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7thKING WAR⑤〜アイドル推すなら金をくれ!

#デビルキングワールド #7thKING_WAR

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●アイドルに春は来ないのか?
「イエーイ! 皆ノッてるぅ~~!!?」
 スピーカーから大音量で響き渡るコールに湧き上がる歓声。演説台をステージに、魔界議会を牛耳っているのは常冬アイドル・ダイヤモンドダスト。知る人ぞ知る――かどうかは定かではないが、ともかく何かの裏技で魔界議会の議席という名のファンをがっちりゲットし、この度法律制定の場を設けるに至ったのだ。
「今回アタシが作る法律はー、アイドルだって金が欲しいんだ! ってなわけで、毎日アタシに5000兆D貢ぐんだぞ☆ そんな感じでヨロシクー!!」
 議会は沸いた。推しに貢ぐ幸せに勝るものは無い……のだろうか。

●何事もスタートダッシュが命
「キングを決める戦い……なんだか色々な事情がありそうですが、ともかく私達としては、世界をオブリビオン・フォーミュラの手に渡してはいけません! 立ち上がりましょう!」
 世界によっては長期的な休暇でもあるそうだが、ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)はやはり普段通りにグリモアベースに立っているのである。
「『7thKING WAR』と呼ばれるデビルキングワールドでの戦いですが、今回皆さんには魔界議会に乗り込んで、悪い法律を作ろうとしているオブリビオン『常冬アイドル・ダイヤモンドダスト』を倒していただきたいんです! 彼女が定めようとしている法律は簡単に言えば『5000兆D欲しい!』という感じで強欲極まりないものですね。とても払えるものではないと思いますしとにかく無茶苦茶なので、コテンパンに叩きのめして潰してしまいましょう! なお魔界議員達はほとんどが彼女の味方のようですが、皆さんがワルさ、あるいは実力を見せつければ味方になってくれるかもしれません! まだ始まったばかりで私も状況を把握しきれていませんが、戦いは最初が大事だったりもしますので! 皆さん! 張り切っていきましょう!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 戦争始まりましたよーのんびりなんてできるわけなかった。

●フラグメント詳細
 第1章:ボス戦『常冬アイドル・ダイヤモンドダスト』
 普通にボコすればいい気もしますが、せっかくなのでワルいことでもして遊びましょう。
 魔界議員を味方に付ければ、猟兵に有利な「特別措置法」を作れるようです。効果はこのシナリオに限られますが。
 議員買収、あるいは議員をボコして賛成票を消し去るなんかも有効っぽいですのでとにかく好きなように暴れまくれー!
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第1章 ボス戦 『常冬アイドル・ダイヤモンドダスト』

POW   :    ブリザード・フォルティッシシモ
自身の【歌唱力以外の全て 】を代償に、1〜12体の【氷の歌声を共鳴・増幅させる巨大スピーカー】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD   :    「永遠の冬にご招待☆さあ、ライブの始まりだよ!」
自身が【美しく歌って踊って 】いる間、レベルm半径内の対象全てに【絶対零度の猛吹雪】によるダメージか【雪に埋もれ凍りつく、永遠の眠り】による治癒を与え続ける。
WIZ   :    超巨大アイドル☆冬よ永遠に
【とっておきの歌 】を使用する事で、【はるか彼方まで歌声を届けるスピーカー】を生やした、自身の身長の3倍の【暗闇の中、光り輝く超巨大アイドル】に変身する。

イラスト:ジョンハッピー

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠チリー・スティーリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

地籠・陵也
【アドリブ連携歓迎】
悪魔たちはデビルキング法に基づいたブラック企業勤め三昧のハズ、きっと議員も似たようなものだろう。
ここは【多重詠唱】で【指定UC】と【破魔】の魔術を使い、悪魔的パワーと共に理性を弱め、もふ欲に忠実にさせることで支持を得られないかやってみよう。

