ドクター・オロチに関しては伝聞でしか聞き及んでいない、塚杜・無焔(無縁塚の守り人・f24583)だが。そんな彼が頭を捻りながら猟兵達を出迎えたのは訳がある。
「『メンフィス灼熱草原』……此処の中心部に『影の城』が存在するらしく。件の脳味噌頭のオブリビオンはそこを拠点としていたらしい。今回はそこを叩いて貰うんだが……」
「ドクター・オロチは『デミウルゴス』を憑装することで【デミウルゴス・セル】を得て。それを護る風魔小太郎……が化けた狙撃手も同様の能力を所持している。ストームブレイドである猟兵ならばそのまま案内しても問題ないのだが、『そうでない場合』はこれを『自身に投与してから』向かってくれ」
正直な所、彼もあまり気が進まない、といった顔色だが、それも当然である。投与されたならば『激烈な拒絶反応』が猟兵を襲うだろう。だが、この細胞液の投与が無ければ、ストームブレイド以外は土俵に上がることすら許されないのだ。
「その罰、なんだろうか。ドクター・オロチは脳に直接響く救いを求める声を聞き続けた結果発狂寸前……いやもう発狂しているだろう。力も制御出来ていないだろうが、同時に小賢しい考えなど一切してこない可能性が非常に高い。……まぁ、ある意味やりやすいだろうな」
「ドクター・オロチの事を『昔から』知っている猟兵も居ると聞くが――早めにカタを付けると良いらしい、との事だ。全てはお前達に任せるが……まぁ、なんとかなるだろう?」
逢坂灰斗
なんだか凄い久し振りの無焔さん登板だし、なんならオロチシナリオ書くのコレが初なような……?
逢坂灰斗です。
今回は『ドクター・オロチ(『デミウルゴス』憑装版)を撃滅して頂きます』。
注意事項がありますので此方もよくお読み下さい。
【アポヘル最終決戦シナリオのルール】
※対応シナリオの成功本数が20本に達した日(達成日)で結果が変動します。
5/1午前中まで→ドクター・オロチを完全撃破し、影の城からオロチが何度でも蘇っていた原因とみられる「コンクリ塊」を回収、猟兵達で保存します。
5/15午前中まで→ドクター・オロチを撃退し、何も持ち帰らせません。
それ以降→ドクター・オロチは、すんでのところで残る3体のフィールド・オブ・ナインを発見します!そのうち2体を連れ帰り、1体をアポカリプスヘルに残していきます。
【このシナリオのルール】
出現する敵全てに『デミウルゴス』の能力である【デミウルゴス・セル】が適用されており、『あらゆる攻撃と状態異常に耐性を持ちます』。
ただし、『ストームブレイドや「偽神細胞液(激烈な拒絶反応あり)」を注射した猟兵の攻撃ではダメージを負うようになります』。
頂いたプレイングはオーバーロードも含め、なるべく採用は検討しますが、ルールがルールなので念頭に置いてプレイングをお願いします。
では、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。
第1章 ボス戦
『『外道の狙撃兵』ミスタースコープヘッド』
|
|
POW |
●「一方的に撃ちまくってやる!」
【頭部スコープが狙撃モード 】に変形し、自身の【機動力と防御力】を代償に、自身の【ステルス性能と狙撃の命中精度】を強化する。
|
SPD |
●「てめぇがどう動くのかは分かってるんだよ!」
【偵察ドローンで敵の情報を得ること 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【大口径狙撃銃から放たれる銃弾】で攻撃する。
|
WIZ |
●「動けねぇまま死んじまえ!」
【光学迷彩が搭載されたドローンの拘束攻撃 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【急所を狙った銃弾】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
|
👑11 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴 |
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「リン・ベルナット」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●燃え盛る平原の中に狙撃手を見た
『メンフィス灼熱草原』。常に延焼し続け、火の絶えることのない地域。
その焔の中に埋もれるようにして件の『影の城』は聳え立っていた。
見る所それ以外に障害と言える障害もなく、燃え盛る焔の草原を猟兵達は進んでいたのだが――
まるで自身の存在を誇示するかのように、猟兵達に向けて一射が放たれる。
「まぁ『簡単に』此処を通り抜けられてもオモシロクねぇよなぁ!?」
焔の中から声が聞こえる。揺らめきの中に一瞬見えた、『外道の狙撃兵』ミスタースコープヘッド――もとい。それに姿を変じさせた風魔小太郎の姿。
どうやらオロチ側もタダで通すつもりも無いらしい。
ドクター・オロチと同様に【デミウルゴス・セル】を備えた、光学迷彩を多用する外道の狙撃兵。
無事に避けては通れそうもないその弾丸。撃ち落とされるのは果たしてどちらなのか……?
