星条旗と鋼鉄の拳
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アポカリプスヘル、メンフィス灼熱草原。絶えず漆黒の炎が吹き荒れる不毛の大地の中央部に、奇怪な建築物が聳え立っている。『影の城』と呼ばれるその城塞の中には、異形のオブリビオン二体の姿があった。
「ムシュ~ここまでやられちゃうとは……」
「少々猟兵の力を見くびっていたようだな、ドクター・オロチよ。作戦は失敗だ」
一人は忍装束を纏い、不気味な仮面を被った複腕の忍者。そしてもう一人は、赤いくまのパーカー姿の小柄な人影。ただし、その頭部は剥き出しの脳髄のような肉でグロテスクに形作られている。見間違う筈もない、彼らは風魔小太郎とドクター・オロチである。
「時間稼ぎは、拙者がやろう。オロチよ、貴様はその間に撤退の準備をするのだ」
「ムシュ~、でも時間いっぱいやれるだけやって、フィールド・オブ・ナインの居場所を探してみるよ! 小太郎、キミはそれまで嫌がらせをよろしくね!」
任せておけ、と返答しつつ、小太郎は『貌』を付け替えることで別のオブリビオンへと変じていく。瞬きする間もなく、小太郎は麗しき女性拳士の姿へと変わっていた。
「ボクも今のうちに『魔軍転生』でフィールド・オブ・ナインを憑装しておこうっと!」
漆黒のオブリビオンストームが吹き荒れた次の瞬間、ドクター・オロチの頭上から黄金の霊体のようなものが降り注いだ――ように見えた。『魔軍転生』、サムライエンパイアのオブリビオンフォーミュラ、『第六天魔王』織田信長が決戦の際に用いた秘術と、まったく同じものである。
程なくしてドクター・オロチは、スーツを纏った筋骨隆々の男性――フィールド・オブ・ナインの一人、プレジデントに似た姿へと変貌した。魔軍転生の力を使って、オロチはあのプレジデントを『憑装』することに成功したのだ。
「……どうかね? 風魔小太郎君。わたしの『魔軍転生』は」
「完璧だ、大統領閣下」
巨大な機械腕をガッシリと組むと、ドクター・オロチは不敵に笑って見せた。
「みんな、急に呼び出してすまない。ドクター・オロチの居場所が遂に明らかになったぞ!」
ある日のグリモアベース。広場に集まってきた猟兵たちに対して、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は若干興奮した調子で切り出した。
「アポカリプスヘルに現れて、暗躍を続けていたドクター・オロチと風魔小太郎だが、奴らは今メンティス灼熱平原の『影の城』にいる。オロチの目的は、未覚醒のフィールド・オブ・ナイン3体を蘇生させ、スカウトすることだったんだ」
フィールド・オブ・ナインとは、アポカリプスヘルに君臨する最凶のオブリビオン集団のことである。9体いるとされるそれらのうちの6体が覚醒し、先の決戦『アポカリプスランページ』で猟兵によって撃破されている。
「だが……時間質量論のデータ回収や拠点の復興活動を通じて、私達はオロチの部下を多数撃破してきた。そして、奴らのアジト『影の城』の特定にも成功している。つまり、奴らの作戦はもう手詰まりというわけさ!」
今もしぶとくフィールド・オブ・ナインの捜索を続けているオロチと小太郎だが、実際は既に撤退する準備を整えていることだろう。ならば猟兵が為すべきことはひとつ。直ちに『影の城』へ乗り込み、風魔小太郎とドクター・オロチを撃滅するのだ。
「『影の城』に乗り込んだら、まずは『百面鬼の術』で変身した風魔小太郎と戦うことになるだろう。なお、彼はオロチから与えられた【プレジデントナックル】の力を行使することができる。ボクシングで戦うことによって戦闘力が大幅に向上するという、例のあれだ」
以前猟兵がプレジデントと戦った際、彼はボクシングで戦うことによって猟兵たちを苦戦させた。それと同じ能力を、今回は小太郎が使う。
「魔軍転生の力でプレジデントを『憑装』させたオロチもまた、プレジデントと似た力で攻撃してくると思われる。両者とも小細工のない、拳での殴り合いになるだろうな……」
追い詰められたオロチ達だが、破れかぶれで思わぬ痛撃を浴びせてくるかもしれない。戦闘への対処は万全を期す必要があるだろう。
「ドクター・オロチと風魔小太郎をここで仕留めて、フィールド・オブ・ナインの覚醒を阻止しなければ、アポカリプスヘルに完全な平穏が訪れることはないだろう……みんな、頼む。何としても奴らを撃破してくれ。アポカリプスヘルの人々のために」
そう言ったガーネットの口調は切実だった。輝くグリモアに導かれ、猟兵たちは決戦の地、『影の城』へと向かう。
弥句
