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銀河帝国攻略戦⑭~墓碑銘もなく

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「連日の作戦お疲れ様です、みなさん」
 ゾシエ・バシュカ(蛇の魔女・f07825)はグリモアベースに集まった猟兵たちにそう声をかけた。猟兵たちの活躍により、大要塞「エンペラーズマインド」を突破した解放軍は、帝国旗艦『インペリウム』を目指して進撃中だ。
「ここまでの戦果は上々、快進撃と言っていいでしょう。でも、まだ先は長いですからね。今こうして集まってもらったのも、帝国軍からの反撃があるからなので」
 グリモアベースの壁に宇宙空間の映像が映し出される。漆黒の闇に散りばめられた無数の星々。さらに映像が切り替わり、編隊を組んだ宇宙艦隊の姿が現れた。
「わたしたちの解放軍艦隊に、『白魔』艦隊と呼ばれる艦隊が強襲を仕掛けてきます。みなさんには、この艦隊を撃退してくださいす。それで、『白魔』艦隊というのは……」
 『白魔』艦隊は、遥か昔『伝説の解放軍』を散々に翻弄し苦しめたと伝えられる、高速艦のみで編成された白騎士ディアブロ直属艦隊の名前だ。しかし、その正体は全滅覚悟の特攻艦隊だ。
 得意とする戦法は、強力な自爆能力を持つ高速輸送艦に強襲用の兵力を満載しての敵艦隊への特攻。敵艦隊内部で輸送艦が自爆し、混乱に乗じて強襲部隊が蹂躙・制圧するというものだ。
「『白魔』艦隊が出撃するのは優勢な敵に対する反抗作戦時だけだったようです。この作戦に参加した部隊は確実に全滅するという……なかなかヒドイやり口だと思いますが。今回も捨て身の特攻を仕掛けてくるのは変わらないです。帝国兵は当然、全員がオブリビオンで、銀河帝国皇帝に絶対の忠誠を誓っているので、命を捨てるのになんの躊躇いもありません」
 このまま艦隊同士の戦いになれば、解放軍に集ったスペースシップに大きな被害がもたらされるだろう。だから猟兵の出番ということだ。
「敵輸送艦内部に転移させますので、解放軍艦隊に到達する前にどうにかコアルームにたどり着いて自爆装置を起動させてください」
 コアルームに直接転移することは、残念ながらできない。猟兵たちは敵艦内の敵(強襲部隊)に対処しながら、コアルームを探し制圧しなければならないのだ。「潜入破壊ミッション」である。
 コアルームの制圧に手間取れば、侵入に気づいた敵が大挙して押し寄せてくるだろう。敵の数は多く、すべてを倒しきるのは現実的とはいえない。ゆえに、重要になるのは戦いの方法だけではなく、コアマシンルームを探し、向かうための方法だ。
「敵艦からの脱出はご心配なく。自爆装置の起動までできれば、わたしがみなさんを転移させますので」
 なお、敵艦内の主な戦力は『タイプ・メデューサ』 と呼ばれる敵だ。これは帝国の忠実な兵士・戦闘マシーンとして実験を繰り返され、自我をも奪われたブラックタールの成れの果てであるという。
「あわれな敵、とも言えますが。してあげられることがあるわけでもありません。オブリビオンですし」
 そう話すゾシエの顔からは感情が読めない。むろん、猟兵たちがどう思おうと自由だが……。
「……こほん。では、準備はいいですか? それでは、どうかご無事で」


kurosato
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 戦場は⑭『白魔』艦隊に対応しています。
 オープニングにも書いた通り、潜入破壊ミッションとなります。プレイングでは敵を倒すプレイングだけでなく、『コアルームに向かうためのアイデア』も重要です。柔軟に対応しようと思うので、頭をひねってみてください。(※最悪、全プレイングの中に一つでもアイデアがあればなんとかなると思うので、戦闘のみのプレイングを受け付けないという意味ではありません)

 戦争もいよいよ折り返し地点にさしかかってきたところでしょうか。盛り上げていきましょう! みなさんのプレイングお待ちしています!
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第1章 集団戦 『タイプ・メデューサ』

POW   :    触手の一撃
単純で重い【液状触手】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    強化増殖
自身が戦闘で瀕死になると【(強化版)タイプ・メデューサ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    石化粘液
【液状の触手】から【石化粘液】を放ち、【石化】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

死之宮・謡
またお前らか!っていうかさ?強化増殖なのに同じ強さって面白過ぎない?何を強化したのさ…。
まぁ良い、詰まり、殺し放題で瀕死にすると獲物も増える…そう言うことだろ?最高だねぇ?
嗚呼、早く白騎士や黒騎士御本人と殺し合ってみたいねぇ…強いんだろ?私も死ぬかもしれない…其れが良い。最高だ!本当に良い流れだ、壊せる/殺せる相手が幾らでもいる、暴れる/狂える場所が幾らでもある。
だから、今、此の一瞬で、心を燃え上がらせるのさ!
「呪詛」、「生命吸収」を掛けて「怪力」から「なぎはらい」だ…数も多いし一度辺りの殺害数を増やしていこうか…。
ソレジャア、君達トハ御別レダ…【三重血統装具】展開!


