7thKING WAR⑩〜Once Upon a Ti
デビルキングワールドには「思いの詰まったアイテム」を持ち込むと、アイテムの中に眠る「小さな異世界(フェアリーランド)」に飛び込めるという、摩訶不思議な巨大工房ある。異世界から迷い込んだ妖精がここを作ったと言われている。
「みなさんにはですねー、こちらに思い出の品を持ち込みまして……一般悪魔の皆さんを、招待して、いただきたいのです……」
寧宮・澪は枕を抱えながら、語る。
これは現在デビルキングワールドにて行われている7thKING WARで支持を得るための行動の一つなのだ、と。
工房にて形成される『異世界(フェアリーランド)』では、その品物の思い出に即した体験を行える。その思い出や体験が凄いものであれば悪魔達は猟兵を支持してくれるのだ。
激しい戦闘や感動体験以外でも構わない。穏やかな思い出も、悲しい思い出も、ささやかな思い出でもいいのだ。そこに込められた思いの強さが強いほど、異世界の体験は素晴らしい体験になるのだから。
「のんびりした思い出、楽しい思い出、切ない思い出……危険な思い出も、あったかもしれません……。作られた異世界に込めた思いの強さを語ったり、具体的に話すと、より異世界の存在が強まり、体験が一般悪魔さんの身や心に迫り……より支持がえやすいですねー……」
なので猟兵の皆には思いの強さを訴え、思い出をたっぷり語ってもらい、悪魔達からの支持を得てほしいのだ。
「皆さんの思い……どれもきっと、得難い体験ですので……一般悪魔の皆さんに、ぜひ、共有を、お願いしますー……」
そう言いながら澪はよろしくお願いします、と頭を下げて巨大工房への道を紡ぐのだった。
霧野
一つ思い出を語りましょう。霧野です、よろしくお願いします。
●シナリオについて
これは7thKING WARのシナリオの一つです。
以下のプレイングボーナスがあります。
=============================
プレイングボーナス……思いの強さを示す/思い出を具体的に語る
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巨大工房に思いの詰まった品を持ち込み、それに関する思い出体験ができる異世界へと一般悪魔を招待してください。
思い出体験が凄いものであれば、悪魔の支持を得ることができます。皆さんの思い出をぜひ見せてください。
受付は5/5(木)の朝8:31からです。それ以前に頂いたプレイングはすべてお返しします。
●複数人で参加される方へ
どなたかとご一緒に参加される場合や、グループ参加を希望の場合は【グループ名】もしくは【お相手の呼び方(ID)】を最初に参加した章にご記入いただけると、助かります。
●アドリブ・絡みの有無について
以下の記号を文頭に入れていただければ、他の猟兵と絡んだり、アドリブ入れたりさせていただきます。なければできるだけ忠実に作成します。
良ければ文字数節約に使ってください。
◎:アドリブ歓迎。
○:他のグループや猟兵とも絡み歓迎。
〆:負傷OK。 (血や傷の表現が出ます)
♪:これがあるとシリアスよりはギャグっぽかったりコミカルな感じになるかもしれません。
第1章 日常
『巨大工房の小異世界(フェアリーランド)』
|
POW : 思い出の中でパワーや漢気を示してみせる。
SPD : 思い出の中で器用さや抜け目なさを示してみせる。
WIZ : 思い出の中で賢さや器のデカさを示してみせる。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●小さな異世界、思いの具現化
猟兵が持ち込んだ品を元に、異世界が現れる。巨大工房に集まった一般悪魔達は楽しみに体を揺らし、どんな体験が味わえるのか期待でいっぱいだった。
一つ、また一つ、異世界が生まれていく――。
尾守・夜野
POW
スレイも思い出してぇ事ってあんのかね?
アイテム扱いはあれだがスレイと一緒にいくぜ
「お前さんとあったのは…
この研究所だったよな
やべぇ研究ばっかしてた
今にして思うと門案件だったのかね?
