7thKING WAR⑥〜ワルワル・クラスルームカオス
●悪のセンコーをぶちのめせ
筋金入りのワルを競う学園。
それはデビルキングワールドにおいては、多く存在している。ワルっぷり、イカレっぷり、逆に異常な真面目っぷりを見せつけた者は、教師生徒問わず畏怖の対象となる。
即ち、ワル。
イコール、クール。
それがこのデビルキングワールドに掲げられる唯一。
ワルは全てを凌駕するのである。
そんでもって、話は変わるようであるが、まあ対して変わってない。
此処はデビルキングワールド立『吐露比狩古兎釣高等学校』。ご存知の猟兵もご存知ではない猟兵もまあ、聞いて欲しい。ちなみに読みは『とろぴかるふるうつ』である。
そんなデビルキングワールド世界有数の名門校である『吐露比狩古兎釣高等学校』に、まるで『7thKING war』に合わせたかのように現れた『悪の教師』が赴任してきたのだ。
その名も甘き令嬢『チョコレートレディ』である。
いやさ、この名門校『吐露比狩古兎釣高等学校』に合わせて言うのならば――。
「わたくしが『血夜弧零斗淑女』ですわ!」
デカデカと黒板に書き殴られた感じ文字。
読み辛ッ。
後長い。
ヤンキー漢字ってどうしてこうなのってなる具合であるが、しかし此処はワルの巣窟である。こういうのがウケるのである。
――!?
言うまでもないが彼女はオブリビオンである。
『悪の教師』として赴任してきて早々のご挨拶。これはバシっと一発気合の入った挨拶をしなければ、生徒にナメられるってもんであるから、こうなったのだ。わからん。
「世の中のだいたいのことはチョコレートで解決できるのですわ! 皆さんは大変お強い。腕っぷしは相当なものでしょうとも! ですが!」
カカッ!
なんかへんな音するなって思ったら、黒板に書きなぐってるのってチョークじゃなくってチョコレートじゃん!
どうりでさっきからなんか甘い臭いすると思った!
「甘味は全てを蕩け落とすのです。みなさんがどれだけ体を鍛えようとも、この甘味の前には無意味! 堕落こそがワルの極み! みなさんもみんなみんなチョコレートになってしまえばいいんですわ!」
こわっ。
なに言ってるのこの人。普通の人々ならそう思っただろう。正直『チョコレートレディ』……あっ、『血夜弧零斗淑女』でしたね。くそめんどくさい。
そのえっと、『血夜弧零斗淑女』は、その暴論で持って『吐露比狩古兎釣高等学校』を掌握していく。誰だよ、漢字で当て字しようっていい出したやつー!
そんなこんなで雑に始まった悪のエリート化。
校内のあらゆるものはチョコレートに変えられる。チョークや水道水、ペンケースやらなにやら全部が全部チョコレート。
周囲に漂う甘い香り。
むしろ、この程度ならば別にいいんじゃない? そんな気分にさせられる。
しかしながら、これは罠である。ほんとに?
オブリビオンが悪魔たちに張り巡らせた罠。ほんとに?
この甘き罠でもって『血夜……』めんどくさっ! 『チョコレートレディ』は7代目デビルキングを決める『悪魔王遊戯』を『魔王ガチデビル』に優位に働かせるように暗躍しはじめたのであった――。
●7thKING WAR
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はデビルキングワールドの高等学校……」
そこでナイアルテは若干表情を引きつらせた。
何故ってっていうのは黒歴史であるからである。詳しくタグで! というやつである。別に知らなくてもいい。むしろ、ナイアルテ的には知らないで欲しい。
自分の恥部を見られるようなものであったからだ。
あれー? 今回は長ラン着ないんですかー? とかそういうことは言ってはならない。言ってはならないったら言ってはならないのである。振りじゃねーぞ!
「『菜医愛流帝』のことは忘れてください。いえ、違います違います! 本題はそっちじゃあありませんから!」
必死である。
ちなみに読み方は『ないあるて』である。
「……こほん。この学園に『7thKING war』に合わせて現れたかのような『悪の教師』が学園内で様々な悪事を働き、学生たちを心酔させ、悪のエリートへと導こうとしているのです」
なんて?
この戦いが始まってから幾度となく繰り返されてきた疑問であろう。
マジでなんで? となることがデビルキングワールドでは日常茶飯事であるのだ。今回の学園を巻き込む『悪の教師』もその一つである。
「オブリビオンであり『悪の教師』である甘き令嬢『チョコレートレディ』は『血夜弧零斗淑女』を名乗り、悪魔学生の皆さんを取り込もとうしているのです。そうなってしまえば、『魔王ガチデビル』が7代目デビルキングの座に近づくのを助けるようなもの……皆さんは、この学園に『転校生』もしくは『新任教師』としてクラスに乗り込み、悪の授業を妨害し、学級崩壊させて頂きたいのです」
うーん、字面。
字面がワルすぎる。目がチカチカする。どうしても横文字を縦文字漢字に変換しないとダメ? ってくらいに読みづらい漢字が乱用されている。
そんでもって、そういうところに目を取られてナイアルテがとんでもないことを言っていることに猟兵達は気がつくだろう。
なんて?
学級崩壊させる?
「そのとおりです。このままでは『悪のエリート』、ワルではなく本物の『悪のエリート』に悪魔学生のみなさんがなってしまいます。それはデビルキングワールドにとっても善いことではないでしょう。ならばこそ、皆さんは『転校生』と『新任教師』となってクラスに乗り込み、授業を妨害したり、教師よりもワルいことを示して頂きたいのです」
さすれば、オブリビオンである『悪の教師』、甘き令嬢『チョコレートレディ』は立ちどころに求心力を失ってしまうだろう。
そうなれば、学級崩壊は容易いもの。
そんな猟兵たちの授業妨害をきっとオブリビオンは快く思わないだろう。
「きっと彼女も皆さんを妨害しようと、その名前に違わぬチョコレートのユーベルコードでもって迫るはずです」
これをぶっ飛ばしてください、とナイアルテが拳をしゅっしゅとシャドーする。なんか微妙に『菜医愛流帝』に引っ張られていないかと思う猟兵であったが、それは言わぬが華である――!
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『7thKING WAR』の戦争シナリオとなります。
ついに始まってしまいました『悪魔王遊戯』。お久しぶり『吐露比狩古兎釣高等学校』! というわけでございます。
別に知らなくてもいいですが、シナリオタグ『吐露比狩古兎釣高等学校』をクリックするとどういう学園かはわかるはずです。知らなくても大丈夫です。むしろ、グリモア猟兵的には調べなくていいまであります。
そして、今回の戦いですが、皆さんはこの学園に『転校生』または『新任教師』として乗り込みます。
すでに『悪の教師』、オブリビオンである甘き令嬢『チョコレートレディ』もとい『血夜弧零斗淑女』によって多くのクラスがワルではなく悪の道に唆されています。
悪魔学生たちは授業中、チョコレートなどの甘味をつまみ食いしまくっています。あと、学内のあらゆるものがチョコレートに変わっています。
そんな悪魔学生の皆さんを元のワルに戻すべく、授業を妨害したり、教師よりもワルいことを示して学級崩壊させましょう。
ちなみにオブリビオンは皆さんの学級崩壊を阻止しようとチョコレートのユーベルコードで随時邪魔してきます。
プレイングボーナス……授業を妨害する。/教師よりもワルいことを示す。
それでは、マジでどういうことなのっていう状況の中、『7thKING WAR』を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『甘き令嬢『チョコレートレディ』』
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POW : 甘いチョコを味わいなさい
【溶けたチョコ塊を投げること】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 無駄な抵抗ですわ
対象のユーベルコードに対し【自信が操る溶けたチョコ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ : わたくしに従いなさい
【甘い視線】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
イラスト:りこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠テフラ・カルデラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リーベ・ヴァンパイア
学校。……まさか新米教師として訪れる事になるとは思わなかったな。俺が生徒達に教えられる事はないが、生徒達が必要な学校に戻すことは出来る筈だ。
ーーーさて、出勤の時間だ。色々と勉強させて貰うぞ、血夜弧零斗淑女先生。
方針
新任として血夜弧零斗淑女先生の手伝いとして先生の授業に同行する。授業が始まったら先生が何か言う度に度々質問や疑問をぶつけて、授業の妨害をする。
先生がそれで怒り、此方へと仕掛けてきたら、懐に準備していた【ガン&ブレード】のブレードモードで先生の懐に【ダッシュ】して詰め寄り先制攻撃を仕掛ける。【早業、切断】
そして怯んだ隙にUCを使用し、追撃する。
貰うぞ、その血をーー!
……甘すぎて飲めん!
デビルキングワールドにおける学園というのは、ワルに邁進する悪魔学生たちの受け皿である。
ワルこそクール。
悪徳こそが美徳。
善悪が逆転した世界にあって、ワルの優等生足らんとするのは素晴らしいことであった。うん? 優等生ってことは実際褒め言葉ではないのではないかという疑問が湧き上がってくるかも知れない。
劣等生の方がこの場合褒め言葉ではないのか。
そんなこまけーことはいいのである。これ以上考えると頭がどーにかなってしまいそうであった。
しかしながら、リーベ・ヴァンパイア(Notwendigkeit・f37208)は、『吐露比狩古兎釣高等学校』の門をくぐり、複雑な心境であった。
学校。
それもまさか自分が新米教師として訪れることになろうとは彼の半生を考えた時、思ってもみないことであったことだろう。
「俺が生徒たちに教えられることはないが、生徒たちが必要な学校に戻す事はできるはずだ」
このデビルキングワールドにおいては悪徳こそが美徳。
それはわかっている。けれど、オブリビオンのなすことはワルではなく真に邪悪なことばかり。ならば、それを正すことが己の猟兵としての、いやさ教師としての務めなのだ!
「――さて、出勤の時間だ。色々と勉強させてもらうぞ、『血夜弧零斗淑女』先生」
リーベはさっそうと『吐露比狩古兎釣高等学校』へと足を運ぶ。
門をくぐっただけでわかる。
この重圧。周囲にいる悪魔学生たち一人ひとりが猟兵に匹敵する強者。
けれど、なんだこのチョコレートの甘い匂いは。
凄まじい甘さ。毛穴からチョコレートが染み込んでくるようであった。しかし、我慢せねばならない。リーベは新米教師。
そんな彼が滑り込んだのはオブリビオン、甘き令嬢『チョコレートレディ』の担当するクラスである。
教科はなんなのだろうかとリーベは思っていたが、簡単である。
「チョコレートですわ!」
くわっ!
オブリビオン『チョコレートレディ』が目を見開いて、チョコレートで出来た黒板にチョコレートで出来たチョークを叩きつけるように書きなぐる。
正直やべー絵面である。なんもわからん。
「先生、質問をよろしいか」
「なんでしょう? チョコレートのことならなんでも」
「いえ、単純な話だ。何故黒板をチョコレートに? そもそもチョークまでチョコレートにしては、何を板書されているのかわからないではないか」
至極全う。
火の玉ストレート。
リーベの疑問は『チョコレートレディ』に突き刺さる。しかし、そんなこたぁどうでもいいのがオブリビオンである。
「チョコレートである、ということ以上に必要なことがあって?」
ふぁさぁ。
髪を梳かすようにしながら優雅に告げる『血夜弧零斗淑女』先生。めんどくせぇな。ヤンキー漢字。
だが、リーベは語るに落ちたなと笑うのだ。
「では問おう。チョコレートである必要があったというのならば、何故チョークをホワイトチョコレートにしなかった! 薄茶色のチョコレートだけがチョコレートに非ず。ブラックもホワイトもミルクもビターも、どれも同じチョコレートであるというのならば、全てを駆使して授業することこそが肝要ではないのか」
リーベ先生の言葉に悪魔学生たちが、なるほどぉ! という顔をしている。いや、なるほどか? 本当にそうか?