御倉・ウカノ
アドリブ歓迎

潜入破壊工作なら少し前に壁を壊したところだね。あん時とは状況は違うが目的地までたどり着かなきゃいけないのは一緒だ。精々気張らせてもらおうかね。

『【ダッシュ】技能でもって艦内のコアルームへ急行します。途中敵に遭遇しかけた場合には【残像】及び【フェイント】技能でごまかしつつ可能な限り発覚を遅らせます。敵に所在がばれたら、UC【御倉流巫女神楽『狐薊』】を道を塞ぐ敵に絞って使用し、正面突破を狙います』

「実家の技なんぞ使いたくはなかったけど…まあ我が儘も言ってられないか。…さて、残念だけど雑魚に構ってる暇は無くてね。さっさと押し通らせてもらうよ!」


シキ・ジルモント
◆SPD
俺はコアルームの捜索と自爆装置の起動を目的に動く
戦闘は出来るだけ避け『目立たない』よう進み、交戦が必要な時は突破に必要な最低限だけを倒す

また、交戦中に戦闘から離脱する個体は『追跡』してみる
コアルームか、そうでなくても重要設備の防備に向かうかもしれない
向かった先で地図や内部の構図が分かる資料を目当てに『情報収集』を行い、得られた情報を元にコアルームを探す

敵を倒す場合は瀕死にしてしまい増殖される事を防ぐ為、一気に倒し切るよう心がける
触手の動きをよく見て『見切り』接近、『零距離射撃』の距離でユーベルコードを発動
触手ではなくその根本…あれは頭部か?とにかく、弱点だと思われる場所に攻撃を集中する


月鴉・湊
さてと潜入か。それならおじさん少しは役に立つかな?

UCを使用し姿や足音を消しコアマシンルームに向かおう。

邪魔な敵や少し手こずっている猟兵がいたら敵を身を隠したまま暗殺してしまおう。
相手からしたら何が起きたかわからないから混乱するだろうな。
この混乱の間にコアマシンルームに急ごう。

ついたら自爆装置だっけそれを……あーおじさん機械どこさわったらいいかわかんないや。
説明受けてたときも居眠りしてたしなぁ……ちょいとゾシエ君に連絡をとって教えて貰うか。
迷子になってたらたまたま着いちゃったからやり方教えてと。

おじさんの仕事は、誰にも気づかれない方がいい。結果さえあれば。



 タイプ・メデゥーサ。ブラックタールを素体とした銀河帝国の強化実験の産物である。その姿は人型から逸脱し、黒いクラゲに近いものとなっている。瀕死時に自らの複製体を生み出す強化増殖の能力を持ち、戦場に投入された際には相対する敵にとってまさしく「殺しても死なない」脅威となる。このメデューサに自我はない。ただ帝国への忠誠のみが植えつけられており、たとえ死を命じられたとしても、恐怖することも躊躇することもなくそれを実行するだろう。そんな感情は剥奪されているのだから。
 『白魔』艦隊の高速輸送艦「ネヴァーモア」に配備されている強襲戦力は、そんな強化兵士たちだ。『白魔』艦隊は、集結した解放軍艦隊に向けて進路をとっている。たがいの艦が交錯する距離まで近づけば、高速輸送船はただなかで自爆する。敵艦隊に打撃と混乱を与え、それに乗じて強襲部隊が制圧するのだ。
 翼を広げた大鴉を思わせる艦の内部、ひしめく黒いクラゲたちは、その時を静かに待ちわびていた。それが彼らの存在する理由だった。

