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銀河帝国攻略戦⑮～ホワイトキャッスル・ダウン作戦

作者：fa-240

●牙城を突き崩せ
「はーい、みんなちょっと注目してねっ」
　様々な猟兵たちに対して、グリモア猟兵の春日・釉乃（”CHIPIE”・f00006）はコンタクトを取ってきた。
「銀河帝国の大要塞『エンペラーズマインド』を解放軍はどうにか突破することができました。けれども、帝国旗艦『インペリウム』までの進路上に帝国宇宙戦艦による大艦隊、『白城』艦隊が発見の。解放軍によると、この艦隊は特に『士気と練度』が高いって有名みたい。」
　立ちはだかるはとてつもなく巨大な壁、銀河帝国の主力艦隊『白城』である。先に交戦した『エンペラーズマインド』の防衛艦隊とは比べものにならない戦闘能力を保有していると予測される。
「――けれど、解放軍の情報で前線指揮官の搭乗する艦を発見できました。よって、これを速やかに撃沈させることでこの戦線を突破して欲しいんだ。前線指揮官を失えば、艦隊の統率は一気に乱れてしまうと思うしね。」
　『白城』は、帝国の制式戦艦のみで構成された精鋭艦隊ではあるが、既に艦隊戦にも慣れてきた猟兵ならば希望は残されているだろう。
「……すまないけど、みんなの力を貸して欲しいの。あたしはグリモアベースから、まだスペースシップワールドに駆けつけていない猟兵を運んでくるから待っててね」
　グリモア猟兵としての力を行使するならば、釉乃は直接的な加勢することができない。今は果敢な猟兵たちへと全て託すのだ――勇気を信じて！！

第1章 ボス戦 『帝国宇宙戦艦』

POW   :    フルバースト・コズミック 【全砲一斉射撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    デストロイレーザー 【10秒間のエネルギーチャージ】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【主砲からのレーザー砲撃】で攻撃する。 WIZ   :    インペリアル・マカブル 【自身の稼働可能時間】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【帝国式鏖殺形態】に変化させ、殺傷力を増す。 👑15 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　立ち向かう解放軍と猟兵たちであったが、『白城』艦隊の【フルバースト・コズミック】による艦砲射撃の嵐の前に進軍せずにいた。特に前線指揮官が搭乗されているとされる旗艦の守備は白き城の名に恥じぬほどの鉄壁を誇る。
　進退窮まる解放軍。せめて、自軍の艦を一隻でも懐に飛び込ませれば……。
「この身体を流星に見立て、その願いを叶えます」
　弾幕を掻い潜って飛び込んできたのは宇宙を駆ける箒『メタルハート・ベーゼン』に跨るアンノット・リアルハート（f00851）。単騎で一体、何をしようというのか？
「相手が戦艦なら、こっちも最高の船でお相手しましょう！」
宇宙を高速で航行する彼女は突如として箒の上に立ち上がり、祷りを謳い上げる。
「Raudo Ginseng Sargas Konjac Karno　東の北の伝承はこの世界の誇りである　Tradicioォォォォ！」
　【Daydream・Garden】のユーベルコードをアンノット・リアルハートが発動すると、彼女は願いにより世界を一時的に改変する祭壇に変化してなるほど『芋煮艇(さいこうのふね)』がスイと出た。
　アンノット・リアルハートの背後の空間が歪むと、『白城』旗艦の懐にサメのような外見をした宇宙戦艦が招来されたのである。これには流石の『白城』旗艦の指揮官も焦りを隠せない。
「祷り子の私が動けなくとも、最高のクルーが素敵なショーを見せてくれるでしょう。まずご覧に入れるのは――」
　そう言いながら、アンノット・リアルハートは『芋煮艇』の回収部隊によって保護されてゆくのだった。