こんにちは、弥句です。今回はアポカリプスヘルにおける「ドクターオロチ決戦シナリオ」をお送りします。
シナリオは二章構成で、第一章はボス戦。『百面鬼の術』で変身した、『風魔小太郎』との戦闘になります。小太郎は変身したオブリビオンのユーベルコードに加え、プレジデントの【プレジデントナックル】を行使できます。ボクシングによる近接戦闘を仕掛けてくると思われます。
第二章もボス戦で、こちらは『魔軍転生』でプレジデントを『憑装』したドクター・オロチとの戦闘になります。こちらは憑装の影響で肉体が著しくマッスル化しており、口調もプレジデントのものと似た感じになっております。オロチもまた、プレジデントの戦闘法を模倣する形で戦いを挑んできます。
なお、今回のシナリオは出来るだけ早期完結(4月末まで)を目指して執筆させていただきます。ご了承ください。それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『拳将『シドウ』』
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POW : 絶奥義・滅龍破断拳
【龍のようなオーラをまとった拳】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 絶奥義・紅蓮覇王拳
敵を【灼熱の炎をまとった拳】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
WIZ : 縛鎖戦術『喧嘩の流儀』
【竜のような闘気を収束した衝撃波】が命中した対象を爆破し、更に互いを【闘気の鎖】で繋ぐ。
イラスト:さいばし
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ガイ・レックウ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
青原・理仁(サポート)
人間
年齢 17歳 男
黒い瞳 金髪
口調 男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)
性格面:
やさぐれ、ぶっきらぼう
積極的な人助けはしないが、見捨てきれずに手を貸してしまう
戦闘:
武器は使わず、殴る・蹴る・投げるなど、技能「グラップル」「怪力」を生かしつつ徒手空拳で戦う
構え方は古武術風
雷属性への適性があり、魔力やら気やらを雷撃に変換し、放出したり徒手空拳の際に纏わせたりします
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辺り一面を凝縮した闇で塗り潰したような漆黒の空間に、獣の咆哮のごとき雷鳴が響き渡った。拳将『シドウ』に変化した風魔小太郎が放った衝撃波と、青原・理仁(青天の雷霆・f03611)が放った雷撃弾が、正面からぶつかり合ったのだ。
『影の城』の内部に満ちた闇を引き裂くように眩い閃光が奔り、両者の姿を明々と照らし出す。
「よく練られた闘気だな」
「ドクター・オロチはどこだ? 出してもらおう」
理仁の問いかけに、小太郎は返答しない。代わりに繰り出されるのは、かのプレジデントを彷彿とさせる豪快な高速拳打だ。猟兵といえど、まともに食らえば骨を粉砕されるほどの剛拳が矢継ぎ早に繰り出される。その拳打の雨を、理仁は古武術特有の足さばきで見切り、両手で受け流していく。
いずれの動きにも、一切の無駄がない。
「ハッ!!」
そうして生まれた僅かな間隙を突いて、攻防を切り替える。手足に峻烈な雷霆を纏わせ、理仁が突きと蹴りのラッシュを仕掛ける。突き出された拳から、槍の穂先のように伸ばされた紫電から逃れるように、小太郎がバックステップで距離を離した。
「逃がすわけねぇだろ」
瞬時に理仁の闘気が爆発的に膨れあがり、戦場となった空間一帯に雷電で出来た迷宮が張り巡らされた。その雷光は理仁の意志に呼応し、蛇のような動きで小太郎を全方位から包囲した。
「これは……!」
軽快なフットワークで左右に体を動かし、電撃を避けようとする小太郎だったが、すべてを躱しきれたわけではなかった。雷霆に打たれ、強い体の痺れが小太郎を襲う。
「捉えたぜ!」
そこへ、前傾姿勢で踏み込んだ理仁が追撃のボディブローを打ち込む。右腕一閃、身体がくの字に曲がるほどの強いインパクトが、小太郎の身体を貫いた。
成功
🔵🔵🔴
サイモン・マーチバンク
変身した敵に適切な武器を与えている……
相手も本気という訳ですね
ならばこちらも頑張って戦います
……多少卑怯な手段でも!
