ペンギン猟兵コレクション(作者 佐和
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#スペースシップワールド  #猟書家  #猟書家の侵攻  #ペンギアット・ペンギゲイザー  #リゾートシップ  #ブラックタール 


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 スペースシップワールドにもたらされたワープドライブ。
 その普及に伴い、リゾートシップを訪れる客はますます増えていた。
 しかしリゾートシップは1つではない。
 その中で、多くの客に来てもらおうと、様々な策が考えられていて。
「聞いたか? 猟兵が新しいコンテストを開いたって話」
「聞いた聞いた。猟兵コレクション、だろ?」
「マイム号の水着コンテスト。リトロスペクト号の浴衣コンテスト。
 猟兵を真似たファッション系イベントはどこも大盛り上がりだったよな」
「じゃあ、うちの船はその猟兵コレクションを!?」
「ああ。やろうと思う」
 シーナリィ号の名を持つリゾート船も、安易な人気に乗っかってきた。
「確か、部門があるんだよな。ええと……4つ?」
「お披露目服部門、普段着部門、制服部門、戦闘装備部門、だったな」
「うちのウリは立体映像装置だろ?
 だからそれで、4部門の会場を、ステージ上に映し出したらいいんじゃないかと」
「いや、いっそステージだけじゃなく、フロア全部とか!」
「なるほど。桜の下や、街中を歩けたり?」
「学園生活の一端みたいな演出ができるわけだな」
「それに、戦場なんかは、上手く猟兵が来てくれたら模擬戦とか見れたり!?」
「いやいや。それは望みすぎだろ」
「とりあえず、4区画、テーマ別に風景を映し出して。
 景色や、周囲の参加者の服を楽しんでもらったりする感じか?」
「コンテスト要素はどうする?」
「カメラマンが巡回して、撮影と同時にエントリーでどうだ?
 ブラックタールなスタッフなら、邪魔にならないように動けるだろうし」
「おお。それなら手軽に参加できていいな」
「立体映像の景色を楽しむ合間にどうぞ、ってわけか」
「参加賞として、好きな写真を1人1枚プリントアウトして進呈すれば……」
 そうして、新たな企画はどんどんと進んでいった。

「となると、またあのペンギンが飛び入り参加してくるわけでね」
 もう苦笑どころか呆れ顔で、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は猟兵達へと話し始めた。
 また猟兵の真似をした企画はやっぱり観光客にウケて、そこそこの集客に成功したリゾート船『シーナリィ号』だったのだが、そこにまた、呼んでもいない猟書家幹部『ペンギアット・ペンギゲイザー』が現れてしまうのだとか。
 ペンギアット・ペンギゲイザーは、スペースシップワールドを狙うオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』が目論んでいる『帝国継承軍の誕生』を実現すべく行動している者の1人であり。シーナリィ号を、集まった観光客ごと帝国継承軍のものにしようと襲ってくる……はずなのだが。
 このペンギン、銀河皇帝ペンギンを名乗るゆえの誇り高さなのか何なのか、競い合うものを見ると、その勝負に乗ってしまうのだという。
 そして、シーナリィ号では『猟兵コレクション』を模した新衣装コンテストが行われている真っ最中だったから。
 なんやかんや参加してしまうらしい。
 ペンギンの新衣装……換毛期かな?
「だから、皆の衣装でペンギンの気を惹いて、客が逃げる時間を稼いで欲しい。
 ……まあ、いつものことだね」
 まかりなりにも観光客を安全に楽しませるためのリゾートシップ。スタッフは揃いも揃って優秀だから、客の避難誘導は任せて大丈夫だという。特に、隠密行動に長けたブラックタールのスタッフ達が、こっそり大活躍してくれるだろう。
 だから、猟兵の役目は、会場をうろうろしているペンギンを引き付けておくこと。
 そして。
「客の避難が終わった頃に、ようやくペンギンは作戦失敗を悟る。
 それで、相変わらず逃げ出そうとするから、適当に倒しておくれ」
 いつもの流れを説明し、夏梅は肩を竦める。
 ちなみに、シーナリィ号はフロアに立体映像を映し出して、猟兵コレクション4部門の光景を作り出しているらしい。
 映像なので触れることはできないが、現実と見紛う程に美しい。
 それと、時折、映像の壁や障害物の部分に、区画を分けている実際の壁や柱などが重なっているようなので、見た目に通れそうな部分以外は気を付けた方がいいだろう。逆に、壁だと思って寄りかかったらそのまま何もなくて倒れてしまう、というようなこともありそうだ。
 そんな会場の様子を説明して、夏梅はまた苦笑すると。
「新衣装、私も楽しみにしているよ」
 現地には行けずとも見ているからね、と猟兵達の背を押した。


佐和
 こんにちは。サワです。
 もうコンテストといったらペンギンです。

 シーナリィ号は立体映像技術に優れたリゾートシップです。
 その技術を使って、猟兵コレクション4部門の舞台を映し出しています。

 お披露目服部門【桜】どこまでも続きそうな満開の桜並木ですね。
 普段着部門  【街】高架の線路を電車の映像が通過します。でも車はないです。
 制服部門   【門】門前だけでなく、学園内に入ることもできます。
 戦闘装備部門 【戦】バチバチしてますが映像なので実害なしです。

 どの部門のエリアで過ごすか、好きな場所を指定いただけます。
 プレイング最初に【桜】【街】【門】【戦】のいずれかを書いてください。
 各章で1ヶ所選択できます。第1章と第2章と同じエリアでも、変えてもOK。
 指定のない場合は、こちらで適当に選択させていただきます。

 第1章は、新衣装を見せびらかしつつの散策です。
 衣装をアピールしたり、景色を楽しんだりしてください。声をかけると、ブラックタールなカメラマンスタッフがどこからともなく現れて写真を撮ってくれます。
 衣装は『猟兵コレクション2022』のものでも、それ以外でも、実際にイラストがなくても大丈夫です。お好きな形で指定してください。
 猟兵は皆の注目の的なので、ペンギアット・ペンギゲイザーが片っ端から絡んできますが、適当にあしらっておけばいいです。反応しないで無視も可。
 勝手に猟兵と張り合っているその間に、察したスタッフがこっそりと観光客を逃がしてくれます。退避に関しての指示は不要です。

 第2章は猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』とのボス戦です。
 観光客達が誰もいなくなっていることにやっと気付いて、そそくさと逃げだしますが、立体映像のおかげで出口が分かりにくくなっているため、あっちこっちのエリアを無駄にうろうろします。
 ブラックタールなカメラマンスタッフがこっそり残っているので、ちょっとしたことなら協力をお願いできます。撮影依頼も可能です。

 それでは、ペンギンと4つの景色を、どうぞ。
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第1章 冒険 『猟書家とコンテスト!?』

POW肉体的な魅力でコンテスト勝負!
SPDテクニックでコンテスト勝負!
WIZ知恵を活かしてコンテスト勝負!
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


真幌・縫
マクベスくん(f15930)と♪
【街】
衣装:猟兵コレクション2022 普段着部門

ふふふ〜猟兵コレクションでマクベスとお揃いにして貰ったから嬉しいなぁ♪
せっかくだからもっと自慢したいっ!!って事でこの船でもコンテスト参加だよ〜。
キマフュポップ衣装が自慢ですっ。
とっても可愛いでしょ?

立体映像すごいね!本当にそこに居るみたい!
電車も走ってる!
…マクベスくん縫の写真ばっかり撮ってる?
むー縫もいっぱいマクベスくん撮るんだから!
(しばらくお互いで写真の撮り合いを楽しんで)
あ、マクベスくん!ペンギンさんも来たよ!
うん!ペンギンさん合うね!一緒に撮ろ!
(さらに突撃してきたペンギンも巻き込んで撮影!)


マクベス・メインクーン
【街】
縫(f10334)と
せっかく縫とお揃いの服着たんだし、いっぱい見せびらかそうぜっ♪
撮影だけじゃなくて写メも撮りたいしな

どうせなら電車通る瞬間とか撮るの良さそうだな
カメラマンさんいっぱい撮影よろしくなっ!
うーん…撮ったらやっぱグラナトさんと兄貴たちに送らなきゃだめかな?
っと、お。ペンギンが来た
縫っ、ぬいぐるみ増えたぞっ。また撮影しよーぜっ
ほらペンギンもこっち来て一緒に入れよ
俺たちのカッコにとペンギンめっちゃ合うじゃん