」
何か色々混ぜた姿の標本やらグロテスクな何かがあり
教祖を名乗る人物が世界を神代に戻す為に神代の生き物を再現し神に捧げるとか広めるとかそんな教義を語り…
ある部屋では死なない豚を求めひたすら豚を、人を殺して探し…門のような異常が広がりかけ
人への敵意害意を殆どの実験体が持ってた為助ける事も出来ず諦めかけた時、よってくるお前さんにあったな
仇の一人だった教祖を殺し解決した後に見た朝日に照らされた海を見たのが印象に残ってる
●
新しく作られた世界は、研究所だった。白く清潔な、けれど何故か不気味な建物を尾守・夜野(墓守・f05352)と相棒のスレイ、一般悪魔達が進んでいく。
スレイも思い出したいことがあるかは不明だが、気遣うように寄り添う彼女の顔を撫でながら夜野は静かに語り始めた。
「お前さんとあったのは…この研究所だったよな。やべぇ研究ばっかしてた。今にして思うと門案件だったのかね?」
語る夜野の声にあわせたかのように、研究室の一室に辿り着く。白い扉を開けた先にあったのは、見るもおぞましいナニカ達。何か色々混ぜた姿の標本、グロテスクな何かが幾つも幾つも檻に入れられていた。
怯え、痛ましい顔をする悪魔達を促して夜野はまた別の部屋に進む。
大きな礼拝堂めいた部屋には夜野の仇の一人、狂った教祖がいた。彼は陶酔した表情で狂った教義を語る。
「世界を神代に戻さなくては。その為に神代の生き物を再現し神に捧げ、広めるのだ」
そんな教義を滔々と語る部屋を出て、一行はまた別の部屋に入っていく。夜野は狂った研究の中身を小さく呟いた。
「死なない豚を求めひたすら豚を、人を殺して探してる……狂った研究の部屋だ」
ああ、これも違う、死んでしまった。こちらも違う、不死の生き物は、神代の生物はどこだ。ぶつぶつ呟きながら手を赤く染める研究者達。体験する一般悪魔達はおぞましさに、痛ましさに、涙を浮かべるものもいた。
「助けたくても助けられなかった。門のような異常が広がりかけ、痛めつけられた実験体達は人への敵意、害意を殆どが持ってたから。諦めようかとも思った」
けれど、と夜野とスレイ、悪魔達の視線の先には、過去の夜野に寄ってくる八足の馬。彼女は夜野の髪を甘噛みし、仲間だと言うようにすりよってくる。
「お前さんに会ったんだ。だから諦めなかった」
もう一度、と奮起した夜野と彼を守ろうとするスレイは二人で狂った研究をすべて破棄し、狂った教義を信じる教祖をも倒す。
「あいつは、仇の一人だった」
様々な感情を含んだ一言を残し、夜野は悪魔達を外へと導いた。
外は朝日が昇ってきている。きらきらと輝く海は一行を優しく迎えた。海を眺めながらそっと寄り添うスレイと夜野の姿に、悪魔達は言いようのない、けれどとても美しい感情を抱いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
◎/〆(共に有無お任せ)
一つだけ選ぶなら…そうだな
★お守りでどう?
始まりは小さな一軒家
家族の顔がはっきりしないのは、僕が覚えていないから
物心つく前の僕に父さんと母さんは思い出と大切なものをくれた
父さんはネックレスを
そして母さんが…このお守りを
ある日村は襲われて
数人の見知らぬ男達に僕は攫われた
後で僕を見つけてくれた義理の姉曰く、全滅だった
村人皆殺されて…家は全て燃やされた
そこから先は囚われの身
でも、お守りとネックレスだけは…ずっと側にあった
そして…とある男によって救われ、自由の身になった今でも
父さんと母さんは、僕のそばに居て…僕を守ってくれてる
僕はその想いに…愛に応えたくて
だから生きるんだ
●
「一つだけ選ぶなら……そうだな」
工房に訪れた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、一つのお守りを手に取った。彼の望んだとおり、桃色兎の魔除け守りを核として小さな異世界が展開される。
世界の始まりの場所は小さな一軒家だった。体験する悪魔達はその家の中、小さな赤ん坊を見た。
赤ん坊が泣く度、笑う度、姿がはっきりしない男女が一喜一憂しながら慈しむ光景。赤ん坊は澪の面影が見て取れた。
「こっちは、僕の父さんと母さん。ちゃんと姿を覚えていないんだ」
すくすくと赤子は育ち、幼い子供へと姿を変える。父母は幼い澪を大切に育てているのが感じられる。優しい子守唄、手遊び、抱っこ。愛情を持って触れ、いけないことはきちんと叱る。優しい思い出に一般悪魔も優しげな顔で家族の情景を見つめていた。
「物心つく前の僕に父さんと母さんは思い出と大切なものをくれた」
小さな澪の前に朧な姿の父母が差し出したのは澪の宝物。
「父さんはネックレスを。そして母さんが……このお守りを」
小さな子供用のネックレスをつけ、この世界の核にもなった桃色兎の魔除け守りを持った澪は嬉しげに、幸せに笑っていた。
「このまま幸せに暮らせたなら、また違う未来があったとおもう。けれど現実はそうじゃなかった」
小さな幸せな一軒家が赤く染まる。炎の中に包まれ、父母が倒れていた。だんだんその光景が小さくなっていく。
「ある日村は襲われて、数人の見知らぬ男達に僕は攫われた。後で僕を見つけてくれた義理の姉曰く、全滅だった。村人皆殺されて……家は全て燃やされた」
