7thKING WAR⑮〜女王サーカスの魔
「初めまして。……って、悠長に挨拶している場合じゃないですね。皆さんはもう、『7thKING WAR』への参戦要請は聞いてますよね」
礼儀正しく頭を下げるカレル・レグロリエン(緑の夢に星を灯す・f36720)だが、同時にその身体は不安で強張っていた。何せグリモア猟兵としての初仕事が、戦争の案内だからだろう。無理もない。
『7thKING WAR』――それはデビルキングワールドを統治する悪魔の王を決める大戦。しかし今回は、歴代の大戦とはわけが違うと言う。
オブリビオン・フォーミュラとして蘇った1stKING『魔王ガチデビル』が参戦の名乗りを上げ、更には王座に就いた暁には『他世界への悪魔輸出』を行い、強大な悪魔たちによる異世界侵略を強行すると宣言したのだ。この目論見は何としてでも阻止しなければならない。
「ただ、ガチデビルだけを妨害すればいいかと思えばそういうわけでもないみたいで。奴は結界で厳重に守護されていて、その結界も契約によって召喚した異世界の魔王に守らせていることもあり、そちらに力を割くより、早々にキングを決めてしまおうということみたいです」
そのため、今回はガチデビルのみでなく、他候補者であるアイスエイジクイーン、及びスーパーカオスドラゴンとも覇権を争うことになる。
今回、カレルが指定した戦場はアイスエイジクイーンの支持者たちが集まる場所。
「女王主催のサーカス団なんです。魔界基準では愉快なサーカスなんですが、僕らからしてみればかなり危険なショーなんですよね……そして今回は支持者獲得のために、実際にそれを体験して貰いたいんです」
相手は可憐な少女ジャグラー。幾つもの爆弾を手に危険で華麗なパフォーマンスを繰り広げる。
しかし、その正体は……!
「アイスエイジクイーンはオブリビオンではないんですが、このジャグラーはサーカス団に忍び込んだオブリビオンなんです。儚げな言動は全て演技、その本性は悪魔そのものです。……僕ら基準ですけどね」
但し、爆弾を意のままに操るその力は間違いなく本物。
そんな彼女と一騎討ちを行い、勝たなければならないと言うのだ。だが、勝機はある。
「会場には『興行魔法』がかけられています。声援でもブーイングでも、観客を盛り上げることができればそれが直接、受けた者の力に変わるんです。どんな形でもいいので、注目を集めて場を盛り上げながら戦ってください。そうすれば、きっと……」
どんな強敵だって、倒せるはずだ。
さあ、舞台へと上がろう!
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
最高のパフォーマンス、そして戦いを!
戦争シナリオのため、今回は1章構成です。
第1章:ボス戦『爆弾の悪魔』
観客の声援、またはブーイングを集めることでプレイングボーナスがつきます。
サーカスの花形となったオブリビオンに負けないよう、全力のアピールをお願いします!
断章なし、公開された時点で受付開始です。
それでは、よろしくお願いいたします!
第1章 ボス戦
『爆弾の悪魔』
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POW : ガンガンいこうぜ
レベル×5体の、小型の戦闘用【爆弾を括りつけた一般悪魔】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD : みんながんばれ
レベル×1体の【時限式の爆弾を括りつけた一般悪魔】を召喚する。[時限式の爆弾を括りつけた一般悪魔]は【爆発】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
WIZ : いのちをだいじに
【黒い瞳】から【大量の透明な魔力機雷】を放ち、【「動くと死ぬぞ」という警告】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:白漆
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠シスカ・ブラックウィドー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
…………目立てば良いのじゃな。わかった(無理矢理納得した。ずっとUC使用)
とはいえ、たしかにわしの武器は目立つに良かろうよ。何せ、炎がついて燃えとる。
いつもの修練の応用で、バトンのように扱えばいいか。はは、わし愛用の武器じゃぞ?
