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7thKING WAR②〜ワルワル・バスジャック

#デビルキングワールド #7thKING_WAR

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#デビルキングワールド
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#7thKING_WAR


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●地獄のはなまる幼稚園
 デビルキングワールドには幼稚園児達を無理やり体内に乗車させる、気性の荒い『野生バス』の群生地が存在している。
 ……なんて?
『野生バス』である。
 バスにそもそも『野生』も『飼育』もあったものではない気がするのだが、デビルキングワールドにおいては『野生バス』がまあ存在するのである。存在するといったら存在するのだ。
 凶暴な『野生バス』は次々と魔界の幼稚園児達を乗車させ、はなまる幼稚園へと送迎するのだ。
 安全運転。法令遵守。
 いやまあ、そこまで行くと、完全自動運転技術の賜物のような気がしないでもない。
「お~っほっほっほ! 『悪魔王遊戯』、即ち『7thKING WAR』の開催が決まったからには、完膚なきまでにデビルキング候補たちをぶっ飛ばしますわよ!」
 そう高飛車な声が響き渡らせているのは西のラスボスこと『アイスエイジクイーン』である。

 その壮麗なる威容は美しさを伴って、デビルキングワールドに勇名を轟かせていた。
 まあ、ニセ高飛車なのであるが。
「わたくしに敵う者などいませんが、万全には万全を期しましょう。おいでなさい、ちびっこアンドちびっこたち! はなまる受勲の申し子達よ!」
 彼女の言葉と共に何処からともなく悪魔のちびっこたちが飛び出してくる。
「ひゃっほー!」
「いえいいえい!」
「なにするのー!」
 元気いっぱいである。飴ちゃんをあげましょうねぇ。歯磨きすることを忘れてはなりませんよ、なんて具合に集まってきた悪魔のちびっこたちに『アイスエイジクイーン』はペロキャンを手渡している。

 うっ! なんか性根が善良なので気温差がすごいことになっている。
 これがもしや噂の『氷河期魔法』! ではない。
「さあ、『ワルの遊園地のヒーローアクター』の卵たち。これより皆さんがするのはー?」
 もう『アイスエイジクイーン』はヒーローショーのアシスタントのおねーさんみたいなノリである。
 いいのかな、そういうので。いいんだよ。

「「「バスジャックー!!!」」」

 元気よく『ワルの遊園地のヒーローアクター』の幼稚園児たちは手を挙げる。
 彼らはこう見えて腕自慢の幼稚園児である。
 なんだ腕自慢の幼稚園児ってという疑問はわかる。とてもわかる。だが、彼らは猟兵にも匹敵する力を持つ悪魔なのだ。
 見た目幼稚園児であっても、まじで油断ならない。クソみたいに強いのである。
「そのとおりですわ。『野生のバス』をジャックし、迫りくる敵を全力で排除するのですわ! さすれば、皆さんには後でアイスエイジ印のアイスクリームをご馳走いたしますわ! 買っても負けてもアイスパーティなのですわ!」
『アイスエイジクイーン』の言葉に幼稚園児たちのシュプレヒコールが響き渡る。
 わっしょい! わっしょい! そんな具合である。

 わりとまじでどういうことなの――。

●7thKING WAR
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。デビルキングワールドにおいて、七代目のデビルキングを決める戦い……即ち、『7thKING WAR』が始まりました」
 ナイアルテは若干困惑気味であった。
 デビルキングワールドは善悪が逆転した世界である。そんな世界においてデビルキングワールドを統治する悪魔の王、その七代目を決めるための戦いが引き起こされ、まっさきに名乗り出たのがオブリビオン・フォーミュラ『魔王ガチデビル』である。

「『魔王ガチデビル』は七代目デビルキングの座を勝ち取ることにより、いにしえの『悪魔契約書』を用いた『他世界への悪魔排出』を目論んでいるのです。みなさんも御存知の通り、デビルキングワールドの悪魔の皆さんは皆強者揃い。彼らが他世界に輸出なんてされてしまったのなら……」
 言うまでもなく他世界であっても『カタストロフ』並の危機が起こってしまう。
 それを防ぐためにも『魔王ガチデビル』をデビルキングにしてはならないのだ。これを阻止するためにはこの戦いを勝ち抜かなければならない。

「ええと、その、それで、ですね……」
 なんというかナイアルテの歯切れが悪い。
 猟兵たちは察していることだろう。デビルキングワールドは他世界と比べて、危険な世界である。そこに更に輪をかけて善悪の逆転というトンデモな世界観が襲ってくるのだ。
 ちょっとやそっとでは驚きはしないと言うかも知れない。
「そ、そうですね。では、気を取り直して。みなさん、『野生バス』を逆バスジャックしている魔界幼稚園の幼稚園児の皆さんを放り出してください」

 一瞬勝機を疑うかのような言葉がナイアルテから飛び出す。
 なんて?
「え、あの、その、『野生バス』から凄腕の幼稚園児の皆さんを放り出して空にしてください」
 大真面目な顔をしているから余計になんで?って顔になるのもわからんでもない。
 けれど、これが事実である。
「これは西のラスボス『アイスエイジクイーン』さんが『悪魔王遊戯』を勝ち抜くための障害なのです。彼女がデビルキングになるために妨害を繰り出しているのです」
 わかっていただけるだろうか。
 自信がない。

 この『7thKING WAR』はデビルキングを空位にするための戦いである。今の所、デビルキング候補の白羽の矢が立ったのは『魔王ガチデビル』と『アイスエイジクイーン』、『スーパーカオスドラゴン』である。
 彼らをぶっ飛ばし、デビルキングを空位にして平和にことを終わらせることが猟兵たちの役目だ。
 その一歩が、『野生バス』から幼稚園児たちを全員放り出すことなのである。
「……お、お気持ちはわかります。ですが、幼稚園児の皆さんは、言うまでもなく皆さん並の力を持っている悪魔の皆さんです。ですから……」
 マジで油断してはならない。
 凄腕幼稚園児悪魔たちがみっちり『野生バス』の中には詰め込まれているのだから――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『7thKING WAR』の戦争シナリオとなります。

 ついに始まってしまいました『悪魔王遊戯』。
 今回は魔界の幼稚園児達を無理やり体内に乗車させる『野生バス』にみっちり詰め込まれた『アイスエイジクイーン』が選り抜きの精鋭たちとの戦いです。
 ちなみに幼稚園児悪魔たちは皆さんくらい強いです。
 彼らを『野生バス』から全て放り出すことができれば、『アイスエイジクイーン』のKING到達を妨害することができるのです。

 幼稚園児ですが、放り出されても無傷です。安心してください。悪魔ですよ。

 プレイングボーナス……狭いバスの中で戦う/幼稚園児をバスから放り出す。

 それでは、マジでどういうことなのっていう状況の中、『7thKING WAR』を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『ワルの遊園地のヒーローアクター』

POW   :    そこまでだ!
【登場テーマ】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【舞台装着】で囲まれた内部に【裁きの氷柱(演出)】を落とし、極大ダメージを与える。
SPD   :    行くぞ!トナカイザー!
自身の身長の2倍の【トナカイザー(役名)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    これでトドメだ!ラムサスソード!
【必殺のラムサスソード(技名)】が命中した対象を切断する。

イラスト:RAW

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

村崎・ゆかり
何でもありねぇ、デビルキングワールド。

今回は、平たく言えば野生バスを制圧してる敵性戦力を制圧排除することと。
言葉遊びが虚しいわ。

仕方ない、行きましょうか。
バスに乗り込んで、お子様達に「精神攻撃」の不動金縛り法を連打する。
アヤメ、羅睺、固まってるお子様達を開いた窓から放り出して。
何人くらいいるのかしらね、これ?

奥へ踏み込んでいけば反撃も来るだろうから、それは「見切り」「受け流し」てと。
やっぱりまだ幼稚園児ね。体力はあっても技術がまだ追いついてないわ。油断しなければ、攻撃をかわすのは難しくない。
手加減出来る状況でもなし。本気で行くから覚悟してね。

よし、逆逆逆バスジャックはこれで完了したかしら?



「なんでもありねぇ、デビルキングワールド」
 それが端的な感想であった。
 何がとは問うまい。今更であるから。
 しかしながら、ご説明せねばならない。ここはデビルキングワールド。善悪の逆転した世界であり、ワルこそがクール。そーくーる。
 そんな世界であるからして、この世界の幼稚園児たちは皆、性根が善良そのものであっても、基本的にワルこそが美徳として積極的にワルをするのである。

 その一つがバスジャックである。
 どういうことなのってなるのも無理なからぬ話である。だが、こういう時に理屈は返って邪魔をするものである。
 感じろ! ワルを!
「とは言え、『野生バス』って一体どういうことなの」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は『野生バス』がばうんばうんオフロードコース宜しく跳ねるようにして疾走している光景を目の当たりにして首をひねる。
 今回は平たく言えば『野生バス』を制圧している敵性戦力(幼稚園児)を制圧排除することである。

 いやまあ、言うても幼稚園児である。
 赤子の手をひねるより楽勝っすよってなるかと思いきやそうではない。なにせ『野生バス』を制圧している悪魔の幼稚園児たちは凄腕の幼稚園児である。
 もうこの時点で何言ってるかわからない。
「言葉遊びが虚しいわ」
 しかし、『野生バス』に飛び込まねばしかたのないこと。
 ゆかりはバスに飛び込む。意を決したともいえるし、もう諦めたともいえるだろう。
「おー! さっそくきたぞ! みんな、かかれーい!」
「ひゅー! かもねぎー!」
「ぶおんぶおん!」
 悪魔の幼稚園児たちは、みな一様にテンション高めである。バスジャックなんてワルをすることができるなんて楽しくてしかたないのである。

 しかし、そんな彼らに対してゆかりがしたことは一つである。
「ノウマクサンマンダ バサラダンセン ダマカラシャダソワタヤ ウンタラタカンマン」
 不動金縛り法(フドウカナシバリホウ)。
 ぶっぱである。
 不動明王の羂索が悪魔幼稚園児たちの体を縛り上げ、即座に拘束する。手にしたラムサスソードをふるってぶった切っても、次々とぶっぱされる不動明王の羂索に幼稚園児たちは拘束されてしまうのだ。

「あー!?」
「おたすけー!」
「アヤメ、羅喉、この子らを窓から放り出して」
 しかしながら、こうもみっちり詰め込まれた『野生バス』の中である。マジでどれだけいるのかわからない上に、悪魔たちは猟兵並みの強さを持っているのだ。
 ちょっとやそっとでは放り出せない。
「どっせいー! 御覚悟ー!」
 そんなゆかりに飛びかかる悪魔幼稚園児。そんな彼らの打ち込みをゆかりは薙刀で受け流す。というか、この狭い車内である。あちこちぶつけてたんこぶを作っている幼稚園児の涙目が心に痛い。

 なんというか、この状況こそが猟兵に対する最大の攻撃な気がしないでもないのだ。
「やっぱりまだ幼稚園児ね。体力はあっても技術はまだ追いついていない……本気で行くから覚悟してね」
 ゆかりは微笑みながら悪魔幼稚園児達を捉えては、バケツリレー宜しく式神たちに手渡していく。
 えっちらおっちらである。
「よし、逆逆逆バスジャックは順調ね!」
 ゆかりは『野生バス』の中を一掃しながら汗を拭う。
 これだけの数である。とても良い運動に成ったはずだ。はりつく汗が清々しい。しかし、よく考えて欲しい。

 ここは『野生バス』の群生地。
 まだまだ周囲には悪魔幼稚園児を満載した『野生バス』が跋扈しているのだ。ゆかりの戦いはこれからなのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

こんな幼い子供たちにこんなスゴイ悪事をされるなんて
悔しくてたまりません!
なので今から私がバスジャックします!