淡々と、けれど悲しみを込めた声で語る澪が見た光景は多くない。けれど赤く燃える村を、倒れた人々を覚えている。その情景を感じられて、悪魔の目にも涙が浮かんでいた。
小さな澪は暗い屋敷に囚われ、愛情に溢れた生活とは真逆の生を歩むことになる。心のない物当然のように扱われる奴隷、見世物として生きる日々。澪の柔らかな心は痛めつけられ、体験する悪魔の目も伏せられた。
「でも、お守りとネックレスだけは……ずっと側にあった」
心を閉ざした表情の過去の澪の手には、少しだけ汚れたネックレスとお守りが抱えられていた。過酷な環境でも持ち主に大事にされていたのだろう、壊れてもおらず、父母の愛を伝えるようにそこにある。
「そして……とある男によって救われ、自由の身になった今でも、父さんと母さんは、僕のそばに居て……僕を守ってくれてる」
暗い澪の世界に光が指す。とある男性に助けられた澪の背を守るように、そっと励ますように朧気な手が擦り、押していく。
「僕はその想いに……愛に応えたくて。だから生きるんだ」
男性に手を引かれ光へと歩く澪の姿は今の猟兵としての姿へと変わっていった。強く、すべての心を救いたいと願う少年の姿に悪魔達は静かに、けれど力強い拍手を贈るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ノネ・ェメ
◎
ノネの匣鳴
わたしが歌うためのもの
マイクにアンプと、どの機材のかわりにも
軽音から吹奏楽まで、どの楽器のかわりにもなる
ある人が使ってるのと同じものを、ご本人から譲ってもらって。
譲ってもらえるだけあって、ある世界でゎフツーに手に入るみたぃだし
その人も、より使いやすく改良とかゎしてるんじゃなぃかな
だから全然別物といえば別物。でも、それよりも
同じ品ゎ数あれど、わたしがその人から頂いたのゎ、これだけだから。
……なんて
そこまで思い入れのある代わりのきかないものを、よくここまで自分向けに変えれちゃったねっていう
それゎ、そう(笑う)(しかないかも)
まぁ。そんなわたしもワルよりのワルくない?(ドヤを絞り出し)
●
ノネ・ェメ(о・f15208)の手には真鍮色の小箱が乗せられていた。
「これは、ノネの匣鳴」
ノネの手の中でそれは自在に歌う。
「わたしが歌うためのもの」
思いの異世界を広げるように小箱は歌う。ノネの歌を、曲を、小さな世界に広げていく。
「マイクにアンプと、どの機材のかわりにも、軽音から吹奏楽まで、どの楽器のかわりにもなる」
ノネの手を離れても、アルダワ製のオルゴール型音楽デバイスは歌う。ノネによってカスタマイズされた、ノネのための音楽デバイス。そこから流れる音色に悪魔達は聞き入っていた。
「これ、最初はある人が使ってるのと同じものを、ご本人から譲ってもらって」
長い髪の女性がノネに小箱を渡す姿が現れる。たしかにその手にはよく似た小箱が握られていた。なんの気もなしに差し出すのがわかる。
「譲ってもらえるだけあって、ある世界でゎフツーに手に入るみたぃだし」
気軽に渡す光景は、その人にはなんてことのない物品の受け渡しなのかもしれない。けれど異世界のノネの表情は目を輝かせていて、とても嬉しそうだった。
「その人も、より使いやすく改良とかゎしてるんじゃなぃかな。だから全然別物といえば別物。でも、それよりも」
幻のノネは笑顔で小箱を開き、カスタマイズしていく。より遠くへ、より大きく、より美しく、より自在に。ノネが歌うためのデバイスへと。大切に小箱を見つめながら、ノネにあわせて改良していったのだ。
そこまで変えてしまっても、一つの事実は変わらない。
「同じ品ゎ数あれど、わたしがその人から頂いたのゎ、これだけだから。この匣鳴だけだから」
憧れの人にもらった大切なゆかりの品。たとえ元はよくある品物でも、その人から譲られた世界で唯一の物。それを大切に思うノネの言葉に、悪魔達は共感するように頷いている。
「……なんて、そこまで思い入れのある代わりのきかないものを、よくここまで自分向けに変えれちゃったねっていう。あはは、それゎ、そう」
すっかりノネ用の一品にカスタマイズされた小箱を持ってノネは笑うしかなかった。ここまで変えてしまった自分にちょっと呆れる感情も混ざっていた。悪魔達も苦笑するしかない。
悪魔達と笑い合いながらもノネは精一杯のドヤ顔で決めてみせた。
「まぁ。そんなわたしもワルよりのワルくない?」
セリフのあと一拍置き、歌に満たされた世界に好意的で楽しげな笑い声が響いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
崎谷・奈緒
思い出の詰まったもの、ね。ふうむ。それなら、この電子タバコかな。彼を真似て吸ってた電子タバコ。別れてからは吸わなくなったけど、それでも捨てられない――そういうものじゃない?今となっては、いい思い出だ。
異世界に入ったけど……あ、いたいた!付き合ってた彼!これは、別れたあの日だろうか?短大の前だ。あらためて彼にこう言おう――本心から。
『ありがとう。キミとの日々は、とっても楽しかった。いつまでも、あたしはキミの幸せを願ってるよ――また会おうね』
最後に握手した手のあったかさを、あたしは覚えてる。泣いたことも。
みんなが楽しいものかはわからないけれど、これがあたしの、一番大切な思い出。……どんなもんかな?