スマホでも自撮りで3ショット撮って…っと
あ、じゃあもうペンギン帰っていいぞ
あと俺は縫単体で撮るから
縫~っ、写メらせて♪


 大小のビルが建ち並び、アスファルト舗装の道路には白線が歪みなく引かれ、決められた場所にだけ街路樹が生い茂る。頭上に線路だけが通る高架橋があるけれど、地下へ降りる駅の入り口も見える。マンホールに点字ブロックに道路標識に街灯にと、目につくものは沢山あるけれども、どれもが当たり前で物珍しくもない、都会の街並みの光景が、目の前に広がっていた。
 これがUDCアースであったなら。
 そう。ここは地球ですらない宇宙。世界すら違うスペースシップワールド。
 そこを漂う宇宙船の1つ『シーナリィ号』の船内だった。
 船内の一角に映し出された立体映像の街は、とても虚像とは思えない程現実的で。
「すごいね! 本当にそこに居るみたい!」
 真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)は、その景色にも銀色の瞳を輝かせながら、弾む足取りで道を行き。
「ふふふ~♪」
 嬉しそうな表情から、ご機嫌で可愛い声が零れた。
 その声に、こちらも嬉しそうに破顔しながら、隣に並んで歩くマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)。
 友達同士で一緒のお出かけはもちろん楽しいけれど、何といっても今の2人は、猟兵コレクション2022で新調したお揃いの服装をしていたから。嬉しさも倍増というもの。
「せっかくだからもっと自慢したいっ!」
「いっぱい見せびらかそうぜっ♪」
 2人の意見も合致して。ファッションコンテストのようなシーナリィ号の企画に、服装に合わせた街エリアへとやってきていたから。
「カメラマンさん、いっぱい撮影よろしくなっ!」
 マクベスが見かけたスタッフに声をかければ、カメラを構えながらも黒い手の親指をぐっと立てるブラックタール。
「キマフュポップ衣装が自慢ですっ。とっても可愛いでしょ?」
 縫はくるりと回ってアピールしてから、服が良く見えるようにポーズを取った。
 前面に大きな白いロゴが入ってはいるけれどもシンプルな濃いグレーのシャツの上に、濃いピンク色にダイアゴナルチェックが刻まれた上着をだぼっと、ラフに羽織る。厚手の生地や、大きめでフリルも添えられた重ね襟がカジュアルで可愛らしい。
 春らしい淡いピンク色のズボンは、パイレーツパンツを思わせる上部が膨らんだデザインで。引き締まった足首部分にもこもこの白いファーがついている。さらに、パンツには大きな花柄模様が立体的にあしらわれ。腰の部分にはひだの大きなスカートにも見える黄緑色の布が、内側の鮮やかな水色を時折ちら見せしながら、猫尻尾と一緒に揺れていた。
 ブーツの布地は上着と合わせ、靴底の色はスカートに合わせて。靴紐は太目のものを選んでいるから、白いリボンが大きく広がり、アクセントを添えている。
 ベルトのバングルや、腰に飾った紐飾りに連なるもこもこ毛玉、小さなポシェットの蓋にまで、ちょこんと猫耳がついているのは、縫の頭にもキマイラの猫耳があるからか。
 良く見ると、被った淡いピンクのベレー帽にも小さな猫耳が生えていて。さらに、背に広がる羽根に揃えたかのように、小さな翼も両サイドに添えられていた。
 そして、いつも一緒の翼ねこぬいぐるみのサジ太の首にも、縫とお揃いの灰色のリボンチョーカーが揺れている。
 そんな縫のファッションを、アピール通りにポップでキュートに撮影していけば。
「マクベスくんも一緒に、ね」
 ブラックタールのカメラの前に、縫がマクベスもぐいっと引き寄せる。
 デザインは縫と同じだけれども、シャツの色は白、上着は鮮やかながらも落ち着いた赤で、スカートのような布はグレー。パンツは竜の尻尾に合わせたかのような黒色で、あしらわれている立体の花飾りは青と赤の薔薇になっていた。
 可愛いポップな縫と並ぶと、カッコいいポップに整っているのがよく分かる。
 ベレー帽も同様に、猫耳と翼がついたものだが。黒色なのと、翼がマクベス自身の竜の羽根に揃えたデザインになっているから、猫耳が角のようにも見える。
 首元はいつものガーネットのネックレスを鮮やかに赤く揺らして。サジ太と揃える様にして、青薔薇の首輪をつけた赤毛猫のぬいぐるみを抱いていた。
 そんなお揃いな2人は。
 隣に並んで、ポーズを合わせて、逆に違うポーズを楽しんで。互いのぬいぐるみを差し出してみたり、入れ替えてみたりと、撮影を続けていると。
「お。ペンギンが来た」
「マクベスくん! ペンギンさんも来たよ!」
 ぽてぽてと街中を歩いている猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』の姿。
 近代的な景色の中にまるっともふもふペンギンがいると、水族館から脱走したかのようですが、それはそれ。
「ふっ。やはり銀河皇帝たる我は注目の的であるな」
 ペンギアット・ペンギゲイザーは、カメラマンスタッフがいることもあってか、やたら上機嫌でこちらに突撃して来たから。
「縫っ、ぬいぐるみ増えたぞっ。また撮影しよーぜっ」
「むっ、誰がぬいぐるみであるか……」
「俺たちのカッコに、ペンギンめっちゃ合うじゃん」
「うん! 一緒に撮ろ!」
「カメラマンさん、またよろしくな!」
 気になる単語に怒りかけたペンギアット・ペンギゲイザーを、楽しく盛り上がる勢いに巻き込んで、あれよあれよと3ショット写真をパシャパシャパシャ。
「撮影だけじゃなくて写メも撮りたいな」
「縫も撮りたい!」
 自撮りや、互いの2ショットも撮り合うと。
「やっぱいいな、ペンギン」
「うん! もふもふが合う合う!」
「ま、まあ、其方らも、我の神々しさを引き立てるよい衣装であったぞ」
 褒められて満更でもないペンギアット・ペンギゲイザーが、もふっと胸を張る。
 だがしかし、一通り撮影が終わったところで。
「あ、じゃあもうペンギン帰っていいぞ」
「なっ!?」
「見て見てマクベスくん、電車も走ってる!」
 マクベスがペンギアット・ペンギゲイザーをぽいっと放り出すと、縫は高架橋の上を走る電車の映像に目を奪われて。2人の興味はあっという間に立体映像へと移る。
「縫っ、電車と一緒に写メらせて♪」
「わっ。撮って撮って」
「貴様ら、この銀河皇帝を蔑ろに……」
「ほら、次の電車も来るから、縫はこっち向いて」
「マクベスくん、電車は撮らないの?」
「だから、我を無視するとは無礼な……」
「もちろん、電車はついでに縫を撮るよ」
「むー、マクベスくん縫の写真ばっかり。縫もいっぱいマクベスくん撮るんだから!」
「おーい、我の話を……」
「あっ、また電車。マクベスくん、こっちこっち」
「うーん、撮ったらやっぱグラナトさんと兄貴たちに送らなきゃだめかな?」
「それより今は、電車行っちゃうから、マクベスくん撮らせてよ」
「おう。こんな感じか?」
 背景と合わせての撮り合いにわいわい盛り上がる2人の向こうへ、ペンギアット・ペンギゲイザーの寂し気な赤マントが去っていくのを、ブラックタールの構えたカメラが静かに捉えていた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

 普段着部門『都会に揉まれたペンギン』
 
龍巳・咲花
【門】
咲花殿(f37140)と参加でござるよ!

こんなに簡単に宇宙へと行けるとは思いもしなかったでござるな!

銀誓館学園の高校夏服でござるが……と、都会の女子たちはこんな制服なのでござるか!?
これは本当に大丈夫なのでござるか!?(スリットを気にしながら)
しかし咲花殿は普通にしてるでござるし、拙者が怯むわけにはゆかぬでござる!

こ、こうでござろうか?(ぼっちでこういう経験が無いので内心どきまぎしながらピースと真似てみて)
おぉ、スマホを買ってから咲花殿が初フレでござるな!
写真の共有は……こんな感じでござろうか!
むむむ、なんだか拙者もノッて来たでござる!(ポーズと写真を取るのに迷いが無くなり楽しそうに)


宵空・鈴果
さっきお友達になったばかりの、さなりん(f37117)と来ましたりん☆

【門】
わぁ、すっご〜☆りんか宇宙初めてりん☆
でもでも、りんかのいる場所がステージですりん☆
さあ、りんかたちもキラキラするり〜ん☆

銀誓館学園の制服(夏服)でエントリーですりん☆
普通に過ごしていればいいりん☆?
じゃあじゃあ〜(と、スマホを取り出して)
さなりん一緒に写真とるりん☆
(二人の顔がフレームに入るように当たり前のように顔を寄せて横向きピースで一枚)
おっけーいい感じりん☆さなりんもなにかポーズするりん☆?
あっ、そうだ☆メッセージアプリのフレ交換もするりん☆

こんな感じで微笑ましい女子高生アピールでポイントを稼いでいきますりん☆


「わぁ、すっご~☆ りんか宇宙初めてりん☆」
「こんなに簡単に宇宙へと行けるとは思いもしなかったでござるな!」
 スペースシップワールド初訪問の宵空・鈴果(星と月のエアライダー・f37140)と龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)は、まずはリゾートシップそのものや、そこからちらりと見えた船外の景色に感激して。
「……しかしここは学校でござるな」
 イベント会場となっている立体映像投影区画に足を踏み入れた途端、慣れた雰囲気の光景に切り替わった、そのギャップに咲花は思わずぽかんとしてしまう。
 目の前に立つのは、アーチを描く白い門。緑の蔦が美しく絡みつくその左右には鉄格子の塀が伸び、同じ意匠ながらも豪華な模様を描く鉄格子の門扉が開け放たれている。
 噴水と天使の像とに見守られ、門から真っ直ぐに伸びた石畳の道は、左右を丁寧に手入れされた生垣に飾られて。突き当たる先には白く清廉な学び舎がそびえ立つ。
 ついでに上は陽の光が眩しい青空で、白い雲が漂い、白い鳥が数羽飛んでいた。
 咲花が見知ったものではないが、シルバーレインでもUDCアースでもあり得そうな学校が、目の前に広がっている。
 宇宙だったはずなのに、と戸惑うのも無理はない程、現実的な映像だったから。
 呆然と、咲花は立ち尽くしてしまったけれども。
「でもでも、りんかのいる場所がステージですりん☆
 さあ、りんかたちもキラキラするり~ん☆」
 どんな場所でも大丈夫とばかりに、鈴果が咲花を力づけるように笑うと。
「銀誓館学園の制服でエントリーですりん☆」
 用意してきた衣装を魅せるように、くるりんと回って見せた。
「と、都会の女子たちはこんな制服なのでござるか!?」
 その姿を見た咲花は改めて、鈴果と揃いの自身の衣装を見下ろし、戸惑う。
 鈴果と咲花が着ているのは、2人の年齢通りの女子高校生の夏服。
 白い半袖の上着は、3本ラインで縁取る丸襟のセーラーカラーと、落ち着いた色合いのスカーフが清楚に胸元を飾り、裾も2ヶ所に小さな切り込みデザインを入れて襟と同じ3本ラインで涼やかに締めている。
 タータンチェック柄のスカートは、太腿が半分も隠れないくらいのミニ丈で。黒いロングソックスが裾近くまであるけれども。ぴったりしたソックスは脚のラインを綺麗に魅せているし、ミニスカートとソックスとの間にやっぱり肌が見えている。
 さらにそれだけでなく。
「これは本当に大丈夫なのでござるか……?」
 スカートに右側面には、腰までの深いスリットが入っていて。その隙間を交差する飾り紐で多少埋めているとはいえ、どうしても太腿が見えているから。
 何となく気になって、咲花はついスカートを押さえてしまう。
 しかし鈴果は、むしろそのスリットが気に入っているかのように、美しい脚を綺麗に魅せるように、飛んで回ってひらひらとスカートを揺らし、楽しんでいるから。
(「鈴果殿は普通にしてるでござるし、拙者が怯むわけにはゆかぬでござる!」)
 咲花はぐっと決意を込めて、ようやくスカートから手を離した。
 それでもやっぱり、風通しのいい足元に、動きがおとなしめになっていますが。
 一方の鈴果はその涼しさを楽しむ様に、本当に気にせずいつも通りに動いていて。
 見つけたブラックタールなスタッフに、コンテストについてを確認する。
「普通に過ごしていればいいりん☆?」
 ぐっと黒い手の親指を立てて頷くスタッフを見て、鈴果もうんうん頷くと。
「じゃあじゃあ~」
 取り出したのは、黄色いケースにオレンジ色の星を散りばめ、小さな白い翼が一対ちょこんと飾られた、きらきら可愛いスマートフォン。
 もちろんそれで電話をするわけではなく、起動するのはカメラアプリ。
「さなりん一緒に写真とるりん☆」
 ぎゅっと咲花に近付いて、腕を伸ばし掲げたスマホ画面内のフレームに2人が入るようにすれば。鈴果の顔が寄せられ、ふんわりした身体が咲花にくっつく。
 それに咲花が戸惑う間もなく、鈴果はスマホを持つのとは逆の手で、自然に当たり前のように横向きピースを自身の顔の横に添えると。
 パシャリ。
「おっけーいい感じりん☆」
 何が起こったのかとようやく咲花が混乱する頃には、きらりん笑顔の鈴果とぽかんとしながらもカメラ目線の咲花が、スマホの画面に収まっていた。
 さらに鈴果はもう1枚と、咲花にくっついたまま笑いかけ。
「さなりんもなにかポーズするりん☆?」
「こ、こうでござろうか?」
 言われるがままに、でもどうしたらいいのか分からないので、鈴果を真似てぎこちなくピース。輝く笑顔も見ながら、頑張って笑みを浮かべてみる。
 その初めてばかりの経験に、そして躊躇いなく寄せられた顔に腕に身体に、内心どきまぎしているうちに。電子的なシャッター音が幾度も響いた。
「さなりんのスマホでもとるりん☆?」
「拙者の……そうでござる。このスマホでも撮れるのでござるな」
 提案にようやく、自分のスマホで友達との写真を撮る、という今までやったことのないことが出来る事に気が付いて。咲花はわたわたと、和柄のスマホを取り出す。
 カメラアプリを使ったことがないわけではない。修行に明け暮れていた咲花は、友達が少なかったため、大抵ぼっちであり。こうして友達と写真を撮る機会がなかったのだ。
 鈴果がしていたように腕を伸ばし、画面を必死に見ながら入るようにと調整すれば、今度は咲花から鈴果にくっついていって。それに気付かずカメラばかりを気にしている咲花の隣で、鈴果の笑顔がさらに嬉しそうに煌めいていた。
 そんなぎこちなくも楽し気な女子高生の様子を、ブラックタールなスタッフがそっとカメラに収めていたりもして。
「あっ、そうだ☆ メッセージアプリのフレ交換もするりん☆」
「おぉ、スマホを買ってから鈴果殿が初フレでござるな!」
 2人はもうコンテストとか忘れている勢いで、できたばかりの友達と学校前で初々しく交流する、そんな光景を作り出していく。
「写真の共有は……こんな感じでござろうか!」
「おっけーできてるりん☆」
「むむむ、なんだか拙者もノッて来たでござる!」
 いろんな初めてを次々と成功させていった咲花の笑顔からもぎこちなさが取れていき。
 新しい友達との時間を心の底から楽しんでいった。
 そんなところに通りかかる猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』。
 わいわい盛り上がって皆の注目を集めている可愛い女子高生2人組に、絡もうとしてか邪魔しようとしてか、てしてし歩み寄ってきたけれども。
「じゃあじゃあ~、ペンギンをはさんでポーズですりん☆」
「む? 銀河皇帝を引っ張るとは無礼な……」
「右と左で、こうでござるな?」
「ぐえ。こら不敬であるぞ。というか苦し……」
 物言いをつける前に、鈴果と咲花に挟まれるように並ばされて。
 スマホで撮れるようにぎゅっと密着。
「ふかふかでござる……」
「あっ、カメラでの撮影もお願いするりん☆」
 鈴果が気付いて、ブラックタールなスタッフに手を振れば、また黒いサムズアップが返ってきたから。構えられたカメラに咲花も視線をそちらに向けた。
「はっ、ポーズでござるな。任せるでござる」
「せ~のっ、こんにちり~ん☆」
「ござる!」
「むぎゅ」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