うんうん、お金はいくらあっても足りないものな。気持ちはわかるぞ。
だがせっかくならもっと可愛い子にお金を貢ぎたいと思わないか?
(子猫を掲げる)
見ろうちの子猫を。可愛いだろう?もふもふだろう?
でも触らせてくれないんだろって?とんでもない!うちの猫はもふもふフリーだ。
支持してくれるなら毎日もふもふしていいし、何なら法律で措置するぞ。



●もふもふ万能説
「今日はー特別大サービスぅー、とっておきの歌を披露しちゃうからさっさと可決するんだよぉ!!!」
「うぉぉぉぉ! ダイヤモンドダストちゃんKA・WA・I・I!!!!」
 どどん! と態度も体も三倍でスピーカーも生やした巨大アイドル、ダイヤモンドダストの登場で魔界議会のボルテージは最高潮に達していた。季節を問わずウィンターコーディネートな衣装と見えそうで見えない鉄壁スカートが一推しポイントなのだとか。
 そんなライブ会場と化した議会場の最後部の扉から進入した地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)はぎゃんぎゃん唸るスピーカー音に耳を押さえながらそっと議員達に近づいていく。
(悪魔達はデビルキング法に基づいたブラック企業勤め三昧のハズ、きっと議員も似たようなものだろう)
 安い報酬で支持者の為にあくせく働いて、しかし少しでも不満があろうものなら鞍替えでバッサリ捨てられる。顔の痩せた議員達がちらほら見受けられるのはそんな事情もあるのだろう。真面目が不憫とは世知辛い。
 そんな議員でも議席としての一票は変わらないので陵也は狙いをつけていた。
「そこの議員さん、ちょいと話を聞いちゃくれないか?」
「な、なんだい、君……て、手短に、頼むよ……」
 今忙しいオーラを迸らせているが話は聞いてくれるという生真面目さ。今日日デビルキングワールドで生き残っているのも不思議な種族である。
 そんな彼に必要なのは、推しをひたすら推すという行為から齎される癒し。故にダイヤモンドダストの演説に傾倒しているわけだが、陵也はそんな心の隙間を突いていく。
「うんうん、お金はいくらあっても足りないものな。気持ちはわかるぞ。だがせっかくならもっと可愛い子にお金を貢ぎたいと思わないか?」
「……え?」
 この世にダイヤモンドダストより可愛い存在があるのか――井の中の蛙である議員に、陵也はずいっと子猫のエインセルを掲げてみせた。
「見ろうちの子猫を。可愛いだろう? もふもふだろう?」
 愛くるしい瞳、愛嬌のある表情、もふもふの毛並みは愛でるに相応しき存在だ。議員は目を奪われて固まっている。
 可愛い、もふもふ、可愛い、もふもふ、可愛い、もふもふ――陵也の言葉が議員の頭に反響している。推すべきは誰か。議員の信念が揺らいでいるのが表情から読み取れて、陵也はここぞとばかりに攻めていく。
「でも触らせてくれないんだろ、って思ってるな? アイドルは見ることはできても触れないもんな……だがうちの子猫は違うぞ! もふもふフリーだ! 支持してくれるなら毎日もふもふしていいし、何なら法律でもふもふ措置をとってもいいぞ」
「そ、そんなことが……あぁ……!!」
 陵也が放ったとどめの一言で議員は膝から崩れ落ちていた。この世にはダイヤモンドダストより可愛いものが存在する――。
「もふもふ……万歳っ……!!」
 次に議員が力強く立ち上がった時、彼の心はもふもふ一色だった。議会場に異を唱える声は殊の外良く響く。
「もふもふは……いいぞ……もふもふ、万歳……万歳!!」
 同じ言葉を繰り返すばかりの議員の主張。だが同じく――荒んだ心の拠り所をダイヤモンドダストに求めていた者達がいたのだろう。もふもふという言葉がすっと彼らの心に染みていき、癒しを与えて賛同者にしていく。
「もふもふ万歳!!」
「もふもふ万歳!!」
「ちょ……はぁ!? アタシの5000兆Dは!?」
「そんなものは最初から無い!」
『にゃーん!』
 まるで息を合わせたかのように陵也が高々掲げたエインセルが一つ鳴き、議会場を包み込むオーラが放たれた。議員達はエインセルの愛嬌、そしてもふ欲に満たされて浄化される。
「いやあぁぁ何これ!? ひいいぃぃぃ!!」
 オーラの質は明らかに彼女の天敵。灼けつく全身に痒みが生じてダイヤモンドダストは居ても立っても居られなくなる。生えていたスピーカーがボボンと黒煙を上げて爆発し、元の姿に戻ったダイヤモンドダストは半泣きで体を掻き毟っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬飼家・ヤング
さすがデビキン、アイドルも癖強すぎやの
「これいくら? 100万円!」ってナニワジョーク使ってくるとか!(違)
まあメタな話、いくら推し活いうたかて貢げる金に限度はあるわ

