7thKING WAR⑯〜口調被りは許さないっす!
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「流石は猟兵の皆さんっスね、早くも7thKING WARは大盛り上がりっス!」
安心して家族で見られるワルくて健全な番組作りをモットーとする魔界テレビ局。そこで7thKING WARの放送を監督しつつ、様々な競技をジャッジしている彼女こそが『ジャッジメントガール』。ありとあらゆる凶悪犯罪を主張してワルをアピールする悪魔達と戦い、圧倒的な武力で全て軽犯罪に変えてきた「絶対冤罪裁判所」の「魔界裁判長」であり、1stKING存命の頃からずっと生きている最古参の悪魔である。
「さて、ここは一つ自分も動くっス。現場に任せてばっかじゃ反感買っていい仕事して貰えなくなっちゃうかもしれないっスからね」
そう言いながら傍らのハンマーを担ぐジャッジメントガール。特に力を入れている様子もないが、そのハンマーがあった場所は床が見事に陥没している。
「さー、本日のスペシャル番組の撮影に行くっス! 『ジャッジメントガールのせっかくバトル! せっかく7thKING WARだから猟兵とバトルしてみたっス!』生放送スペシャルっス!」
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「お疲れ様っす。7thKING WARの依頼っす!」
勢いよくそう言うのはミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)、今日の装着車は体育会系ギャルのアカリ・ゴールドだ。
「今日行って欲しいのは魔界テレビ局。ここは7thKING WARの全試合を魔界全土に配信してるんすけど、ここ自体も悪魔王遊戯の会場になってるっす。今回はここのゲームに参加して欲しいっす」
悪魔王遊戯は次代のデビルキングを決める悪魔的競技である。
「ここで行われるのは、『ジャッジメントガール』との直接対決。こいつは7thKING WARの主催でもあり、ガチデビルの7thKING就任阻止のため動いてる人っす。オブリビオンじゃないんで猟兵にも普通に協力的っす」
他の候補と協力して7thKING WARを進行しつつ、ガチデビルの阻止も考えなければならない大変な立場だという。
その彼女に協力するため、遊戯の一環として一戦交えて来いということらしい。
ならば異議なしと頷く猟兵に頷き返して。
「なんで、こいつを完膚なきまでにぶっちめてきて欲しいっす!」
めっちゃ力強く言うアカリ。
え? この人本質的には味方だよね? 猟兵たちの視線にアカリは身じろぎ一つしない。
「持てる手段全部使って、立ち上がれないくらいぶっ倒してきてくださいっす。最悪即死系UCも許可するっす」
何で? 何でそんなにヘイト高いの? その猟兵の視線を察したか、アカリは堂々と答えた。
「だって、こいつあたしとめっちゃ喋り方被ってるんすよ!」
それかよ! 一気に脱力する猟兵の前で、さらにアカリは1枚の紙を取り出す。
「シャイニーちゃん経由でシルバーレインからこんな匿名の投書も来てるっす。『ハンマーまでもって自分とキャラ被りしてるワルいやつがいるって噂を猟兵さんから聞いたッス! ぶっとばしてきて欲しいッス!』……丸っこい字っすね、子供っすかね?」
シャイニーは黍団号乗員で唯一シルバーレインでの依頼を出しているので、その伝手らしい。なお投稿者はアカリの予想通り子供(26歳既婚)である。
「だからこんなワルい奴なんで、遠慮なくぶっ倒していいっす。相手はハンマーを使っての物品の強奪や音を媒介にしての行動操作、さらに大量の裁判官を召喚して集団戦術も使ってくるっす。もちろんただ殴り合うだけでも滅茶苦茶強いっす」
ワルいかどうかは別として、実力はまさに最高峰。ただ、それだけ強い相手を倒せたとなれば猟兵の圧倒的ワルさはデビルキングワールド中に鳴り響くことになる。それはガチデビルを始めとする他候補者から一般悪魔の心を大きく引き離し猟兵に傾倒させることができるだろう。
「なんで、本気で殺す気で行ってくださいっす。死なないんで。さらに言うなら基本的に弱点もないっす。これやりゃOKってことは何もないんで、とにかく取り得る限り最善の手を取ってくださいっす」
試合だからと手加減すれば、それはそのまま負けに繋がる。全力を持ってぶつかって丁度いいくらいの相手だというのは本当の事だ。
「滅茶苦茶強いけど、ガチデビルは下手すりゃこれ以上っす。なんで、猟兵の底力を試す意味でも是非挑んできてくださいっす。そんであたしのキャラを守ってきてくださいっす!」
珍しくボディの意識全開で私情たっぷりに言いながら、アカリはグリモアを起動し猟兵を魔界テレビ局へスタジオ入りさせた。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。こういう喋り方のキャラは割と好きっス。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……なし(工夫次第では何か見つかるかもしれません)』
これをやればプレイングボーナスという行動はありません。ただ、彼女もやはりデビルキングワールドの悪魔なので思考はそれ相応です。さらにここ何十年か寝ていたので、現代の情勢については今急いで勉強している所です。また、ガチデビル阻止と7thKING WAR進行に対し強い使命感を持っています。その辺りを加味すれば何かあるかもないかもしれません。なお口調云々の話は拾ってもグリモア猟兵(と作者)が喜ぶだけで相手は特に気にしません……多分。
ここでの戦いは悪魔王遊戯の一つとしてデビルキングワールド全土に放送されています。ここで強さとワルさを見せつければ、悪魔たちの心を大きく猟兵に傾けることができるでしょう。
ただし、彼女は滅茶苦茶強いです。向こうは試合のつもりで戦ってきますが、それでも並のボス級など及びもつかない力がありますし、相手への礼儀としてきっちりKOを狙ってきます。オブリビオンではありませんが、下手なオブリビオンよりよっぽど頑丈です。具体的に言えば薔薇の剣戟4発きっちりぶち込んでもKOできるだけで死にません。手加減などは考えず、全力で戦ってください。
ギャグテイストの純戦というちょっと変わった依頼ですが、楽しんでいただければ何よりです。
それでは、プレイングをお待ちしてますっす。
第1章 ボス戦
『魔界裁判長『ジャッジメントガール』』
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POW : 証拠品押収!