●
崎谷・奈緒(唇の魔術・f27714)は唇に指を当て、少しだけ首を傾げた。
「思い出の詰まったもの、ね。ふうむ」
思い出の詰まったものを核として現れる異世界、それに値するものはと考えたのだ。そしてすぐに一つの品を取り出した。
「それなら、この電子タバコかな」
何の変哲もない、ただの電子タバコ。その中に込められた思いを読みとって、巨大な工房に小さな異世界が広がっていく。
異世界が徐々に形作る中で、奈緒はこの電子タバコの思い出を語り出す。その手の中で弄ぶ電子タバコを見るペリドットの瞳には、懐かしむような色を乗せていた。
「彼を真似て吸ってた電子タバコ。別れてからは吸わなくなったけど、それでも捨てられない――そういうものじゃない?今となっては、いい思い出だ」
甘酸っぱくほろ苦い恋の思い出。もう使うこともないけれど、取っておきたい。そんなその思いに共感した悪魔達は頷いていたり、苦笑したり。
そのうちに異世界が形を定め、一つの光景を映し出す。そこはUDCアースのとある短大の前だった。行き交う学生達の中に、一人立つ青年がいる。
「あ、いたいた! 付き合ってた彼!」
おそらく奈緒と彼が別れたあの日の再現なのだろう。奈緒はその時の行動をなぞるように、彼の前に進み出る。
他愛ない挨拶を一つ二つ。そして別れの言葉。そこで二人の恋は終わる。一つの恋に終わりを告げた奈緒は、鮮やかで、透き通った美しい笑顔で彼へと手を差し出した。
「ありがとう。キミとの日々は、とっても楽しかった。いつまでも、あたしはキミの幸せを願ってるよ――また会おうね」
それは奈緒の本心。恋で繋がった道は別れてしまったけれど、相手の幸せを願う気持ちは変わらない。異世界を通して体験する悪魔達にもその気持ちは伝わってくる。
幻の彼は奈緒の手を握り返す。その手の暖かさは、あの日、あの時の暖かさと全く一緒で。過去の自分が泣いたことも覚えていた。
綺麗で苦しくて、でも暖かくて。そんな大切な思い出が電子タバコには込められていた。
「みんなが楽しいものかはわからないけれど、これがあたしの、一番大切な思い出。……どんなもんかな?」
奈緒が振り返った先の悪魔達は目を潤ませたり、ため息をついたり、反応は様々だった。けれど皆、どこか穏やかな、それでいて甘酸っぱくほろ苦い、大切な想いを味わった顔をしていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
銭亀・夏輝
◎
悪魔達は真面目だから、きっと俺の思い出にも共感してくれるはずだ。
俺は小さい頃からの宝物のスーパーボールを持って行くぜ。
これは5歳の誕生日を翌日に控えた夜に、地元の例祭の前夜祭に行った時にスーパーボールすくいでゲットしたんだ。
母さんに連れてってもらった祭りは楽しかったけど、夢中になり過ぎて迷子になってしまった。
母さんを探して歩き回っていたら、ゴーストに遭遇して襲い掛かって来た!
俺は慌てて逃げ出したんだけど、その途中でそのスーパーボールを落としてしまったんだ…。
ゴーストに追いかけられる恐怖とお気に入りを失くしたショックで立ち尽くしていると、銀誓館の能力者達が駆けつけて来て、ゴーストをやっつけてくれたんだ!
その様子に見惚れていたら、能力者の一人が、落としたスーパーボールを拾ってくれて、その後母さんと無事に再会できた!