高らかに宣言したことで{ゲイズ・パワー}が集まりました!
これを身に纏い、触れたものを切り裂く魔狼に変身すれば
もはやバスジャックは成功したも同然です!
というわけで…
揺籃の穢れに溺れし邪なる王の魂よ!悍ましき獣の皮を纏いて現世に惨禍を刻め!
【暴悪!邪王魂覆穢狼禍】
(ダーティを赤紫色の矢印のオーラが覆った後、赤紫色の狼が飛び出し、園児に向かって突進する)



 七代目デビルキングを決めるための戦い、即ち悪魔王遊戯は始まったばかりである。
 そんな戦いの最中、『野生バス』の群生地はとんでもないことになっていた。
 猟兵たちは悪魔幼稚園児たちが満載された『野生バス』から幼稚園児達を放り出し、制圧しなければならない。
 これは『アイスエイジクイーン』がデビルキングに至るために必要な妨害工作であり、これを突破することで彼女がデビルキングになることを防ぐことにもつながるのだ。

「いえいいえい! 今日もバスジャックびよりだー!」
「びよりってなーに」
「よいおてんきってことさー!」
 幼稚園児たちは跳ねるようにして疾駆する『野生バス』をジャックしながら笑っている。
 今日も良いワルである。
 悪徳こそが美徳の世界にありて、幼稚園児と言えどワルに染まる。いやさ、純粋であるからこそ、ワルさに拍車がかかるのだ。
 だが、そんな『野生バス』の前に立ちふさがる悪魔がいた。

 そう、その名は――!

「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
 ダーティは視線誘導の悪魔である。
 どこに視線誘導されるのかは、みんなとの約束事で言わないことにしている。何をって聞かれても答えてはならない。みんなとの約束だぞ!
 しかしながら、まあ、しゃーなしである。
 ワルの幼稚園児たちは皆一様に、その名乗りに注目してしまうのである。

「わー! なんかすごい人おる!」
「目が勝手に見ちゃう!」
「あれがワル!」
 そんな視線にダーティは内心、彼らに嫉妬というか、悔しさが湧き上がっていた。
 バスジャック。
 それはワルならば一度は憧れる悪事。運行表に大変な遅れをきたし、さらには大迷惑をかけてしまう行為。
 なんとも素晴らしい悪事であることだろうか。
「こんな幼い子どもたちにスゴイ悪事をされるなんて悔しくてたまりません! なので今から私がバスジャックします!」
 どういう理屈なのだろうか。
 しかしながら、ここはデビルキングワールドである。

 悪徳こそが美徳。
 ならば、推して参りましょう。
 高らかに宣言したことにより、彼女に剥いた視線を赤紫色の矢印へと可視化したオーラが集まって、高まっていく。
 身にまとったパワーとともにダーティの瞳がユーベルコードに輝く。
「これぞ、暴悪!邪王魂覆穢狼禍(ジャオウコンフクワイロウカ)です!!」
 ダーティの叫びとともに彼女の体が赤紫色の毛並みの狼へと変貌する。
 その体毛は触れたもの全てを切り裂く力を持つ。恐るべき戦闘力を発露するダーティは一瞬で『野生バス』のフロントガラスをぶち破って、みっちり詰まった幼稚園児達をぶっ飛ばしていく。

 飛び散る破片。
 幼稚園児たちの悲鳴もとい歓声。
 赤紫色の体毛が迸り、オーラの発露共に幼稚園児達を窓の外にぶっ飛ばしていく。
「揺籃の穢れに溺れし邪なる王の魂よ!悍ましき獣の皮を纏いて現世に惨禍を刻め!」
「かっこいいー!」
「よーらんのけがれにおぼれしよこしまなるおうのたましいー!」
「わー!」
 ダーティは理性を失っている。
 しかしながら、わかる。今、最高にダーティは視線を集めている。幼稚園児たちの憧れの視線を。

 バスジャックというスゴイ悪事をなした幼稚園児達。
 彼らからの熱い視線。これが憧れというもの。ダーティは今、最高にワルである。幼稚園児を窓からぶっ飛ばし、瞬く間に『野生バス』を制圧してみせるのだ。
「この『野生バス』は私が制圧しました! この凶悪極悪最悪の魔王、ダーティ・ゲイズコレクターが!」
 高らかに宣言するダーティは、すっからかんになった『野生バス』の中で高笑いを続け、ぶっとばした幼稚園児たちの憧れの視線を独り占めにするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
あーうん野生のバスね野生のバス
なるほどなーうんうん…野生なら養殖のバスより気性が荒いのは仕方ないもんなー…
うん?
うーん…?
まあいいか!!


《RE》Incarnationを抜刀しEX:I.S.T[BK0001]に騎乗
バスに横付けしてガンガン剣で窓とか叩き割って挑発してやろう
そんで、【神器複製】起動
複製神器を割った窓から突入させて戦闘開始といこうか
私は外から継続して窓を割ったりして幼稚園児達を放り出しやすいようにして…
狭い中での戦闘は複製神器に任せよう
窓際の敵は各複製神器で『斬撃波』を飛ばしてそのまま外に『吹き飛ばし』
簡単に飛びそうに無いやつは複製神器の『串刺し』突撃でズドーンと外に放り出そう



 此処は『野生バス』の群生地である。
 デビルキングワールドにおいて『野生バス』は悪魔幼稚園児達を体内に無理やり乗車させて送迎するバスである。
 運転手はいない。
 夢の自動走行システムである。しかも安心安全な運転。
 言うまでもなく、デビルキングワールドであるがゆえであろう。しかしながら、気性が荒いのが玉に瑕である。
 安心安全な運転と言えど、こうも跳ねたり飛んだりするように走っていては、周囲に迷惑がかかる。

 しかしながら、この荒れくれ具合がまたいいのである。
 何故って、ここは悪徳こそが美徳の世界であるからだ!
「いけいけごーごー!」
「ひゃっはー! すごーい!」
『野生バス』の体内もとい車内にある悪魔幼稚園児たちは大はしゃぎである。逆にバスジャックしてしまうほどの凄腕であるからして、このはしゃぎっぷり。
 ワルである。

 そんな彼らの様子を見て月夜・玲(頂の探究者・f01605)は納得していた。
「あーうん『野生のバス』ね『野生のバス』。なるほどなーうんうん……野生なら養殖のバスより気性が荒いのは仕方ないもんなー」
 一定の理解を示していた。
 わかるのか、玲さん!
 気性が荒いとどうなる? 知らんのか? 気性が荒くなる。
 とまあ、そんな具合に玲は脳内で納得しかけていたが、微妙に引っかかる。いやまあ、それもそのはずであろう。
 多くの他世界を見てきたと言えど、このデビルキングワールドほどぶっとんだ世界もそうあるものではない。

 しかも、悪魔幼稚園児たちは凄腕の幼稚園児である。
 猟兵並みの強さを持った悪魔たちであることは疑いようもない。
「うん? うーん……? まあいいか!!」
 微妙な空気が流れる。納得していいのか悪いのか。しかしながら、玲さんの切り替えは早かった。
 考えても仕方ないことを考える時間ほどもったいないものもない。
 故に、彼女は特殊バイクを用いて疾駆するのだ。颯爽と『野生バス』に並走し、抜き払った模造神器の刀身で持って容赦無く『野生バス』の窓を叩き割るのだ。
「ひゃー!?」
「いきなりごあいさつ!」
「だけどー! トナカイザー!」
 いっけー! とどこかの四輪駆動のおもちゃ宜しく『野生バス』が玲の駆る特殊バイクに体当たりしてくる。

 しかし、その体当たりにも負けないのが玲の生み出したガジェットである。
「神器複製(コード・デュプリケート)! いっけー!」
 争いは同レベルの者同士でしか発生しない。
 猟兵と悪魔幼稚園児たちの実力は伯仲。ならば、申し分なしである。玲のユーベルコードによって生み出された複製の模造神器が割られた窓から突入し、みっちり詰まった悪魔幼稚園児達をぶっ飛ばしていく。
 戦いは数である。
 玲の手繰る模造神器の複製は次々と悪魔幼稚園児たちのスモックの襟に突き刺さって車外に押し出していく。

 中には抵抗する悪魔幼稚園児もいたことだろう。
「ほーらー、はやく出る! おらおらー」
 玲は車外から『野生バス』の車体をガンガン叩いている。悪魔幼稚園児たちはみんな強い。凄腕と呼ばれるだけの存在であることがわかる。
 これでまだ幼稚園児だというのだからたまらんものだ。しかし、玲は巧みに複製の模造神器を手繰って、彼らを外に押し出していく。
「わー! やーらーれーたー!」
「おぼえてろー!」
「おねーさんの、フッションリーダー! テックウェアが似合ってるー!」
 悪口なのか賞賛なのかわからん叫びと共に幼稚園児たちが『野生バス』から放り出されていく。