それにしても……これはまたデカい嬢ちゃんやのう
この大音量で歌まで披露とか、わいの芸人魂も燃えてきたわ
ほんだらわいも渾身のギャグでコラボしたるでー

「ホッカイドーはでっかいどー!」
(しーん……)

え、なに直立不動で固まっとんのん?
立ったまま寝るとか、それ新芸?新ネタ?
「根室で眠ろ」とかそんな感じの!

ごめんな…わいもビンボーやさかい
「プレゼントもハコダテ(箱だけ)!」
(放送事故通り越して虚無)

はっ、隙だらけ
「アカン子には阿寒湖パーンチ!」



●ナニワの鉄板
 デビルキングワールドのアイドルはスケールが違った――物理的に。
「5000兆D……簡単に諦められるわけないし!!」
 議会場の雰囲気は薄らアウェー。しかし諦めが悪いのがワルである。ダイヤモンドダストは再び立ち上がり、歌を遍く世界に届ける姿へと変身する。その様子を議会場の隅で見ていたちっさいおっちゃんこと馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)。
「さすがデビキン、アイドルも癖強すぎやの。『これいくら? 100万円!』ってナニワジョーク使ってくるとか!」
 意図するところは違うはずだが、妙な親近感に一人頷く。
「とは言うても……いくら推し活いうたかて貢げる金に限度はあるわ」
 演説台のある議会場最前部に下りていくまでにヤングは至極真っ当なことを述べていたのだが、生憎議員達はスピーカーから流れ出る大音量の音楽と良心から来る葛藤に苦しんでいて聞こえていないのだから世の中はそんなに都合良くできていないようだ。
 そのヤングとダイヤモンドダストの身長は今や10倍ほどの差がある。近づいてみれば差は際立つ一方で、大音量過ぎて声がまともに声として聞こえていない。
「それにしても……これはまたデカい嬢ちゃんやのう。この大音量で歌まで披露とか、わいの芸人魂も燃えてきたわ。ほんだらわいも渾身のギャグでコラボしたるでー」
 ヤングは両腕をぐるぐる回し、数度屈伸を挟んで念入りに準備運動。声を張るという動作は全身を使うのでこれは大切なことだ。
 ダイヤモンドダストの歌がサビに入る。その直前の僅かな間奏。盛り上げるならここしかないというタイミングで、
「ホッカイドーはでっかいどー!」
 決まった――内心ガッツポーズだが、議会場にはメロディーが虚しく流れていくだけ。ヤングが議会場に放り込んだのは冷凍弾というような代物で、常冬アイドルのダイヤモンドダストが固まって黙り込んでしまうレベルなのだからその威力はある意味計り知れない。
 ざわつく議会。何かおかしい――ヤングがこの場で認識できるのは、笑いは一つも起こっていないということだけ。
「え、なに直立不動で固まっとんのん? 立ったまま寝るとか、それ新芸? 新ネタ? 『根室で眠ろ』とかそんな感じの!」
 デビルキングワールドとは縁もゆかりもない何処かの地名の話。俗にいうおやじギャグとして認識されているかも怪しいが、そんなことなど露知らず。
「ごめんな……わいもビンボーやさかい『プレゼントもハコダテ!』」
 畳みかける。唐突な貧乏話はプレゼントが箱だけと――などと解説できる者がこの場にいようか。
 そんな独壇場。いつしか曲の二番が終わって長い間奏に入っていたが、ダイヤモンドダストに春が訪れるのは果たしていつになるやら。重ね掛けされた氷結ギャグは生半可ではない。
「……はっ、隙だらけ!」
 そして一人使命を思い出すのだから不思議なもので、ヤングは準備運動で慣らした腕をぐるぐると回し、
「アカン子には阿寒湖パーンチ!」
 渾身のパンチをブーツの上から脛に叩き込む。命中した瞬間にダイヤモンドダストの体から生えていたスピーカーは悲鳴を上げるように爆発し、彼女自身は受け身も取れずに倒れて全身を強か床に打ちつけたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが、たぶん今回は関係ない

