7thKING WAR⑩〜幻想楽劇メモワール
「何やら愉快なことになっておりますね。いえ、理解しておりますとも。これは紛うことなき緊急事態であると」
珍しくきょとんとした顔の虹目・カイ(金狐は虹を目指した・f36455)である。が、仕事はきちんとしてくれるらしい。
「既にジャッジメントガール様より通達がございましたが。皆様にもデビルキングワールドを統治する悪魔の王――デビルキングを決定する七回目の大戦『7thKING WAR』に候補者として参戦していただく運びとなりました」
因みに猟兵全員が対象であるので、一応カイ本人も候補に含まれるのだが、覚醒してから日も浅いこともあり、今回はグリモア猟兵としての支援に徹するつもりのようだ。
「さて、今回皆様に向かっていただきたいのは、悪魔王遊戯のひとつである巨大工房です。なんでも、この工房に皆様の思い出深い品を持ち込むと、その中に眠る、思い出に即した小さな異世界、即ち、フェアリーランドに入れる、と言うのです。外世界から迷い込んだ妖精さんが、ここの工房主だとか」
では今回は、その工房が襲撃でもされるのか、と思いきや、そういうわけではないようで。
「これは他勢力から支援者を引き抜くための作戦です。皆様には、その思い出の世界に一般の悪魔たちを招待していただきたいのです。そして、その思い出の中で皆様の技量の凄まじさをアピールして、彼らをこちらの支持者に変えてしまいましょう、という算段でございます」
アピールする能力は何でもいい。力強さ、機転の利き、賢さ、度量の深さなんてものも。
兎に角、こいつはスゲーやつだと悪魔たちに深く感じ入らせることができればいいのだ。
「さあ、皆様の『凄さ』、存分に魅せつけて差し上げてくださいませ!」
どこか芝居がかった所作で、しかしそれでも作戦の成功を疑っていない顔で、カイはその手に円形の虹を煌めかせる――!
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
皆様のカッコいい思い出、存分に魅せつけてくださいませ!
戦争シナリオのため、今回は1章構成です。
第1章:日常『巨大工房の小異世界(フェアリーランド)』
思いの強さを示したり、思い出を具体的に語ることでプレイングボーナスがつきます。
語りましょう、そして舞台の上で示しましょう。
必要があればカイはじめ、当方グリモア猟兵も盛り上げ役から引き立て役までお手伝いいたします。
断章なし、公開された時点で受付開始です。
それでは、よろしくお願いいたします!
第1章 日常
『巨大工房の小異世界(フェアリーランド)』
|
POW : 思い出の中でパワーや漢気を示してみせる。
SPD : 思い出の中で器用さや抜け目なさを示してみせる。
WIZ : 思い出の中で賢さや器のデカさを示してみせる。
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
アイテム:漆黒風
世界:森が隣接する庭付きの屋敷(外邨家本宅)
んー、思い出ですかー。この漆黒風って、生前から使ってるやつなんですけどー。もう相棒ですよねー。
『何の変哲もない棒手裏剣』ってのは、使い勝手がよくてー。握り混めば近接、投げれば遠距離。さらには地面を掘るのもできますしー。
この大きさですから、隠し持つのも楽なんですよねー。一番役にたったのは暗殺ですけど。
的、設置してありますから…そこに向かって投げてもみましょうかー(ど真ん中当てる)
こうして投げて当てるの、結構難しいんですよー?
●メモワール・疾の章
さわさわと風がそよぐ。
そこは、庭園つきの屋敷だった。すぐ側には、覆い尽くさんばかりの緑が溢れている。森が広がっているのだ。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)という『悪霊』を形作るひとり、『疾き者』――外邨の本宅である。
「んー、思い出ですかー」
眼前に広がる光景を前に、義透はふむ、と思案した。そのおっとりのほほんとした様子に、招かれた悪魔たちもきょとんとしている。
本当に、彼は凄い人なのだろうか。そんな疑念を隠していない表情だ。
そんな彼らに、義透は懐から漆黒風――傍目には、何の変哲もない棒手裏剣だ――を取り出して見せる。これこそが、義透の心象世界のキーアイテム。
「この漆黒風って、生前から使ってるやつなんですけどー。もう相棒ですよねー」
と、義透は言うものの、時折光の加減で緑色の煌きが浮かぶばかりである――今はまだ。
なおも怪訝そうな顔のままの悪魔たちに、義透は続けた。
「『何の変哲もない棒手裏剣』ってのは、使い勝手がよくてー。握り混めば近接、投げれば遠距離。さらには地面を掘るのもできますしー」
語りながらひょいひょいとそれらを軽く宙に放り、キャッチする。その繰り返し。悪魔たちはそれを目で追うものの、未だ懐疑的な雰囲気だ。
だが、次の瞬間、穏やかだった義透の纏う空気が、一瞬だけ剣呑さを帯びた。
「この大きさですから、隠し持つのも楽なんですよねー」
――一番役にたったのは暗殺ですけど。
そう、微かに、しかし確かに悪魔たちに聞こえる声で零せば、悪魔たちの間に期待に満ちたどよめきが走る。
暗殺、なんてワルくてスゴそうな響きか……!