皆城・白露
(連携アドリブ歓迎)
――ああ、気にするな
痛いとか苦しいとか、それは、まだ生きてるって事だろ。
だから大丈夫だ。行ってくるさ
迷う事なく『偽神細胞液』を自分に投与
ファントムフォースと『赤い月』も使用
更に【激痛耐性】で、拒否反応も少しはマシに…気休め程度だろうが
敵の姿が見えなければ
狙撃の方向から位置を推測、【聞き耳】【追跡】で探す
相手は機動力と防御力を犠牲にしている、となれば
見つけて懐に入ればこっちのもんだ、って事だろ
狙撃や拒否反応の痛みを、怒りに変えていく
(怒れ、もっと。それが力に変わるまで)
【白い闇】使用、白狼に姿を変えて駆け、一気に距離を詰めて
本能のままに獣の牙と爪をねじ込む
●その痛みは証
アポカリプスヘル世界の『存亡の危機』の際にも関わるしか無かった事実だが、【デミウルゴス・セル】は、『偽神細胞』を持つ者以外の攻撃を遮断する。
当然、通常の猟兵も『偽神細胞液』を投与することで同じ土俵に立つことが出来るが――そう創られたストームブレイド(彼ら)と違い、それは強烈な『拒絶反応』を齎す。
故に。送り出した彼の懸念も理解出来るものだったろう。けれども――
「――ああ、気にするな」
皆城・白露(モノクローム・f00355)はその憂慮を背にして、燃え盛る平原へと、その中に座す影の城へと歩みを進めていく。
「痛いとか苦しいとか、それは、まだ生きてるって事だろ」
痛みや苦しみを、正常な『生』の証とするならば。それを乗り越えて勝ち取る生もまた、その証なのだろう。
「だから大丈夫だ。行ってくるさ」
彼は――進む。絶えぬ焔の海原となった平原を掻き分けながら。2つの薬液をその身に打ち込みながら。
真紅き月が如き薬液が齎すのは、死を遠ざけるが完全な『生』を掴み取る程でもない。
狂騒の如き興奮が、拒絶反応を掻き消さんとするように荒れ狂う中、身体の外側で感じるのは目に見えぬ外道の狙撃手。
相手は『元』から自らを誇示しながらも、自らを掴ませぬような外道の在り方を崩さぬようで。忍たる風魔小太郎の本来とは相反する存在であったろう。
(――それに、相手は機動力と防御力を犠牲にしている、となれば)
激痛と興奮の中、障るような哄笑と狙撃は、その存在を辿るに十分足り得た。なら、後は――
この生の『証』を、『怒り』として。怒れる狼の牙として叩き付けるまで。
(怒れ、もっと。それが力に変わるまで)
『変われ』ば『変わる』程に、彼の踏み込む足は早くなる。向こうが優位を取る為に捨てたものを後悔させる程に。
見よ、白き狼の怒りを。お前の慢心が招いた――『白き闇』を!
「――最後の咎をッ、」
なにもなかった場所に、怒りを、暴威を、ただその身に穿たれた生の『証』を変換するかのように、証明するかのように。一方的に。
痛みを『与える』ように。得た力の代償を『理解させる』ように。真白き獣は牙を突き立てる。
「悔いて潰れろォ!!!!」
「糞がッ、『狙撃手』を見つけた程度の分際で、良い気に、なるなよォ!!!」
銃口頭の外道がなにもないところからポイと吐き出されたと同時、少しひしゃげた身体と、激痛を叫ぶ声を吐き出しながら猟兵達を睨み付ける。
そう、この『痛み』は互いにまだ始まったばかりなのだと――
大成功
🔵🔵🔵
ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OKです
デミウルゴス細胞なら、俺が適任だ。
ストームブレイドの救世の力が、お前を貫く。
【真なる英雄の天覧武闘】
力を解放する、限界突破、英雄の戦姿を見せてくれる。
狙撃か、この鎧は太陽の英雄甲冑、貴様が太陽を墜とせるなら試すが良い、だが、二の矢はないと思え。
完全不干渉の鎧で防ぎ、索敵で割り出した発射ポイントへ反撃の矢を番える。
(耳環を外し、その力を解放、ブラフマーストラに変形させる)
真なる英雄の一撃、この一矢を以って灼滅する!