『ムーンストライク』を構えて敵と対峙します
うわぁ、近くで見るとよりヤバそう
ですがこちらも近接武器を構えています
接近戦しないとですね
そのまま馬鹿正直に突っ込めば……相手もなんかすごいパンチを浴びせてこようとするでしょう
その瞬間にUC発動!
小さな兎に変身して回避します
オーラや風圧に飛ばされないように足に力を入れて……!
そのまま【ダッシュ】で相手の後ろに回り込み変身解除
背後から『ラビットフット』で奇襲します
俺は格闘家ではありません
何がなんでも生き延びる悪魔なのです
だから謝りはしませんよ
●
「さぁ……何処からでもかかってくるがいい」
拳将『シドウ』へと姿を変えた風魔小太郎は、ボクシングのファイティングポーズをとってサイモン・マーチバンク(三月ウサギは月を打つ・f36286)を挑発する。その只ならぬプレッシャーに、サイモンは脂汗を顔に浮かべていた。
(変身した敵に適切な武器を与えている……相手も本気という訳ですね)
かのフィールド・オブ・ナイン、プレジデントが用いた『プレジデント・ナックル』が発動。両腕に巨大な機械拳を装備して、小太郎は軽快なステップを踏んでリズムを刻む。ボクシングの戦闘法を取り入れることで、術者の格闘能力は格段に上昇するのだ。
(ならばこちらも頑張って戦います……多少卑怯な手段でも!)
今、サイモンの手元にある武器は金属製の大型ハンマー。餅を突くウサギの杵になぞらえて、そのハンマーは『ムーンストライク』と名付けられた。
「この『影の城』に単身乗り込んできた勇気は、讃えてやる。貴様を最大の奥義で葬ってやろう」
(っ……うわぁ、近くで見るとよりヤバそうだ)
ユラリと、小太郎の背後から巨大な龍の影が昇ったように見えた。だがそれはサイモンの錯覚で、練り上げられて可視化した闘気(オーラ)が放たれたのであった。
「へあああああっ」
なんとも気の抜ける掛け声を発しながら、サイモンがハンマーを構えて地面を蹴った。対する小太郎は、足でリズムを刻みつつ、必殺ブローを放つために力を溜め始める。
「絶奥義……滅龍破断拳」
サイモンのハンマーが振るわれた瞬間に合わせて、カウンターを叩き込むのである。その為には、至近距離……30センチ以内までサイモンを引き付ける必要がある。
(……まだ、まだだ)
「あああ~!」
(よし、今だ!!)
力任せのスイングがやってくる。それに合わせて、満を持して小太郎の豪拳が唸りを上げる。サイモンの頭部が、散弾銃で撃たれたように跡形もなく砕け散る――かと思われた。その瞬間、サイモンの姿は真っ白なウサギへと変わっていた。
「なに――!?」
そう、サイモン・マーチバンクの正体は、兎の悪魔である。そして龍のオーラを帯びた小太郎のブローは、虚空を切り裂くのみ。全身のバネを駆使して、サイモンはシュルン! と小太郎の背後へと回り込む。
「俺は格闘家ではありません……何がなんでも生き延びる悪魔なのです。だから謝りはしませんよ」
自嘲気味に呟いたサイモンだったが、小太郎に突きつけたリボルバーは盗賊としてのプライドの象徴だ。
「この残酷で無慈悲な世界、生き汚くて何が悪い!」
「がっ……!」
振り向きざまの左フックで迎撃しようとしたが、コンマ数秒及ばず。放たれた弾丸は、小太郎の胸へと吸い込まれて赤い血の華を咲かせた。
大成功
🔵🔵🔵