 制服部門『高校デビュー☆ペンギンりん』
 
フリル・インレアン
【戦】
ふええ、アヒル勇者様、助けてください。

あの、アヒルさんこれで満足ですか?
ふええ、まだやるんですか?
猟兵コレクションは私の部屋着も新調したんですから、そっちも行きたいですよ。
ふええ、アヒルさんまだアヒルさんの浴衣がなかったことを根に持ってるんですね。
それにしても、コンテスト会場でいつもの服って、またあのパターンになりそうな気がします。
でも、この大きさだったらペンギンさんも気がつかないかもしれませんね。
だって、今の私はアヒルさんより小さいのですから・・・。


ふええ、だから生着替えはしませんてば、どうしてこんなにも目ざといんですか?


 立体映像を得意とするリゾートシップ『シーナリィ号』は、その内部に、猟兵コレクションと同様に4種類の景色を作り出していた。
 都会の街並み。学園の正門前。
 そして、崩れかけた建物と荒れ果てた地が広がる戦場。
 黒く厚い雲に覆われた空は辺りを薄暗くし、危険な雷撃が絶えず地に落ち光源となっている。生者の気配はなく、突き立つのは持ち主を亡くした武器ばかり。
 そんな荒廃した景色の中で。
「ふええ、助けてください……」
 フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は、小さくなって震えていた。
 ただ、小さくなって、というのは、身体を竦めてとかの動作への比喩表現ではなく、文字通りの意味で。ユーベルコード『親指フリルの冒険』で、フリルの身長は10分の1になっていた。猟兵に分かりやすくいうとフェアリーのサイズ感ですね。
 フリルがそんな姿になっている理由は。
「助けてください、アヒル勇者様」
 そこに颯爽と現れたアヒルちゃん型のガジェットにあった。
 円らな黒瞳にぐっと力を込め、可愛い黄色のくちばしからは勇ましい鳴き声が響く。
 白い身体に映える赤いマントを首元からはためかせ、大きな青い石を嵌め込んだ金の冠を頭に乗せ。同じような石が柄に輝く翼を広げたような意匠の剣と、頑丈そうな盾とを、それぞれの手に掲げたガジェットは、そのずんぐりむっくりした身体で堂々と胸を張り、短い黄色の脚でしっかりと地を踏みしめて、立つ。
 ぶんっと剣を振るうと、盾を持つ方の手にフリルを抱き上げて。
 助けに来たぞというように、またガアと鳴いた。
「……あの、アヒルさん。これで満足ですか?」
 その様子を見上げて、おずおずとフリルが尋ねる。
 つまり。普段はフリルが持っているガジェットが、フリルを助けるというシチュエーションを作るために、フリルは小さくなっていたのだ。
 それが達成できたなら、もう元に戻ってもいいだろうと伺うフリルだったのだが。
「ふええ、まだやるんですか?」
 響いた鳴き声に、フリルは頭を抱えて困り果てた。
「猟兵コレクションは私の部屋着も新調したんですから、そっちも行きたいですよ」
 訴えるフリルの服装は、白いブラウスと青いスカート、大きな青い帽子といった、いつもと同じもので。ガジェットのようにお披露目したいというフリルの言い分はもっともだけれども。
 見上げたガジェットの表情は険しいままだったから。
「ふええ……まだアヒルさんの浴衣がなかったことを根に持ってるんですね」
 思い当たるのは浴衣コンテストの時のこと。いつも一緒に衣装を揃えて用意していたのに、あの時だけはフリル1人でアオザイを新調していたから。
 ガジェットの浴衣は、コンテストの後、リトロスペクト号というリゾートシップのスタッフが用意してくれたけれども、フリルが手配したものではなかったから。
 怒る気持ちは分からないでもないけれど。
 そんな前のことを、とも思わないでもない。
 と、過去のリゾートシップでの出来事を思い出していると。
「それにしても、コンテスト会場でいつもの服って……
 またあのパターンになりそうな気がします」
 それは、マイム号での水着コンテストへ、水着姿のガジェットを手にして参加した時のこと。フリル自身が水着を着ていないことを猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』に指摘され、そのまま生着替えを見せろと無理難題を突き付けられた……
 その後、リトロスペクト号での浴衣コンテストでは、浴衣ではなくアオザイを着ているのはおかしいと、これまたペンギアット・ペンギゲイザーに指摘されて。オブリビオンゆえに違うペンギンだったのだけれど、同じ姿ゆえに同じペンギンに言われた感覚が強くなって。生着替えを要求されたと勘違いしてしまって……
 と、半ば思い込みも含まれてはいるものの。『リゾートシップでコンテストに合わない服装をしていると生着替えを要求される』というパターンが、フリルの中で定着しかけていたから。
 慌ててきょろきょろと辺りを見回すフリル。
「でも、この大きさだったらペンギンさんも気がつかないかもしれませんね」
 おどおどびくびくしながらも、自分を落ち着けるようにそんな状況を口にして。
「だって、今の私はアヒルさんより小さいのですから……」
「むむ。勇者のアヒルに乗るならば、妖精なり姫君なりのもっとファンタジーな服装が相応しいのではあるまいか?」
「ふええ!?」
 それをひょいと覗き込んだペンギンの円らな瞳と真っ当な意見とに、フリルは飛び上がらんばかりに驚いた。いい感じに近くに雷が落ちて、その衝撃を光でも表します。
「どうしてこんなにも目ざといんですか?」
「いや、こんなアヒルと一緒にいれば嫌でも目立つのだが……」
「ふええ、だから生着替えはしませんてば」
「何の話であるか!?」
 そして帽子を押さえて顔を隠しながら、ぴょんっとガジェットから飛び降りて。相手の話を聞く余裕すらなくフリルは必死に逃げ出していったから。
 どうしたものかという空気がしばし漂い。
 とりあえず、ガジェットが剣を構えているその後ろでペンギアット・ペンギゲイザーがふんぞり返った1枚を、ブラックタールは撮っておいた。
大成功 🔵🔵🔵

 戦闘装備部門『アヒル勇者とペンギン皇帝』
 
夜鳥・藍
【桜】
お披露目服部門の服で、景色を楽しみながら散策しましょう。
もしかしてこの世界の……方々と一纏めして言って良いのかしら?楽しい事がとても好きで全力で乗るタイプが多いのかしら?
そしてまたあのペンギンさんがいらっしゃるのね。……雛姿でも換毛期ってあるのかしら?
写真はあまり好きではないのでお断りして。
身だしなみを整えるためもあって鏡を見る事は慣れたけど、それでも姿を残す写真はあまり好きになれない。
小さい頃、そろって家族写真を撮るのは好きだったけど、でもいつからか見る事が嫌になっていて。種族であることをまざまざと見せつけられるから。
私は私でしかないと割り切ってもでもやっぱり……。


 視界の全てが桜色に染まっていた。
 それは大袈裟な表現かもしれないが、そう言いたくなるくらい多くの桜の木が道の左右にずらりと並んでいて。そしてその全てが満開の花を咲かせている。
 右を見ても左を見ても、木の幹すら隠す程の桜色。
 上を見上げても、青空を染め直すように桜色が広がっていて。
 ふっと見下ろした足元も、ゆっくりと踏み出す左右のブーツのその下に、桜色の絨毯が敷かれているようだった。
 足の動きに合わせて、夜色のスカートの裾が広がる。そこにも夜桜のような色合いで、小さな花が散りばめられていたから。絨毯へと加わろうとする桜の花びらと共に、ひらりひらりと動く花を、しばし見つめてから。
 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は改めて顔を上げ、桜並木をその藍色の瞳に映した。
 顔の動きに合わせて、ツインテールに近い形でまとめた銀色の髪が、顔の左右でさらりと揺れる。いや、後ろ髪は纏めて結い上げているから、真っ直ぐ下したままのいつもよりも揺れた髪の量は少なくて。その軽さが少しこそばゆい。
 そっと左手で側頭部に触れると、小さく飾った青い花飾りがその繊手に触れた。
 そのまま手を胸元まで下ろして。動きを追うように自身の姿を改めて見つめる。
 肩から背に広がるセーラー服を思わせる青紫色の大きな襟は、胸元の細い紐のリボンを結んで纏められ。春らしく柔らかな薄手の薄紫の生地が長く袖を覆う。裾から脇へ、両側に深いスリットが入っているけれど、柔らかく縦のプリーツを入れた薄鶯色のハイネックを下に重ねているから、首元を含め肌が露わになることはない。
 よく見れば、セーラー服風のシャツは、後ろ側が、スリットで分かたれた後衣が、少し長くなっていて。長い分揺れ遊ぶ生地を、同じ色合いの長い長いリボンで緩く纏めているから。歩く小さな動きにも、ふわふわ優しい動きが加わる。
 少しずれた左手の指先に当たったのは、胸元を飾る明るい水色の石のペンダント。
 その石の感触を少しだけ楽しんでから。
 藍は、まだちょっと着慣れない新しい服に淡く微笑む。
 猟兵コレクションのために準備した服。
 それをまた着る機会が、こんなにすぐに訪れるなんてと思いながら。
 桜並木を眺めるようにして、この場所の本当の姿を、リゾートシップ『シーナリィ号』の中であるという事実を、思い起こす。
「もしかしてこの世界の……方々と一纏めして言って良いのかしら?
 楽しい事がとても好きで全力で乗るタイプが多いのかしら?」
 思わず呟いた疑問は、立体映像まで駆使して行われているこのコンテストについてであり。かつて別のリゾートシップで参加した浴衣コンテストについてでもあった。
 猟兵の真似をしての客寄せ、と言ってしまえばそうだけれども。
 コンテストの開催には、猟兵が楽しそうだったから、という理由もあるのだろう。
 船が違えど同じ世界。
 そんな共通点を見つけたような不思議な感覚も楽しんでいると。
「そしてまたあのペンギンさんがいらっしゃるのね」
 桜並木の向こうに見つけたのは猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』。
 ふわふわもこもこでずんぐりむっくりした姿も、ちまっと頭に乗せた王冠も、白いファーのついた赤いマントも、以前見た時と全く同じ姿だったけど。
 ここで開かれているのは、新しい服を魅せるコンテスト。
 まあ、動物は換毛期で例え見た目が変わらなくても毛が新しくなるものだから、それをお披露目とでも言い張るのだろうかと考えてみると。ふと浮かぶ新たな疑問。
「……雛姿でも換毛期ってあるのかしら?」
 ペンギアット・ペンギゲイザーの姿が、こちらに気付かぬまま桜の木の向こうに隠れていくのを見送りながら。藍は少しだけ首を傾げていた。
 そこに。
「写真、お撮りしましょうか?」
 近くに誰の姿もないまま、声だけが聞こえてきて、驚く。
 でもすぐに、スタッフのブラックタールが、こちらに気を遣って姿を隠しているのだろうと悟り。ふっと寂し気に微笑むと。
 藍は、丁重に申し出を断った。
(「写真はあまり好きではないのです」)
 宙を映したような藍色の瞳。銀河のような銀色の髪。
 この色合いは、藍晶石のクリスタリアンとしての特徴として現れたものであり。
 両親や弟とは違うものだったから。
 いつからだろう。この姿を見る事が嫌になっていたのは。
 小さい頃は、揃って家族写真を撮るのも好きだった。
 大好きな人達と一緒に映るのが嬉しかった。
 でも、今は。
 家族の中で自分だけ違う種族として生まれてしまった事実を、まざまざと見せつけられているように感じられてしまって。
 身だしなみを整えるためもあって、鏡を見る事くらいは大丈夫でも。
 姿を残す写真は、どうしても好きになれない。
(「私は私でしかないと割り切っても、でもやっぱり……」)
 いつの間にか足を止め。藍はその場に俯き気味に立ち尽くしてしまう。
 そんな藍に、ブラックタールの戸惑うような気配が伝わってきたけれども。
「ええと……優しい春の夜のような、素敵な服ですね」
 困惑しながらも励ますような声に、藍の顔が上がる。
「どうぞお好きなように、当船を楽しんでください」
 コンテストを開催しているからといって無理強いはしないと。
 私の好きなように。私の望むように。
 声と、そして周囲で舞い上がった桜の花びらに、それでいいのだと背中を押され。
 藍の口元に、淡い笑みが戻ってきていた。
大成功 🔵🔵🔵