「悪魔……よくわかんないなー……」
 玲は『野生バス』から全ての幼稚園児達を排除して、特殊バイクから降り立つ。
 なんというか、ハジケすぎてて逆にやりづらいってこともあるよね。わかる。
 しかしながら、玲は未だこの『野生バス』の群生地に大挙として存在する群れを見やり、ため息をつく。
 まだまだ玲さんの戦いは長引きそうである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル
なんというかですね。
私って、割とデビルキングワールド向きのような気がして来たんですよね
この世界に生まれて魔王となる世界線もあったかもしれませんね…

ともあれ。
受けてもらいましょう、万象を零に帰す慈悲知らぬ凍気!
…ではなく、大地と寄り添い眠りに誘う粉雪を
つまり魔法の粉雪を浴びせて眠ってもらおうというわけです


…もふもふですね…もふもふ……
…あーっいけませんいけません、私が眠ってしまいます。きちんと園児を放り出してから…
園児のもふもふを枕に寝ます



 でたらめこそがデビルキングワールドの真骨頂であるというのならば、七代目デビルキングを決定するための『悪魔王遊戯』の一つである『野生バス』群生地は、まあ、そういうことであったことだろう。
 なんだ『野生バス』って。
 バスに野生も飼育もあったものではない気がするのだが、そういう世界ですと言われたのならば納得せざるを得ないのがデビルキングワールドの善いところでも在り、困惑するところもでもあった。

『野生バス』は野生故に気性が荒い。
 次々と幼稚園児たちを体内という名の車内に取り込み、各地幼稚園に送迎するのだ。気性が荒いとは一体。
「なんというかですね」
 チル・スケイル(氷鱗・f27327)は、そんな『野生バス』の群生地を見て、思わず感慨深い言葉を吐き出していた。
「私って割とデビルキングワールド向きのような気がしてきたんですよね」
 気のせいであってほしいという思いも僅かに込められていたのかも知れない。

 されど、チルはやっぱり自分向きであるかもしれないとデビルキングワールドの日常風景を見やる。
『野生バス』は気性の荒さ故にバウンドするように走行している。
 その車内にみっちり詰め込まれた幼稚園児たちはたまったものじゃないはずであるが、彼らははしゃいでいる。
「うひょー! もっとバウンドしてー! 蛇行運転してー!」
「法定速度守ってないで、もっとあつくなろーぜ!」
「いけるいける! まだまだコーナー攻められるよ!」
 そんな具合である。
 いやはや。
「この世界に生まれて魔王となる世界線もあったかもしれませんね……」
 チルははしゃぐ幼稚園児達を見つめながら、また一つ感慨深いため息をを吐き出し、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

「ともあれ。受けてもらいましょう、万象を零に帰す慈悲知らぬ凍気! ……ではなく、大地と寄り添い眠りに誘う粉雪を」
 彼女の瞳が輝くと同時に氷術・癒(アイスヒール)が炸裂する。
 降りしきり粉雪は『野生バス』の窓を開けてはしゃいでいた悪魔幼稚園児たちに触れ、瞬間、彼らを眠りへと誘う。
 うっかり車外にすべり落ちても安心である。
 なにせ、彼らは悪魔である。

 他世界を見てきても、彼らほど頑丈で頑強で屈曲な種族もいないのである。
 車外に滑り落ちた所で無傷なのだ。
 しかし、チルはそういう彼らを地面に落ちる既の所で抱えて助ける。なんという善行。この悪徳こそが美徳たるデビルキングワールドにおいては、まあ、ちょっとそのーってなる行いであるが、チルには関係ない。
「……もふもふですね……もふもふ……」
 あっ。

 これは違うやつである。
 完全に行為自体は善行そのものだけれど、完全に目が悪魔幼稚園児たちのもこもこふわふわな毛皮に行っている!
 チルは『野生バス』から次々と眠りに誘われて振り落とされる悪魔幼稚園児たちを抱えて助け出していく。
「あふー……」
「ふはー……」
 悪魔幼稚園児たちは次々と粉雪に触れて眠りに落ちる。そんな彼らをチルは余さず救出して、もこもこふわふわを堪能する。
 完全に目的を見失っている気がしないでもない。

「……あーっいけませんいけません、私が眠ってしまいます」
 いけないけない。
 チルは慌てて幼稚園児達をそっと地面におろしてから、名残惜しげに『野生バス』の車内へと飛び込む。
「仕事はちゃんとしましょう。さあ、皆さん……ってもう寝ていますね」
 車内の幼稚園児たちは皆おねむである。
 よし、とチルは頷いて彼ら全てを『野生バス』の外に運び出して、もこもこな山にしてしまう。

 ああ、これはとてもいけない誘惑である。
 チルは一つ頷いて、周囲を確認することなく即座にふわふわもこもこな悪魔幼稚園児達を枕にして安眠タイムである。
 この戦いは長く続くもの。
 ならば、睡眠は大切。
 じゃあ、寝るのは? 今しかないでしょ! という理論武装のもと、チルはもふもふな幼稚園児たちを枕に幸せな夢を見るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユニシィ・シンクリドル
デビルキングワールドの事情は複雑難解であり
理解しようとすると処理能力が遅れ行動に支障が出るので、
…つまり、全園児をバスから退去させればよいのですね?

園児の力量を測るため、UCホーンでバイタルチェック
健康児以上の元気さでなによりです

ボディをパワータイプに切り換え
UC発動…強制退去を実行します
この中でなら、移動力等を限界まで下げても支障は無いと判断
攻撃防御を園児に対抗出来る値までアップ
「私を動かせた子はバスジャックキングの栄誉が賜れますよ」
焚き付けて、向かってきた子を掴んでバス外へ放り投げ
効率上昇のため複数人掴む事も躊躇なく

では、私がバスジャックキングで問題ありませんね


…大人げなかったでしょうか?



 他世界から見ればデビルキングワールドほどにでたらめな世界もないであろう。
 悪徳こそが美徳。
 その一点においても理解の及ばぬところであったし、何よりもその悪徳こそが美徳を実現できるだけの力がデビルキングワールドに住まう種族、悪魔たちには可能であった。
 そして、言うに及ばずであるがデビルキングワールドの幼稚園児たちは猟兵並みの強さを持っている。幼稚園児か、本当に? となるほどの強さであるがゆえに、『野生バス』にみっちり詰め込まれた幼稚園児たちは猟兵たちにとって、最大の障害そのものであった。
「デビルキングワールドの事情は複雑何回であり、理解しようとすると処理能力が遅れ行動に支障がでます」
 ユニシィ・シンクリドル(Healing Unisus・f37141)はレプリカントである。

 基幹すステムにある『苦しむ人を癒やしたい』という思考を壊すことで端的に実行する行動原理は、至ってシンプルで物騒であったが、人助けを好む律儀で面倒見の善い性格であった。
 ある意味、このデビルキングワールドの悪魔たちと似たような部分があるのだが、根底は同じでも悪徳こそが美徳というデビルキングワールドの風潮には首を傾げざるを得ない。
 そんなユニシィが選んだのは唯一。
 簡単なことであったのだ。
「……つまり、全園児をバスから退去させればよいのですね?」
 ユニシィは、己の頭部に廃された角型センサーを稼働させる。内部には解析用コンピューターを搭載しており、機械脳と接続することによって『野生バス』の車内に詰め込まれた悪魔幼稚園児たちのバイタルをチェックするのだ。

「これは……」
 ユニシィが得たデータは割ととんでもないものであった。
「健康優良児以上の元気さでなによりです」
 微笑むことさえしなかったが、それは好ましいデータである。しかし、一方で悪い知らせでもある。
 残念ながら、悪魔幼稚園児一人ひとりが猟兵並みの頑強さを持っているのである。彼らを全員『野生バス』から退去させるのは一苦労であると言えたことだろう。
 しかし、ユニシィはレプリカントである。
 データを得たのならば、そこから対策を練ることなど容易。

「ボディをパワータイプに切り替え……破壊を実行します」
「なんか物騒なこと言ってるかっくいー!」
「なにするの? なにされるの?」
「あの角いかしてる!」
 幼稚園児たちがやんややんやと『野生バス』の中から声援? を送っている。その様子にユニシィは瞳をユーベルコードに輝かせながら、一気に『野生バス』へと飛び込む。
 ザナドゥの壊し屋(ザナドゥノコワシヤ)は此処に現れり。
 自身の体を青焔で覆う。
 揺らめく炎がみっちり悪魔幼稚園児達を詰め込んだ車内を照らす。幼稚園児たちは大はしゃぎである。
 大丈夫か?

「私を動かせた子はバスジャックキングの栄誉が賜われますよ」
 その言葉はユニシィにとっては焚きつけるものであった。そして、悪魔幼稚園児達はユニシィが思う以上に単純であったのだ。
 彼らは簡単に煽られ、バスジャックキングの栄誉を得ようとユニシィに突撃していく。
「はっけよーい、のこったー!」
 どっせい!
 そんな悪魔幼稚園児をユニシィはあっさり掴んでバスの車外に放り出す。躊躇いなどなかった。絵面は最悪であるが、ユニシィの行動原理はシンプルである。
 向かってくるなら、掴んで放り投げる。
 彼女のユーベルコードは極限まで高められ、その代わり移動能力を極端に下げている。この狭い車内であれば移動など必要など無い。

 ならばこそ、ユニシィの力は悪魔幼稚園児達であろうとも敵うものではなかったのだ。
「まだまだあ!」
「みんな、一斉にかかろー!」
「数でならまけないんだもー!」
 一斉に襲いかかってくる悪魔幼稚園児達。しかし、ユニシィにとっては好都合と言わざるを得ない。
 彼女の行動原理はシンプル。そんでもって効率化である。
 大事なことなので二度いいました。

「破壊を実行します」
 え、何を壊すの? と誰もが疑問に思った瞬間、バスの窓を盛大にぶち抜くユニシィ。そこから複数人の悪魔幼稚園児達をひっつかみ、一斉に車外に放り投げるのだ。
 マジで躊躇いなど無い。
「あーれー!?」
 幼稚園児達が次々とユニシィに外へとぶん投げられていく。
 とんでもない速さであった。あっという間に一人になった悪魔幼稚園児は目をキラキラさせている。
 これが憧れのワル。バスジャックキング・ユニシィであるとあこがれの瞳を向けるのだ。

「では、私がバスジャックキングで問題ありませんね」
「すごーい! ってあー!!」
 ユニシィは最期の一人をぶん投げて頷く。
 そして、我にかえるのだ。
「……大人げなかったでしょうか?」
 ええと、うんと、えっと……はい。とうなずきそうになるが、これが今回の戦いであるのだから仕方ない。
 ユニシィは車内に一人残りぶっ飛ばされた悪魔幼稚園児達が憧れの視線とともにユニシィを追いかけてくる様を見やり、次なる戦いへと向かうのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
うん、よーしバスジャックすればよいのだな!
ワルいかどうかではない、求められたなら応えるのがこの我だからな!