 風切り音を残して宙を滑る剣がタイプ・メデューサの頭部を串刺しにし、息の根を止める。
 死之宮・謡(狂い果てし王・情緒不安定の狂戦士・f13193)の浮遊剣、スレイヤーだ。あっけない「手ごたえ」だった。死んだ黒クラゲは血を噴き出すこともなく、どろりと黒い水たまりに溶けた。謡の赤い目には不満げな表情が浮かぶ。つまらないとでも言いたげに。
「転送された先でいきなり敵に出くわすとはツイてないねえ」
 月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)は対照的に柔和な表情で呑気な呟きを漏らした。しっかりしてよ、とこの場にいないグリモア猟兵に対して軽口を叩く。敵になにをさせる間もなく倒せたのは幸いだった。誰にも気づかれないならそのほうがいい。そういう類の仕事だ。
 シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)が方口を開き、改めて作戦の方針を確認する。
「戦闘はできるだけ避けて、目立たないように進もう。仲間を呼ばれたら厄介だという話だったからな」
 交戦は必要最小限に。御倉・ウカノ(酔いどれ剣豪狐・f01251)もうなずく。少し前、彼女はエンペラーズマインド突入戦に参加していた。状況は違えど、経験は生かせるはずだ。ようは夜討ち朝駆け。敵に気取られぬまま懐まで踏み込めば、あとは斬るだけ。
「戦ワナイノカ?」
 謡だけはこの方針に必ずしも賛同はしていなかった。彼女が心底から求めているのはただ戦い、殺し、壊すこと――それがもたらす昂揚――だけだった。だが、まあいい、チャンスはあるだろうさ。なにせここは敵の巣だ。
「それならおじさん少しは役に立つかな?」
 湊はそう言うと、ユーベルコードを発動させた。鴉色の羽織を翻したかと見るや、その姿は忽然と消え失せる。【咎の代償は命で払うべし】と名づけられたその技は、彼の裏家業、すなわち咎人殺しの暗殺技だ。
「こんな感じで」
 一呼吸おいて、再び姿を見せた湊は、昼行燈じみた表情を貼り付けたまま先導役を買って出た。

 艦内の探索が始まった。とにもかくにも、コアマシンルームの所在が判明しないことにはなんともできない。湊に先導された一行は、敵との交戦を極力避け、最低限だけを最短時間で片づけて進んでいく。
 ネヴァーモア艦内は総じて暗く(おそらく、タイプ・メデューサには暗視の能力があるのだろう)、赤い誘導灯のわずかな光が頼りだ。通路は入り組んでいたが、少人数ならば身を隠す場所に事欠かないということでもあり、猟兵たちにとってはありがたかった。
「あれか……? 警備が厳重だが」
 シキの視線の先には、数体のタイプ・メデューサに守られたシャッターがあった。今まで見てきた場所はせいぜい1~2体が散発的に行き交っている程度で、警備らしい警備はされていなかった。目指す解放軍艦隊はまだ遠く、戦闘体勢に入ってはいないのだ。となれば、目の前にあるのはなんらかの重要設備であることが予想された。願わくばコアマシンルームであってほしいのだが。
「わかんないし、やっちまおうか?」
 背にしょった大太刀に手をかけて、ウカノが囁く。悩んでも答えがわからないことはある。思い切って一か八か賭ける決断力も時には必要だ。ここに至るまでフラストレーションがたまっていた謡も、我が意を得たりとばかりに首肯する。シキと湊も賭けに乗ることにした。
「よし、決まりだね」
 言うが早いか、ウカノは鞘を払い、一歩を踏み出していく。通路に響いた破裂音。音を聞いたメデューサが注意を向けるが、見えたのは残像だけ。距離を一瞬でゼロにしたウカノの大太刀が鮮やかな弧を描いて打ち下ろされ、一体を両断する。
「残念だけど雑魚に構ってる暇は無くてね。さっさと押し通らせてもらうよ!」
 謡が呪われた双刃を閃かせて続き、伸ばされた触手をまとめて斬り払う。意味を成さない悲鳴があがり、黒い液体が断面からしたたる。――瀕死にすると獲物が増えるんだっけ? 謡は自分が笑んでいるのを自覚する。
「サア……!」
 しかし、次の瞬間、目の前の黒クラゲの頭に十字の切りこみが入り、絶命する。姿を隠した湊が、「手こずっている」と察して追撃したのだ。謡は舌打ちし、次の獲物に取り掛かる。
 シャッターにとりついたシキはハンドガン・シロガネを押しつけ、全弾を高速連射した。ユーベルコードを纏った弾丸が黒い合金の扉を貫き、破砕する。その向こうに見えたのは……。
「ハズレだ!」
 見えたのは、ミサイル・ファイターと呼ばれる攻撃艇がずらりと並んでいる光景。強襲用の宇宙戦闘機のドックだったのだ。頭上のキャットウォークに、一体のタイプ・メデューサの姿。触手を広げ、したたった粘液を放つ。人狼の耳がピクリと跳ね、反射に従った身体が紙一重で攻撃を避ける。腕輪に取り付けられたフック付きワイヤーを射出してキャットウォークへと迫り、弾倉を交換するとすかさず一発。浅いが命中した。メデューサは奥の通路へと走り去っていく。
 その間、仲間たちはシャッター前にいたメデューサを倒しきっていた。
「逃がしちまったのかい?」
 と、ウカノ。追っていって始末しようか、という仕草をしてみせるが、シキは首を振る。
「弾は当たった。見てくれ」
 示した先には、通路を転々と汚す黒い液体。追跡は難しくない。ははん、と湊が笑う。
「なるほど、あいつが案内してくれるかもって腹だね」