そう思うものは誰もいなかった。
「わたくしにチョコレートを問うなど言語道断なのですわ!」
おらぁ! って感じで『チョコレートレディ』がぶっぱするのは、彼女の手繰るチョコレートの奔流である。
それをリーベは躱す。
激高した敵の攻撃などいなすのに簡単なものもないであろう。
一瞬で懐に用意していたブレードをリーベは駆け抜けるとともに一閃する。
放たれたチョコレートの奔流すら切り裂いて、リーベの剣閃が甘い香りを切り裂く。切り裂くだけで甘い匂いがリーベの鼻腔をくすぐる。
少しもありがたくない香り。
「クラス内暴力を……!」
「生徒を正しく導くの教師の務めだろう。ならば、貰うぞ、その血を――!」
リーベの瞳がユーベルコードに輝き、吸血コウモリの群れを解き放つ。
ヴァンパイアストームは、一瞬で『チョコレートレディ』を包み込み、その血液を吸い上げる。
しかし、リーベは思わずむせてしまっていた。
「げほっ、ごほっ! ……甘すぎて飲めん!」
リーベはむせるようにしながら、『チョコレートレディ』を吸血コウモリの嵐のような猛攻に押し込み口元を拭う。
血っていうかチョコレート。
こんなものは飲めたものじゃないとリーベは吹き荒ぶヴァンパイアストームから逃れる『チョコレートレディ』を追うことはできなかった。
たった一滴で一日分の糖分摂取をしてしまったリーベは、しかしながらオブリビオン教師の授業を論破によって打破したのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
オネスト・ファッション
『バーチャル・ガール・スタイル』に着替えて教室に突撃っ!
こんにちはー!チョコレートが食べ放題の教室があるって聞いてやってきました!
デビチューバーの映魅ばえるだよっ★
今日は企業案件の生放送になるからよろしくね★
今日紹介する商品はこちら!
アルティメットヘルデビルデスソース!
勇者の目にも涙のキャッチコピーで有名なあの激辛ソースが進化して帰ってきたんだって!早速食レポだよ★
チョコにデスソースをかけて頂きます★
辛さと甘さがちょうど良い感じに相殺されて…ん゛っ゛っ゛っ゛
えっ甘さが死んでるんだけど何これむしろ痛み!!Pein!!!!
こんなの一人じゃ耐えられない!!!!
徐にデスソースクラス中の悪魔さん達のチョコにぶちまけて、チョコレートレディの口には直接お見舞いしちゃうよっっっ!!!
甘さじゃこのデスソースの勝つことはできないみたい!
良い授業になったね!!配信おしまい!カメラ止めろ!!!
オネスト・ファッション(見せ掛け以上・f31551)はビジュアル悪魔である。
そんでもって、もう一つ姿を持っている。
それは『デビチューバー』である。いわゆる動画配信者的な。そんな感じのやつであろう。
諸事情で正体を偽って活動しなければならないために用意された電子迷彩であり、またの名を『映魅ばえる』である。すでに目がチカチカする気がする。気のせいであろうか。気の所為である。
そんなバーチャル・バール・スタイルへと自身の姿を一新したオネストは、大手を振ってデビルキングワールド屈指のエリート学園である『吐露比狩古兎釣高等学校』へと入り込む。
「こんにちはー!」
元気いっぱいの挨拶。
う、どこもかしこもチョコレートの香りで充満している校舎。いるだけで胸焼けが起こりそうである。
しかし、オネストは、『バーチャル・ガール・スタイル』に変身している。この程度へっちゃらなのである。
「チョコレートが食べ放題の教室があるって聞いてやってきました! デビチューバーの『映魅ばえる』だよっ★」
キラッ!
って擬音が聞こえてきそうなほどにオネストはなりきっていた。すごいな。
「今日は企業案件の生放送になるからよろしくね★」
そうなの!?
初耳なんですけど!? むしろ、どことタイアップしているのだろうか。しかし、オネストはそんな悪魔学生や『チョコレートレディ』の疑問に応えることなく、さっそうと尺を稼ぎに走るのだ。
生放送は疾走感が大切である。
あとで編集カットなどの技が使えないからこそ、ここで勢いに乗らなければならないのだ。
そんでもって企業案件と言えば、当然のように新商品の説明である。
自然に流れるようにオネストの手にあったのはなんか毒々しい瓶。
「今日紹介する商品はこちら! アルティメットヘルデビルデスソース!」
聞いた瞬間にうへー……ってなりそうな名前! あと長い! この学園の名前くらいに長い! もうちょっとどうにかならんかったか、企業さん!
しかし、これは勇者の目にも涙のキャッチコピーで有名なあの激辛ソースが進化して帰ってきたのである!
それをオネストもとい『映魅了ばえる』さんは食レポするのである。
「ですが、ここにはチョコレートしかございませんわよ! それに今は授業中――」
『チョコレートレディ』がそういいかけるが、口をつぐむ。
そう、彼女の判断は正しい。
何故ならば、授業妨害は悪いこと。悪いことは悪徳こそが美徳の世界であるデビルキングワールドにおいては善行である。
であればこそ、オネストを止めることはできないのだ。
「このチョコにデスソースをかけて頂きまさう★辛さと甘さがちょうどいい感じに相殺されて……ん゛っ゛っ゛っ゛」
そらそうやろ。
そうとしかならんやろ。
そんなふうに思ってしまうほどの味である。
デスソースの辛味は尋常ではなかった。流石に勇者の目にも涙のキャッチコピーでおなじみの激辛ソース。そうなのか?
「えっ甘さが死んでるんだけどなにこれむしろ痛み!! Pein!!!! こんなの一人じゃ耐えられない!!!!」
一人でも耐えられないでしょ。
オネストの口から火が噴くようなエフェクトともにそのデスソースの辛さの凄まじさを物語るように涙目になってしまう。
そんな彼女を見て悪魔学生たちもドン引きしている。
デスソースの名は伊達ではない。
フードジョロキアとかそんなもんは目じゃないくらいに辛味が彼女の舌を、喉を襲う! チョコレート程度の甘さじゃどうあがいても絶望しかないのである。
このままで放送事故である!
せっかくの企業案件なのに、何一ついいところがない! しかし、こういう動画配信にアクシデントはつきものである。
「――これ辛い! 痛い! あばばばばっ!」
興味本位で悪魔学生たちが、デスソースに手を出したが、やはりオネストと同じ運命をたどる。
好奇心猫を殺すってやつである。
しかし、そんな悪魔学生たちにチョコをぶちまけるのがオネストである。アクシデントはチャンスに変えればいい。
そのまま彼女は『チョコレートレディ』がなにかいいかけた瞬間に、デスソースの瓶をまるまる一つ打ち込むのだ。
ソォイ!
「もがっ――っ!?!?」
声にならぬ悲鳴が響き渡る。
なんだアイツ、只者じゃねぇ!
それはまさに畏怖。
デスソース一瓶を人の口に打ち込む悪行の凄まじさは言うまでもない。悪魔学生たちはオネストの蛮行もとい悪行に恐れおののく。
しかし、このデビルキングワールドにおいて、それは最上のエンタメである。オネストの立ち振舞は極悪そのもの。
今、口が完全に甘味になっているというのに、そこにぶちまけられる辛味の地獄ことデスソース。
「甘さじゃ、このデスソースに勝つことはできないみたい! 良い授業になったね!」
あれ!?
もしかして今良い感じの話で締めようとしていらっしゃる? もしかして巻きに入っている!?
そんなことなどおかまいなしというようにオネストはにっこり素敵な笑顔のまま『吐露比狩古兎釣高等学校』からの生放送を切り上げるのだ。
「配信おしまい!」
「いや、おまちになりなさいってば! このまま終わらせようたって!」
『チョコレートレディ』が叫ぶ。
けれど、そこにもう一瓶デスソースをぶち込み、オネストは配信用カメラに手をかざして言うのだ。
「カメラ止めろ――!!!」
大成功
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シャーロット・キャロル
とりあえず「転校生」としてレディのクラスに潜り込むとしますかね。
吐露比狩古兎釣高等学校の制服を着て普通に転校生として紹介される私。クラスに潜り込むことに成功……と思っていたんですが
「私のクラスに転入した人はまずチョコオブジェになって飾られることによってクラスとの親睦を深めるのよ?」
との一言に思わず先生の方を向いてしまうと視線が合わさりあっさり従ってしまいますね
そのままチョコが体にコーティングされて私はピカピカのチョコオブジェに……
ですがそれに負けてられません!●アドバンテージマッスルを発動です!
明らかにレディよりも私のがパワーが上!強化されたマッスルパワーでチョコの拘束を破って攻撃です!
デビルキングワールド屈指の名門校『吐露比狩古兎釣高等学校』は今やチョコレートまみれであった。
甘味とは即ち堕落。
丁度良い甘味は善い栄養になるであろうし、集中力やら血行促進やらとても良い効果はあるだろう。
けれど、過ぎたるは及ばざるが如しという言葉があるように、行き過ぎた甘味は最早毒である。そして堕落とい名のワルもとい悪の道へと悪魔学生をオブリビオン、甘き令嬢『チョコレートレディ』もとい『血夜弧零斗淑女』は引きずり込むのだ。
だけどもまあ、今はこう、あれである。
猟兵にぶっ飛ばされ、ついでにデスソースを二瓶も口に打ち込まれて無残なる様子である。
「ですがこの程度で甘味が負けるとでも!? チョコレートこそが甘味の全ての頂点ですわ!」
パクパクですわ! と言わんばかりに彼女はチョコレートを頬張り、口の中のひりひりを中和するのだ。
そんな『チョコレートレディ』の教室にまた一人転校生が突入してくるのだ。
その名もシャーロット・キャロル(マイティガール・f16392)。
しかし、そのいかにも正義のヒーロー然とした装いは、悪徳こそが美徳の世界に在りてはちょっとこー、あれである。TPO的なあれがそれでそんな雑な感じでさらっと捕縛されてしまう。
「ええー! なんでですか!?」
確かにシャーロットはしっかりと『吐露比狩古兎釣高等学校』の学生服に身を包んで潜入していた。
しかし、そのー、ね。
髪飾りとか言動がほら、もう正義なんですわ。漲る正義の心。それは普通の世界であれば、褒められたことであろう。
しかしながら、ここはデビルキングワールドである。
返って漲る正義の心がシャーロットを窮地に陥らせてしまうのだ。だいぴんち!
「私のクラスに転入した人はまずチョコオブジェになって飾られることによってクラスとの親睦を深めるのでしてよ!」
そんな親睦の深め方ってある?