では早速……UCで我が魔王軍4番目の軍勢、「第4冠」所属のスライムメイドさん集団を呼び出し、
包み込むように抱っこさせそのまま安眠寝具へ変化することで片っ端から寝かしつけ、そのまま寝具ごと下車させるぞ。

下手な斬撃も平気なスライムボディなメイドさんの抱擁!
動き回り疲れるほどに足元より忍び寄る睡魔!
そしてダメ押しと迎撃用に我が竜の首から吹きかけて眠気を誘うやんわりそよ風な催眠ブレス(催眠術+ブレス攻撃+誘惑)も使うぞ!

さあちびっこども!いっぱい遊んだら次はおねむの時間だぞ!

※アドリブ他歓迎です



 ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は百胎堕天竜魔王である。自称って書いてあるけれど、まあ、名乗った者が勝ちである。
 多頭多翼の竜の体躯から堕天使少女の上半身が生えた姿は、まさにラスボスの風格である。だからその名もあながち間違いではないし、誰も否定はしないであろう。
 彼女は己の欲望のままに振る舞う。
 なぜなら魔王であるからして。
 しかし、その欲望が『他者の欲望を満たすこと』であるのは、まあ、なんていうか、こう、デビルキングワールドらしいなぁと思わないでもない。
 そんなワルルーナは『野生バス』の群生地にやってきていた。

『野生バス』とは一体と思わないでもなかったが、細かいことはワルルーナには必要ない。
 彼女に必要なことは『他者の欲望を満たすこと』である。
 グリモア猟兵にお願いされたのであれば、それを叶えることに全力で挑むのが魔王たる彼女の流儀。プロフェッショナルの流儀であるのだ。
「うん、よーしバスジャックすればよいのだな! ワルいかどうかではない、求められたなら応えるのが我だからな!」
 見た目のビジュアルに反して、とても善い子である。
 ワルルーナの瞳がユーベルコードに輝き、呼び出されるのは魔王軍第4冠所属:夢界からの物体X(ザ・シング)。

 安眠寝具に変形するスライムメイドさんたちである。
 ものすごい数である。スライムメイドさん。そういうのもあるのか。
「さあ、いくがよい、メイドさんたちよ!」
 ワルルーナの号令と共にスライムメイドたちが一斉に『野生バス』の車内へと突撃していく。
 すでにみっちり詰まっている車内であるが、悪魔幼稚園児達は大はしゃぎで迫りくるスライムメイドたちを迎え打とうとしている。

「わー! 此処から先は一歩も行かせないぞ! くらえ! ラムサスソード!」
 もこもこな悪魔幼稚園児が剣をスライムメイドに振るう。
 だが、残念である。
 どれだけ強靭な悪魔の肉体を持っていても、その斬撃は物理。スライムメイドは言ってしまえば、粘体である。
 ずるんって刃を通して、とぷってつながる。
「あれー!?」
 悪魔幼稚園児達は困惑する。
 何でもかんでもぶった切るラムサスソードは強力な武器のはずだ。けれど、スライムメイドには物理が通用しないのである。

 そんなスライムメイドたちが一斉に悪魔幼稚園児達を包み込むようにして抱っこして安眠寝具へと変形する。
「あふぁ……あー……なんだかー」
「……善い気持ちー」
「Zzzzz……」
 あ、速い。
 速攻で寝た! 通販番組もびっくりな勢いで悪魔幼稚園児達は眠りに落とされてしまう。ワルルーナの配下たちの手腕は見事なものであった。
 攻撃は全部無効。さらには強制バステの付与である。バステ眠りってやつである。そこにさらにダメ押しとばかりに送迎用にワルルーナの体躯の竜たちが眠気を誘うそよ風な催眠ブレスが吹き付けられたとあっては、抵抗など無意味である。

 むしろ、この状況で睡魔に抗うことのできる幼稚園児がいるのならば教えて欲しい。
 そう、そんな子は一人もいないのである!
「さあ、ちびっこども! いっぱい遊んだら次はおねむの時間だぞ!」
 ワルルーナはまさしく保母さん!
 将来はきっと立派なお母さんになることであろう。スライムメイドたちに抱えられた悪魔幼稚園児達は皆、一様に夢の中。
 彼らを起こさないようにゆっくりとそっと『野生バス』の外に運び出し、寝顔を覗き込む。

「うむ、こうしてみるとますます可愛らしいもんどえあるな! よく遊び、よく食べ、よく眠る!」
 これでまた一つ他者の欲望を叶えたことになる。
 ワルルーナは己の欲望が満たされるままに高笑いをするが、それをスライムメイドたちが口に指を当てて、しーっ、と諌めるのだ。
 おっとこれはいかんいかんとワルルーナは、高笑いをやめておねむな幼稚園児達を安全な場所まで運んでから、再び悪魔王遊戯の戦いに戻る。

 なんて善い子の鏡……!
 世界よ、これが善い子の種族、悪魔にしてラスボスの魔王、百胎堕天竜魔王だ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

さて…かなり慣れたな、この世界には。
陰海月に悪影響がでなければよいが…うむ?心配せずともよい?
(超高速移動している陰海月に乗ってる)

うーむ、今回、窓はUC活用して割る。で、柄の部分で払った相手を結界術で固め、怪力で外へと放り出すか。生き物は意外と重いでな。
別な罪悪感があるが、此度は心を鬼にして対処するからの!あと、陰海月の方が可愛かろうが!(心境は祖父バカ)


この世界に一番適応した陰海月、怪力活かしてのポイポイ!
いつもはできないことができて楽しい。ぷっきゅぷきゅー。
大丈夫、区別ついてるもん!



 善悪の逆転。
 それは言葉にすれば簡単なことであっただろう。けれど、実際に体感するのとでは別物である。
 猟兵達は、その心に通常の善悪感を宿している者が多いだろう。
 だからこそ、悪徳こそが美徳というデビルキングワールドの不文律を目の当たりにした時、戸惑うのが当然である。
「とは言え……かなり慣れたな、この世界には」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は独りごちる。
 そう、これまで多くのデビルキングワールドでの事件に立ち向かってきたのならば、そろそろ慣れてきた頃合いであったのかもしれない。

 けれど、デビルキングワールドはさらにその上を行く。
 いや、斜め上を行っていると言った方が正しいだろうか?
『侵す者』の目の前にひろがるのは『野生バス』の群生地である。なんて? と思わず訪ねたく成るような光景である。
『野生バス』はひとりでに動き、悪魔の幼稚園児達を無理やり乗車させている。
 そこだけ見たらまあ、自動走行システムの発展てすごいなーって思わないでもない。けれど、実際にはそうではない。
 飛んだり跳ねたり。
 まあ、有り体に言えば、アトラクション的な。
 そんな動きを見せる『野生バス』。

「ひゅー! 次は宙返りからのバク転!」
「なんかカッコイイ名前つけよーぜ!」
 悪魔幼幼稚園児たちがみっちり詰まった『野生バス』のアクロバティックな挙動に『侵す者』はこれでも本当に慣れたといえるだろうか。
 まあ、それよりも彼には気がかりがあったのだ。そう、彼らの影から飛び出す『陰海月』である。
 巨大クラゲである彼もまた精神性は幼いものである。
 朱に交われば赤くなるということわざもある通り、彼もまた悪徳こそが美徳というデビルキングワールドの世俗に染まってしまうのではないかという危惧もあろうというものである。
 完全に立ち位置が『祖父』そのものである。
「ぷっきゅ!」

 そんな『侵す者』の杞憂に心配することはないと『陰海月』は勢い用飛び出していく。
「心配せずともよいと言われてもな……うーむ」
 しかしながら不安である。
 かといって『陰海月』を信頼していないわけでもない。彼が先行するよりも速く、『侵す者』の瞳がユーベルコードに輝く。
 四天境地・『狼』(シテンキョウチ・オオカミ)。
 手にした槍の一撃が『野生バス』の窓ガラスをぶち抜く。
 そのままの勢いで一気に車内に飛び込んだ『侵す者』は目を剥くだろう。彼の前のいたのは、己たちと同じ程の力を持った悪魔幼稚園児達である。
 彼らは凄腕の幼稚園児なのである。なんだ凄腕の幼稚園児って。

 疑問を感じている暇すらない。
『侵す者』は即座に槍の柄の部分で迫る悪魔幼稚園児を結界術で払いながら固め、外に放り出す。
 とは言え、生き物とは意外と重いものである。
「別な罪悪感があるが、此度は心を鬼にして対処するからの! あと、『陰海月』の方がかわいかろうが!」
 うーん、この『祖父バカ』っぷりである。
 これはもうおじいちゃんなのでは? と他の三柱も思ったことであるかも知れないが、『陰海月』が可愛いことは周知の事実であるので、否定はしない。

 彼らが結界術で悪魔幼稚園児達を固めては外に放り出す中、『陰海月』もまたお手伝いと言うように触腕でもってぽいぽいと悪魔幼稚園児達を車外に放り投げていく。
「ぷっきゅぷきゅー」
 しかしながら、本当に大丈夫だろうか。
 していいことと悪い事の区別がつかなくなってしまったらどうしよう。この戦いの後にグレてしまったりしたら、本当にどうしようとも思わないでもない。

 されど、心配ご無用というように『陰海月』が鳴くのだ。
「ぷきゅ!」
 分別はすでに付いている。
 例え、善悪が逆転していようとも、このデビルキングワールドだけに通用する事柄であると。
 ゆえに、何も心配することはないのだと。

 その様子に『侵す者』含め、他の三柱も目頭を押さえたかも知れない。
 うちの孫は立派に育っていると。
 孫……孫でいいのかな――!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクセイ・マキシモフ
なるほど、手際はいい。
この幼稚園児、鍛えれば将来有望な特殊部隊員になるだろう。
SAS、GIGN、SEALs……引く手数多と言ったところか。

ならば今のうちに覚えておくことだな。
バスジャックの工程には敵特殊部隊の突入による制圧を躱すことも含まれることを……!