尖晶・十紀
アドリブ絡み歓迎
良くも故郷を、アポカリプスヘルを荒らしてくれたね?お前らの目的など……お前らごと潰してやる……覚悟しろ。
UCを使った悪路走破の足さばきで攻撃を回避しつつ怪力を活かしたパンチの乱れ撃ち
殴ったときの衝撃波で内部からダメージを与え二回攻撃
とどめはダッシュで接近し血を焼却させ燃える拳で捨て身の一撃、負傷は根性と激痛耐性で耐え切る
●
かつて古代中国には「蟲毒」と呼ばれる呪術の儀式が有ったと、古い知識を収めた書物で伝えられている。壺の中に無数の毒虫を入れて、互いを食い殺させる。そうして生き残った最後の一匹には強力な呪力が宿り……その虫を基に薬を作るのだ。
今、風魔小太郎と対峙している猟兵の少女――尖晶・十紀(クリムゾン・ファイアリービート・f24470)もまた、フラスコチャイルドを使った狂気の実験『蟲毒計画』の生き残りである。
「良くも故郷を、アポカリプスヘルを荒らしてくれたね? お前らの目的など……お前らごと潰してやる……覚悟しろ」
「娘よ。お前の生い立ちに関しては拙者は無関係だ……だが!」
女武術家の『貌』をした風魔小太郎が、メカニカルなグローブを握り込む。拳の中で灼熱の炎が生み出され、爆ぜた。
「拙者に挑むならば、迎え撃つのみ!」
「ステゴロで勝負だ……いくぞ!」
烈しい怒りが、十紀の力を増幅させる。幾度にもわたる改造、実験の果てに変異した十紀の体内で、灼熱の血が駆け巡った。グールドライバーの刻印が起動し、『灼血』がその紋様から烈火となって噴き上がる。
お互い四肢に紅蓮の炎を宿したまま、風魔小太郎と十紀は激しい打ち合いを演じた。風魔小太郎は【プレジデントナックル】の強化を得ており、戦闘スタイルはボクシングのそれに準ずる。
軽快なフットワークを刻んで自らが作ったリズムに乗り、それに合わせて攻撃、回避、移動の一連の流れを組み立てていく。
対して十紀のスタイルは、アポカリプスヘルの荒廃した土地で培われた足さばきを特徴とする。四角く平らなリング上での闘いが前提のボクシングスタイルとは、大きく性質が異なる。こちらのほうがより荒々しく、野生的な動きといっていい。また、荒野ならではの予想外の状況に対応するための動き方も豊富だ。
「シィッ!」
小太郎が繰り出すコンビネーションが生み出す、熱を帯びた拳風。頬を焦がすような熱にも怯むことなく、十紀は【紅刃:浮雲流シ】で拳打を掻い潜り、小太郎の懐へ飛び込む。そしてその無防備な腹部へと、筋肉を軋ませながら左右の二連打を捻じ込む。
「シュッ!!」
インパクトの瞬間、焔が強く弾けて衝撃を生み出す。かっ、と小太郎の口から短い呼気が漏れた。その好機を逃す十紀ではない。
「爆ぜろ!」
燃え盛る血に彩られた拳が唸りを上げる。速射砲のごとき四連打が、小太郎の正中線を上から順に打ち抜いていた。
大成功
🔵🔵🔵
蛇無・杏珠
◎連携・アドリブ歓迎。
「肉弾戦なら任せて!」
近接戦、ボクシング、臨むところだよ!
ただし、近付きすぎるとまずそうだから、ヒットアンドアウェイで!
UC発動。ティラノパワーで突っ込んでくよー!
【怪力】を活かして、一撃蹴りを食らわせたら素早く離脱!数発パンチをいれたらまた離脱!
ボクシングの技を食らったら【カウンター】でやり返すよ!
多少の負傷は気にしない!【限界突破】していくよー!