エリシャ・パルティエル
ほんとにペンギンは楽しそうなリゾート船をすぐ見つけるわよね
ふふ、でもそのせいであたしも毎回楽しんでるからね
プールも屋台も楽しかったな~
今回もリゾート船のスタッフが一生懸命考えた企画を守らなきゃ

というかペンギンのお披露目服って何かしらね
あのもふもふマントは立派だけど
おしゃれ心があるならもうちょっと春めかしいの着たらいいのに

あたしは猟コレの袴でいくわね
振り袖や浴衣もいいけど袴も大好き
和服ってほんと素敵よね
このお花の模様とか精緻で職人の技術を感じるわ!
だからそれを着こなせてたら嬉しいな
あ、お写真一枚いいかしら?

立体映像技術もすごいわ!
桜は大好きだけど季節が限られているから
映像ならいつでも楽しめるわね


「綺麗な桜並木……」
 視界一面を覆い尽くす桜色の洪水に、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、うっとりと熱いため息をついた。
 桜はエリシャの大好きな花だ。本当の猟兵コレクションも、このリゾートシップ『シーナリィ号』でのコンテストも、迷うことなく桜並木の舞台を選んだくらい。
 でも桜は、その花を楽しめる季節が限られているから。
 短い期間での儚さが美しさだと分かっていても。
 いつでも楽しめればいいのにと、思ってしまっていたから。
「映像ならいつでも桜を楽しめるわね」
 その夢を叶える、本物と見紛うような立体映像に、エリシャの金瞳が綻ぶ。
 ひらひらと舞い落ちてきた花びらにそっと手を伸ばすと、その腕を飾る長い袖に描かれた桜の花も、一緒に美しく揺れた。
 袖だけでなない。左肩から左胸へにも同じ桜が咲き広がっていて。赤紫色の袴にも、足元近くに桜の花が散りばめられている。
 リボンのように飾り結んだ袴帯には、桜の花を集めたような飾りを挿して。長く揺れる金髪にも、頭の後ろのリボンで纏めた両サイドの編み込み部分に、桜の花が小さく幾つも飾られていたし。
 ちらりと首元から見える半襟も、指先を彩るマニキュアも、桜を思わせる色を見せる。
 立体映像も素敵だけれども、身に纏った袴に咲く桜も素晴らしいから。
 気付けばエリシャの視線は、自身へと向いていた。
「和服ってほんと素敵よね」
 振り袖や浴衣もいいけれど、大正浪漫を感じさせる袴姿も大好き。
 桜の花びらに伸ばしていたはずの手は、いつの間にか二尺袖の模様を眺めるための動きになっていて。
 白地の着物の袖には、淡い緑色を背景に咲く白や赤紫の桜が、また袂の方には逆に赤紫を背景にして咲く緑色の桜が、繊細に描かれていたから。その精緻で見事な職人の技術にも見惚れながら。
「私でちゃんと着こなせているかしら」
 出来ていたら嬉しいな、とはにかむように微笑むと、その場でくるりと回ってみる。
 揺れる袖。広がる袴。そこに舞う桜。
 そんな自身の姿を見下ろして。
 その動きに、両耳を飾るイヤリングが揺れた。
 でもそれは、涙型の青い石に、金色の星が添えられたもの。
 桜色でも、桜の形でもない。桜を散りばめた衣装の中で、唯一、それだけが違うものだったけれども。
 この青い石は、大切な人と思いを分け合ったその証。
 その人との絆を示すものだから。
 他の全てを桜に染めても、そこだけは変わらずに。
 いつも通りにエリシャを飾る。
 むしろ、イヤリングを感じると、その人にも見て貰えているような気がして。
 離れていても消えないその存在に、淡く微笑むと。
 ふと感じた視線に、エリシャはぱっと顔を上げた。
 そこにいたのは、こっそりと隠れるようにして、でも手にしっかりとカメラを持って、おずおずとこちらを見ていたブラックタール。
 エリシャは何となく気恥ずかしくなって。
 でもその動揺を隠すかのように、何でもない風を装って笑いかける。
「あ、お写真一枚いいかしら?」
 ブラックタールなスタッフはぐっと親指を立てて応えてくれた。
 早速、構えられたカメラにちょっとポーズをとって。
 最初は誤魔化しのようなものだったけれども、袴を綺麗に魅せられるように、周囲の美しい桜を生かして撮れるように、とあれこれやっているうちに。
 わくわくして。楽しくて。
 気付けば1枚どころか何枚も撮ってもらっていた。
 その最中、ブラックタールのその後ろに遠目でちらりと見えたのは、通りすがりの猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』。
 水着コンテストのマイム号でも、浴衣コンテストのリトロスペクト号でも見かけた、まんまるもふもふでずんぐりむっくりした姿。
「ほんとにペンギンは楽しそうなリゾート船をすぐ見つけるわよね」
 こちらに気付かぬその様子を目で追いながら、呆れたような感心したような、そんな声を零すけれど。
「ふふ、でもそのせいであたしも毎回楽しんでるからね」
 新しい衣装に、いつでも見られる桜並木に、弾む心のままに微笑んで。
 プールも屋台も楽しかったと、今まで参加した企画も思い出す。
 猟兵の真似、というか、猟兵人気に乗っかった安易な企画ではあるけれども、それだけで終わらないようにとリゾート船のスタッフが一生懸命考えたものだから。
 船の特性をちゃんと生かして、この美しい景色を見せてくれたイベントだから。
 オブリビオンなんかに台無しにさせないと、守ってみせると決意を新たにして。
 ぽてぽて歩いて行く姿を見送る。
「というか、ペンギンのお披露目服って何かしらね」
 その後ろ姿に、ふと湧き出る素朴な疑問。
 一応は銀河皇帝ペンギンを名乗っているからか、立派な赤マントを身に着けてはいるけれども、それは今まで見たのと同じ格好で新衣装ではないし。
 桜並木の下で、似合わなくはないけれども、何だか違う気もするから。
「おしゃれ心があるならもうちょっと春めかしいの着たらいいのに」
 思わず呟いた感想に、ブラックタールもこくこく頷いて同意を見せていた。
大成功 🔵🔵🔵

アカネ・リアーブル
【桜】
【あかね】

皆様に茜姫の愛らしいお姿をお披露目しなくては!

何をおっしゃいます
茜姫の赤い髪に白い振袖がとてもよくお似合いです
古典的な柄の中にもモダンな要素を取り入れた帯に
梅の帯留めがとても華やかで素敵です
自信をお持ちくださいませ

(猟書家と目が合う)
(手をワキワキさせながらにじり寄る)
なんて…なんて愛らしいモフ!
その丸みを帯びた毛並みにまんまるな瞳と健気な手羽先
神様の采配としか思えない白と黒の配色バランス…!

(問答無用でギュッともふ)
ああなんと愛らしい
このような毛並みのモフは滅多に…

(茜の声に我を取り戻し)
はっ…アカネは何を…
茜姫申し訳ありません!ついモフに我を失って…
茜姫お待ち下さい茜姫!?


鎖木・茜
【桜】
【あかね】

ち、ちょっとアカネ!
わたくしはコンテストに出るなんて言っておりませんわ!
愛らしい?そんな訳ありませんわ

(自分の振袖を見下ろして)
(満更でもない様子で)
ま、まあ?わたくしはさておきこの振袖は気に入っておりましてよ?
色合いも意匠もとても美しくて
白地に桜の文様が素晴らしいですの
アカネの振袖と色違いなのも嬉しくて…

(アカネをちらりと見る)
(ペンギンに夢中で聞いてない)
(独り言のように自慢したことが途端に恥ずかしくなる)

な…何をしておりますのアカネ!(照れ隠し)
それは猟書家ですのよ!さっさとお離しなさいな!