まずは野生バスに取り付く。窓の外で目立たないようにしていればいいだろう。
その後指定UCを発動。窓からフラッシュバンを投げ込むと同時に突入、CQCを仕掛けて悪魔幼稚園児を一人残らず放り出すぞ。
ラムサスソード……閉所で銃は有効ではないと判断し白兵戦を選ぶか。
いいセンスだ……だが!
(白刃取りした上で投げ飛ばす)

これがCQCの真髄だ、よく覚えておけ!



『野生バス』の群生地は、群生地であるから多くの『野生バス』が闊歩しているというか、疾駆している。
 あちこちには満載された凄腕の悪魔幼稚園児達は、言うまでもなく猟兵に比するほどの強さを持っている。ついでに言うとめちゃくちゃに頑強である。
 だからこそ、猟兵達は次々と悪魔幼稚園児達を『野生バス』から放り投げているのだ。
 こうして彼らを車外に放り出す事によって『野生バス』を空っぽにして『アイスエイジクイーン』のデビルキングの座への到達を遅らせている。
「つぎつぎー!」
「あれだー! あの『野生バス』をバスジャックするぞー!」
「ごーごー!」
 凄腕の悪魔幼稚園児達は、車外から放り出されても即座に行動を起こしている。

 なんというか、こう手慣れてない?
 もしかして日常的にバスジャックされてる?
「なるほど、手際はいい。この幼稚園児、鍛えれば将来有望な特殊部隊員になるだろう。SAS、GIGM、SEALs……引く手数多といったところか」
 なんかしっぶい声が聞こえた気がする。
 レクセイ・マキシモフ(歴戦のもふもふ傭兵/「ファーリー・ラット」・f36415)は硝煙の香り染み付いた毛玉……もといモーラットである。
 彼は悪魔幼稚園児たちの『野生バス』をバスジャックする手並みに感服している様子であった。
 だが、まだ足りない。
 そう、アレクセイにとっては、まだ半人前の半熟卵以前。原石も磨かねば輝かぬものである。

 すでに彼は『野生バス』の屋根に取り付いている。
 一流と二流を分かつものはなんであろうか? その答えをアレクセイはもっているが、悪魔幼稚園児達は持っていない。
 それが決定的な差となって彼らとアレクセイを分かつ。
「……3、2、1、ムーヴ!」
 ダイナミック・エントリー。
 それはアレクセイの硝煙染み付いた毛玉の如き体躯を『野生バス』の内部へと突入させるものであった。
 しかし、同時に放たれるフラッシュバン。
 スタングレネードは悪魔幼稚園児たちの視界を白く染める。

「目がー! 目がー!」
「メガ? メガ……? メガ盛り?」
「おなかすいたー」
 悪魔幼稚園児たちは割と平気である。寸劇やる余裕すらある。だが、しかし、アレクセイの神速CQCが炸裂して悪魔幼稚園児たちを車外に放り出すのだ。
「お前たちは確かに優れた資質を持っている……ならば、今のうちに覚えておくことだな」
 アレクセイの渋めの声が車内に響き渡る。
 目を押さえている悪魔幼稚園児たちが首を傾げる。
 視界は未だ白く塗りつぶされているが、その声の渋さに彼らは訝しむのだ。なんか明らかに声の質と車内の気配が違うような?

 まあ、だってモーラットだしね。
 しゃーない。
「バスジャックの工程には敵特殊部隊の突入に寄る制圧を躱すことも含まれることを……!」
 即ち、ワンマンアーミーたるアレクセイの存在である。
 その存在を躱すことができなかった時点で悪魔幼稚園児たちのバスジャックは失敗しているのである。
「なにおー!」
 しかしながら、時に若さとは蛮勇を伴うものである。
 そんなアレクセイの言葉に従って成るものかという気概を持った悪魔幼稚園児がラムサスソードを抜き払って振り回す。

 声の響き方からしてこの辺! とソードを振り回す。さすがは強者たる悪魔である。その判断は素晴らしいものであったし、同時に空間把握から即座にアレクセイの位置を割り出して攻撃を繰り出すセンスも在る。
「閉所では銃は有効ではない……白兵戦を即座に選ぶか。いいセンスだ……だが!」
 アレクセイの小さな手がラムサスソードを白刃取りする。
 ええー!?
 誰もが目を疑っただろう。あ、今はみんな目潰しされているから見えないか!

 しかしながら、ラムサスソードを振るった悪魔幼稚園児だけは理解しただろう。
 振るったソードがうんともすんともいかないことを。
「あれー!?」
「これがCQCの真髄だ、よく覚えておけ!」
 アレクセイはそのまま悪魔幼稚園児を車外に放り出す。
 スパルタ式! アレクセイは悪魔幼稚園児たちの資質を認めつつ、同時に厳しくするのだ。
 それは期待と言ってもいいのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドウジ・ユークレナ
野生のバスでありますな。
そういえば聞いたことがあります。なんでも他の地区から放流された特定外来種のバスによる在来種が追いやられているとか…
その名もブラックバ…(以下自主規制)

バスジャック…またの名を帰ってきたバス…野生バス六兄弟4男でありますな(注:違う)
ストームエンゼルで空からバスへ華麗に飛び移り参上であります。
怪盗ドウジ惨状!!
バシッとポーズを決めつつ、粘り蜘蛛糸鬼絡みで蜘蛛糸を射出して幼稚園児とオブビリオンを『捕縛』であります。
捕縛した園児はして放り出しやがります。
残ったオブビリオンはガンレッグブラスターの『レーザー射撃』で撃ち抜いたりUCから『敵を盾にする』ことで防いだり利用であります



『野生バス』の群生地。
 それがデビルキングワールドには存在するのである。
 一体全体何を言っているのかさっぱりわからねーとは思うのですが、デビルキングワールドにはあるのだ。
 しかして、『野生バス』と言うからには飼育されているバスもあるのだろうか。
 そこんところは誰も知らない。
 知らないってことは存在していないってことなのでは? と思わないでもなかったが、誰も口にしないということはまあ、そういうことなのだろう。

 そんな『野生バス』の群生地を前にドウジ・ユークレナ(風渡り人・f36443)は頷く。
「野生のバスでありますな。そう言えば聞いたことがあります。なんでも他の地区から放流された特定外来種のバスによって在来種が追いやられているとか……」
 彼の言葉はとてもインテリジェンスに溢れていたのだが、内容がちょっと違う気がする。
 それって、バスはバスでも違うバスじゃない?
 そう突っ込む者はこの場にはいなかったし、色々まずいことになる前に自主規制するべきであった。

 ドウジはそれだけではなく、更に踏み込んだことをいい始める。
「バスジャック……またの名を帰ってきたバス……野生バス六兄弟四男でありますな」
 うぉーい!
 それはさらにヤバいところでしょうが! 確実に負ける! 負けてしまう! ギリギリだよ。マジで!
 そんなドウジは空より翼竜に似た形状をした一人乗りの小型飛空艇から飛び出し、『野生バス』へと降り立つ。
 そんでもって天井ぶち破って、悪魔幼稚園児たちが満載されている車内に突入するのである。

「怪盗ドウジ参上!」
 その宣言はちょっと違う気がする。
 だって、盗むものはないし、ついでに言うと。
「どっちかというと強盗?」
「でも盗られるものないよー?」
「飴ちゃんいる?」
 悪魔幼稚園児たちは悪魔と言えど、性根は善良な種族である。いきなり天井ぶち破って参上した怪盗ドウジにもわりとフレンドリーである。
 勝手が違う。
 けれど、ドウジはバシッとポーズを決めた瞬間、粘り蜘蛛糸鬼絡みによって蜘蛛糸を解き放ち、悪魔幼稚園児達を拘束するのである。

「あれー!? 速い! アンブッシュ!」
「なんたることー!」
 悪魔幼稚園児たちは抵抗すらできずにドウジによって一瞬で捉えられ、車外に放り出されるのである。
「オブリビオンはいないでありますか! 悪魔の皆さんだけなのなら!」
 ドウジは車内にあるのが悪魔幼稚園児達だけであることを確認すると次々と糸を放ち、彼らを簀巻きにして、器用に蜘蛛童の特性によってぶっ飛ばしていくのである。

「ふぅー……これで一段落でありますな!」
 良い汗をかいたとドウジは器用に蜘蛛糸を回収しつつ、『野生バス』の車内を見回す。
 しかしながら、運転手もいないで自動走行するなんて、とても未来な雰囲気である。これが『野生バス』だというのだから驚きである。
 だが、ドウジもゆっくりとはしていられないのだ。
 まだまだデビルキングを決めるための悪魔王遊戯は続く。ならばこそ、此処に留まり続けることは得策ではない。
 来たときと同じように翼竜型の飛空艇に飛び乗って、さっそうと次なる戦場へと飛び立つのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
では働こうか

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
起点は目の前の空気
因果の原理を以て戦域の空間を支配
悪魔達の移動先を全てバス外に置き換える

僅かでも身体が動けばバスの外
微動だにせず何かをすることは叶うまい
何ならバスの揺れでも動くのだから

悪魔は頑丈とはいえ、俺が加減をなくしては大怪我では済まなくなってしまう
この辺りが適切だろう

※アドリブ歓迎



 悪魔とはどの世界を見てもトップクラスに強い種族である。
 一般の悪魔であっても猟兵並の強さを持つ。
 それが幼稚園児であっても同様だ。
 ここ『野生バス』の群生地を疾駆するバスの中にぎゅうぎゅうに詰め込まれた悪魔幼稚園児たちは、さらに言えば凄腕の幼稚園児である。
 なんだ凄腕の幼稚園児って。
 誰も疑問には答えてくれない。
 だって答えはないからである。
 ならば考えるだけ時間の無駄であるし、肌で感じたことが全てである。

「では働こうか」
 勤労意欲に目覚めたのかなって思ったけれど、それは別段関係ない。
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)はいつものように戦場の助教を確認する。
 すでに多くの『野生バス』が開放されはいるが、外にぶっ飛ばされた悪魔幼稚園児達は再びわらわらと集まってきては『野生バス』をバスジャックしている。
 懲りないと言うか、これが楽しいのだろう。
 何より悪徳こそが美徳であるデビルキングワールドである。悪いことのほうが善いこととされているのだから、まあ、或る意味で勤勉であったことだろう。