●
「見つけたよ! あなたが風魔小太郎だね!」
猟兵と激闘を続ける風魔小太郎の前に、褐色肌の野生的な少女が元気よく登場した。獣の皮で出来た衣服を纏った彼女、蛇無・杏珠(暴走恐竜配信者・f35795)は恐竜のような特徴をもつ人派ドラゴニアンである。
「ほう、竜人の娘か。よくぞ単身でここまで来」
「ボクシング勝負か、臨むところだよ! 肉弾戦なら蛇無ちゃんに任せて!」
「話を聞かんかぁ!」
そのまま、なし崩し的に闘いのゴングが鳴らされた。風魔小太郎と杏珠はファイティングポーズをとって向かい合い、ステップを刻みながら彼我の距離を測り始める。
「とくと味わうがいい。絶奥義・滅龍破断拳……!」
小太郎の背後から龍のようなオーラがゆらりと立ち昇ると、杏珠を威嚇するように小太郎の周りをゆっくりと旋回しはじめた。滅龍破断拳は、近距離戦で無類の強さを発揮する超攻撃的スタイルである。ショートジャブを連打しつつ距離を詰め、狙うはインファイトでの有効打。
杏珠は、本能的に相手の間合いに入る危険を察知していた。そこで、まずはヒットアンドアウェイでダメージを稼ぐ戦法を選択する。
「龍には龍で対抗! ティラノパワーっ!」
両足を踏ん張った杏珠の全身から、暴君竜たるティラノサウルスの覇気が放出される。ユーベルコードの発動と共に、両者の攻防はさらに激しさを増していった。
「まだだ。これしきの拳では、拙者を仕留められんぞ!」
杏珠のローキックを膝に受け、瞼を切られながらも、小太郎が攻撃の手を緩めることはない。杏珠もまた、小太郎から受けたボディブローでじわじわとスタミナを削られつつある。ここからは根競べだ。
「これで決めるッ……!」
小太郎のフェイントに嵌った杏珠の顔が、ガラ空きになる。その隙を突いて、小太郎がフィニッシュブローを繰り出すべく踏み込んだ。
「限界を、超えるんだーっ!」
そのとき、負傷の痛みも、ダメージも無視して杏珠の反応が急加速した。左から一閃される小太郎のフックを、さらに低姿勢で掻い潜る! そこから、カウンターのジャンピングアッパーを放って小太郎の顎をカチ上げたのだ。
バァン! と何かが破裂するような打撃音が辺りに響き渡る。手ごたえは十分だ。
「おぉ……」
糸の切れた操り人形のごとく、風魔小太郎は力なく膝から崩れ落ちた。そのまま、『百面鬼の術』を解くことなく小太郎の身体は霞のごとく掻き消え……やがて最初から居なかったかのように気配までも完全に消失した。
「やった~! 蛇無ちゃんの大勝利だー!」
強敵を華麗にノック・アウトして、今ここに新チャンピオンが誕生したのである。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ドクター・オロチwithプレジデント』
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POW : ロケット・ナックル
【恐るべき筋力】で超加速した武器を振るい、近接範囲内の全員を20m吹き飛ばし、しばらく行動不能にする。
SPD : プライド・オブ・プレジデント
全身を【大統領のオーラ】で覆い、自身の【大統領魂】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ : プレジデント・フェイタル
【華麗なステップ】で敵の間合いに踏み込み、【衝撃波】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
イラスト:みやこなぎ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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すべての光を吸い込む暗黒の王城、『影の城』。その中枢部分にあたる大広間の中に、かの人物は一人佇んでいた。
「ようこそ、猟兵諸君! 久方ぶりだね。ここに来たということは、小太郎は敗れたのだね」
ドクター・オロチ。数々の意世界を渡り歩き、星の船の世界や、剣と魔法の世界でも猟兵と相まみえた、謎のオブリビオン。そして、この荒野の世界でも、この者は謀略を張り巡らせていたのだ。
今や『憑装』によってプレジデントの魂と融合したオロチは、その体躯を通常の数倍にも増強させていた。筋骨隆々の身体に、剥き出しの脳髄のような奇怪な頭部が乗っている。それは余りにも異様な風体といえた。
