7thKING WAR⑭〜メゾン・ド・タピオカ
「おいおいおいおい、戦争だか何だか知らんが、食い物を粗末にするンじゃねえよ」
開口一番の溜息と、珍しく呆れ顔の明・金時(アカシヤ・f36638)である。念の為に言っておくけれど、これちゃんと『7thKING WAR』の参戦依頼だからね。
金時がそんな顔をしているのには、ちゃんと理由がある。
今回、猟兵たちに向かって貰うことになるのはダンジョンと化している4階建てのマンションだ。なお住民は全員、家賃を滞納している。
オブリビオンにより、家賃滞納はワルくてカッコいいことだ、と唆されているからだ。そんな真の意味で悪いオブリビオンに、優秀な立ち退き屋として立ち向かう猟兵の勇姿は、住民達に英雄譚として語り継がれているものの、家賃は変わらず滞納している。
流石にそろそろツケを払っていただかねばならないということで、今回の大戦で王座に返り咲き、『他世界への悪魔輸出』を目論むガチデビルの支援者を引き抜くついでに本格的な取り立てに乗り出そう、という話なのだが。
厄介なことに住民たちは屋上に逃げ込んだ上、直通のエレベーターを残らず破壊してしまった。
彼らの元に辿り着くためには、カオスな迷宮と化したマンション内部を、そこに張り巡らされたトラップを掻い潜りつつ、踏破するしかないのである!
「で、タピオカ・ガトリングの罠だ」
――なんて?
「タピオカ・ガトリングだよ。タピオカ入りの茶やらジュースやらを弾丸にして自動射出してくるんだよ。言ったろ? 食い物を粗末にするなって」
そりゃそうだ。
想像してみてほしい。お茶やジュースに塗れたタピオカが、一般人であれば回避困難な速度で大量に飛来するのである。しかも飲み物ごと。ぐっちょぐちょのべっちょべちょになることは想像に難くない。オマケにタピオカや飲み物も台無しだ。終わりだ。
「ま、住人も御多分に漏れず『良い子』ではあるからよ。根っからの悪意でやってるワケじゃねえ」
悪気がなかったで全部丸く収まるなら學徒兵は御役御免だがな、という呟きは、一旦聞かなかったことにして。
「ちゃんとダンジョン攻略して、タピオカも突破して、屋上まで辿り着ければこっちの話に耳も貸すし、ちゃんと家賃も払うらしいからよ。我慢強く相手してやってくれや」
基本、楽しげなことには乗っかる男、明・金時。
その彼が、ここまで呆れ返っているのである。一筋縄ではいかない攻防戦となるだろう。色んな意味で!
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
大丈夫。7thKING WARのシナリオだよ。
戦争シナリオのため、今回は1章構成です。
第1章:冒険『タピオカ・ガトリング包囲網』
罠や迷路を踏破する為の工夫を行うことでプレイングボーナスがつきます。
タピオカによる悲劇(?)を全力で回避しましょう!
断章なし、公開された時点で受付開始です。
それでは、よろしくお願いいたします!
第1章 冒険
『タピオカ・ガトリング包囲網』
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POW : 銃弾を飲み喰らったり、防ぎながら突破する。
SPD : 超スピードで突破する。
WIZ : ハッキングを仕掛けて突破する。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
食べ物を粗末にするなんて悪事の中ではトップレベル!
このマンションの悪魔さんたちはかなりのワルですね!
しかも私を見てくれる人は誰もいない!悲しい!
({コンパクト・ミラー}で自身を眺めながら{ゲイズ・パワー}を貯める)
タピオカの制圧射撃に対抗するにはこちらも同様の火力を
用意する必要があるでしょう!
【積悪!穢澱虚兵蹂躙陣】で召喚した兵隊さんの一斉射撃で
タピオカ弾を撃ち落として進撃しましょう!
そして家賃請求とともに私をじっくり眺めさせてやります!
ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
家賃だけじゃない出張料金、延長料金もいただいちゃえ。
【エスケープ】自慢の視力に狗盗の微風で回避率底上げして、タピオカ・ガトリングを突破するよ。床や壁がぬれても足場代わりに、宙に錬成したダガー蹴って空中でも動ける様に移動するね。
どんどん攻撃が激しくなるのは大歓迎!だってボクのユーベルコードは、避ければ避ける程、盗みの力が増すものだから。
微風が巡り、盗ってきたDは収納の魔術カードの中へ詰め込んで。ゴールが見えたら引き返しちゃお。延長戦に突入だー!タイムリミット(ユーベルコードの効果時間)までの延長料金もいただいちゃえ。Dがないなら他のも盗るよ。
ワルいね、だってボクはあくまで盗賊だから
アルゼブ・アズモリィ
タピオカがなんだ!
華麗に突破して家賃をふんだくってやるぜ!
『威勢のいいことだが、策があっての言葉だろうな』
もちろん!
【無辜の粘魔】よ、出てこい!
オレの前を行け!目指すは屋上だ!