いやない。あるわけないのである。しかしながら、此処は悪魔の高等学校。学校の先生の言うことはー? ぜったーい! とまあ王様ゲーム的な感じのノリでさらっとシャーロットは全身をチョコレートでコーティングされてしまう。
ピカピカのチョコレートオブジェ。
でもなんかポーズがヒーローっぽいのはご愛嬌というやつである。
「オーッホッホッホ! これで私に反抗するものはおりませんわ! 全部チョコになってしまえばよいのですわ!」
さすればパクパクですわ! 止まりませんわ!
そんな感じで『チョコレートレディ』もとい『血夜弧零斗淑女』先生が勝利宣言をする。しかし、チョコレートオブジェにされてしまったシャーロットの瞳がユーベルコードに輝く。
ヒーローとは即ちピンチをぶち抜いて勝利する者。
ならばこそ、シャーロットの瞳は正義と勇気でもって輝くのだ。
「ですが負けてられません! さぁ、力比べですよ! チョコと筋肉、どっちが上か勝負です!」
シャーロットの瞳がユーベルコードに輝き、言うまでもないがシャーロットと『チョコレートレディ』の筋力量は言うまでもなくシャーロットに傾く。
その瞬間、完成されるのが彼女のユーベルコード、アドバンテージマッスル! そう、筋肉はいつだって裏切らない!
筋肉は友達!
どんな甘味の誘惑だってはねのけてくれる!
運動後の糖分摂取はむしろ大歓迎である。適度ならね! そんなこんなでシャーロットはチョコレートオブジェにされてしまった己の肉体美を誇るように、はい、バックダブルバイセップス!
背中に翼が生えているかのような美しい背筋。
その姿を見せつけるようにシャーロットは一気に教室の天井へと飛び、蹴り上げた後に急降下して『チョコレートレディ』へと迫るのだ。
「正義の心胸に秘め、マイティガール只今参上!」
放たれる一撃は筋肉の一撃。
甘味に負けない筋肉の迸るパッションこそが、全てを凌駕するのだと知らしめるようにシャーロットの一撃が『チョコレートレディ』の体を叩きのめす。
「どれだけチョコレートで塗り固めようとも! 筋肉が消費するカロリーに上回ることがないように! 貴女の企みはここで打ち砕かせていただきます!」
シャーロットの拳は天を突く。
例え、ここが善悪の逆転した世界であったとしても、正義は最期には勝つのである――!
大成功
🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
本日から吐露比狩古兎釣高等学校に通うことになった
凶悪で極悪で劣悪で最悪な転校生魔王ダーティ(17歳と216か月)とは私のことです!
教室に入ってみれば
まるでチョコレートのように甘っちょろい悪魔ばかり!
悪の名門とは名ばかりのまるで勇者の巣窟のようです!
もしかして怒っちゃいました?
皆さんから怒りの視線をいただいたところで
私がいかにワルかお見せしましょう!
実は私はテロリストの首魁なのでした!
(UC【積悪!穢澱虚兵蹂躙陣】発動)
この教室は我々ダーティ団が占拠しました!
今から全ての授業は私を見つめながら受けることになります!
NOチョコ!YESダーティ!
魔界の名門校『吐露比狩古兎釣高等学校』――読みは『とろぴかるふるうつ』である。そんな若干おふざけがすぎるのではないかと思われる校名であろうとも、このデビルキングワールドにおいては屈指の名門校なのである。
世にワルを排出してきた歴史ある学校。
その誇りを胸に悪魔学生たちは今日も校門をくぐるのだ。
しかし、その鼻腔をくすぐるのはチョコレートの甘やかな香りである。いや、ていうか、すごいな! 甘い! もう何処もかしこも甘い! 甘すぎる!
ちょっと胸焼けしてしまうくらいの甘い匂いに誰もが眉をしかめるだろう。
けれど、そんな中、新たなる転校生がやってくる。
そう、あれは誰だ! 誰だ!
我々は知っている! あの角! あの金髪! あのオッドアイ! あのナイスバディ!!
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)!」
いつもの前口上!
きっちりバッチリきまったダーティの名乗りに悪魔学生たちが慄く。
ワルの巣窟。
それが『吐露比狩古兎釣高等学校』であるというのならば、ダーティの登場はインパクト大であったし、また教室をバーン! と扉をぶち破って登場したのもまた悪魔学生たちの注目を集めるものであった。
「凶悪で極悪で劣悪で最悪な転校生魔王ダーティとは私のことです!」
なお、17歳と216ヶ月である。
言うな。永遠の17歳とはこうして生まれるのである。いいから祝え!!
そんあテンションで突入した教室はすでに阿鼻叫喚地獄であった。悪の教師であるオブリビオン、甘き令嬢『チョコレートレディ』こと『血夜弧零斗淑女』はすでに猟兵によってボッコにされている。
口からデスソース打ち込まれたり、血が甘くて飲めねぇわ! と言われたり、弾けるマッスルで一撃のもとにされていたり。
まあ、それはそれは大変な目にあっていたのだ。
だからだろう。
ダーティの名乗りにも反応できずに遅れてしまったのだ。
「まるでチョコレートのように甘っちょろい悪魔ばかり! 悪の名門とは名ばかりのまるで勇者の巣窟のようです!」
勇者の巣窟とは。
その疑問に応える者はいない。だが、此処は悪徳こそが美徳の世界デビルキングワールドである。
「な、なにぃ!!」
「その言葉を取り消せぇ!!」
ものすごい反応である。悪魔学生たちにとって勇者とは賞賛の言葉ではなく罵倒の言葉である。何度でも言うが、ここは悪徳こそが美徳の世界である。
善悪の価値基準など百八十度くるっと反対なのだ。
「もしかして怒っちゃいました?」
ん? 私なにかしちゃいましたか? くらいの感じでダーティがさらに煽る。煽っておられる。
むきー! と悪魔学生たちの視線がダーティに集まる。
これまでにないほどの侮辱を受けた悪魔学生たちは怒り心頭。その重圧は凄まじいものであった。なにせ、一人ひとりが猟兵並みの存在であるからだ。
そんな彼らの視線を受けてダーティはむしろ誇らしげである。だって視線誘導の悪魔だし。
「みなさんは何もわかっちゃいないのです。私が如何にワルかをお見せしましょう!」
その瞬間、ダーティのユーベルコードが煌めく。
彼女の背後から一瞬でドアをぶち破り、窓ガラスをぶち抜き、ダイナミックなエントリーをしてくるダーティの姿をした兵士たち。
そう、それこそが彼女のユーベルコードである。
「実は私はテロリストの首魁なのでいた!」
ばーばーん!
積悪!穢澱虚兵蹂躙陣(アイデンキョヘイジュウリンジン)! 知っているのか!
いや、知らないけど、これはあれである。ダーティの姿をした兵士たちが、銃火器を携え、一気に教室を制圧する。
ついでのように『チョコレートレディ』をボコスカしつつ、さらりとダーティは彼女の配下である兵士たちを櫓にして、その上に座って悪魔学生たちを睥睨するのだ。
「この教室は我々ダーティ団が占拠しました! 今から全ての授業は私を見つめながら受けることになります!」
どういうことなの。
よくわからん。え、ダーティさんを見てればいいの? それじゃあ板書もできないじゃない! どうやってノートを取ればいいんだ!
悪魔学生たちが慄く。
えぇー……と普通の世界の出身者ならそう思ったかも知れないが、ここはデビルキングワールドである。
基本悪魔のみんなは良い子なので、素直に従ってしまうし、ダーティのワルは全て己の欲望のためである。
視線を集める。
それこそが、ダーティの目的。授業? そんなもんは犬にでも食わせとけ! 見るべきは黒板じゃあなくダーティさんなんだよ! ってな具合である。
そして、ダーティは頂きにありながら視線を受けて満足気に言うのだ。
「NOチョコ!YESダーティ!」
そうして、その言葉が彼女の占拠した教室に木霊するのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
ミルフィ・クロノラヴィット
アドリブ連携歓迎
【POW】
あぁ?
令嬢センコーとか
上等ですわ☆
わたくし
転校生の
不良女学生冥土(メイド)
『魅流腐威・苦露乃羅美津兎』
(みるふぃ・くろのらびっと)
ですわコラァ!
貴女
令嬢ですって?
わたくし
主に逆らう
ワルい不良冥土
ですわ夜露死苦ゥ!
チョコ?
やはりガムですわ☆
(くちゃくちゃ
と
挨拶も程々に
着てる高露出のメイド服
から肌を見せ
生徒を男女問わず
【誘惑】し
授業妨害
敵が邪魔したら
アームドクロックワークスを
展開
『炎』の【属性攻撃】の
【砲撃】や【誘導弾】を
【一斉発射】し
UCで攻撃
『貴女のチョコドレスなぞ砲撃の爆炎で溶かしますわよ☆』
敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避
オブリビオン、甘き令嬢『チョコレートレディ』もとい『血夜弧零斗淑女』は、猟兵たちにボッコにされていた。
具体的に言えば、血が甘すぎて飲めないだの、口にデスソース打ち込まれたりだの、筋肉によるカロリーの凌駕だの。
さらには教室を占拠されてしまって視線を独占されたりなど、もう授業どころではなかった。
けれど、彼女は消えていない。
「ならば、まだ勝機はあるはずですわ……! 淑女たるもの諦めなど辞書にあってもチョコレートで塗りつぶしてきたのですから!」
ちょっと意味分かんないな。
けれど、そんな『血夜弧零斗淑女』の前に立ちふさがるのは、ガムをくっちゃくっちゃしているミルフィ・クロノラヴィット(メイドオブホワイトラビット・f20031)であった。
「あぁ? 令嬢センコーとか上等ですわ☆」
――!?
「わたくし転校生の不良女学生冥土――『魅流腐威・苦露乃羅美津兎』(みるふぃ・くろのらびっと)ですわコラァ!」
――!?
大丈夫か?
ずっと『!?』が頭上に張り付いている気がする。ついで言うと、ここ一番読みづらくて言いようのないヤンキー漢字である。
当て字と呼ぶにはあまりにも目がチカチカする。凄まじいまでの当て字。どうやっても当て字するという気概を感じさせる勢いであった。
そんでもって不良女学生冥土ってなんだろうって誰もが思ったけれど、誰もツッコめなかった。ついでに『チョコレートレディ』もおんなじであった。
なんかよくわからない風格と迫力がミルフィにはあったのだ。
「貴女、令嬢ですって?」
「そ、そうですわよ!? な、なにか!?」
あ、『!?』感染ってるな。
もうあちらこちらに『!?』が蔓延している。
あの娘もその子も、みんなみんな『!?』が頭上であったり、顔の横に浮かんでいる。どういうこと?
「わたくし、主に逆らうワルい不良冥土ですわ夜露死苦ゥ!」
挨拶は大事だね。
だけど、なんでくっちゃらしている? それはガムなのかな?