【ジャッジメントハンマー】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【証拠品入れ】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
SPD : 全会一致裁判官
X体の【絶対冤罪裁判官】を召喚する。[絶対冤罪裁判官]は自身と同じ能力を持つが、生命力を共有し、X倍多くダメージを受ける。
WIZ : ジャッジメントエコー
戦場内に【ハンマーで台座を叩いた音】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
イラスト:ちゃろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
数を考えますと、多少被るくらいは?(ぷるぷる)
成程、相当な強敵ですねぇ。
『押収』は『命中』が条件ですから、『F●S』各種は使用する時機まで収納したままで。
【万華】を発動し全身を『雷』に変換、『雷速でのヒット&アウェイ』で仕掛けつつ、部屋の何処かに携帯端末を隠しますぅ。
回避を最重視すれば或る程度問題無く躱せるでしょうし、悪魔さん達の素直さなら『正面』と『一度受けた死角』を警戒するでしょうから、順次パターンを変えますねぇ。
そして、折を見て端末から『キングブレインの笑い声』を流しますぅ。
面識のある彼女なら気を取られるでしょうから、そこで『F●S』を全展開、一気に叩きますねぇ。
プリ・ミョート
口調被りはガチ私怨なような……まあでもおらもデビューする時に「っス」口調に憧れたこともあったべ。ちゅーか今でも歴代の色んな悪魔の笑い方を真似しながら、ハクをつけるようにしてるべ。目指すは大悪魔! 胸を借りるつもりでも挑ませてもらうべ、行くべよ!
ぎゃはーっ、つえぇえええー!! マジで冗談みてえな強さだべな。これでオブリビオンじゃねえのか。いや、これで復活された方がよっぽど厄介この上ねえ
かくなる上はこのバレットストーム。アネさんの命を奪うとまではいかなくとも、せめて味方の攻め手の助けになるよう、ハンマーを握る指だけでも傷つけてくんろ! 乱射乱射! だべ!!
ルクレツィア・アストリュード
成程、相手にとって不足はなさそう。
アカリが言ってたコトはさておき、この戦いで番組が盛り上がれば、ガチデビルを倒す助けになるはず…
お互い、良い勝負にしよう。
(と言った側からThe Answerer抜刀、【斬撃波】で攻撃。ワルらしく不意打ちを狙う)
後はSkyWalkerで宙を蹴りながらの【空中機動】を交え交戦。
敵のハンマーは武器で受けると奪われそうだから、腕で受ける。…服が奪われる?
ところで、ちょっと前に古い魔王の遺産が幾つか見つかった…って話を聞くけど、何か知ってるコトある?