たまに雷も弾けたりするがの。アクセント(?)にはいいじゃろ。
ああ、動くなと言われても、構わず動く。もとより死んどるし、怪我しても回復するし。気にせん。
何より…回復したとき、同時に炎は成長するでなぁ(戦闘力増強)。この槍。
そして、そのまま突く。
しかし…うむ。いつもと調子が違うな…。
●L'âme de la flamme
「………………目立てば良いのじゃな。わかった」
釈然としないが、無理矢理納得した。
華やかで艶やかで、煌びやかな舞台の上、遠い目で馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は呟いた。正確には、その存在を形成する四悪霊がひとり、『侵す者』――馬舘の言である。
相対する華奢な少女の悪魔は、薄く微笑みを湛えながら、ひょいひょいと爆弾を放る。インフィニティからのアンブレラ、流れるようにウィンドミル。
それを横目に、義透はその全身に呪詛を纏わせ、常に憤怒の赤き炎を宿す槍・黒燭炎を携えた。
(「たしかにわしの武器は目立つに良かろうよ。何せ、炎がついて燃えとる」)
負けじと修練の応用と思えば手慣れた、まさにバトントワリングのような演舞を、舞台上で披露して見せて。
「はは、わし愛用の武器じゃぞ?」
技を意識してはいないが、それはリバースエンジェルロールからのスピン、そしてリバースイリュージョンの流れに酷似して。
派手で大胆な大技の数々、加えてバトン代わりの槍が身体に何度も触れる中、義透の身体も衣服も燃えるどころか火傷のひとつないのだ!
声援が、義透へのそれ一色に塗り変わらないわけがなく。
ストイックに演舞を続ける義透に、悪魔は昏い目を向けて。
「……気に入らない」
左眼の闇から、宙に溶け込む無数の機雷が放たれるも。
「ああ、わしの黒燭炎はの、時折雷も弾く。アクセントにはいいじゃろ」
実体のない自然災害さえ防ぐ槍に、機雷が受けられぬわけがない。
アクセント、はやや本人も疑問系だったが、全て弾き返して爆発させて見せれば、観客は更にヒートアップ。
「動かないで。死ぬわよ」
脅迫めいた警告と共に放たれる束縛の呪いも、義透は意に介さず舞い続け。
「もとより死んどるし、怪我しても回復するし。何より……回復したとき、同時に炎は成長するでなぁ」
「えっ」
自らの呪縛が――否、四悪霊の呪詛が自身の身を滅ぼすと悪魔が気づいた時にはもう遅い。
炎が受けた苦痛に、憤怒の勢いを増すままに、赤熱した槍の一突きが、細身の腹を狂いなく穿つ!
「ああぁぁああ!?」
儚げな少女らしからぬ絶叫と共に悪魔は燃える。
そして歓声を背に、義透は――、
「しかし……うむ。いつもと調子が違うな……」
まだ腑に落ちていなかった。
大成功
🔵🔵🔵
神代・丹々
サーカス……ああ、あれね。信者から聞いたことがあるわ。ワタシは体動かすの億劫……得意じゃないし、ここはワタシじゃないものに頑張ってもらいましょう。
指定UCで筋力を強化したライオンを作って、次に【属性攻撃】で火の輪を作って、古き良き火の輪くぐりよ! 最初は一つだけど次は増やして、その次は火の輪を不規則に動かして、何嫌がってるの、もう少しがんばりなさいな(【動物会話】)。ちっめんどくさいわね……アナタは最高なのよ、創造主の神たるワタシを信じなさい(【威厳】)。
そうこうしているうちにオブリビオンには【神罰】が下っているでしょうきっと。……ふふん今ワタシ神っぽいわね。信者が見ていないのが残念だわ。
●Déesse des chats
「サーカス……ああ、あれね」
ぴこーんと猫耳を立てる神代・丹々(たった一つの致命的な誤算・f36220)。
こう見えても神様である丹々、信者からサーカスについては聞いたことがあった。
「ワタシは体動かすの億劫……得意じゃないし、ここはワタシじゃないものに頑張ってもらいましょう」
あくまで神様にだって得手不得手があるという話ですよ。ええ!