「ええ、そのとおりですわ。チョコより、やはりガムですわ☆」
ミルフィは挨拶も程々に……ってよく見たら露出度エグいな、メイド服! それは肌を見せるために敢えて布面積を削ってしまったかのようなある意味潔い服装であった。
誰もが彼女を見てしまう。
男女の垣根なんて必要ない。だって、露出度すごいから。すんごいから。
しかし、それだけでは授業妨害にはならない。『チョコレートレディ』はかくなる上はと逃げようとしている。
「逃がすと思いまして!」
時計じかけの兵装がミルフィから展開され、放たれる砲撃の雨。
校舎が爆発に巻き込まれ、壁やら天井がすんごいことになっているが、それ以上に甘い匂いが充満していく。
それもそのはずである。
この校舎には今や『チョコレートレディ』の趣味嗜好のためにチョコレートがあらゆる場所に塗れているからだ。
蛇口をひねれば水の代わりにチョコレートが出てくるほどである。流石にやりすぎだろって思わないでもない。
「貴女のチョコドレスなぞ砲撃の爆炎で溶かしますわよ☆」
もうメイド関係ないよねって誰もが思ったが、口をつぐんでいた。
だって余計なこといったら絶対とばっちりが来るやつである。
爆炎の向こうに確かに見えるは『チョコレートレディ』のあられもない姿。でもそれも一瞬である。
チョコレートで出来たドレスならば、即座にチョコレートで補充されるのだ。
しかし、そんなことミルフィには関係ない。
放たれる拳の一撃は彼女の欲を極硬化させた巨大拳へと変貌する。
「もうメイド関係ないのではなくて!?」
「メイドと言い張ったらメイドなんですわ! というわけで!」
これでおしまいだというようにミルフィの一撃が『チョコレートレディ』をぶっ飛ばす。
爆炎でもろくなったチョコレートの校舎の天井をぶち抜き、拳の一撃はオブリビオンの目論見をぶち砕くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
瀬河・辰巳
甘いのが全てじゃないってことを分からせるかな。あと、UC的に自分は近寄らずに生徒達に殴らせよ。
UCで吸血鬼に変身し、邪悪な雰囲気を出して乱入する。
甘ったれがいるのはここ?はぁ?そんな刺激のないワルが他のワルに己のワルを示せると思ってんの?先生呆れるわ。
そこの君達。そんな甘々チョコじゃなくてこのチョコを食ってみな。甘みの中のスパイスがいい感じなのが分かるでしょ?つまり、甘いが全てじゃない。メリハリこそが真のワルに必要なのさ!
あと、チョコまみれは動物が死んじゃうから絶対ダメ。殺しはダメってことは超ワルい生徒の皆なら分かるよね?
だから皆、そこの甘々チョコ教師をぶん殴って刺激を与えてやりな。
悪徳こそが美徳。
それがデビルキングワールドを端的に示した言葉であろう。デビルキング法によって絶滅の危機を乗り越えるために必要なことであったとはいえ、その善悪の価値観の逆転した世界は、他世界を知る猟兵であっても戸惑いを覚えるものであった。
そんでもって、そんなデビルキングワールド屈指の名門校である『吐露比狩古兎釣高等学校』は、今やチョコレートの匂いで充満していた。
甘い香りは確かにそれだけであれば、とても良い香りであったことだろう。
けれど、度が過ぎれば異臭と同じである。
カカオと砂糖の香り。
胸焼けがひどすぎる。正直、この戦いの後ではしばらくチョコレートを見たくなるかもしれない。
けれど、オブリビオンである悪の教師、甘き令嬢『チョコレートレディ』こと『血夜子零斗淑女』は排除せねばならない。
かの悪の教師は言った。
「甘味こそ全て! 甘さは全てを凌駕せしめるのです! だからチョコレートを食べましょう! ギブミーチョコレートといいなさい!」
そんな具合である。
けれど、そんな彼女も今や猟兵にボッコにされて這々の体で教室を脱していた。
「酷い目にあいましたわ……」
でもでも猟兵はそんなに甘くないのである。
降臨するは、淡い金髪のヴァンパイア。美しさ、壮麗さ、荘厳さ、まあ、色々言葉を尽くせば彼の姿を称賛することはできるだろう。
しかして、端的に言うのならば、水面に揺れる宵闇の影(イビツナカガミウツシ)とでも言うべきか。
瀬河・辰巳(宵闇に還る者・f05619)はヴァンパイアとしての姿をユーベルコートでもってさらし、その圧倒的な邪悪な雰囲気を持って、この学校へと乱入してきたのだ。
「甘ったれがいるのはここ?」
ビリビリと走る衝撃のような重圧。めっちゃ怖い。
『チョコレートレディ』を含め、悪魔学生たちは皆、一様にビビり散らしていた。いや、違う。羨望の眼差しを辰巳に向けていたのだ。
だって、ワルいのかっこいいし。そんでもって辰巳のヴァンパイアとしての姿は、そのワルさに拍車をかけていたのだ。憧れないわけがない。
「な、なんです、甘いことの何が悪いのです! むしろ善いでしょう!」
そんな言葉に辰巳は耳を貸さない。
「はぁ? そんな刺激のないワルが他のワルに己のワルを示せると思ってんの? 先生呆れるわ」
あ、新任の先生なんですねって悪魔学生のみんなは襟を正す。
彼らにとって辰巳の邪悪な雰囲気は目指すべきものであったし、最高にクールであった。そんな辰巳に彼らが従わないわけがない。
「そこの君たち」
辰巳の瞳が悪魔学生たちを捉える。
ゾっとするような魅力。凄まじいまでの邪悪さ。それらに悪魔学生たちは一気に心酔するのだ。
「はい!」
とても良い返事である。
「そんな甘々チョコじゃなくてこのチョコを食ってみな」
飛ぶぞ。
いや、違う。そういうんじゃない。辰巳が手渡したチョコレートを食べる悪魔学生たちは甘さの中に走るスパイスの刺激的な香りと味に目をパチクリさせている。
「わかるだろう? 甘いのが全てじゃない。メリハリこそ真のワルに必要なのさ!」
その言葉に悪魔学生たちはまるで、青天の霹靂。
ぴしゃーん! って雷に打たれたかの如き目覚めというか、答えを得るのだ。本当にそうなんか? と思わないでもなかったかも知れないが、悪魔たちは基本的に良い子なのである。
言葉を尽くせば判ってくれるし、辰巳の邪悪オーラにみんな当てられてしまっているのだ。
「あと、チョコまみれは動物死んじゃうから絶対ダメ。殺しはダメってことは超ワルい生徒のみんなならわかるよね?」
いや、そこらへんは理屈にあってないのだけれど、ノリと勢いって大切である。超ワルい生徒たちというのは自分たちのことであるとばかりに悪魔学生たちはコクコクと頷くのだ。
そして、ワルな生徒というのは教師に反抗的なものでもある。
「だから皆」
辰巳は微笑む。ぞっとするような笑みであった。凄絶と言ってもいいほどの笑み。
彼が何をいいたいのか、這々の体の『チョコレートレディ』はわかってしまった。
「あ、それはそのー、ちょっとおやめになったほうがいいのでは? 悪魔の皆さん、とっても強いので、ってあー!!!」
そうはならんのである。
そうは問屋が卸さないのである。
辰巳の号令と共に甘々チョコ教師は悪魔学生たちによってリンチにされるのである。そう、真のワルとは自分の拳を痛めることなく他者を扇動して、敵をボッコにするのである。
これもまた邪悪のカリスマたる所以。
めちゃくちゃワルそうな雰囲気を醸し出す辰巳のヴァンパイアとしての姿が、『血夜弧零斗淑女』の目論見を軽く凌駕した瞬間であった――!
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
吐露比狩古兎釣高等学校…
うっ…頭が…
そうだ…私は此処の生徒だったね…
ならやるべき事はただ一つ
先ずは扉をバーンと開いて登場!
おうおう転校生でも新任教師でも無いぞ!
私は復学生じゃい!
勿論制服は普段着じゃい!
しかし、いつの間にこの学校の生徒は先生の言う事を聞く良い子ちゃんの集団になったのかな??
甘味の食べ過ぎで頭まで腑抜けたのかな??
そんなお前等にはこれや!
適当に剣を抜刀!
【偽書・焔神】起動
蒼炎で周囲のチョコレートを全部溶かし尽くす!
ほらほら皆も溶かせ溶かせ!
今なら学校中がチョコだから溶かし尽くせば休校で遊び放題だよ!
サボりもせずに何が学生じゃい!!
ついでに妖怪チョコ女も蒼炎で燃やしておこう
魔界において屈指の名門校。
その名も『吐露比狩古兎釣高等学校』。
「うっ……頭が……」
その学び舎を前にして月夜・玲(頂の探究者・f01605)は走る頭の痛みに呻く。おっ、大丈夫か。ここシリアスな感じではないんだけれど。
もしかして存在しない記憶が蘇ったからか?
いやいや、普通に存在しているから。玲さん普通に、ここに24歳高校生として……って、あっ!
これは失言であった。
今は25歳高校生である。これ以上言うと模造神器が打ち込まれそうなので黙ることにするが、しかしながら玲さんは全てを思い出したのだ。
「そうだ……私は此処の生徒だったね……」
ずらりと校門にお出迎えするのは、悪魔学生たちである。玲さんの舎弟とも言うべき悪魔学生たちが、久方ぶりにやってきた玲さんを出迎えるために並んでいるのである。
これがワルの花道!
「「「姐さん、ご苦労さんです!!!!」」」
この迫力である。なにか別の漫画に迷い込んだんじゃない? てなくらいな雰囲気であるが、玲さんは完璧に思い出していた。
そう、24歳高校生改め25歳高校生として!
「ならやるべきことは唯一」
ばーん! と扉を開いてというか蹴破って玲さんは教室の中にやってくる。
悪の教師『チョコレートレディ』はこれまで散々な目にあっていたが諦めの悪さだけは甘々ではなかった。
彼女は猟兵たちにぶっ飛ばされても、悪魔学生たちにボッコにされても諦めることなく教室で授業をしようとしていたのだ。
けれど、そこにカチコミ……殴り込み……えっと、登校してきたのが玲さんなのである。
「おうおう転校生でも新任教師でもないぞ! 私は復学生じゃい!」
ということは、あれが伝説の! と悪魔学生たちがどよめく。
それもそのはずである。この『吐露比狩古兎釣高等学校』に燦然と輝く生ける伝説。レジェンド。
それが玲さんなのである。
そんな彼女の唐突な復学にワルたちが湧かないわけがないのである。
もちろん制服が普段着である。学生服を着てしまったら、25歳の玲さんには分が悪い。いや、絶対似合うと思うんだけどなぁって思っていても口に出してはならない。その瞬間にきっと模造神器がかっ飛んでくるぞ!