とか話を振って、気を逸らしたところに瞬雷穿光を叩き込みにいったりする。
デビキン的に良い戦いって、こういう事かなって…
ジャッジメントガールは7thKING WAR進行であり魔界最古参の悪魔である。その立場を遵守しつつ、デビルキングワールド、引いては異世界平和の為にガチデビルの阻止も考える今回の戦争の大きな功労者である。
そんな彼女に、依頼を紹介したグリモア猟兵は口調被りを理由にかなりヘイトを高めつつ討伐依頼を出してきた。
「口調被りはガチ私怨なような……」
プリ・ミョート(怪物着取り・f31555)の言う通りかなり無茶な私情の入った依頼だが、彼女を初めこんな依頼になんと心優しくも答えてくれた猟兵たちがいた。
「数を考えますと、多少被るくらいは?」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の言う通り、猟兵、そして各世界には本当に数多くの様々な性格、出自の者がいる。多少特徴があった所てもさして不自然な喋り方でもないわけなのだから、多少なりと被るのがいるのも仕方のない話である。
「まあでもおらもデビューする時に「っス」口調に憧れたこともあったべ。ちゅーか今でも歴代の色んな悪魔の笑い方を真似しながら、ハクをつけるようにしてるべ」
確かに口調が特徴的ならそれだけでキャラ付けにもなる。例えばそれこそ悪魔として名を売りだした当時のプリのように、何かしら目立つ必要があるならその辺りも気をつけなければならないところだろう。その上で実績ある他人を真似るのは、最初の一歩としては決して悪いことではない。まあそもそも別にアカリの方はたいして名を売る必要もなかったりするし、実力的なことを言えばジャッジメントガールの方がはるかに上なので色々と糾弾できる立場ではなかったりもするのだが。
「成程、相手にとって不足はなさそう」
その実力の程は、巨大なハンマーを棒きれのように担ぐその姿からも簡単に見て取れるところ。それだけでも間違いなく挑む価値ありと、ルクレツィア・アストリュード(終極フラガラッハ・f30398)はこの戦いに挑む気を確かにする。
「アカリが言ってたコトはさておき、この戦いで番組が盛り上がれば、ガチデビルを倒す助けになるはず……」
そう、この悪魔王遊戯の目的の一つは参加、あるいは企画した者がいかに悪いかを視聴者たちに見せつけることにある。ジャッジメントガールのワル強さは広く知られている所なので、それを大盛り上がりの内に倒せばそれだけ猟兵の名は魔界に轟き、悪魔たちの心をガチデビルから引き離すこともできるのだ。
「お互い、良い勝負にしよう」
そう言ってルクレツィアが握手を求めるように手を差し伸べる。ジャッジメントガールがその手を取ろうとした瞬間、逆の手で『The Answerer』を抜き不意打ちで切りつけた。
「うおっ!? 流石猟兵さん、不意打ちとはワルっスね!」
身の丈ほどの斬撃波の直撃を受け、それでも一歩引く程度で済むジャッジメントガール。
「目指すは大悪魔! 胸を借りるつもりでも挑ませてもらうべ、行くべよ!」
さらにプリがそこに追撃とばかりにガトリングガンを撃ちかけた。引いた状態のジャッジメントガールに思い切り弾丸が浴びせかけられる。
「わっ、ちょ、痛いっス!」
それを痛がりながらも手を振って弾を払うジャッジメントガール。その様子はまるで玩具の鉄砲で撃たれたような、痛いと言っても本格的なダメージはまるで受けていないような仕草だ。
「ぎゃはーっ、つえぇえええー!! マジで冗談みてえな強さだべな。これでオブリビオンじゃねえのか。いや、これで復活された方がよっぽど厄介この上ねえ」
デビルキングワールドの悪魔は皆強いが、その中でも最上級という評判には偽りなしとプリは改めて彼女の強さに舌を巻く。
かくなる上は猟兵側も必殺技……ユーベルコードを投入するほかなし。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
まずはるこるが【豊乳女神の加護・万華】を発動、その体を雷に代えて突進をかける。
「おっと、そうはいかないっスよ!」
彼女にとっては雷の速さも驚くに値しないとでもいうのか、それを何でもないように軽く避けるジャッジメントガール。その勢いのままるこるは後方へ飛んでいくが、そこにさらにルクレツィアが畳みかける。
「そこっ!」
『SkyWalker』で宙を蹴りながら、高速の斬撃をかけるルクレツィア。だがなんとジャッジメントガールはそれを手で掴んで止めてしまった。
「やったっスね、お返しっス!」
剣を離して両手で超巨大ハンマーを振り上げ、反撃に出るジャッジメントガール。その一撃を受け流そうとするが、ルクレツィアは思いとどまる。
「敵のハンマーは武器で受けると奪われそうだから……腕で受ける!」
剣を引き、そのハンマーを素手で受け止めるルクレツィア。だがその衝撃は重く、一気に足が沈み込む。そしてそれ以上になぜか体が妙に寒く……
「ななな、何してるっスか! まだ昼間っスよ!」
なぜか殴った方のジャッジメントガールが慌てている。見ればハンマーの効果によって、ルクレツィアの服が奪われその豊かな体が丸出しになってしまっていた。これは放送コードに引っかかると思い切り押し返すジャッジメントガール。
ルクレツィアがカメラの外に押し出されたところで、再びるこるが突進。ジャッジメントガールも慌てていたこともあり、今度は後頭部に当たって軽いスパークを起こす。
「あだっ!?」
死角からの見事な一撃だが、やっぱりこれでも痛いですんでしまう頑丈な彼女。そこにもう一度、プリがガトリングガンをジャッジメントガールに向けて発射した。