この出来事がきっかけで、俺は「能力者になって、ゴーストから誰かを守る」という目標が出来たんだ!
それで猟兵である今の俺が、ここにいるんだ!
(これで、ちゃんと伝わったかな…。)
●
(悪魔達は真面目だから、きっと俺の思い出にも共感してくれるはずだ)
銭亀・夏輝(尾張熱田の螺巌竜・f37040)は手に握った宝物を核として、異世界を生み出してもらう。広がっていく異世界に悪魔達は期待を抱いて待っていた。
今回、夏輝が思い出として選んだのは小さい頃からの宝物のスーパーボール。込められた思い出を元にして一つの世界が作られていく。
賑わう祭囃子、人の声、食欲をそそる香り、眩しいくらいの明かり、カラフルな屋台達。夏輝の名前の由来である例大祭、その前日の6月4日の宵宮の光景だ。賑わう屋台の並びに人の波。悪魔達は珍しい光景に目を丸くしたりきょろきょろ辺りを見回したりしていた。
そんな彼らを見つめながら、夏輝はスーパーボールの思い出を語り始める。
「これは5歳の誕生日を翌日に控えた夜に、地元の例祭の前夜祭に行った時にスーパーボールすくいでゲットしたんだ」
幼い夏輝が母親に手を引かれ、夏祭りの夜を歩いている。くるくる流れるスーパーボールすくいの店を見てねだる様に、悪魔の目が柔らかな色を帯びた。
幼い夏輝はくるくる水に乗って回る色とりどりのスーパーボールの中から一つ、彼の特別を狙ってすくい上げた。どこか誇らしげにそれを見つめ、手の中で大事に握りしめる。
そのあとも夏輝は母と共に祭りを巡っていく。わたあめや焼きそば、たこ焼きにお好み焼き。お面や硝子細工などの様々な屋台は眩しくて面白かったのだ。
「ただ、母さんに連れてってもらった祭りは楽しかったけど、夢中になり過ぎて迷子になってしまった。小さかった俺は母さんの手を離してしまったんだ」
屋台を見ていくうち、人波を歩くうちに、母の手を握る力が緩んでしまう。気がつけば夏輝は祭りの喧騒の中で一人になっていた。
母親を探して祭りの中を夏輝は歩き人の波に流されて、だんだんと屋台のある場所から外れて暗がりへと進んでいく。
「一人で祭りの中、母さんを探して歩き回っていたらゴースト……この世界で言うオブリビオンに遭遇したんだ。そいつは俺に襲い掛かって来た!」
シルバーレインのゴーストはかつて生命根絶を目的としていた。共存を望む存在もいたが、幼い夏輝を狙ったのはそうしたものではなかったのだ。暗がりから現れたゴーストは手を伸ばしてその命を奪おうとしてくる。
「俺は慌てて逃げ出したんだ。必死で走っていた。けど、その途中で気づいたら、せっかくすくったスーパーボールを落としてしまったんだ……」
暗い中小さな子供が無我夢中で走っていく。わけのわからない存在に追いかけられる恐怖に急かされて、手に握りしめたボールにも気づかずに。見守る悪魔達は手を握りしめていた。
走って走って、もう走れなくなって、気づけばスーパーボールも無くなって、真っ暗な中に一人きり。幼い夏輝はゴーストに追いかけられる恐怖とお気に入りを失くしたショックで立ち尽くしてしまった。目前に迫るゴーストの手に目をつぶってしまう。
大きな音、何か吹き飛ばすような風、人の声。幼い夏輝がぎゅっとつむった目を開くと、怖いゴーストはいなかった。代わりに数人の人が立っていたのだ。
「大丈夫、もう怖くないよ」
「頑張ったね」
彼らは幼い夏輝を頑張ったと、大丈夫だと安心する言葉をかけてくれる。
「彼らは、銀誓館の能力者達。ゴーストと戦っている人達だ。ゴースト出現の予報に駆けつけて来て、襲いかかったゴーストをやっつけてくれたんだ!」
彼らは鮮やかにゴーストを倒していく。大地を駆け、自在に糸を繰り、迫りくる脅威をものともぜずに戦う様に幼い夏輝は見惚れていた。
「その様子に見惚れていたら、あっさり皆はゴーストを倒してくれた。それに能力者の一人が、落としたスーパーボールを拾ってくれていて返してくれて、その後母さんも一緒に探してくれたんだ。俺は母さんと無事に再会できた!」
気づけばゴーストは全て倒されていた。もう脅威はないと告げる能力者の一人が、夏輝へと手を差し出した。
「これ、君のだろう?」
その手に乗っていたのは夏輝の落としたスーパーボール。優しく夏輝の手に乗せられたそれは傷一つなく戻ってきたのだ。
その後も彼らは夏輝の手を引いて祭りの会場に戻り、母親を探してくれた。無事に母親と合流した夏輝に手を振って、能力者達は去っていく。
その背中を見送り、片方に母親の手を、片方にスーパーボールを握りながら幼い夏輝は言った。
「かーさん、おれ、あのにーちゃんやねーちゃんみたいになりたい」