さあ参りますわよ!
ここまで来たら恥をかき捨てなければ収まりませんわ!
(二人で舞台へ


 どこまでもどこまでも続いているかのような桜並木。
 それを見つめる鎖木・茜(自由を手にした姫君・f36460)は、ほう、と思わず感嘆の息を零していた。
 桜を見たことがないわけではないけれども、ここまで一面の桜色は、例え立体映像であっても滅多に見れるものではないし。それに、新しい瞳で見る桜並木は、新しい身体で感じる美しい春は、初めてのものだったから。
「……この体も悪くありませんわね」
 幾度目だろうか。そう呟いて、そっと繊手を胸元に当てる。
 口元だけで微笑み、控え目に嬉しさを表していると。
 胸元に上げたものとは逆の手をぐいっと引っ張られた。
「さあ茜姫こちらに。
 写真を撮っていただかねばコンテストに参加できないそうなのです」
 手を繋ぎ、楽し気に笑みを浮かべて説明するのは、アカネ・リアーブル(モフとダンスは世界を救う・f05355)。
 優しく温かくも力強いその手は、茜を導いてくれたもの。
 苦しいことも悲しいことも、悩んで落ち込んで立ち止まることもあったけれども。
 数々の出来事を乗り越えて、今、この時を、茜が茜として迎えられた。
 そのために差し伸べられた手の1つであり。
 誰よりも茜の近くにあった、かけがえのない存在。
 その重ねた温もりを、前へと踏み出せるように引っ張る力を、どこかむずがゆくも嬉しく感じ。そこでようやく、聞こえた単語を理解した。
「ち、ちょっとアカネ!
 わたくしはコンテストに出るなんて言っておりませんわ!」
 慌ててアカネを止めようとするけれども、手はぐいぐいと引っ張られて。どんどんアカネの望む方向へと引きずられていく。
「皆様に茜姫の愛らしいお姿をお披露目しなくては!」
「愛らしい? そんな訳ありませんわ」
 でも、続く言葉にさすがに茜は繋いだ手を思いっきり振りほどいて。
 足を止めると表情を曇らせ、視線を下へ。俯き気味に、首を横に振る。
 茜の自己評価は低い。
 それは今の身体になる前からそうだった。
 母に望まれた存在ではない。完璧で理想的な『あかね』ではない。
 醜くて、みっともなくて、不格好で、下手くそで……酷い存在だ、と。
(「わたくしなど放っておいて、アカネだけお披露目すればよいのです」)
 自虐気味にそう考える。けれども。
「何をおっしゃいます」
 アカネはきっぱりと言い切って、茜に向き合う。
「茜姫の赤い髪に白い振袖がとてもよくお似合いです。古典的な柄の中にもモダンな要素を取り入れた帯に、梅の帯留めがとても華やかで素敵です」
 迷いなくすらすらと紡がれる褒め言葉に、茜は俯いた視線を自身の服装へと向けた。
 和のテイストの桜花が咲き、市松模様や霞柄を組み合わせた白い振袖は、だがよく見るとドットが重ねられていて。寄木細工のように柄を集めた帯にも、和柄と見せかけて現代的な模様も忍ばせられている。
 緩くウェーブをかけた赤い髪をあえて纏め上げずに下ろしているのも、和柄とはいえ頭に大きなリボンを飾っているのも、モダンで可愛らしく。髪色に似た梅の帯留めも、白い着物に映えていた。
「自信をお持ちくださいませ」
 アカネに言われるまでもなく、確かに、この振袖は、色合いも意匠もとても美しい。
 白地に映える桜の紋様が素晴らしいと、茜自身も本心から思っている。
「ま、まあ? わたくしはさておきこの振袖は気に入っておりましてよ?」
 だから茜は、満更でもない様子で顔を上げ。
 必死に褒めてくれるアカネの言葉も嬉しくて。
 口元が笑みの形になるのを隠し切れず、誤魔化すようにふぃっと横を向いた。
 だって、この振袖を気に入っている本当の理由は。
「アカネの振袖と色違いなのも嬉し……」
 隣に、桜紋様が舞う、市松模様や霞柄を組み合わせた振袖が並んでいるから。
 生地は青空のように澄んだ青色だし。帯も黄色で、また後ろで大きく結び上げ。肩にかけた白いファーショールとオラトリオの白い翼とで印象が違って見えるけれども。
 紛れもなく、お揃いの振袖。
 だから茜は、照れながらも意を決して、それをアカネに伝えるために向き直って。
 見えたのはアカネの顔ではなく、その銀色の髪に飾られた猫の簪だった。
「…………」
 茜を見つめていたはずのアカネの藍色の瞳は、桜並木をこちらに向かって歩いてきていた猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』に吸い寄せられていて。
「なんて……なんて愛らしいモフ!」
「ぬをを!? なっ、なんだお前は!?」
 目を合わせたペンギアット・ペンギゲイザーが、円らな瞳をさらに見開く。
 それもそのはず。アカネの藍瞳はキラキラと輝き、その両手はわきわきしていて。
「その丸みを帯びた毛並みにまんまるな瞳と健気な手羽先……
 神様の采配としか思えない白と黒の配色バランス!」
「いや、銀河皇帝たる我が褒められるのは当然であるが、何か目が怖……」
 にじり寄るアカネに、ペンギアット・ペンギゲイザーもじりじりと後退する。
 しかし、アカネは不意に両腕を伸ばし、がばっと飛び掛かるように抱き着いて。
「ああ、なんと愛らしい!」
「ぬあっ!?」
 問答無用でぎゅっとすると、もふもふに顔を埋めた。
「このような毛並みのモフは滅多に……」
「な……何をしておりますのアカネ!」
 無類のモフ好きの暴走を、ちょっと怒りながら止める茜。
「それは猟書家ですのよ! さっさとお離しなさいな!」
 必死でアカネを引き離そうとするのは、相手が敵だから、というよりも、一生懸命伝えようとした本音が届かず独り言になってしまったことへの照れ隠しのよう。
 そんな複雑な胸中を、モフに心を奪われていたアカネは知る由もなく。
「はっ、アカネは何を……」
 何とか我に返ると。
「茜姫申し訳ありません! ついモフに我を失って……」
 純粋に、茜の言葉を文字通りに受け取って。
 ペンギアット・ペンギゲイザーをころんと放り出した。
「ええと、アカネは何のお話を……
 ああそうです。茜姫の愛らしさを皆様にお披露目しなくてはというところでした」
「む? 愛らしさでこの銀河皇帝に勝てる者などおらん!」
「何をおっしゃいます。この美しい茜姫のお姿。モフに勝るとも劣りませんとも!」
 そして何故か始まったアカネの褒め殺しに、茜はさらに頬を赤く染め。
「猟書家に構っている暇などありませんわアカネ」
 いたたまれなくなって、今度は逆にアカネの手をぐいっと引くと。
「さあ参りますわよ! ここまで来たら恥をかき捨てなければ収まりませんわ!
 カメラをお持ちの方はどちらです? どんどんお撮りなさいませ!」
 開き直った、というより自棄になって、ずんずんと歩き出す。
「茜姫!? お待ち下さい茜姫!」
 慌ててアカネも足を進め、揺れる赤い髪を追いかけて。
 桜並木を歩いて行く2つの揃いの着物をぽかんと見送るペンギアット・ペンギゲイザーに、ひらひらと桜色が積もっていった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

 お披露目服部門『桜色ペンギン』
 

第2章 ボス戦 『ペンギアット・ペンギゲイザー』

POW ●そこのお前、アレを使って我と勝負するのだ
【銀河皇帝ペンギン直々の指名】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD ●この船の施設を制する者は、この戦いを制す者である
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【敵味方問わず技能】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ ●我はのちにこの船を統べることになる者ぞ
敵より【遊びに来ていた観客の人気が高い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふぅ……一体、何であったのか……」
 立体映像が生み出した4つのエリアを順に回った猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』は、疲れた様子でとぼとぼと歩き。
 ふと顔を上げると、そこには撮影された写真が並べられていた。
 写真、といってもこれも映像。部門毎に順に画像が表示され、様々な衣装が入れ代わり立ち代わり、華やかな画面を魅せていく。
 ほうほう、とペンギアット・ペンギゲイザーがそれを眺めていると。
「あっ。コンテスト参加の方ですね」
「参加賞の写真をこちらでお渡ししております」
 スタッフにそう声をかけられて、テーブルとシングルソファへ案内された。
「4部門すべてに参加とはすごいですね」
「本当は、参加賞は1人1枚なんですけど、特別に4枚差し上げます」
「おお。それは銀河皇帝に相応しいVIP待遇だ。素晴らしい心がけである」
「ですが、4枚だと少し時間をいただいてしまいます」
「よろしければこちらでしばしお寛ぎください」
「うむ。飲み物も用意されておるし、座り心地も悪くない。待ってやろうぞ」
 そんなこんなでまったりと、さらなる時間稼ぎをされていると気付くことなく、ペンギアット・ペンギゲイザーは隔離された場所で過ごして。
「お待たせいたしました」
 差し出されたのは4枚の写真。
 1枚目は、普段着部門『都会に揉まれたペンギン』。
 少し薄暗い高架下を歩いて行く、赤いマントの寂し気な後ろ姿が、哀愁たっぷりに写し取られている。上を通る電車の一部が見えるのと、それを指差しわいわいはしゃいでいるポップで楽し気な衣装のカップルが手前にぼんやり写っているのが、より孤独な雰囲気を演出していた。
 2枚目は、制服部門『高校デビュー☆ペンギンりん』。
 可愛らしい女子高生2人に挟まれて、半ば潰れた顔をしている姿は、ぬいぐるみと見紛う程。背景に見える校門が、これからの楽しい学校生活への道行きを示しているかのようで、女子高生の満面の笑顔と合わせると、ペンギンの潰れた顔も楽し気に見える。
 3枚目は、戦闘装備部門『アヒル勇者とペンギン皇帝』。
 緊迫した戦場で、剣を構えるガジェットを手前に、赤マントをばさっと翻した皇帝が、命を下すかのように手を掲げていた。ガジェットはキリッとした表情を見せているけれども、ペンギンは円らな瞳のままだし掲げた手は短いしで、どこかほんわかした平和な雰囲気が混じってしまっていた。
 そして最後は、お披露目服部門『桜色ペンギン』。
 桜の花びらまみれになって、桜色に染まった道にぺたんと座り込んでいるペンギン。その後ろには、何処までも続く桜並木と共に、金髪を揺らす袴姿と仲良く歩く2つの着物姿が映り込んでいて。よく見ると、木の陰から夜色のスカートが覗いていた。
 それぞれを順に眺めたペンギアット・ペンギゲイザーは、ふむ、と鷹揚に頷き。
「まあ、我の愛らしさを存分に表しているとは言い難いが、それなりによく撮れておる。
 褒めてつかわそう」
 やたら尊大に言って、どこかに写真を収めると。
「では、4つの部門を制覇した我が、これよりこの船を支配しよう!」
 テーブルの上にぴょこんと飛び乗り、ばさあっと赤マントを翻して。もっふもふな胸を張って叫ぶ。
「さあひれ伏すがよい、新たな衣装に現を抜かす愚かな者達よ!
 我こそは、銀河皇帝ペンギン『ペンギアット・ペンギゲイザー』!
 汝らはこれより帝国継承軍の支配下に……」
 と、ようやっとそこで、辺りに誰も居ないことに気付く。
「……あれ?」
 よく見ると、テーブルの上に写真以外の紙が2枚。
『お客様の避難は完了しました。猟兵の皆さんの準備もできてます』
『最終スタッフも避難してください』
 カンペというか、スタッフ間連絡用のメモというか、そんな走り書きを読んで。
「…………」
 しばし固まったペンギアット・ペンギゲイザーは。
「ふっ。美しい衣装を見せて貰った礼だ。今日のところは見逃してやろうではないか」
 何やかんや理由をつけて、どうにかカッコつけてから。
 額から流れ落ちた冷や汗に気付かれないうちに。
「さらばだ!」
 一目散に逃げ出した。
 
夜鳥・藍
スタッフさん達はなかなかの役者ぶりですね。ああもスムーズに時間稼ぎと隔離ができるなんて。
……もしかして慣れてらっしゃる?
そして相変わらずのもふもふですね。少し触らせてもらいないかしら?
昨年も思いましたが暑くなったら大丈夫なのでしょうか?雛姿は保護色だとは聞きますが。
(後半になるほど自分の考えに没頭するように小声でつぶやくように)

ああいけません。例え愛らしい姿でもオブリビオンである以上倒さなくては。うっかり没頭して逃してしまってはダメですよね。
慌てず体勢を取りUC彗星を放ちます。うまく動きを一時的でも封じてしまいましょう。