「獅子は兎っこを狩るのも全力だべ!」
【獅子粉塵】の大乱射。対象の生を終わらせたいという願いを込めた乱射がジャッジメントガールを襲う。
「かくなる上はこのバレットストーム。アネさんの命を奪うとまではいかなくとも、せめて味方の攻め手の助けになるよう、ハンマーを握る指だけでも傷つけてくんろ!」
殺す気で行って殺せない相手、グリモア猟兵の言葉に偽りなしと相手の強さを実感したプリは、それでもと懸命に銃を撃ち続けた。
「判決! しばらく大人しくしてるっス!」
流石に個の物量は無視できないと、ハンマーを振り下ろし大きな打撃音を響かせるジャッジメントガール。その音はプリを直撃し、その体を法的に拘束するとばかりに強引に活動を停止させた。
だが音を操るのは彼女だけではない。
『ブーレブレブレブレ!』
ある種聞き覚えのある声が、突如として後方から響き渡った。この特徴的かつ頑張って作った笑い声は紛れもない、キマイラフューチャーのオウガ・フォーミュラであり4thKINGであるキング・ブレインのもの。
「だ、大首領ブレイン!?」
まさかとジャッジメントガールがそちらを振り向くが、当然のようにそこに彼の姿はない。代わりにあるのは一つのラジカセ。
「素直な方ですねぇ」
それは雷になっての突進の合間にるこるが仕掛けたもの。雷の速さに相手が体操し避けられるのはある程度予想できていた故、その動きも利用しこれを仕掛けておいたのだ。
そして気がそれたところで、奪われるのを危惧して今まであえて使わなかった浮遊兵装を差し向ける。
「あわわわわ、流石にこの数はきついっス!」
普通はきついじゃすまない集中砲火に呼応するよう、プリも再度ガトリングガンを撃つ。
「乱射乱射! だべ!!」
さらに重ねられる火力。そこに一気にルクレツィアが踏み込み。
「ところで、ちょっと前に古い魔王の遺産が幾つか見つかった……って話を聞くけど、何か知ってるコトある?」
突然質問した。
「え? うーん、大体魔王は皆きっちり遺産分配して相続争いが起きないようにしてから死んでるんで、探す用に隠しといた遺産の方だと思うっスけど……」
大真面目に考えだすジャッジメントガール。なおこの間も全身に攻撃は受けっぱなしである。
「貫け、雷光……!」
そこに【瞬雷穿光】による刺突、そして電撃が入った。完全に気がそれていたジャッジメントガールにそれはクリーンヒット、大きなスパークで辺りを真っ白に染め上げた。
「デビキン的に良い戦いって、こういう事かなって……」
「くわーっ! またもやられたっス! さすが猟兵さん、とんでもないワルっす!」
さすがにこの怒涛の攻勢に尻もちをつきながら言うジャッジメントガール。もちろん命に別状はないが、彼女が尻をつくだけで番組始まって以来の珍事と会って視聴率は急上昇だ。
こうして、ジャッジメントガールを超える猟兵のワルさを見せつける放送は始まったのであった。
大成功
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ミハト・アオイ
※♥シトリンモードで参加
ハーイ!
イイネ、イケてる、テンアゲー!
それじゃライブ乱入いっくよー!
っていうかはやっ!?
なんなのそのハンマーの勢い
これは当たるとガチめでヤバイ
見切っていけるか!?
いけなかったらアタシがぶっ飛ぶ
しまった!?揺れるほどに大きい胸がハンマーをかわしきれなか……
っていうか何を押収してくれてんのー?!返せアタシの胸!(ニセ胸)
ヤバい、アタシの胸がニセ胸と放送される前に決めないと!
【超☆buttobiクリティカル】!
今日の気分はハイキック気味の回し蹴り!
機械化義体からジェット噴射でブースト
ハンマーの打撃に対して真正面から蹴り破る!
ガールもわかるはず
女は度胸!逃げたら負けよ押し通る!
現在放送中の番組『ジャッジメントガールのせっかくバトル! せっかく7thKING WARだから猟兵とバトルしてみたっス!』は生放送である。何が起ころうと急にカメラを止めることは出来ないし、猟兵をゲストとしている関係上大まかな流れ以上の筋書きはない。
「ハーイ! イイネ、イケてる、テンアゲー! それじゃライブ乱入いっくよー!」
そんな放送にハイテンションで乱入してきたのがライブストリーマーシトリン。なおその正体がミハト・アオイ(under the Rose・f36560)であることは猟兵意外、特に職場関係者には秘密である。
「次の猟兵さんっスね! 乱入歓迎っス! それじゃ、行くっスよ!」
歓迎とばかりにジャッジメントガールがハンマーを振り回した。その勢いは凄まじく、圧巻の重量があるそれがとんでもない高速でシトリンの眼前を掠めていく。
「っていうかはやっ!? なんなのそのハンマーの勢い。これは当たるとガチめでヤバイ」
この重量でこのスピード。当たれば体丸ごと持っていかれても何らおかしくないその威力は見るからに危険度満点。
「さすが猟兵さん、まだまだ行くっスよ!」
振り切ったハンマーを軽々返し、今度は逆方向から殴り掛かるジャッジメントガール。本人はまだまだ余裕の感じだが、勢いはさらに強まっておりこれは絶対当たってはいけないやつだ。
「これは当たるとガチめでヤバイ。見切っていけるか!?」
ガードなんて軽くぶち抜いてくるのは目に見えて分かる。一方でパワーファイターの常か、やはり大振り。猟兵の戦闘能力なら見切る余裕はあるはずと、シトリンは全神経を集中させハンマーの動きを注視する。
いけるか!? いけなかったらアタシがぶっ飛ぶ! どうだ!