《ダッシュ》でスライムの後をついていく。
お、《野生の勘》がざわつく!この先は罠だな…
よし、一気になだれ込め!
お前たちの仲間、タピオカを腹一杯飲み込んでやれ!
『別に仲間ではないと思うが』
ふう、なんとか突破できたな!
『タピオカを受けた魔物たちが豆大福のようになっているぞ』
へーきへーき!
さあ住人ども!真っ二つにされるか家賃を払うか、好きな方を選べ!
…と《悪のカリスマ》を匂わせ《威圧》だ!
*『』は喋る武器の声
*アドリブ、共闘OK
●視線の悪魔式タピオカ突破法
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
どんなワルでも思わず振り向いてしまいかねない、極悪なまでの豊かさを誇る胸を惜しげもなく張り、ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は名乗りを上げる。が、住民の皆さんは屋上に大集合中。誰も見ていなかった。無念。
「食べ物を粗末にするなんて悪事の中ではトップレベル! このマンションの悪魔さんたちはかなりのワルですね! しかも……」
今、ダーティはめげることなくよく通る声で語っている。先程の、自身の豊満な四肢を見せつけるような所作もだが、これは最早、彼女の視線誘導の悪魔としてのサガのようなものなのだ。
しかし、繰り返すがここには他に誰もいない。受ける視線がないのである。
「私を見てくれる人は誰もいない! 悲しい!」
注目を浴びることこそ彼女のアイデンティティーなのである。視線を力に変換する能力が花開くほどなのだ。無反応が一番傷つく。
仕方がないので、手持ちのコンパクトミラーで鏡の向こうの自身に熱視線を送る。熱い眼差しで見つめ返してくれる。エクスタシー。
勿論、ちゃんとゲイズ・パワーはその視線の力でより大きく色濃くなってゆく。誰もいないなら自分が見ればいいじゃない、の精神。
ダーティ自身は準備万端だ。だが、この先に待ち受けるのはワルくて(食べ物に)冒涜的なタピオカ・ガトリングの罠。無策で突入すれば蜂の巣ならぬタピオカの巣だろう。タピオカの巣ってなんだよ(哲学)
「タピオカの制圧射撃に対抗するには、こちらも同様の火力を用意する必要があるでしょう! さあ、穢れの澱より出でし憐れなる傀儡どもよ、いざ進撃です!」
号令と共に現れたのは、廊下を埋め尽くさんばかりにずらりと整列した、ダーティの姿をした兵士。今回はサービスなのか、主に胸元がぱちゅぱちゅかつ絶対領域がキワドい、ミニスカミリロリスタイルです。
しかしあくまで彼女たちは、兵士。
「タピオカを――蹂躙せしめよ!」
セクシーミリロリ軍団は、襲い来るタピオカ弾の雨を残らず撃ち落とし、彼女たちが通った後に残るのは、ミルクティーの水溜りのみでありました。
●あくまで盗賊式タピオカ突破法
「家賃滞納に器物損壊、オマケに食べ物まで粗末にしちゃうなんてね」
根は良い子の集まりとは言え、やってることはワルそのもの。
そちらがそこまですると言うなら、こちらも相当な悪事で対抗することができると言うもの。
何故ならここは、ワルさが物を言うデビルキングワールド。そして彼女、ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)はあくまで盗賊なのだから。
「家賃だけじゃない出張料金、延長料金もいただいちゃえ」
遠慮はどこかへ捨ててきた。こうなったらもうやりたい放題よ。
にやりと不敵に笑えば、その華奢な足元からふわりと風が舞う。
「これは狗盗の風車――」
やがて風は、ダンジョンもといマンションの全てに満ちてゆく。
戦場にそよぐそれは、ユニ自身を軽やかに翔け上がらせる、追い風となる。
「北も南も。東も西も。巡り盗って嗤う」
さあ、盗走の時間だ!
「――逃げるが勝ちさ」
風に乗り、高らかに翔んだ。
一斉に射出される、水膨れしたタピオカの雨嵐も、そのきらりと光る視力で捉えては、舞い踊るように回避して。
濡れて滑る床や壁は、着地点を見極め大気の魔素よりダガーを生成。刃の側面を足場の代わりに、蹴ってなお先へ、進むことを止めはしない。
ガトリングに搭載された自立AIはユニの動きを学び、攻めの手を強めるも。
「どんどん攻撃が激しくなるのは大歓迎! だってボクのユーベルコードは――」
避ければ避けるほど、盗みの力が増すものだから。
そう、愛らしい容貌で嗤って。回避を続けつつ、風は扉の隙間から主のいない部屋へと潜り込み、どんどんDを巻き上げちゃいます!