「スタッフさん達はなかなかの役者ぶりですね。
 ああもスムーズに時間稼ぎと隔離ができるなんて」
 見事に手玉に取られている『ペンギアット・ペンギゲイザー』の姿を眺め、夜鳥・藍(f32891)はこくんと首を傾げた。
「……もしかして慣れてらっしゃる?」
 しかし、幾つものリゾートシップを襲って(?)きたペンギアット・ペンギゲイザーはともかく、スタッフにとってオブリビオン襲来は初めてのことのはず。まあ、オブリビオンも骸の海から現れる度に別人になっているような状態なので、慣れるということはないはずなのだけれども。
 だからあれは、対オブリビオンというよりは……恐らく、厄介な観光客を波風立てぬようにお帰りいただくための対応。
 リゾートシップの運営も大変なのだろうと、藍は静かに思いを馳せて。
 そして、走り出したペンギアット・ペンギゲイザーの姿に、そわりと心を揺らす。
 別の宇宙船で幾度か見かけたのと同じ、相変わらずのもふもふ具合。ぽてぽて走ることで赤いマントを靡かせると共に、そのふんわりした毛も細かに揺れるから。
「少し触らせてもらえないかしら?」
 ふらりと近づいた藍は、ペンギアット・ペンギゲイザーに淡く笑いかけた。
「む。まあ、この愛らしい姿に惹かれるのも当然か。
 よかろう。特別に我が毛並みを堪能する栄誉を与える。
 我の人気があればあるほど、我は強くなれるゆえな」
 ペンギアット・ペンギゲイザーは律儀に足を止め、うんうんと頷いてから、どうだと見せつけるかのように胸を張るから。
 藍はそっとその繊手を伸ばし。
 ふわふわの灰色の毛並みへと指先を埋めた。
 もふもふ。もふもふ。
「やはりこの毛は雛ペンギンのもの。子供の皇帝とは如何なることでしょう。
 それに、昨年も思いましたが、暑くなったら大丈夫なのでしょうか?
 雛姿は保護色だとは聞きますが……」
 そして、感触を堪能するうちに、毛並みに対しての考えに次第に没頭していって。その一部が、小声の呟きとして漏れていく。
「何をぶつぶつと言っておるのだ?」
 ペンギアット・ペンギゲイザーもさすがに訝し気な顔を見せ、怪訝に身を引く。
 ふっと手から離れたふわふわに、はっと藍は我に返り。
「ああいけません。
 例え愛らしい姿でも、うっかり没頭して逃してしまってはダメですよね」
 もふるためにしゃがんでいた姿勢から、すっくと立ち上がった。
「オブリビオンである以上倒さなくては」
 その手に現れるのは、打刀『青月』。春の夜のような穏やかなお洒落着姿に、飾り気の少ない剣を、鞘に納めたまま腰に添えると。
「貴様、猟兵であるな!
 我のファンであるフリをして油断を誘うとは卑怯な!」
 唐突に目にした武器に。そして静かながらも敵対する藍の構えに。
 ペンギアット・ペンギゲイザーは慌てて踵を返し、逃げ出すから。
 藍は、青月を抜き放つ動きで斬りつけて。
「飛べ!」
 居合から、電撃を帯びた衝撃波を放つ。
 夜空を映したようなスカートがふわりと翻り、刀身から青白い仄かな月光が生み出されると。美しい春の夜はペンギアット・ペンギゲイザーを追いかけて。
 赤いマントをざっくりと切り裂き、灰色の毛を何本も宙に舞わせた。
大成功 🔵🔵🔵

マクベス・メインクーン
縫(f10334)と
一緒に写真撮ったよしみだからな
せめて苦しまないように倒してやろうかな
縫がまだペンギンを敵だと思ってなさそうだからなぁ・・・
ま、それに便乗して【だまし討ち】するか♪

おっ、さっきのペンギンじゃん
そんなとこで慌ててどうしたんだ?
お前のおかげでさ、めっちゃいい写メ撮れたからお礼言おうと思って探してたんだけど

相手が警戒解いたところで【先制攻撃】
炎の【属性攻撃】でUC二連爪撃

ははっ、悪い事しに来たお前が悪いんだぜ?
猟兵がたくさんいる中に飛び込んで来たのが運の尽きってなっ


真幌・縫
マクベスくん(f15930)と
ペンギンさんどうしたの?
ここには猟書家さんしかいないはずじゃ…
そうだ!ペンギンさんのおかげで素敵な写真が撮れたんだよー。
(【コミュ力】をもちいて友好的に撮った写真を見せようと)
ほら、これ!ぬいとマクベスくんとペンギンさんのスリーショット。とっても可愛く撮れたんだよ♪
もし、良かったらこの写真もいる?
(呑気なやりとりをしているとマクベスが戦闘体制に入ったのにはたと気付き)

はっ!ペンギンさんが猟書家さんなんだね!
それじゃあぬいも!
UC【花嵐】

お花綺麗でしょ?


 がたんがたたんと電車が通る音が頭上で響く。
 少し薄暗い高架下から飛び出した『ペンギアット・ペンギゲイザー』は、アスファルトの道を踏みしめ、短くなった赤マントを背に、都会の街並みを走り抜けていき。
「ペンギンさんどうしたの?
 ここには猟書家さんしかいないはずじゃ……」
 きょとんとした顔の真幌・縫(f10334)と遭遇した。
「おっ、さっきのペンギンじゃん。
 そんなとこで慌ててどうしたんだ?」
 縫の隣で振り返ったマクベス・メインクーン(f15930)も、笑ってペンギアット・ペンギゲイザーを出迎える。
 ファンを装って接近してきた(と思っている)猟兵がいたから、友好的な2人にも、ペンギアット・ペンギゲイザーは警戒の色を見せたけれども。
「お前のおかげでさ、めっちゃいい写メ撮れたから。
 お礼言おうと思って探してたんだけど」
「そうそう! ペンギンさんのおかげで素敵な写真が撮れたんだよー」
 マクベスはにこにこと友好的に話しかけ続け。縫もぱあっと表情を輝かせると、手にしたスマホに次々と画像を表示させながらペンギアット・ペンギゲイザーに見せる。
「ほら、これ! ぬいとマクベスくんとペンギンさんのスリーショット。
 とっても可愛く撮れたんだよ♪」
 それは確かに、都会の街並みを再現したこのエリアで撮ったもの。
 キマフュポップな2人の間で、2人が抱えた翼ねこのぬいぐるみに挟まれて、目を白黒させているでっかいペンギンのぬいぐるみ。
 まるで、遊園地などのアミューズメントパークでマスコットキャラクターに出会ったかのように、楽し気に写真を見せ、称賛する縫の純粋さに、ペンギアット・ペンギゲイザーは満更でもなく頷いて。
「うむ。まあ、素人なりに、我の可愛らしさをよく撮っておるな」
「もし、良かったらこの写真もいる?」
「よかろう。この銀河皇帝に献上する栄誉を授けようではないか」
 わいわいと楽しいやりとりを重ねていく。
 一方で、マクベスは、笑顔を浮かべてその様子を伺いながら。
(「一緒に写真撮ったよしみだからな。せめて苦しまないように倒してやろうかな」)
 こちらはしっかりとペンギアット・ペンギゲイザーがオブリビオンであると認識し。
 警戒されないよう、縫と一緒に楽しんでいるふりをしてだましながら、こっそりと有利な位置を探って動いていく。
 とはいえ、すぐに仕掛けないのは、油断を誘うためだけではなく。
(「縫がまだペンギンを敵だと思ってなさそうだからなぁ……」)
 素直にふわふわペンギンとの交流を楽しんでいる、縫の笑顔があるからで。
 楽しんでいる縫を色んな意味で守るように、マクベスはそっと、右手に金色の小刀『ゴルトリンクス』を、左手に銀色の小刀『シルバーリンクス』を握りしめる。
 しかし、そんなマクベスの様子に、さすがの縫も気が付いて。
 さり気なく戦闘態勢を整えていることから、ようやく察する。
「はっ! ペンギンさんが猟書家さんなんだね!」
 猟書家しかいないはずの場所に、ペンギアット・ペンギゲイザーが居る理由を。
 慌ててスマホをしまい、その場を退けば。
「む? 写真の献上はまだか?」
 突然の展開についていけなかったペンギアット・ペンギゲイザーが、きょとんと首を傾げたところへ、縫と入れ替わるようにマクベスが飛び込んだ。
「ははっ、悪い事しに来たお前が悪いんだぜ?
 猟兵がたくさんいる中に飛び込んで来たのが運の尽きってなっ」
 そして金銀2刀に炎の精霊の力を宿し、燃え盛る『二連爪撃』を放つ。
「のおお!? ひ、火がっ、熱っ! な、何をするか!?」
 慌ててバタバタ転げまわり、燃えるマントと毛を治めるけれど。
「それじゃあぬいも!」
 そこに今度は、縫が『花嵐』でピンクの花びらを舞わせる。
 ポップな衣装に合わせてか、いつもより濃い色合いとなった無数の花びらは、ペンギアット・ペンギゲイザーをピンク色に包み込んで攻撃し。
「お花綺麗でしょ?」
 ふわっと微笑む縫の前で、ごろごろと転がって花嵐の中から何とか逃げ出すペンギアット・ペンギゲイザー。
 そして慌てて起き上がると、肩越しに2人へ振り返って。
「くっ……今日の所は見逃してやろう。覚えておれ!」
 典型的な捨て台詞を残して、走り去っていった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

龍巳・咲花
鈴果殿(f37140)と参加でござる!

清々しい程の逃げっぷりでござるなあ!
此方も準備完了故、逃がさぬでござるが!

逃げ回る敵の追撃戦でござるな!
鈴果殿のティンクルスターの死角を利用して、合間を縫うようにクナイを投げてペンギンの逃げ道を塞いだり、反撃の手を潰しながら、特製のクナイを仕掛けていくでござるよ!
鈴果殿がキラキラと目立ってくれる故、拙者も忍びとして動きやすいでござるなあ!

言ったでござろう! 逃がさぬでござると!
鈴果殿合図と共に結界を発動させ、ムシュマフの特大の一撃をペンギンの頭上から落とすでござるよ!
それを背景に、鈴果殿の横に並び立ち拙者もポーズでござる!
制服も大分着慣れてきたでござるな!


宵空・鈴果
引き続き、さなりん(f37117)と
(きらーんと目を光らせて)
準備上々っ☆ここからぼっこぼこタイムだりん☆
それっ☆とUCで極めて柔らかいティンクルスターを一気に召喚
お星さまでいっぱいにしつつ、星を飛翔させてペンギンの邪魔していきますりん☆
エアシューズでの高速移動も組み合わせれば追い込める気がするりん☆
敵の攻撃はティンクルスターで防御ですりん☆
ダンスが得意だから多少無茶な姿勢でもリズミカルに防御や回避運動ができるはずりん☆
あっでも、上手く敵に近づけたら蹴っとくりん☆