その結果は。
「しまった!? 揺れるほどに大きい胸がハンマーをかわしきれなか……」
残念ながらかわすこと能わず、とても大きな彼女の胸がハンマーによってこそぎ取られるという無残な結果に……
「な、なんスかこれは!?」
ジャッジメントガールの手にいつの間にか何かが握られていた。それは丸々とした大きく柔らかいもの……
「っていうか何を押収してくれてんのー?! 返せアタシの胸!」
そう、それはシトリンの胸から押収されたニセ胸であった。ミハルの体型は大変つつましいため、正体隠しおよびその他諸々の理由で詰めているそれを、ジャッジメントガールのユーベルコードが押収してしまったのだ。
「こ、これは……身分詐称っス! 有罪っス!」
それが何なのか察し、シトリンに有罪判決を下すジャッジメントガール。だがシトリンとて大人しくそれに従うわけにはいかない。真実が全国放送で明らかにされる前に全てをうやむやに終わらせなければならないのだ。
「キメワザ、いっちゃうよーーーっ!」
全てを誤魔化すかのように、大声で叫びながら発動する【超☆buttobiクリティカル】。全身の機械化義体がジェット噴射でブーストし、真正面からジャッジメントガールへと向かって行く。
「今日の気分はハイキック気味の回し蹴り!」
ハイキックなら高々上がった脚で体が見えづらくなり、下半身に注目がいく。まさに今日の彼女にぴったりな決め技だ。
その技を、正々堂々ハンマーで迎え撃つジャッジメントガール。
「ガールもわかるはず、女は度胸! 逃げたら負けよ押し通る!」
「望むところっス! うおぉぉぉぉぉっス!」
激しい衝突音と、周囲を揺るがす衝撃波。撮影用カメラがなぎ倒され一瞬映像が乱れるが、すぐに建て直されて放送が再開される。
そこにいたのは、手を痺れさせてハンマーを取り落とすジャッジメントガールと、その前で全ての義体をオーバーヒートさせへたり込むシトリン。
「自分のハンマーが弾き返されるなんて……見事っス!」
息を荒げ言うジャッジメントガール。その前で笑顔を返すシトリンもといミハルの内心が、『全身機械義体だってアピールしとけば胸が偽物なのも忘れられるだろ』なんてことは多分ないのであった。
大成功
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アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
ジャッジメントエコー、強力な技ね。格上だけあり完全に防ぐのは難しいでしょう。だが、ならば、操られても問題ない環境を創り出せばいい。
リミッター解除、限界突破、オーバーロード!
早業の先制攻撃で高速詠唱し、多重詠唱結界術で組み上げるはワールドハッキングケイオスマジック。私の妄想世界であり支配するは頭セカンドカラーの法則。
ジャイアントキリング大物喰い(大食い)のヤり方の一つが相手を自分と同じ領域に引きずり下ろすこと。来てもらうわよ、私と同じ頭セカンドカラーの領域へ♪
え?頭セカンドカラーがナニかって?この妄想世界を見れば分かるでしょ♪そう、脳内ピンクなお花畑のえっちぃことしか頭にない、もてる力の全てをえっちぃことに注ぎ込む変態淑女のことよ♪
まぁ、傍目にはそう見えるってだけでサイキックヴァンパイアとしては生存技法(サバイバル、医術、エネルギー充填)でしかないんだけど、ヤることに変わりはないので。
腰が抜け(マヒ攻撃)意識が飛ぶ(気絶攻撃)ほどの快楽を❤
ジャッジメントガールは極めて強力な悪魔である。そしてその使う技も、当然ながらそれ相応に強い。
「ジャッジメントエコー、強力な技ね。格上だけあり完全に防ぐのは難しいでしょう」
その中でもジャッジメントエコーは音を命中させ、相手の行動を操るという技。文字通りに音速で全方位に広がる音は躱しがたいし、その代償として失われる寿命も悪魔である彼女はどれほど長いか想像もつかない。それはまさに判決による法的拘束力を体現したかの如し。
自身の特性と技の効果範囲、そして地力を正しく判断した非常に彼女らしく噛み合った技といえるだろう。
「だが、ならば、操られても問題ない環境を創り出せばいい」
そして、そう言った他人の領域を侵し、改変することこそアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)の得意技。これがテレビ番組でありある程度『見せる』ことも考えなければいけないジャッジメントガールに対して、それらを無視した強襲で先手を奪う。
「私達の知覚を離れた客観的真理などない、故に、あらゆることは真実であり可能である。ようこそ、アリスの世界へ♪」