幼い夏輝の目には自分を助けてくれた能力者の姿が焼き付いていた。
「この出来事がきっかけで、俺は『能力者になって、ゴーストから誰かを守る』という目標が出来たんだ!」
異世界の時は同じ能力者である母親の奨めで銀誓館学園に入学し、熱田の龍神様に認められた事で猟兵へと覚醒した。銭亀夏輝は幼い頃に定めた目標通りに、「誰かを守る」存在へとなったのだ。夏輝は異世界に共に来た悪魔達の目の前で、凛と胸を張る。
「それで猟兵である今の俺が、ここにいるんだ!」
憧れの存在へと至り、これからも誰かを守っていく。そんな決意を込めた夏輝だが、少しだけ不安だった。
(これで、ちゃんと伝わったかな……)
けれど俯かず、前を見据える夏輝の耳に届いたの拍手の音。それはすぐに大きくなる。
夏輝の思いを体験した悪魔達は彼の思いを受け取ったのだ。憧れを、彼の決意を。
拍手を贈る悪魔達の前で、夏輝は誇らしげに笑ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
◎
思い出かあ
地味だけど思い入れはある…
櫛羅が師匠がくれた物
手裏剣は師匠との修行で鍛えたねェ
獣道も有るか無いかの初夏の山中
遠目には青く清々しい
が
虫やら伸びた枝やら繁りまくる葉で鬱蒼としている
その中枝葉も揺らさず飛んでくる竹槍、手裏剣、毒針
「うん、これ避けきるの難儀で…
ガキの頃はお手玉動かす程度だった念動を鍛えたっけ
『異能なら自在に使いこなせ』っとね
目視した飛来物が動きを止め反転
別方向の樹上から短刀を向けてくる羅刹の壮年男性を投擲した手裏剣でいなし…(でも斬られ負傷
ん。こゆ時は薬草や手当も習ってねー
荒事ばっかりじゃなく暗号の読み書き、勘定
筆跡や声を変えての変装とか(板葺の小屋で蝋燭の火が揺れる
●
「思い出かあ」
鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)はひらりと手妻の如く、手の中に指輪を一つ取り出した。飾り気はなく、地味な指輪だけれど丁寧に磨かれ手入れされているのがうかがえる。
「これ、地味だけど思い入れはある……師匠がくれた物なんだ」
櫛羅をひらりと動かせば、仕込まれた刃や棘が現れる。上等な作りの暗器に、悪魔達は興味津々だ。
櫛羅を核に異世界が作られる。工房の景色が変わり、緑に囲まれた世界へと変わっていく。
「手裏剣は師匠との修行で鍛えたねェ」
そこは獣道も有るか無いかの初夏の山の中。緑なす草木に覆われて、人の手が入っていないかのような自然あふれる様だった。
遠目には青く清々しい光景だろう。こんな世界を散策すれば癒やされるかも、そんな期待を持った悪魔もいた。
しかしそんなに甘くはない。ここは忍びの修行の場なのだから。整えられていない草木は自然のまま、伸びた枝やら繁った葉やらで薄暗いほど鬱蒼としており、虫もあちらこちらから顔を出すここでは人の方が侵入者なのだ。
トーゴが道なき道を行き、悪魔達がそれに続く。ともすれば挫けそうな程の自然の中、予兆もなくそれは飛んできた。
トーゴが僅かに首を傾げる。数瞬前にトーゴの額があった位置を竹槍が通っていった。ついで枝葉も揺らすことなく手裏剣が、毒針が飛んでくる。悪魔達は目を丸くして、弾いたり避けたりと大騒ぎ。
そんな中トーゴは新たに飛んでくる毒針を見ながら言った。
「うん、これ避けきるの難儀で……ガキの頃はお手玉動かす程度だった念動を鍛えたっけ。『異能なら自在に使いこなせ』っとね」
トーゴの目前まで迫った毒針が動きを止めくるりと反転し、飛んできた方向に返っていく。それから斜め方向の樹上から飛んできた手裏剣を交わし、真上から短剣を持って降ってくる壮年男性――トーゴの師匠、ナバリを手裏剣でいなす。しかしその手裏剣はナバリの残像を滑っただけで別角度から差し出された短剣にするりと腕を切られていく。
呵呵、と笑う記憶の中の師匠にしてやられ、トーゴ自身は苦笑い。慌てふためく悪魔には、大丈夫と手を振った。
「こんなのは日常茶飯事だったよ。ん。こゆ時は薬草や手当も習ってねー」
山の中の景色は変わり、板葺の小屋へと変わる。薬研を使って薬草を摩り下ろし、水と油と混ぜて紙に塗り、ぺたりと傷に貼って布を巻く。同じ部屋では文机に向かい、文字の読み書きや特殊な符牒、様々な計算勘定を教えられ。慣れぬ変装を仕込まれ、別の声色を二人分は出せるように。
時に師匠にからかわれ、時に幼馴染に励まされ。そんな忍びの里の思い出に、悪魔達はすっかり魅入っていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブOKです!