 猟兵たちは黒い血痕を追って走る。ほどなく艦内にけたたましい警報音が鳴り響き、
『侵入者アリ! 侵入者アリ! 総員警戒態勢! 繰リ返ス……』
 先頭を走るウカノが急げ急げと仲間を急かす。通路の角を曲がると、そこにはメデューサがひしめいていた。さらにその背後にはシャッターが。
「来タゾ! 猟兵ダ! コアマシンルームヲ守レ!」
「今度こそアタリみたいだね!」
 快哉を叫び、ウカノはさらに加速する。大太刀「伊吹」を振りかざし、
「臨兵闘者皆陣列在前! 我が劒はこれより禍者を打ち祓うものとなる!」
 その刃が散っていく。紅紫の花の色。ユーベルコード、【御倉流巫女神楽『狐薊』】。
「実家の技なんぞ使いたくはなかったけど……まあ我が儘も言ってられないか」
 空になった手を敵に向け、息をひとつ吹きかけると、狐薊の花弁に変わった剣が春風のごとく一陣の突風と化して薙ぎ払い、シャッターへの道を開く。
 23分の1秒の集中。シキの放った二重の弾丸がシャッター横のコントロールパネルを射貫き、強制的に解放させる。ウカノ、シキ、湊が扉をくぐると、赤く輝くコアマシンが出迎えた。そして、最終防衛線を張るタイプ・メデューサたち。

 一行の殿を務めていた謡は、コアマシンルームの外に居残った。メデューサたちはよろめきながら立ち上がり、動けないほどの負傷を負った個体は強化複製体を生み出し、戦線を再構築しようとしていた。
 大薙刀を抜き放ち、謡は狂喜する。ようやくだ。蠢く触手が一撃を見舞わんと振り下ろされるが、刃を旋回させる剛力がこれを容赦なく断ち切る。
「我ガ身ニ宿リシ魔ヨ吼エヨ」
 自らの血を纏い、謡は死の舞踏を踊る。ステップのひとつが、あるいは目くばせのひとつさえ、すなわち死を宣告する所作だ。血の刃が踊り、悲鳴のような警報音と断末魔がコーラスを奏でる。敵は続々と集まってくる。数には困らない。
 戦闘の昂揚のただなかにあって、黒クラゲの動きはどれも遅く見えた。謡の思考は未来へと翔ぶ。
 嗚呼、早く白騎士や黒騎士御本人と殺し合ってみたいねぇ……強いんだろ?
 私も死ぬかもしれない。其れが良い。最高だ!
 壊せる/殺せる相手が幾らでもいる。暴れる/狂える場所が幾らでもある。
 だから、今、此の一瞬で、心を燃え上がらせるのさ!
 哄笑。数を積み重ねていく。自分の赤い血と敵の流した返り血、黒い液体とが混じり合って。
「ソレジャア、君達トハ御別レダ……【三重血統装具】展開!」
 赤と黒の液体は、真紅の死の川に変わる。血の翼が開かれ、羽が翻ると、謡を取り囲むメデューサたちは燃え立つ炎に捲かれて爆ぜる。
 彼女にとって、それは癒しだった。

 コアマシンルーム内での戦いは長くかからなさそうだった。突撃したウカノが無軌道の「酔剣」で戦列をかき乱し、シキと湊が浮足立った敵を狙い、あるいは隙を埋めて攻勢をつなぐ。と、タイプ・メデューサの最後の一体が、コアマシンに接触した。
「オノレ猟兵、カクナル上ハ、道ヅレニ……!」
 スクリーンが宙に開き、触手が触れる。ウカノの斬り下ろしの一閃が最後のメデューサを絶命させ黒い水たまりに変えるが、警報音が先ほどまでと違うものになり、カウントダウンが始まった。
「な、なにしたの、こいつ?」
「あー、おじさん、機械わかんないや」
 湊が頭をかいて告げる。が、想像はついた。
『自爆シークエンスニ移行シマシタ。本艦ハ300秒後ニ自爆シマス。繰リ返ス。本艦ハ……』
 手間が省けたな、とシキは苦笑いする。
「いや本当だよ。どこいじればいいかわかんなかったし。説明受けたときも居眠りしてたしなぁ……」
 湊がへらへらと言うが、それが真実かどうかはうかがい知ることはできない。
「300秒でしょ、あっち呼んでこないと!」
 ウカノが慌てて、外で戦う謡を呼び戻しに行く。凄惨な光景を目にして驚くことになるが、それはまた別の話である。
 ほどなくしてグリモアのゲートが開き、猟兵たちは輸送艦を後にした。墓碑銘もなく宇宙に散ったこの船と巡り合うことはまたとないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月17日


挿絵イラスト