「的、設置してありますから……そこに向かって投げてもみましょうかー」
向き直ったのは庭に並ぶ鍛錬用の的。
最小限の無駄のない動きで、緑を纏って流れるように放たれた漆黒風は、見事、全ての的の中心を寸分の狂いもなく、穿った!
「おおおおおお!!!!!!」
悪魔たちから、熱烈な歓声が上がる。
温和でワルとは程遠そうな人物の、まさかのスゴ技に、悪魔たちの熱狂は冷めやらない!
「こうして投げて当てるの、結構難しいんですよー?」
と、こともなげに、穏やかに静かにそう続ければ。
わあっと、悪魔たちの興奮の声が静かな庭に響くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
彼方霧・白蓮
ふうん、面白そうだな。一応、シルバーレイン世界で能力者として訓練され、ずっと活動していたのはすごさに入るんじゃなかろうか。違う能力で今猟兵をやってることも。
というわけで、アイテムは使い込んだ回転動力炉(装備済)。ゴーストタウンとゴースト、もしくは戦場が出てくるはずだ。誰かを殴るわけにはいかないから、ゴーストを殴って示そう(●グラップル、●見切り)。
当時の能力は炎を扱うことだったけど、今は違う。今は、こうだ(指定UC)。このように今は全く違う能力を扱っているが、格闘技と電脳魔術、稲妻の能力はこうして一応、ひとまとまりのバトルスタイルになっているよ。
悪魔が喜んでくれるといいが。
●メモワール〜雨の章〜
(「ふうん、面白そうだな」)
かつてシルバーレインで能力者として戦ってきた、彼方霧・白蓮(雷雨、台風、その他悪天候・f35350)。
その眼前に広がっていたのは、デパートの屋上に設置されたイベント会場――の、廃墟。
(「やはりゴーストタウン……一応、シルバーレイン世界で能力者として訓練され、ずっと活動していたのはすごさに入るんじゃなかろうかと思ったのだけれど……それに、違う能力で今猟兵をやってることも」)
ある程度、想定通りの世界が構築されたということは、その読みは恐らく正しい。
後は、それをどう悪魔たちに魅せるかだ。
手には使い込まれた証の、名誉の傷の数々を宿した回転動力炉。共に駆け抜けた記憶が、幻想の舞台で白蓮を再びこの地へ送り届けた。
ステージから、動くパンダの遊具を乗せた巨大なバイキング船の遊具が、幽鬼のようにふらりと現れる。周囲を配下が守るかのように、ゴーストの群れが湧いて出る。
ド派手な敵のお出ましに、悪魔たちがどよめいた。
――さあ、今こそ死と隣り合わせの青春の、再演を。
「始めよう」
声は、襲い来るゴーストの群れの雄叫びに掻き消された。
それでも白蓮は静かに、しかし確実に敵の攻撃ひとつひとつを見切り、躱し、時に関節を外し、投げ飛ばし、大立ち回りを演じる。
取り巻きのゴーストを蹴散らし、残るはバイキング戦の亡霊と、船長気取りのパンダ遊具のみになった時。
「当時の能力は炎を扱うことだったけど、今は違う。――こうだ」
いつの間にか、ステージを自律型ドローンが取り囲んでいる。戦いの間に密かに仕掛けておいたのだ。
プログラムを入力してやれば、即座に特殊空間にも似たフィールドが展開される。
「準備できた──落ちろ!」
合図を受け、巨大な船体を狙った万色の稲妻が、パンダ遊具諸共灼き尽くす――!
「おおおおおお!! スゲー!!」
「何だ今の雷カッコいいな!?」
悪魔たちが一斉に、興奮の声を上げる。
喜んでくれてよかった、と白蓮は安堵しつつ、続けて。
「このように今は全く違う能力を扱っているが、格闘技と電脳魔術、稲妻の能力はこうして一応、ひとまとまりのバトルスタイルになっているよ」
幾度も死線を潜り抜けたこと、その上で今の強さがあること、然と彼らに見せつけた。
悪魔たちの瞳は、尊敬の念に輝いた。
大成功
🔵🔵🔵
尾守・夜野
(…思い出…ねぇ?)