(地形破壊、爆破、炎の力を込め、一帯ごと撃破を狙う)
ドクターオロチ、貴様の終焉はすぐそこまでだ。
●かの在り方は
ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)の在り方は人というよりは、神にも近かったのかも知れない。
『一度』目覚めた頃より、その身の使命を『救世』であると自認する彼が、この世界の再びの危機に歩みを止めなかったのも自然な事で。
「……デミウルゴス細胞なら、俺が適任だ」
幾度となく刃を交えた『力』が、再び世界を脅かす災禍の布石として使われるのならば、彼はその身を賭すのも厭わない。
「ストームブレイドの救世の力が、お前を貫く」
焔蔓延る草原の中で、佇みながら、彼は『待つ』。 狙撃手の在り処を示す軌道を。
意図が明確に察知出来ていれば手出ししようも無い所だが、今回はそんな事をすれば『主』の所に到達されてしまうが故に『手出しするしかない』。
……そうでなくても、風魔小太郎が仮面で変じたこの狙撃手の性格からして、獲物を『狙わない』のはあり得ない事であるが。
重ねるように、執拗に貫かんとするように、狙撃手は哄笑と歓喜の下に只管に『待ち続ける』男を穿たんとする。
が、着弾の刹那。光が爆ぜるようにその身は1つの神話で語られし英雄が如き姿となる。
太陽の前に、全ての害は溶け落ち。その身の命を摩耗させるも、その分だけ神話に語られるだけに相応しい強靭な力を齎す。
攻撃の第一陣と思しき狙撃の果て。向こうは確実に『殺した』などと、慢心をしていただろうか。だが、太陽にそれは届かない。
「……狙撃か、この鎧は太陽の英雄甲冑、貴様が太陽を墜とせるなら試すが良い、だが、二の矢はないと思え」
「此程までに明確に『主張』してくれるならば、どれ程身を隠そうとも『辿る』事は容易い」
……狙撃手が弾数を少なに事を終えるのは、技量でもあることが多いのだが。第二に、自身を気取られぬ為でもある。
あまりにこの外道は狙撃手というよりは蹂躙者としての思考に比重を起きすぎているのか、居場所を教えているかのように攻撃を『叩き込み』過ぎていた。
ルドラの耳環が外され、真なる在り方として焼灼の矢が生じる。
その威圧を知っていれば、代償を『払いすぎる』愚を犯すことは無かっただろうが、狙撃手は既に『一方的に満足する為の代価を背負っている』。
場所が割れ、その場を即座に離脱出来るだけの機動力が無いならば、『周辺地点ごと薙ぎ払えば』良い。
「――真なる英雄の一撃、この一矢を以って灼滅する!」
焔の草原をさらなる高温で『焼き焦がす』ように。まるで太陽そのものが地に触れたかのように。神なる弓は地に破壊を齎す。
最早、狙撃手に逃げ場は元より無い。これで『生きていた』としても甚大な被害を被っている事だろう。
……彼は既に、風魔小太郎よりも、その先を見据えている。この程度で立ち止まる理由など無いのだ。
「ドクターオロチ、貴様の終焉はすぐそこまでだ」
大成功
🔵🔵🔵
カタリナ・エスペランサ
また、こんなものを使う事になるとはね
敵を屠る為に必要と言うならどうでもいいけれど…ふふっ。
異端の神、邪神、魔神。そんな紛い共に比べれば
偽りを自認するだけ弁えてると言ってあげてもいいかも。
そう思わない百面鬼?
…なんて、今話しても意味は無いわね
貴方だって、狂ったフリして狂ってるんでしょう?