そんな丹々の得意分野はと言うと。
「――さあ、起き上がりなさい」
丹々は神の力を以てして、一頭のライオンを『創り出した』。
ただのライオンではない。ユーベルコードにより、筋力が強化されたライオンなのである!
更に続けて、芭蕉扇に火の属性を付与して宙に大きく円を描けば。
「ご覧なさい、古き良き火の輪くぐりよ!」
おおおおおお、と観客席が沸き立つ。
与えられた恩恵を活かして、高い位置の火の輪を悠々と飛び越えて見せるライオン。だが、敵も負けじと超絶技巧のジャグリングを披露し始めている。これで終わるわけにはいかない。
「次は増やして、その次は火の輪を不規則に動かして……」
声援を丹々に向けるべく、趣向を凝らしていく――が、何故か小さくなり始める丹々への声。ライオンが動かなくなったのである。
ライオン使いの荒い女神様だぜ、みたいな顔をしていた(多分)。
「って何嫌がってるの、もう少しがんばりなさいな」
動物会話で説得を試みる。が、ライオンと言えど動物である。火の中に突っ込みたくはないのである。滅茶苦茶渋られた。
「ちっめんどくさいわね……アナタは最高なのよ、創造主の神たるワタシを信じなさい」
神の威厳をフル活用しつつ、褒めて伸ばす作戦に出た。ここまでされてはライオンも無碍にできず、緩慢に立ち上がると、ばらばらのタイミングで動く火の輪を、ひょいひょいっと軽やかに飛び越えて見せる。
再び湧いた歓声に、慌てて丹々たちの動きを止めようとした爆弾の悪魔、しかしその軽業に目を奪われ、一瞬動作が遅れた。
「あっ」
キャッチし損ねた爆弾が神罰の如く、悪魔ちゃんの頭にごっつんこ、ちゅどん☆
てんばつてきめん。
「……ふふん、今ワタシ神っぽいわね。信者が見ていないのが残念だわ」
どや、と豊かな胸を張る丹々。その背後でライオンがやれやれオーラを醸していたが、見なかったことにしよう。
大成功
🔵🔵🔵
六代目・松座衛門(サポート)
ヤドリガミの人形遣い×UDCメカニック。人形を用いて異形(オブリビオン)を狩る人形操術「鬼猟流」の使い手です。
ヤドリガミの特徴である本体は、腰に付けている十字形の人形操作板です。
戦闘中は言い捨てを多用します。
UCは全て人形を介した物で、主に以下の装備アイテム「鬼猟流・戦闘用人形」で戦います。
・武器を仕込めるバランス型の「暁闇」
・身軽で敵の拘束に特化した「縛鎖」
・様々な遠距離攻撃が可能な「遠離」
ただし、操作対象の切り替えは素早くできますが、同時操作は基本的にできません。
他の猟兵と積極的に連携し、率先して誘導、時間稼ぎなどの支援を行います。
●Vent et marionnette
「僭越ながら、つなぎの余興はこの『鬼猟流』が努めよう」
六代目・松座衛門(とある人形操術の亡霊・f02931)と共に舞台に上がるのは、人形操術の『鬼猟流』、その戦闘用人形たる『縛鎖』だ。
悪を圧し潰す棺の処刑具を有するそれは、身軽で敵の捕縛、拘束に長けた存在だ。
既に他の猟兵から与えられたダメージで弱りつつある爆弾の悪魔だが、興行魔法の力で盛り上がりを見せれば、回復はせずとも再び力をつけてしまうだろう。それだけは、阻止しなければならない。
故に、松座衛門は敵の動きを封じる方向で動くと決める。
その意図を察したかは定かではないが、敵は一度パフォーマンスの手を止め、爆弾を兼ね備えた配下の悪魔たちを差し向けるも。
「その身に刻め! 演目『疾風』!」
縛鎖は松座衛門の意を汲んで進み、流れるように悪魔たちに連撃を加え、舞台の端へと吹き飛ばして無力化させる。
互いに譲らぬ激しい攻防に、観客たちが固唾を呑んで見守る中、遂に。
「届いた! 縛鎖!」
爆弾の悪魔へと肉薄した縛鎖は、主の声に応じて分解した棺を再構築。囲い込むようにして敵をその中に閉じ込める。
「なに……!? ……いや!!」
狭苦しい棺に囚われた少女が、じわじわと押し潰されて行く様は、悲劇のようにも見えるだろうが――それは彼女がオブリビオンでなければ、の話。
この攻撃で倒し切れないことは、松座衛門も理解していたし、それでも、敵の立て直しを阻止することは確かにできたと手応えを覚える。
――クライマックスが、近い。
成功
🔵🔵🔴
シン・フォーネウス
爆弾を操る悪魔か、サーカスのどでかい花火を打ち上げる専門ってところか。
機雷が撃ち出されたUC発動だ。
「動くなって? ああ、俺が動かねぇさ。サーカスなんだ、もっとド派手に行こうじゃねぇか!」
爆弾の悪魔をUCの力で洗脳、魔力機雷を上空に打ち上げさせて……『ソロネ』で透明な機雷を感知、『ルナ』で機雷を撃ち抜いて上空にドデカイ機雷花火を展開してみるぜ!