ついでに合間にかわいいピースでアピール☆そんなキラキラの存在感を放ってこちらに目線を集めておいて〜、さなり〜ん、やっちゃえ〜☆


 観光客避難のための囮から、オブリビオン撃破のための戦闘へ。
 状況が切り替わったことを知った龍巳・咲花(f37117)は、しっかりと頷いて、やるべきことを確認する。
「逃げ回る敵の追撃戦でござるな!」
 そうなることは事前に聞いていた。まあ、オブリビオンが逃げるってどういうことなのかと肩すかしのように感じたのも思い出しながら。
 学園の正門前を描き出した、制服部門のエリアで待ち構えると。
「清々しい程の逃げっぷりでござるなあ……」
 説明されていた以上の状況に、咲花は思わず呟いていた。
 背中の赤いマントは半分以下にざっくりと短く切られ。灰色の毛並みは全体的に黒く煤けたように焦げていて。ちょっとズレた頭の王冠には、ビビッドなピンクの花びらがついている。
 這う這うの体で逃げ出してきた様子が、ありありと見てとれて。
 倒していいのかと少し不安が過る程。
 だけど、相手は紛れもなくオブリビオン『ペンギアット・ペンギゲイザー』だから。
「此方も準備完了故、逃がさぬでござるが!」
 使い慣れたクナイを手に構えて見せた。
 その隣で、宵空・鈴果(f37140)も、きらーん、と目を光らせて。
「準備上々っ☆ ここからぼっこぼこタイムだりん☆」
 可愛らしく、でもよく聞くと酷いことを宣言すると。
「それっ☆」
 早速召喚するのはティンクルスター。
 丸みを帯びた星型のそれは、見た目の印象通りに極めて柔らかく。ふわふわと辺りを漂うように浮かんでいく。
 ファンシーな星空の中に飛び込んだかのように、正門前の空間が、きらきらふわふわと星で可愛く埋め尽くされていった。
「むむ。これは何であるか? クッションか?」
 逃げ走っていたペンギアット・ペンギゲイザーは、足を止めて。
 近くのティンクルスターをつんつんふわふわと探ってみる。
 ふわもふペンギンが星型クッションに囲まれた光景は、どこかほんわかのんびりしたものだったけれども。
「スターライト・エアリアル☆」
 鈴果の声に、星は飛び回り始めたから。
「ぬおお!?」
 急に飛翔するティンクルスターに、ペンギアット・ペンギゲイザーが驚き、戸惑う。
 そして鈴果自身も、飛ぶ星の間を、エアシューズで翔け回った。
 流星のように煌びやかに、高速で動き回るその姿は、星と一緒に踊っているかのよう。
 星と一緒に輝きながら、縦横無尽に舞いを見せ。
「ちゃんすっ☆ だから蹴っとくりん☆」
 上手くペンギアット・ペンギゲイザーに接近できたところで、脚を振り抜くと。高速走行も可能な程頑丈な、でも星柄も散りばめて可愛さも魅せるエアシューズが、きらんと輝く流れ星のほうきのような軌跡を描いた。
 ちなみに鈴果は、まだコンテスト用の女子高生制服を着たままだったから、短いわスリットが入ってるわでいろいろギリギリなスカートがふわりと揺れて、艶やかな太腿が、その白い肌が、いやそれ以上の部分が見えそうになるけれども。
 そこもティンクルスターが大活躍。
 きらきらふわふわ飛翔して、乙女の恥じらいをしっかりサポート。
 だから、というわけでもないだろうけれども、鈴果は思いっきり星と踊り。
 得意なダンスを見せていくように。アクロバティックな姿勢で、リズムを刻むようなタイミングで、ペンギアット・ペンギゲイザーを翻弄する。
「ついでに、かわいいピースでアピール☆」
「くっ、銀河皇帝ペンギンである我より目立つでない!」
 ペンギアット・ペンギゲイザーが違うところで張り合ってる気がしますが。
 ぷんすか怒りながら、鈴果へ反撃しようと、何か動きを見せる。
 だがそこに、ファンシーな星の間から飛び来るのは、鋭いクナイ。
「ぬおお!?」
 ペンギアット・ペンギゲイザーの動きを縫い留めるかのように、踏み出した足のすぐ先へ、正確に突き刺さった忍具に、思わず飛び退くと。
「もいっかい蹴っとくりん☆」
 そこに待ち構えていたように回り込んでいた鈴果のエアシューズが、またペンギアット・ペンギゲイザーを蹴り転ばした。
 ころんと転がるもすぐに起き上がり、ペンギアット・ペンギゲイザーは慌てて辺りを見回すけれども、周囲はティンクルスターが飛び回り、鈴果が躍っているだけ。
 おろおろと右を左を見やるペンギアット・ペンギゲイザー。
(「鈴果殿がキラキラと目立ってくれる故、動きやすいでござるなあ」)
 ティンクルスターの生み出す死角を利用して、鈴果の陰に隠れるようにして、忍びとしての動きを遺憾なく発揮していた咲花は。ペンギアット・ペンギゲイザーにその姿を捉えられることなく、最適な位置を取り。
 キラキラの存在感にペンギアット・ペンギゲイザーの視線が奪われた、瞬間。
「さなり~ん、やっちゃえ~☆」
「言ったでござろう! 逃がさぬでござると!」
 鈴果の合図と共に、咲花は印を結び、仕掛けておいたクナイを起点に結界陣を発動させた。
 ティンクルスターと鈴果が気を惹いてくれていたからこそ容易にできた仕掛けが、ペンギアット・ペンギゲイザーを取り囲み。
「龍陣忍法、災禍顛墜!」
 古代バビロニア龍脈に眠る炎竜ムシュマフ。
 その特大の一撃を、ペンギアット・ペンギゲイザーの頭上から落とす。
 猛毒霧と黒炎が、見事にペンギンな丸っこい身体を飲み込んで……
「決まったら、さなりん、ポーズっ☆」
「任せるでござる!」
 何だか大変なことになっているペンギアット・ペンギゲイザーを背景に、鈴果と咲花は、女子高生らしい可愛い様子で並び立ち。いつの間にそこにいたのか、カメラを構えていたブラックタールなスタッフに向けて、最高の仲良し笑顔を見せた。
「制服も大分着慣れてきたでござるな!」
「うんうん☆ さなりん可愛いりん☆」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

フリル・インレアン
【街】
ふええ、どうにかペンギンさんから逃げてこれました。
ここは、普段着部門の会場ですね。
せっかくですから、着替えてって、なんでペンギンさんがもうここにいるんですか?
まだ着替えてないのに、お着替えの魔法はアヒルさんがいないとできないですし、どうしましょう。
あ、アヒルさんいいところに来てくれました。
お着替えの魔法で猟兵コレクションに着替えましょう。
これなら、ペンギンさんも何も言えないはずです。
ふえ?普段着なのになんで部屋着なんだって、部屋着でもよかったんですよ。
ふええ、結局言い負けてしまってます。


「ふええ、どうにかペンギンさんから逃げてこれました……」
 涙の痕が残る情けなくも力ない表情で、フリル・インレアン(f19557)は後ろを振り向き、誰も追って来ていないことを確認するとその場にへたり込んだ。
 必死で逃げている間に、ユーベルコードの効果も解け、小さくなっていた身体は元の大きさに戻っていて。周囲の景色も変わっている。
「ここは……普段着部門の会場ですね」
 少しだけ心に余裕ができたことで、フリルの赤い瞳に、アスファルトの車道と線路の通る高架、道路標識にマンホールに黄色い点字ブロックに、立ち並ぶビルや地下鉄駅への入り口などなど、UDCアースの街の光景がようやく映ったから。
 戦場とは違う立体映像が投影されているエリアに、本当に逃げ切れたのだと、フリルは安堵のため息をついた。
 そして、安心と共に気持ちが落ち着いてくれば。
 思い出すのは、このリゾートシップ『シーナリィ号』で行われているイベントのこと。
 さらに、猟兵コレクションの普段着部門に合わせて新調した自身の服のことで。
「せっかくですから着替えましょう」
「む? 生着替えとやらか?」
 ぽんっと手を打ち、少しだけ表情を華やかにしたフリルは、しかしすぐ横から聞こえた声に一瞬にして顔を青ざめさせると、慌てて飛び退いた。
 怯えた赤瞳に映るのは、半分の赤マントと壊れかけた王冠を身に着けた、煤けた毛並みのオブリビオン『ペンギアット・ペンギゲイザー』。
「ふええ!? なんでペンギンさんがもうここにいるんですか?」
「わっ、我がどこに居ようと誰に文句を言われる筋合いはないわ!」
 半泣きのフリルに戸惑いながらも、ペンギアット・ペンギゲイザーは言い返し、黒っぽくなった胸をむんっと張って、多分皇帝らしい横柄なポーズをとる。
 実際、戦闘装備部門から走ってきたフリルと、制服部門から逃げてきたペンギアット・ペンギゲイザーでは、この場所に辿り着いたルートは全然違うし、ここでばったり会ったのも偶然なのだけれども。必死で逃げてきたフリルから見れば、ペンギアット・ペンギゲイザーに追いつかれてしまった感覚なわけですが。
「お着替えの魔法はアヒルさんがいないとできないですし、またペンギンさんに生着替えを要求されていますし、どうしましょう」
「いや、だから何の話……」
 勘違いからの双方の混乱でどうしようもなくなってきたその場所へ。
 ガア。
 飛び込んできたのはアヒル勇者だった。
「あ、アヒルさんいいところに来てくれました」
 まだ戦闘装備部門の勇者な格好をしたガジェットに、しかしフリルが元の大きさになったことでいつも通り手の中に収まった姿に、フリルはほっとして。
「いきますよアヒルさん。『少女の身嗜みと貞操を守るお着換えの魔法』です」
 フリルの声に応えてガジェットが鳴くと。
 アヒル勇者のデフォルメ画像と共に、しばらくお待ちくださいのテロップが表示される。
 え? どういうこと?
 しかし、誰かがツッコむ間もなく。0.05秒で防具を着替える事ができるユーベルコードはつつがなく発動し、その効果が終了すると。
 フリルの服は、ゆったりとした青色のワンピースに変わっていた。
 ビブ・カラーのように丸襟の胸元はボタンも留めてしっかり目だけれども、それを囲む小さなフリルから先は、余裕のある大き目なデザインになっていて。だぼっとした袖も、袖口を少しきゅっと結びつつもひだ飾りで柔らかく。胸元から膝までふんわり広がるスカートも、ウエストを絞らないゆったりデザイン。
 そこに、タオルを頭に巻いたかのようにも見えるタオル地のリボン・カチューシャと、もこもこしたルームサンダル、ふわふわ素材に変化してぬいぐるみのようになったアヒルちゃん型ガジェットを組み合わせると。
 パジャマパーティーが始まりそうな格好です。
「これなら、ペンギンさんも何も言えないはずです」
 そんな、猟兵コレクションにエントリーした服装を魅せ、フリルがほっとするけれども。
 ペンギアット・ペンギゲイザーは、ずいっとフリルに詰め寄って。
「これは普段着でなく部屋着であるな」
「ふえ? いえ、あの、部屋着でもよかったんですよ」
「しかし、この街並みを背景に部屋着は相応しくないのではないか?
 お主は部屋着で街を歩くというのか?」
「それは、その、えっと……」
 至極もっともな指摘にフリルに言い返せる言葉はなく。
「ふええ、結局言い負けてしまってます」
 泣きながら踵を返して、フリルは逃げ出した。
大成功 🔵🔵🔵

アカネ・リアーブル
【桜】
【茜星】
もふ!
また会えましたねペンギアット様
ああなんて可憐なモフ(ぎゅ
ペンギアット様七変化…(ほわり
素晴らしいですエリシャ様
及ばずながらお手伝いさせてくださいませ

UCで足止め
ハイカラ学生姿!なんてお似合いな
一緒に記念撮影
茜姫とエリシャ様とモフと
大好きに囲まれてご満悦

次々変わるペンギアット様の衣装に目を輝かせ
なんて、なんて愛らしい!
凛々しいお姿とモフな毛並みに桜色のフリフリがよく映えて
和テイストのマントも新境地でお似合いです
桜並木を利用して写真撮り撮られまくり

茜姫のリクエストに思わず感動
アカネを産んだ作品にここで出会えるなんて
アカネはあまり覚えておりませんが
もちろんご一緒させてくださいませ


鎖木・茜
【桜】
【茜星】

エリシャ様
今は戦う時ですわ
わたくしの初陣の援護を…

(着せ替えを始める二人に硬直
(我に返り
はっ!これが戦いなのですの?
なんと奥が深い…

似合いの衣装?
(超奇抜な衣装で楽しげに踊る青年の写真を差し出し
この衣装はいかがです?
彼は初めて見たお芝居の主人公ですの
ルールが全てな銀行員が本当の自分に目覚めるという筋で

周囲に盲従し己の役割をこなす彼に共感しておりましたの
ですが最後はこのような格好に
ここにいてはいずれこうなると恐怖に駆られ
堪えきれずアカネを創造したのです
この衣装をもう一度見せてくださいまし
そしていつかもう一度見たいですわね
このお芝居を

ルールに縛られた憐れな猟書家を
骸の海へと還しますわ


エリシャ・パルティエル
【桜】
【茜星】

ふふ、楽しかったわね~
あ、アカネちゃんに茜姫!

ペンギンの写真はスタッフさんのおかげでよく撮れてるけど
いつもの格好でしょ?
だからあたしが着替えを用意してあげるの!