「な、なんですあなたは……!?」
『チョコレートレディ』は知らないのである。このレジェンドオブレジェンドを。
無理なからぬ話でる。
そんな彼女を知り目に玲さんは悪魔学生たちを見やる。
「しかし、いつの間にこの学校の生徒は先生の言うことを聞く善い子ちゃんの集団になったのかな??」
じろーり。
その瞳がユーベルコードに輝いている。あ、これは、あかんパターンのやつや、と悪魔学生たちは気がついた。
なにか言わないと。
なにか言わないといけない。けれど、なにか言った瞬間に模造神器が振り下ろされる未来が幻視できる。
理屈ではない。
そんなもので玲さんは測れぬのである。
「甘味の食べすぎで頭まで腑抜けたのかな?? そんなお前らにはこれや!」
抜刀された模造神器の刀身が蒼く煌めく。
すごーく雑に模造神器から放出される蒼き炎。
それは、偽書・焔神(ギショ・ホムラカミ)。
彼女の放ったユーベルコードに寄る蒼き炎は、一瞬で校舎中にあるチョコレートというチョコレートを溶かしていくのだ。
「あああー! チョコが! わたくしのチョコレートが溶けて……!」
あっという間に高熱によって溶けていくチョコレート。
玲さんは面白そうにケタケタ笑っている。そのさまはまさに魔王。悪魔。鬼。玲さん。
「ほらほら皆も溶かせ溶かせ! 今なら学校中がチョコだから溶かし尽くせば休校で遊び放題だよ! サボりもせずに何が学生じゃい!!」
レジェンドオブレジェンドのお言葉である。
言い得て妙っていうか。真理っていうか。特にこの悪徳こそが美徳の世界にあっては、サボりなんて咎められるどころか褒められるものである。
ならばこそ、屈指の名門校たる『吐露比狩古兎釣高等学校』の悪魔学生たちは、一斉に叫ぶのだ。
「ヒャッハー!!」
そうそうこれこれ。
玲さんは大変にご満悦である。これこそ青春。あんなこと、こんなこと、あったーよねーって歌にもある通り、玲さんは懐かしの学び舎を溶かし尽くす炎でもって彩るのだ。
これが世界に鳴り響くワルの讃歌。
「もっともっと溶かして溶かして、溶かしつくせー!」
玲の笑い声と共に蒼い炎が校舎をなめていく。
そんな中、まるでついでのように妖怪チョコ女こと『チョコレートレディ』を玲さんは燃やしながら、まさに暴虐の限りを尽くしていく。
「休校バンザイ! 玲パイセンバンザイ!!」
校舎のあちらこちらで響き渡る玲さんコールは、とめどなく今日もまた『吐露比狩古兎釣高等学校』に響き渡るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
まさかこの学園にもう一度来る事になると思わなかったよ
ある意味黒歴史だから触れたく無いんだけど
オブビリオンを放っておく訳にはいかないから
授業を妨害しようか
神気を使ってチョコレートを固定してしまおう
変形したり削れたりしないと板書できないし蛇口もつまるし
硬くて食べられなくなるからね
板書できなくて困ってるのを
先生、何書いてるのか読めません、とか煽ろうか
口頭で続ける様なら舌を麻痺させて
もっとはっきり喋って下さい、と煽ろう
相手が物理的に対処しに近寄ってきたらUCを使用
時間を止めて言動を封じる事で授業を中断させよう
30cmに近付くよりは魔法陣当てる方が速いからね
先生が授業しないなら休み時間という事で良いよね
「まさかこの学園にもう一度来ることになるとは思わなかったよ」
魔界屈指の名門校『吐露比狩古兎釣高等学校』の校門を前にして佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は思わず呟いていた。
この学校は晶にとっては黒歴史である。ある意味。
どんな黒歴史であるのかに興味が在る方はハッシュタグをクリックだ!!
とまあ、概要から言ってしまえば『お嬢様番長』として活躍でもってぶんぶぶかと有名を馳せたって話である。
「kawaiiは正義ですの」
内なる邪神がそう言ったのもまた事実である。
その可愛さで『吐露比狩古兎釣高等学校』を席巻した晶の可愛さはとどまるところを知らない。
けれど、此度の『悪の教師』たるオブリビオン、甘き令嬢『チョコレートレディ』あらため『血夜弧零斗淑女』はそんな晶の異形を知らないのだ。
何故ならば、彼女はつい最近、この学園に赴任してきたばかりであるからだ。
「オブリビオンを放っておくわけにはいかないからね……」
内なる邪神がまたブロマイドをばらまくのではないかと気が気でないが、もう割り切るしかなかった。
晶はこれまで猟兵たちにボコにされていた『チョコレートレディ』が這々の体でなんとか授業を再開しようとしている風景に溶け込む。
今や校内はチョコレートが溶け落ちたり砕けたり、まあ、一言で言えば散々なことになっている。
「じ、授業を再開いたしますわ! はじめるったらはじめるのですわ!!」
もうやけにくそである。
彼女にとってこの学園は楽園そのものだ。
だって蛇口をひねればチョコレートがドバドバ出てくるし、机も黒板もチョークも花壇の花だってチョコレートなのだ。
そこまでいくとなんかヤバいものでもあるのではないかと疑いたくなるが晶は『チョコレートレディ』が握るチョークを神気でもって固定する。
「あ、あら……? どうして書けないの……?」
そう、固定されてしまったチョコレートは変形したり削れたりすることができない。つまるところ、摩擦が起こらなければ熱を得て変形することもない。
晶の神気は固定。
即ち、変わることのないチョークへと変貌させて授業を妨害しているのだ。
ヤバい。
ちょっと陰湿である! けれど、これが悪徳こそが美徳の世界デビルキングワールドでは善いことであるのだ。通常の世界の倫理など通用しないのである。
「先生、何書いてるのか読めません」
晶の言葉が『チョコレートレディ』を追い詰める。煽りよるわ。こやつ。
「おかしいですわ、ならば口頭で……って、ええ!?」
今度は晶の神気が『チョコレートレディ』の舌を麻痺させるのだ。舌足らずな言葉しか紡げない彼女は何かを言おうとしても……。
「ひゃはれーれは、おいひーのれす」
とまあ、こんな具合である。
全部晶のせいであるのだけれど、そんな事お構いなしに煽るのだ。
「もっとはっきり喋ってください」
そんなふうに煽りよるものであるから、『チョコレートレディ』も我慢の限界である。ここまでコケにされて黙っていられるわけがない。
最期に物を言うのは物理。物理である。あと暴力。
それに訴えようとして晶に詰め寄る『チョコレートレディ』。それを見て晶はユーベルコードに瞳を輝かせる。
これこそが目的であったのだ。
「外すと悲惨なことになるから慎重に行きたかったんだ。君が近づいてきてくれてよかったよ、先生」
何をと、思った瞬間奔るは魔法陣。
近距離でしか使えないわけではないが、外した瞬間、自身を縛るユーベルコードであるがゆえに、外さぬ距離まで『チョコレートレディ』に近づいてもらったのだ。なんたること!
「――!?」
その邪神の抱擁(フリージング・タイム)たるユーベルコードは『チョコレートレディ』を時間凍結による封印を施す。
これで授業どころではない。
「先生が授業しないなら休み時間ということでいいよね」
その言葉に悪魔学生たちも大喜びである。
チョコレートまみれの授業より、こっちのほうが断然いい。悪徳こそが美徳であるのならば、授業を中断させること以上に良いことなどありはしないのだ。
晶はうんうんと頷いて、凍結された時間の中に追いやられ、学級崩壊したクラスを後にするのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが、たぶん今回は関係ない
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
もはや祖父
ついたら即UC。
陰海月が「今回必要な学級崩壊なら、これ!」と自信満々に。満々に…。分別ついとるからか、やるときは大胆なのよな。
というか、今のうちに思いっきりやっておくというか。
ちなみに、わしなのは『熱いお茶の温度を保つ』ためだとか。
何か、これが入った湯のみを、チョコでできた机の上に置くとか。どういうことじゃ?
(※『侵す者』は、チョコが溶ける理由を知らない)
※
陰海月、思いっきりやるときはやる。ぷっきゅ!
光るし、机はお茶の熱で溶かす。ついでに、ちょっとだけ食べる。
「ぼくを見つめることができる?」
学級崩壊と一言に言ってもいろいろな要因があるであろう。
というか、そもそも悪徳こそが美徳の世界であるデビルキングワールドにおいて学級崩壊なんていうのは、見習うべきワルであったことだろう。
教師が教育を放棄することもワルであるし、授業をぶっちするのもまたワルである。
ゆえに学級崩壊とはデビルキングワールド屈指の魔界学校である『吐露比狩古兎釣高等学校』においてはある意味日常茶飯事であったのかもしれない。
しかしながら、今は非常時である。
すでにオブリビオンである甘き令嬢『チョコレートレディ』が悪の教師『血夜弧零斗淑女』として入り込み、学び舎をチョコレートまみれにしている。
甘味こそ堕落の味。
なればこそ、チョコレートで悪魔学生たちを悪のエリートとして育て上げようとしているのだ。
「ふむ……今回必要な学級崩壊なら、これ! と自信満々に言うから……」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は、巨大クラゲである『陰海月』に請われて、こうして『吐露比狩古兎釣高等学校』の教室に転移して、即座に四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)によって合体して、1680万色に輝く四悪霊の呪詛をまとったのだ。
くそ眩しい。
ただでさえ、光の熱がすんごいことになっているのに、さらに1680万色に輝き続けているのだ。
チョコレートが云々とかそれ以前の話になっている。
眩しすぎるのだ。
「まぶしっ! えっ、ホントにまぶし! どういうことなのです!?」
ようやく猟兵の放った時間凍結の授業妨害から復帰した『チョコレートレディ』は、あまりのまぶしさに目を開けていられなかった。
「ぷっきゅ!」
そんな『チョコレートレディ』に『陰海月』は自信たっぷりである。
光り輝く体は、『侵す者』の人格を表層に出してはいるが、今回はおまけみたいなものであるし、もっと言えば、孫の授業参観に来ている祖父のようなものである。
流石にそこまで言わなくて良くない? と思わないでもないが、まあ大体事実だからいいでしょって気持ちで今話を勧めている次第である。
「しかし、分別がついとるからか、やる時は大胆なのよな。というか、今のうちに思いっきりやっておくというか」
『侵す者』は、なんで自分が選ばれたのかわかっていないようであった。
単純に孫のように可愛がっている自分であるからとか思っていたのかも知れないが、その実情は『熱いお湯の温度を保つ』ためであるとか。
どういうことなのかイマイチ理解できていない。
けれどまあ、お湯の入った湯呑をチョコレートで出来た机の上におけばどうなるか簡単なことである。
しかし、チョコレートを知らぬ者であったのならば、それは不可解な現象であったことだろう。
「なんと、湯呑を置いた瞬間に机が溶けおるわい。これはどういうことじゃ?」
「当たり前でしょう!? チョコレートは熱に弱いのですから! ああー!」
机が溶けてお湯がぶちまけられる。それに眩しい。いや、チョコが溶けるとか以前にまぶしっ!
眩しすぎて『チョコレートレディ』はちゃんと注意すらできない。
そんなわちゃわちゃした状況で『陰海月』は目くらましついでにチョコをかじる。甘い。甘い。とっても甘い。目がキラキラしてしまうだろう。
そうすると余計にゲーミングカラーは激しく発光してしまう。
「ぷきゅぷきゅ!」
また太るぞ、と言われるかも知れないが、チョコレートに罪はないのである。罪ありきはオブリビオンのみ。
ゆえに『陰海月』は、そのゲーミングカラーに輝く光珠でもって、目潰しを受けている『チョコレートレディ』に打ち込むのだ。
その一撃を受けて彼女はもんどり打つように溶けたチョコレートに突っ伏す。
「あっつ!? 今度は熱い!? え、これはチョコレート!? なんでこんなことにって、痛いっ!?」
びすびす光珠を投げつけながら『陰海月』はチョコをかじり続ける。
校舎全部がチョコレートであるから、食べすぎないように自重しつつ学級崩壊させていく。物理で。
そんな『陰海月』の様子をのんびり湯呑を傾けながら『侵す者』は孫を見る目で慈しむのである。
いやおじいちゃん、そこはちゃんとしとこう!? というツッコミが悪魔学生たちから入ったとか入ってないとか、まあ、そんな感じで順調に学級崩壊していくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「ふむ、菜医愛流帝の話では、敵はチョコレートを操る血夜弧零斗淑女とのことだな。ならば、我は転校生として――」
『なるほど、転校生として敵の陰謀を潰すのですね、フィア様』
「転校生の怖威亜(読み:フィア)として、チョコレートを腹いっぱい味わおうではないか!」
というわけで、背中に怖威亜と書かれた制服を着て学園に登校だ。
ふむ、学園中がチョコとは便利よな。
腹が減ったらいつでもチョコを食べられるではないか。
『フィア様、授業中に机を齧らないでくださいませ!?』
ふむ、そうであった。
我の目当ては血夜弧零斗淑女!