何よりも先んじてアリスが発動したのは、【アリスが誘う不可思議な世界】。
「うおお、自分より早く動くなんて!?」
ジャッジメントガールも自分のワルさと強さにはそれ相応の自信があり、ワルさはともかく強さに関しては持つだけの……あるいはそれ以上の者が確実にある。いくら多少油断があったとはいえそれに完全に先制を決められたのは、猟兵の秘奥とも言えるオーバーロードの力ゆえか。
展開されたのは多重詠唱結界術で組み上げるはワールドハッキングケイオスマジック。アリスの妄想世界であり支配するは頭セカンドカラーの法則。
アリスはジャッジメントガールがまともにやり合って勝てる相手でないことは重々承知だし、そもそもそんな真っ当な戦いなど元から望んでもいない。ならばまずすべきことは、相手にそれをさせない状況を作り出すことである。
「ジャイアントキリング大物喰いのヤり方の一つが相手を自分と同じ領域に引きずり下ろすこと。来てもらうわよ、私と同じ頭セカンドカラーの領域へ♪」
「いや頭セカンドカラーって何スか!?」
そんな世界へのジャッジメントガールからの極めてまともなツッコミは、しかしこの場では何の意味もなさない。
「え?頭セカンドカラーがナニかって? この妄想世界を見れば分かるでしょ♪そう、脳内ピンクなお花畑のえっちぃことしか頭にない、もてる力の全てをえっちぃことに注ぎ込む変態淑女のことよ♪」
ジャッジメントガールが周囲を見渡せば、そこにはピンク色の空間としか表現できない世界が。
「あー! ダメっス! 放送コードに抵触するっス! こーゆーの禁止っス!」
ジャッジメントガールがハンマーで地面をぶっ叩き、【ジャッジメントエコー】を発動する。それは彼女の圧倒的力もあり、音を受けた者を彼女の判決の元に拘束する……そのはずだった。
だが、アリスは平然とし、ジャッジメントガールに絡みついてくる。
「な、何するっスか、離れるっス!」
ジャッジメントガールは命令を出すが、アリスはそれに従う様子は全くない。
何しろジャッジメントガールはこの真面目な善人ばかりのデビルキングワールドで生真面目に職務を放棄し、公正に不当判決を下してきた生粋の悪魔である。カオス領域の法則など守れるはずもなく、その行動の成功率は極限まで下げられていた。
そしてアリスはある種いつも通り、ジャッジメントガールの服に手をかける。
「まぁ、傍目にはそう見えるってだけでサイキックヴァンパイアとしては生存技法でしかないんだけど、ヤることに変わりはないので」
彼女に捕らわれた者の末路は、結局のところ一つしかないのだ。
そのままとてもお見せできない攻勢をかけられるジャッジメントガール。
「あああああ、駄目っス、放送切るっス……」
その声に従いカメラが落とされ、優雅なクラシックと共に『しばらくお待ちください』の画面が表示される。
放送倫理に厳しい魔界テレビ局である以上何があるかは一切お茶の間には流されなかったが、放送中止最長記録を更新したその時間はお見せできないほどの猟兵のワルさを視聴者にこれ以上なく知らしめたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ジョウ・クロビス
アドリブ・絡みOK
ヨルとエルザを呼び出す。
「弟であって弟じゃない、まだ信じられん」
「異なる時間軸の証明にはなったけど」
パラレルの存在と聞いてまだ信じられないと言いたげな二人に事実と返す。
「クロビス家は私一人だけ残して全滅した、今必要なのは背を任せられる戦力だ」
日本刀に形成した陰狼の霊具とデッドラインを持ち戦闘に入る。
ダッシュで距離を詰めて斬りかかり、離れたら銃撃して指二本でスピンコッキングを行い、瞬間思考力による戦略を考えつつ攻める。
獰猛な覇気と威圧感を放つようになり残像を残したりフェイントで防御の誘発などからめ手も交える。
陰狼の霊具は日本刀以外に黒い光刃のグレイブに形成したりして距離や状況に応じて変える。
続けて現れたのは、今回発の男性ゲストである。
男は現れると同時に、二人の男女を呼び出した。
「弟であって弟じゃない、まだ信じられん」
どうやらここに来る前から大分込み入った話をしていたらしく、その続きをここでしているようだ。
本来敵前でそんなことをするのは自殺行為……なのだが、今いるのは本質的には敵ではなく、7thKING WARを盛り上げガチデビルの7thKING就任を阻止したいジャッジメントガールである。番組が面白くなりそうなら基本的にはOKなスタンスなので、特に話を遮らずむしろインタビュアーのようなノリで話に入っていく。
「えーと、それは所謂義理の関係っスか? あるいは姻戚関係など……」
若干空気読めない系レポーターなノリなのは、番組が放送される時間帯も考えてあえてそうしているのだろう。