「ああ、わたしの姿に驚いているのかね? 気にしなくていいさ。『魔軍転生』で、プレジデントの力を借りることにしたんだ。拳と拳のぶつかり合いこそ、最後の戦いを飾るに相応しいと思わないかい?」
敵とはいえ、本物のプレジデントには過去の大国のリーダーと呼ぶに相応しい威厳を感じることができた。しかし、目の前の異形は彼の口調こそ真似ているものの、こちらの心に訴えかける熱量をまるで持っていない。
彼の言葉は、空虚だ。
「さあ、猟兵諸君。わたしと勝負をしよう! ボクシング対決といこうか!」
ドクター・オロチの計画は、猟兵の活躍によって破綻した。後は、目の前のオロチ本体を全力を以て粉砕するのみである。オロチはまだ何かしらの隠し玉を用意しているように見えなくもないが、今は戦いに集中しなければならない。
サイモン・マーチバンク
プレジデントは拠点の人々すら圧倒しそうな雰囲気があったようですが……
オロチには到底無理でしょうね
出来たとしても俺が阻止しますけど……
借り物の力を使う相手に負ける訳にはいきません
相手が戦闘力を増やすならこちらも
UCを自分に使用し角を生やしてパワーアップです
そして相手はボクサー
つまり接近戦を中心に行うはずで、互いに接近するタイミングが来るはずです
だから俺は自分の頭を【野生の勘】で動かして、相手が踏み込むタイミングを見定めましょう
『ムーンストライク』を構えて狙うはカウンター
相手が接近してきたら【怪力】でハンマーを振るい全力で殴ります
【捨て身の一撃】クロスカウンターになってもお構い無し
勝ちにいきますよ
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「湧き上がる大統領魂を以て、君を叩き潰してあげよう!」
ファイティングポーズを取ったドクター・オロチの背後から、プレジデントの魂が浮かび上がる。全身に眩い黄金のオーラを帯びると、オロチは圧倒的な威圧感を放ち始めた。
(落ち着け……目の前の敵は、ただ力を借りているだけなんだ)
金属製のハンマー『ムーンストライク』のグリップを握り、サイモンはドクター・オロチの様子を注意深く観察する。確かにパンプアップして大きく膨れ上がった筋肉質な体躯、そして全身から噴き上がる大統領オーラたるや、並みのオブリビオンの迫力ではない。
「でも……本物のプレジデントには到底及ばないでしょうね。プレジデントは拠点の人々すら圧倒しそうな雰囲気があったようですが……」
「ははは、手厳しいな!」
余裕の態度を崩すことなく、ドクター・オロチが猛烈な拳打を叩き込んでくる。サイモンはハンマーの柄で攻撃を捌きつつ、反撃の機会を地道に待った。
「借り物の力を使う相手に、負ける訳にはいきません」
不退転の決意を固めたサイモンに、彼の中の悪魔の血が力をもたらした。その頭に出現したのは、禍々しく伸びる長い角。同時に、自信なさげだったサイモンの顔つきが一気に鋭さを帯びる。
(狙うはカウンター。相打ち覚悟だ!)
角の力で器用に頭部を動かしながら、サイモンは必殺のタイミングを計る。ロケットブースターじみた加速力で、大統領のオーラをまとったドクター・オロチが距離を詰めてくる。
「フゥゥゥゥゥゥンッ!!」
(奴が踏み込んだ瞬間、スイングを合わせる……!)
遠心力をかけたハンマーのスイングは、フックの動きに似ている。撃ち込まれる右ストレートに、右フックの要領で『ムーンストライク』を叩きつける。
炸裂する、打撃音! 目の覚めるような痛烈な一撃が、ドクター・オロチの顔面を的確に捉えていた。
大成功
🔵🔵🔵
蛇無・杏珠
◎連携・アドリブ歓迎。
「わぁ、だいとーりょー?よく分かんないけど凄いね!じゃあこっちも本気でいかなきゃ!」
ボクシングなことに変わりはないんだよね?とりあえずUCの為に【自家製骨付き肉】をひたすら【大食い】でもぐもぐ!
あ、だいとーりょーも食べる?
よっし!パワー漲ってきたよ!
拳と拳のぶつけ合いだぁ!
【怪力】と【勇気】の見せどころだね!【武器受け】したり【受け流し】たりしながら本気で殴り合うよ。
吹き飛ばされないよう足に力を込めて、【カウンター】!
どうしたの、まだまだ蛇無ちゃんは【元気】有り余ってるよ!
どんどんいくぞー!拳にありったけを込めて連続パンチだ!
