出来合いのバリケードを築いていく。猟兵とメデューサの攻防は一進一退。そしてハルマが指摘するように、膨大なエネルギーを満載した特攻艦はその間にも解放軍艦隊を目指し、猛烈な速度で宇宙空間を突き進んでいる。

「うわ、敵がいっぱーい。どうしよ。このままじゃ突破出来なさそう」
 ヘルメットから翼と足を生やしたドローン型ヒーローマスク、グァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)もまた、その翼でパタパタと羽ばたきながら、この千日手に陥った現状を打開するための策を探る。
「うーん、思った以上にこの船の中は広かったね。やっぱり輸送船ベースだからかなぁ」
 グァンデのAIがブリーフィングを思い出す。この特攻艦は輸送艦を特攻用に改造したものだけを。しかし帝国も輸送艦を使い捨て用途に改造するなど、贅沢なことが出来るものだ、グァンデは思案する。宇宙に大軍をもってして覇を唱えるのであれば、その兵站を保つために輸送艦はいくらあっても足りないだろうに。
「いや待てよ? ボク達は何か重大な思い違いをしているかも知れない」
 そこまで圧倒的優位なら、輸送船を改造せずとも最初から特攻用艦艇を竣工すればいいのでは? いや、特攻専用艦艇などあまりに馬鹿げた話だ。最初から通常の戦艦を作ればいいのだ。
「かつての帝国軍は最終的に『伝説の解放軍』に敗北した。つまり最後の方は追い詰められてたということだ。てことは『輸送する物資も兵力もないから』輸送艦が余ってて、それを戦力に仕立て上げるために、特攻兵器に仕立て上げた……」
 それは単なる想像、仮定に過ぎないかも知れない。そこまで帝国が追い詰められた末に輸送艦までも兵器に仕立て上げたのなら、『白魔』艦隊の特攻艦隊はそのそれぞれが半ばオーダーメイド気味に特攻仕様に仕立て上げた可能性もあり得る。故に恐らく他の作戦への応用は利かないだろう。だがそれは、実現さえすれば今ここにいる猟兵達の戦況を打開し得る一手だ。
「もしかすると、輸送艦の機能がまだ残ってて――使えるかも知れない!」

 グァンデは少し戻った通路に設置されたコンソールのキーボードに足を掛け、両翼で巧みに叩き操作する。無論、特攻攻撃に関するクリティカルな制御は間違いなくスタンドアローン化されているに違いない。故に特攻を中止する手段は自爆装置の強制作動のみ。
 無論、作動させることで特攻が妨害されるような機能もロックされていた。自爆用エネルギーの放出、エンジンの推力や進行ルートの調整、そしてグァンデが当初考えていたコンテナの切断や積み荷の放出も不可能だった。
「でも、特攻を妨げるものを妨げる機能――防衛機構は残ってるかもしれない!」
 グァンデがコンソールを叩く速度を高める。そしてそれは見つかった。
「――あった! 隔壁の封鎖!」
 それは味方の退路をも遮断する危険な賭け。だがこのまま座して待っていても時間は過ぎるのみだ。
「みんな、後は任せたよ!」
 グァンデは意を決し、味方猟兵がいるコアマシン前通路を除いた全隔壁を封鎖し始める。それは同時に、グァンデの戦線離脱も意味していた。

 その時、ハルマ達コアマシン前の猟兵達は異変を感じる。特攻艦内部の隔壁が次々に封鎖を開始したのだ。
「グァンデさん……恩に着ります」
 ハルマはそこにいない功績の立役者に感謝を述べる。無論、それは自分達の退路が断たれたということでもある。だが元よりこの戦いに関わるものに誰一人として逃げ場など存在しない。むしろ、メデューサの無尽蔵とも言える増援が、一時的にとは言え食い止められたのだ。
 だが恐らくこの足止めは長くは持たない。既にコアマシン前通路への増援を封鎖する隔壁が、外側から触手の強い力で殴られ、拉げ始めている。それが完全に破壊されれば、折角のグァンデの尽力も無に還すだろう。これが最大の――もしかしたら最後のチャンスかもしれない。

「皆、出番だ! 無理に倒す必要はない。時間を稼いでくれ!」
 ハルマはレベル1の【魔導機兵連隊】を大量に召喚する。魔導ゴーレムの群れがメデューサ達に突進し、それらの顔を、触手を抑え込んで足止めを行う。何匹かが触手の叩きつけを受けて破壊され、さらに何匹かが石化粘液を浴びて立ち往生する。
 だがそれでも半数以上がメデューサに貼り付くようにしてその攻撃と妨害を塞ぐ。懐にさえ潜り込めば、石化しても問題なく、触手攻撃もリーチが取れず威力が出ず、また倒すことが目的でもないので強化増殖も効果を発揮しない。
「みんなの想い――俺が届けて見せる!」
 ハルマは【残像】を残し、メデューサや粘液が積み重なったアスファルトの隙間、あるいはその真上を飛び越えてコアマシンへと走る。

 無論、ゴーレムが抑え込んだものがメデューサの全てではない。残された者達が、ハルマを妨害しようと触手を振り回し、あるいはゴーレムに抱きかかえられたものもその隙間から触手を伸ばし粘液を放つ。
 ハルマはその中でも足止めを受ける妨害のみを【見切り】、先に進む。この際ダメージはある程度なら度外視だ。叩きつけられる触手に体を傷つけられようとも、痛みを堪えながら進む。立ち塞がるものだけを【武器改造】を施した【忍者手裏剣】で射抜き、一歩、また一歩とコアマシン前の扉に接近する。
「あとは、この扉を――」
 ついに辿り着いたハルマは、武器を【魔導蒸気式旋棍】に持ち替え、コアマシンと自爆装置を遮る最後の障壁である半透明の扉を何度も殴りつける。メデューサも最後の抵抗とばかりに、足を止めたハルマ目掛けて粘液の雨を降らせる。粘っこいアスファルトが彼の体を覆い、固めていく。そしてその左右では、グァンデで閉じた隔壁が今まさに破壊され、メデューサの増援が雪崩れ込もうとしている。
 殴る。殴る。殴る――そしてついに半透明の扉がガラスのように砕け、自爆装置への射線が開かれる。同時に隔壁も崩壊し、ゴーレム部隊も全滅するが、しかしハルマの方が僅かに速かった。
「これで――終わりだ!」
 石化しつつあるハルマは、最後の力で忍者手裏剣を自爆装置に叩き込む。目玉の如く組織の中枢にその刃が突き刺さり爆発すると、装置は緊急事態による強制作動を認識し、艦内に自爆のアナウンスを流し始める。作戦成功だ。

 最も危険な状態にあったハルマから順に、他の猟兵達、そして最後にグァンデが転移で脱出すると、特攻艦は何もない孤宙で取り残されたメデューサもろとも巻き込み、大爆発を引き起こす。爆発が収まった後には、まるで最初からそこに何も存在しなかったかのように、空っぽの宇宙空間が広がっていた。
 こうして『白魔』艦隊による自爆特攻攻撃の一つが未然に防がれた。だが『白魔』艦隊はこれで全てではない。今この瞬間も、別の特攻艦が解放軍艦隊へと迫っている。その全てを防げるかどうかは、猟兵達の活躍に掛かっているのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト