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濁りて散る桜

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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 桜の木の下には死体が埋まっている、なんて噂はよく聞くことだろう。そんな噂に纏わるありふれた物語。

 わたしには貴方しかいなかった。
 なのに貴方には別の相手がいたの。
 だから......。

 恋多き女が"本気"で愛した男がいた。初めて抱いた恋情が醜く変化するのに長く時間はかからなかった。
「どうして他の女と仲良くするの?」
 男にとっては遊びであった、本命である存在がいた。ただそれだけ。それだけだからこそ許せなかった。
 もっとわたしを見て欲しい。わたしに笑いかけ欲しい。貴方が見てくれるなら他の男に手を出してもいい。最後に貴方が隣に居てくれるなら。
 それなのに、どうしてわたしの所に来てくれないの?

 2人が愛情を育む影で女はただ1人嫉妬で心を燃やしていた。


「......そうして、嫉妬で支配された女は2人を殺害、死体を桜の木の下に埋めて自分も死んじゃいましたとさ」
 女って怖いね。話を簡潔に纏めて話したキリノ・サーガスラーフ(戯れの衝動・f19569)はぼそりと呟いた。
「今回はちょっと特殊でね、『魂鎮メ歌劇ノ儀』っていうのを用意してくれてるみたいなんだよね」
 明確な悪事を働くわけではないが放置していると世界の崩壊を招いてしまう影朧。強力な影朧の出現を予想した帝都桜學府が用意した儀式魔術。それが"魂鎮メ歌劇ノ儀"である。
「いつも通り倒すんじゃなくてさ、相手の過去のストーリーを演じながら戦うんだよ」
 舞台照明とか諸々はあっちで用意してくれるから、どんな役になって戦うかは考えてね。
 他人事のように語ったキリノの表情はいつもの笑顔ではなかった。口角だけが少し上がった、偽りの笑顔。
「......改めて説明するよ。今回の相手は俗に言うクズ男に引っ掛かった女。その女もまあ恋多き女だったらしいけど......本気で恋しちゃったんだよね。もうこの人しかいない!って思っちゃったんだ」
 でも、と彼は説明を続ける。
「男もクズな訳よ、勿論他に相手がいるわけさ。その時は本命がいたっぽいけど、少なくとも女とは遊びで付き合ってたのさ。ただ女もバカじゃないからね、自分も別の男を引っ掛ければ嫉妬して振り向いてくれるかもとか考えた。なんなら実行した。でも無理だったんだ。だって相手にとっては本命じゃないんだもん」
「......ざっと説明するとこんな感じ。さっきも言ったけど物語のどの役を演じるかは自分で決めてね」
 じゃ、後は任せたよ。
 手を振って彼はグリモアを展開した。


朔吹雪
 とても久しぶりに書きました。朔吹雪という者です。

 今回は通常の3部構成のシナリオです。
 1章は集団戦、過去のストーリーの流れに乗りながら役を演じ、群れの向こうにいる影朧に届くよう、雑魚の群れを蹴散らしていきましょう。敵の宿主は知らない少女達。おそらく男が引っ掛けていた......。
 2章はボス戦、役を演じるかは自由です。影朧と語らいながら戦いを進めてください。
 3章は日常、消えゆく影朧を送り届けてあげてください。舞台装置等自由に使えます。

 それでは、今回も頑張っていきましょう。
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第1章 集団戦 『死に添う華』

POW   :    こんくらべ
【死を連想する呪い】を籠めた【根】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【生命力】のみを攻撃する。
SPD   :    はなうた
自身の【寄生対象から奪った生命力】を代償に、【自身の宿主】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【肉体本来の得意とする手段】で戦う。
WIZ   :    くさむすび
召喚したレベル×1体の【急速に成長する苗】に【花弁】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 綺麗な花束を貴方にあげる。
 貴方の為につくったの。

 花に寄生された少女でつくられた"花束"の中で女は笑う。
 それはとても哀しそうに笑う。

 貴方好みの花を集めてつくったのよ。
 だから、わたしも......。
津崎・要明
(屑野郎、ねえ。)

あー、これ以上俺に付き纏うな。お前からは俺と同じ匂いがするんだよ、ゴミ屑の匂いが。

彼女は違う。綺麗な場所で大切に育てられたひとだ。最初はその偽善者振りを引き剥がして堕としてやろうと近付いたのに、違ったんだ。彼女は本物の・・・俺にとっては「光」だよ。

お前、付き合ってる奴他にも居んだろ?そっちにしろよ。
俺の邪魔をするな、あっちに行くんだよ。明るい方へ。
ゴミはゴミらしく掃き溜めで、好きなだけ似合いの相手を漁ってろ。じゃあな。

攻撃をバリア(結界術)で防ぎ、受け流しながら戦う。
UC使用、寄生された少女たちを【Axion Laser】で解放しよう。

失恋は辛いけど、他人を巻きこむなよー



●拒絶
 ──あるところにそれはそれは惚れやすい少女がいた。相手を作ったとしても長続きすることはなかった。直ぐに他の男に目が移ってしまうからである。気づけば相手が数十人いたなんて事もあった程。
 そんな彼女を本気にさせたのは同族とでも言うべきなのかはたまた......。

「これ以上俺に付き纏うな。お前からは俺と同じ匂いがするんだよ、ゴミ屑の匂いが」
 冷たい言葉で突き放された少女。彼女にとっては初めての経験だった。
「どうして?こんなにわたしは貴方の事が好きなのに!」
 分からなかった。なぜ彼は自分を選んでくれないのか。
「さっき隣にいた子は誰?わたしの方がかわいいでしょ?だから、ねえ。好きって言ってよ!」
 気づけなかった。彼が自分に向ける侮蔑の眼差しにも。
「......お前それしか言えねえの?」
 冷めきった表情で此方を見る彼はもう、彼女の知っている彼ではなかった。
 
「隣にいた子は誰?って、見りゃわかんだろ。本命だよ、ほ、ん、め、い。どうせお前も俺と同類なんだろ。分かるよな?」
 彼も彼女と同類だった。相手を複数人作り、飽きたらさようなら。2人は屑同士猫を被りあい仲良くしていた......筈だった。
「だがな、彼女は違う。綺麗な場所で大切に育てられた人だ。最初はその偽善者振りを引き剥がして堕としてやろうと近付いたのに......違ったんだ」
 傷を嘗め合うか、猫を剥がされ絆されるか。
 それが彼女と彼の運命を分けたのかもしれない。
「彼女は本物の......俺にとっては『光』だよ」
 彼はもう、彼女とは分かり合えない。

「お前、付き合ってる奴他にも居んだろ?そっちにしろよ」
「邪魔をするな、俺はあっちに行くんだよ。明るい方へな」
「ゴミはゴミらしく掃き溜めで、好きなだけ似合いの相手を漁ってろ」
「じゃあな」
 彼女にとっての本命は自分を理解してくれる人であった。類は友を呼ぶように。
 だが理解者は遠くへ行ってしまった。彼女を置いて、別の人と。
 だからもう、彼女には彼の言葉が理解できない──

「......効いてるっぽいな」
 花束の中央の影朧、物語の少女が狼狽えるのが少し見えた。
 今回の主演、屑男を演じた津崎・要明(ブラックタールのUDCメカニック・f32793)周りの花の攻撃を防ぎながらの演技であった。
 結界で襲ってくる少女達を受け流しつつ、寄生している花だけを撃ち抜くコロニーレーザー『Axion Laser』で少女を解放していた。
 普通のレーザーであれば少女達を避けて花だけを狙う必要があった。だが、彼の『Axion Laser』は悪だけを撃ち抜く!少女達は無傷で解放することが出来たのだ。
 花だけが焼かれ、彼女の花束が小さくなっていく......。

 屑野郎ねぇ......なんて同じ男として思うところはあっただろう。ただ、今回の敵はそいつではない。そいつと同類だった、屑女のはなし。
 最後は演技の中ではない、要明の言葉で突き放すのだ。
「失恋は辛いけど、他人を巻きこむなよー!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィーナ・シェフィールド
愛しい人と添い遂げられない切なさは理解できますが、
他人を傷つけるのは、やっぱり良くないです。

付き合っていたその他大勢な女の人の役を演じましょう。
「彼は、ひとときの夢を、幸せな時間を与えてくれた人」
わたしは大好きだった。でも、彼にとってはそうではなかった。

他に好きな人がいても、それはしかたないの。
わたしの一番でも、あの人の一番では無かった。それだけのこと。
「だから、ね。」
必要なのは、その想いを思い出に変えて、次の一歩を踏み出すこと。
願わくば、その失恋の痛みを、強さに変えられますように。

破魔の歌声に、わたしの想いを乗せて、モーントシャインを変じた彼岸桜の花びらと共に、死の華へ向けて放ちます。



●諫止
 ──彼女が想う彼には取り巻きが大勢いた。最愛になれないのは承知の上の者が大半であったという。
 愛する者の隣に居られるのは一時の間。それでもよかったのだ。恋は盲目などと言うだろう。
 ただ、稀に居るのだ。堪えられないものが......。

「......え?わたし?勿論大好きだったよ」
 儚げに笑う1人の少女がいた。
 少女は彼女と同じ、男に遊ばれ、捨てられた少女。
 彼女は少女に同意を求めていたのだ。同じ境遇、同じ心情。そう信じて疑わなかったから。
「そうでしょ?わたしだってそうよ!だから一緒に......」
 信じて疑わなかった筈なのに、少女の顔を見るなり言葉を失ってしまった。気付いてしまった。自分と少女の相違に。
 口から言葉が出てこなくなった。

「わたしにとって彼はほんのひとときの夢を、幸せな時間を与えてくれた人。それが刹那の夢なんて分かってたわ。だって見てれば分かるもの。わたしは大好きだけど、彼にとってはそうでなかったことなんて」
 そう語る少女に激情など一欠片もなかった。声色は穏やかで、表情は柔らかい。とても同じ境遇とは思えなかった。この少女もつい昨日まで彼と一時も離れないような生活を過ごしていた筈なのに。どうしてそこまで落ち着いていられるのか。
「仕方ないの。わたしの一番でも、あの人にとって一番じゃなきゃ意味がないわ。そんな独り善がりで彼を縛り付けられない。そう、仕方ないこと」
「だから、ね。必要なのはその想いを思い出に変えて、次の一歩を踏み出すこと」
 その通りだとは思った。だが、どうしても理解が出来なかった。何か言い返してやりたかった。お前は自分と同じで捨てられたんだって、言ってやりたかったのに。
 哀しそうに笑う、触れたら消えてしまいそうな少女に、ついぞなにも言うことが出来なかった。
 ......だってわたしだってこうなってたかもしれないのだから。

 歌声が響く。
 それは少女の気持ちを代弁する音。
「どうして、どうして......!」
 桜の花弁が舞い散り、辺りは更に幻想的となる。
 心地よい音色は荒みきった彼女の心に語りかけるのだ。
 ......もう、後戻りは出来ないのに──

 愛しい者と添い遂げる事が出来ない切なさ、理解は出来るのだ。フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)もまた、別の種族ではあるが大切な人がいる。人間同士ではない以上どういう未来が訪れるかは分からないが。
 理解できるからこそ、許せないのだ。
「やっぱり他人を傷付けるのはよくないですよ」
 その瞬間は達成感等に満ち溢れているかもしれない。だがその後は?消えない罪、とめどない罪悪感、溢れる絶望。どう足掻いても明るい未来などやってこない。
 フィーナは歌う。響き渡る歌声に彼岸桜をのせて。聴いたものを浄化する音色は悪の花弁をも包み込む。本体ごと浄化され花は消滅し、側には穏やかに眠る少女達。
 そして涙を流す影朧の姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

東・よるは
……どうしようもないクズですね、これは。
本気で恋してしまった為により見境を無くした浮気性の有り様。
わたくし、人を利用するクズが大嫌いなんです。

一度俯瞰して第三者を演じる他ありませんか。
私の言葉が届くか以前に、邪魔な華が多すぎました。

えっ、あなた遊びであの人と付き合ってたんじゃないの?
本当に好きになっちゃったの?

でも、遊び遊ばれて、って。
捨てられることが大前提になっちゃうよね。
わかっていても傷つくことを避けられないの、そんなの私だったら耐えられないなあ。

…それでも添い遂げたいんだね。
応援してるね。

華は浄化の技能を込めた閃夜によるUCで切断してしまいましょう。
まったく、何が『応援してる』ですか!



●自沈
 ──端から見ればどうなのか、本人達が知る由もない。ただ自分の思うがまま、欲しいものがあれば奪ってでも獲るだけ。どれだけ本気なのかなど当事者以外には些細なことなのだ。
 そう、とても些細なこと......。

「えっ、あなた遊びであの人と付き合ったんじゃないの?本気で好きになったの?」
 先程まで彼女の話を興味なさげに聞いていた少女はとても驚いていたようだった。
 彼女にとっての少女は決していい理解者などではなかった。自分の行いをそれとなく注意してくるが、強くは止めない。それが悪であることを理解しながら、彼女が進む背中へ静かに手を振る。それは彼女の性質を理解しての行動なのか、はたまた......。
「そ、そうなの!だから応援してほしくて」
 そんなことこそ、彼女にとっては些細なことだろうか。自分を肯定してくれる相手さえいれば正しいと思える。いや、自分が正しいのだから肯定されなきゃおかしい、とまで思っているかもしれない。
 だから今回も彼女は少女に肯定されに来たのだ。
「んー?......でもさあ」
「......どうしたの?」
 だが、違った。
「いやー、あなたも彼も結構遊びまくってたからさ」
「な、何が言いたいの?」
 どうして。
「遊び遊ばれってしんどくない?」
 わたしを肯定してくれないの。

「だってさあ、その関係って捨てられることが大前提になってくるよね」
「で、でも彼だってわたしのこと好きな筈で」
「あなたが彼に本命がどうのって言ってなかったっけ」
「それはそうだけど」
「わざわざ傷つきにいくの?分かってるのに?私だったら耐えられないなあ」

「わたしだったら耐えられる!ていうかそもそもわたしが彼の一番になるんだから!あなたは黙って応援してて!」

 いつもと違う展開に、いつもはしないような会話につい彼女は声を荒げてしまった。はっとしたときにはもう遅い。穏やかだった少女との間に冷ややかな空気が流れる。
 それでも少女は笑っていた。
 否、笑っているように見えるだけだった。
「......それでも添い遂げたいんだね」
 彼女が少女の事を真っ直ぐちゃんと見たのはいつ以来だろうか。友達だと思っていた、筈だった。いつから少女の目をちゃんと見なくなったのだろう。
「あ、えっと......」
「いいよ、応援してるね」
 あなたの恋が叶うこと。
 一番欲しかった言葉をかけられた彼女は、少女の冷ややかな眼差しに恐怖した。
 彼女はまた1つ、破滅へと進んでいく。
 それが自らの首を締めると気づくには、もう遅すぎたから──

 彼女は泣いていた。周りに花束には似つかわしくない醜い花を添えて。
 彼の為、彼への復讐の為の花は今になっておぞましいモノに見えてきた。だからなんだ、彼女にどうすることもできる訳ではないし、どうする訳でもない。暗闇の中から出られないのだから。
 そう、この花に埋もれていくだけ......。
「なればこそ――世を斬る學徒より言伝を......!」
 その花束へ、一閃。
 光輝く一筋の斬撃は醜さの象徴を浄化し、消していく。
 少女は、幾分か救われた気がした。何故なのかは自分でも分からないが。
 その花束の外で、意識を朦朧とさせている東・よるは
(風なるよるは・f36266)は見ていた。UCの代償として動けはしないが、仕事は全うした。花を浄化し、影朧の心を救おうとした。
 人を利用するクズなんて嫌い、言葉が届くとは思えないそれでもよるはは演じた。"クズを応援する少女"を。
 削れた意識が少しずつ戻ってくる中に、役の中では"友達"だった者をみた。
 何が『応援してる』ですか!わたくしは......。
 言いたい言葉をこらえ、彼女の行く末をまた見届ける事にした。

成功 🔵​🔵​🔴​


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※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「相原きさ」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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ナーダ・セッツァー(サポート)
顔を隠し、喪服に身を包み、兄弟と半分に分けたロザリオを身につける。
兄弟と同じ装丁の仕込み杖を持ち、隠すのは槍。
オラトリオの翼は出さない。
髪に咲く花は山荷葉。

弱者を救済し、悪を裁く。
全ては亡き我が神のため。
憐れなるモノに神の御加護を。
その為ならばこの身が、手が紅く染まろうと悔いはない。

尊大な口調だが他人を下に見ている訳では無い。
他人には他人の価値がある。
だが我が神を侮辱するのは万死に値する。
神のみもとに逝くがいい。

戦闘は仕込み杖(槍)での肉弾戦、又は硝子のような山荷葉の花を風に舞わせて切り刻む。
回復?殺られる前に殺れば必要ないな。



 なんと哀れな……。
 喪服を着た彼女は、そっと彼女に寄り添う。
「あなたは、どうして来てくれたの?」
「君の持つ花を愛でに……それと、辛い思いをしたようだな」
 彼女の手を取り、喪服の女はじっと悲しむ彼女を見つめた。
「あなたに……わたしの気持ちがわかって?」
 その言葉に真摯に向かうように、喪服の女は言葉を選ぶ。
「私は君ではないから、気持ちを理解するのは難しいだろう。けれど……」
 言葉を区切って、喪服の女は続けた。
「君の心に寄り添うことはできるはずだ。君の支えになれたらと思う」
「……優しいのね」
「君はそれに値する大切な人だから」

 そのヴェールの下で、ナーダ・セッツァー(地に満たせ神の威光・f35750)は、内心、どっちもどっちだと思っていた。見抜けなかった女も悪いし、もっと悪いのは、彼女を振った男だろう。
 だが、そんな弱者に寄り添うことも、今は亡き神のため。
 近づいてくる彼女の生み出したであろう、『花束』を見つけ、有無を言わさぬ勢いの花の嵐で切り刻んで見せたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

白嶺・踊子
殺した少女の役に挑戦してみるわ。
新体操アスリートの演技力の見せ所ね。

●くさむすび
敵の召喚した【急速に成長する苗】の群れを恋多き少女の相手の男達に見立てて演じるわ。

UC「寵姫の瞳」の魅惑の視線で敵の群れを魅了して…
恋多き少女と彼女を取り囲んでちやほやする男達とを表現するわ。

一体ずつ戦って、彼らとのデートを重ねても満たされない思いを表して。

多くの敵に周りに囲ませて、
こんなに多くの男達が私の虜になっているのに
なぜ彼だけは振り向いてくれないの!と叫んで…

魅了した敵を同士討ちさせて、
少女を巡って争う男達を表現させて。

最後に残った1体に「引っ掛けた別の男」の役を与え、
わざと苦戦して、
私が他の男に奪われそうよ?早く奪い返しに来て?
と彼の嫉妬を誘う姿を表現。

それでも彼が振り向かないと知って…
どうしてなの?そんなにあの女が良いの?
許せない…!

彼が嫉妬しないなら、貴方はもう用済みよ。さっさと消えて。
最後の1体を倒して、嫉妬に歪んでいく狂気を表すところまで。

殺されるクズ男は、敵のボスに演じてもらおうかしらね?



「あなた……!!」
 彼女の殺気に満ちた視線を感じる。
 気が付けば、周りにいた……いや、あった花達が、気が付けばあのときの男達のように見えた。
「こんなに多くの男達が私の虜になっているのに、なぜ彼だけは振り向いてくれないの!」
 たった一人を思うように少女は叫ぶ。
「それは、わたしの台詞よ!」
 そう二人が言い合っている間に、周りの男達が急に同志討ちを始めた。
 なにもしゃべらないのに、しゃべっているかのように、怒鳴っているかのようなしぐさで同志討ちをしている。自分が彼女と少女の本当の相手だと言わんばかりに。
「うるさい……やめて……」
 泣き出しそうな顔をしながら、彼女は言う。もう見たくないと言わんばかりに。
「こんなにも多くの男達に言い寄って、デートを重ねて……でも満たされなかった」
「……いや……」
 そこで少女はもう一度、叫ぶ。
「こんなに多くの男達が私の虜になっているのに、なぜ彼だけは振り向いてくれないの!」
 それは、彼女の言葉を代弁するかのよう。
「やめてっ!!」
 気が付けば、男はただ一人。それも見覚えのある顔だった。
「……ま、まさか……」
 彼女は震える。
「ああ……私が他の男に奪われそうよ? 早く、奪い返しに来て?」
 その男に襲われるかのように、少女は倒れ込む。
「そう……わたしも……そうやったの……」
 悲痛な顔を浮かべながら、彼女はぽつりぽつりと話始めた。
「それでも……」
「それでも……」
 彼女と少女の声が重なる。
「「彼は振り向いてくれなかった!!」」
 彼女は頭を押さえ、がくがくと震えた。そんな過去を振り払うかのように。
 その間に少女は、襲ってくる男を見据えながら。
「どうしてなの? そんなにあの女が良いの? 許せない……!」
 まるで、過去の惨劇を再現するかのように。
「彼が嫉妬しないなら、貴方はもう用済みよ。さっさと消えて!!」
 最後の男……いや、襲ってくる苗を一撃で倒したのだった。

 彼女……影朧が頭を押さえながら、蹲っている。
 長い黒髪を揺らしながら、白嶺・踊子(舞闘雪姫・f36103)は、嫉妬に歪んでいく狂気を表すところまで、しっかりと演じきった。
 踊子の狙い通り、影朧は苦しみ始めている。
「殺されるクズ男は、敵のボスに演じてもらおうかしらね?」
 哀れな影朧を見据えながら、踊子はそう呟くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『眠れぬ夜の夢魔』

POW   :    古人曰く、恋と戦は手段を選ばず
自身が【女性への嫉妬】を感じると、レベル×1体の【自身の半分の大きさの分身】が召喚される。自身の半分の大きさの分身は女性への嫉妬を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD   :    あなたを想うとわたしの胸はこんなに高鳴るの
全身を【薄紅色の流体】で覆い、自身が敵から受けた【ときめき】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    好きって答えてくれないなら殺してやる!
対象への質問と共に、【自身の影や足元】から【悪夢の精霊】を召喚する。満足な答えを得るまで、悪夢の精霊は対象を【拘束し、催眠効果のある毒針】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・天花です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あああああ、ああああっ!!」
 影朧は……いや、眠れぬ夜の夢魔は、その姿を現した。
 先ほどの演技で、悲しみ、苦しみ、悶えながら、猟兵達を見据えていた。
「わたしは……わたし、は……!!」
 もう戻らない彼。もう後戻りはできない自分。
 気づけば彼女は、涙を流していた。
 桜の舞う舞台の上で、クライマックスはもうすぐそこに。

 彼女を優しく導くのもいいだろう。
 厳しく接し、突き放すのもかまわない。
 けれど、忘れるな。彼女はここにいてはいけない存在。
 最後には、この舞台で去るものだということを。
 全てはこの場にいる猟兵達の手に委ねられている……。
明堂院・悠々子(サポート)
妖狐の陰陽師×精霊術士の女です。
普段の口調は「お狐モード(私、~くん、~ちゃん、ね、よ、なの、かしら?)」、敵には「守護者モード(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、かしら?)」です。
料理を作って他人にあげるのが好きなので、サポート寄りの動きをすることが多いかもです。
自分で戦う時は霊符を使って狐火や管狐を召喚します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
アドリブ連携◎ エログロ× あとはおまかせ。
よろしくおねがいします!



「そう……あなた、辛い想いをしたのね」
 グリモア猟兵から聞いた話を思い出し、明堂院・悠々子(人恋しお狐様・f38576)は、胸を痛める。
 彼女もいい加減な部分もあっただろう。
 けれど……だからといって、こんな仕打ちは可哀そうだと悠々子は思う。
「誰かに相談してくれれば……私の所に来てくれれば、愛を込めた料理のひとつやふたつ、ご馳走して、あなたの愚痴を聞いてあげられたのだろうけど」
 終わってしまったことを嘆いていても、仕方ないだろう。愛を持って、悠々子は優しく声をかけていく。
「わたしは……わたしは……」
 ぽろぽろと涙を流しながらも、哀れな影朧は、自身の影や足元から悪夢の精霊を召喚し、悠々子を襲ってきた。それを軽く払いのけながら、悠々子も攻撃を返す。
「『愛』にはちゃんとお返しするわ」
 |恋符『狐尾夢中』《コイフ・コビムチュウ》だ。九尾の狐の尻尾から、高命中力の大量の毛針を、その悪夢の精霊と哀れな影朧へと飛ばし、精霊のみかき消していったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

パルピ・ペルポル(サポート)
名乗るときにはフルネーム。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。
基本は隠密行動。
空中に雨紡ぎの風糸を張り巡らせて攻守両方に利用し、敵の行動を阻害したところに穢れを知らぬ薔薇の蕾を併用して行動を封じる、もしくはそのまま糸で切り裂くのが主な攻撃方法。
もしくは徳用折り紙で作成した折り鶴を筆頭に折り紙動物たちをけしかけてのかく乱兼攻撃を行う。
敵UCは古竜の骨のマン・ゴーシュで受け流す。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。
好奇心旺盛ではあるが、行動は慎重。
お宝は勿論素材になりそうな物も出来る限り確保しエプロンのポケットに格納する。
もふもふは抵抗できないよう拘束してもふる。

アドリブはご自由に。



「パルピ・ルプル・ペルポル、参上っ!!」
 そういって、飛び出してきたのは、小さなフェアリーのパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)だ。
「話は聞いてるわ! 辛い想いをしたからって、やっていいことと悪いことがあるわよ」
 諭すかのように告げるパルピの言葉に、哀れな影朧は涙を流すだけ。
「だから、新たな犠牲を生み出す前に君を止めて、楽にしてあげる!」
 それが、きっと影朧にとっての救いになるはずだから。
「わたしは……わたしは……」
 同じことばかり呟く影朧に、パルピはふうっとため息を零した。
「悲しむ暇があったら、さくっと自由になった方が楽よ?」
「でも……でもっ……!!」
 と、影朧はまた、悪夢の精霊を呼び寄せた。
「大きければいいってものでもないのよ!」
 さくさくと、|小さき故の利点《チイサイカラッテナメルナトアレホド》で、次々と悪夢の精霊達を軽やかに消滅させると。
「そこっ!!」
「あああああっ!!」
 油断している影朧へと鋭い一撃を与えていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レスティ・ルーン(サポート)
僕はエルフのアーチャー
何か事情が無い限り『サポート専用』で活動して、冒険に基づいて技能が成長していく猟兵だよ

僕は色んな世界、色んな自然の営みに興味がある
人だってもちろん自然の営みの一部さ
だからどんな依頼でも、風が導けば僕は何処へでも行くんだ

所持品やUCは全て、出身であるアックス&ウィザーズのもの。それらの助けをどう生かして、色んな世界で何処まで行けるだろう。今から楽しみだ

・UCは自由に
・争いは避けるが必要なら積極的に行動
・PCやグリモア猟兵との連携◎
・牢屋や窮地から救出される役柄◎拷問描写×
・公序良俗に反する行動×

あとはおまかせだ。どうかよろしく
風となって、僕をあっと驚くような所に導いてほしい



「僕は色んな世界、色んな自然の営みに興味がある。例えば、この世界でも」
 そう告げるのは、この世界に降り立ったレスティ・ルーン(エルフのアーチャー・f05798)だ。
「人だってもちろん、自然の営みの一部さ。だからどんな依頼でも、風が導けば僕は何処へでも行くよ。そう……君のところも例外ではないよ」
 既に話は聞いている。そんな悲しいことも辛いこともあるだろう。だからこそ、この世は面白いと感じる。
「君も自由にならないかい? 君にはその資格があるようだ」
「じゆう……」
 愛用のダガーを手に、レスティは笑みを深める。
「この世界の不思議なところだよ。この場所に囚われるよりも、風のようにいろんな場所に行けばまた、いい出会いがあるはずさ」
 こんな悲しい思い出が刻まれた場所に囚われるべきではないと告げながら。
「わたしも……自由になれる……」
 ときめくような瞳で、哀れな影朧は、全身を薄紅色の流体で覆い、自らを強化してきた。
「さて、僕も少し本気を出そうか」
 マントを外し、腰に付いた弓矢をも外した。襲ってくる影朧に、レスティは、シーブズ・ギャンビットの華麗で素早いダガーの一撃を振るうのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
 強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、19歳の女です。
 普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「私の出番? それじゃ、全力で行くわよ」
 轟木・黒夢(モノクローム・f18038)は、その拳を握り、さっそく哀れな影朧へと向かう。
(「まあ、分からないわけでもないけど……」)
 仮にもバトルゲーマーだ。そういう色恋沙汰が悲しい事件を呼ぶことくらい、ゲームを通じて、知っている。
 再び強化を施した影朧の攻撃を華麗に捌きながら、黒夢は思う。
 こんなにセンスのある戦いをしているのならば、実際に生きてた時は、もっと良いバトルができたはずだ。
(「ああ、だから二人も殺せたのかな」)
 その答えにたどり着き、黒夢は腑に落ちた。
 だが、だからといって、野放しにすることはできない。
 影朧になってしまった以上、彼女を葬り去り、新たな生を歩ませなくてはならない。
「だから、私は手を止めないわ」
「なに?」
 素手で相手をしていたが、そろそろ本気を出してもいいだろう。
「黒き炎に、飲まれなさい!!」
 |漆黒の炎術士《ブラック・ヴォルケイノ》だ。
「あああああっ!!」
 鉄をも溶かす漆黒の炎でもって、黒夢は影朧を追いつめていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

陽殿蘇・燐(サポート)
バーチャルキャラクターの寵姫×国民的スタア?いいえ、これでも(元)ラスボスな悪女NPCよ。
基本は高性能スマホを利用して、配信しつつの行動になるわね。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用するし、多少の怪我は厭わず積極的に行動するの。これでもバーチャルキャラクターだもの。
悪女たるもの、その行為は健全な世界あってこそなのよ。だから他の猟兵に迷惑をかける行為はないわ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしない。配信垢BANされちゃう。
あとはおまかせ。よきに計らいなさい(思い出した悪女ムーブ)


キマフュ出身なので、トンチキでも適応していきます。



「言っておきますが、こういう話にはとんと興味はありませんの」
 そう告げながら、ドローンで配信を開始するのは、陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)。
 ドローン中継画面の中では、燐の登場により、かなりの盛り上がりを見せているようだ。
「それなら……消えて……!」
 影朧はまた、悪夢の精霊を呼び寄せた。しかも大量に。
 燐はそれを冷たい瞳で一瞥すると。
「ええ、そうね。これが私の楽園、私の城、私の……終の場所」
 ドローンが映し出す映像の中に、「キターーー!!」といったコメントの文字が大量にあふれていく。
 そう、燐の十八番でもある|燐の築きし楽園《アクノネジロニシテサイシュウケッセンノバショ》だ。戦場内を炎纏う黒い蝶が舞い踊る、美しい世界に交換し、燐に有利な戦場へと書き換える力だ。
「なっ……!?」
「少し派手にいくわね」
 更に、燐は穢れと呪詛を燃やし尽くす大質量の蝶型炎を落とし、敵の放った精霊達を消滅させながら、影朧へと攻撃を重ねていった。
 そのド派手な戦いに、配信先のファンは、とても喜び熱狂したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バルタン・ノーヴェ(サポート)
「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタ!」
ご用命あらば即参上! アドリブ連携歓迎デース!

普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
戦闘スタイル:白兵射撃の物理系

各種武装の中から敵に有効なものを選択して用いてくだサーイ!
刀も銃器も、内蔵兵器や換装式ウェポンも、何でもOKデス!

アタック重視でもディフェンス重視でも対応可能デース!
斬り込み、爆撃、弾幕を張ったり、パリィ盾したり、臨機応変に立ち回りマース!

指定ユーベルコードが使いづらいなら、公開している他のものを使用しても問題はありマセーン!
オブリビオンを倒して、ミッションクリアのために力をお貸ししマース!



「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタ!」
 そう声を張り上げ、駆け付けてきたのは、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。
「っと、もしかして、宴もたけなわなクライマックス真っ盛りデスカ?」
 いやあ、照れマスナと、呟くバルタンに。
「だんだんどうでもよくなってきたわ……」
 ボロボロになりながらも、影朧は最後のあがきと言わんばかりに、自分の分身を生み出していく。
「自暴自棄デスカ? いけませんネ」
 お下げを揺らしながら、バルタンは言う。
「あなたには、関係ないでしょう?」
「ハイ。関係ありまセン。デスガ」
 バルタンはにっと微笑む。
「任務はしっかり執行させていただきマスヨ。相手がどうであろうとも、この一撃で仕留めマス」
「……そう。やれるものなら……やってみなさい!!」
 分身した影朧達が迫る。だが、バルタンは大きなパイルバンカーを構えたまま、微動だにしない。
「これで終わりよ!!」
「六式武装展開、煙の番!」
「なっ!? 煙!!」
 辺りは煙に包まれていく。それが、バルタンの|粉塵纏・破城槌《ヴァニッシング・バトリングラム》だ。
「そこデス!!」
 次々に分身をパイルバンカーの一撃で葬り去ると、最後に放ったのは、影朧の本体。
「……完敗ね」
 そう告げて、影朧は、その舞台に横たわったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『しあわせのひとひら』

POW   :    桜の花弁をつかまえて

SPD   :    花より団子、白亜の館で桜菓子を楽しむ桜茶会

WIZ   :    満開の桜の下、あなたと一緒に

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 長かった舞台もこれで終わり。
「わたし……ちゃんと、やり直せるかしら……」
 猟兵達を見つめながら、影朧は最後の時を迎えていた。
 桜舞う、美しいその舞台に相応しい終わりを。
 それが終わったら、桜の下で思い思いに過ごすのも良いだろう。
 まずは、目の前に消え入りそうな影朧を見送ってからだ……。
雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「ええ、きっとやり直せるわ」
 そう、影朧の手を取って、雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)は告げた。
「……できる、かしら……」
 桜が舞い散る中、かすみはこくりと頷き。
「なんでも前向きにとらえたら、きっとうまくいくわよ。どんなことでも、前を向いて進んでいけば、案外、何とかなるものよ」
 私もそうしているしと、かすみは笑顔を見せた。
 さわさわ桜の木が揺れる。それは、消えゆく影朧の迷いを現しているかのように。
「綺麗な桜ね……」
 ぽつりと、影朧は上を見上げながら言葉を綴る。
「ええ。時間があれば、お団子とか美味しいお弁当とかを用意して、みんなでわいわいお花見したいところね。あなたは、お花見したことある?」
「前に一度だけ……」
 詳しいことは語らなかったが、恐らく彼との思い出の一つなのだろう。
 優しい目を細めながら、花びら舞う桜を眺めていた。
「よかった、素敵な想い出、あるのね」
「ふふふ」
 二人は顔を見合わせ、しばしの間、桜を眺めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

東・よるは
良いですかあなたは、

……終わってるし。
重要なことを伝え然るべき罰を受けていただく必要がありましたがこれでは……ああもう。

まあ、痛い目は見たようですから……。最後くらいは桜菓子の一つでも一緒に楽しみながら、影朧を見送ることにいたしましょう。

……本来あなたには。
輪廻より外されてもおかしくないほどの罪があります。
遊ばれていたとはいえ、人の心を弄び振り回し続け、挙句の果て殺人まで犯した。
その重さだけは、しっかりと受け止めていただきたいものでした。
あなたがクズだという事実は変えようが無い。

来世でも人の心で遊ばない、と約束出来ますね?

仕方ない。
総て超えよとよるはが叫ぶ。
真の姿……頭の桜を排した、桜色の髪の、桜の神が参ります。

UCで、あなたに慰めを。
せめて最後くらいは…良い夢でも見させてあげた方がいいのでしょうから。
先に私が演じた第三者の、夢…と言えばいいのですかね。

これで痛い程分かったよね。
でも、頑張ったね、えらいえらいって。

何故でしょうかね。
実際の彼女が言う台詞が、
それしか想像出来ないんですよ。



「良いですかあなたは……終わってるし。重要なことを伝え、然るべき罰を受けていただく必要がありましたが、これでは……ああもう」
 少し出遅れてしまったようだ。よるはは、少し頭を押さえながら、大きなため息を零して。
 けれど、まだ時間はあるはずだ。気を取り直して、影朧の側へと近づいていく。
 そのよるはの手には、桜菓子を用意して。
「まあ、痛い目は見たようですから……」
 かすみと席を変わってもらい、影朧の側に寄り添った。
「……本来あなたには、輪廻より外されてもおかしくないほどの罪があります」
 それは、影朧も理解しているのだろう、神妙な顔つきでよるはの話に耳を傾けている。
「遊ばれていたとはいえ、人の心を弄び振り回し続け、挙句の果て殺人まで犯した。その重さだけは、しっかりと受け止めていただきたいものでした。あなたがクズだという事実は変えようが無い」
 厳しい物言い。それを受け止めて、影朧は徐々に悲痛な表情へと変わっていった。
 よるはが指摘している通り、影朧はそれほどの悪事を働いてしまったのだ。仕方ないだろう。
 確かめるようによるはは続ける。
「来世でも人の心で遊ばない、と約束出来ますね?」
 その問いに影朧は。
「ええ……もうそんなことしないわ。今回で懲りたもの」
 しっかりと約束してくれた。
 ここだけの口約束かもしれない。
 けれど……それでも、影朧である彼女の言葉を信じたい。
「仕方ない。総て超えよ!」
 その声と共に、よるはは、真の姿を見せた。
 頭の桜を排した、桜色の髪の、美しい桜の神の姿を……。
「せめて最後くらいは……ね。私が演じた第三者の、夢……と言えばいいのですかね」
「……ありがとう」

 ――これで痛い程分かったよね。でも、頑張ったね、えらいえらいって。

 ゆっくりと影朧は、よるはの|只此処ニ慰メ有ラントス《タダココニナグサメアラントス》をその身に受けながら、その姿を消え失せていった。
「何故でしょうかね。実際の彼女が言う台詞が、それしか想像出来ないんですよ」
 小さくそう呟いて。

 よるはは、仲間と共にそこにいた影朧を想いながら、舞い散る桜をゆっくりと見上げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年11月11日


挿絵イラスト