 やれやれとアルトリウスは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「悪魔は頑丈とは言え、俺が加減をなくしては大怪我ではすまなくなってしまう」
 そうつぶやき、絢爛(ケンラン)たるユーベルコードは目の前の空気を起点に周囲の空間を完全支配し、原理でもって任意に変換し、悪魔幼稚園児たちの移動先を全てバスの外に置き換えるのだ。
「あれー!? なんで外に出てるの!?」
「さっきバスジャックしたはずなのにー!」
「じゃあ、逆戻りしよー! ってまた外!?」
 悪魔幼稚園児たちの困惑した声が『野生バス』の群生地に響き渡る。
 アルトリウスは雑にぶっ飛ばすことをしなかった。

 悪魔幼稚園児たちがバスジャックできなければいいのだから、僅かに動けばバスの外に置き換えるユーベルコードで持って外に排出する。
 戻ろうとしても戻ることはない。
「僅かにでも体が動けばバスの外。微動だにせず何かをすることは叶うまい。何ならバスの揺れでも動くのだから」
 アルトリウスは、子供というものが僅かな時間でもじっとしていられない生き物である事を知る。
 さらに言えば『野生バス』は気性が荒い。
 それゆえにアクロバティックな走行をするだろう。

 現に『野生バス』の挙動は、遊園地のアトラクションも斯くやという具合である。
 なので、どうあっても悪魔幼稚園児達はバスの外に出てしまうのだ。
「なんでー?」
「わかんない。けど、飴ちゃんもらってるから食べよーよ」
 そんなこんなで真面目にバスジャックしようとしていた悪魔幼稚園児たちは小休止とでも言うかのように『アイスエイジクイーン』からもらっていた飴ちゃんをなめつつ、そのうちバスジャックできるまで待つつもりのようであった。

「やれやれ……」
 アルトリウスはそんな悪魔幼稚園児たちの姿を見やり頭を振る。
 戦うことに気を使うのは、普通に戦うよりも気力をすり減らすものであったかもしれない。
 相手が特に性根が善良である悪魔であればなおさらであろう。
 オブリビオンであれば、躊躇いなくぶっ飛ばせばいいし消滅させればいい。
 けれど、悪魔幼稚園児達は、そうはいかない。
 彼にとって、この戦いこそが最も大変な戦いであったのかも知れない。

 そう思えば、どんなオブリビオンも彼にとっては変わりない存在であったのかもしれない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…あー、野生のバスね…あれ勝手に増えるから大変なんだよねぇ…
…その癖みんな便利だからって飼ってみて大きくなったら世話しきれないからって捨てちゃうし…
…一時期社会問題になっていたとかなんとか…

与太話は置いといて…中のお子様達を外に叩き出せばよいのだね…
…バス内に入ったら術式装填銃【アヌエヌエ】で窓を割った上で優雅に座席に座ってここ1番のワルをアピール…
…園児がこちらに向ってきたら【ソラ跳ね踊る白兎】を発動…
…外に向けたジャンプ台に引っかけて踏んだり触れた園児を外へと放り出すよ…
怪我とかしないらしいけど外に魔法陣クッションを配置して受け止めようか…
…本物のワルって奴は優しさを忘れちゃいけないよ…



『野生バス』があるのならば、『飼育バス』もあるのは道理であろう。
 いや、そうか? 本当にそうなのか?
 その答えを探すべく我々猟兵はデビルキングワールドへと転移した……という下りがあったかどうかは定かではないけれど、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の音声はプライバシーに配慮して音声を変えてお送りしている。
「……あー、野生のバスね……あれ勝手に増えるから大変なんだよねぇ……」
 よくテレビとかで見る、もにゃもにゃしたメンカルの声。

 彼女の目の前に広がるのは『野生バス』の群生地である。
 今日もバスたちは元気いっぱいに飛んだり跳ねたりとアトラクションめいた挙動で持って疾駆している。
 しかも、そのバスの車内にはみっちりと凄腕の幼稚園児たちが満載されているのだ。
「……その癖みんな便利だからって飼ってみて大きくなったら世話しきれないからって捨てちゃうし……一時期社会問題になっていたよね」
 そうなの!?
 と誰もがメンカルのプライバシーに配慮したもにゃもにゃ音声に驚いたかもしれない。
 何処かで聞いた話だなって思わないでもない。
 世界が変われど、人の実情は変わらないといったことであろうか。業が深い。闇が深い。
 困った時はそう言っておけばいいって、ばあちゃんが言ってた。

 しかしながら、そんな与太話は猟兵にとっては些細なことである。
 メンカルの音声がもにゃもにゃから復帰していつもの美声に変わる。あ、プライバシーに配慮する時間はおしまいのようです。
「……あの『野生バス』の中のお子様たちを外に叩き出せばよいのだよね……」
 メンカルが見据える先に在るのは『野生バス』。その中に満載されているかのようにみっちり詰まっている悪魔幼稚園児達。
 彼らは皆『アイスエイジクイーン』によって呼び出された、凄腕の幼稚園児たちである。
 なんだ凄腕の幼稚園児って誰もが思ったが、答えはない。ないったらない。

「……なら」
 メンカルは『野生バス』の窓ガラスを術式装填銃『アヌエヌエ』の放つ弾丸で持ってぶち破って華麗に座席に着席。
 うーん、ダイナミック。
 しかしながら、メンカルはみっちり詰まった座席などお構いなしに優雅に立ち振る舞う。
 これぞワルのアピール。
「――ッ!!」
 こやつ、できる! そんな雰囲気が悪魔幼稚園児たちがみっちり詰まった車内に奔る。本当か?

「なんだかんだかわからないけど、どっせい!」
「かかれかかれーい!」
「こんなところに一番のワルがいるわけがない! 偽物じゃあー斬れい、斬れい!」
 それ絶対時代劇見たでしょってなる口上を告げながら悪魔幼稚園児たちが一斉にメンカルに襲いかかる。
 しかし、メンカルは慌てなかった。
 すでに彼女の瞳はユーベルコードに輝いているのだ。
「星の理よ、跳ねろ、弾め。汝は跳梁、汝は跋扈。魔女が望むは天地跳ねる月兎」
 その言葉とともに彼女に立ち向かってくる悪魔幼稚園児たちは硬さの変化する薄板状の魔法陣によって、外に向かって大ジャンプさせられてしまう。

 そう、それこそが、ソラ跳ね踊る白兎(バウンシング・ムーンラビット)である。
 彼女のユーベルコードは戦闘力こそないものの、飛翔やクッション、ジャンプ台として使用できる魔法陣なのだ。
 まるでピタゴラスイッチ。
 向かってきた悪魔幼稚園児たちをクッションで跳ね飛ばし、さらに跳ね飛ばされた先にあるジャンプ台によって大きく外に向けて飛翔させられる。
 後はメンカルのぶち破った窓からボッシュートって寸法である。はい、メンカルスイッチ♪

「あああー!」
「あぶなーい! だいじょうぶ?」
「ひえ……ッ!」
 容赦ないメンカルスイッチの威力に慄く悪魔幼稚園児たち。
 しかし、メンカルの指先がノンノンと振れる。どういうこと、と幼稚園児たちが首を傾げると、彼女の指先が外を指す。
 そこにあったのは魔法陣クッション。
 そう、彼女は外に投げ飛ばされた悪魔幼稚園児達を優しく受け止める魔法陣をすでに敷設しているのである。

 全てはメンカルさんの掌の上なのである。
 マジで後光が指している気がする……! そんな中、メンカルはいつもの表情のまま告げるのだ。
「……本物のワルって奴は優しさを忘れちゃいけないよ……」
 メンカルさん……――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
もう、どこからツッコんでいいやら
デタラメな世界だと知ってだけどやっぱりとんでもないね
それと案の定だけどクイーンもいい人っぽいなぁ
本人に言ったら怒りそうだけど

走行するバスに飛び込んだら
UCで敵の自由を奪おうか
バス内に鮨詰めなら回避する事は困難だと思うよ

斬撃は怖いけど目的上バスを傷つけたくは無さそうだし
味方に当てたくないだろうから
上手く位置取りして戦おう

相手の攻撃をかわしつつ
敵が麻痺して動けなくなったら
順次ワイヤーで放り出そう

何なら自分でバスから飛び出せば
麻痺しなくて済むと伝えてみようか
素直に言う事聞いてくれなら手間も省けて早いしね

ところで野生のバスは実害も無さそうだから放っておいていいんだよね?



『野生バス』の群生地に蔓延るはバスジャック。
 それも凄腕の幼稚園児達が為したことである。すでに『野生バス』の車内には悪魔幼稚園児たちがすし詰め状態である。
「ひゃっほーい! いけいけどんどん!」
「ひぃーやーうぃーごー!」
「わっしょいわっしょい!」
 悪魔幼稚園児たちははしゃぎっぱなしである。
 このデビルキングワールドにおいて悪徳こそが美徳であるからこそ、バスジャックは最高にカッコイイことなのだ。

 ワル・イズ・クール。ソークール。

 そんな状況を目の当たりにして佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はもうどこからツッコんでいいかわからなくなっていた。
「デビルキングワールドってでたらめな世界だと知っていたけど、やっぱりとんでもないね」
 晶は冷や汗を一筋流す。
 それもそのはずだ。猟兵は他世界を知っている者たちである。これまでも割と常識外の世界を見てきたつもりであった。
 けれど、このデビルキングワールドは常軌を逸している。
 その非常識な世界を支えているのは、ひとえに悪魔という種族の頑強さであった。幼稚園児であっても猟兵並の強さを持っている。
 凄腕ともなれば、これはもう心を引き締めていかねば返り討ちに合うことは必定である。

「それと案の定だけどクイーンもいい人っぽいなぁ。本人に言ったら怒りそうだけど」
『アイスエイジクイーン』は白羽の矢がたった七代目デビルキング候補の一人である。彼女はニセ高飛車である。なんだニセ高飛車って。
 ていうか、凄腕の幼稚園児ってなんだ。
 色々とツッコミが後から湧き上がってくるのを晶は押さえながら走行するバスへと飛び込む。
 うっ! と晶が呻くのも無理ない。
 なぜなら車内には悪魔幼稚園児達が所狭しとひしめいているからだ。

「かもねぎ!」
「ねぎかも!」
「どっちでもいいよね! みんなかかれーい!」
 悪魔幼稚園児たちは手ぐすね引いて待っていたかのように晶へと飛びかかる。
 だが、晶は慌てなかった。確かに悪魔幼稚園児たちの持っているラムサスソードは何でもぶった切る切れ味を誇る。
 それが猟兵並みの強さでもって襲ってくるのだから、恐ろしいと言えば恐ろしい。けれど、相手は悪魔幼稚園児である。
 そんでもってこういうちゃんばらごっこで気をつけなければならないのは、お友達に当ててしまうことだ。
 あくまで寸止め。
 それが悪魔幼稚園児達の不文律。良い子である。