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
今回、陰海月のノリについていけるのがこの人くらい。

(転移後、即UC使用)
陰海月…張りきってるんですよー。ええ、これだと四天霊障も極彩色ですしー。
何より、四人全員で陰海月守るための結界張れますのでねー?
最近、熱心に躍り動画見て練習してると思ったら…。


陰海月、ノリノリで目に悪いくらいの速度、色移り変わりでワルさアピール。ダンスダンス。
暗闇になったら、『ぼくも目立てるもん!』とさらにカラフルに光る。
さらにぴかぴかな光珠飛ばして、ぺちぺちする!
カラー数多い方が勝ちだもん!ぷきゅ!



●ゲーミング極まれり
 三度目の正直であった。ダイヤモンドダストが巨大化してのパフォーマンスは議員達も多少耐性がついたのか、耳を塞いで抵抗する者が出てくる。
 それでも5000兆D欲しい気持ちを諦められないダイヤモンドダストのステージに乱入者である。
 それは――クラゲ。クラゲだ。もとい馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はこの度、ついに陰海月と合体し、1680万色に輝く呪詛を纏いながらのダンスダンスの革命であった。
「いやああああ!!? 何あれ!? 目がああああ!!」
 目にワルい……それがワルかはさておき、そうでなくとも強烈過ぎるゲーミング発光はダイヤモンドダストの集中力を断ち切るほどの威圧感で発光している。この日のため(?)に練習していたダンスはキレが良い。それだけにゲーミング発光も威力を増して、議員達は陰海月を直視することができず全員蹲ってしまっている。
 ダイヤモンドダストも暗闇で発光する力を持っているが、こちらは相対的に目に優しくなってしまった単色だ。何てことはない。圧倒的な発効力で塗り潰してしまって最早陰海月しか存在していないくらいだ。
 陰海月から光珠が発射される。これもまた同じようにゲーミング発光で目にワルさ倍プッシュで飛んでいく。軌道は別段変化の無い直線的なものであったが、ダイヤモンドダストは直視できないので為すがまま食らうしかない。
「いだっ!? いだっ!! ぎゃああ……うえぇ、気持ち悪……」
 肉体的ダメージと精神的ダメージでダブルノックダウン。ダイヤモンドダストは巨大化を解いて吐き気と戦い蹲っている。
 歌うことすら許さない。発光ダンス勝負は陰海月の完勝であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宵空・鈴果
これは挑まなければならない気がしますりん☆
りんかとしてはステージジャックを試みますりん☆
議員たちをファンにして票を掻っ攫いますりん☆

まずは詠唱ハンググライダーで滑空して登場して注目を集めて、インカムマイクでの歌唱で勝負りん☆
でね、そしたら相手は〜、歌唱でさらに対抗するはずりん☆
しか〜し、人の心を魅了するのは歌だけにあらずりん☆相手の歌に合わせてりんかはダンスに力をいれますりん☆
一見アイドルのコラボレーション…と見せて。スターライト・ビーム☆
まばゆい星々で相手の姿をステージ上で見えなくしつつ、その熱で歌も妨害しますりん☆
このまま何食わぬ顔でりんかは歌を再開して歌と踊りで人気を横取りですりん☆