　よく目を凝らせば、『芋煮艇』の甲板にスチームパンクめいた宇宙服を着て、ヘルメットの中でもしっかりと瓶底眼鏡をかけているリネットヒロコ・マギアウィゼルーク（f01528）が１人で立っているのが目撃できるだろう。しかし、砲撃の雨の降り注ぐ宇宙戦艦の甲板に何故――。
「『魔導科学万有論総説　上巻』の第546ページによれば、己の最大の発明品は勿体ぶりつつ……『こんなこともあろうかと』と叫びながら終盤突入時期に初めて見せつけることで最大限の注目を浴びることができる、だそうですね～。なので使っちゃいますよ、こんなこともあろうかと！！ギアライザー！　コール・ギガンティア！　ライズ、アップ！」
　リネットヒロコ・マギアウィゼルークは左腕に装着しているブレスレット型リモコン、ギアライザーの音声認証を起動させた。すると『芋煮艇』の音響装置から突如としてマーチが流れ始めて……全高55mはある漆黒の自作の巨大ガジェットロボ『ガジェッテスト・ギガンティア』が腕を組んで仁王立ちしながら甲板に描かれた魔法陣からせり上がってきたのだ。
「あの……どうしてマーチが流れているのかな、ヴロスさん？」
「これが粋な計らいというものらしいですよ、リックさん」
　出撃待機をしている『芋煮艇』のクルーは、外の戦況をモニターしながらこう漏らしていたそうな。
　一方のリネットヒロコ・マギアウィゼルークははというと、『ガジェッテスト・ギガンティア』の左頬に捕まりながら、左腕のギアライザーへ次なる命令を発していた。
「撃て～ギガンティア！」
　その言葉を聞き届けるや否や、『ガジェッテスト・ギガンティア』はグォォオと咆哮のような金属の軋みの音を立てて、ガジェットロボ用のガトリングレネードを甲板の上から掴みとって射撃を開始した。
　このままさせるかと、『白城』旗艦はただちに【フルバースト・コズミック】で反撃をしてくるだろう。
「まだですよ……もう少し引き付けてから……クリスタルミサイル！」
　続けて、『ガジェッテスト・ギガンティア』は頭に、肩に、掌に、腰に突き刺さっている結晶を輝かせて全方位に結晶片のミサイルを斉射した。それらは敵の全砲一斉射撃を迎撃するように撃ち落としていくが――それでも足りない、足りないのだ！
「あわっ～このままじゃ」
「……副艦長に怒られないように最善を尽くさねば。リネットさんの迎撃から逃れても、私からは逃れることはできぬ」
　ボロボロの外套を被った触手型のウォーマシンであるヴロス・ヴァルカー（f03932）が『ガジェッテスト・ギガンティア』の足元で【常世の花】を使用して、伸ばした触手から爆音を発して迎撃に加わったのである。しかし、巨大なガジェットロボと同等の迎撃能力を人型サイズの猟兵１人が有しているのは普通ではない。そう、今のヴロス・ヴァルカー（f03932）にはとある力が宿っていたのだった。

　――話は少し前に遡る。
「みんな、出撃前にちょっと時間をくれるかな」
「どうかしましたか、リックさん？」
　優しそうな大型犬の顔をしたキマイラのリック・シックハント（f00522）は出撃前の仲間たちを呼び止めた。
「みんなと紡いだ繋がりよ、想いの欠片を繋ぎ合わせ、その強さをみせつけよう！【繋がりこそ我が力】！」
リック・シックハントは数多の困難を切り抜け、みんなが生きる『今』を守り続けた『戦士』由来の【反転する苦痛】と【超過憑依】を繋ぎ『【超過憑依】と状態異常を反転して力とする効果を宿す』杭を生成したのだ。そして、まずはそれが有効であるこをと自分の身で証明する。この杭を打ち込めば、通常の何倍ものパワーを得ることができるだろう。
「絶対にみんなで無事に帰ろうね！」
　繋ぐ力、彼自身が見つけた彼のユーベルコード。それこそ、『芋煮艇』の希望の灯となるのだ。

　懸命なる弾幕展開と猟兵強化により『芋煮艇』が『白城』旗艦と徐々に距離を詰めてゆき、遂に突撃圏内へと収めることに成功する。
「さぁ、ここからが本番ですよ。ギガンティアッ、マジカル・マギアル・リバリアル！ 術式広域展開！ 魔導障壁、発動っ！」
　ゴォォォォと咆哮を上げると、『ガジェッテスト・ギガンティア』の腹部にある緑色に光り輝くギアが高速回転。背中の両翼たるギアがゆっくりと魔導の力で起動すると頭上へとせり上がって合体し、『ガジェッテスト・ギガンティア』の後頭部に巨大なギアが完成する。
　そして、『ガジェッテスト・ギガンティア』は両腕の拳と拳を胸の前でぶつけ合わせると巨大な魔法陣型の魔導障壁が発現。【マジカル・ディフレクシオン】は『白城』旗艦の艦砲射撃を反射し始めたのだ。これにより、更に『芋煮艇』は目標への距離を縮めてゆく。
「ふっふっふ……『魔導科学万有論総説　上巻』の890ページにはこうも書かれています。『ここは俺に任せて先に行け』のような死亡フラグは立てすぎると却って生存フラグになるのだと。ということでリックさんだけじゃなく、わたしも立てておきますね～」
「おや、なかなかに面白そうな本ですね……リネットヒロコさん。今度パブに持ってきてください。パインサラダとステーキを食べながら皆で読もうではありませんか」
「ふふふ　ヴロスさんって、本当に浪漫な機械ですね～」
　激しい戦場でさえ笑って仲間を送り出せる。それが彼らの強みなのかもしれない――。