「受けよ、【竜滅陣】!」
我の魔術を相殺した?
いや、違うな。我がお前にチョコを出させたのだ!(もぐもぐ
悪魔学生たちはワルのエリートである。
デビルキングワールドという悪徳こそが美徳の世界にあるのだから、彼らは立派なワルになるために学び舎に向かうのである。
正直、ワルがちゃんと学校に行くって事自体が本末転倒な気がしないでもない。
ワルならサボタージュじゃろがい! という猟兵たちの叫びもまた理解できるものである。
しかし、猟兵の中にもまたそういう理屈の外に存在する者はいるのだ。
ああ、フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)さんって言うんですけど。
「ふむ、『菜医愛流帝』の話では、敵はチョコレートを操る『血夜弧零斗淑女』とのことだな。ならば、我は転校生として――」
『なるほど、転校生として敵の陰謀を潰すのですね、フィア様』
そんなふうにフィアの肩に止まるカラスの使い魔である『フギン』が言う。確かにそのとおりである。
けれど、フィアにはそういう理屈は一切通用しないことはすでに常識である。
もう次なるフィアの言葉はなんであるかを大体の人は知っているし、もう言わなくてもいいんじゃない? と思っているだろう。多分。
「転校生の怖威亜として、チョコレートを腹いっぱい味わおうではないか!」
ほらねー。
やっぱりねー、となること請け合いのセリフである。多分、読み方は『ふいあ』である。ここにもまたヤンキー漢字の文化が根付いていく。
むしろ、黒歴史じゃねーのかって思わないでもないが、黒歴史もまた人の歴史の一つである。ならば、チョコレートのちょっとやそっとくらい飲み干してみせろって話なのである。
いやそうかな。そうでないような気がするが、フィアという猟兵に限って言えば、まあ、そういう話なのである。
「ふむ、学園中がチョコとは便利よな」
そう言いながらフィアは学び舎全部がチョコレートになっている壮観なる光景に頷く。
何もかもがチョコレートに置き換わっている。
あのベンチも、あの時計も、何もかもがチョコレート。蛇口をひねればチョコレート。もう全部である。何がチョコレートで何がチョコレートではないかとかもう問うだけ無意味ってもんである。
そんな夢のような光景にフィアはご満悦である。
「腹が減ったらいつでもチョコを食べられるではないか」
『フィア様、授業中に机をかじらないでくださいませ!?』
『フギン』の言葉も尤もであるし、今は授業中である。背中に『怖威亜』と描かれた学ランを着ているいても、ちゃんと着席しているあたり偉い。
「ふむ、そうであった。我の目当ては『血夜弧零斗淑女』!」
びしぃ! とフィアは彼女にしては珍しく食欲に左右されぬ理由で持って、オブリビオンである『チョコレートレディ』を指差す。
そんな彼女はこれまで多くの猟兵にボコにされているため、マジでげんなりしている。チョコレートとかそんなことなど些細なことと思えるまでに疲弊しているのだ。
「なんです……? わたくし、今は休憩中なのですけれども。休憩にはチョコレートとホットチョコ、チョコバーが最適なのですわ」
全部チョコではないか! と今までのフィアならば叫んでいたことだろう。
けれど、彼女の瞳はユーベルコードに輝いている。
えっ!
これまでのフィアから考えられないほどの速攻ぶっぱ。いやまあ、ぶっぱはいつものことだけど。それでも周囲にあるチョコレートに目もくれずに、竜滅陣(ドラゴン・スレイヤー)とか天変地異の前触れではないだろうか。
「受けよ! 漆黒の魔女の名に於いて、我が前に立ち塞がりし全てを消し去ろう――竜滅陣!」
ドラゴンすら消し飛ばす大規模破壊魔法が迸る。
だが、『チョコレートレディ』はすでにチョコレートを補充しきった後である。彼女の頭は糖分を得て冴え渡っている。
そう、彼女のユーベルコードはユーベルコードをチョコレートでもって相殺することができるのだ。
迸るようにして噴出するチョコレート。
それはフィアの竜滅陣ぶっぱを正面から相殺していく。これにはフィアも驚いたはずだ。
ぶっぱが通用しない。
愕然とするフィア……は其処にはいなかった。というか、彼女にって相殺されることが目的であったのだ。
どういうことだってばよ!
「これでわたくしのユーベルコードは貴女のユーベルコードを相殺しました。残念でしたね。これで私は万全なのです。これまでボコにされてきた恨みをはらさせていただき――って、はれー!?」
『チョコレートレディ』は見た。
自身が相殺するために放った激流の如きチョコレートをフィアがわけの分からない速度で持ってもぐもぐしている姿を。
「いや、違うな。我がお前にチョコを出させたのだ! 新鮮なチョコレートをな!!」
くわっ!
えぇ……。
さすがの『チョコレートレディ』もドン引きである。新鮮て。それ一応ユーベルコードなんですが。
されど、フィアは構うことなく生み出されるチョコレートをもぐもぐしながら激流を泳ぐようにお腹に収めていくのだ。
完全にヤベー奴を敵に回したというか、確実に知られてはならない猟兵に知られてしまったことを『チョコレートレディ』はようやくにして気が付き、恐れと共に逃げ出そうとして、がっしりフィアに足を掴まれる。
その後はどうなるかは言うまでもない。
フィアが満足するまでチョレートを放出し続けなければならなかったのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
ウルル・マーナガルム
連携アドリブ歓迎
今度は先生がオブリビオンなんだね
大丈夫、任せて
ボクが帰ってきたからには
悪(ワル)の何たるかをもう一度教育し直してみせるよ!
まずは
前回ボクに付いてきてくれた生徒を探そう
既にチョコ先生の教育を受けちゃったとしても
ボクの訓練を乗り越えた彼らなら
きっと条件反射で答えてくれるはず
「上官の顔を忘れたかこの●●(規制音)!」
授業中に騒いだり
立ち上がったり
表立った妨害工作は悪魔達にお任せしよう
ボクとハティはいつも通りに
ホログラムを使って隠れながら狙撃に徹するよ
跳弾が混ざってると
射線からボクらの位置を見破るのは難しいでしょ
本気で隠れたスナイパーの一撃
相殺する余裕なんて与えないよ!
かつてデビルキングワールドの名門校『吐露比狩古兎釣高等学校』を訪れた猟兵達は番長になっていた。
のっけから何いってんだおめーって感じであろうが事実である。
多くの猟兵たちがオブリビオンの策動を阻止するべく学ランに身を包み、番長として活躍したのだ。けれど、悲しいかな。そんな猟兵たちの活躍は再び『悪の教師』として赴任してきたオブリビオン、甘き令嬢『チョコレートレディ』もとい『血夜弧零斗淑女』によって塗りつぶされてしまった。
「今度は先生がオブリビオンなんだね」
ウルル・マーナガルム(死神の後継者・f33219)こと『軍曹番長』は再び、『吐露比狩古兎釣高等学校』の校門をくぐる。
彼女のシゴキは凄まじいものであった。
大体彼女の言葉には規制音が響き渡って放送できたものではなかった。けれど、彼女の施した訓練はチョコレートに塗りつぶされた心の奥底に刻み込まれていることであろう。
「どんなに甘味で塗りつぶしたとしても、大丈夫、任せて」
あっ。
これは確実にまた……となるのは既定路線というやつである。不可避である。
ウルルは早速、学内を走り回って前回の事件の折に自分に付いてきてくれた部下もとい生徒を探すのだ。
すでに『チョコレートレディ』の境域を受けていたとしても、ウルルの訓練を乗り越えた彼らならばきっとわかってくれるはずだ。
いわば、それは何年も遠く離れて暮らしていた愛犬との再会みたいな感動のシーンで彩ろられるはずであった。
しかし、そうはならんのである。
「『イエス・ボス』!!」
そうです。ならんのです。
此処にあるのは上官と部下。嘗て在りしコンバットアーミーもとい『軍曹番長』の麾下ただそれだけなのである。
「上官の顔を忘れたかわけではないようだな、この●●(規制音)!」
速攻でこれである。
ウルルは分かっていた。自分に任せれば万事大丈夫であると。
彼女が帰ってきた以上、ワルのなんたるかを忘れていたとしても、もう一度教育し直してみせると。そして、同時にそれが杞憂であったことを知る。
『軍曹番長』の帰還は瞬く間に学内に知れ渡る。
疾風のように走り抜ければ、即座に招集が懸ったかのように即座に集結する悪魔学生たち。
「いいか! 貴様らはこれより●●(ぴ――ッ)だっ! 忘れるな、●●(ぴ――ッ)だ!」
「『イエス・ボス』!!」
気合い充分である。悪魔学生たちを率いてウルルは『チョコレートレディ』のいる教室へと彼らを送り込む。
そう、ウルルはあくまで狙撃兵である。そんな彼女が表立って動くことはない。そういうことは部下である悪魔学生たちの仕事である。
「って、なんですの!? 何がなんですの!?」
『チョコレートレディ』が慌てふためく声が聞こえる。ウルルの部下たちは一斉に教室に入ったかと思えば、速攻で彼女の授業を妨害し始めるのだ。
これまで猟兵たちにボコにされていた彼女であるが、色々在って立ち直ったのだ。
この学園をチョコレートでもって掌握すること。
それこそが彼女の役目であるから。その諦めの悪さこそが、『チョコレートレディ』の本領でもあった。
マジでしつこい甘さ! それをウルルは車線の通った隣の校舎の屋上からスコープ越しに見つめる。
「〝素早く、静かに、徹底的に〟。いつものように任務を遂行しましょう」
ノルニル達の心得【巨人を屠る者の如く】(ノルンズノーレッジ・オクトール)。それこそがウルルの技量をユーベルコードまでに昇華させた心得の1つである。
ホログラムを使って隠れているがゆえに、彼女を見つけることはできないであろう。そうでなくても他の猟兵たちと部下の悪魔学生たちが授業を妨害しまくっているのだ、彼女に意識など向きようがない。
本気で隠れたウルルを見つける術などあるわけがない。
そして、あのチョコレートでユーベルコードを相殺させる暇など与えないのだ。
「相殺する暇なんて与えないよ!」
引き金を引く。
放たれた弾丸は複数発。
その弾丸が教室内に飛び込み、跳弾によって『チョコレートレディ』の注意を引く。だが、それはブラフである。
本命は一直線に放たれる一射。
的確に急所を捉える精密な射撃。敵を畏怖させるほどの徹底的な狙撃は、外れることなどありえない。
「――ッ!?」
『チョコレートレディ』は驚愕せしめただろう。
自身すら知覚できぬほどの狙撃。己が何処から撃たれたのかも自覚できぬ超精密射撃は、彼女の体を貫く。
「悪いね、先生。出席点呼は遠慮させてもらうよ」
ウルルは校舎屋上から飛び降りて、早退することに決める。そう、悪魔王遊戯はまだまだ始まったばかり。
それに『軍曹番長』は忙しいのだ。
部下たちとの別れは言わない。きっとまた手伝ってもらうこともあるかもしれない。それに湿っぽいのは嫌だ。
ウルルは甘き香りに負けぬほどの教育を悪魔学生たちに再び刻み込んで、再来の予感に震え上がらせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
同じく!