●踊らないけど歌って燃えるアイドル
 度重なる猟兵達の攻撃、妨害でダイヤモンドダストのアイドル力は落ちるところまで落ちている。そんなタイミングを図ったかどうかは定かではないが、議会場の扉をバンと跳ね開けて宵空・鈴果(星と月のエアライダー・f37140)の登場だ。
 髪飾りにもなっている詠唱ハンググライダーを広げて颯爽とステージに向かって飛翔する。昨今のアイドルとはステージパフォーマンスにも力を入れており、登場シーンの空中パフォーマンスは定番中の定番だ。議員達は空飛ぶ鈴果の姿を食い入るように見つめながら、演説台、もといライブステージに着地するのを見届けた。
「みんな〜、こんにちりん☆ 夜空にキラめくエアライダー♪ りんかですりん☆」
「「「おおおおおぉぉ!!」」」
 議会場が沸いた。元々アイドルステージと化していたこの場ではアイドルの登場大歓迎。もちろん、ダイヤモンドダストただ一人を除いて。
「はぁっ……はぁっ……うぐぐ…………アタシの、歌を、聞けええぇぇぇ!!!」
 ダイヤモンドダストはなりふり構っていられなかった。アイドルとしての歌唱力を全て捨てて、氷の歌声を共感・増幅させる巨大スピーカーをどん、どん、どんと周囲に配置していく。これで議会場全体に歌声を届け、魅了を強める作戦のようだ。
 曲が流れ、ダイヤモンドダストの歌が始まる。やはりアイドルパフォーマンスはいいものだ――原点回帰した議員は、歌唱力のみに特化したことでオブリビオンとしての邪悪さを失ったダイヤモンドダストの歌を心地良く聞いている。毒気が抜けたことで却って効果が強まっていたのだ。
「なかなかの強敵りん……しか~し、人の心を魅了するのは歌だけにあらずりん☆」
 ダイヤモンドダストのステージは歌以外の一切を捨てている。例えばダンス。昨今のアイドルは歌って踊れてナンボだがダイヤモンドダストは棒立ちでただ歌うだけ。それでも歌唱力全振りなら何とかアイドルとして成立しているのだが、ダイヤモンドダストが歌う姿を尻目に鈴果は相手に塩を送るダンスパフォーマンスを始めた。
 即興ダンスだが曲のメロディーは瞬時に把握しており、くるくる回ったり跳びはねたりと躍動している。議員達の耳はダイヤモンドダストに奪われ、目は鈴果に奪われた。
 これぞアイドルコラボパフォーマンス。――だが、これでは何の為に鈴果がここに来たのかが分からない。
「あなたもきらきらにデコレーションしてあげるりん☆」
「え……」
 間奏中に鈴果は唐突に宣言し、ダンスに合わせて周囲に生まれていたティンクルスターからビームを放った。コラボパフォーマンスの快感に浸っていたダイヤモンドダストは完全に虚を突かれた格好でビームを全身に受けてしまい、眩い星々が彼女を包み込んでいく。
「熱っ……熱いぃぃぃっっ!!」
 星々の発光は多大な熱エネルギーを生じてダイヤモンドダストを灼いていく。歌唱力以外の一切を捨てているため防御力は零に等しく、全身炎上状態では歌うこともままならない。よって歌唱力も零。
「あれー? ダイヤモンドダストりんが歌えなくなっちゃったみたいだから、ここからはりんかが歌と踊りを披露するりん☆」
 鈴果は燃え上がるダイヤモンドダストの正面に躍り出ると、その炎をバックライトに鈴果・オンステージを繰り広げる。
「「「うおおおおぉぉぉ!!!」」」
 歓声はすでに鈴果の物になっていた。5000兆D? 知らない子ですね……議員達はアイドルに新星に満足しきって鈴果のパフォーマンスに熱中し、後方で燃え尽きるダイヤモンドダストのことは頭からすっかり消えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月02日


挿絵イラスト