　遂に、芋煮艇のカタパルトが展開された。まず姿を見せたのは【人機一体】によって大型の宇宙バイクと化した数宮・多喜（f03004）とそれに搭乗するルエリラ・ルエラ（f01185）だった。
「最初から飛ばすよ、ルエリラさん！」
「じゃーん。私いきまーす」
　射出シークエンスを経て、銀河の大海原に漆黒の宇宙バイクが飛び出してゆく。続けて、もう一台のバイクが姿を見せた。
「行こう、私たち」
「にぃなちゃんは速く走る事しか出来ないんだよね。まぁその点で負けるつもりはないけど☆」
「……アンタ、もう少し静かにできねぇのか？」
　ニィナ・アンエノン（f03174）の宇宙バイク『ヤンソン:テンプテーションZ17スチームカスタム』に相乗りするレン・ランフォード（f00762）の人格が出撃を前に温厚な主人格の『蓮』から男口調の荒事担当の『錬』へ切り替わったようだ。
「む・り☆　にぃなちゃんの辞書にお口チャックという文字は存在しないのだー！！！！」
　テンション最高潮のままに、二台目の宇宙バイクも『芋煮艇』から射出される。
　光り輝く宇宙をサーキットに『芋煮艇』が誇るスターライダーたちはこともあろうか競争を始めたのだ。
「どっちが主砲に先に突っ込むか競争だよ☆　にぃなちゃん、まだまだ加速中！」
「へっ……そういうことならあたしだって負けないよ、ニィナ！」
「二人とも、これは遊びじゃ……ぐえー」
　『ヤンソン:テンプテーションZ17スチームカスタム』と【人機一体】の数宮・多喜。限界を超えた速度で砲撃を掻い潜ってゆくが、当の本人同士はいいもののスターライダー以外にこの加速はキツいものがあったかもしれない。

「レンちゃん、そろそろだよ☆　起きて起きて☆」
「うっうう……ニィナさん、おはようございます。って、もう戦艦が目と鼻の先に……ええい、ここのタイミングで！」
　あまりの高負荷Gによって意識を失ったレン・ランフォードは主人格の『蓮』に戻ってしまっていたらしい。慌てながらも直感的に『童子切』の光刃を発生させつつニィナ・アンエノンの宇宙バイクから『白城』旗艦本体に取り付くべく飛び上がった。
　だが、目の前の『白城』旗艦は10秒間のエネルギーチャージを開始しており程なくして【デストロイレーザー】が発射されてしまうところである。
「よし、今だ……ルエリラさん！」
「了解――フュンフ」
　『芋煮艇』のいぶし銀であるルエリラ・ルエラがここで動いた。宇宙バイクと化した数宮・多喜から飛び上がって滞空しつつ【無効化の矢】を『白城』旗艦の二門も主砲へと打ち込んだのだ。
「チャージなどさせるか……これ一度、言ってみたかった」
　発動まで時間のかかるユーベルコードにルエリラ・ルエラの【無効化の矢】を止める術はない。チャージカウントが停止した『白城』旗艦の指揮官は混乱することだろう。
「いえーい！！！！！にぃなちゃんとーじょーだー！！！！！！」
【ゴッドスピードライド】を発動したニィナ・アンエノンは『白城』旗艦の主砲にそのまま飛び込み、衝撃波を纏いながら突き破っていったのだった。
「エンジン、サイキック、全開……超・変・身！てぇいやぁぁぁぁぁ！」
　数宮・多喜はほぼ同時にもう1つの主砲へと飛び込み、大型宇宙バイクから髑髏の仮面の人型形態へと変身。加速を活かしながらも熱と電撃を纏った超高速の飛び蹴りで突き破ってゆく。二人が主砲を破壊したタイムは同じであり、勝負は引き分けとなった。
　主砲2つを破壊されてしまった『白城』旗艦の指揮官は遂に敗北を認め、対艦命令を発令するが――そこは猟兵が逃がす訳にはいかない。
「さ、かっこつけるところだよレン。援護は任せて。貫かせてもらうね――アインス」
「リミッターカット！！行くよ科学の結晶！……私の剣が光って唸る、お前を刎ねろと輝き叫ぶ――くらえっ、愛と怒りと悲しみのオーガスラッシャー！」
　ルエリラ・ルエラの【貫通する矢】が往く手を阻む障害を細長い魔力の矢で貫通してゆく。そして、レン・ランフォードは【光線式斬撃兵装・童子切】を発動し、100ｍ以上もある翠の光刃を解放。そのまま『白城』旗艦の戦闘ブリッジごと艦を薙ぎ払う！
「メン！メン！メェェェェン！！」
一回でダメなら二回！三回！兵装が壊れるまで何度でも斬りつけたのだ！

「『どうか芋煮艇がみんなを守ってくれますように』という願い、叶ったかな？」
「はい、リックさんの夢はしっかりと届きましたよ」
　回収されたアンノット・リアルハートは未だに【Daydream・Garden】のユーベルコートを使用したままだった。それは、『芋煮艇』の船内にある格納庫で目の前にいるリック・シックハントの想いの力を『芋煮艇』のバリアフィールドへと昇華させるためだった。
　前線で攻撃を行うことだけが戦いではない。こうして、遠くから仲間を支援して彼らの無事を待ち受けることも戦いなのである。
そうして、二人が格納庫へと帰還する二台の宇宙バイクを出迎える頃、『芋煮艇』は姿を消して本来の航路に戻ってゆくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月18日