【異郷ニ咲ク雛罌粟】
ぼくの工房にある思い出の品……何があったかなぁ?
(少しゴソゴソ中を物色すると……)
あっ!!これは!!
忘れもしない群竜大陸の冒険の時に着てたビキニアーマーだ!
(すいっと早着替えでお披露目)
ぼくがこれを着て、超重力の渓谷に挑んだり、色んなドラゴンと戦ったり、不思議な謎かけをする植物に会ったり……。
思い出体験の内容ならいっぱいあるよ!
竜帝もすごく強かったし、たくさん相手にしたからね。
不思議な温泉もあったよね!
春の妖精がいっぱい来たっけ。
最後はジャングルを抜けた時の事……長い長い冒険の日が終わると思うと、やっぱり寂しかったな……。
もう一回、着れて良かったね。
●
国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)は少しだけ首を傾げた。思い出の品と言われると、何を出そうかと思うのだ。
「ぼくの工房にある思い出の品……何があったかなぁ?」
少しだけ鈴鹿の超次元工房を探せば、一つの品が目に止まる。
「あっ!!これは!!」
鈴鹿の手の中に現れたそれは、花飾りやチュールの映えるビキニアーマー。銘を異郷ニ咲ク雛罌粟と言う。鈴鹿お気に入りのデザイナーの手によるものだ。ひらりと早着替えで身につけたそれは数々の冒険をくぐり抜け、すっかり身に馴染んでいた。
ひらりと後ろに流れるチュールを翻し、広がる異世界へと鈴鹿は悪魔達を誘った。
「これはね、忘れもしない群竜大陸の冒険の時に着てたビキニアーマーだよ!」
アックス&ウィザーズにある広大な浮遊大陸では様々な冒険をくぐり抜けたものだ。鈴鹿の言葉に合わせて、異郷ニ咲ク雛罌粟に込められた思い出の世界が広がっていく。
「思い出体験の内容ならいっぱいあるよ! まずは、超重力の谷」
何十倍も重力がかかる谷を超えるため、超重力に慣れる訓練をしてから挑んだ。現地では技能を活かして弾む心と一緒にトンネルを掘ったのだ。
「帝竜もすごく強かったし、たくさん相手にしたからね。よく覚えてる」
がらりと光景が変わり、帝竜達が現れる。金属のような帝竜、チェスへと全てを変える帝竜、炎のような帝竜、雷雲に潜む帝竜、多種の属性を操る最強の帝竜。多くの帝竜と相対し、華やかなビキニアーマーを纏って華麗に戦うハイカラな鈴鹿の姿に悪魔達は見とれている。
「不思議な温泉もあったよね! 春の妖精がいっぱい来たっけ」
また別の島へと移り変わる。高熱を放つサウナ珊瑚、それにより温泉が湧き出て、常春のような気候の島。そこには春を告げる妖精が集まっていた。温泉に浸かりながら桜を見て、友達と妖精と一緒に「綺麗」という感情を語ったのもいい思い出だ。
「それに、不思議な謎掛けをする植物」
ひらり、フリルのついたトップ揺れると世界の光景が変わる。謎掛けをする植物に出会い、正しい答えを述べて道を選び、進んでいく。
「最後はジャングルを抜けた時の事」
ジャングルの中の道を辿り、迷いの森を抜けた時。それは長く続いた冒険の終わる時だった。鈴鹿はすっかり身に馴染んだ異郷ニ咲ク雛罌粟のチュールの裾を握りしめて、湧き上がる感情を思い出す。。
「……長い長い冒険の日が終わると思うと、やっぱり寂しかったな……」
寂しさを抱きながらも、素晴らしい財宝も得ていた。不思議な大陸の様々な光景や体験、それが鈴鹿の掛け替えのない財宝だ。それを思い起こさせてくれる冒険の相棒を撫でて、鈴鹿は微笑んだ。
「もう一回、着れて良かったね」
めくるめく冒険の日々、それを体験した悪魔達は拍手を贈った。素晴らしい冒険者への、惜しみない賞賛の拍手を。
大成功
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カネリ・カルティエ
◎〆
大切そうに取り出したのはSDカードに似た記録メディア『とある惑星探査隊の記録』
これは私が惑星探査隊の隊員だった頃の話です。我々は旅の途中に生命反応の無い人工惑星をみつけ歓喜に沸きました。住めなくとも過去の遺産1つ持ち帰れば英雄ですからね
でもそれが間違いだった。そこにはオブリビオンがいたのです。探査隊はあっという間に壊滅しました
当時の私はただの記録係。熱線銃の扱いには自信があったんですけどね、恐怖に体が動かなければ意味がありません
彼はブラックタールが珍しかったのか
時間をかけて私を甚振りました
でも、死は訪れなかった
だから、私はその続きを求めて
皆死んだのに、なんで…(ぶつぶつ
所詮異世界…残念です
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カネリ・カルティエ(ブラックタールの探索者・f10978)がそっと大切そうに取り出したのはSDカードに似た記録メディア。
「これは私が惑星探査隊の隊員だった頃の話です」
楽しげな笑い声が聞こえてくる。SDカードに込められた思い出を核にして、小さな異世界が広がっているのだ。
「旅の途中で、我々は生命反応の無い人工惑星をみつけ歓喜に沸きました。住めなくとも過去の遺産1つ持ち帰れば英雄ですからね」
誰もいない、金属に覆われた通路。そこを行く者達は期待と希望に溢れ、楽しげな笑い声交えながら通路を進む。この人工の星は住めるのか、それとも何か素晴らしい技術が眠っているのか。期待に満ち溢れて誰の顔も明るい。体験する悪魔達も期待に胸を弾ませていた。
無論、その中には若かりしカネリもいた。彼は探索を事細かに記録し、手にした端末へと記録していく。
探査隊は慎重に、けれど足取りは軽く惑星の調査を進めていく。新たな発見に悪魔達も一緒に一喜一憂していた。
「でもそれが間違いだった。この惑星へ入ってはいけなかったのです。ここにはオブリビオンがいたのです」
景色が揺らぐ。明るく楽しげな探査隊の一行の後ろに何かが現れた。それは一瞬で希望に満ちた光景を絶望に塗り替える。
溢れる赤、黒。飛び散る命だった物。瞬き一つしない間に皆死んでいた。
「探査隊はあっという間に壊滅しました」
死の中で、銃を構えた過去のカネリが震えながら一人立っていた。
「当時の私はただの記録係。熱線銃の扱いには自信があったんですけどね、恐怖に体が動かなければ意味がありません」
銃を使うという意思を伝える体が動かなければ撃てるはずもない。溢れる生を溢れる死に変えた存在は、カネリを見て嗤った。
「彼はブラックタールが珍しかったのか、時間をかけて私を甚振りました」
過去のカネリに今のカネリが重なる。オブリビオンの彼はカネリを切り刻んだ。すり潰した。押しつぶした。熱線銃で焼いた。様々な方法を使ってカネリをじっくりと、飽きるまで甚振った。黒が飛び散り、苦痛に満ちた悲鳴が途切れてもなお。あまりの惨状に悪魔達は目をそらし、涙を流す者もいた。
「でも、死は訪れなかった」
どんなに苦痛に埋もれても、仲間と同じ死を望んでもカネリ生きていた。生き延びてしまった。その最中に魔と邂逅し、呪いに魅入り、苦痛に満ちた死を望むようになった。硝子細工のように脆い純粋さを眩しく思うようになった。
「だから、私はその続きを求めて、皆死んだのに、なんで……」
一人生き残った後悔か、死を得た仲間への憧景か。過去のカネリと重なって追体験をするカネリのぶつぶつと小さく呟く暗い情念の声からは判断ができない。
気づけば異世界は終わり、工房へと帰ってきていた。カネリもなんの傷もなく、そこに生きて立っている。
「所詮異世界……残念です」
その後の小さな呟きは誰も聞き取れなかった。しにたかった、と呟いたのかもしれない。どうして、と言ったのかもしれない。悪魔達は何も言えず、凄惨な過去を体験し、それで生きるカネリを心のうちでそっと讃えた。
同時に願う。いつか、彼の望みが叶う日が来ることを。もしくは、別の望みが生まれて叶う日が来ることを。
大成功
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