ユニの元に集まったDは、胸元から取り出した魔術カードへと吸い込まれ。金色の煌めきを引き連れながら、ユニは屋上へと続く扉へと辿り着く――が。
「延長戦に突入だー!」
嬉々として、再び嵐の中へと引き返す。
風はまだ舞っている。どうやら最初の宣言通り、延長料金が発生するらしい。
結局、風が止むまでに大量のDと値打ち物の数々がユニの懐に収まったのであった。
●角の悪魔式タピオカ突破法
「タピオカがなんだ! 華麗に突破して家賃をふんだくってやるぜ!」
待ち受けているであろう、色んな意味で凶悪なタピオカ・ガトリングの報を聞いても怯むことなくアルゼブ・アズモリィ(玉座を見据えし悪魔・f31513)は自信満々に腕を組み、ふんぞり返る。
これしきのことで臆していては、未来のデビルキングなんて名乗れないってなもので。
『威勢のいいことだが、策があっての言葉だろうな』
「もちろん!」
喋る武器――レブヤ・べザルが呆れたような声音で問いかけるが、アルゼブは迷いなく即答。
魔王たるもの、時にはワル知恵も必要なのだ。
――というわけで!
「【無辜の粘魔】よ、出てこい!」
召喚に応じて現れたのは、タピオカにも負けない柔らかさを誇る大量のスライム。
彼(?)らは心優しい性質で、戦闘力は皆無に等しい。だが、戦うだけが罠の突破法ではないのだ。
「オレの前を行け! 目指すは屋上だ!」
号令を受けて、スライムたちはぴょんぴょんと跳ね、或いはつるつると床を這い、アルゼブを先導してゆく。
遅れを取らないよう、ダッシュでついて行くアルゼブだったが、不意にぴたりと動きを止める。スライムたちもそれに倣って、ぴたっ。かわいい。
「お、野生の勘がざわつく! この先は罠だな……」
たかが勘、されど勘。こういう時の野生の勘は当たるのだ。
罠の存在を確信したアルゼブは、前方に手をかざすと高らかに告げる!
「よし、一気になだれ込め!」
そう、まさに言葉通り雪崩のように、スライムたちが角を曲がり、続く通路を埋め尽くす。
するとアルゼブの読み通り、降り注ぐタピオカ弾の豪雨!
「お前たちの仲間、タピオカを腹一杯飲み込んでやれ!」
大胆不敵に命じれば、スライムたちの口、のようなものがぐわり、大きく開く。
正面から射出されたタピオカはそこに吸い込まれ、スライムボディの上から襲来したタピオカも、粘度の高いその体内に取り込まれてゆく。
『別に仲間ではないと思うが』
レブヤ・べザルが至極真っ当なツッコミを入れてきたが、アルゼブは華麗にスルーした。
「ふう、なんとか突破できたな!」
そんなこんなでタピオカの猛攻を突破して、遂に屋上へと続く扉の前へ辿り着いたアルゼブたち。ふいーっと達成感に額を拭う。
『タピオカを受けた魔物たちが豆大福のようになっているぞ』
レブヤ・べザルの言葉にスライムたちを見れば、その体内に大量の黒タピオカが消化もされないまま残り、豆スライムと化しているのだが。
まあアルゼブにダメージはないし、スライムたちにも痛覚は(多分)ないので。
「へーきへーき!」
結果オーライ☆
●思えば遠く……?
「あっ」
今回の事件の黒幕(?)であり、マンション住民の皆様とご対面です!
「さあ住人ども! 真っ二つにされるか家賃を払うか、好きな方を選べ!」
アルゼブがずいと彼らの前に進み出て、悪のカリスマ的オーラを纏いつつ、威圧感を醸し出せば。
「思いつく限りのワルい罠を仕掛けてお帰りいただこうと思ったのに、こんなに悠々と突破してくるなんて! しかも溢れんばかりのワルさ! 従わずにはいられない!」
何故か逆に(アルゼブ的には目論見通りか?)尊敬に煌めいた瞳を向けられ、ははーっと平伏さんばかりに差し出されるD。満足げに頷くアルゼブ。
あるなら最初から払えやとは、言ってはいけない。だって彼らはマンションの住民である以前に、ワルさが物を言うデビルキングワールドの住人なのだから。
「話もついたところで随分焦らされたことですし、私のこともじっくり眺めていただきましょうか! さあ、さあ!」
実は結構フラストレーションが溜まっていたダーティ、最早自身の視線ひとつだけでは我慢ならないとばかりに住民たちにじりじり迫り。
その視覚に悪逆なまでの魅惑的な肢体、遠慮なく見つめる者もいれば、一旦目を逸らしつつもチラ見する者、単純に圧の強さにガン見する者など反応は様々だった。
ともあれ、欲求不満(深い意味はありません)は満たされたようで、いい笑顔と共に恍惚(深い意味はありません)のオーラを漂わせるダーティ。
そんな中、独り少し離れたところに佇んでいるユニ。
「あ、ボクのことは気にしなくていいよ。……もうちゃんと、いただくものはいただいたからね」
「えっ」
見ればユニが疾すぎて、カードに収まりっていなかったDが、その胸元に吸い込まれるようにして、ちゃりんちゃりんと音を立てて消えてゆく――。
「あーっ!!!!??」
これには余りの見事なワルさに住民の皆様もびっくり仰天。
けれどユニは、涼しげに嗤うだけだ。
「ワルいね、だってボクはあくまで盗賊だから」
大成功
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