菜医愛流帝ファンクラブなんばー2!
制作番長の菫宮・理緒!
久しぶりに帰ってきたら、
伝説の菜医愛流帝を忘れているなど……。
いやこれは、わたしたちの失態。
ここはいまいちど、みんなの魂に刻み直さなければ!
と、菜医愛流帝と刺繍された長ランを掲げるね。
そして、サージェさんの演説に合わせて。
長ランもーどの菜医愛流帝さまの写真を受け取り、
プロジェクターでスクリーンに投影。
褐色の伝説(たゆん的に)を見せつけ、胸キュンさせたら、
満を持して、グッズ第三弾を展開。
これこそ甘さに甘さを掛け合わせた逸品!
1/6スケール、菜医愛流帝チョコ!
さぁみんな、甘さの極みを味わって、ファンクラブに入会だ!
サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
風が呼んでいる、いつか聞いた友の声が!
『菜医愛流帝』を叫べと!
菜医愛流帝ファンクラブNo1
クノイチ番長、参上です!
確かにこれは私たちの落ち度
再びチョコ肌たゆんアイドル…じゃなかった
菜医愛流帝の威光を知らしめねば!
というわけで布教です布教
確かにチョコの甘さは堕落の味
ですが甘い!
真のチョコとは食べなくても甘い気持ちになれるのです!
というわけで
チョコ肌たゆんアイドルな菜医愛流帝さまを見ろー!!
(前に撮ってた写真を学ラン&アイドル化加工(勝手に)した)
ね?これが甘さですよキュンですよ!
皆で菜医愛流帝ファンクラブを盛り上げて甘い気分になりましょー!
さぁ入会はこちら!!
「風が呼んでいる、いつか聞いた友の声が! 『菜医愛流帝』を叫べと!」
言ってない。
言ってないよ。
むしろ、それは黒歴史的なあれだから、ほじくり返さないであげると助かるんですけど!
とまあ、そんな具合に唐突に始まったサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の前口上。
完全にやべーやつである。
「『菜医愛流帝』ファンクラブNo1、クノイチ番長、参上です!」
「同じく!『菜医愛流帝』ファンクラブなんばー2! 制作番長の菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)!」
サージェと理緒は二人して、人の黒歴史を暴くというか喧伝するかのように声高々に『吐露比狩古兎釣高等学校』にて叫ぶのだ。
いつのまにファンクラブなんて出来たんです!? っていう寝耳に水であろうグリモア猟兵だっているんですよ!
しかしながらサージェと理緒はそんなことに耳を貸すことはなかったし、むしろ、オブリビオン、甘き令嬢『チョコレートレディ』のチョコレートによって塗りつぶされてしまった嘗ての名門校を嘆くのだ。
「久しぶりに帰ってきたら伝説の『菜医愛流帝』を忘れているなど……」
理緒が嘆いている。
いや、嘆くところかなぁそれ。一刻も速く忘れてほしいんだけど。
「いやこれは、わたしたちの失態」
「確かにこれは私達の落ち度です」
ねえ何言ってるの? 聞いてる? ねえってば!
「再びチョコ肌たゆんアイドル……じゃなかった。『菜医愛流帝』の威光を知らしめねば!」
「うん、そうだね! ここは今一度、みんなの魂に刻み直さなければ!」
うぉーい! 何勝手に納得してことを進めているのかな! ちょっと!
しかし、理緒は止まらない。天の声のツッコミなど内に等しいものである。そういうものであると言われたら、それまでであるが、暴走超特急となった二人を止めることは如何にオブリビオンと言えど無理である。
理緒が掲げたのは『菜医愛流帝』と刺繍された学ランである。
いつのまに! なんてこった!
「皆さん聞いてください!」
サージェは、威風堂々(シノベテナイクノイチ)と一段高い場所に立って熱弁を振るう。
もうクノイチってこと忘れてるよね、完全に。
それくらいに忍べてない。マジで。
「確かにチョコの甘さは堕落の味」
そーだそーだ! と悪魔学生たちが頷いている。甘いものは確かにたまらん。手が伸びちゃうし、ダメだってわかっていても誘惑に負けてしまうものである。
「ですが甘い!」
クワッ! とサージェの目が輝く。おいユーベルコード使っているときより輝いているような気がするのは気の所為であろうか。
「真のチョコとは食べなくても甘い気持ちになれるのです!」
どういうことなの。
何一つわからん。けれど、そこで理緒が校舎の壁面をスクリーンにプロジェクターでもって『菜医愛流帝』の『ばぁーん!』と長ランを着てポーズを決めている画像を映し出す。
いつの間に! って思ったけれど、そう言えば撮ってたなぁ!!
「これが伝説だよ! 胸キュンでしょ!」
理緒は多分、たゆん的な意味で言ったのかも知れない。褒めてくれるのは嬉しいことであるが、これはアウトかセーフかで言ったらアウトでしょ! 真っ黒だよ!
けれどもサージェも止まらない。
「チョコ肌たゆんアイドルな『菜医愛流帝』さまを見ろー!!」
見せるなっつってんだけど! 勝手にアイドル化加工したブロマイドをばらまくサージェ。
もう二人してやりたい放題である。
ばらまかれる『菜医愛流帝』ブロマイド。
いろんな角度から写真とりすぎじゃないですかね。しかして、これはオブリビオン『チョコレートレディ』の授業を妨害するにはうってつけであった。
なんだなんだと悪魔学生たちが興味本位で授業中の教室からでてくるのだ。期せずしてというか、本当にこれを狙ってたのかと思わないでもない。
しかしながら、効果は抜群である。悔しいけど。
「皆で『菜医愛流帝』ファンクラブを盛り上げて甘い気分になりましょー!」
「そして、満を持して、グッズ第三弾だよ! これこそ甘さに甘さをかけ合わせた逸品! 1/6スケール『菜医愛流帝』チョコ!」
理緒とサージェが共に手にしているのは、スケールサイズのチョコフィギュアであった。
肖像権ー!
販売権利ー!
いろんな問題が山積み商品である。びっくりするくらいまっくろけだ! そんな商品を販売しては……って、あー! ここはデビルキングワールドである。無法も法の内。ついでにいうと法は破ってなんぼであるを地で行くのが悪徳こそが美徳の世界である。
即ち。
この場のワルとは即ち理緒とサージェの慈悲無き『菜医愛流帝』の黒歴史の暴露に他ならず。
「さぁ、みんな、甘さの極みを味わって、ファンクラブに入会だ!」
「さぁ入会はこちら!!」
ばんばんじゃりじゃり会員数を増やしましょうねーと二人してノリノリである。
正直に言うと、『チョコレートレディ』が霞むくらいのワルを実行している二人。ファンクラブがどうとかじゃあない。
このえげつなさがワルの中のワルであることを悪魔学生たちに認めさせるところとなったのである。
ファンクラブ会員数も増やす。グッズ売上も増やす。
どっちもやらねばならぬのがNo1とNo2の辛い所……なわけないでしょ! いかんですよ!
とまあ、そんな具合に二人は校舎の外から『チョコレートレディ』の授業を妨害しまくって、その力を大きく削ぎ落とすのであった。
いや、マジでこれでいいのかな――!?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドウジ・ユークレナ
謎の天候星、童子・湯卯区令奈(ドウジ・ユークレナ)惨状!!(謎の張り合い)
天候星。それは108の魔星にすら数えられないデビルキングワールドでは輝きを見れない霞の魔星。どこかの世界で輝くビックな奴にしか見れない謎の星である(注:大嘘)
銅弓聖(どうきゅうせい)が食べようとするチョコレートを一瞬で蜘蛛糸で『捕縛』して『残像』も見えない猛速で『盗み攻撃』
食べようとした完食が食べれない…まさに灰汁、もとい悪!!
エイリアス・ヤウシケプで分身を発生。分身に妨害の盾になってもらい
授業中にタップダンスで『ダンス』を開始…授業ジャック…まさにワル。
さあ、レッツダンシング。チョコとは食うものではない。踊り場だ!!
ヤンキー漢字ってどうしてあんなに読みづらいんだろうねって誰もが思うことであろうが、ここはデビルキングワールドである。
言わずと知れた悪徳こそが美徳の世界。
ならば、ヤンキー漢字は最高にクールな文化の一つであったことだろう。
即ち、魔界の名門校たる『吐露比狩古兎釣高等学校』は、その校名からして文化の最先端を征くものであった。
ならばこそ、ドウジ・ユークレナ(風渡り人・f36443)は謎の張り合いを見せるのだ。
「謎の天候星、童子・湯卯区令奈(ドウジ・ユークレナ)惨状!!」
ばぁーん!
とまあ、これまた派手に登場したドウジは教室の黒板にそう書き連ねた。目がチカチカする文字数!
もう普通に名乗った方がよくない?
あと参上と惨状をうまいこと掛け合わせているようであるが、かなりの惨状であることは最早言うまでもない。
すでに先行した猟兵たちが『悪の教師』、甘き令嬢『チョコレートレディ』こと『血夜弧零斗淑女』をボコにしていたからである。
学内はそれはもう阿鼻叫喚地獄絵図である。
溶かされたり、溶かしたり。デスソースぶちこまれたり、単純に物理でボコにしたり。あとなんか物販が横行したり。
もうこれぞデビルキングワールド! という様相になっていたのだ。
ゆえに悪魔学生たちも、もう大はしゃぎである。
「むぅ! 天候星!」
「知っているのか盟友!」
「あぁ……天候星。それは108の魔星にすら数えられないデビルキングワールドでは輝きを見れない靄の魔星。どこかの世界で輝くビックなヤツにしか見れない謎の星だという……!」
悪魔書房七十万三千五百二十一巻に記されている。多分。メイビー。
とまあ、そんな具合にドウジはしっくりきていた。
「銅弓聖! そのチョコレートは頂くであります!」
あ、どうきゅうせい、ね。読み方。同級生って言いたいんだね。わかる。わかった。わかってしまった。
ドウジは悪魔学生の食べようとしていたチョコを横取りする。蜘蛛糸を放ち、残像も残さぬ爆速でもって奪い取る。
悪徳こそが美徳。
ならばこそ、同級生のお菓子を横取りすることこそ最高にクール。ワル!
「ふふ、食べようとしたが食べられない……まさに灰汁、もとい悪!」
字面で見ないとわからないくらいの小ネタ。
他人が理解していようがいまいがお構いなし!