 そんな彼らの性質を知っているからこそ、晶は彼らの斬撃を躱し、邪神の慈悲(マーシフル・サイレンス)によって宵闇の衣から放たれた万物に停滞を齎す神気が悪魔幼稚園児達の動きを止めるのだ。
「あばばばば! なにこれ! 動きがー!」
「とまってーるー!」
「そう、これが僕のユーベルコードだよ。自分からバスから飛び降りれば麻痺しなくてすむよ。素直にいう事聞いてくれるかな?」
 晶はワイヤーでもって麻痺した悪魔幼稚園児達を外に放り出す。
 しかし、腐っても悪魔である幼稚園児たちが、素直にはーいって言うかと言えば、それはまた違う問題であった。

「なにおー! はいそーですかっていくわけないでしょー!」
「これがワルのはなみちー!」
「いけいけー!」
 そんな具合に彼らはワルに憧れているがゆえに破滅の道に進む。いや、大げさに言ってるだけである。
 彼らを晶は容赦無く車外に放り投げ続ける。
 ワルである。極ワルである。
 晶は手間が省けると思ったんだけどなぁと残念に思いながら、悪魔幼稚園児たちを全て放り出した『野生バス』の車内で独りごちる。

「あ、この『野生バス』は実害無いから放っておいていいんだよね?」
 いいんじゃない?
 天の声が聞こえてきそうであったが、まあ気の所為である。いや、ここは内なる邪神さんの出番であるように思えるのだが、まあ、それはそれとして。
 晶は悪魔幼稚園児たちのいなくなった『野生バス』から飛び出し、未だ多くの『野生バス』をバスジャックしている悪魔幼稚園児たちのたくましさに感嘆するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・フォーネウス
野生バス、泣いてないよな? 息してるか? いつもワルをやる側が逆に利用されるってなかなかに……いや悪魔だからむしろ喜んでそうだな心配して損したぜ!

よっしゃいくぜ! UCを発動して全力でお掃除開始だ!
ヒーローアクターたちをデッキブラシで『貫通攻撃』しながらバスから物理で落としてくぜ。
あとは幻覚でアイスエイジクイーンがよくできましたわ! 偉いですわね! なんて言ってる幻覚見せて自分から降りてもらうようにするか。

ってかあいつらバスの中で飲み食いしてたんじゃねぇだろうな? とりあえず掃除もやっとくわ。
もししてたら許されねぇワルワルだぞ……ちょっとあとでサイン貰っておくわ(ワルワル行為大好き悪魔)



 シン・フォーネウス(悪魔の掃除屋(文字通り)・f31485)は奉仕の悪魔である。いや違う、死の悪魔の執事である。いい間違えた。テヘペロってやつである。
 彼は『野生バス』の群生地に降り立ち、そのカオスめいた様相におろおろしていた。
「『野生バス』、泣いてないよな? 息してるか? いつもワルをやる側が逆に利用されるってなかなかに……」
 まあ、ハードな展開である。
 バスジャックされるとか『野生バス』にとっては悲劇もいいところであろう。
 何事も悪事に巻き込まれることは悲しいことである。
 大変なことであるのだ。
 だからこそ、シンは心配していたのだ。もしかしたら『野性バス』たちは悪魔幼稚園児たちにバスジャックされて泣いているかもしれないと。

 けれど、そんな心配を裏切るように『野生バス』は飛んだり跳ねたりするようにして群生地を疾駆している。
「ひゃっほーい! そこだ、そこのヘアピンカーブを曲がるんだー!」
「いいぞー! かっこいいぞー!」
「あはは! カーチェイスー!」
 そんな具合に悪魔幼稚園児たちと楽しげにワルに興じている。バスジャックも何のその。本当にバスジャックされてるの? ってな具合な様子にシンは一瞬開いた口が塞がらなかった。

「……いや悪魔だからむしろ喜んでるんだな心配して損したぜ!」
 あ、これがデレツンってやつであろうか。
 心配なんかしていないんだからね! 勘違いしないでよね! ってやつである。多分めいびー。
 そんなシンの瞳がユーベルコードに煌めく。
 ワルに興じているというのならば、何も心配することなどない。
「全力で掃除開始だ!」
 マッハ5.0以上で繰り出される魔改造デッキブラシでもってバスの外からシンは車内に突撃する。
 その加速たるや。
 空気の壁をぶち破るソニックブームが『野性バス』の窓ガラスをぶっ飛ばし、さらには内部にすし詰め状態であった悪魔幼稚園児たちの何人かを車外にぶっ飛ばしながら、物理の強さを知らしめるのだ。

「わー!?」
「なになに!? 何が起こったのー!?」
「こわっ! あの執事こわっ!」
 悪魔幼稚園児達は車内に乱入してきたシンの姿に慄く。だって、彼らは車内でお菓子とかたらふく食べていたのだ。
 シンの突撃によってソニックブームが発生すれば、お菓子盛り合わせがひっくり返って大変なことになっている。
 それをシンが見咎めないわけがなかった。
 なにせ、シンは掃除の悪魔である。いや違う、えっと死の悪魔である。そう、死の悪魔なのだ。

 そんな彼のユーベルコード煌めく眼光は鋭い。
 まさかと思っていたのだ。まさか幼稚園児たちが車内にお菓子盛りをしているのではと。その予感が的中したことによりシンの心が燃えるのだ。
「お前ら、バスの中で飲み食いするたあ、許されねえワルワルだぞ!」
 くわっ! すごい風格である。
 これは絶対に許さないオーラである。そんなシンのオーラに悪魔幼稚園児達は幻覚を見る。
 それは雇い主である『アイスエイジクイーン』の幻覚である。
 大丈夫か?
 なにかおハーブ的なものが入ってるお菓子ではないよね? そんなシンのオーラが見せる幻覚の波動は、車内に広がり、よくやりましたわ! と花丸をくれる幻覚となって幼稚園児達を襲い、自ら車内に降りていくのだ。

「……ちょっと後でサイン貰っておかねーとな」
 え。
 どういうことなの。
 誰もがそう思った。普通なら、そういうのって逆じゃない? けれど、シンはワルワル行為大好き悪魔である。
 あーそうかー。
 この人も猟兵以前に悪魔でしたわ。
 そりゃあ、バスの車内で飲食しまくりでしたら、相当なワルですわ。
 サインも欲しく成るのが人情ってものかもしれない。シンは魔改造デッキブラシでもって『野生バス』の車内をすっかりきれいにした後、はなまる受勲の悪魔幼稚園児達はサインを願い、がっしりとお互いの健闘を称え合うのであった。

 それでいいのかな――!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
『野生バス』……止めましょう
こんな事に演算領域を割くのはこの世界では際限がありません…

ロシナンテⅡに跨ってバスと並走
飛び移って内部に侵入して、と

さて、お決まりの台詞を敢えて言いましょう
…子供受けも良いでしょうし

バスジャックなど辞めて大人しく帰路につきなさい
親御さんも泣いて…
…いえ、喜んでおりますね、きっと

抵抗する以上実力行使です
友達に跨っての突撃に対しバスの床に格納銃器で薬剤ぶちまけ
摩擦ゼロのコースを仕掛け、突撃の勢いの儘出入口から外へダイブして頂きましょう (スッと脇に避けつつ

バスのスライダーは本日限定
お一人ずつと言わず幾人でもどうぞ

逃げるならワイヤーアンカーを射出
脚を絡め取り強制的に退出



「『野生バス』……やめましょう」
 何をって言われたのならば、答えねばならない。
 それはデビルキングワールドにおける『野生バス』の群生地に降り立ったトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)の電脳に湧き上がった一抹の疑問であった。
 そう、『野生バス』。
 その言葉だけを捉えるのならば、まあ、ワイルドなバスである。いや、それも違うなって気がしないでもない。
 そもそもバスって飼育とか野生とかそんなのあったっけ? え、生き物でしたっけ? となるのが通常の世界を生きる者たちの概念であった。概念がでてくるような話かと問われれば、脇道にそれるので今回は不問にする。

 そう、デビルキングワールドには『野生バス』が存在している。
 悪魔幼稚園児たちを体内という名の車内に無理やり乗車させ、幼稚園へと送迎してくれるのである。
 此処だけ見たらというか、完全に善いことじゃない!? ってなるのもそのとおりである。別に問題なんて無い。
 けれど、これが七代目デビルキングを決めるための悪魔王遊戯の一環であるというのならば話は別である。
 とまあ、そんなこんなことをトリテレイアの電脳は演算しようとして止めたのである。
 考えるだけ無駄って話。
 だが、トリテレイアは真面目である。同時にこのようなことにまで演算の領域をさくのは得策ではないとも思っていた。
 際限ないから。

 機械馬と共にトリテレイアは大地を疾駆し、『野生バス』へと並走する。
「わー! 機械の馬!」
「でっか! かっこいー!」
「でも騎士って正義ってことだよね、やっぱダッセーわ!」
 そんなことをやんややんやと『野生バス』の車内から言い立てる悪魔幼稚園児達。さすがは凄腕の幼稚園児である。凄腕の幼稚園児ってなんだとはトリテレイアは考えなかった。やっぱり際限ないからである。

「バスジャックなどやめておとなしく帰路につきなさい。親御さんも泣いて……」
 とそんなお決まりの文句をトリテレイアは並走しながら告げる。
 子供受けもいいだろうと思ったのだ。
 こういうセリフはある意味テンプレートである。だからこそ、心にすっと入り込むのだ。
 しかしながら、此処はデビルキングワールドである。
 悪徳こそが美徳の世界であるからこそ、トリテレイアの口上は逆に作用することを知る。

「……いえ、喜んでおりますね、きっと」
「そういうことー!」
「バスジャックさいこー!!」
「ひゅー!」
 まあ、そんな具合である。バスジャックイコール善行なのである。そんな悪徳こそが美徳の世界にありてトリテレイアはいちいち演算を逆算しないといけないことに頭を悩ませる。
 いや、この懊悩さえも切り捨てるべきであったことだろう。
「てわけで行くぞー、いっけートナカイザー!」
 ばびゅーんと『トナカイザー』と名付けた『野生バス』が機械馬にまたがるトリテレイアに襲いかかるようにして体当たりする。
 だが、その側面にトリテレイアは対襲撃者行動抑制用薬剤(ノン・フレクション)の封入された弾丸を打ち込む。
 