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「第1ラウンドはこんなものか! なかなかやるな……だが本番はこれからだ!」
ハンマーによる強力なカウンターヒットを受けたドクター・オロチであるが、プレジデントを『憑装』したこともあって肉体は頑健だ。先ほどのダメージを物ともせず、ファイティングポーズをとって戦闘への意欲を見せつけている。
「わぁ、だいとーりょー? よく分かんないけど凄いね! じゃあこっちも本気でいかなきゃ!」
正しくはプレジデントではなく、彼の力を借りたドクター・オロチなのだが、杏珠は細かいことは気にしない。
「あむっ、ムシャムシャ……」
なんと杏珠はその場で持参した骨付き肉を、勢いよく貪り始めたのだ。だがこれは余裕のパフォーマンスなどではなく、ユーベルコードのための布石。
「よっし! パワー漲ってきたよ!」
栄養満点の美味なる肉を食べた瞬間、杏珠の体内の細胞が急速に活性化、原始の覇者ティラノサウルスのパワーが漲ってきたのだ。
「あ、だいとーりょーも食べる?」
「ハハハ、わたしは遠慮しておこう!」
「そっかー!」
かくして、第2ラウンドのゴングが打ち鳴らされた。パワーを補給して準備万端の杏珠に、プレジデントと一体化したドクター・オロチが猛攻をかける。
「――シィッ! 1、2、3!」
「おぉぉっ!」
常軌を逸した筋力が繰り出すコンビネーションブローは、まさしく拳の暴風。だが、杏珠も負けじと豪打をブロックしつつ、野生のパワー全開で反撃のパンチをオロチへと繰り出す。
「どうしたの、まだまだ蛇無ちゃんは元気有り余ってるよ!」
炸裂する打撃音は太古の火山の鳴動にも似ていて、杏珠の闘争心を否応なく掻き立てていく。
「どんどんいくぞー! 拳にありったけを込めて連続パンチだ!」
「ぬぅっ!?」
拳の打撃音と心臓のビートがリンクした時、杏珠の中で何かがハジけた。もっと強いリズムを、目の前の敵に刻み付けたい――衝動のままに繰り出した乱撃が、ついに強固なガードをぶち破ったのだ。大地を揺るがす砲弾のごときコンビネーションが、ドクター・オロチの筋肉の鎧に次々と突き刺さった。
大成功
🔵🔵🔵
レパル・リオン(サポート)
こんにちは!あたしはレパル!またの名を『魔法猟兵イェーガー・レパル』よ!よろしくね!
お祭りとかイベントとか友達と遊んだりとか、とにかく楽しい事大好き!
あたしが戦うのは、怪人(オブリビオン)から人々と平和を守るため!そのためなら、ケガをしたってかまわないわ!
(強敵相手だと少し怯えるが、表には出さないように努める)
得意なのは肉弾戦!ダッシュで切り込んだり、ジャンプやオーラ防御でよけたり、激痛耐性でガマンしたり、怪力パンチ&キックでぶっ飛ばしたりするわ!
ユーベルコードに怪人の弱点属性を組み合わせてパワーアップさせたりもするわよ!
頭を使うのは苦手かな。でも、パワーとスピードでなんとかするわ!
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「あなたがドクター・オロチね! 魔法猟兵イェーガー・レパル、ただいま参上!」
明るく元気な口上とともに、影の城に現れたのは一人のスーパーヒーロー。魔法少女然としたコスチュームに身を包んだキマイラの少女、レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)がドクター・オロチに向かってファイティングポーズを構える。
「ほう、今度の相手は正義の味方というわけか!」
ドクター・オロチの全身から、眩く輝く光の大統領オーラが放出される。魔軍転生によって『憑装』した、プレジデントの力だ。
「わたしも、大統領魂を以てお相手しよう! どちらの正義が強いか、勝負だ!」
「望むところ!」
それぞれの拳のみを武器に、激しい打ち合いを繰り広げる二人。大気を揺るがす打撃音が、静謐な『影の城』に響き渡る。
ドクター・オロチの戦法は、プレジデントが得意としていたボクシング戦法に準ずる。筋骨隆々のボディから繰り出される重い拳は、破壊力満点だ。だが、レパルもまた肉弾戦を得意とする武闘派のヒーロー。ボクシング対決は得意分野である。
そして、オロチが『大統領魂』で己を強化したのと同様に、レパルもまた正義の意思を力に変えることができる。
「フンッ!」
「ぐっ……まだまだ!」
岩塊のようなオロチのブローが、レパルの身体に叩きつけられる。だが、それも彼女の魔法(気合)で耐える。そして反撃の必殺技を繰り出すべく、レパルは深く屈みこんだのち、大きくジャンプした。
「これで終わりよ!カミカゼキック!」
空中高く飛んだレパルの右脚が、ライオンの頭部のような形へと変化する。魔法が生み出したオーラが空中で爆発、それを推進力としてレパルが渾身の飛び蹴り【虎狼竜・神風脚】を放つ!