そんでもってさらにドウジはユーベルコードで持って己の分身を発生させる。
エイリアス・ヤウシケプ。
それはドウジより戦闘力に優るがタップダンスのキレがいまいちである。
しかし、数こそ正義の状況であれば、タップダンスのキレがいまいちであってもいいのだ。教室に響き渡るタップダンスの音。
めっちゃやかましい!
「うるせえですわ!? なんなのです、この音は!」
流石に『チョコレートレディ』もこれまで多くの猟兵にボコにされていた状態からようやく回復していたのだが、いきなり始まったドウジの授業妨害に堪忍袋の緒がブチ切れ遊ばしていた。
「さあ、レッツダンシング。チョコとは食うものではない。踊り場だ!!」
ドウジの掛け声と共に分身たちが軽快に踊る。
さらに教室に持ち込まれていたミラーボールがチョコ一色であった教室を色とりどりに輝かせる。
凄まじい音と光。
チョコレート色一色であった校舎は甘い匂いを吹き飛ばすように軽快な音とリズミカルな音楽、そんでもってミラーボールの煌きによって染まっていく。
「授業ジャックであります!」
いえいいえい!
そんな具合に悪魔学生たちは悪ノリである。
もはや『悪の教師』の出る幕などない。ドウジの魅せるタップダンスに悪魔学生たちは巻き込まれ、その楽しさでもって甘やかな堕落を蹴飛ばし、そのチョコレート色の青春を色彩豊かに彩るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
再びこれに袖を通す事になろうとは…
(白の学ラン
後任の者は何をしていたのです
生徒会OB兼強盗騎士クラブ初代団長の名の元に、悪の勇名を取り戻しますよ
古来、チョコは薬の用途で珍重された貴重品
その管理は選ばれし者の務め
購買は買占め、水道から出るなら蛇口前を占拠なさい
流通を掌握し、我らの意の儘に再分配
同士には高級品を、逆らう者には無加工のカカオを!
チョコを牛耳り学園を支配せよ!
さて、万人にチョコを振舞うかの令嬢
その在り様は聖女…つまり悪魔が忌避すべき善人のそれ
校内全ての同士に告ぐ
甘き聖女を徹底的に弾圧するのです!
(裏番としてUCで指示出し、眼下の騒動眺めティータイム
…早く騎士の本分に立ち返りたいですね
『裏番』という言葉がある。
まあ、言うまでもなく番長と対をなす存在である。表の存在が番長であるというのならば、『裏番』とは影から学園を取り仕切る者のことを指すであろう。
伝説の番長。
『吐露比狩古兎釣高等学校』には、幾人かの伝説的な番長が存在している。
その中のひとりが『裏番』である。
表向きは生徒会長。されど、その実態は強盗騎士クラブの初代団長であり、数々のあくどいことをやってきた伝説のワル騎士。
その名もトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)である!
「再びこれに袖を通すことになろうとは……」
若干辟易してないかなって思わないでもない。白色の学ランに身を包んだトリテレイアはあの喧騒の日々を思い出してアイセンサーを細めさせた。
教師陣の弱みを握って掌握して生徒会長兼副会長兼書紀兼会計兼庶務の座についたのもまた遠き日。いや、そうでもない気がするけど。
まあ、ともかくそんなことはいいのだ。
トリテレイアにとって目下の問題は。
「後任の者は何をしていたのです。生徒会OB兼強盗騎士クラブ初代団長の名の元に、あくの勇名を取り戻しますよ」
白い学ランを翻し、トリテレイアは『吐露比狩古兎釣高等学校』に赴く。
すでに彼の到着を待ちわびていたかのように教師陣が勢揃いである。
なんか雰囲気ちがくない? と思わないでもない。
けれど、『裏番』ってそういうものである。決して表舞台には出張って来ず、影から全てを終わらせる存在。多分。
「古来、チョコは薬の用途で珍重された貴重品。その管理は選ばれし者の務め」
トリテレイアはそう告げる。
「し、しかし……『血夜弧零斗淑女』先生が……購買部を掌握しておられますし、水道水から溢れんばかりにチョコが……」
そう告げる悪魔学生たち。
彼らでは太刀打ちできない。オブリビオンとはマジモンのワルであるがゆえに。
だからこうして、今猟兵たちが出張ってきているのだ。
「購買部は買い占め、水道から出るなら蛇口前を占拠なさい。流通を掌握し、我等の意のままに再分配。同士には高級品を、逆らう者には無加工カカオを!」
無加工カカオを!?
そんな! と悪魔学生たちが慄く。確かにチョコレートは甘い。とろけるくらい甘くて美味しい。
けれど、その原料と成るカカオはとっても苦いのである。無加工のカカオなんて食べられたものではない。そんなワルなことをさらりと言い放つなんて……!
伝説の裏番の指揮に悪魔学生たちが戦慄する。
これが時代の求めたワルの寵児。
「チョコを牛耳り学園を支配せよ!」
そう号令を告げるトリテレイアは胸中ではなんとも言い難い感情が渦を巻く思いであったことだろう。
万人にチョコを振る舞うかの令嬢、『チョコレートレディ』。その有様は聖女のようである。
だが、此処はデビルキングワールドである。
悪徳こそが美徳。
善悪が逆転した世界。であれば、聖女とは、つまり悪魔たちが忌避すべき善人のそれである。
つまりは。
「『血夜弧零斗淑女』はクソダセー者ということになるのです。ならば、口内全ての同士に告ぐ」
トリテレイアは校内放送で呼びかける。
自分が手を下すまでもない。
機械騎士の臨時前線指揮(マシンナイツ・コンダクター)は、今となっては手慣れたものである。
悪魔たちを煽り、動かす。彼らは単純ゆえに染まりやすい。チョコレート色に染まってしまったのもまた道理である。
だからこそ、トリテレイアの魅せるワルにも染まりやすいのである。
「甘き聖女を徹底的に弾圧するのです!」
その言葉とともに『吐露比狩古兎釣高等学校』に鬨の声が響き渡る。
もうなんていうか、学級崩壊どころではない。学園崩壊そのものである。トリテレイアは、蜂起した同士たちの声を聞きながら、屋上のパラソルの元で優雅にティータイムに興じる。
そう、裏番とは自ら動くことを指すものではない。
こうして指示を出し、ことを優位に進める。気がついた時にはすでに時遅し。トリテレイアは結局オブリビオンと対峙することなく、かの甘き令嬢『チョコレートレディ』の目論見を打ち砕くのだ。
しかしながら、こうしたやり方は彼の持つ騎士道から、わりと踏み外したものであった。
だからこそ、トリテレイアは思うのだ。
「……早く騎士の本分に立ち返りたいですね――」
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
あれー こんかいはちょうらんきないんですかー?
ないあるてい?
わーいチョコレートだー!
あまーい!おいちい!
いいじゃないチョコレート学校!みんなチョコレートにしちゃおうよ?
え、ダメ?そう…わかったよないあるてい!
本物のワルにとって学級崩壊なんて生ぬるい!
時代は学校崩壊だよ!
そこらじゅうがチョコレートなら[餓鬼球]くんにはいい餌だね!
え?甘いもの苦手?んもー好き嫌いしちゃダメだよ~!
それに食わず嫌いかもしれないじゃん
いいから
まとめて…食べちゃえ~~!!
あ、しまった
チョコレートお姉ちゃんはどこ?
え、食べちゃったの?うん、そう、美味しかったかー…
ならばよし!!
「あれー、こんかいはちょうらんきないんですかー?」
その言葉はもう言ってはならんことである。
何がとは言うまい。
誰にだってあるのだ、黒歴史っていう名の葬り去りたい過去の一つや二つは。しかしながら、その黒歴史を本人が捨て去りたいと願っても、過去がそれを許すいわれはないのである。
特に他者の記憶に残る黒歴史を拭うことは難しい。
過去は変わらない。
過去はなかったことにはならないのである。
とまあ、こんな具合に人の営みは続いていくのであるとかなんとかんとか。真面目な雰囲気を醸し出してみたものの、ここはデビルキングワールドである。
善悪の価値基準が逆転した悪徳こそが美徳の世界である。
そんな世界でオブリビオンが何をするのかと言うと、真の邪悪である。
即ち、魔界屈指の進学校であり、名門校である『吐露比狩古兎釣高等学校』をチョコレート色に染め上げることである。
「いやもう無理でございますわ!? もうしっちゃかめっちゃかですわ!!」
そんなふうにがっくり肩を落としているのはオブリビオンにして『悪の教師』、甘き令嬢『チョコレートレディ』である。
ここ『吐露比狩古兎釣高等学校』においては『血夜弧零斗淑女』として名が通っており、この学校をチョコレート色に染め上げた張本人でもある。
しかしながら、相手が悪かったのである。
素直で善良な悪魔たちならばいざしらず。
猟兵達の為すワルは尋常ではなかった。
「わーい、チョコレートだー! あまーい! おいちい!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、そんな猟兵の一人であった。むしろ、今の学校の状況は歓迎するものであったし、むしろみんな大喜びじゃないかなと思う次第であった。
しかし、オブリビオンの好きにさせていては『魔王ガチデビル』がデビルキングにいたり、他世界に悪魔を輸出してしまう。
そうなっては世界の危機が撒き散らされるのと同義。
ゆえにこれを阻むために『吐露比狩古兎釣高等学校』にやってきていたのだが、もうすでに多くの猟兵によって学園はカオスそのものであった。
「そうそう! 本物のワルにとって学級崩壊なんて生ぬるい! 時代は学級崩壊だよ!」
どういうことなの。
そこらじゅうがチョコレートに変わっているというのならば、ロニは球体たちの出番だというように彼らを放出する。
けれど、なんだ渋ってるような気がするんですが、それは。
「んも~甘いものが苦手とかそんな好き嫌いしちゃダメだよ~!」
そんなふうに球体たちに諭すのであるが、彼らはどうにも渋っている。
「食わず嫌いかも知れないじゃん。いいから、まとめて……食べちゃえ~~!!」
いつまでたっても発進ゴーしない球体たちに業を煮やしたロニは、強烈な神撃(ゴッドブロー)の一撃で持ってケツを叩くようにして打ち出す。
その一撃によって打ち出された球体たちが一気に校舎を丸呑みにしていく。
その光景はさながら混沌。
もう他にどう言っていいかわからないほどの混乱の極み。悪魔学生たちは頑丈なので大丈夫であろうが、巻き込まれたオブリビオンはたまったものではない。
というか完全に巻き込んだ。
「あ、しまった」
ロニはようやく気がついたのだ。
学校崩壊に巻き込んでは、『チョコレートレディ』の確認ができない。
入れ物の中身を壊すより、入れ物を壊したほうが速いというのもまあ、なんていうか、雑だなぁって思わないでもないが、この場合、こっちが正解であったのかも知れない。
「もしかして……」
食べちゃった? とロニは恐る恐る球体たちに聞いてみる。
多分。
そんな返答が返ってくる。けれどまあ、チョコレートが美味しかったのならば、それもまた良しとするところであろう。
ロニは元気よく見なかったふりをして、余った瓦礫のチョコレートに舌鼓をうって、己の不手際を抹消する。
これぞワルの中のワルである――!
大成功
🔵🔵🔵