 それは特殊な薬品が噴射する弾丸であり、その弾丸が打ち込まれた車内は一気に摩擦抵抗をゼロにまで落とされる。
 摩擦が失われるということは。
「つるつるー!?」
 がしゃーん! と盛大な音を立てて悪魔幼稚園児たちが『野生バス』の車内から放り出される。
「これぞ本日限定『バスのスライダー』でございます。お一人ずつと言わず幾人でもどうぞ」
 トリテレイアの言葉とともに次々と車内から飛び出す悪魔幼稚園児たち。飛び出してるっていうか、滑りながら落ちてるというべきか。
 そんな彼らの絶叫が響く。
 死すら感じさせる勢いで飛び出す悪魔幼稚園児たち。

 けれど、彼らは笑っている。 
 それもそのはずである。彼らは悪魔。頑強であり、同時に猟兵並の強さを誇る種族なのだ。彼らはケタケタ笑いながらバスのスライダーを楽しむように車外に飛び出していく。
「とは言え、これで善いのでしょうか……」
 トリテレイアは不安を覚える。
 どれだけ悪魔が頑強であると言っても限度があるのでは? と。まあ、大丈夫。だって、ほら。
「きゃほー!」
「いえーい!」
 悪魔幼稚園児たちの楽しげな顔を見れば、それも杞憂である。

 そんな戦場とも言い難い遊戯の場と化した『野生バス』の群生地を後にし、トリテレイアはいまいち納得しかねる思いのまま後にするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
オーッホッホッホ! この程度は日常茶飯事です。
ナイアルテさんはまだ慣れていないようですわね!

野生のバス内に転移。

ちょっと忙しいのでいきなり決めますわよ!

と『黄金の暴嵐』を発動。敵SPDUCで呼び出されたトナカイザー(役名)さんもろともアクターたちを神雷と暴風で打ちのめします。
(識別可能なのでアルテミシアは無風状態!)
状態異常で行動不能になり、継続ダメージでぴくぴくしているアクターたちを雑に野生のバスから放り出しましょう。

お疲れ様でした!
アイスエイジクイーンから労災を受け取るのを忘れずに!



 デビルキングワールドにワルの笑いが木霊する。
 街から街に往く人のなんちゃらかんちゃらテテテーン! そんな雑な始まりでいいのかと問われたのならば、いいんですと応えるしかない。
 だって此処はデビルキングワールドである。
 他世界を知る猟兵達にとっても、この世界は割とトンデモナイ世界なのであり、この世界に住まう悪魔たちはさらにトンデモナイ種族であるのだから。

「オーッホッホッホ! この程度は日常茶飯事です」
 自信満々なのはアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)である。
 デビルキングワールド制覇を目指す女帝、さすが!
 この程度のことなんてなんともないのだぜ! 例え、ここが『野生バス』の群生地であったとしても、この程度で世界征服という極上のワルをなそうとしている彼女にとっては、大事の前の小事。障子のことではない。

 ゆえに彼女はソッコーで『野生バス』の中へと転移する。
 しかし、そこは悪魔幼稚園児たちがすし詰め状態の車内である。ぎゅうぎゅう詰めである。
 せっま! めっちゃせまい!
「いきなり出たー!?」
「羽多いっ! ていうか金ピカすぎる!」
「うおっまぶし!」
 そんな具合で悪魔幼稚園児たちがワーキャー言い始める。けたたましいことこの上ない。
 騒々しい車内でありながらアルテミシアは泰然自若たる振る舞いを見せる。
 此度の七代目デビルキングを決めるための戦い、即ち悪魔王遊戯はとてもタイトなスケジュールである。

 それもそのはずである。
 なにせ、デビルキング候補はどれもがクソみたいに強いのである。一般の悪魔ですら猟兵並。
 もうやけくそである。
「ちょっと忙しいのでいきなり決めますわよ!」
「それって出落ちっていうんでしょ」
「しってるしってるー!」
「でーおーち! でーおーち!」
 やんややんや。
 そんな悪魔幼稚園児たちの声をアルテミシアは一切合切無視する。だってワルですので。

 彼女の瞳がユーベルコードに煌き、黄金の暴嵐(ルドラ)が吹き荒れる。
 それは掌から発生した、黄金の神雷と滅びの暴風。
 そんなの車内でブッパする普通?
「逆らう存在全てに終焉を」
 あ、これは何の後ろめたさもない時のセリフである。アルテミシアは『野生バス』の中がものすごい嵐になっていても涼しい顔をしている。
 何故ならば、彼女のユーベルコードは敵味方を識別するからである。
 即ち、敵とは。

 そう、悪魔幼稚園児達である!
 子供相手でも容赦せん! これがアルテミシアである。黄金の女帝をなめんなよ!ってやつである。
「お疲れさまでした!」
 速攻の勝利宣言。
 彼女のユーベルコードで『野生バス』の窓ガラスは全部ぶち抜かれ、車内に満載していた悪魔幼稚園児達は須らくぶっ飛ばされている。
「おーぼーえてーろーよー!」
「ばいばいー!」
 えぇー。
 こんな状況でも悪魔幼稚園児達は元気いっぱいである。怪我の恐れはない。だって彼らは悪魔である。

 頑強こそが彼らの特徴。
 この程度では怪我一つしないであろう。アルテミシアはそこまで理解しているからこそ、彼らを容赦無くぶっ飛ばしたのだ。
「『アイスエイジクイーン』から労災を受け取るのを忘れずに!」
 買っても負けてもアイスパーティであるから、そこんところは心配ないであろう。何処まで行ってもやっぱり悪魔なのである。

 そんな彼らを見送るように暴風に中、アルテミシアは再び高笑いする。それは勝利っていうか、やっておかないといけないお約束のようなものであった。
「オーッホッホッホ――!!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

ひゃっほおお~~!!
ご褒美はボクたちのものだ~~!
ゴーゴー!!
あ違うみんなを追い出すんだったね

みんな~!お菓子が欲しいか~~!?
でも~大人しく言うことに従ってお菓子をもらうってそれってワルかな~?
言いつけに従ってごほーびをもらうなんてとってもイイ子ちゃんじゃないかな~!?

本当のワルは遠足の移動途中でも平気でお菓子をたべちゃうものさ!
ポンと[ポケット]を叩いてバスから溢れるほどお菓子を湧き出させて追い出していこう
そうお菓子を食べるのに夢中で蹴り出されても気付かないし戻る気にもならないくらいね!
フフーンこれでご褒美アイスをみんなボクのもの~~!
これが本当のワルってやつさ!



 ご褒美。
 それは言うまでもなく働きに対する報酬であろう。
 この『野生バス』の群生地に集められたはなまる受勲の凄腕幼稚園児たちが求めるのはなにか。
 そう、お菓子である。
 ペロキャンも美味しいけれど、アイスクリームも欲しい。ビスケットもいいし、グミもいいよね。
 美味しいお菓子があれば、それで最高。
 それが悪魔幼稚園児達を突き動かす原動力でもあったのだ。

 そんな彼らに交じるのはロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)であった。
「ひゃっほおお~~!! ご褒美はボクたちのものだ~~! ゴーゴー!!」
 違和感ない。
 マジで違和感ない。
『野生バス』の中に転移したロニはすし詰め状態の車内にありながら、それとなく馴染んでいた。
 もう普通に悪魔って言われても通じる程度にはロニは悪魔幼稚園児達と意気投合しちえたのだ。

「ゴーゴー!」
「いえいいえい! お菓子お菓子ー!」
「美味しいお菓子がたべたーい!」
 まあ、そんな具合である。しかしながら、ロニさんや。
 今回の目的はそういうんじゃないんすよ。今回は『野生バス』の車内から悪魔幼稚園児達を一人残らずぶっ飛ばすことにあるんです。
 ロニはしばらくして気がつく。
 そうだった、と。

 ならば、彼はなんとするだろうか。
「みんな~! お菓子がほしいか~~~!?」
「ほしー!」
「でも~おとなしく言うことに従ってお菓子を貰うってそれってワルかな~?」
 確かに。
 それは確かにそうであると悪魔幼稚園児達は性根が善良であるがゆえに気がついてしまう。頼まれたら素直に聞いてしまう善い子の種族、それが悪魔。
 ゆえに、彼らは今まで気が付かなかったのだ。

 言う事聞いてお菓子を貰う。
 それってワルじゃないって。
「いい付けに従ってごほーびもらうなんて、とってもイイ子ちゃんじゃないかな~!?」
 ロニの言葉は決定的であった。
 あまりにも正鵠を射るかのような言葉であった。その時、全悪魔幼稚園児達に電流奔る。
 気づきを得た彼らを焚きつけることなど簡単であった。
「本当のワルは遠足の移動途中でも平気でお菓子を食べちゃうものさ!」
 そういってロニはポケットを叩いてバスから溢れるほどのお菓子を湧き出させる。それは当たり前のように窓ガラスをぶち抜いて、車外に溢れ出すのだ。
 
「おかしだ~!」
「たくさん! 独り占め! 独り占めこそワル!」
「僕たちはワルだー!」
 そう言って悪魔幼稚園児達は一斉に車外に飛び出していく。ついでにロニは悪魔幼稚園児達を車外に蹴り飛ばしていく。
 極悪。
 なんたることだろうか! 背後から蹴り飛ばす姿はまさにワル。
 ワルな笑顔を浮かべたロニは車内から蹴り飛ばした悪魔幼稚園児達を見送りながら、ほくそえむ。

「フフーン、これでご褒美アイスはみんなボクのもの~~!」 
 ワルの中のワル。
 これが神性でいいのか。いや、いいのかもしれないけれど、悪ノリだよね? 悪ノリだよね? 大事なことなので二度確認しました。
 けれど、ロニは笑ってばかりでそこらへんを曖昧なままにしている。信じていいんですよね!?

「これが本当のワルってやつさ!」
 敢えて答えないことで醸し出されるワル!
 そう、これが本当のワルである! 自分の手を汚さず、棚からぼた餅を自らの手を伸ばして手に入れる。
 落ちてくるぼたもちを待つことなんてしない。
 何度でも言う。
 彼は神性。本当はこういうことってよくないんじゃないか? って思わないでもないが、郷に入りては郷に従えって言葉もある通り、悪徳こそが美徳の世界であれば、神性だってワルになるのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月04日


挿絵イラスト