「異なる時間軸の証明にはなったけど」
そんな彼女を無視し、真剣な顔で続ける女性の方。二人の名前はヨルとエルザ。ジョウ・クロビス(暗黒時代を知る者・f37038)が【守護者召現】で呼び出した存在だ。
かつては別の者の同じ技で呼び出されたその二人が、今彼に呼ばれる形でいるのは如何な状況か。
「時間系能力は扱いが難しいっスからね……歴代魔王でもなかなかいないっス」
適当に話を割り込ませるジャッジメントガール。異なる世界で同じ時間が流れることは、例えばUDCアースとヒーローズアースのような関係や、あるいは江戸時代のサムライエンパイアや年号にすれば遠い未来であるサクラミラージュなどの存在によって猟兵にとっては理解しやすいものだ。
「クロビス家は私一人だけ残して全滅した、今必要なのは背を任せられる戦力だ」
ジョウの姓であるその家の名。絶えた一族の生き残りという存在は猟兵にはしばしばいる。しかし、彼と近しくも思える存在がその一族を揃って疎ましく、あるいはオブリビオンに対する以上の敵愾心を持って語ったことがあるのを、彼は知っているのか。
「それは大変っスね。ご結婚は考えてるっスか? 何でしたら今度局で婚活番組でも……」
そしてやっぱり変な相槌を打つジャッジメントガール。そもそもその家は存続させていいのかどうかも怪しいものなのだが、まあ折り目正しい一般悪魔の感覚からすれば、旧い家名は存続させたほうがいいと思ってしまうのだろう。
「お心遣い感謝、とだけ言っておく」
流石に完全無視も気が引けたかそれだけ返し、ジョウは武器を取る。日本刀に形成した『陰狼の霊具』とライフル『デッドライン』。それを構え、急速に距離を詰めてきたジョウをジャッジメントガールはハンマーで受け止めた。
「おっと、身の上話からの攻撃! 中々ワルっスね!」
そのまま見た目からは想像もできない力での押し返しに一旦距離を取り、そのままライフルで一射。それもジャッジメントガールはハンマーで叩き落とすが、銃を振り回すようなリロードから即座の射撃で相手の体制を崩す。
「うおっ!? 抹殺っスか! ターミネーションっスか!」
軽く揺らぐが、それでもすぐ体制を戻した。その姿から、相手の地力はまさに本物。オーバーロードをもってしてでもそれ以上とジョウは判断する。
「絶対冤罪裁判官の皆さん、裁判の時間っス!」
ジャッジメントガールが画面外に向けて叫ぶと、スタジオ脇に控えていた裁判官たちがわらわらと集まりジョウを取り囲んだ。
「今日も協議の上で冤罪判決を下しちゃってくださいっス!」
ジャッジメントガールの号令に、裁判官たちは小型のハンマーを持って一斉に殴り掛かり始めた。ジョウの放つ覇気や威圧にも動じない様は彼らがジャッジメントガールと同等の戦闘力を持っていることをうかがわせる。
一人でも猟兵を遥かにしのぐ力を持つ者がこれだけの数。まともに相手していては到底勝ち目はない。
素早く動いて残像を残し、そこに当たらせる。さらにそこから別の者にフェイントをかけて防御の構えを取らせるなど、手を止める相手を増やして一度に襲い掛かられないよう立ち回り数の不利を埋めるジョウ。
如何に全員がジャッジメントガールと同じ力があろうとも、オーバーロードも合わせれば一人くらいなら相手取れる。ジョウは攻められると見た相手との距離農事手吹きの形状を変え、素早くそこを突く。
「あだっス!?」
裁判官がダメージを受け、ジャッジメントガールが叫んだ。彼女たちは全員が生命力を共有している。一人に傷を負わせればそれは全員に行き渡り、誰を攻撃しようが一人分のダメージが積み重なれば全員を倒すことができるのだ。
そこからもジョウは回避と誘導を重ね、打てる一人を選別しながら戦っていく。
「選り好みが多いっスね! 女性側の選定が大変そうっス!」
自分もハンマーを構えながら突進しつつ言うジャッジメントガール。まさか本当に婚活番組を作るつもりでは。
とはいえ今は悪魔王遊戯、そして7thKING WARの真っ最中。清く正しくワルい悪魔である彼女はそこの順番は間違えない。
終了後の妙な不安は残しつつ、悪魔入り乱れる裁判バトルは続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
シズホ・トヒソズマ
最古参の悪魔が相手なら全力でやらせていただきましょう
この正真正銘のヒーローが!
からくり人形◆早業で◆操縦
ライダをバイクに変形し◆騎乗
クロスリベルの移動力強化とシュヴェラの重力操作で軽量化
超スピードで翻弄します
超スピードの相手に素直にそして悪く対抗するなら
大量召喚による包囲網と来るでしょう
ですがその大量召喚こそ狙い目!