辛うじて残った思い出も村が燃えた時に殆ど忘れちまったしなぁ
思い出せるかしらんが皆(怨剣村斬丸)を持っていくぜ
「…あの日は確か夏だったか?帰ってくるとそこが焼けててなぁ
捕まり手足を切られ
熱くて痛くて助けを求めても誰も彼も捕まり倒れ…ややが泣いても動けなんだ
そこでおやっさんが倒れ、あちらでおばさんが足を切られ
傷跡から血の代わりに炎が飛び出て回りを焼いてよ
焼けた先で「何か」が出来んのを仕掛人が眺めてんのよ
人のうちに殺してくれ
叫んだのは誰だったか
だから奴さんの顔を覚えて巻き込み殺すつもりで柱を折ったよ
まぁその時点じゃ殺しきれなかったが」
復讐?勿論終えたさ
やられた全てをやり返してな
という訳で、復讐しようとした動機から手法、当時の新聞何から何まで全部ぶっちゃけるぞ♥️
何なら俺らを呼んで当時の再現までつけるぞ
切り口から行った拷も…まで
まぁ俺の記憶どこまで正しいか定かじゃねぇがな
自覚してるがどう考えても見えない角度だった筈の事把握してるし
…作られたのが皆だけとは限らんと知ってるしな
●メモワール〜炎の章〜
(「……思い出……ねぇ?」)
さてどうしたものか、と尾守・夜野(墓守・f05352)は思案した。
(「辛うじて残った思い出も村が燃えた時に殆ど忘れちまったしなぁ」)
彼にとって思い出、と言うより強烈に胸の内に残っている記憶は、凄惨で冒涜的な『あの日』の光景。だが、当時の記憶は、ある一部は今でも鮮明に脳裏に焼きつき、しかしある一部はまるで何事もなかったかのように、一切思い出すことができない。
そんなちぐはぐな記憶だ。果たして役に立つのだろうか。
と、思ったのだが、それは杞憂だったようだ。幸か不幸かは、夜野本人にしか――或いは夜野本人にすらも――解らないけれど。
連れてきた『皆』は――願いと怨みの入り混じった呪詛を宿した怨剣村斬丸は、あの日の全てを無とさせるつもりはないらしい。
茹だるような暑さに観客となった悪魔たちが呻く。しかしこの暑さが、季節のせいだけではないことを、夜野は確かに覚えていた。
「……あの日は確か夏だったか? 帰ってくるとそこが焼けててなぁ」
かつて、村があったはずの一帯。
今は地図にもない、存在を抹消された村。その顛末。
「捕まり手足を切られ、熱くて痛くて助けを求めても誰も彼も捕まり倒れ……ややが泣いても動けなんだ。そこでおやっさんが倒れ、あちらでおばさんが足を切られ」
村に炎と、絶望が広がってゆく。
傷が、苦痛が、更なる惨劇を呼び起こす。
「傷跡から血の代わりに炎が飛び出て回りを焼いてよ、焼けた先で『何か』が出来んのを、仕掛人が眺めてんのよ」
悪意がほくそ笑む。それを見ていることしかできない。
人のうちに殺してくれ――叫んだのは誰だったか。
思い出せない。心当たりがありすぎて、誰だったのか解らない。
償うことなどできないと知って、それでも。
「だから奴さんの顔を覚えて巻き込み殺すつもりで『柱』を折ったよ」
『皆』の命を踏みにじって、その生を冒涜して、そうまでして手に入れようとしたものを、徹底的に壊してやるつもりで。
ああもう何もかもが滅茶苦茶だ。ざまあみろ。お前も。――俺も。
「まぁその時点じゃ殺しきれなかったが」
あっけらかんと言い放つ。悪魔たちは地獄の熱も厭わずに、抱き合ってぶるぶる震えていた。
だが、地獄巡りはここで終わりではない。
「復讐? 勿論終えたさ」
やられた全てをやり返した。それでも足りないくらいだ。
今だってまだ、燻り続けているのだ。
「――という訳で」
記憶が断片的なのは、事件当日だけ。
その後のことは、よーく覚えているもので。
「復讐しようとした動機から手法、当時の新聞何から何まで全部ぶっちゃけるぞ♡」
そう、一見すると晴れやかな、しかし背後からどす黒く重い空気を漂わせながら、語り始める夜野。
良い子ばかりの悪魔たちには刺激が強すぎた。ぴぇえと泣き始めている者もいる。
「何なら俺らを呼んで当時の再現までつけるぞ。切り口から行った拷も」
ん、まで言い切る前に、悪魔たちが一斉にぶんぶんと勢いよく頭を振った。そうか、と口を噤んだ夜野がどこか残念そうに見えなくもなかったのは、気のせいだと思いたい。
だが、そんな悲惨な状況から生還し復讐を成し遂げたスゲーやつだ、ということは伝わったらしい。
「まぁ俺の記憶もどこまで正しいか定かじゃねぇがな」
本来なら見えないはずの角度から見た光景としか思えない記憶が混ざっているという、自覚もあるのだ。
真実は未だ、消えない炎に隠れて見えない。
「……作られたのが皆だけとは限らんと、知ってるしな」
大成功
🔵🔵🔵