UCでマント状の衣装を作り出すわ
黒コート風マントに学生帽
これでハイカラ学生ね!
和装だしみんなで一緒に写真も撮りましょ!
アカネちゃんたらペンギンもモフ対象なのね…
ふふ、茜姫
これも立派な戦いなのよ!

他にも衣装あるわよ
桜色のふりふりマントや和のテイストの生地でできたマントなど
ペンギンを着せ替え人形にして楽しみつつ足止めするの

茜姫はどんなの着せたい?
まあ二人に縁のある衣装ね
任せて
さあペンギン
楽しく踊るのよ!
あ、写真もよろしくね!


「ふふ、楽しかったわね~」
 桜咲く袴姿を揺らし、エリシャ・パルティエル(f03249)の足取りは弾む。
 素敵な新衣装に、素敵な桜並木。撮ってもらった写真も、満足いくものに仕上がって。
 ここで大切な人が桜色の中を追いかけてきてくれたら最高だけれども、なんて夢のようなシチュエーションを想像してくすくす笑いながら、揺れる青いイヤリングを愛おしそうにそっと触れる。
 その夢は叶いそうになかったけれども。
 でも、進む先に、見知った2人の少女を見つけたから。
「あ、アカネちゃんに茜姫!」
「エリシャ様」
 笑顔で声をかけ、小走りに駆け寄ると、振り向いた2人のうちの片方、赤髪の鎖木・茜(f36460)が名を呼んでくれた。
 その姿は、白地に桜の紋様が美しく舞う振袖。いつも結い上げている赤髪がふわりと下ろされているのも可愛らしい。
 それによく見れば、隣に並ぶアカネ・リアーブル(f05355)の青地の振袖と、描かれた模様が同じで。色違いのお揃いを選んだのだとすぐに分かった。
「2人は揃いの振袖なのね。
 茜姫、素敵よ。もちろん、アカネちゃんも」
 着物の美しさを、そしてそれを仲良く並んで着ている2人を、嬉しそうにエリシャは眺め、その心のままに、簡潔ながらも賛辞を口にすれば。
 茜は、嬉しそうだけれども恥ずかしそうな、褒められたことに戸惑っている様にも見えるちょっと複雑な表情で、それでもぎこちなく笑みを浮かべ。
 アカネは、エリシャの姿をじっと見つめて、その表情をぱあっと輝かせると。
「もふ!」
 エリシャの横を走り過ぎた。
 その背を追って振り返ったエリシャの驚く金瞳に映ったのは、オラトリオの白い翼が生えた青い振袖の背中と、その先で疲れたようにぽてぽて歩く『ペンギアット・ペンギゲイザー』の哀愁漂うふわもふまんまるな姿。
 どうやら、アカネが見ていたのはエリシャではなく、その向こうを通りかかったペンギアット・ペンギゲイザーだったようです。
 振袖姿なので大人し目ではあるけれど、それでも充分速い足取りで、アカネはペンギアット・ペンギゲイザーに駆け寄ると。
「また会えましたねペンギアット様。ああ、なんて可憐なモフ……」
 有無を言わさずぎゅっと抱き着き、頬をすりすり。
「ぬをを!? またお前か!」
 ばたばた暴れるペンギアット・ペンギゲイザーを完璧に抑え込んでいます。
 慌てて追いかけたエリシャは、その様子に納得の色を見せ。
「アカネちゃんたら、ペンギンもモフ対象なのね……」
 くすくすと好まし気に、アカネらしいと微笑んだ。
 その隣へ、振袖の歩き辛さにちょっと苦戦しながら、ようやく追いついた茜は。
「アカネ! ですからそれは猟書家ですのよ!
 今は戦う時ですわ!
 エリシャ様、どうかわたくしの初陣の援護を……」
 アカネを引き離そうとしながら、エリシャに助けを求めるけれども。
 エリシャは微笑んだまま、暴れるペンギアット・ペンギゲイザーのどこかからひらりと落ちた4枚の写真を拾い上げた。
「うん。よく撮れてる。さすがコンテストのスタッフさんね」
 それはこのリゾートシップ『シーナリィ号』で行われていたコンテストの参加賞。
 4部門全てで、それぞれ何があったのかよく分かる写真に、エリシャは頷き。
「でも、どれもいつもの格好でしょ?
 だから、あたしが着替えを用意してあげたわ!」
 言ってエリシャが掲げたのは、ユーベルコード『聖ヨシュアの具現』で創り上げた、黒い学生帽と黒コート。
「素晴らしいですエリシャ様! 及ばずながらお手伝いさせてくださいませ」
 藍色の瞳を輝かせたアカネが、嬉々として賛同し。暴れるペンギアット・ペンギゲイザーの、半分に切られた王様赤マントと壊れかけた王冠をエリシャのそれと2人がかりで入れ替えれば。
「これでハイカラ学生ね!」
「なんてお似合いな!」
 サクラミラージュを思わせる、モダンなペンギンが出来上がった。
「和装だしみんなで一緒に写真も撮りましょ」
 エリシャの提案にアカネが1も2もなく頷いて。どう見ても状況についていけてないペンギアット・ペンギゲイザーと戸惑い顔の茜を引き寄せれば。どこからともなく現れてカメラを構えるブラックタールなスタッフ。プロですね。
「他にも衣装あるわよ」
 さらにエリシャは次々と衣装を創り出し。
 桜並木に合わせた桜色の生地に淡い桜のレースを繊細に重ねたふりふりマントや。
 色とりどりで鮮やかな花模様が美しい西陣織のマント。
 端に魔法陣を思わせる細かな模様が縫い込まれた魔法使いマントに。
 猫耳がついたフードと一体化したポンチョのような変身マント。
 白地に金糸の紗綾形綸子が菊や欄を散らした和柄のマントなどなど。
 ペンギアット・ペンギゲイザーは着せ替え人形と化していく。
「なんて、なんて愛らしい!」
 その間中、アカネの瞳は輝きっぱなしで。
「凛々しいお姿とモフな毛並みに、桜色のフリフリがよく映えますね」
「和テイストのマントも新境地でお似合いです」
「世界中をモフにできそうな素晴らしい魔法使いですわ」
「ペンギンで充分お可愛らしいのにネコだなんてそんな素晴らしすぎます」
「桜並木に白がとても映えますわ。上品で、お祝いの席にもいいですわね」
 片っ端から褒めちぎると、ペンギアット・ペンギゲイザーも調子に乗って。
「そ、そうであるか?
 まあ、我は銀河皇帝ペンギンであるからな。似合うのも当然である」
 満更でもない感じにポーズを取り、パシャパシャとシャッターが切られていく。
 そうして着せ替えからの写真撮影という流れが延々繰り返されていくのを、取り残されたかのように硬直した茜は、呆然と眺めていて。
 その様子に気付いたエリシャが、悪戯っぽく片目を瞑って、告げる。
「ふふ、茜姫。これも立派な戦いなのよ!」
「はっ! これが……戦いなのですの? なんと奥が深い……」
 堂々と告げられた言葉に、茜は我に返り。疑うことを知らないかのように完全に騙された状態で、先ほどまでとは違う真剣な緑瞳で着せ替え撮影大会を見つめた。
 エリシャもその信じ切った様子を楽しそうに見やると。
「茜姫はどんなの着せたい?」
 さあ一緒に、というように誘いの声を続ける。
 問われた茜は、ペンギンに似合いの衣装? と考えて。
 そんなピンポイントでは思い浮かばなかったけれども。
 衣装、舞台衣装、芝居? と頭の中で連想が働いて。思い至る。
「……この衣装はいかがです?」
 そして1枚の写真を差し出した。
 そこに映るのは、超奇抜な衣装を着て楽し気に踊る1人の見知らぬ青年。
「彼は、初めて見たお芝居の主人公ですの。
 ルールが全てな銀行員が本当の自分に目覚めるという筋で……」
 彼は本当に真面目な、生真面目とも言える程の銀行員だった。
 親や社会の期待に沿うことだけを考えて生きていた。
 周囲に盲従し己の役割をこなす彼。
 茜は、その姿に共感していた。
 聡明なお母様の言う通りにしていれば、万事うまくいくと思っていたから。
 愛するお母様の期待に応えることこそが、その時の茜の全てだったから。
 しかし彼は、様々な経験を経て、ダンサーになりたいと思っていた夢を取り戻す。
 そして、常識に囚われないこの超奇抜な衣装で、彼は踊ったのだ。
 親も社会も気にせずに。彼の夢をその手に掴んで。
 茜が見た芝居は、そんな名作だった。
 しかし。
 彼の変化を目の当たりにした茜は。芝居の最後を見た、盲目な少女は。
 恐れてしまった。
 自分もいずれ変わってしまうのでは、と。
 そして。
「ここにいてはいずれこうなると恐怖に駆られ、堪えきれずアカネを創造したのです」
 お母様の言う通りに振舞う自分を。
 お母様の期待に応えられる自分を。
 恐怖から創り上げ、恐怖から維持し続け……
 紆余曲折を経て、こうして隣に居ることができるようになった。
 揃いの振袖を着て、並んで同じ景色を見て、笑い合えるようになった。
 それは、あの芝居を見た時に恐れた、変化の1歩を踏み出したから。
 あの時の彼に、あの時以上に共感できるようになったから。
 茜は、赤い髪を揺らし、緑の瞳に自由を映して、アカネの隣に、居る。
 その話を、写真という形で目の当りにしたアカネは。
「これが……アカネを産んだ作品にここで出会えるなんて……」
 身勝手な茜に怒ることもなく、振り回した茜を恨むこともなく。
 ただただ、純粋に、自身の誕生の話に、そしてそれをアカネがリクエストしたことに、感動しているようだったから。
 茜は決意したように、エリシャに告げる。
「この衣装をもう一度見せてくださいまし」
「まあ。2人に縁のある衣装ね。任せて」
 エリシャは断る理由などないとばかりに二つ返事で頷いて。
 写真に写った青年のような、超奇抜なマントを創り上げる。
「さあ、ペンギン。これを着て楽しく踊るのよ!」
「誰が踊るか! というか、何なのだその珍妙な衣装は!」
 しかし、さすがのペンギアット・ペンギゲイザーも、その奇抜すぎる衣装に違和感を覚え、着せ替え人形から脱しようとするから。
「では、アカネが舞をひとさし舞いましょう。あなたに光があらんことを」
 その前に立ちはだかったアカネが、奉納舞を披露して。
「踊っている場合ではないと言っておるだろう!」
 逆に怒りを増したペンギアット・ペンギゲイザーの、舞いを楽しんでいない者の、行動速度がユーベルコードの効果で低下する。
 ゆえにエリシャは、あっさりとペンギアット・ペンギゲイザーに超奇抜なマントを着せることができて。
「あ、写真もよろしくね!」
 ぐっと楽し気に親指を立てて応えたブラックタールなスタッフが、ペンギアット・ペンギゲイザーの動きが踊りに見えるような瞬間を切り取っていった。プロですね。
 そして茜は、芝居で観た彼を思い描き。
 誰かに決められた道から反れ、自分で描いた道を進んで行こうと、改めて決意して。
「わたくしだって、やればできるのですわ!」
 未来にいる『なりたいわたし』を目指して、ユーベルコードを発動させると。
 ルールに縛られた憐れな猟書家を、骸の海へと還していく。
 かつての自分を倒して、前に進んでいくかのように。
 茜は、ペンギアット・ペンギゲイザーが消えたその場所を、じっと見つめて。
「いつかもう一度見たいですわね。このお芝居を」
「アカネはあまり覚えておりませんが、もちろんご一緒させてくださいませ」
 告げた言葉に、アカネが満面の笑顔で頷く。
 エリシャも、寄り添ように並ぶ2人を見守るように微笑んでいたから。
 茜は、はにかんだような笑みで、応えた。
「ええ。是非、一緒に」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2022年05月18日
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