私に殺到した瞬間UC発動
ガール以外の裁判官と同数のスライム化マスクに分裂し
裁判官らに被さり◆精神攻撃で意識を支配
逆にガールを裁判官となった全ての私で袋叩きにします
支配権を奪った以上任意では消せません!
ヒーローなのにダーティ?
ははは!
勝てばいいんですよ勝てばあ!世界を救うためにね!
ジャッジメントガールは見た目は若い女性だが、1stKINGであるガチデビルの側近さえ務めたことのある大悪魔である。ガチデビル自身が一度死んでオブリビオン化している以上、その年齢はデビルキングワールド最高齢である可能性すら多分にあった。
そしてその長い悪魔歴に相応しく、彼女の実力もまた魔界最高峰と呼び声高い。
「最古参の悪魔が相手なら全力でやらせていただきましょう。この正真正銘のヒーローが!」
そんな最強悪魔に挑むのは、全身タイツヒーローのシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)。正確には全身タイツのヒーローマスクなのだが、ヒーローの名乗りの前にはそれは些細な事。
「うおお、正義の味方が来たっスか、これは自分もワルさを見せつけねばっス!」
デビルキングワールドに置いて正義を名乗るのはそれだけで大罪。それを裁いてくれんとジャッジメントガールもハンマーを担ぎ気合いを入れる。
その前で、シズホは颯爽と絡繰り人形『ライダ』をバイクに変形させて騎乗、室内であるスタジオ内を高速で走り始めた。
「室内でバイク乗るなんて、建造物破壊で有罪っスね!」
その奔放な戦法にはジャッジメントガールも感心する。だが、しっかり目で追えているあたり決して彼女にとっては見切れない速さではないのだろう。さらに二体の人形から力を吸い出し、相手の拘束と自身の加速を同時に行うが、それでもジャッジメントガールは怯まない。
「逃げも進みもさせないっスよ! 裁判官の皆さん! 交通裁判の時間っス!」
呼べば再度画面外の待機席から駆けつけてくる裁判官たち。呼ばれると同時にジャッジメントガールと同等のスピードでバイクに追いつき、囲んで引き下ろしにかかる。
だが、人数で攻めてくるその時こそシズホの待ち望んでいた瞬間でもあった。
「全てが私として操作可能の分裂マスク! 心を通わせる必要も生物縛りもない自由なるマスク! オブリビオンであろうと逃しません!」
まあオブリビオンじゃないんだけど! そんなツッコミは後回しにしつつ、【分裂!変身マスク】で自身のみを複数のマスクに変化させるシズホ。今回変身するのは、驚かせ力増強のスライムマスクだ。
「うわあ! ねばねばマスクっス!」
そのマスクに、一同ぶったまげるジャッジメントガールと裁判官たち。彼らは攻撃力や飛翔力を上げたところで余裕で対応してくるパワーやスピードはあるが、メンタルは大変素直な一般デビルキングワールド悪魔そのものなのだ。
驚いたその隙に、ヒーローマスクとして裁判官たちにかぶさり乗っ取りにかかるシズホ。本気の戦闘なら精神耐性も極めて高いだろうが、彼らの側からすればあくまで試合でありテレビ番組な上、驚いていたこともあってその守りは緩めであった。
そのまま洗脳完了した裁判官と共に、ジャッジメントガールを囲んで殴りに行くシズホ。
「わー!? 何するっスか! 裁判官の抱き込みとか極悪っス! 裁判所法違反っス!」
デビルキングワールド的には褒めてるのかもしれないことを言いながらボコられるジャッジメントガール。何しろ裁判官の攻撃力は彼女と同等にあるのだ。その守りもぶち抜ける。
「ヒーローなのにダーティ? ははは! 勝てばいいんですよ勝てばあ! 世界を救うためにね!」
ヒーロー的悪をアピールしながら高笑いするシズホに、カメラもアップになる。
そのままジャッジメントガールへのダメージが裁判官にもフィードバックし纏めて消え失せた時、ジャッジメントガールは眼を回して大の字にぶっ倒れていた。
「あわわ、さすが猟兵さんっス……」
その顔を大写しにされお茶の間に放送されるジャッジメントガール。その姿が猟兵の強さとワルさをどれほど伝えたか。それは後に集計されたこの番組の視聴率を見ればわかることだろう。
「これだけワルければガチデビルも平伏すこと間違いないっスね。じゃ、自分はジャッジに戻りますんで!」
ひょいと起き上がり、疲れなど見せない様子で帰っていくジャッジメントガール。やはり何だかんだで凄まじい地力である。だがあれ以上の可能性のある者が、この戦いの最後には待ち受けているのだ。
ばっちりそれを見越した『to be continue』のテロップが入り、この生放送は終了するのであった。
大成功
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