魔神の魂の《封印を解く》事で偽神細胞と侵蝕を拮抗させ《ドーピング》、
《気合》で《激痛耐性+狂気耐性》を強化し《落ち着き・継戦能力》維持
さて。悪いけど今日は上手く手加減してあげられそうにないのよね
《属性攻撃+蹂躙+弾幕》、【天災輪舞】の雷羽でドローンを蹴散らし
私自身は加速して射手を強襲、短剣と脚術の連撃を叩き込むわ
●偽りか、紛い物か
「また、こんなものを使う事になるとはね」
カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)の笑みは、平時と比べれば殺意に満ち溢れていた――と言うべきだろうか。
彼女が歩む度に焔の草叢に蒼雷が足跡を刻む様に迸り、それはさながら彼女の内なる憤怒の露出を表わすかのようで。
「敵を屠る為に必要と言うならどうでもいいけれど…ふふっ」
デミウルゴス・セルの持ち主はそもそも『偽りの神』を自認していた訳だが。
彼女の郷里に蔓延るものは、異端の神、邪神、魔神――そんな『紛い』共であり。
「偽りを自認するだけ弁えてると言ってあげてもいいかも。そう思わない百面鬼?」
今の彼女が纏うソレこそは。内なる魔神の魂を解放し、偽神細胞液による侵蝕で拒絶反応を強引に打ち消した結果生じた――文字通りの神殺しの業。
「……なんて、今話しても意味は無いわね」
「貴方だって、狂ったフリして狂ってるんでしょう?」
一歩。踏み込めば視認できる限り最後の強い電流が迸った後に、彼女の姿が掻き消える。
その踏み込みで生じた余波のように、彼女を包囲せんとしたドローンが鎧袖一触で叩き落される。残骸には雷羽の散弾が貫いた跡がこびり付き、主の未来を予感させるようにその姿を表して機能を止める。
今の狙撃手は姿を隠している訳ではない。隠していたのはドローンの方である。
視認さえ追いつけば新たなドローンにより一方的な蹂躙を敢行できるという、『自負』と『慢心』があった。けれども――これはどうだろう?
「――さて。悪いけど今日は上手く手加減してあげられそうにないのよね」
ようやく視認できたと思った彼女は眼前で凄絶に笑う。いや、それは本当に笑っていたのか。本当に『一瞬』であったから。
蹂躙されるのが『此方側』だった、という自覚を得るには余りにもその視認は遅すぎる。
短剣にも、脚術に対しても。構える暇も、離脱する暇も無く。ただ只管に一挙一動が自身を殺す為だけの『速度』として振るわれる。
傍から見れば蒼雷が『飛んだ』後に異様な爆ぜ方をしたようにしか思えぬ程に、神殺しの速度は圧倒的だったのだ……。
大成功
🔵🔵🔵
メナオン・グレイダスト
・POW
それが必要であるならば、よろしい。我輩にもひとつもらえるか。
『偽神細胞液』に蝕まれた身体が崩れて欠けようと、その度に灰色砂塵の増殖により補い。
苛まれる精神が軋み、砕けそうになろうとも、魔王としての意志と信念で耐え抜こう。
我輩は“灰色の魔王”。何物も阻むこと能わずである……!
この状況で、狙撃兵を相手取るならば……こうする。
【グレイダスト・ファントム】。敢えて自身の肉体を灰色砂塵の粒子状に霧散させ、拡散。
このまま自滅しかねない状態ではあるが、限界は把握しているつもりだ。
あとは……撃ち込んできた敵の位置を射線から逆算し把握、その至近で肉体を再構成。灰色の剣戟群を生成し一息に葬り去ろう……!
●崩れぬもの、不壊たるもの
「――それが必要であるならば、よろしい」
砂の風が通り過ぎるように、一つの『偽神細胞液』は、ひとりの手元に渡る。
「我輩にもひとつもらえるか」
その時の『彼』の表情をメナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)は覚えているだろうか。
……ただ、とうに覚悟を決めた者らには焼き付いた所で楔にすらならぬ見送りだったかもしれない。
だが、懸念は絶大な『反動』という形でやってくる。
魔王を象る砂(もの)が震えるように、溢れるように崩れ行くのを彼は感じ取るだろう、が。
その度に身体に灰色の砂は補われ、理性をも蝕む物は『矜持』でねじ伏せられる。この程度の痛みが道行きを阻むものでは『あってはならない』。
「我輩は“灰色の魔王”。何物も阻むこと能わずである……!」
苦痛を覆い隠し進む者に向けて放たれる弾丸はあっさりと命中した――ように見えた。
着弾の寸前に、魔王は自身を象る事を『一時的に止めただけ』である。ただ、それは外道の慢心を誘うには非常に『正しい』行いだっただろう。
痛みに障るような哄笑。まるで仮面に在り方を喰われたかのような『風魔小太郎』らしからぬその弾丸の雨には付け入る隙が有り過ぎた。
(――我輩とて無策で『散った訳』ではない。当然ながら限界も『知っている』。だが向こうはそれを『手の内』だとは認識していない)
舞い散る灰色の砂は、全てが彼であり、故に『彼が感知出来る範囲』を極限まで広げる事も可能である。
ただ、予断は許されぬ。この魔王の『矜持』が一瞬でも折れてしまえば、この策はただの自滅に成り果てる諸刃の刃――
自身という砂の領域の中を飛び交い続ける弾丸は、居場所を『割る』には十分であった。
苦痛を覚えながらも、それでも彼が『砕ける』事は無く。ただ次に象られたものは、『なにもない』場所を斬り裂いていく灰色の刃。
血の海と慢心に沈みながら姿を現す狙撃手を、間近で魔王は一瞥し、その姿を『取り戻す』。
仮面に飲まれ、慢心した程度の『忍び』など、彼を崩すに能わず。
……砂は、不壊故に。『灰色の魔王』は留まる事を知らぬのだから。
成功
🔵🔵🔴
黒城・魅夜
……飽きました
風魔小太郎、あなたにも、そしてオロチにもね
性懲りもなく黄泉帰ってくるだけが取り柄の
生き穢いつまらぬ下賤ども
さっさと終わらせて次へ進みますよ
偽神細胞液、ですか
ふふ、ダンピールの悪霊という闇の住人、生得の神殺したる私に
神の名が付く注射とは面白いことです
どうぞ御存分に
……それで、これがどうかしましたか?
体を引きちぎられそうな痛みも体内から焼き尽くされそうな狂熱も
私にとってはかつて悪夢の中であくびが出るほど繰り返された
なじみの感覚
この程度で戦えるようになるとは、お優しいことです、ふふ
さて、ドローンで私を視認していなければ
そのUCは条件を成就しませんね
ならば単純な話
「早業」で我が身を斬り裂き鮮血を噴出させ
これを「結界」として周囲に展開
ドローンの視界を封じましょう
同時にこの鮮血の霧は攻撃への伏線
光学迷彩で姿を隠していようと関係ありません
私の間合いに入ったが最期
自動的ににあなたは体の内部から引き裂かれるのですからね、ふふ
●血霧の中にて待つ宿命
「……飽きました。風魔小太郎、あなたにも、そしてオロチにもね」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、嫋やかに。だが鮮烈に歩を進める。
言葉の端から流れるのは憎悪か、冷酷か。けれども、彼女は手にした偽神細胞液のアンプルを投与しても尚、表情を崩すことはない。
「性懲りもなく黄泉帰ってくるだけが取り柄の生き穢いつまらぬ下賤ども――」
そんな生き穢い連中なぞ、彼女にとっては打払うべき『通過点』でしかない。
「さっさと終わらせて次へ進みますよ」
彼女には確かに偽神細胞液による拒絶反応が及んでいる。けれども、彼女にはこの程度『優しい』というのだ。
(ふふ、ダンピールの悪霊という闇の住人、生得の神殺したる私に……神の名が付く注射とは面白いことです)
どうぞ、ご存分に、と。まるでその痛みなぞ許容する物だと言うように。彼女は歩みを緩めることはない。
引き裂くような痛みも。内から焼き尽くすような狂熱も。全ては彼女が過去にて何度も退屈を覚える程に『繰り返した』もの。
この程度で土俵に上がれるというのだから。安いもの、というべきか。
「さぁ、無駄話は此処までと致しましょうか」
歩みの最中。彼女は自らの血液を血霧と変え。結界の如く満たし、自らを覆い尽くす。
狙撃手は『視認せずに成立する』などという事はありえない。『狙撃』する上では何らかの眼が必要だ。
しかし。その眼からも視認できぬのであれば。『適当に撃ち込む』他は無く。あるいは――
だが、その『あるいは』を実行する前に。狙撃手は詰みであることを理解出来ていれば良かった。
その血霧に飛び込んだ狙撃手は……即座に身体の内部から引き裂かれるような激痛と共に『鎖』が飛び出すのを見てしまった。
そう、この血霧の結界こそ、そもそもが『罠』であった。だが攻撃するには『飛び込まざるを得なかった』のだ。
魅夜は足許に転がった狙撃手を一瞥もせず先へ進む。
そう、此処も通過点。あくまでその先の通過点に向かう為の――通り道に、過ぎないのだから。
大成功
🔵🔵🔵
山崎・圭一
ドクター・オロチ…もといトビアス!
銀誓館学園の能力者として放置する訳にはいかねぇ
ディアボロスランサーで次の宇宙へ旅立った者は“神様のタマゴ”
不老長寿となったこの身はもう神と人間の間だな
偽神細胞液上等よ。来やがれ…
あ゛ア!右目がいってェ!この歳で厨二病なんてしたかねーのに
高威力な上に高命中か。躱すのに賭けてみるか?
UCでベアトリスに騎乗。何せ【蟲使い】なんで
ドローンは光学迷彩らしいが幸い此処は灼熱草原
不自然な火の揺れに注目しとく
白燐蟲達を背中から出して背後にも気を付けとこ
敢えて右は手薄に。元から右側なんて見えてねーし、俺
右から来るか…?
攻撃来たら一気に上昇
そのまま急降下して超速で飛び回れ、ベアトリス!
拒絶反応なのか、右目が血だらけで痛ェンだわ
だからこそこの『血』を敵の居そうな箇所へ飛ばす
それ、一応猛毒だから【毒使い】
敵の居所判明したら蟲型【呪殺弾】ぶっ放してやンよ
飛んで火に入る毒蟲だ。珍しいモン見れて良かったろ?
…風魔小太郎だったか?
俺はあの脳ミソに用があンだ
そこ…どけよ…
●遥かよりの宿業
――銀誓館の『能力者』達は知っていた。
猟兵達がドクター・オロチと交戦するよりも、遥か前から、その存在を。
「ドクター・オロチ……もといトビアス! 銀誓館学園の能力者として放置する訳にはいかねぇ」
山崎・圭一(宇宙帰りの蟲使い・f35364)は知っている。かの所業を。そして――危険性を。
故に『此処で可能性を潰せる』のならば、座視などしない。猟兵として目覚めた彼は、宇宙より帰ってきた――当時の『当事者』なのだから。
『能力者』達のうち、宇宙へ旅立った者は、人間と神の間に立ったような存在である。
とうに覚悟は出来てはいるものの。それでも彼の身に投与された『偽神細胞液』は理不尽に、平等に。彼を苦痛で蝕む。
言う事の聞かぬ『蟲』の棲家たる右目が、『ソレではない何か』の痛みを拒むかのように、暴れまわり。不自然な程に血を吐き出す。
「あ゛ア!右目がいってェ! この歳で厨二病なんてしたかねーのに――」
だが、この痛みだけに呆けていれば、会うことすらも許されない。
そうして、彼は――蟲に命ずる。
みるみる内に主を乗せられる程に巨大化した白燐蟲『ベアトリス』は、その蝶の如き幅広の跳ねを羽撃かせ、燃え盛る草原を滑空する。
(ヒントは……ある。光学迷彩っつたって此処は『灼熱草原』。不自然に揺らせば場所を晒すも同じだろ、それと――)
今の彼には、致命的な死角がある。だからこそ、それを『釣り餌』にする他ないだろう、と。
後ろは他の白燐蟲の群れで補うが、血に塗れた右目の側を『わざと手薄にする』。
……慎重な者なら引っかかる事は無かろうが、相手の性質が性質だ。この『釣り餌』に相手はまんまと引っ掛かった。
右側からのドローンの強襲に反応して、急上昇。そして直様『自分の居た場所に叩き込まれた弾丸』は前方やや右方向。
そこに向けてベアトリスは『急降下』した。
ぼたぼたと空の蟲の主より垂れる血の雫が、まさか猛毒とは思うまい。そうして『声を上げてしまった』のが、『狙撃手』の命運を分けた。
最早居場所が分かってしまえば圭一には手心を加えてやる理由など無い。
見えなくても『そこに居るのならば』。毒蟲の呪弾の雨が潜んでいた者を暴き立てるまで襲う。
「――飛んで火に入る毒蟲だ。珍しいモン見れて良かったろ?」
『狙撃手』の、顔が『割れる』。そうして、残されるのは、風魔小太郎という、敗残者の風前の灯火。
「……風魔小太郎だったか? 俺はあの脳ミソに用があンだ。そこ……どけよ……」
その言葉が、その忍びに届いたは分からない。けれども、彼の気迫に気圧されるように、そこのあったものはさらさらと消えて。
後は火の粉のように空へ舞い飛んでいった。
――見えるのは。燃え盛る草原に聳え立つ、影の城のみ。
大成功
🔵🔵🔵