「ぬっ……ぐががががっ!」
「はああああああっ!」
繰り出された蹴撃を両腕でブロックし、強く足を踏ん張って耐えようとするドクター・オロチ。だが、最後はレパルが気合で押し切った。ガードをぶち破り、ドクター・オロチの巨体を地面へと叩きつけたのである。
成功
🔵🔵🔴
尖晶・十紀
真剣勝負に、水を差されるのがこれ程不愉快だとはね。
あの男は敵だけど……心の底からボクシングを愛していた。潔さの欠片もないようなお前とは、違った。
さあ、何処からでもかかってこい、付け焼刃に負ける気はないよ。
相手を挑発しつつ、野生の勘で攻撃を察知しダンスパフォーマンスの足さばきを取り入れた動きで回避、カウンターに怪力を活かした鎧砕きの一撃
一瞬の隙を狙い、UCの炎を纏った拳の乱れ撃ちで蹂躙。君が、死ぬまで……殴るのを止めない……!
アドリブ絡み歓迎
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倒すべき敵は、すぐ目の前にいる。手の中の『独鈷杵型採血具:赫炉』を強く握れば、仕込まれた針が十紀の手を傷つけ、鮮血が彼女の指先を伝って地面へとこぼれた。
「真剣勝負に、水を差されるのがこれ程不愉快だとはね」
十紀は、ドクター・オロチに心底失望していた。敵とはいえ、プレジデントは心からボクシングを愛していた。しかし、今己が対峙するこの異形は借り物の力で得意ぶるばかり。今回もまた、形勢が悪いとみれば逃走を試みるのだろう。正々堂々といっておきながら。
「お嬢さん、試合時間も残り少ない。名残惜しいが、ここからはお互い完全燃焼でいこう!」
十紀の出血に反応して、彼女の刻印(ドライバー)が起動。異能の血は彼女の闘争心に応えるように、瞬時に発火する。
「さあ、何処からでもかかってこい、付け焼刃に負ける気はないよ」
お望み通り、完全に燃やし尽くしてやる。
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
狂気的な高笑いと共に、ドクター・オロチの筋肉が爆発的に膨れ上がった。ロケットじみた超加速から繰り出される、剛拳の連打。恐ろしく速く、重い。だが、その動きはあくまでも直線的だ。
「見え見えなんだよ……!」
過酷な荒野で過ごした戦いの日々が、十紀の感覚を鋭敏に研ぎ澄ましていた。打撃のタイミングを見切り、さらにダンスのステップからヒントを得た足さばきで体の軸をずらして、最小限の動きで回避する。
「HA――」
「踊れ!」
強く拳を握り固めた瞬間、己の中でカチッ、とスイッチが入るのを感じた。体内の呪詛と毒素が、十紀に規格外の膂力をもたらす。ドクター・オロチの巨体を、一瞬宙に浮き揚げる程のアッパーが容赦なく突き刺さった。
「君が、死ぬまで……殴るのを止めない……!」
地面にダウンする暇も与えない。浮いたままのオロチを、十紀は打撃し続けた。破壊された町、焼かれた村、使い捨ての実験体、仕組まれた子供たち――十紀の脳裏に、様々な人の顔が去来する。この者には、命で償わせなければならない。
「ぶほ……!?」
そしてフィニッシュブローが勢いよく叩き込まれ、火だるまとなったオロチが地面へ倒れ込んだ。判定するまでもない、致命傷だ。
「ムシュ……残念、無念」
魔軍転生が解除され、プレジデントの魂を失ったオロチが力尽きていく。怨嗟の言葉を吐きながら、異形のオブリビオンは真っ白な灰となってその場に崩れ落ちた。
猟兵達は、遂に因縁の敵との戦いに決着をつけたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2022年04月30日
宿敵
『拳将『シドウ』』
を撃破!
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