たまや、ってな。
そろそろ終幕だろう、魔力機雷の一つは撃たずにそのまま悪魔に落下させて爆発させる。
なに、本望だろうさ。なんたって爆弾の悪魔なんだからな。
花火の後の煤掃除は、俺の仕事だろうけどな。
●Dernier feu d'artifice
トリを務めるのはシン・フォーネウス(悪魔の掃除屋(文字通り)・f31485)。
死の悪魔である彼と対峙するのは、爆弾の悪魔。
(「サーカスのどでかい花火を打ち上げる専門ってところか」)
なんて、思索に耽っていると。
「私のサーカス、私の観客……奪おうとするなら、許さない。動かないで、死ぬから」
今や憎悪の表情を隠そうともしない悪魔に、シンは余裕の色を浮かべて笑って見せて。
「動くなって? ああ、俺が動かねぇさ。サーカスなんだ、もっとド派手に行こうじゃねぇか!」
見えずとも気配でそこに在ると解る機雷に対抗するかのように、取り出した拡声器は深層意識に働きかけ、精神を歪ませる魔性の心理掌握器『アビス』。
「お前もそう思うよなぁ!?」
少女の思考が塗り潰される。言われるままに、機雷は空へと昇ってゆく。
シンの足元には掃除用のロボットが姿を現していて、愛らしい顔を上方へと向ける。
掃除用と侮るなかれ、お掃除ロボット『ソロネ』は、索敵機能、探査機能、解析機能等、戦闘にも役立つ技能がばっちり搭載されているのである!
ターゲット――機雷の特定完了が電子音声で告げられれば、シンは待ってましたと言わんばかりに自動洗浄機『ルナ』を構える。
こちらもレーザーで、敵も罠も掃除する、ディスク型の殲滅兵器だ!
「――撃ち抜く!」
ソロネの特定により位置が判明した機雷を、ルナのレーザーで正確に射抜いていけば。
サーカステントの天幕すら破らんばかりの、機雷花火がド派手に、ドデカく打ち上がる!
「――たまや、ってな!」
割れんばかりの歓声と拍手が、会場を包む。
「えっ。……えっ?」
ふと正気に戻り、戸惑いの視線をあちこちに向ける少女に、シンは静かに告げる。
「そろそろ終幕だろう、魔力機雷のひとつは取っておいてやったぜ」
連続で破裂する、花火と化した機雷。その合間を縫って、残したと言う機雷がひとつ、落ちてくる。
「あっ、」
その短い一声が、最期の言葉。
爆弾を司り、自在に操るはずの悪魔の少女は、再び頭上に自らの爆弾を落とされ、自爆した。
再び巻き起こる、拍手喝采を受けて、シンは。
「なに、本望だろうさ。なんたって爆弾の悪魔なんだからな」
花火の後の煤掃除は、俺の仕事だろうけどな――なんて続けて、苦笑した。
大成功
🔵🔵🔵